2021年2月25日木曜日

新国立劇場 舞台美術展で巡るオペラ・バレエの世界開催




先週末あたりから寒暖差が非常に激しい日々となりましたが皆様如何お過ごしでしょうか。
昨年に引き続き、東京スカイツリータウン内の東京ソラマチに入っているスペース634では新国立劇場の舞台美術展が開催されます。
https://www.tokyo-solamachi.jp/event/1610/

昨年はバレエ『マノン』真っ最中の頃で、また感染に関して今以上に混迷状態にあり、行きそびれておりましたが
今年もバレエやオペラの衣装などが展示されるそうで、入場無料。2日間のみの開催ですので、お近くにお住まいの方やスカイツリー方面にご用事のある方、
是非お立ち寄りください。昨年バレエはくるみ割り人形とドン・キホーテの衣装が展示されたとのこと。今年については記載が見当たらず、
私の調査不足で展示規模も分からずですが、ミニコンサートもあるようです。

東京スカイツリーは2012年の開業日に行ったきり足を運んでおらず、夜の報道番組内での気象情報にて映っている夜景及び
東京文化会館前から眺める程度ですが、東京タワーの倍近くの高さを誇っていますから久々に上ってみたい思いでおります。
(生まれも育ちも現在の住まいも東京だが、スカイツリーや東京タワーよりもなぜだか通天閣の方が馴染みがある笑)

2021年2月21日日曜日

バレエカレッジ講座 マエストロ・井田勝大氏「バレエ音楽の魅力と秘密」『眠れる森の美女』中編




2月13日(土)、バレエカレッジの講座 マエストロ・井田勝大氏「バレエ音楽の魅力と秘密」『眠れる森の美女』中編をオンライン受講いたしました。
https://balletcollage-maestro15.peatix.com/view

今回は1幕を中心に講義。音符だけ見ると奇妙なオーロラ登場曲や花のワルツにワーグナーを彷彿の旋律が取り入れられたり(確か)、
ローズアダージオにおける楽器総動員での壮大さ、短調長調の組み合わせ効果の隠れなど音楽を次々と紐解き分析しながら説明してくださいました。
携帯の操作をそのままテレビ画面に映すアプリが役立ち(いかにして使いこなせるようになったか記憶が曖昧で、
昨年の新国立2016年ロミジュリ配信で何としてでもパリスを大画面で堪能したいが為に執念で辿り着いたやり方であった笑)
楽譜を示しながらのお話も譜面がよく見え、パートごとの役割も分かりやすく伝わりました。

ところで冒頭あたりに井田さん、長音階をdur(カタカナ表記ではドゥアー?)短音階をmoll(モール)とドイツ語読みで説明している旨を
分かりづらいかもしれないと心配され、言い直しもなさっていたりしていましたが、
子供の頃にピアノを習っていた際に教えてくださっていた先生がドイツ人と結婚なさった方で、音名はドレミではなくツェーデーエー、
長調短調もハ長調等とは呼ばずドイツ語読みで習っておりましたため、頭には入ってきやすい気がしております。
ただ習っていた経験があるとは言え、バレエその他美術工作含む全ての芸術そしてスポーツと同様自身は鑑賞者向きであるとは幼少期から自覚しており、
一生懸命練習していたとは言い難く恥ずかしい限りですが(現在は弾けません)、当時の知識が役立ち少し喜びを覚えております。

話が逸れました。講座から1週間後の昨日、新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』を鑑賞しローズ・アダージオの音楽の重み、
オーロラ姫小野絢子さんの誇り高さも合わさって上階席からの鑑賞でも十二分にスケール感が響く場面であると再確認いたしました。
この場面で今も忘れられないのは2007年の2月まだセルゲイエフ版を上演していた頃の新国立劇場での眠りで、川村真樹さんが待望の主役デビュー日。
大作中の大作と呼ばれる『眠れる森の美女』主役デビューであるためか オーロラ姫登場前のソワソワした音楽以前から
舞台上は迎える態勢万全、客席は緊張と期待で落ち着かず(笑)、そして遂に川村さんオーロラが現れた瞬間
当時頻繁にゲスト出演していたザハーロワ登場時よりも遥かに大きな拍手に沸き、ローズアダージオが無事終わると近隣の初台商店街にまで音漏れしそうな
割れんばかりの拍手が轟いていた光景は今もはっきりと脳裏を過ります。主役経験豊富なダンサーであっても恐怖な大場面ですから、
コール・ドで入団し、コリフェ、ソリスト、(のちにファーストソリスト 、プリンシパルに昇格であったと記憶)と
着実に昇進を続けてきた叩き上げで、満を持しての主役デビュー公演でしたから殊更舞台上も観客も一体となって歓喜と安堵に包まれた空間と化したのでしょう。

話が逸れました。井田さんの眠り音楽講座はひとまずは全3回構成とのことですが、最後まで終わらなければ追加企画の可能性もあるもよう。
楽しみに待ちたいと思います。そしてオーケストラにも注目しつつ、本日も「生」で、昼夜通して眠りの音楽を堪能して参ります。


※写真は15年ほど前に購入したCD、サンクトペテルブルク放送交響楽団演奏です。

2021年2月18日木曜日

舞踊評論家山野博大さん逝去/日本の創作バレエ上演、再演、継承の難しさ

2月8日(月)、渋谷のユーロライブにて日本バレエ協会主催創造されたバレエの夢 Ballet Creation 2020 Special 記録映像上映
『真夏の夜の夢』『七つの短編』開映前、上映会での配布資料に寄稿され、長年舞踊評論家として第一線で活躍されながら
2月5日に急逝された山野博大さんへの黙祷が捧げられました。 享年84歳、大学在学中から評論を発表なさっていたそうですから
実に約60年以上も世に発信し続けてこられた功績に敬意を表すとともに心よりお悔やみ申し上げます。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/84661

日本のバレエ団体、殊に観客が集まりにくい創作作品上演においても歴史を辿り網羅するかのように多くの舞台をご覧になっていたようです。
記憶違いでなければ13年前には徳島の公演会場でもお見かけした気がしており、更には2014年大阪での野間バレエ団公演『ロミオとジュリエット』であったか
最寄駅から会場のソフィア堺への行き方が分からず周辺を見渡していると山野さんのお姿を発見、
怪しまれない程度について行ってしまい無事到着できた思い出もございます。

また私の中では、山野さんはいわゆる「バレエ評論家」「舞踊評論家」の肩書きを持つ方がお顔の写真入りで媒体に登場された紙面にて初めて目にした評論家でいらっしゃり、
1990年の小林紀子バレエシアター12月公演『くるみ割り人形』プログラムに掲載された若手ダンサー対談会の記事でした。
(1989年の同団くるみにも行っているはずの管理人だがプログラムが自宅に見当たらず)
小林シアターのプログラムではその後も山野さん司会進行での座談会が度々掲載され、1993年だったか鳩がバレエに登場するらしいと耳に挟み私も観に行った
アシュトン振付『二羽の鳩』国内バレエ団としては初演であった頃のリハーサル裏話も面白く拝読。
鑑賞した日の主演は加藤久美子さんと志村昌宏さんが務め、絵にぴたりと嵌る勝気な少女と爽やか少年なるペアでした。

それから約20年後の2016年お盆、山野さんが後半のプログラムにて司会進行を務められた、世田谷区内の貝谷バレエ団のスタジオで開催
東京バレエ團(昭和21年結成のちに解散)や『白鳥の湖』全幕日本初演を振り返るシンポジウムに参加。(ご参考までに、当時の感想はこちらです)
一般客は少なかったものの、書籍等で何度も目にした重鎮な方々が目の前に勢揃いする光景及び次々と飛び出す当時にタイムスリップしたかのような
熱く臨場感ある語りを山野さんが取りまとめてくださっていたお姿も忘れられません。

今回の資料の文章を拝読すると山野さんは日本の振付家が生み出したオリジナルバレエの継承、再演や
後世に残していくための映像データの保存や公開する機会の重要性を強く問いていらっしゃいます。
日本のバレエ黎明期以降映像の入手も大困難であった時代、海外に頼らずに国内では自らのアイディアを絞り出しての創作があちこちで行われ、
大きな作品も多数発表されるものちに増加する海外からの来日公演がバレエ愛好者の関心を吸い寄せてしまい、現在も尚日本の創作バレエの上演が盛況になりづらく
再演がなかなかされぬ要因を分析され、歴史的背景も踏まえつつ解説文に記されています。

日本における『白鳥の湖』全幕初演以降1950年代から80年代にかけて発表された創作作品名がいくつも挙げられていましたが、
その中でも管理人が特に気になったのは1957年の横井茂さん振付『美女と野獣』。
国内外でバレエ化はされていて、国内の振付家では近年ですと昨年末に宝満直也さんによる演出振付で小野絢子さん福岡雄大さん主演による全幕上演が実現、
ご覧になった方も大勢いらっしゃるかと思います。
※つい先日ダイジェスト動画が公開されました。ステップの散りばめ方や音楽の使い方にも興味を持たせる振付演出です。
https://youtu.be/oZSnvhx47Ds
また発表会にて教室独自の演出で行っているところもあるようです。

海外であれば2008年に来日上演された英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のビントレー版がよく知られているかもしれません。
私も足を運び、佐久間奈緒さんの主人公ベルはもとより、山本康介さんのカラスがユニークで印象深く残っております
(管理人は勿論、DVDも所有しておりますカデル・ベラルビ版が好きでございます。DVDでのキャストを筆頭に綴り始めると一晩かかりますのでここでは割愛)
しかし1960年以前の、まだカラーテレビ本放送前で日本は街頭テレビで力道山を応援する人々で溢れ返っていた時代
日本のバレエ黎明期にあたる時期に日本人によるバレエ化がなされていた題材であったとは大変な驚きを覚えました。

そういえば、20年ほど前の書籍に横井さんのインタビューが掲載されていたと思い出し取り出して見たところ発見。
残念ながら『美女と野獣』の写真はなかったものの、現役時代の横井さんによるジークフリート王子や
(アダージョでオデットを抱える場面、憂愁を帯びた表情がなかなか色っぽい)
のちに創作した『オルフェ1960』、『リチャード三世』、『ジャンヌ・ダルク』等、重厚そうな作品が並んでいます。
インタビューによれば、1930年に能楽宝生流17代宗家に生まれた横井さんは医師を目指していた学生時代に
松尾明美さん、東勇作さん、小牧正英さんが主要役を務める帝国劇場での『白鳥の湖』を鑑賞してすぐにバレエに取り憑かれ、バレエで生きていくと決意。
内緒で小牧バレエ団に通い、その後は全国ツアーにも参加され自身の役以外の振付も全部頭に入れていて急遽の白鳥のトロワ代役にもすぐ対応でき
入団3年目あたりから主役にも抜擢されて充実していたようです。一方で早くから創作にも意欲を見せ、長編の創作第1弾が『美女と野獣』で1956年初演。
(山野さんの資料では1957年と明記だが、どちらが正しいかは分からず)
演出の記録として、装置に頼らずにボディータイツを着用した男女6人ずつのダンサーの組み合わさりによって館の門を造形したり寝台を作ったり、
肉体美を生かした舞台セットであったそうです。一昨年来日上演され、生身のダンサー達が彫刻と化して地獄門を作り上げていた
ボリス・エイフマン振付『ロダン』初演(2011年)の半世紀も前の日本で似た手法を用いた長編バレエ作品の創作上演にただただ驚くばかりでした。
映像は残ってはいないと思いますが、写真だけでも目にしてみたい作品です。

※20年ほど前、音楽之友社発行雑誌Balletにて島田廣さんや谷桃子さん、牧阿佐美さん、関直人さん、石井清子さんや大滝愛子さん、
天野陽子さん(鈴木稔さんのお母様)を始め日本のバレエ黎明期を支えた方々の連載シリーズがあり、また偶然なのか管理人在住地域の図書館にも
似た傾向の書籍が次々と入荷され、読み耽けておりましたが当時は現在のようにバレエについてあれこれ語り合える交友関係が全く出来ておらず
1人心の中にしまってお終いでございました。会場が停電したため蝋燭を灯して『レ・シルフィード』上演を敢行したら
幻想的でむしろ大評判であったなど(天野さんの記事より)
今では考えられぬぶっ飛び逸話がてんこ盛りです。もし書籍を手に取る機会があれば、是非お読みください。
少しあとの世代では、私の中でバレエ『赤い靴』と言えば話題沸騰真っ盛りなマシュー・ボーンではなく
今でも思い起こす1971年放送の同名のテレビドラマ主演ゆうきみほさんも登場なさっていました。

話は戻りますが、山野さんは日本のバレエ、日本で生まれたバレエ作品をもっと多くの方に観て欲しいと長年願ってこられ、
特にバレエ協会のプログラムはほぼ毎回執筆なさっていたかと思います。
クラシックの大作や海外からの来日公演でなければ客が集まりづらい状況をどうにか打破したいとお考えであったに違いありません。
我が身を振り返ると、日本のバレエ団の鑑賞が好きであると口走っている割には、
今回上映会で取り上げた25本の作品で上演当時実際に足を運んで鑑賞したのは7本のみ。
そもそも15年ほど前まではバレエ協会の公演会場の雰囲気が苦手とまで口にして敬遠しがちであった自身が恥ずかしいばかりです。
(観客も出演者の関係者が多くを占め、夜公演にも拘らず四方八方から聞こえる◯◯先生おはようございますとの挨拶に
芸能界でも稽古場でもないのだから夜ぐらいこんばんはでええやんと毎度思う捻くれた部外者であった点、お許しください)

またコロナ渦で暫くは来日公演実現も困難であろう今、日本で作られたオリジナル作品の掘り起こしも重要となってくると思っており、
制作の時期によっては改訂も必要になってくるかもしれませんが 新潟シティバレエでは近年も上演されていながら本家の牧阿佐美バレヱ団で
昨年42年ぶりに上演された『角兵衛獅子』はいくらか改訂もされたかもしれないもののテクニックの見せ場や群舞の入れ方と言い
今観ても決して古色蒼然な印象はなく、見応えがあったのは記憶に新しいところ。
他の団体においても過去に上演しながら眠ったままになっている日本生まれの作品の掘り起こし、
そして国内の振付家作品の初演が相次ぐ上演機会となればと願っており、私も一層学びたいと思っております。





上映会チラシの裏、上映作品の振付家の一覧にて錚々たる方々が勢揃い。範囲を広げ、時期や場所を問わず鑑賞したことのある振付家となれば17名。

以下長い且つ大雑把な感想で失礼、鑑賞時の印象など作品によっては10年以上遡っての備忘録。
青木尚哉さん作品は10年前に高知の発表会で観たか、伊藤範子さんは2019年1月藤原歌劇団『椿姫』における
バレエ場面がたった10分程度であっても抑揚に富んだステップやドラマも盛り込まれていて秀逸でした。
遠藤康行さんが2018年にジャポンダンスプロジェクトでの夏の夜の夢は随分風変わりなテイストであったが、
来月の協会公演コンテンポラリーいばら姫は心より楽しみにしている次第。

ハルバートさんの真夏…の愛おしさは前半の記述の通り。彩の国さいたま芸術劇場の次期芸術監督就任の近藤良平さんによる
『ねこ背』はバレエの規格から外へ出つつ声出しもユニークでした。 篠原聖一さんのオリジナル大作、古典の改訂もあちこちで拝見(北は北海道南は愛媛まで!)
下村由理恵さんによる青山円形劇場での『水の精霊』、篠原さんによる『アダージェット』を上演したリサイタルは
鑑賞人生において2番目の至近距離で観た舞台として記憶、記録。
https://www.dance-square.jp/syas1.html
https://www.dance-square.jp/syas2.html

田中祐子さんの沖縄の要素が盛り込まれた作品も不思議な魅力があり、 中原麻里さんは昨年夏の大和シティーバレエで
新国立から珍しいペア誕生させた、ショパンのノクターンにのせたルナティックがいたく神秘的でございました。
中村さんは前の記述の通り、好みな作品が私の中でもぱっくり分かれ、我が感性に問題ありかもしれません。
日原永美子さんがNHKバレエの饗宴で発表されたオセローがシュトニケの重苦しい音楽とよく合い、
平山素子さんは新国立で上演された兵士の物語、ザハロワや小野さん、本島さんも挑戦されたRevelationそしてバタフライ(3月楽しみです)も印象深い。

深川秀夫さんのお洒落で麗しい作品は関西でしばしば鑑賞、中でもソワレ・ド・バレエを全編鑑賞した体験は
新国立で抜粋のパドドゥを観て感激された方にも度々自慢しているほど笑、宝物です。
松崎すみ子さんの『マッチ売りの少女』はほぼ全曲邦楽で構成され、少女の悲しみを尺八、街の賑わいを琴や三味線で表現する手法に舌を巻き
前田さんのいのちでんでんこ、当初はバレエ公演での上演にはびっくりな舞台でしたが独特の世界観に引き摺られて行くような力もあり。

矢上恵子さん作品は大阪で、愛媛で、徳島でも多く拝見、その度にパワーと浄化が同時に迫る感覚に。
山本康介さん版くるみ割り人形を3年前に江戸川にて鑑賞、ドロッセルマイヤーを若くたっぷり踊れる役として描き、
女の子が男の子を踊るときに変な違和感がないよう配慮された髪型、衣装も好印象でした。

2021年2月17日水曜日

創造されたバレエの夢 Ballet Creation 2020 Special 日本バレエ協会 Ballet クレアシオン公演 記録映像上映 『真夏の夜の夢』『七つの短編 』 2月8日(月)

2月8日(月)、渋谷のユーロライブにて日本バレエ協会主催創造されたバレエの夢 Ballet Creation 2020 Special 記録映像上映
『真夏の夜の夢』『七つの短編』2作品を観て参りました。
http://www.j-b-a.or.jp/stages/ballet-creation-2020-special/

キミホ・ハルバート振付作品『真夏の夜の夢』
タイターニア:本島美和
ヘレナ:森田真希
ハーミア:清水あゆみ
オーベロン:山本隆之
ライサンダー:池田武志
デミトリウス:福田圭吾
パック:菊池いつか
ボトム&妖精:横山翼
ほか

上演当時の本島さんのブログに、ハルバートさんや出演者との写真が掲載されています。色気を放つ美男美女な妖精夫婦です。
https://gamp.ameblo.jp/motojima-miwa/entry-11807363199.html

新国立劇場の研修所やハルバートさんが育った岸辺バレエスタジオ発表会などで形を変えながら上演を重ねている作品で、今回は2014年ゆうぽうとでの上演版。
出演者のお名前からして当時私が足を運んだのは言うまでもありませんが、2014年3月ですからソチ五輪すぐあとの頃の時期。
つい最近の出来事のように思い返しながら映像を鑑賞いたしました。
まず、本島さんタイターニアと山本さんオーベロンの並びが実に耽美でこれ以上にない美男美女な妖精夫婦。
タイターニアは膝丈のウェディングドレスのような衣装でオーベロンはシンプルな白い衣装、お2人の生来の美しさがそのまま活かされた印象です。
チャーミングな面もたっぷり描かれ、オーベロンはタイターニアの尻に敷かれてお小姓を取られては悔しがったりすっとぼけた表情を浮かべたり、
相棒のパックと舞台後方の坂道に腰掛けて一生懸命考え事をする様子は可愛らしくもあり。(ドラえもんとのび太が公園の土管に座っている光景が重なります笑)
随所に入るパ・ド・ドゥは互いを慈しむように伸びやかで柔らかく、すっと解放されるかの如く気持ち良い振付。
オーベロンの包容力、勝気なはずのタイターニアがふと見せる甘えるような愛らしさには蕩けるしかありません。

妖精達の平均年齢が非常に若く、瑞々しくユーモアを含む踊りが次々と繰り出されて紡いでいく流れで飽きさせず。
録音音源しかも今回はカメラワークほぼ定位置の記録映像にも拘らずメンデルスゾーンの音楽が更にきらっと輝くように耳に響いてきたほどです。
衣装は白を基調に可愛らしさと爽やかさを薫らせ、タイターニアがお昼寝をする場所は木の根元の穴ではなく、
天蓋白いカーテン付きのスペース配置。(本島さんタイターニアですから素材はシルクを彷彿)

パックの悪戯に翻弄されたライサンダーとデミトリウスの争いも笑いを起こし、テクニック盤石な池田さん福田さんの
表情と身体を張って踊りながらの主張の食い違いには、当時近くの客席にいた小学校低学年であろう女の子も大笑い。
終演後もしきりに楽しかったと親御さんに言葉を発していて、上質な作品は子供心にもきちんと届くことを証明していたのでした。
約30分の作品でありながら楽しさと美しさが凝縮し、実質15分もない印象。それだけダンサーの魅力を引き出す振付、配役、衣装、音楽全ての要素が
見事なまでにぴたりと嵌っていた作品です。再演お待ちしております。


中村恩恵振付作品『七つの短編』
出演:中村恩恵 首藤康之 山本隆之 ほか

2017年メルパルクホールにて上演された、曜日ごとに場面展開していく作品。中村さんお得意の暗闇に黒系衣装のダンサーを配して光を当てる演出が多く、
管理人の脳内構造に問題大いにありなのだが内容が難解でいかにして鑑賞に臨めば良いか分からぬまま終演。
今回の映像鑑賞でも同様で精神性の恐ろしく高い、哲学的な世界観は苦手なのかもしれません。
(中村さん作品の中ではシェイクスピア・ソネットや火の鳥、ベートーヴェン・ソナタは好きなのだが)
小さめの劇場にて、舞台に近い席から鑑賞すれば印象も変わる気がしております。
そうは言っても山本さんの近寄り難いほどの存在感には管理人の目も冴え渡り、支配力に感嘆。至近距離で観てみたい作品と再確認です。


当時のプログラム持参で映画館1階のカフェにて開映前にハーフアンドハーフビールで乾杯。
燻製おつまみが嬉しい。ハッピーアワーのためコーヒーよりもビールがお手頃。

2021年2月14日日曜日

バレリーナを夢見る新解釈 NBAバレエ団 ヨハン・コボー版『シンデレラ』 2月6日(土)




2月6日(土)、NBAバレエ団 ヨハン・コボー版『シンデレラ』を観て参りました。世界初演の初日です。
https://www.nbaballet.org/performance/2020/cinderella/

スパイスイープラスにコボーさんへのインタビューが掲載されています。
https://spice.eplus.jp/articles/281838

シンデレラ:高田茜
ピアニスト(シンデレラの継母):関口祐美
2人の姉(シンデレラの義理の姉):
ホワイト 岩田雅女
ブラック:浅井杏里
教師:峰岸千晶
王子:宮内浩之
ヴァイオリニスト:大森康正
男子生徒:刑部星矢
3人の女子生徒:井上優紀/白井希和子/向山未悠
ドリームポスター:竹田仁美
スワンポスター:佐藤圭
レッドポスター:鈴木恵里奈



高田さんの舞台は2018年のバレエ・アステラスにおける大トリ『ジュビリー』パ・ド・ドゥ以来の鑑賞で、
友人に代わって足を運んだ一昨年の来日公演『ドン・キホーテ』に主演予定でしたが怪我で降板され、待望の国内公演全幕初主演です。
空間を大きく使い芯ある柔らかな踊りを繰り出し、バレリーナ志望の少女の物語設定においてヒロインの変貌をいじらしく華々しく表現。
ピンク色の古めかしいワンピース姿は純朴で愛らしく、しかし隠しきれない華は内側から表れ、隅っこにいても、水撒きしたり
譜めくり係を担当していても目を惹くオーラが眩いこと。

岩田さんと浅井さんによるシスターズが大胆な笑いを与え、時には身体を思い切り張っての王子への言い寄りも濃厚。
シンデレラに対しては意地悪ではあっても陰湿にはならず、目立ちたい願望を募らせて前へ出しゃばったりとシンデレラへのいじめはさほど多くなく
その分絡むときは遠慮なしに絡んで関係性をはっきりとさせ、 またいじめる場面よりもお姉さん同士のバトルに焦点を当てたスカッとする演出も好印象。
バーレッスンでの悪戯し合う様子もやり過ぎず、されどここぞのときには足を技と激突させて思い切りずっこける鉄板なコンビぶりも
作品をより楽しいものへと引き上げてくださいました。レッスンでのお団子2つの髪型も憎めぬ可愛らしさで、岩田さんがホワイト、浅井さんがブラックと名付けられ
各々白鳥と黒鳥の衣装を纏っても登場。早替えが抜群に早く、チームの結束力を思わせるひと幕です。

じわりと毒々しさを放っていたのは関口さん。シンデレラを譜めくり係として座らせるときも冷たい表情で接し、胃が縮み上がりそうでございます。
しかし黒く長めの丈の衣装がきりっと決まっていて、同時に惚れ惚れいせずにいられず。

シンデレラに、舞台全体に安心感をもたらしていたのは峰岸さんの教師。(仙女な役割)
踊りはダイナミックで優雅ながら毅然とした立ち振る舞いでシンデレラを見守って導き、初日でまだ全体がやや硬めであった舞台の序盤を
ビシッと纏め上げる頼もしさに、ベテランの誇りを見せていただいた思いがいたします。

役柄の設定の捉え方が難しいと感じたのは王子で、王族の生まれではない設定(恐らく)で、しかしレッスン場での皆の憧れのスターであり
2幕では宮殿な雰囲気の中でシンデレラをパートナーとして踊るため、立ち位置が掴みづらいと思えたところ。
宮内さんのパートナーリング、ソロ共に安定しただけに「女性の理想を結晶化した究極の王子」として刷り込まれている役柄の新解釈の難しさとして捉えております。

仕掛けで面白かったのはポスターで、レッスン場に3枚掲示。それぞれに白鳥、ドリーム(恐らくタイターニア)、レッド(火の鳥らしい絵)が描かれ
シンデレラがひとりぼっちになったふとした瞬間にビリビリと音を立ててまずはドリームポスターから絵そのままの衣装でタイターニアなキャラクターが登場。
ドリフの障子破りコントと同級の音量で(生での鑑賞経験はございませんが)、一瞬何事かと落ち着かなかったほどです。
四季の精として描かれる演出が多い場面に3人を当てはめてドリームにはバッタとトンボの曲で軽快に跳ねるテクニックが竹田さんの持ち味によく合い、
秋がレッドで吹き荒ぶ曲調と鈴木さんの豪快な踊りの噛み合いも宜しく、冬がスワンで白がそのまま従来のイメージを引き継いで
優美な羽ばたきがしんしんと降る雪の旋律に溶け合い、3役それぞれ曲との調和が取れていた印象です。

1幕前半は踊りの箇所が少なくやや話の進展がゆっくりと感じられてしまい、これまで『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲』『ケルツ』『海賊』『11匹わんちゃん』など
身体能力が高いNBAダンサーの魅力を十二分に引き出すテクニック満載な、踊りでぐいぐいと進展させていく作品を鑑賞してきたため
尚更思えてしまったのかもしれません。ただ後半は色とりどりの衣装姿をした舞踏会のカップル達や
流星群を散りばめたような背景と似た模様で彩られた星々達のコール・ドの大掛かりな見せ場がふんだんにあり満足度の高い振付でした。
高田さんのソロも豊富で、途中からは金に近い黄色いチュチュに着替えて夜空を背景に軽々と舞い、弧を描く長い手脚も美しく魅せていました。

最後はしんみりと、しかし寂しさは無くかねてからシンデレラに思いを寄せていたヴァイオリニスト(舞踏会では道化であった!?)と
手を取り合いレッスン場をあとにして幕。静かで堅実さのある幸福な結末でした。

新規入国制限により当初シンデレラ役に予定されていたフランチェスカ・ヘイワードの招聘が不可能になってから高田さんの出演決定発表まで非常に早く
何よりこの状況下にコボーさんが来日され隔離期間を経て指導を続け、 全幕世界初演の実現に心より拍手を送りたいと思います。
上演前にはコボーさんのプレトークあり。喋り過ぎないよう気を配りながら一生懸命語るお姿から、NBAとの初仕事が幸せな時間であったのであろうと想像。

コボーさんとシンデレラで思い出すのは。13年前の新国立劇場『シンデレラ』客演。パートナーが怪我で途中降板してしまい
舞台監督が指揮者に事情を伝える時間もなかったのでしょう。順番からして先に披露するはずのシンデレラヴァリエーションのときに突如登場して
舞台の上から自ら指揮者に穏やかに語り掛けて王子の曲の演奏を促して2人でオレンジ持つお小姓と並び歩く場面はお1人でこなし
2幕中盤以降当日はアンダーのペアが続投した初日。カーテンコールでは私服姿で控えめに登場して深々と一礼し、
てんてこ舞いな出来事があったとは思えぬほど落ち着いたお姿であったのは今も忘れられません。
他日代役を務めたさいとう美帆さんとの共演もぎこちなさが無く、当時の光景を思い出しつつ困難を乗り越えて実現したNBAシンデレラ全幕世界初演を讃えた初日夜でした。




上野も飲食店は20時終わりのため真っ直ぐ帰宅後、レシピを参考に
シンデレラカクテルを作りホワイトベルグビールを入れてアルコール増しにしてみた。1秒で完飲。

2021年2月12日金曜日

創造されたバレエの夢 Ballet Creation 2020 Special 日本バレエ協会 Ballet クレアシオン公演 記録映像上映 『真紅の風流るる地にありて踏みしむ土の薫黒き』『Bourbier 』 2月6日(土)




2月6日(土)、渋谷のユーロライブにて、日本バレエ協会主催創造されたバレエの夢 Ballet Creation 2020 Special 記録映像上映
『真紅の風流るる地にありて踏みしむ土の薫黒き』『Bourbier 』2作品を観て参りました。
http://www.j-b-a.or.jp/stages/ballet-creation-2020-special/

大岩ピレス淑子振付 『真紅の風流るる地にありて踏みしむ土の薫黒き』

初見作品。失礼ながら振付者の大岩さんについても存じ上げず鑑賞に臨みましたが
トワイラ・サープのカンパニーやフランスのプレルジョカージュでも活躍されたダンサー、振付家とのこと。
ブラジルのパーカッションを盛り込み、演奏者も舞台に上げての晴れやかな躍動感のある舞台でした。
世田谷区を拠点に活動するバッキバとの共演により、とどまることなく続く曲調に聴き入りつつダンスを眺めているうち瞬く間に終演。
時間の経過がいたく早く感じ、終演後は客席に下りて通路を踊りながらの幕切れもその場に居合わせあたらさぞ楽しい気分に浸れたであろうと想像いたします。
出演者の1人、振付家としても活躍中の日原永美子さんはダンサーとしては谷桃子バレエ団『ドン・キホーテ』ジプシーなど何度か鑑賞しておりますが
今も記憶に強く残っているのは薄井憲二さん開設のロシア(開設時は昭和末期であったため名称はソビエト)・バレエ・インスティテュートとして
ソ連崩壊後間もないボリショイバレエ学校への留学についての見開きの大きな記事。
レッスン以前に国が大混迷な最中で食糧難に見舞われながらも懸命にバレエに打ち込む様子が写真でも紹介され、
映像であってもお姿を目にするとその記事が脳裏を過ぎります。


※舞台写真
http://www.j-b-a.or.jp/stages/平成24年度バレエクレアシオン/

※バッキバの方々による当時のブログ
http://baqueba.blogspot.com/2012/12/1110.html


矢上恵子振付作品 『Bourbier』

上演直後ダンススクエアに舞台写真が多数掲載されました。作品の迫力をどうぞご覧ください。そして干支一回り前、福岡雄大さんがあどけない!
https://www.dance-square.jp/bsym2.html

初演は2007年大阪、東京では2009年が初披露。山本隆之さん、福岡雄大さん、福田圭吾さん、紘也さん始め、多数のプロダンサーを輩出している
大阪の名門Kバレエスタジオ主宰三姉妹の三女で、先駆者として昭和の時代からコンテンポラリーの作品発表、指導に
力を注いでこられた矢上恵子さん(2019年逝去)振付です。

Kスタ出身、所属ダンサー中心に出演者は28人で大人数で一斉にハイスピードで駆け、
右から左から中央奥から変則的なフォーメーションを組みつつ集団で斬り込み迫る振付と言い寸分の隙もなく展開。
ただ単に機械のような構成ではなく随所に柔らかな部分も含ませ、マスカーニ作曲のカヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲を用いて
安らぎをも与える、実に緩急に富んだ点も特徴で飽きさせません。
主軸は若き福岡雄大さんで、2009年11月当時は新国立劇場入団間もない頃。葛藤を吐き出す感性は鋭く、はち切れんばかりの身体能力で
只者ではならぬ存在感を示していたのはアップのカメラワークが殆どない記録映像であっても明らかです。
間奏曲に乗せた終盤のソロ部分を抜粋して踊った2008年のヴァルナ国際バレエコンクールにて3位入賞を果たし恵子先生は振付賞を受賞され
師弟にとって、特別な思い入れのある作品であるのは想像に難くありません。
尚、出演者の中には新国立入団4年目であったKスタ出身の福田圭吾さんやのちにNBAに入団し、この上映直後に初日を迎えたコボー版シンデレラにて義理の姉を踊られた岩田さん、
スターダンサーズ入団の井後さん、ノイズム入団の井本さんも名を連ね、懐かしさと喜びがひとしおでした。

思えば私が初めてKバレエスタジオの舞台に足を運び恵子先生の振付を初鑑賞した作品でもあるためか、干支一回り前の出来事であっても
大阪初演においては14年前の舞台であっても昨日のことのように思い出すのですから不思議なものです。
ちなみに大阪での初演は恵子先生そして山本さんも出演され、プログラムを読み返したところ51人構成。
Jr2、Jr3と小中学生までもが入ったチームも出演し、子供の生徒さんまでもが相当な訓練で鍛えられている様子が初見でも窺えた大衝撃は今も忘れられません。

恵子先生の作品は関西圏では上演機会が今も頻繁にありますが関東では少なく、2010年の日本舞踊との融合作品や
2014年のPDA(関西中心とした男性ダンサー集団)東京公演、最後の青山バレエフェスティバル、佐藤勇次さんスタジオやDAIFUKUでのソロ作品披露など
私が東京で鑑賞した恵子先生作品上演舞台は両手指にも至らぬ回数です。
(遡れば2000年代前半のダンスアクト舞台スターダストin上海もあり、観たかったが。後年にプログラムは購入)
今回記録映像上映会が開催され、恵子先生作品を初めてご覧になった方も感激のお声が聞こえて誠に喜ばしい機会となりました。




韓国国立バレエにも招聘された恵子先生を讃えて、会場近くで韓国焼酎チャミスルをちょこっと1杯。 薩摩で口にした焼酎より爽やかで飲みやすい。
2009年の東京上演前に宣伝宜しくといただいた香織先生からのお手紙とチラシも手に参りました。
当時はまだまだバレエを通した交友関係が今ほど築けておらず 先生、12年ぶりにチラシ新たに2枚捌けました。遅過ぎてすみません!



上映鑑賞前にカンジャンセウ丼、大きな海老が3本入っています。前のブログと合わせても韓国料理は初登場です。

2021年2月9日火曜日

【今夏の注目】福田圭吾さん演出・振付の『Rock Ballet with QUEEN』



7月8日(木)、新宿文化センター大ホールにて新国立劇場バレエ団の福田圭吾さん演出・振付の『Rock Ballet with QUEEN』が上演されます。
ギターと同化した米沢さんのポーズもインパクト大です。
https://www.dancersweb.net


※ダンサーズサポートさんのサイトより抜粋
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●演出・振付:福田圭吾
(新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト)

●キャスト ※五十音順
秋元康臣 (東京バレエ団プリンシパル)
池本祥真 (東京バレエ団ファースト・ソリスト)
井澤駿 (新国立劇場バレエ団プリンシパル)
菊地研 (牧阿佐美バレヱ団プリンシパル)
長瀬直義 (元東京バレエ団ソリスト)
米沢唯 (新国立劇場バレエ団プリンシパル)

【公演概要】日本のトップバレエダンサー × QUEEN の競演!

演出・振付の福田圭吾は、ダンサーとしてだけでなく、所属バレエ団以外にも多くの新作を発表している次世代を牽引する期待のアーティストです。
本公演は、世界的なロック音楽とクラシックバレエを掛け合わせることによって、これまで「クラシックバレエは居が高い」と思われている方達にも
楽しんでいただけるスタージにしたく、コアファンの方にも日本を代表するダンサーたちの
卓越したテクニックや高い表現力を思う存分お楽しみいただける舞台をお届けいたします。
バレエテクニックをベースに、グルーブ感などを随所に織り交ぜた新たなエンターテイメント、 「ROCK BALLET with QUEEN」が誕生します。


新作ロックバレエ『Rock Ballet with QUEEN』
2021年7月8日(木)新宿文化センター大ホール

【チケット情報】
1F席 6,500円 2F席 5,500円
・発売はイープラスより、ネット販売のみになります。
・イープラスの掲載:2月11日(木・祝)~
・一般発売予定:2月14日(日)10時~
・検索ワードは「新作ロックバレエ」でお願い致します。
※ロックとバレエの間に「・」は入りません

【公式URL】https://www.dancersweb.net

【お問い合わせ】
rockballet2021@gmail.com

主催:ダンサーズサポート/DancersWeb

制作:ロックバレエ制作委員会

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まず演出と振付を福田圭吾さんが手掛けることに期待が膨らみます。毎回好評でシリーズ化している大和雅美さんと組んで監修にあたるDAIFUKUや
新国立劇場でのDance to the Futureにとどまらず近年では発表会用の作品も創作され、
昨秋愛媛で鑑賞したKazeは生徒さん達の伸び伸びとした魅力を引き出し、そして主軸として迎えた大先輩の山本さんをひたすら崇高に見せて敬意が込めれた
爽やかさが舞う大人数作品であったのは記憶に新しいところです。小宇宙を思わせるシャープでシリアスな作品から
日本のお茶の間風景の舞踊化まで創作アイディアの幅が実に広く、福田さん含め全員世代ではないはずのクイーンの楽曲を
バレエとどう融合させ所属団体の垣根を越えて集結したダンサー達が光るのか、大変待ち遠しい公演です。
クイーンとバレエと言えばモーリス・ベジャール振付の『バレエ・フォーライフ』は観ておりますが、福田さんによる演出振付も今から楽しみでなりません。
バレエ愛好家でロイヤル・バレエと共演し、レッスン場でダンサーと汗を流して練習に励んでいたフレディ・マーキュリーも微笑みながら鑑賞してくれそうな気がいたします。

2021年2月4日木曜日

20世紀の日中バレエ芸術交流創成期に大貢献しかし行く末が気がかり 松山バレエ団2021新春公演 新『白鳥の湖』1月30日(土)




1月30日(土)、松山バレエ団2021新春公演 新『白鳥の湖』を観て参りました。松山バレエの鑑賞は15年ぶりです。
http://www.matsuyama-ballet.com/newprogram/new_swanlake.html



新『白鳥の湖』紹介動画
オデット/オディール:森下洋子
ジークフリート王子:堀内充


実を申しますと森下さんのオデット/オディールは初鑑賞。脚を上げるのは約30度まで、引き上げも危うく、ポワントで立ち切れていない箇所も多々あり
30年、40年前に観てみたかったとの思いは残りますが、それでもポスターやチラシで目にする写真のようなはっとさせる瞬間も。
白鳥の湖を観に来たのか、森下さん個人を観に来たのか終盤はよく分からぬ状態と化し、周囲からひたすら崇拝されるかの如き別格の存在感は健在でございました。
舞台上では一番シンプルに見えるオディールの黒い衣装姿でありながら、松山バレエ特有の
ボリューム感のある豪奢な衣装の数々に囲まれても埋もれぬオーラには今更ながら驚かされます。

15年前の春に観た『シンデレラ』『ジゼル』では軽やかに踊っていらした印象があり、また昨年春放送の阿川佐和子さん司会の番組『サワコの朝』や
一昨年の中国国立バレエ団来日公演『紅いランタン』(当時の記事はこちら)のロビーにて見かけたパンツスーツをお召しになってのピンと背筋を伸ばした立ち姿、
颯爽と歩く姿も脳裏に残っていただけに、古典全幕での主役を長年しかもオデット/オディール役に関してはアベベが青梅街道を走り、
大松監督率いる東洋の魔女が席巻した1964年の東京五輪がデビューとのことですから
他のダンサーと比較すれば桁が違い過ぎる年月をかけて体力技術を維持し踊り続ける難しさを示されてしまった感は否めません。

ただ、私がバレエ鑑賞を始めた32年前に入手した、『白鳥の湖』に焦点を当てた雑誌のカラーインタビュー記事は今も大事にしており
祈りを捧げるポーズのオデットに、清水哲太郎さんとのパ・ド・ドゥで魅せる蠱惑的なオディールの舞台写真や
稽古場での飾り気のないショットも美しく何度も読み返し見返した記事。念願叶っての鑑賞と言えば聞こえは良いでしょう。
英国の劇場の楽屋の古さや小ささに触れ、まもなくサドラーズウェルズがバーミンガムに移る話題を語っていらして時代の経過を思わずにいられません。

ところで今年舞踊生活70周年を迎えられた森下さんは生涯現役を貫かれるご予定なのか。32年前の記事ではもっと深めたい役であり
オデットは50歳、60歳になっても踊りたいと語っていらっしゃいましたが、70歳を過ぎても踊ることになろうとは当時は想像もできなかったことでしょう。
管理人が決して遠くはない年金受給者(今の財政からすると貰えそうにないが)となっても現役続行をなさっている気すらいたします。

堀内さんは1983年のローザンヌ入賞者で、同年の入賞者で現在新国立劇場舞踊部門の芸術監督を務める吉田都さんと同世代。
正直全盛期をだいぶ経過しているのは認めざるを得ませんが全幕古典にゲスト主演しかも森下さんの相手役を引き受けた寛大さを思えば不満は申せません。
一応湖畔のアダージオや黒鳥グラン・パ・ド・ドゥも披露され、とにもかくにも献身的な王子でした。

音楽はスタンダードな版に比較するとだいぶ異なり、プロローグは白鳥の湖ではないチャイコフスキーの曲が使用されていたり(悲愴かもしれぬ)
舞踏会は民族舞踊無しで、近年は殆ど披露されない花嫁候補達のソロ曲や聴き間違いでなければ女性ヴァリエーションの1本にグラズノフの曲も使用と記憶。
冒頭は黒がかった世界にロットバルトと手下達が毒々しく蠢き、暫くすると明るい庭園へと場面が移行する展開は目を覚ませる効果もあった印象で
分野は異なりますが、ワーグナーのオペラを彷彿とさせる過度に壮大な幕開けでした。

想像はしておりましたが衣装はボリュームがたいそうなもので、模様も色とりどり。団全体の一斉にニカッとする独特の表情作りや
ブルーのアイシャドウ祭りも目にし、ある意味どっぷり堪能できました。

一部辛辣な表現も並べてしまい、松山バレエ団のファンの皆様、関係者の皆様、気を悪くされましたら申し訳ございません。
東京バレエ団も1960年代の設立早々からソビエトを始め海外公演を実現させてはいますが
日中国交正常化以前の1950年代から文化大革命の時期も変わらず中国との交流を続ける松山バレエ団の姿勢と言い、
政情不安に屈さぬ一貫した芸術精神には天晴れです。決して設備の整った劇場のみならず、岩盤をくりぬいて
オーケストラピットを急遽の大工事で設計した延安大礼堂や重慶の農業生産合作社や武漢の工場公演、と
オペラや洋舞の劇場ではない場所でも公演を実現させて賞賛を浴びた功績、行動力には今読み返しても仰け反るばかりです。

話はだいぶ逸れますが、訪中公演での仰天話は昭和の時代に限ったものではなく、のちにハンブルグ・バレエ団や東京バレエ団も経験済みで
現在新国立劇場バレエ団にてプリンシパルを務める米沢唯さんが子供の頃に所属していた塚本洋子バレエスタジオも
中国公演(米沢さんも出演、当時の写真がのちの雑誌クララに掲載。雑誌バレリーナへの道に掲載の集合写真にもご本人らしきお姿あり)を行った際、
床のあちこちに点在する穴に新聞紙を詰めてリノリウムを敷いたり 本番中はこうもりが飛び交っていたりと、
出演者もスタッフもてんてこ舞いな公演であったと記されていました。

※但し、中国で全時代全土でおっかなびっくりな公演であったのでは全く無く、時代の流れと共に変化を見せ、観客のマナーや態度も宜しく、情熱に乗せられて大盛況だった
舞台の記録(Kバレエの上海公演やフランスのキャピトル・バレエの上海や天津公演も会場が大いに沸いたようです)も残っていますので誤解無きように。

話がみるみると明後日の方向へ行きがちですのでこの辺りに。松山バレエ団の中国との交流史にご興味のある方は、
1983年発行の松山バレエ団創設者清水正夫さん著 講談社バレエ『白毛女』はるかな旅をゆく、どうぞお読みください。
どこかの図書館には所蔵されているかもしれませんが、1958年の第1回中国公演から時系列に辿って綴られ、
ひょっとしたら松山バレエ団とは田中角栄さんよりも遥かに打ち解けていたかもしれない周恩来の逸話、
毛沢東による厚遇、文革でクラシック・バレエを中断していた中国の手本にもなっていた時期もあったなど各地での仰天話が事細かに記述されています。

話を戻します。バレエ団について一番の疑問が幹部クラスの多さで、次席副校長が13人、副芸術監督と副芸術総監督の両方のポスト用意とはいかに。
しかも20年30年不変ではと思う方々が勢揃い。バレエその他問わず経営経験の無い者があれやこれや申す資格も無いのは重々承知しておりますが、
昨年クラウドファンディングも行っていたバレエ団の事情を踏まえれば決して資金も潤沢には無いでしょう。独自の伝統、方針があるのかもしれません。
松山バレエ団の行く末が気になるところです。

さて、今年はこのあと春夏に3本『白鳥の湖』鑑賞予定があり、うち2本は東京都外。心待ちにしておりますが、
気になるのは昨年から延期が発表された新国立劇場の新制作ピーター・ライト版『白鳥の湖』。
しかし英国の状況は実に不安が募っており、つい先日には初夏頃に予定されていたイングリッシュ・ナショナル・バレエ団の来日中止も発表。
先にも挙げた、32年前に発売され入手した森下さんへのインタビュー記事にて、ちょうどライト版の『白鳥の湖』『眠れる森の美女』2本を持っての
サドラーズウェルズ(現バーミンガム・ロイヤル)来日中で両公演に主演する大活躍を見せ、そして森下さん清水哲太郎さん選考のグローバル賞を受賞し
松山バレエ学校時代の恩師でもあるお2人に挟まれてにこやかに微笑んで花束を手にした吉田都さんの姿に、心境を察するほかありません。




ドイツ風ジョッキでしみじみ乾杯。

2021年1月31日日曜日

バレエカレッジ講座 マエストロ・井田勝大氏「バレエ音楽の魅力と秘密」『眠れる森の美女』前編

1月30日(土)、バレエカレッジの講座 マエストロ・井田勝大氏「バレエ音楽の魅力と秘密」『眠れる森の美女』前編をオンライン受講いたしました。
https://balletcollage-maestro14.peatix.com/
https://balletchannel.jp/event/13404

1890年に初演を迎え、昨年がちょうど130年の節目。状況の事情で誰もやっていないか陰では行っていたか分かりかねますが、
130年を意識していたためか昨年は生でもオンラインでも眠りを観る機会が多かったと記憶。
生では東京シティ・バレエ団、東京バレエ団(子ども版)、牧阿佐美バレエ団、新国立劇場バレエ団(札幌公演)、
配信ではボリショイ、シュツットガルト、英国ロイヤル、他にもその昔にレーザーディスクで観ていた映像がなぜだか動画サイトにまるごと載っており
公演中止が相次いだ昨年ばかりは時代の電子技術進化に甘え、キーロフのイリーナ・コルパコワ主演やボリショイのニーナ・セミゾロワ主演も鑑賞。
1人ひっそり、でもないが眠り130周年ツアーを行っておりました。スミルノワとチュージン主演のボリショイシネマが
丸々載っている経緯は謎でございます。(観たが鑑賞に正式カウントして良いものか笑)
今年は2月に新国立劇場バレエ団が、3月には日本バレエ協会にてコンテンポラリーと古典の眠り2本立て公演を控えていて、タイムリーな嬉しい講座開催です。

実のところ、延々長々と絢爛豪華な流れが続いてそこまで好きではない作品ながら、プロローグの妖精パ・ド・シスの音楽、
中でも妖精達が登場するワルツの繊細さがじわりと重なり合いながら展開する曲調は妙に愛おしく感じており
今回はプロローグと1幕中心との告知に胸を躍らせて受講。井田さんは序曲から楽譜を用いてそれはそれは事細かに分析解剖してくださいました。
パ・ド・シス部分にも詳しく触れてくださり、パン屑やリラの花などロシアの風習にちなんだものを取り入れていることを知り、興味が尽きぬお話満載です。
妖精達の呼び名は優しさ、元気、と一言で簡潔な版もあれば、結構長い(版によるが、黄金のつる草の精を始め英国系長いか)ものもあり。
パン屑の謎が解けて金田一少年並みに気分もすっきりいたしました。
激しさ、勇敢などの名で呼ばれている5人目の妖精の振付も好きで潔い曲調を聴くたび背筋が伸びる思いがいたし
この踊りで今も印象に残っているのはキエフバレエの監督に就任したエレーナ・フィリピエワ。
『シンデレラ』での愛くるしさからは想像つかぬ、濃い橙色の衣装が似合い、強い脚力から繰り出される火花を散らすような踊りに驚倒した覚えがございます。
30年以上前の映像で、オーロラ姫は誠に優美なアンナ・クシネリョーワでございました。

一応全2回の前編後編構成の予定でしたが井田さんが話し足りなさそうで 笑、3回になる予報もチラリ。
もっと聴きたい気持ち満々でおりますので3回でも4回でも大歓迎です。
そういえば、1点だけ疑問。妖精達の登場ワルツで一呼吸置いて曲調が変わり、一気に壮大となる通常リラの精の登場場面。
井田さんも楽譜を差しながらリラの精が登場する、と説明なさっていて確かに大概どの版においてもリラが堂々と登場なる場面です。
しかしセルゲイエフ版では呑気の精だったか、リラの子分が駆けて出てくる音楽に当てられ、リラは序盤のゆったりした調べに
コール・ドと紛れて何時の間にか登場して既に中央に。セルゲイエフ版で唯一どうも納得が行かず長年生きてきております。
世界初演をしたバレエ団の長きに渡る上演版ですから何か意図はあるのでしょうが、福田一雄さんの『ライモンダ』講座によれば
セルゲイエフはグラズノフが他の作品用に書いた曲をライモンダ夢の場ヴァリエーションとして取り入れ定着させてしまった身勝手な人物だそうですから
(公演で発表会でコンクールで、ライモンダよりヴァリエーションとの明記や認識にグラズノフは心境複雑であろう)
眠りの振付も標準版として上手いこと定着させてはいるが『ライモンダ』と同様に不思議なこだわり点を入れて推し進めてしまったのだろうかと妄想。
2000年のキーロフ来日公演での復刻版眠りを見逃してしまったため、初演時の振付が今になって知りたいと関心を寄せずにいられません。


話が二転三転いたしましたがバレエカレッジさんの講座のオンライン受講は初。例えば楽譜を用いての説明の際には楽譜を大きく、
そして斜め上には井田さんのお顔も映し出され、オンライン受講者にも行き届いた講座であったと見受けました。
休憩に入るときには受講者と談笑なさる光景が一瞬映され、きっと眠り音楽談義で盛り上がっていたことと想像。
次回以降再び現地受講できる日を心待ちにしたいと思っております。




昭和に出版された、我が眠り手引き書。求婚者たちにリフトされているのはコルパコワさん。
順を追っての音楽解説も詳しく、何度も読み返しております。

2021年1月26日火曜日

日独交流160周年記念 何度でも観たいシティのショルツ作品 東京シティ・バレエ団 ウヴェ・ショルツ・セレクションⅡ 1月23日(土)





1月23日(土)、東京シティ・バレエ団 ウヴェ・ショルツ・セレクションⅡを観て参りました。
https://tokyocityballet.com/uwescholz2/

カンフェティに、安達悦子芸術監督、佐合萌香さん、中森理恵さん、清水愛恵さんへのインタビューが掲載されています。
安達監督がショルツ作品をレパートリー入りさせた経緯や音楽との向き合い方の変化など、興味をそそられる内容です。
ダンスマガジン1996年12月号に掲載された安達監督のカラー記事にて、優れた音楽性について賛辞の評が綴られ、ピンク色の目が覚めるような衣装は恐らくスワニルダかと思いますが
現役時代のご様子からもシティを音楽的なバレエ団にしようと率いていらっしゃることに納得。
ウラジーミル・デレビヤンコ、一時期はしばしば来日してノエラ・ポントワやエリック・ヴ=ヴァン達とのガラも日本で開催された記憶があるが、
チューリッヒにも在籍し活躍していたとは今更ながら初耳です。
https://s.confetti-web.com/sp/feature/article.php?aid=820&


『Air! 』エアー!
音楽:J.S.バッハ「管弦楽組曲第3番」ニ長調 bwv1068
初演:シュツットガルト・バレエ団(1982年)

<第1楽章>
松本佳織 馬場彩 新里茉利絵 石井日奈子 三好梨生 西尾美紅
玉浦誠 濱本泰然 土橋冬夢 杉浦恭太 渡部一人 西澤一透

<第2楽章>
佐合萌香 土橋冬夢
中森理恵 濱本泰然

<第3楽章>
松本佳織 石井日奈子 三好梨生 西尾美紅
玉浦誠 杉浦恭太 渡部一人 西澤一透

<第4楽章>
土橋冬夢
松本佳織 馬場彩 石井日奈子

<第5楽章>
松本佳織 馬場彩 新里茉利絵 石井日奈子 三好梨生 西尾美紅
玉浦誠 濱本泰然 土橋冬夢 杉浦恭太 渡部一人 西澤一透

バッハの品位と重厚さのある曲調を立体的に浮かび上がらせるように序盤からダンサー達が快活に躍動。手先脚先からも瑞々しさを放ち
フォーメーションの変動が多いにも拘らず忙しさを感じさせないのは 風変わりなポーズからの移り変わりも機敏にこなせるほどの
卓越した技術集団であるからこそでしょう。 途中G線上のアリアの呼び名で知られる楽章に入ると、身体が描くラインはくっきりと保ちつつも
途端に柔らかくそよぐ風のような靡きを全身から表し、浄化された気分。
衣装は全員レオタードで体型を誤魔化せぬ手強いデザインですが、シュッと締まった体型のダンサー揃いであることや、
茶色や白っぽい一見地味な色合いで整えていながら不足感皆無であるのは
踊りこなす技術は勿論のこと、振付と音楽がしっかりと落とし込まれた身体から終始鮮烈さと歓喜が繰り出されている証です。
地味どころか全ダンサーの身体から音楽と共鳴して祝砲を放っているかのようで、加えてショルツ23歳のときの振付デビュー作品と知って
更に驚くばかり。脳内構造を覗いてみたいと思わずにはいられません。


『天地創造』よりパ・ド・ドゥ
音楽:J.ハイドン オラトリオ「天地創造」Hob.XXI-2
初演:チューリッヒ・バレエ団(1985年)

佐合萌香 キム・セジョン

一昨年新国立劇場で開催されたバレエ・アステラスにてハンガリー国立バレエの石崎双葉さんペアが披露されたものと同じかと記憶。
再度鑑賞したいと願っていたため大変嬉しい上演です。
歌声と溶け合う荘厳な包み込みに癒され、佐合さんとキムさんが舞台全体を使ってダイナミックに、
ときに絡みながらしっとりと織り成す体温を感じる穏やかな触れ合いが優しく映りました。


『Octet』オクテット
音楽:F.メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」変ホ長調 Op.20
初演:チューリッヒ・バレエ団(1987年)
日本初演:東京シティ・バレエ団(2017年)


<第1楽章> 中森理恵 キム・セジョン
平田沙織 飯塚絵莉 渡邉優 植田穂乃香 斎藤ジュン
内村和真 土橋冬夢 吉野壱郎 吉岡真輝人
福田建太

<第2楽章>
清水愛恵 濱本泰然

<第3楽章>
吉留諒
岡田晃明 渡部一人 栄木耀瑠

<第4楽章> 中森理恵 キム・セジョン
吉留諒
平田沙織 飯塚絵莉 渡邉優 植田穂乃香 斎藤ジュン 山本彩未
内村和真 土橋冬夢 吉野壱郎 吉岡真輝人 杉浦恭太
福田建太

締めはシティお得意作品。2017年の初演は見逃してしまいましたが、2018年の『ベートーヴェン交響曲第7番』とのダブル・ビル
2019年のNHKバレエの饗宴にて鑑賞し、長身ダンサー達が次々と晴れやかに繰り出すポーズの美しさに最初の3分で虜となりました。
今回は饗宴時より格段にパワーも盤石さも上回り、一音一音を幸福感一杯に身体で彩っていた印象です。
高音から更に高らかな音色を響かせる箇所もふんだんにあり、女性ダンサー達による、両腕を天へ掲げる作品象徴なるポーズを
更に上へ上へと引き上げて一斉に最高潮へと導く身体能力にも天晴れです。
高身長且つ身体がきびきびと動くダンサーばかりを揃えた精鋭集団で、特に平田さんの長い手脚を持て余さず巧みに制御しながらの踊りは眼福でした。

第2楽章は以前は岡博美さんと石黒善大さんペアで鑑賞しておりますが今回は清水さんと濱本さん。
侘しさを妖しくも細やかに紡いでいた岡さん石黒さんに対し、清水さん濱本さんはより大胆でゴージャスで、
清水さんの四肢から昂ぶる感情が露となって受け止める濱本さんとの呼応もドラマティックに感じさせる場面でした。

音楽の視覚化と聞いて思い浮かべる振付家にバランシンも挙げられるかと思いますが、
ショルツの振付はバランシンとはまた大きな異なる特徴を備えていると捉えており時々不可思議なポーズからの駆け出しも度々あり。
男性が屈指運動のような状態が続いたところへ女性を迎え入れてサポート再開といった振付も用意され
下手にやれば怪しいラジオ体操と化すわけですが、相当な訓練が積まれているのでしょう。
クラシックを少し捻ったユーモアに富んだ振付と見て取れます。
そして男性のみの見せ場も入れ替わり立ち替わり披露され、一気に横移動したかと思えば捻りあげるような回転をしたのちすぐさま静止に至るなど
めまぐるしい展開満載。男性ダンサーの技術の高さ層の厚さが伝わり、中でも第3楽章の真ん中を務めた吉留さんの軸の強さに驚きを覚えました。

急速転換能力不可欠なサポートもたっぷりあり、女性を斜めに傾けた奇形リフトをし、下ろしてから走って袖へ向かうのではなく
持ち上げたまま捌ける振付には思わず驚嘆。しかも2組ずつ足並みを揃えながら捌ける必要も生じたりと危険度難度高し。
しかしいとも簡単そうに、音楽と戯れながら明朗にこなしていく光景の広がりに目を丸くするしかありません。
出演者全員の身体の隅々にまで染み渡った振付語彙を自在に操る切れ味やコントロール力に見入り、シティの看板演目と唸らせる舞台でした。
女性の黄色いドレス形衣装やオレンジ色の背景幕も眩しく、翌日の積雪予報を控えた極寒な夜ながら、
サーモグラフィに引っ掛からない程度に急上昇した体感温度で帰途についた次第です。

バレエ団の発信によれば、今回の公演はドイツ大使館後援のもと開催し公演2日目のちょうど160年前にあたる1861年1月24日こそが日普修好通商条約が締結し、
日本とドイツの交流が始まった日であったとのこと。締結実現に奔走した当時のプロイセン外交官オイレンブルク伯爵も
記念交流事業にさぞ喜んでいるに違いありません。ドイツが生んだ偉大な振付家ショルツの作品で構成し、上演作品の使用曲もドイツ色濃厚。
シティでのショルツ作品初演時からの指導者でいらっしゃる、ショルツが監督を務めたライプツィヒ・バレエ団にて活躍なさっていた木村規予香さん、
今回は待機期間でのリモートも合わせての指導にあたったジョバンニ・ディ・パルマさんお2人の熱意と
応えようとするダンサーの気概も伝わり、日独交流160周年記念に相応しい公演でした。




レモネードカクテルの色合いがオクテットの衣装と似ている気がした当日の昼下がり。



2021年1月22日金曜日

全員でめでたし大団円 谷桃子バレエ団『海賊』1月16日(土)




1月16日(土)、谷桃子バレエ団『海賊』を観て参りました。エルダー・アリエフ版は初鑑賞です。
https://www.tanimomoko-ballet.or.jp/img/ticket/kaizoku.pdf?v=201120

脚本・演出・振付:エルダー・アリエフ
メドーラ:佐藤麻利香
コンラッド:福岡雄大(新国立劇場バレエ団)
ギュリナーラ:齊藤耀
ランケデム:牧村直紀
パシャ:齊藤拓
オダリスク:山口緋奈子 山田沙織 永井裕美




紹介動画



新国立からのゲスト福岡さんのコンラッドは登場するやいなやリーダー格をこれでもかと見せ、鋭い超絶技巧の繰り出しが圧巻。
頑張って見せています感はなく、切れ味たっぷりな上にあくまで劇中の、仲間たちに慕われ迎え入れられる場面にすっと溶け込んでいた点も好印象。
加えてこの状況下の不吉成分もぶっ飛ばす勢いも好ましく(これ大事)
序盤から物語をぐいっと引っ張って観客を引き込んでいく見事なリーダーでした。
ゲストらしい格を持ちつつも谷バレエによく馴染み、仲間たちと変装してメドーラ達を眺める様子は向かうところ敵無しな荒くれ海賊の風味は消えて
女子校の文化祭に来た男子生徒のような落ち着かぬ興奮ぶりが微笑ましく映り、アリ不在の設定であっても違和感ない展開に思えたのは
福岡さんによるコンラッドの多面性造形によるところが大きいと捉えております。
ご出身スタジオや客演先の発表会でグラン・パ・ド・ドゥは度々鑑賞しておりますが、所謂全幕公演『海賊』では初鑑賞です。
(2010年に愛媛県で上演された全幕とほぼ変わりない篠原聖一さん版1幕仕立てハイライト海賊では佐々木大さんコンラッドに従順なアリを好演
日本における海賊こと村上水軍ゆかりの地に近い瀬戸内海まで近距離地域でした)

佐藤さんを主要な役で鑑賞するのは初かもしれませんが、想像以上に安定した技術と高い表現力の持ち主であると分かり驚嘆。
メドーラ登場のソロでの全身から迸る嘆きは強くしなやかで胸に訴えかけ、コンラッドとの出会いでの一変する見つめ合いは
立ち尽くしている状態であっても恋に落ちた様子が明らかな動揺を醸し、眺めているだけでも心臓が高鳴る出会いでした。
花園での盤石でくっきりとした踊りも観ていて爽快で、コンラッドを導く大らかで優美な雰囲気も二重丸。
更に驚かされたのは佐藤さんと福岡さんの相性の良さで、パとパの繋ぎ過程や表情も含めて、全てにおいてぴたりと噛み合い、
パッションを出す佐藤さんに対する福岡さんの受け止め反応も熱く、鮮烈なパ・ド・ドゥと化していた印象です。

一見おっとりしていながらテクニック達者でそのギャップに蕩けかけたのは齊藤さんのギュリナーラ。
悲嘆に暮れる陰鬱さはなく、むしろにこやかに踊っていた点も健気な性格が伝わり良い方向へ動いたのか、牧村さんランゲデムがギラギラ嬉々としていたのも納得です。
衣装が古き良きキーロフ踏襲デザインのようで、クリーム色のチュチュに赤と濃いめのターコイズブルーや渋めの金模様を組み合わせた色合いが
アスイルムラートワやメゼンツェワ時代のキーロフ好きの心を擽らずにいられず。

上演時間は休憩含め全2幕で約2時間15分。仮に休憩が短ければ2時間以内で終演する誠にスピーディーな展開です。
まず最大の特徴は先述の通りアリが不在である点。仲間率いての冒険な譚海賊にて非常に物寂しい舞台になるかと予想いたしました的中せず
コンラッドに焦点が当てられた分すっきり明解な話となり、むしろこれはこれでいたく面白い人物描写へと繋がっていたと受け止めました。
メドーラとコンラッドの出会いは2人だけに光が当たり、時間が止まったような光景を生み出しまるでロミオとジュリエットと同じ演出にも見て取れたものの
恋に落ちた様子がはっきりと伝わりますからその後において感情移入しやすい筋運びとなっています。
ただ主要人物が減った分コンラッド役のダンサーや彼に絡むキャラクター達もしっかりとした表現者でないと大コケする事態に至るでしょうが
そこは心配皆無で、福岡さんの造形力及び谷のダンサー達の弾けるパワーによって良い方向へと作用していたのは確かです。

そして見せ場を省略せずとも従来の版とは異なる箇所に取り入れ、花園は前半に持ってきてしかもコンラッドの夢の中として設定。
出会って間もないメドーラに対して一段と恋い焦がれる展開としては説得力がありました。
但し、失礼ながら笑ってしまったのはメドーラが登場するまで大人数の花々達が優雅に舞っていても
コンラッドは下手側前方にてうつ伏せで倒れ込んだままで、両手両脚も無造作に置いた形。
つまりは2時間サスペンスドラマにおける開始5分後頃の場面にて倒れ人を白い線で囲み、警察達がシャッター音を響かせながら現場撮影に勤しむ風景を彷彿させ
20分後には警察署内にて写真付き人物相関図の説明場面が入るのはお決まりの展開ですがそれはさておき、突っ込み度上昇場面でもありました。

後半に入ったオダリスクは館を麗しさで満たし、美女に囲まれて寛ぐご満悦なパシャの心も分からんでもないかと辻褄は問題無し。
中でも山口さんの華やぐオーラが目を惹きました。衣装がまたギュリナーラに似たピンク地に濃い赤とターコイズブルーの組み合わせでキーロフの趣き十二分。
着用者によっては洗顔のヘアバンドと化すであろう頭飾りも、このお三方なら難なく絵になり見惚れてしまいました。

ガラでの人気場面のグラン・パ・ド・ドゥはメドーラとコンラッドの祝宴として2人で踊られ、福岡さんが新国立入団前から披露姿を目にしているヴァリエーションを
全幕の中の主役として踊るお姿は何とも感慨深く思えた次第です。
通常ビルバントが踊るピストンパンパン(恐らく正式名称あると思うが)は終盤にて祝砲の如く踊られ、めでたい結末を後押しに効果をもたらしていました。

序盤は久々の公演のためか舞台全体に緊張が走っていましたが打ち消すように後半の大団円へと向かう流れは全員の身体の底からパワーを発し渦巻いていた印象。
珍しく殺人や裏切りや仲間割れ、憎悪といった負の要素排除版でありながら物足りなさを感じさせず
平和な結末に向かって猛スピードで突っ走る物語は感染症の終わりが見えぬ状態で迎えた2021年、微かではあっても縁起良い予感を持たせる胸躍るアリエフ版でした。

カーテンコールにはショートカットの颯爽とした芸術監督の高部尚子さんも登場。30年前初めて拝見した赤城圭さんとの『シンデレラ』、
のちのダンスマガジンでのインタビューをまとめた書籍『バレリーナのアルバム』に綴られていたお好きな言葉として
「鋼鉄に一輪のすみれの花を添えて」だったと思いますが、 強く美しい響きは今も覚えており脳裏を過っていきました。

全幕上演機会が少ないと言われる『海賊』、振り返ると上演があれば足繁く通い全幕映像があれば何本かは鑑賞していると思い出し
初めて観たのは映像でのキーロフ。アスイルムラートワのエキゾチックな美しさが忘れられぬ、
最初に映像ソフト化され以降スタンダード版として広まった演出かもしれません。
ただその後も何本かの全幕公演、映像を眺めていくともはや誰がどこの部分を作曲したか複数の作曲家による音楽混在状態で
把握なさっている方がいらっしゃればお目にかかりたいほど。(生き字引な福田一雄さん、井田勝大さんならよくご存知かと思います)
更にはバレエ音楽屋大集合(大雑把な括りで失礼)による作曲のためか多少入れ替えがあっても違和感無く、余所から取り入れてもさほど不自然さも無い。
加えてあらすじがあるようで実質無いに近い物語ですから、だからこそ振付家演出家にとっては自由度が高い作品で、
重きを置くキャラクターも様々。あたかも違う作品鑑賞に臨む気分でおります。

古式ゆかしくも能天気なキーロフ(マリインスキー)の版は幸いにも2006年の来日公演にてロパートキナ主演で鑑賞し、
数日前の一夜にして『パキータ』『ライモンダ』結婚式、『ジュエルズ』ダイヤモンド3本一挙主演を果たした座長ガラにおける神々しさは微塵もなく笑
喜劇の芝居心が無いのかパシャやビルバントとの慌ただしいやりとりがちょいとわざとらしいご様子でそれがかえって大娯楽路線を増幅。
アンナ・マリー・ホームズ版は概ねスタンダードな基盤を踏襲していながらも、もう少し人物設定や振付も整理整頓された趣きな印象。
2008年にABT、2017年にENB、2019年に東京バレエ団公演にて鑑賞し、バレエ団によって衣装も随分と異なり見比べも興味津々でした。
好きなバレエ団ながら原典復刻版の長さには後半パシャと一緒に居眠りするほか無かったボリショイシネマもございましたが
新たに書き下ろした音楽の溶け込ませに成功していたのはNBAバレエ団で、新垣さんが手がけた曲がさざ波のように調和し、違和感無し。
またメドーラとギュリナーラの関係性が修羅場と化す、さりげなく重たい要素も含まれていました。
嘗ては熊川さんがアリを踊られたKバレエカンパニーは悲劇の英雄アリ物語でしたし、花園やトロワにオダリスクと見所を押さえつつ2時間にまとめ
プロローグとエピローグに原作者バイロンも登場して洒落た雰囲気も合わせた日本バレエ協会が昨年上演のヤレメンコ版もまた観たい演出です。
焦点を4人の人間関係に絞ってシリアスな展開に仕立て、 装置や美術も最小限且つ洗練された色彩にも目を奪われる
数ある海賊の中でも最たる大胆改訂とも思えるキャピトル・バレエ団のベラルビ版は「それゆけ若き暴君スルタン」な副題を付けてもおかしくないほどに
スルタンの怪演が舞台を左右する秀作。理由を綴り始めると原稿用紙10枚分には及びそうですので割愛しますが
管理人がバレエDVDの中でも一番再生回数が多いお気に入りでございます。

そして今回、海賊鑑賞歴に谷バレエによるアリエフ版が加わり、とにかく全員がハッピーエンドへと向かう流れが爽快。
昨年中止になったNHKバレエの饗宴にて抜粋上演を予定していた理由にも納得いたしました。
谷バレエの大事なレパートリーとして上演を重ねて欲しいと願い、今から再演が楽しみです。




ロビーに花園



インドカレー店ですが、店名からして『海賊』鑑賞時にも来店したくなる上野駅東側のお店。
2017年の日本バレエ協会『ラ・バヤデール』、2018年のNBAバレエ団『海賊』に続き3度目の訪問です。
毎度1人で来ており、サグチキンカレーが気に入っております。
(上野での海賊鑑賞時においては、2019年の東京バレエ団公演では有楽町のトルコ料理屋さんに、
2020年の日本バレエ協会公演では上野駅近くの西洋海産物料理店へ。
いずれもムンタ先輩と行き、美味しく海の冒険の余韻に浸っておりました)



振り返ると毎回同じセットメニューを注文しておりますが、前回は最後の方でお腹が一杯になり苦しくなりかけながら完食だったはずが
今回は難なく、しかも瓶ビールも含めて完飲完食。
昨秋の札幌訪問以降胃袋の膨張が止まらないのか或いは老化により満腹中枢が壊れてきたのか笑、真相は不明でございます。

2021年1月18日月曜日

【お茶の間観劇】中止から一転オンラインで福袋開封 新国立劇場バレエ団 ニューイヤー・バレエ 1月11日(月祝)




1月11日(月祝)、新国立劇場バレエ団ニューイヤー・バレエオンライン配信を視聴いたしました。
全日程中止決定から一転しての無観客無料ライブ配信決断、しかも全幕ものではなくプティパからビントレーまで多彩な構成プログラム全編配信に感激。
初台より届いたオンライン福袋を開封した気分を味わえ、まずは急ピッチ準備で配信を実現された劇場関係者の方々に心よりお礼申し上げます。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/newyearballet/

スパイスイープラスの記事、一部作品の舞台写真が掲載されています。
https://spice.eplus.jp/articles/281484



※冒頭にてオーケストラピット前から吉田都監督が挨拶と作品解説。『ペンギン・カフェ』の声出し部分は舞台上では行わず、
客席でマスクをしたダンサーたちによって行う演出に変更する旨の説明もありました。



パキータ
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクスほか

パキータ:米沢唯
リュシアン:渡邊峻郁
※劇場公式サイト配役表には主役2人の役名明記はありませんが、ここでは書かせていただきます。

パ・ド・トロワ:池田理沙子 柴山紗帆 速水渉悟

ヴァリエーション:
寺田亜沙子
細田千晶
益田裕子
奥田花純

北村香菜恵 木村優子 多田そのか 徳永比奈子 中島春菜
原田舞子 土方萌花 廣川みくり 廣田奈々 山田歌子 横山柊子

研修所では頻繁に上演をしていますがバレエ団としては18年ぶりの再演、2003年の初演時のNHKのテレビ放送をご覧になっていた方もいらっしゃるかと思います。
翌年から新国立に行き出した私も、パキータ/ラ・シルフィードの2本立て公演はテレビで視聴しておりました。
放送時の公演は『パキータ』がゲストのディアナ・ヴィシニョーワとイーゴリ・コルプ、『ラ・シルフィード』は志賀三佐枝さんとマトヴィエンコです。

2003年時のキャスト等。ワジーエフとクナコワが指導に来ていたそうです。
https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_005015.html

米沢さんのパキータは完成形の宝石を更に研磨材で磨き抜いたような滑らかな美しさ。
お手本のような踊り、ポーズの上に粋な趣、艶も合わさり登場時からまさに大輪の花と呼ぶに相応しいヒロインでした。
ゆったりとした、下手をすれば冗長になりがちなヴァリエーションでのちょっとしたアクセントの付け所も絶妙な具合。
一瞬たりとも隙のない美の境地を魅せられた思いがいたします。

全幕における役柄設定までもがしっかりと伝わってきたのは渡邊さんのリュシアン。衣装こそ白いシンプルなデザインとはいえ実直な青年将校そのもので
視線の向け方、立ち振る舞いが凛然と格調高い姿から管理人の心は新春打ち上げ花火大会状態でございました。
いとも簡単そうにふわっと舞う跳躍にもこれまた見入り、コーダでの空気を裂く鋭い雄々しい斬り込みも眼福です。

米沢さん渡邊さんが作り出す気持ち良いパートナーシップも印象深く、息が合っているのはさることながら、更に美しく昇華していくようで
米沢さんの伸びやかな肢体や身の委ね方、サポートする身をも綺麗に見せる渡邊さんの姿や視線の交わし方、手の差し出しや乗せるタイミングと言い
真っ赤なコール・ドを従えていても広い舞台に一層映え、パ・ド・ドゥの醍醐味を味わえた気分でおります。

時間軸が前後いたしますが、私が『ジゼル』墓場のアルブレヒトと並んで数あるバレエ作品の中でも
どうしても目を光らせて観てしまう場面の1つがリュシアンの登場シーンで、斜めに整然と立つ女性陣に沿って歩み出てくる箇所。
この場面ほど時間をたっぷり使って花道を歩くが如き登場シーンは無いと思っており、華々しい登場の割にはその後は出番はこれといって多いわけではない。
それ故にグラン・パ全体のリュシアンに対しても著しく高い理想の壁を設置してしまう捻くれ者な管理人でございます。
これまでに観た中で心底うっとりしたのは、2011年に京都で(このあとに紹介するソワレ・ド・バレエの全編版と同じリサイタルで鑑賞)
鑑賞した風格の極みな山本隆之さん、そして映像で観た37年前のABTミックス・プログラムでの
端正且つ陽のオーラ発散フェルナンド・ブフォネスのお2人でしたが
今回めでたく3人目として渡邊さんが加わり祝杯。2021年はパキータ記念年です。
1点欲を申すならば、これは勝手なイメージ先行とらわれているだけであるのだが
ヴァリエーションの曲がフランツの姿が思い浮かぶ曲で、出来ればパキータで通常披露される勇ましい曲調のほうで観たかったとの思いは断ち切れず。
いつの日か鑑賞を願っております。ところでフランツな曲も、元はロマンティック・バレエである『コッペリア』のために作曲されたものではないと思うが
作曲者が気になるものの把握に至らず。機会があれば福田一雄さんに尋ねてみたいと思います。

意外と申しては失礼だが、上出来と思えたのはパ・ド・トロワ。呼吸がとても合い、しかも3人とも楽しそうであった点も二重丸。
速水さんは複数で踊ると1人だけ合わぬ傾向があるイメージが先行してしまっていたが(失礼)、
池田さん柴山さんともに歩調が上手く噛み合い、観ていて心弾むトロワでした。

ヴァリエーションで特に惹かれたのは細田さんの哀愁感や腕使いもひときわ優雅な踊りと、溌剌と軽やかで繰り返し大跳躍も粗が無く音楽にぴたりと合った奥田さん。
コール・ドも歯切れ良く統制が取れ、2003年のテレビ放送時には赤一色で地味で古色蒼然と一刀両断した衣装もよく見ると細かな模様で彩られ
印象一変したのは映像技術の進歩だけではないでしょう。紅白はっきりな色彩は新年らしい祝祭感に満ちていました。
二重のシャンデリアや縦の細い柱を多めに用意した装置もなかなか重厚で、結婚式らしい空間を演出です。

それにしても管理人、15年前にパリオペラ座来日公演にてクレールマリ・オスタとバンジャマン・ペッシュ主演『パキータ』を全幕鑑賞しているが
結婚式場面以外記憶から遠ざかっており、復刻振付したピエール・ラコット作品との相性が良くないわけでなく、『ラ・シルフィード』や『ファラオの娘』は好んで観ており、
しかしボリショイのファラオやパリオペラ座パキータ全幕と同年秋上演の東京バレエ団『ドナウの娘』は更に記憶の彼方。
とにもかくにも、『パキータ』が結婚式場面のみ抜粋で頻繁上演の理由を再度考えを巡らし納得でございます。


Contact
振付:木下嘉人
音楽:オーラヴル・アルナルズ

小野絢子 木下嘉人

昨年3月のDance to the Futureにて披露予定が中止となり、同年夏の大和シティ・バレエ公演にて米沢さんと木下さんが組んでの披露は鑑賞。
すっきりとした清らかさが強まっていた大和とは全く異なり、小野さんが醸す憂いを含む神秘的な情感が木下さんと交わって
沸々と妖しい光が灯されていった印象です。特に腕の表情が作り出す空間がユニークであると同時に
「接触」が後ろ向きな用語として浸透し禁じ手にもなりつつある現在、触れ合う行為の愛おしさ、難しさをお2人が内側から訴えているとも捉えております。
尚、大和では米沢さんは白い衣装、今回小野さんは淡いピンク色の衣装。もう1組予定されていたキャスト、米沢さん渡邊さんペアもいつか鑑賞を願っております。

そして今回のニューイヤーで一番の驚きであったのが、アルナルズの音楽の生演奏。録音音源とばかり思っていたため、
オペラパレス開催のニューイヤー仕様版は木下さんにとっては格別な思いであったのは想像に難くありません。
滅多に聴ける機会は無いであろう演奏にも耳を傾け、一音一音が放つ響きや呼応する小野さん木下さんの踊りを堪能できました。


ソワレ・ド・バレエ
振付:深川秀夫
音楽:アレクサンドル・グラズノフ

池田理沙子 中家正博

新国立劇場バレエ団での初演は2017年のヴァレンタイン・バレエ。同年バレエ・アステラスでも披露され、池田さんは双方に出演。中家さんは初挑戦です。
ヴァレンタインやアステラスのときとは池田さんが別人のように変化し、全身を大きく使い
隅々まで神経が届いたエレガントな踊りやラインの見せ方にまたもや驚きを覚えた次第。
音楽と連動して内面から溢れ出る表現も届き、昨年逝去された深川さんはにっこりとしながらこの日の舞台を見守っていらしたに違いありません。
中家さんが深川さん作品を踊る姿や池田さんとのペアも初めて鑑賞。つい豪快な印象を持ちがちですが
振付1つ1つを丁寧に示し、そうかと思えばはっとさせる雄々しいテクニックも繰り出しメリハリも良い塩梅。
ペアとしては、中家さんが上背があるがっちり体型のためか池田さんが随分と初々しく見えてしまったものの、
新鮮なパートナーリングを鑑賞できたのは嬉しいこと。

さて、再三の紹介で申し訳ございません。『ソワレ・ド・バレエ』は元々は大人数構成で
星空の下で色とりどりの煌びやかな衣装を着けたダンサー達が踊り、 プリンシパルに男女ペアのソリスト、女性によるコール・ドも付きます。
『四季』のみならず『ライモンダ』からも使用されているグラズノフの曲が壮大で時には真珠が散りばめられられたかの如く繊細に響き振付と調和した作品です。
初めて観たのは東日本大震災から間もない頃、東京都内も計画停電や物流もまだ元には戻っていない状況で公演キャンセルも相次いでいた時期。
胸に一段と沁み入った思い入れの強い作品であり、 京都にて星屑のヴェールに包まれた心持ちで鑑賞に浸っていた当時を今も鮮やかに覚えております。
日本人の振付家で1980年代前半にこうも華麗で洒落た作品を手掛けた深川さんの存在に感銘を受けました。
こちらから全編版の写真がご覧いただけます。
https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/osaka/detail006590.html


カンパネラ
振付:貝川鐵夫
音楽:フランツ・リスト
福岡雄大
ピアノ演奏:山中惇史

貝川さんが振り付け、福岡さんを始め再演を重ねている男性ソロ作品で今回は生演奏と共演が実現。
当初は正面からぶつかり合う衝撃度のある共演になるかと思いきや、互いに尊重し呼び掛け合いながら緻密に作り上げている感が強し。
序盤の小さな音色から一音一音丹念に触れ、中間部における強弱の畳み掛けも時に襞を捲るようであったり突如爆発したりと全身が起伏に富み
終盤にかけて急速に迫力を増していく箇所も福岡さんの身体がみるみると熱を帯びて共鳴する姿に、生で、オペラパレスの空間で観たいと思わずにいられませんでした。



ペンギン・カフェ
振付:デヴィッド・ビントレー
音楽:サイモン・ジェフス

ペンギン:広瀬碧
ユタのオオツノヒツジ:米沢唯 井澤駿
テキサスのカンガルーネズミ:福田圭吾
豚鼻スカンクにつくノミ:五月女遥
原健太 小柴富久修 清水裕三郎 浜崎慶二朗 福田紘也
ケープヤマシマウマ:奥村康祐
米沢唯 寺田亜沙子 細田千晶 渡辺与布 川口藍 益田裕子 今村美由起 関晶帆
熱帯雨林の家族:本島美和 貝川鐵夫 岩井夏凛
ブラジルのウーリーモンキー:福岡雄大
飯野萌子 加藤朋子


新国立劇場での初演は2010年で1度目の再演2013年以来の上演です。2013年は静岡市、御殿場市にてバランシンの『シンフォニー・イン・C』とのダブルビルとして
上演を行い、静岡2公演にも足を運んでおります。

広瀬さんのペンギン(絶滅したオオウミガラス)は序盤は愛らしく、トレーを手に踊る姿も軽快。先代さいとう美帆さんのお澄ましがチャーミングなペンギンとも、
井倉真未さんの前半はとことん明るく、その分後半は絶望感に浸るように悲しさをダイナミックに募らせていたペンギンとも一味も二味も違う、
身のこなしやちょこんと客人の顔を覗き込む仕草もきびきびキュートなペンギンさんでした。代々三者三様の魅力があったと回想いたします。
2羽のペンギンウェイター達とも呼吸が合い、これといった名前が無いのが心残り。(水戸黄門で言う、助さん格さんのような立場かもしれません)
後半、雨に打たれながら皆が逃げ惑う場面は少し羽をパタパタさせたり頭を傾げているだけでも寂しさが漂い、
一羽箱舟に乗れず佇む姿は静かであっても人間の乱獲によって絶滅し、ずっしり重たい悲しみを訴えかける幕切れです。

広瀬さんはビントレーが芸術監督就任の2010年に準コール・ド・バレエの一員として入団。ビントレー就任最初の公演にてバレエ団が初演した作品の1本が
『ペンギン・カフェ』で当時は客席からご覧になっていたと綴っていらっしゃり、
また現在ファースト・アーティストの階級で決して主役経験豊富ではなく、牧版『くるみ割り人形』クララがこれまでで最も大きな役であったはず。
嬉しいの一言では言い尽くせぬ思いでペンギン役に臨まれたことと察します。カーテンコールにてペンギンの頭を外し顔を見せて中央に立ち
仲間に促されて前に進み深々と頭を下げていらっしゃる姿に、無観客配信ではあってもどうにか舞台上で披露する機会の実現に胸が一杯になりました。
米沢さんの羊は格段と色っぽくなり、すっぽり羊の頭を被っていても明らかでしたから、身体の魅せ方に長けていると再確認。
燕尾姿の井澤さんとのダンスも大人な薫りを振り撒いていらっしゃいました。
ランナーズハイに等しい消耗でも福田さんのカンガルーネズミも縦横無尽に軽やかに駆け回り、五月女さんのノミは戦隊系衣装ながら
滑らかで無駄の無いジャンプも気持ち良く映り、ヘルメットのような被り物であっても顔は満面の笑みであっただろうと弾む姿から見て取れました。
長身男性チームの間をすり抜けてはくっついたりと掛け合いも楽しい限り。

そして今回最たる驚きであったのは奥村さんのシマウマで、前回も似合っていらっしゃいましたが、
華奢でひょろっとしたやや頼りなかった(笑)シマウマとは打って変わり草原を背景に草食動物の王者の貫禄が見事。
ずしずしと押し迫ってくる踊りや崇高な立ち姿にも目を見張りました。
無機質で変速的なカウントを取りながらモデルのように歩くゼブラガール達とは殆ど絡むこともなく、最後は孤独に倒れ込む様子も悲哀感を滲ませます。

静かな調べの中でも愛情溢れる家族像を示していた貝川さん本島さん熱帯雨林の家族にも心を持っていかれ、子を抱く本島さんの慈愛に満ちた表情や見守る貝川さんの穏やかな安心感も、住処を追われる哀れさだけではない強固な家族愛が伝わるひと幕でした。

場面は一変していきなり跳び上がって登場する福岡さんのウーリーモンキーもインパクト大。以前はひたすら高い跳躍であった福岡さんですが
年月を経て踊り方も変わってきたのか、弾けつつも品良くまとめ上げ粗っぽさは見えずであったのは好印象。
左右を彩る、近年役が次々と付いている飯野さんの勢いある存在感は勿論のこと、ビントレーによって入団早々から『ガラントゥリーズ』に抜擢され
その後も『テイク・ファイヴ』、『イン・ジ・アッパー・ルーム』等ビントレー作品やビントレー監督任期中にレパートリー入りした作品に
度々選ばれてきた加藤さんが再びこの位置に配されたことも嬉々たる思いで眺めました。
カーテンコールは無観客のため特別仕様でカーニバル部分が再び演奏される中で行われ、最後は明るく締め括りです。

さて、新国立での初演は2010年ですが国内初披露であったのは1992年の英国ロイヤル・バレエ団の公演と思われ、
1988年の世界初演からもさほど年月が経っていない段階での日本における観客の反応が気になるところ。ノミの男性陣にアダム・クーパーが入っていたようだが
私はこのときの来日公演ではダーシー・バッセルとゾルタン・ソリモジー主演の『ラ・バヤデール』しか観ておらず、
29年前当時は語り合えるバレエ鑑賞仲間も周囲には見当たらずであったためペンギンに限らず、キャスト明記によればダウエル、ムハメドフ、
クーパー、バッセル、デュランテが共演した『三人姉妹』やウィールドンが村人その12辺りを務めていた『真夏の夜の夢』、
『エリート・シンコペーション』『バレエの情景』といった別プログラムをご覧になった方のご感想を知らずに今に至っており、
今さらではありますがこれから少しずつ、バレエ鑑賞の先輩方に伺っていきたいと考えております。

『ペンギン・カフェ』の風刺はこの状況下もあってより胸を突くものがあり、生演奏版にした木下さん貝川さんの2作品や
関東ではなかなか観る機会がない深川秀夫さんの『ソワレ・ド・バレエ』再演も加わり上質な舞台でした。
一度は全日中止決定からの一転、急ピッチ準備での無観客配信となりながら映像も安定しカメラワークの良さにも脱帽。
遠方在住の方々や職業やご家庭の事情で劇場になかなか足を運べずにいる方々が楽しまれたご様子も伝わる喜ばしい企画で
Google Chromeを活用しテレビの大画面で堪能いたしました。

ただ公演中止はやはり残念であり、年末年始返上で準備していながら一度も本番を迎えぬままとなってしまったダンサーがいることも忘れてはならず、
心境を思うと手放しに万歳とはいかず。また今回陽性反応が出た方が変に責任を背負って思い詰めてしまっていないか、心配です。
これだけ感染者が増加する一方な状況下ある程度の規模の団体にて検査をすれば無症状であっても1名に止まらず
複数名誰かしら反応が出てしまう可能性は十分にあり得ることで、 1人だけであったのは常日頃から公演関係者の方々が
想像以上に神経をすり減らして予防対策に努めていらっしゃることが窺えます。
専門家ではないため踏み込んだ発言はできかねますが、もうこれ以上にないほど予防努力をなさっている関係者の安全を確保しつつ
中止は極力避け、公演開催が可能となるよう願っております。

また元来劇場の楽しみは生での体感が醍醐味ですがこの状況下、遠方在住で上京できずにいる方や
ご家庭や職業の事情で劇場へ足を運びたくても運べない方が大勢いらっしゃいます。
ご自宅で手元で、バレエ公演を堪能できるようこれからも配信(有料でも喜んで購入されると思う)も続けていただきたいと思っております。


*重要物件配信を自宅で堪能するにあたり気をつけたいと思ったこと、日光や家の灯りによっては出演者の顔が白く、
『パキータ』では一時リュシアンの眉毛ばかりが浮き立ってしまう事態に。
自宅の環境整備にも気を配る必要性を感じ、反省材料にして次回に生かします。



※上の写真、赤ワインを隣に並べて撮影。まずはパキータ年に乾杯。



我が家の海遊館ペンギンさん(数年前、妹からの大阪土産)もカクテルを運んできてくれました。しかしお酒よりもお魚が好きだそうです笑。



今宵の締めは白河ラーメン。都内のお店や福島物産展では食したことはありましたが自宅では初。
あっさり上品なお醤油味が美味しく、好みでございます。

2021年1月13日水曜日

NHKBSプレミアムドラマ『カンパニー〜逆転のスワン〜』初回視聴

1月10日(日)より放送開始のNHKBSドラマ『カンパニー』の初回を視聴いたしました。
https://www.nhk.jp/p/ts/NYXK5QNJVW/




ドラマの監修協力を務めている熊川哲也さん率いるKバレエカンパニーの昨秋公演『海賊』キャンセル待ち中に
チケット売り場前にて二宮金次郎の如く立ったまま、時々数歩移動しつつ原作を読んでおりましたが
協賛企業社員ならではの悩みや一部の日本のバレエ団特有のしきたり、プロとアマの曖昧な境界線、
主人公の青柳がバレエのバの字も分からぬまま飛び込むもお姫様王子様の話のイメージ先行を覆したのであろう『ラ・バヤデール』の物語に惹かれる様子や
またスターダンサー高野悠が王子よりもロットバルトに憧れを抱くエピソードなど
思わず頷いてしまう要素が満載。非常に期待を高めて視聴に臨みました。
結果ややコメディ路線に走り過ぎたのか、大袈裟な反応や過剰な騒がしさを感じてしまった感がございます。
原作は淡々とした中にも熱さ、慌ただしさを潜め、どの場面も笑いの要素は抑えめ。
丁寧に場面展開を描いていた印象でしたので、映像化となるとあれもこれもと詰め込み編集しての放送且つ視覚部分も加わってきますから
原作を気に入っている読者に響くのはなかなか難しいのかもしれません。

しかし、バレエをよく知らぬまま交渉に来た青柳達の核心を高野が突く発言は横柄な態度ながらも説得力を与え、思わず聞き入ってしまう場面もあり。
ひょっとしたら、これまでゲスト出演依頼にて時に頭を悩ませてきた熊川さんのご経験も反映されているのかもしれないと思いつつ視聴しておりました。
著書『メイド・イン・ロンドン』にて招聘元とのやりとりだったか、近い内容の記述があったような気もいたしますが記憶曖昧で失礼。

バレエ以外にも、マスメディアに作り上げられた虚像に悩み続けていたスポーツトレーナーや、青柳の家族像から考えさせられることも多々。
井ノ原快彦さんはサラリーマン青柳役にぴったりと嵌っていますし、まだ台詞数は少ない段階ですが
小林美奈さんらKバレエカンパニーから出演のダンサー達による声出し演技も楽しみであり、次回以降も視聴して参りたいと思っております。

管理人にとっては、人生3本目となる全話視聴の連続ドラマとなりそうでその点も楽しみでございます。
昭和より長年生きておりますが、所謂歴代で高視聴率を叩き出した作品『東京ラブストーリー』や『101回目のプロポーズ』、
もう少し現代寄りでは『ひとつ屋根の下』『ロング・バケーション』、2000年代以降は『ビューティフル・ライフ』や『やまとなでしこ』等
一度も視聴していない或いは数話程度の視聴で、テレビ好きな時期もあったとは言え、世間の潮流に左右されなさ過ぎる視聴人生を歩んでいるかもしれません。
歴代最高視聴率を記録しているであろう『おしん』は朝の連続テレビ小説ですから当時全話視聴なさった方は果たしていらっしゃるか気になるところですが
では全話見逃さずであった作品の2本とは何ぞやかと申しますと1997年放送の高校を舞台にした痛快な『名探偵保健室のオバさん』と
2002年放送の真面目一徹な女性獣医と幼馴染のフリー写真家の男性が主人公のほっこり喜劇『初体験』。
著名な俳優陣が出演するもいずれもさほど注目度は高くなく映像ソフト化もされず視聴率そのものは振るわなかったようですが、初回から面白く夢中になり、
周囲とは話が合いづらくも毎週を心待ちにしていた思い入れのある作品です。
当ブログをお読みの方の中には恐らくいらっしゃらないとは思いますが、我こそは観ていたとの珍人種の方、ご一報お待ちしております笑。
そういえば、昨年師走のくるみ割り人形週間に入る前に鑑賞した映画も周囲に鑑賞者無しと思われましたが(完全に鬼滅の刃に押されていた)
昨日地元のスーパーマーケットにて主題歌が流れ、思わず最後の星空の場面を思い起こしながら
珍しくバレエではない芸術分野に足を踏み入れた日の新鮮さは忘れ難いのであろうと考えた次第です。

さて、話を本拠地バレエに戻します。2021年の鑑賞はじめは思わぬ形でオンライン配信を堪能。福袋を開封した心持ちでおり、次回綴って参ります。

2021年1月8日金曜日

【お茶の間観劇】キャピトル・バレエ団(トゥールーズ) ヌレエフ・プログラム

久々のお茶の間観劇記事でございます。遅ればせばがら、大晦日と元日に
フランス、トゥールーズのキャピトル・バレエ団によるヌレエフ・プログラムを鑑賞いたしました。
バレエ団名を聞いて、一昨年に放送されていたNHKフランス語会話にて東京バレエ団の柄本弾さんが訪ねた街でのレッスンにも登場したバレエ団
或いは新国立劇場の渡邊峻郁さんが2016年夏まで在籍されていたバレエ団と思い浮かべる方も多くいらっしゃることと存じます。
配信期限がいつまでかは分かりかねますが(仏語で何かしら記されているかもしれません)現在も視聴可能で
文字通り全てヌレエフが改訂振付した古典からの構成です。
キャピトル・バレエでは随分前からヌレエフの作品を取り入れていますが、どの演目においてもきちんと、粗無く、流さずに踊り
その中から華や品が薫る大変上質な舞台でございます。是非ご覧ください。





中でも『ライモンダ』第3幕グラン・パ・クラシックの完成度は見事なまでに高く、序盤から驚き止まらず。
男性2人によって踊られる元は子供の踊りとして作曲された(確か)アレグロ曲にややこしい足技満載な振付も伸びやか鮮やかなこなしぶりで
身体の角度を変えながらの移動もお手の物。2人の呼吸の合い方、全身を使っての楽しい掛け合いにも注目をです。
グランパ名物とも言える男性カトルにおいてもしばしばお目にかかる斜めロケット発射及び着陸失敗もなく
エレガントな纏まりで、音楽を大事に端正に踊っている印象。男性舞踊手陣の充実が窺えました。
尚、連続ザンレールに入る前の箇所は 横並びで相手に順々と譲り促していく優雅版ダチョウ倶楽部のような振付ではなく
両腕を上に掲げたポーズから徐々に広げていきながら前進して立ち止まり。これはこれで美しいが、どうぞどうぞと言わんばかりの
譲りリレー振付が毎度我がツボを刺激される身としては少々寂しい気もしております。
三角形フォーメーション維持が難しい女性パ・ド・トロワの調和も宜しく、少しずつ脚を差し出しながら
身体の向きを変化させる箇所における指先や脚先から零れる余韻に至るまで優美さが凝縮。
特に真ん中を務めていらした恐らくは中里佳代さんのすらりとした四肢、淑やかでコントロールの効いた踊りに魅せられました。

この後もヌレエフ名作選が続き、『ロミオとジュリエット』バルコニーパ・ド・ドゥは集中して終始観たのはひょっとしたら初かもしれず
(エトワールガラのテレビ放送で視聴した気もするが覚えておらず失礼) 初めの部分からアラベスクで追いかけっこするようにときめきを胸に駆け抜けたり
口あんぐりして驚倒したのはロミオの長いソロ。マクミラン版にもあるものの
ヌレエフ版では途中の要所要所でジュリエットをサポートしたりと大忙し。しかも脚を出して伸ばしては素早く畳み込む振付も多くこれはロミオ大難役ですが
全身から恋の喜びを一杯に表して踊っているのですから恐れ入りました。

『眠れる森の美女』第3幕グラン・パ・ド・ドゥもこれまたコーダ冒頭にて王子の軸足変えずに次々と回転技を繰り出す振付に驚愕し、
これまでパリ・オペラ座含むフランスのバレエ団映像をしっかり観ていない我が知識不足を猛省。ルグリとデュポンの全幕眠りは
近年にDVDで観ているのだが、記憶が彼方。こればかりは好み先行で、ソビエト時代のボリショイやキーロフ映像の方が脳裏に残っている点、お許しください。
そういえば、パリでのヌレエフ版眠り衣装の転換期が気になっており、ムハメドフがゲスト出演してゲランと踊ったときや
ポントワとイレールが日本バレエ協会公演に客演した時代は足利義満も仰天であろうキンキラキン色彩でしたが
いつの頃からか姫の3幕衣装は白地に赤い模様の可愛らしいものへ変わり全体も一新。著しくフランスバレエ知らずな管理人、学習も兼ねて調べたいと思います。

『シンデレラ』は初演から数年経った頃に森英恵さんによるデザインでも話題沸騰と知ったのは覚えておりましたが、集中して凝視したのは初かもしれません。
日本、オランダ、英国、ポーランドと今や『くるみ割り人形』で世界を席巻中の某振付家と異なり(失礼)リフトが程よく盛り込まれたアダージオで
夜空な照明を背景にリフトされたシンデレラが王子に芽生えた恋心を益々露わにするかの如く空中自転車漕ぎのように脚で浮遊する姿も印象深くユニーク。
(夜空で自転車の組み合わせにスピルバーグ監督のE.T.を思い浮かべた方がいらしたら嬉しいが笑)
派手な技巧が入っていないながら、音楽を全身でたっぷり、空間を大きく使った踊り方も気持ち良く、このパ・ド・ドゥがこうにも魅力が詰まっているとは
目を見開いて食い入るように鑑賞してしまったほど。6年前の世界バレエフェスティバルにてジルベールとガニオによる花形ペアで観ているはずなのだが
またもや記憶が薄らいでおり、パリ・オペラ座愛好家に両手と額を床に付けて詫びとうございます。

大トリは『白鳥の湖』より黒鳥パ・ド・トロワ。ここまで予想以上に上質な会席料理を堪能した気分になってしまい堅実過ぎてやや地味にも見て取れましたが
よく見ると音楽がゆったりめながら持て余すことなく、コーダでのオディールと王子の連続回転も単なる競争にならず滑らかに繋いでいく様子も好印象。
ロットバルトもヴァリエーションでたっぷりと見せ場があり、パリ・オペラ座バレエ団来日公演でにパケットの名演が即座に浮かびましたが
パケットは兜無く、その辺りはバレエ団に任されているのかと推察です。

一見して華やぎや麗しさが迫ってくるパリ・オペラ座とは一味も二味も異なり、多国籍集団から成りルーツも様々なカンパニーですが
全ダンサーがヌレエフの振付の意図を汲み取り身体の隅々まで神経を行き渡らせながら踊ると極上の統一感や
振付を一切流さず忠実に踊る職人気質から華が咲き、広がって行くように生まれる醍醐味を満喫した心持ちでおります。

冒頭はライモンダ3幕の壮大な前奏曲に合わせ、準備中ダンサー達の姿が幻影のようにも映し出され
配信映像への期待感を膨らませる効果も大きいセンス抜群な作りにも感心いたしました。
指導は芸術監督のベラルビに加え、ルディエール、ジュドといった往年のエトワール達も担当。
着実に継承されていくキャピトル・バレエ団によるヌレエフ作品もより多く観たいと思わせます。



※2015年の中里さんへのインタビュー。ルディエールから受けた感銘についても触れていらっしゃる内容で、写真も豊富です。
舞台上で集合した写真はベラルビ監督版『海賊』、渡邊さんがスルタンではなく海賊役として中央に写っていらっしゃるため、中国公演終了後かもしれません。
https://odoritai.exblog.jp/24345455/



『パキータ』2016年6月公演予告映像で、中里さん(恐らく)がヴァリエーションを踊る姿が開始56秒から1分辺りまで映っていらっしゃいます。
回転が軽やかポーズも晴れやかで、初めて見たときからはっとさせられる魅力がありました。
パキータはマリア・グティエレス、リュシアンは配信の『ライモンダ』3幕にてジャンを務めたダヴィット・ガルスティアン。
音楽は後半の演目『火の鳥』中間部分ですが、パキータの振付にも驚くほどに違和感なく溶け込んでいる映像です。
勿論、渡邊さんがタイトルロールを務め、革命軍の青年が敢然と火の鳥へと変身する後半のベジャール版『火の鳥』もご覧ください。
大変雄々しく、射るような視線もご堪能ください。
ガルスティアンは数多くのレパートリーで主演を務めていてDVD化されたベラルビ版『海賊』では主役の海賊を踊っています。
しかしいかんせんこのソフトでは渡邊さんによる、当時20代前半とは思えぬおっかな過ぎる豪胆な暴君スルタンの怪演ばかりが刷り込まれてしまっておりますが
シンプル且つ美しい照明や装置に加え、海賊、奴隷の女、スルタン、愛人に焦点を絞った関係性と言い秀逸な作品です。
ラロ作曲『ナムーナ』よりモロッコ舞曲がエキゾチックな味わいを漂わせているダイジェスト映像だけでもどうぞご覧になってみてください。




トゥールーズのパキータ、こちらもどうぞ。『レ・シルフィード』華麗なる大円舞曲に合わせた映像です。
2016年の火の鳥ほどは曲と調和しているとは言い難いものの、映像編集の名手がいるのでしょう。



ついでに、『パキータ』はプロの公演や発表会問わずあちこちで観ておりますが
衣装が頗る絶品と思えたのが国内では幕開けにどよめきまで聞こえてきたゴージャスな小林紀子バレエシアター、
海外のカンパニーでは写真のみですがキャピトル・バレエ団のデザインでした。
誠にお洒落で装飾も細やか、華美になり過ぎず上品で美しい色彩です。 振付はオレグ・ヴィノグラードフ版のようで、
フランスではなくロシアよりマリインスキーのプロダクションを取り入れているもよう。


2016年の予告
http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?p=106640&sid=cdc95ab9f5254bdf86dca9ee2e52b2d0

2016年舞台写真
https://www.dansesaveclaplume.com/en-scene/45200-grand-pas-de-paquita-loiseau-de-feu-ballet-du-capitole/>


ちなみに衣装において一番地味に感じたのはNHKの放送や情報センター、雑誌記事で目にした新国立劇場バレエ団。(大きい声で言えないがもう遅い笑)
主役2人は白で整えられて気品もあり良いのですが、ソリスト、コール・ド陣が真っ赤一色で発表会以上に華やぎ感欠如と思ったものです。
→私は18年前テレビ放送にて何を見ていたのか、今回配信を視聴したところ見違えるほどに華やぐ舞台でした。失礼な物言いをお許しください。

しかし、まもなく到来する1月11日(月祝)成人の日は、その『パキータ』を18年ぶりに上演する
新国立劇場バレエ団ニューイヤー・バレエが無観客ライブ無料配信されます。(アーカイブ無しとのこと)
衣装が当時と変わっているか否かは分かりかねますが、新年を飾るに相応しい祝祭感溢れる舞台になるのは確実でしょう。
パキータは米沢さん、そしてリュシアンは渡邊さんです。観客動員の公演中止は残念ですが、全国の方にも、しかもビントレーに深川秀夫さん、
貝川さん木下さん作品含む多彩なプログラムを全編配信を楽しんでいただけると思うと嬉しさも更に募ってきます。背筋を伸ばして鑑賞する予定でおります。

2021年1月5日火曜日

【忖度なし】【言いたい放題】管理人母による新国立劇場バレエ団 イーグリング版『くるみ割り人形』2020年12月19日(土夜)感想




ご訪問ありがとうございます。新国立劇場バレエ団くるみ割り人形2024年速報感想はこちらです。
https://endehors2.blogspot.com/2024/12/2024-2.html



※ご訪問ありがとうございます。新国立劇場バレエ団くるみ割り人形2021年末から2022年年始にかけての総括感想はこちらです。
https://endehors2.blogspot.com/2022/01/20211218202213-7.html




昨日仕事始めの方も大勢いらしたことと思います。年末年始の休暇が4日間で他企業に比較すると短めであったため
正月ボケは最小限に止まったと考えたいところですが、元旦のどうしようもないぐうたら生活、思い返すとお恥ずかしい限りです。

年始早々緊急事態宣言発令報道による劇場稼働の有無結果に心臓が止まりそうなお気持ちとなっていた方もいらっしゃると存じます。
ひとまず劇場関係は閉めずの方向のようですが先は読めず、今年も緊張を強いられる日々はまだまだ続きそうです。

さて昨年書き切れなかった内容を1本。新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』を鑑賞した母の感想でございます。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/nutcracker/

NHKバレエの饗宴2018でのテレビ放送でねずみ王の描き方は気に入ってチュウチュウ!!とアイドルコンサートの如くテレビに向かって声を発し、
オレンジ色が広がる花のワルツには衝撃を受けており好みか否か今一つ分からずのまま終了。
しかし昨年くるみの公演が始まり、連日通う私の姿から興味はあるけれど特別行きたいとは云々と言い走っておりましたため
「無料」ならば行くであろうと予想。見事的中し、勿論日程は某ダンサー出演日をこちらで勝手に調整。
ねずみ王の日も候補にいたしましたが用事(自宅にて趣味仲間とのオンライン会議だったらしい。娘はズームはオンライン飲みも会議も経験なく、
今時の機械の使用法もよう分からん笑)がありそうであったため後半日程の土曜日夜公演へ招待という名の誘い出しをしたのでした。

鑑賞後の感想でまず一言、とっても楽しかったそうです。気に入ったところも多々あり、一部好みに合わなかったところもあったようですが
総合力においては心から満喫した様子です。
私と異なり回りくどい言い回し皆無、自宅にて留守番する子供時代の長女次女に対する電話口の話っぷりが余りに簡潔ぶっきらぼうで、
職場の周囲の人々がおっかなびっくりしていたとか笑。そんなわけで、当ブログでは滅多にない至極シンプル箇条書きで時系列で綴って参ります。
※→部分は私の追記解説でございます。


・幕開けのスケート、光GENJIかと思った。 →私と異なり、長谷川一夫や原節子、笠置シヅ子といった著名人、
銀幕のスター等の古き表現はまず出てこない母ですので比較的現代寄りの例えを示しておりました。
光源氏ゆかりの地域であるびわ湖公演(2017年)は我が脳裏をも過ぎりましたが、東京でも想像するとは。

・1幕のパーティーは爺さんが多い →老人、クララの祖父、聖ニコラス、3名含んで爺さん扱いだそうです。 ただ若い方達がやっていても皆上手い、
よぼよぼの福田圭吾爺さんを特に称えておりました。

・1幕、道化の男女の踊りがないのは寂しい →ルイーズや詩人、老人が踊っていた人形劇の箇所のこと。
ボリショイやキエフといった旧ソ連の映像で親しみ過ぎたようで、可愛らしい振付だから取り入れて欲しかったらしい。
ルイーズや詩人の設定はよく分からんの一言で終了、すみません。


•客人やメイド、執事のような人まで大勢投入されていて見応えあった。子役は気にならず、とにかく衣装や装置が上品で華やかで好印象だった。

・ねずみ王が出演し過ぎでクララ達を追いかけてばかりで笑えたが、好きなキャラクターだから面白く観た。
→井澤駿さんが入っていると知って仰天しておりました。

ねずみ達、目が真っ赤に光っていてナウシカの王蟲ばかりが浮かんでしまった。
→今年のお正月に歌舞伎版『風の谷のナウシカ』前編(後編は管理人、舞台で鑑賞。つくづく一昨年公演で良かったと思う
)テレビ視聴していた際も、腐海に落ちていくアスベルを追い詰める虫たちの頭の点滅具合や囲い込む振付にも似ていると意見一致。

・戦闘場面、大迫力で装置が転換していくところもワクワクした。クリスマスツリーも大きさ、装飾共に豪華で、装置は全般良かった。
・雪は大感激。3階からの鑑賞でむしろ良かった、寝てても皆さん踊れそう。大人数でびっくりするぐらい揃ってもいて、圧巻だった。

・ねずみ王が気球の下に乗っかって宙に上がる場面、「光ちゃん」と表現。
→どうやら堂本光一さん主演ミュージカル『SHOCK』ワイヤーアクションを
彷彿させたらしい。ちなみに後日視聴したイングリッシュナショナルバレエ団のほうが傾斜しながらの宙吊りであったため、
より光ちゃんアクションに近いと感じたそうです。母の周囲に堂本光一さんの大ファンがいるそうでよく話を聞いているとのこと。
とにかく例えが私よりも近代でございます。

・1幕から2幕にかけて、クララと出会った後にも王子がお面ばっかりでおかしい。
→装着している意味あるのか尋ねられたため魔法が解けたり戻ったりを繰り返しているらしいと回答したが、
舞台観ているだけでは伝わらんと即答。まあ、30回以上観ている私も設定を知ってはいても違和感は大いにある。

・アラビアはNHKの影響で本島さんが登場するとばかり思い込んでしまっていたが、渡辺与布さんが綺麗で見惚れ、双眼鏡でたくさん眺めた。

中国は京劇観ている気分だったが、人差し指立てがなくなっていたのは良かった。
→人差し指立てについては、現代には相応しくない表現なのかもしれないと帰宅後ふと思い浮かんだらしい。予想は的中。

・ロシアはやはり女子の大きなカチューシャ(ウクライナの伝統装飾?)があると安心する。
しかし男性の服がジョージアっぽいのでアンバランスだが音楽も振付も楽しいから気にはかからなかった

・葦笛は何で蝶々?振付がかなり難しそうであった。
→NHKの放送で観たときも、これを踊りこなしている池田さんにたいそう感心しておりました。

・花のワルツ、衣装は事前に知識を入れていたため心の準備はできていたがそれでもあの温暖な色彩はちょいとギョッとした。
しかし、全員男女ペアだからかパワフルで、しかも恐ろしく難しそうなことも易々とこなしていて、感動してしまった。
新国立の大人数コール・ドはやはり安心するし毎回感激する。

・主役2人のシャンパンゴールド衣装の色も煌めいていて宜しい。

・ところで、主役2人は身長どれくらい?
→主役についての話題はこれだけでした…。ファンの皆様、申し訳ございませんが、それだけ総合力としての新国立くるみに没頭していたとご理解ください。
ただ一昨年3月に鑑賞した渡邊さんのソロルは良かったと当時申しており、木村さんについてはNHK饗宴の放送やストイック女子でも好感を持っておりました。


あれこれ綴って参りましたが、実は私の身内友人において今回初イーグリングくるみ鑑賞をした人が2名。
母、そして大学の後輩で共通するのはNHKの放送では暗くて衣装も振付も風変わりで首を傾げた演出と受け取っていた点。
しかし今回2人とも、1幕終わった時点で大満喫していたもようで金曜日夜に鑑賞していた後輩に至っては、
ねずみ王でもう元が取れましたと幕間中に繰り返し語っていたほど。(先輩の立場を利用して強制礼賛させていたわけでありません。誤解無きように笑)
恐らくは、4年連続の上演によりダンサーの咀嚼も十二分に達した状態での舞台を鑑賞し、また客席もだいぶこのユニークにもほどがある演出に
慣れてきた空気感を醸していた点も一理あるかもしれません。同じ初鑑賞でも2017年の初演時の私とは
まるで正反対な反応であったのは大きな喜びと救いでございました。

珍しく男性アイドルの話題が飛び交った記事となりましたため、ふと過ったこと。
かれこれ3年前だったか、母から嵐の中で誰が好きかと聞かれ、返答に困りそれっきりでございました。皆さん個性がありますし
それぞれ魅力を備えている方々であるとは捉えておりますが胸がときめく対象ではないため回答を濁していたところ昨年2020年末を以て活動休止に。
顔や歌唱力ではなくアスリートの素顔に迫る番組『グッとスポーツ』の司会進行の良さから母は相葉雅紀さんが好きであると話しており、
少人数の5人構成でしたから1人ぐらいぱっと浮かばんかいと思ったらしい笑。
そうだ、5人の男性が並んだ写真と言えば新国立劇場バレエ団2019/2020シーズンガイドブックの巻頭であったか
主役が決まっていたダンサーが見開きで5人整列したページを開いて持ってきてくれたなら秒速どころか光速級の速さで回答できるのだが
そう上手くは歩めないのが人生でございます。





イーグリング版くるみ新国立初演の2017年に記念購入した宮崎駿さんが絵を手掛けた表紙の『クルミわりとネズミの王さま』。
ねずみのグロテスク感や目の光っぷり、イーグリング版と重なる描きかたです。
宮崎さんがホフマンの原作やバレエをモチーフに企画なさった三鷹の森ジブリ美術館でのくるみ割り人形展へはハイライト版も含むと会期中3回行きましたが
本の表紙にねずみ王を載せているなど、ねずみ王も主役と同等と捉えていらっしゃるのはイーグリングさんと似ていると再度思えた次第です。
表紙のアーチ部分にトトロやねこバスも登場しているのはご愛嬌。

2021年1月2日土曜日

謹賀新年2021




あけましておめでとうございます。昨年も訪問いただいた皆様、誠にありがとうございました。
世界全体が未だ光が見えず不安な状況にありますが、健康に気をつけ過ごして参りたいと思っております。
劇場での鑑賞が半減してオンライン配信や一昔前の映像鑑賞感想記に切り換えながらの更新となり
また昨年年始に現在の場所に移行しての再スタートとなった点が原因か否か、そうではなくもっと根本にあると自覚しておりますが
益々存在感埋没を突っ走る当ブログを訪問してくださった方は以前にも増して大変貴重な読者様です。本当にありがとうございます。
週1回程度の遅々たる更新になるかとは存じますが、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

ブログで最も重要であり強みであるのは「更新の速さ」であると思っており、発表会はそうあちこちの媒体には載りませんが
公演ならば終了から1週間もすれば新聞に、1ヶ月もすればダンスマガジン等にプロの批評家による完璧な公演評が掲載され、信頼度も強いのですから
それらの評を楽しみに目を走らせにいくのが当然な流れです。また早期の段階であっても現代は電子媒体も発達していますから
プロによる批評も一層素早いタイミングでの掲載も珍しい現象ではありません。
ですから素人のブログで大事であり読者の方や舞台をご覧になり気になった方々にとって重宝するのは
公演から日数が何日も経過しないうちに纏められアップされる「スピード万全」なブログであると思っております。
ところが当ブログ、国内の公演回数が少なかった昨年ですら鑑賞から1ヶ月経ち、
もはや誰も読みたがる人がいなくなった段階でのアップも1度や2度ではなく、続けている意義を自問自答する日もございました。
ただ待ち望んでいらっしゃる方が国内に3、4人ぐらいになるまでは継続し、また親族身内には7年前に一度予期せぬ形で
ブログが見つかったことがありましたが以降は関心を示していないようで未だ継続している旨も知らぬようですので
万一私が誰よりも先立ってしまったときのための忘備録としておくためにも変わらず続けていこうと思っております。

私の中で特に敬意を表すブログが2つありまして、スピード良し、中身濃く細かく、文章も見事な、言うなればファストフードと高級レストラン
各々の魅力を掛け合わせた内容であるため、我が脳内構造における元来の劣りと老いに伴なう衰えは致し方ないとしても、参考にして学んで参ります。

さて序文が長くなりました。年内最初の記事、誰も読みたがぬ路線増幅まっしぐらですが当ブログ年初め恒例、管理人の年末年始のぐうたら日記でございます。
お正月三が日にそんなもん読む気にならぬとのお方は恐れ入ります、2020年の締めと2021年の冒頭を彩った【お茶の間観劇】
或いは管理人の母によるイーグリング版『くるみ割り人形』鑑賞・忖度なし言いたい放題感想記まで今暫くお待ちください。

前年分にて触れた通り管理人は12月30日まで出勤のため朝は毎度のNHK報道番組を視聴しようとするも北野武さんドラマの再放送が始まり
他局の珍百景番組を視聴して駅へ向かうと休日ダイヤとなっている時刻表にヒヤリとしつつ無事仕事納めをして帰宅。
レコード大賞を途中から視聴いたしました。レコ大はここ数年は新国立劇場中劇場からの中継のため、舞台機構や客席の使い方が気になって観ておりますが
コロナ渦による観覧者入れずの開催であっても元々大勢は入れてはいませんし
スタッフの方々が細心の注意を払い神経を擦り減らしながら感染防止対策を図っていたであろう対応は重々承知しておりますが
出演者が着席時に間隔を取っていた点以外、目に見える大変化はなかった気がいたします。

無観客である条件をむしろ良い方向へと持って行っていた印象が強かったのが紅白歌合戦。
開始の19時半からゆく年くる年冒頭までチャンネル変えず見ておりましたが、毎度のオープニングでの客席ペンライトに代わり
客席上の特設舞台に内村さん、後方の本舞台上の左右に広がる湾曲した装置の上に間隔を空けて二階堂さん大泉さんが立ち、
立体感ある見え方。更には他のスタジオをも駆使し、余興排除のテンポ良い進行でこれはこれでシンプル明快で随分と好印象を持ったのでした。
曲目については、映画の影響でGENERATIONSはStar Travelingのほうが聴きたかったがヒットの具合など選定基準があるのでしょう。
五木ひろしさんの名曲と言えば『山河』よりも『千曲川』或いは『横浜たそがれ』
Mr.Childrenの曲ではTomorrow never knowsが傑作であると思っており、 こんなことばかりを言い走っているため年齢不詳と呼ばれるわけです。

ゆく年くる年を見ようとしていたものの、ジルべスターに変えて年越しはベートーヴェン。
ベートーヴェン生誕250周年記念行事が多数用意されていながら多くが中止となった2020年からの年越しに聴けたのはひときわ喜ばしいことでした。
そして2021年、順番失念いたしましたがシュトラウスのポルカ『雷鳴と 電光』『火の鳥』終盤部分2曲続けて鑑賞。
前者では元祖王子による欧州のダンサー以上に色男であった『こうもり』(プティ版)での名演ヨハンを、そして将来挑戦していただきたい新鋭王子による
役所或いは銀行勤務であり新聞がいたく似合いそうな 三面記事の隅々まで熟読しているであろうお父さんも想像。新国立での再演を待ち望んでおります。
そして火の鳥、そうであった諸々検索していてベジャール版のリハーサル映像に辿り着いた日こそ、
及び自身の中での公式なる虜の開始きっかけであったのはちょうど4年前の2017年元日であったと回想。
4年前のお正月後半仕事が入り、休憩時間中に動画鑑賞なんぞした経験がなかった私が衝撃が強過ぎた発見動画を繰り返し再生していた
それまでは考えられなかった行動は今も覚えております。
2016年の6月のトゥールーズに渡って観たいと渇望しており、タイムスリップできるなら鑑賞叶わせたい舞台上位3本に入っております。

さて話が鳥の如く飛びました。家飲みの習慣がなく、時々ちょこっと嗜む程度である管理人も元日のみ特別で、寝床へ3秒で着く狭き家の造りを良いことに
昼頃以降はテーブル上に置きっぱなしとなるワインや日本酒の瓶からお茶代わりに注いでは飲酒。
食堂のお茶状態と身内にも指摘されておりますが、気分転換且つ身体が温まるため洗い物を率先して行うも、
サッカー天皇杯決勝中のどこかの時間帯の約1時間は必ず昼寝に走る、どうしようもないぐうたら元旦です。

さて夜が訪れ、昔から元旦夜の楽しみといえば新春かくし芸大会、ではなくウィーンフィルニューイヤーコンサート。
こちらも無観客でしたが事前登録すれば第1部と第2部であったか拍手が演奏者達に聴こえるような仕組みを取り入れたり、
また恒例のバレエ場面は事前収録ができたようで華麗さに触れたひとときでございました。
今年は例年以上に賑やか晴れやかな曲が多かった印象です。
『春の声』などバレエ場面はさらっとしか観ておらず(出しっ放しの赤ワインを相変わらず味わっておりました…)
ラクロワによるデザインの衣装がお洒落やなあぐらいにしか鑑賞しておりませんでしたが
『春の声』を聴くと思い出すのはアシュトン版の振付における花咲か爺さんもびっくりな花撒きと
1987年のウィーンフィルニューイヤーでの指揮カラヤンと歌手キャスリーン・バトルによる共演。真っ赤なドレス姿のバトルの声量にたまげた記憶がございます。

話があちこちに飛びましたが、今年の干支「牛」は太古の昔私がバレエの発表会でも踊ったことがある役で、
半分黒歴史でありつつも半分はネタ扱いされて笑えた思い出深い役でございますが
その話は12年に1度の丑年である2021年の何処かの機会に綴って参りたいと思っております。
今年もぶっ飛んだ内容満載になる予感大でございますが、当ブログをどうぞ宜しくお願い申し上げます。


写真について、購入が遅れましたが既に3本は愛飲している福島の金水晶さん製造、
古関裕而さんをモデルに昨年NHK朝の連続テレビ小説にて放送された『エール』にちなんだお酒と
以前に展示会の仕事でお世話になった会津若松や会津坂下町の物産産業の出展者の方よりいただいた赤べこストラップで新春祝い。
赤べこさんは記念にずっと部屋のドアノブに掛けております。福島の飲食に興味があり、
ご自由にお取りくださいの文字近くに山積みになっていたグルメマップを1部いただければ幸いと話したはずが
赤べこストラップから喜多方ラーメン、起き上がり小法師まで手渡してくださり、恐縮しながらも感激でございました。
ここには写っておりませんが、我が家に2体あるうちの赤い白河だるまさんは、同じ展示会にて白河の産業機構関係の方からいただき大事にしております。

それから卒業した高校の校歌は古関さんが師と仰いだ山田耕筰さん作曲で、校歌では珍しい3拍子。
創立時は旧制府立女学校であったため優雅なワルツにしたとの噂ですが真相は分からず
ちなみに管理人は東京が府から都になった時代の卒業生ですので誤解無きように笑。
野球部の予選試合の応援演奏で出向いた球場にて耳にした勇壮な曲を見習い、校歌ももっと迫力のある歌のほうが
相応しかっただろうにと感じておりましたが、『栄冠は君に輝く』作曲者古関さんが山田耕筰を慕っていたと知ったのは『エール』放送にてでした。
山田さんがドラマでどう描かれるか気になっておりましたので、志村けんさんによる気難しい人物熱演が脳裏に残っております。

鏡餅は家族が近所で購入がしてきましたが、鶴の結び紐が嬉しく、『竜宮』第3浦島太郎を思い出してはニンマリしております。

2020年12月31日木曜日

2020年バレエ総括







2020年もまもなく終わり。100年に1度と呼ばれる地球規模での大変な年となり、舞台開催も困難が続く年となってしまいました。
中止を余儀なくされた団体は数知れず、中止決行延期問わず関係者をこれほどまでに悩ませた年は過去になかったように思います。
1日も早く有効なワクチン開発によってアマビエ縋りから脱し、あつ森ならぬあつ劇によって劇場に大勢集まりやすく
3密を気にせずにいられる状況に戻るよう願うばかりです。

バレエは生で観る感性を大事にしたいために公演動画、特に盗撮やDVD丸ごと載せているなどアップの経緯不明な映像は極力観ない方針を貫き、
毎週のように劇場通いしていた私も今年はそうも言っていられず、フワちゃんは観ておりませんがこうにも動画に触れた年は初。
勿論、生と同等の感激への到達は難しいものの、劇場封鎖期間も舞台愛好家を喜ばせたいと国を問わず
世界各地の団体が配信をつづけてくださり、苦境にいるはずの劇場関係者の対応に頭が下がる思いです。

関東から出ぬ夏場を14年ぶりに経験するも下半期は少しずつ遠方にも出向き、Go Toキャンペーンのお世話になって
上質な宿泊施設や国内大手航空会社利用しながら例年の半額以下の旅費で済んだものの
恩恵を受けられずにいる方々も多数いらっしゃることは、忘れてはなりません。(保育士の妹もそうです)
火おこしなど自然と仲良く過ごすのは苦手でソロキャンプは行きそうにありませんが
本年は遠征予定7本が中止或いは延期となり、ソロ遠征は来年挽回する気満々でおります。

ところで当ブログ、今年の年始より現在のブログに移行して再スタートを切りましたが
前ブログに比較するとアクセス数は約4分の1にとどまっており、公演回数の減少の事情を差し引いても管理人自身に問題多しと猛省。
目的地を見失っているわけでもありませんが詰めが宜しくなく不時着続きであるのか、或いは後ほど追記と言いながらも
今春我が家に届いたアベノマスクと同様に放置状態が頻繁にあるのか、今年の反省を踏まえながら新年を迎えたいと思っております。

さて前置きが長くなりましたが一気に参ります2020年にバレエ総括。数え間違いがなければ生での鑑賞回数は47回。
昨年のおよそ半分ですが、中止や延期の舞台も多数な年であっても素敵な舞台にたくさん巡り合えたこと、幸運に感じております。
来年以降いつかはバレエも鬼滅の刃並みの席巻現象が起きれば是れ幸い。

※リンク先や行間、改行が整っていない状況ですがひとまず載せます。 また、言いたい放題な口調ですが読み苦しい点、お許しを。

※上の纏め画像、今年の5本でございます。複数日程ある公演につきまして、どの日にあたるかはご想像にお任せいたします笑。
日本地図の赤色は鑑賞に出向いた地域、青色は足を運ぶ予定であったものの中止或いは延期、関係者のみ公開となった舞台開催の地域です。


1月

新国立劇場バレエ団 ニューイヤー・バレエ 1月11日(土)~13日(月祝) 計3回

2020年始動はこちら。作った意味はあったのか行く末が気になっていたライモンダパドドゥはやっぱり短過ぎて前座級笑。
旅する列車に揺られた心持ちとなるDGVはセクシーであったり躍動感もあって素敵な作品。ドンドコ太鼓も聴きどころ。



遂にニューイヤーでも限定カクテル登場。スタッフの方にも新年の挨拶。(新国立カクテル常連客です笑)
トニック入りミカンとピーチカクテル、シュワっと爽快。


バレエ好きな中でも共通項の結束力が妙に強い3名揃って初食事。
まずはシャンパンで乾杯し、真鯖のマリネとじゃが芋のスモーク、鱸のカルパッチョ。
昨年の我が1人ひっそり誕生日祝いや当ブログで知り合った常連読者様との2017年の眠れる森の美女終演後の初食事でも
利用しており、何かと節目や記念日に訪問しているビストロです。初利用者のお2人にも喜んでいただけたようで安堵。


しらすとじゃが芋のキッシュ。香ばしくほっくりした味わいでワインが進みます。
お店の看板メニューとのこと。今回飲兵衛は私1人でしたが、好きなペースで飲むよう寛大に接していただき深謝。


クランベリーソースがかかった鹿肉グリル。脂身ほぼ無く締まった赤身、赤ワインが止まりません笑。
ちなみにワインは赤白ともにフランス南西部の地域ラングドック産とのこと。
メニューのワインの中でも一番手頃な価格とは思えぬ、特に赤の渋みと品ある重厚さがすっかり気に入りました。
ラングドックや仏南西部と聞くとある都市を思い浮かべ、ニンマリする3名でございます。


2日目は昔馴染みの3名でドイツ酒場へ。

私含む2名が飲兵衛で、ビールの後に赤ワインボトルとデカンタを飲み干した…笑。
適度なフランスワインを選んだところ、火の鳥を思わせるラベルが華やぐデザイン。
そうであった、干支一回りぶりの大事件であった心境の確かな変化は
3年前のお正月、前年に撮影されたフランスでの火の鳥リハーサル映像であったと回想。


来場者には3日間日替わりで異なるグリーティングカードをプレゼント。
全部集めましたが一番欲しいと願っていた分を千秋楽にようやくいただき嬉々たる思いでおります。
何度眺めても、見返り美男。


清泉ラファエラ・アカデミア2019年度春期秋期/来期のテーマはパリ・オペラ座

20世紀における時代、社会とバレエの関係について学び、歴史と照らし合わせながらのお話に興味津々。
子供の頃学業成績はあかんレベルだったが近現代史は好きでございました。
ライト版白鳥の湖についても学び、この頃はまだ新国立も2020年に上演予定であったのだなあと回顧。
暗い白鳥は好みではないと言いつつも翳りのある陰鬱な王子、似合いそうだなあと想像。来年は鑑賞できますように。(英国も色々大変そうだが)
2020年度は講座も中止に、来年は開講を願うばかりです。



とある平日夜に所用で五反田を訪れた際に立ち寄ったイタリアンのLa Belle。
元々はフレンチだったそうで、店名はその名残らしい。
サーモンとトマトクリームパスタをいただき、野菜も入っていることでクリーミーではあるが
しつこさが抑えられていて白ワインとの相性も良し。窓辺では五反田の景色を独り占めです。
通常は平日のみ営業ですが、パーティープラン利用の際には土日も開店。
先日とある行事で利用させていただき、このパスタを参加者の皆様に味わっていただけて幹事としては誠に嬉しうございました。
『美女と野獣』や『眠れる森の美女』を彷彿させる店名にも心惹かれたのだが(実は行事での利用会場決め手の1つであった)
店内には野獣もデジレ王子もおりません。その代わり、居心地良い空間にて穏やかで素敵なスタッフさん
そして美味しいお料理やお酒に出会えます。

それにしても管理人、諸々連絡のためお店に電話をかけようと掲載された食サイトにて店名を目にするたび
野獣は1人、デジレ王子は2人同時に脳内再生。人間とはかくも単純な生き物であると再度痛感です。


バレエ・カレッジ主催 福田一雄さんによるバレエ音楽の歴史②バレエ・リュスからローラン・プティの時代まで~20世紀のバレエ音楽~

バレエと音楽の知識宝庫な福田さんによる噴水の如くエピソードが湧き出る講座は毎回楽しみ。黒鳥の悪戯っ子は驚いた。
(みんなのうたには同じ響きで名曲いたずらっこが存在)
バレエの先生方に向けての注意喚起もあり。私も毎度思うが鑑賞オタクばかりではなく踊る人、教える人にこそ聞いて欲しいと願っております。


依存症にならぬよう気をつけようとは思っていても、偉大な作曲家への思いを馳せながら赤ワインで乾杯。


8ヶ月ぶりのレッスン

近年は年一回になりつつある華麗なる有酸素運動。贅沢過ぎる空間で行なって参りました。
毎回思うが、子供の頃幼稚園の空き教室で習っていたため身長の伸びが早かった管理人は天井の出っ張りに手が届いてしまう事態も。
そのため縦にも横にも減速不要の伸び伸び空間は嬉しい限りでございます。
年老いた今のほうが1時間少々動いても全く疲れないのは先生の存在があるからこそ!?


帰りはスタジオ近くに位置する毎度の海鮮居酒屋にて多趣味な文化人なる受講者の方と昼食兼宴会。
昨秋の新国立劇場バレエ団こども白鳥の湖直前降板登板劇が生じたフェスティバルホール公演に出先から駆け付け
当日券でご覧になった当ブログでも時々ご登場いただいている方でございます。 文化人なる人生の先輩はお車ご利用のためノンアルコールビールをお飲みでしたが
こちらの延々と続くバレエ話にこの度もお付き合いくださいました。深謝。
レッスン後の一杯に升酒を堪能しているバレエ愛好者、世界中探してもガラスの靴の持ち主以上に見つかりそうにない笑。

それから移転前から隅々まで読んでくださっている
バレエへの造詣が誠に深いとある関西在住の方から管理人自身では気づいていなかった法則をズバリとご指摘。
男性に限ってだが、一発で読めない名前の人を好むこと。
漢字の難易度関係なく、そういえば一発で読み方を正解するのは難しいお名前でございます。
この法則は気づかんかった!!!

英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマシーズン2019/2020 コンチェルト/エニグマ・ヴァリエーション/ライモンダ 第3幕

黄金色の壮麗なライモンダ3幕では押しの強過ぎるオシポワにびっくりだったが笑
更にバッセルのライモンダの設定国解釈違いも気にかかったが笑、個性がまるで違う3本立ては見応えあり。



鑑賞後シアタス調布近くにて。ライモンダはプロヴァンスの姫だった気がするが、と考えを巡らせ耽りながら南仏のワインで乾杯。


2月

アリーナ・コジョカルドリームプロジェクト2020 Aプログラム 2月5日(水)

コジョカルが直前に怪我をして、ドンキホーテハイライトやバレエインペリアルは出演見合わせ、急遽フォーゲルと『マノン』寝室パドドゥのみ披露。
全幕のような仕上がりに満足はしたが(功労賞はフォーゲルか)、怪我の座長のために出演者全員でコジョカル救済プロジェクト。



帰りは当ブログレギュラーであるコジョカル好きな大学の後輩とオーチャード近くのお店へ。
コジョカルのインペリアル観たさにチケットを購入したそうで、肩を落としていないか心配であったが
『マノン』だけでも鑑賞できて良かったと話していて一安心。
舞台近く席であったそうで、キムのサポートの特徴など近距離ならではの感想に先輩は興味津々でございました。
先輩管理人は後輩が購入したコジョカルファイルを眺めつつコジョカルの母国ルーマニアの赤ワインで乾杯。
見た目は薄めの色ですが味はしっかり強さがあり。
もしコジョカルを知らなければルーマニアに対する印象と聞かれても
挙げるのはコマネチ、ドラキュラぐらいであったことでしょう。


日本バレエ協会『海賊』2月8日(土)

バレエ協会初の海賊全幕。酒井はなさんの益々艶やか優雅なメドーラに驚嘆!2時間に見所を整理して盛り込んだキエフのスターであったヤレメンコさんの演出手腕にも拍手。



帰りは当ブログレギュラームンタ先輩と上野駅の文化会館反対側の魚介料理店にて乾杯。
海賊ですので、海の幸をたっぷりいただきました。ボリュームも鮮度も文句無しでディルの香りも爽やかに効いたカルパッチョ、
塩加減も絶妙なグリルの鯛でワインも進みます。
一昨年のバレエ協会『ライモンダ』にて酒井さんの虜になったムンタ先輩、今宵もご満悦でした。


指揮者福田一雄先生による「ピアノで奏でるバレエ講義」「海賊・ライモンダ大研究」

大好き過ぎるライモンダ音楽解剖授業で、場所柄習っている方々が多かったがむしろ歓迎。
スピードの速い授業だったが、参考一覧表がセルゲイエフ版のCDであったため持っている者としては助かった。
(この手の話、私のような鑑賞オタクだけではなく舞台に立つ方や習う方にも聞いて欲しいと常日頃から思っている)


帰りはスタジオすぐ近くに位置する、以前から気になっていたハンガリー料理店ジェルボーへ。
どっしりとしたチョコレートが織り成すジェルボーセレトケーキととハンガリー産のチャペルワインで乾杯。


NBAバレエ団ホラーナイト『ドラキュラ』1幕『狼男』 2月15日(土)夜

狼男は恐怖感押し出しではない不思議な不気味さのある作品。ドラキュラのフォルクローレな人々のダンスも面白く、
堅固な屋敷の装置が中劇場に現れ大感激したが8月の全幕中止は何とも無念。


帰りに立ち寄った鹿児島料理店にて狼焼酎を発見。ロックでいただき、
文字の迫力からすると意外にも飲み易いお味でございました。
もう1種、名前に惹かれて飲んだ黒騎士はガツンと迫る味で一口含んだだけでもほろ酔いに。
女性だけでなく男性も正統派貴公子のみなず、白黒両面を表現できる方に惹かれると再度思い返した管理人でございます。


東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』2月16日(日)

パステルカラーが美しい上に頭飾りや模様の異なるパドシス妖精がまあ美しい。セルゲイエフ版を基盤にしつつ、
シティの個性を生かしたレジュニナの美意識が行き届き、平田沙織さんのコントロール力抜群なリラの精も印象深い。


もう少し余韻に浸りたいと思い、こちらのバーその名もライラックへ。


注文したのはFourRoses、シティ眠りでは求婚者たちが持つ薔薇は赤色である
ローズアダージオを彷彿させるバーボンのロックで平田さんリラ
そしてシティでは40年ぶりとなる眠り全幕に乾杯。


新国立劇場バレエ団『マノン』2月22日(土)~2月26日(水)計3回(後半2回が中止)

1回だけでも、渡邊さんのレスコー鑑賞が叶いました涙涙。少数派であると思うが、デ・グリューよりもレスコーのほうが観たいとずっと思っており
昨年夏からベラルビさんとピエトラガラさんによるレスコー&愛人を観ており、これは渡邊さんで観たいぞー!!と手を合わせて祈っていたのでした。
本拠地初台では初披露の悪どいされど人間的魅力も備えた、最後のGMへの憎悪の視線も忘れられず。
濃厚な物語の起伏に沿うようにドラマティックに踊り演じてくださいました。



夜空に、正確には窓ガラスに映った灯りと夜の甲州街道に映えるカクテルで乾杯。
26日(水)のみになってしまったが渡邊さん、初台では悲願の色悪役。そもそも注目する契機が、
トゥールーズにいらした頃の怪しい或いは粗暴なキャラクターを務める映像であったため、願って早3年超。
待望の役柄ようやく新国立劇場にお目見えです。


千秋楽、マクミランさんに敬意を表してご出身地スコットランドのウイスキーで乾杯。
瓶の色がレスコーの衣装を想起させる点もポイントでございます。
尚私は大酒豪ですが、2幕のレスコー登場の如くボトルラッパ飲みの経験はございません笑。
但し最近、何本か購入し愛飲している福島県の造り酒屋金水晶さんの初しぼり酒を
いぶりがっこのタルタルソースをつまみに呑み始めると、1本空けそうになる事態に。勿論ラッパ飲みはいたしていませんが
酔いどれになってもレスコーの如く瓶を手に踊る行為による観衆魅了はできませんので管理人、呑み過ぎ要注意でございます。


3月

英国ロイヤル・バレエ団 映画『ロミオとジュリエット』

舞台上では描かれぬ、木陰で様子を見計らう刑事ロミオな光景やニワトリさんたちも立派な出演者と化していた自然ロケを生かした全幕バレエ映画で大変面白く鑑賞。
ヘイワード、NBAシンデレラ客演できますように祈る。




中札内鶏の”白雪”シーザーサラダとズッキーニと帆立、サーモンのクリームパスタ。
パスタの見かけは少なめですがしっかりクリームが絡んでおり具もふんだんに入っていてボリューム満点。
サラダの名称からは3年前に実質初めて観た子どもバレエ『しらゆき姫』を思い出し
いくら子どもバレエと言ってもナレーションや台詞が多過ぎると賛否両論ありましたが私は少数派であったがかなり気に入った。ケホ!


マルゲリータピザ。2人分であっても想像以上に大きめでしたが生地は薄く、ソースはトマトの味がしっかり効いていて難なく完食。


ふわふわ蕩けるティラミスとがっしりと固められたカタラーナ。
苦味強く濃いめに淹れたダブルエスプレッソと相性抜群です。
昨年の新国立劇場での鑑賞時にティラミス発祥はヴェローナ説とビュッフェの解説に記されていた気がいたします。
カタラーナを目にするとバレエについてもっと語らーな、と毎回心の中で呟く管理人。
今後とも皆様、どうか懲りずにご訪問お待ち申し上げます。


ボリショイ・バレエ in シネマ Season 2019 - 2020『ライモンダ』

大好きなグリゴローヴィヂ版ライモンダだが、何時の間にか改訂され音楽の入れ替わりにびっくりぽん。
頭がソ連状態の管理人をお許しいただきたいが、違和感あったでございます。
しかしベリャコフはグリゴロ作品の主要役に会うなあ。来日公演のクラッススやジークフリート、ガラでのソロル、ダイヤモンドも観たかったですう。
昔の管理人なら絶対やっていなかった、アップ経緯不明の全幕、しかもボリショイシネマ丸ごと動画のバヤデールは観ちまった笑。今年ばかりはお許しを。


新宿TOHOシネマの1階、映画のチケットを見せると特典を受けられます。
管理人はスパークリングワインを無料でいただき、そして焼き牡蠣 セット。


パリ・オペラ座ダンスの饗宴

初めてヌレエフ版くるみを抜粋ながら満喫。風変わりな演出であったが、ステップがとにかく忙しそう。
エチュードは周囲にいないが私大好きでして、男だったら高揚感ある終盤の男性パート踊ってみたいと思っております。



パリ・オペラ座の映画を鑑賞いたしましたのでこちらのお店へ。


ノルウェーサーモンのマリネ。そしてワンコインの文言に弱く、グラスワインもいただきます。


鰆のポワレ


【お茶の間観劇】新国立劇場バレエ団DANCE to the Future2020コンポジション・プロジェクト 3月28日(土)

携帯画面で一生懸命鑑賞。自身で創作しながらのグループ上演、興味津々。
願わくは、第1部の上演を近いうちに是非!!


帰り、ではなく視聴後は冷蔵庫に手を伸ばして家呑み。



4月

【お茶の間観劇】【飛ばし飛ばしで鑑賞】ボリショイ・バレエ団『スパルタクス』/『眠れる森の美女』

放射状に兵士たちが散らばって行き中央にクラッススが現れるスパルタクス冒頭が一番興奮しまして、何度観ても良いですわあ。
眠りは随分と色彩が明るくなり、シモン・ヴィルサラーゼデザインのくすみの効いた色味とは大違いでびっくり。
コール・ドにスミルノワ、カヴァリエにベリャコフやロヂキン、現在のプリンシパル陣が脇を固めていて主役そっちのけで鑑賞笑。


※緊急事態宣言発令によりバレエ公演はほぼ全て中止或いは延期となり、 出勤はほぼ通常通りであったが休日に出歩かなくなり、
また生のバレエ堪能とセットでなければ気が進まず時々ちょこっと嗜む程度、この頃より管理人飲酒量が激減。代わりにオンライン配信のお供は伊藤園の焙じ茶。



※お世話になっている方より教えていただき GoogleChromecastを購入


テレビ画面にてYouTubeやフェイスブック、
Vimeo鑑賞が可能となり、しかも音声はテレビから聞こえるため快適になりました。
新国立のようにバレエ団ホームページ内埋め込み型配信には対応せず、ドン・キホーテとマノンは携帯から鑑賞いたしましたが
ロメオとジュリエットでは諸事情により笑、我が少ない知恵を絞ってテレビに映す方法を発見。


エカテリーナ・マクシモワの命日に心寄せたい『アニュータ』

パドドゥの中で音楽、振付とも恐らくは一番心を打たれる作品で(東京に2人いたら良い方であると思うが)
モスクワでの野外ガラで、赤の広場の鐘が鳴り、日が落ちていく中で始まる雰囲気もまた良いのだ。


上野の森バレエホリデイ@home

今年オンラインに切り替えたイベントの中でも最たる急ピッチでの準備であったと思われ、実行委員会に心から拍手と敬意を表したい限り。
自宅で延々再生でも楽しめるようインタビューから公演など多種映像でまとめられ委員会の皆様は睡眠時間皆無に近かったのではと思います。
自宅に居続けたゴールデンウイーク、おかげさまで充実したバレエウィークになりました。


※4月下旬より、新国立福岡雄大さんによるインスタグラムトーク通称『雄大の部屋』開始。


5月

長年の謎・赤の広場でアナニアシヴィリとベラルビが組んだ理由/愛弟子が踊るヌレエフ版『ドン・キホーテ』3幕抜粋で乾杯

2020年5月3日に鑑賞。元々はマクシモワのアニュータと同じく元々はレーザーディスクに収録された映像を繰り返し観ておりました。
それにしてもベラルビさん、ソ連崩壊間もないロシアにて国の象徴の赤の広場での野外ガラのオオトリを
アナニアシヴィリと組むことになったときどんな心境だったか。
ヌレエフ言語が抜けず、ロシアスタイルに全然馴染めていませんが笑、
のちに心から虜になるダンサーのフランス時代の師匠となるとはレーザーディスク鑑賞時は知る由も無く、人生分からんもんだ。


【お茶の間観劇】デンマーク・ロイヤル・バレエ団 ニコライ・ヒュッベ版『ライモンダ』

新時代のライモンダ、設定はロココ時代、アブさんは死なず、ジャンと仲直り。ライモンダが積極的な女性で、管理人自身はもうちょいと深窓の姫が好みだが古い考えなのかもしれません。


【お茶の間観劇】韓国国立バレエ団 グリゴローヴィヂ版『ラ・バヤデール』

初めて韓国国立バレエ鑑賞。いやあ、レベル高し、男女ともスタイル抜群。来日公演行きたいよ。
グリゴロ白鳥、くるみもレパートリーにあり、ドラマティックな表現が韓国とロシアは近いとの話を読んではいたが、バヤデールは泥沼な韓国歴史ドラマであったぜよ。(だから違和感無いのか笑)
衣装はスピナテッリ、湾曲した頭飾りや色彩ですぐ分かったさ。


【お茶の間観劇】ハンブルク・バレエ団『幻想・白鳥の湖のように』

噂に聞いていた、抜粋でしか観たことがないノイマイヤー白鳥。ルートヴィヒ2世にブベニチャクが似ている、まずそこにびっくり。
お城の模型を愛でる気持ちはよう分かる。夢と現実を彷徨う展開にも見入ってしまった。
(管理人、小学生の頃から誕生日プレゼントにヨーロッパのお城の写真集ねだっておりました笑。
テレビゲームには無関心で、妹と最初に遊んだパズルは日本地図。変わり者な子供でした)


【お茶の間観劇】【必見】佐々木美智子バレエ団『バフチサライの泉』

インスタグラムなどを使い映像を少しずつ公開してくださいました。
東西異文化の交差が凄まじい、原作も含めてとても好きな作品です。山本さんのギレイ汗、もう一回観とうございます。


【お茶の間観劇】【バランシン周遊】ニューヨーク・シティ・バレエ団『ドニゼッティ・ヴァリエーション』他

音楽も振付もお洒落で、楽しい作品。バランシン財団が今年ほど映像を無料配信した年は無いのでは?


6月

【お茶の間観劇】アメリカンバレエシアター 1978年リンカーンセンターガラ

ゲルシー・カークランドとバリシニコフの完成されたなんともエレガントなテーマとヴァリエーションに感嘆。
スタジオ収録の幸薄いクララと、麻薬中毒のイメージぐらいしかなかったカークランド、失礼いたしました。
私が人生初のバレエ鑑賞で目にしたシンシア・グレゴリーによる火の鳥も潔い美しさに感動。今観ても色褪せぬ魅力が詰まったガラです。


【お茶の間観劇】新国立劇場バレエ団『ロメオとジュリエット』

2016年公演映像。入団間もない渡邊さんがパリスとして全日出演されたが当時は心を動かされず、金髪が似合わないな~ぐらいで終了。
(両手と頭を床につけて詫びたい!)
映像を見る気も進まなかったのだが、最初の頃は渡邊さんに対し厳し目の意見を持っていた友人が驚くほどに勧めてくれまして、
しかも瀬戸秀美さん以上に上手い、ドラマティックな一瞬をテレビ画面から切り取った写真を複数枚添付して送ってくれまして、
そんなに言うならと思い、いざ観たら、いやあんうっとり。
金髪もぱっくり七三分けも気にならんぞ。(ホントにすみませんこんな性格でございます)
新国立のYouTubeではないため機械を用いての自動テレビ再生はできないが、ならば携帯の操作画面をテレビに映すアプリを探し出しやり方を検索して
無事、大きなテレビ画面で堪能。もう執念です笑。(配信マノン、ドンキは携帯で流し見)


2016年当時の公演プログラムを再度眺めながら久々の一杯。主要役での出演者による直筆(勿論印刷です。井澤さんはこのときは怪我で降板、昨年ロメオデビュー)
メッセージが添えられ、「一文字入魂」精神で懸命に書いていらっしゃるパリスの姿が目に浮かびます。


【お茶の間観劇】1984年6月11日収録 アメリカンバレエシアター アットザメット ミックス・ビル

我が家のレーザーディスク映像が丸ごと動画サイトにあり鑑賞。私のレ・シルフィードの原点はABTなんです。
凛と颯爽とした妖精達のクールなコール・ドでマリインスキーの柔和なシルフとは正反対ですがこれはこれで良い!
30年以上前のABT、今観ても好きでございます。チェルカスキーにもうっとり。
ハメルたちのシルヴィアパドドゥは端正で美しく、衣装がまたお洒落。 そしてグレゴリーとブフォネスの
晴れやかで整ったパキータ、良いですわあ。ヴァリエーションにジャフィーやハーヴェイも!

【お茶の間観劇】ペルミ・バレエ団 ミロシニチェンコ版『ラ・バヤデール』

オシポワとアレクサンドロワが対決!これだけでも満足でした。オシポワは我が強そうであったが、ニキヤは異端児ですからこれはこれで良いのかも。


【お茶の間観劇】ミュンヘン・バレエ団 ガラ Gala mit Stars des Bayerischen Staatsballetts

ワイノーネン版くるみをすっきりした今風な衣装で披露したりとなかなかユニーク。
レイ・バラ版の『ライモンダ』3幕の衣装美術もまずまず。


※6月に入り緊急事態宣言解除。生での鑑賞が増え、少しずつ飲食量、戻り始める。


ボリショイ・バレエ in シネマ Season 2019 - 2020『ジゼル』

原典回帰なジゼルで埋れていた曲を掘り起こしたりしていても古臭さは感じさせず。
コバヒーゼがバチルド、母がセメニャカでベリャコフとザヴィンが対決ってオールスター感謝祭ですかい笑!!


陶器に入ったビールとバワンレバークネーデル(肉団子のきのこソースかけ)料理で乾杯。開店早々であったため、貸切状態でした。
それにしても、3ヶ月ぶりに公共の場で芸術鑑賞しかもこれまでのボリショイシネマで
最も終始集中してじっと見入る映像で終映後にはたっぷりのビール飲み干し、と久々の行為に身体もついていかなかったのでしょう。
酔いの回りが早く、帰宅後早々に就寝。自宅で焙じ茶飲みながらの鑑賞に慣れ切っていた管理人でした。


7月

【お茶の間観劇】パリ・オペラ座バレエ団ヌレエフ版『白鳥の湖』

2006年の来日公演で観ているが、主役が途中降板、転倒者続出で落ち着いて鑑賞できず。
衣装の緻密な刺繍にも魅せられ、頼りないジークフリートの憂鬱さをよく描いていると思わせます。
コール・ドの左右対称ではないユニークなフォーメーションも見所。

【お茶の間観劇】シュツットガルト・バレエ団 マーティン・シュレプファー振付Taiyo to Tsuki ジョン・クランコ振付『フルートとハープのための協奏曲』

フルートとハープは今年の配信での大当たりくじかも。男性ダンサーが大勢ずらりと並んで大真面目にクラシックのコール・ドを踊る作品。
これ、新国立にも合うはず。無理やりトロイゲームなんてやらずに笑。
女性の主軸を務めた森田愛海さんのくっきり美しい踊りも良かったです。


【お茶の間観劇】イングリッシュ・ナショナル・バレエ団 クリストファー・ウィールドン版『シンデレラ』

360度の舞台で行われた公演。舞踏会なんて万華鏡のような迫力で実際に観たくなりました。


【お茶の間観劇】キーロフ・バレエ団 コンスタンチン・セルゲイエフ版『眠れる森の美女』

今年はチャイコフスキー生誕180年、眠り初演から130年。
我が眠りの原点です。オーロラと言ったらコルパコワ!上品で慎ましく、派手さはなくてもこれぞワガノワ直伝の踊りで魅了です。
ヴィルサラーゼはボリショイの眠りも担当していますが、くすみ過ぎた色彩が好みでなく、
他のキーロフ眠り、ボリショイスパルタクス、ライモンダは歴史絵巻な迫力あるデザインでまことに好み。


【お茶の間観劇】シュツットガルト・バレエ団 マリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』

現在再配信中!?レイリーによる黒いドレスで縦横無尽に踊るカラボスが主役を凌ぐ活躍度。絵本のような装置も可愛らしい。バデネス、活発なお姫様はよく似合う


新国立劇場バレエ団「竜宮 りゅうぐう」~亀の姫と季(とき)の庭~ 7月24日(金祝)~7月29日(水)計5回(2回公演分中止)

約5ヶ月ぶりの公演開催。こどもバレエとは思えぬ装置や衣装にも凝ったスケールのある大作。
本来ならば東京2020に向けた日本題材作品であったが客席特に平日は常連ばかりが顔を揃えてはいたものの、
大型のバレエ公演再開の先陣を切ったことにバレエ界全体が勇気づけられたことと思います。
子供の頃に親しんだ浦島太郎が四季の移ろいに彩られた話であったとは!
そしてとにもかくにも、時代劇や時代小説を目にしては妄想を繰り返してきた、
夢であった渡邊さんの髷姿を拝見でき嬉しい限り。
古風な容貌に似合うとは期待を持っておりましたが違和感皆無でタイムスリップしてきたかのような、
まさにその時代に息づき生活する青年に見えましたです笑。
漁師ではあるが、幕末の道場にいてもおかしくない出で立ちでございました。うう、袴と刀が無い点が何とも惜しい~
公演開催が発表された6月下旬以降、毎日浦島太郎の歌をうたっておりました管理人です。


久々に劇場内レストランのマエストロへ。スタッフさん達もお元気そうで安堵、スパークリングワインで乾杯。
次の『竜宮』では是非ともマエストロ特製公演限定デザートがホワイエで販売されますように。
亀を模ったタルト、涼やか竜宮ゼリーパフェ、太郎のお団子(作品からして和菓子もありかと思います)、
甘味ではなくても太郎漁師の鯖押し寿司(一時期巻き寿司はあったと記憶)などあっても良さそうです。



海の生き物シリーズは崩さず笑、渡り蟹のパスタを選択。蟹の身もお出汁もたっぷりでした。



帰り、うどんでつるっと一杯。揚げたてがちょうど出てきたためイカもいただきます。



事前にチラシと構想図持参で依頼し、『竜宮』開幕と我が人生節目、
そして第3太郎の大きな節目もを祝して海の日に引き取った浦島太郎ケーキ。きりっとした目眉が特徴です。
地元ケーキ店のパティシエさん、凄腕です!


保管の都合上、誕生日ケーキ(詳細は7/23節目記事参照)から取り外し冷蔵庫にてお留守番していた我が家の太郎さん。扉を開けるたびに目が合いキリッとした視線に鼓動止まず笑
浦島太郎は優しい漁師だろうに、それにしては目が凛々し過ぎんか?これじゃまるで武士みたいだ、との指摘も受けましたが良いのですー。
真っ直ぐ帰宅し、前日夜公演にて笑ってしまうほど髷姿が違和感の無い、タイムスリップしてきた疑惑が大いに浮上した待ち焦がれた太郎さんの登場の余韻に浸り
物語にぴったりな銘柄の日本酒で乾杯。太郎さんそして付き人を務めたがっている執念深い笑蟹さん。


【お茶の間観劇】英国ロイヤル・バレエ団『眠れる森の美女』
直前の変更により金子さんがオーロラ登板。輝くばかりに美しくオーラは華麗、代役とはとても思えませんでした。ロイヤル眠りはそこまで好きでなないものの(日本以外ではロシアに走ってしまう…)観てよかったと思いました。


8月

【お茶の間観劇】第31回清里フィールドバレエ『白鳥の湖』

予定通りの開催、大掛かりな野外バレエの伝統を絶やさず開催でき安堵。
四羽の白鳥を手を離した状態の振付に変更。ドッカンと花火も豪華!


映画『剣の舞 我が心の旋律』

短時間で剣の舞を書き上げたハチャトリアンの半生を描いた映画。歴史の描写とバレエシーンの盛り込みも秀逸で、故郷アルメニアへの愛情も深い、そしてショスタコーヴィチとの関わりにも興味を惹かれる素敵な映画でした。


帰り、映画館近くにてウォッカで乾杯。ロシア映画の後には欠かせません。我が肝臓、今夏も元気でおります笑。


ルッコラに覆われたアヒージョ。


【お茶の間観劇】牧阿佐美バレヱ団 サマー・バレエコンサート 2020

角兵衛獅子初鑑賞。大原永子さん森下洋子さんが踊っていたとはどんな振付が関心を持っていたが、
古色蒼然とした趣はなく、高度なテクニックも入っていたりと見応え十二分。


大和シティーバレエ SUMMER CONCERT 2020 想像×創造 8月14日(金)《神奈川県大和市》

冒頭五月女さん渡邊さんのしっとり神秘的なルナティックに魅せられた夏の晩。
本島美和さんの死神に痺れ、渡邊拓朗さんの登場した瞬間から場を浚う力強い存在感もびっくり!!来春のバタフライ一段と楽しみに。


余韻に浸りつつ2019年の新国立ニューイヤー・バレエのときにも立ち寄ったノクターンへ。
ニューイヤーでの『レ・シルフィード』と同様、店名に惹かれずにいられず。


1人バーボンでしっとり静かに乾杯。公演を思い起こし、幕開けから美しうございました。
見えづらい写りですが、右上にはト音記号のフックそして左側には骸骨の置物がございます。本島さんの死神も嗚呼、感激。


【お茶の間観劇】白鳥バレエ『平家物語』ダイジェスト版

2016年にジゼル全幕を鑑賞した鹿児島のバレエ団。平家物語、祇園精舎の~の下りぐらいしか知らずに観たが、
眠りプロローグのような配置で男女の見せ場を持ってきたりととっつきにくさは無し。あとは我が教養の無さをどうにかせねば。


NBAバレエ団 Grace & Speed ― ブルッフヴァイオリン協奏曲第一番 / ケルツ 8月23日(日)《埼玉県所沢市》

春夏公演が多数中止となってしまったNBAバレエ団が急遽企画し開催。飛んで所沢してきました!
ブルッフのカラフルな魅力、ケルツの全員揃っての身体能力の高さ足捌きの素早さに今回も大興奮。


締め括りは呑んで日高屋、但し帰りがけ都内の店舗です。ご当地アルコールも勿論好きですが、ビールも舞台も生は良いものです。
埼玉精神、半日間は貫けたかと思っております。


9月

【お茶の間観戦】アルベールビル五輪のフィギュアスケート ペアとアイスダンス

エレーナ・ベチケとデニス・ペトロフによるくるみ割り人形グランパドドゥアダージオに乗せた、ひたすら美しく音楽を表現する滑りに魅せられ現在に至る。
より華やかであったミシュクテノクとドミトリエフ組よりも好みです。
フランスのデュシェネー組のサウンド・オブ・ミュージックよりひとりぼっちの羊飼いも牧歌的な楽しさで懐かしく鑑賞。
ポールさん、若い頃のベラルビさんに似ている気がするが


東京バレエ団 The Tokyo Ballet Choreographic Project 2020 9月5日(土)

8月開催予定のめぐろバレエ祭りを延期しての上演。大勢の振付家がチャレンジしているカルメンの曲を用いた岡崎さんの創作力に驚き、秋山さんの力強さにも拍手。


都立大学駅裏にて米国のクラフトビールで乾杯。コクやまろみも十分な味わいで内装もお洒落。


タコのセビーチェとポテトサラダも合います。


ヤングアーティスト オペラ&バレエ ガラ 9月12日(土)

アステラスの代わり企画。竜宮には出演していなかった小野さん福岡さんが待望のオペラパレス復帰、おかえりなさいと聞こえてきそうな拍手で迎えられました。
オペラはよく分からなくても、ホフマン舟歌やこうもりなどバレエ好きにも馴染みある好きな作品を生で聴けて贅沢な気分。


2月末の『マノン』以来の訪問、ビールで乾杯。1杯にとどめましたが十分。


東京バレエ団 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』 9月13日(日)

東バのこどもバレエは初鑑賞。ぱっと明るいパステルカラーの妖精さん達が可愛らしく、足立さんの軽やかで愛らしいフロリナも見事。
背景は一昔前の少女漫画っぽかったが、楽しい眠りでした。


管理人には似合いませんが笑、ブルーが鮮やかなクリームソーダ。フロリナ王女も白雪姫も上品な青い衣装を纏っていました。
クリームが溶けて炭酸の刺激が中和されていきます。
基本甘味炭酸飲料は昔から苦手でワシントンD.C.へ行く機内にて「スプライト」の味を知らずにうっかり選んでしまい、
一口含んだだけでむせてしまったほど。


三鷹の森ジブリ美術館企画展示 『手描き、ひらめき、おもいつき』展 ~ジブリの森のスケッチブックから~

くるみ割り人形原点に立ち返った作品展が忘れられず、くるみ展示も少しあると知り自転車漕ぎ漕ぎ行ってきました。
宮崎さんはねずみの王様も主役と捉えていらっしゃり、つまりイーグリングさんと考えはよく似ています。


テラスにて風の谷ビール。平日昼下がりのアルコールほど、優越感に浸る瞬間はないかもしれぬ。


東京バレエ団『ドン・キホーテ』9月26日(土)昼公演

7月上演予定を延期して上演。久々のオーケストラ演奏付き全幕バレエ堪能。突き抜けるような陽気な賑わいのお祭りワッショイな演出、
セギデリアで大団円フィナーレも楽しい。


帰りは上野駅前のスペインバルで乾杯。以前に比較するとかなり空いていたが
1人でもふらりと入店できワイン1杯からでも歓迎と明記されているため利用しやすい。
やはりドンキの気分爽快な展開及びズンチャッチャ音楽、良いものです。このご時世一層愛おしく感じます。
本当はサンチョもびっくりな食いしん坊の管理人ですが(体型ではなく耳と目が肥える日は到来するのだろうか)、今回はワイン1杯とおつまみ2品でお開き。


DAIFUKU vol.6 Strong.B 9月27日(日)夜公演

3月上演予定を延期して上演。間近でダンサーたちが踊りまくる迫力はスタジオ上演の醍醐味でしょう。
某アルファベット作品へのオマージュも、小柴さんが身体を張って熱演笑。


中華街にて紹興酒


海老チリ定食、ご馳走様!


10月

牧阿佐美バレヱ団『眠れる森の美女』 10月3日(土)

ウエストモーランド版眠り全幕は初鑑賞。プロローグの瀟洒で凝りに凝ったデザインに驚き、妖精たちの絢爛たる衣装は何度双眼鏡で眺めたことか。


ほんのり甘さも香るローズビールで乾杯。眠りの設定からはだいぶ現代寄りですが、ヴィクトリア調の内装もお洒落です。柱も見えます。


Kバレエスタジオ34th CONCERT 10月4日(日)《大阪府豊中市》

恵子先生作品を大人数で踊る上演は来年に延期、その代わりにコンクール用等に作られた、
一般客の目に触れる機会が少ない作品をリレー形式で上演。
ポップなものから凶暴さを秘めたものまで、恵子先生が教え子と真剣に向き合い魂を込めて作っていらっしゃる様子が目に浮かびました。
そして、受付に山本隆之さん!!チケット手渡す所作も美しうございました。


新幹線にて朝、もうビール開けております笑。



日本橋(にっぽんばし)近くのお好み焼き名店おかるにて、通天閣を描いてくださいました。タコ玉、ぶつ切りタコがたくさん入っていて美味しい。


帰り新幹線内で1人宴会!


映画『ミッドナイトスワン』

直視できぬ場面やバレエの上達が早過ぎる展開もあったが、服部さん演じる一果の閉ざした心や、徐々にバレエへと目覚めていく様子はリアリティあり。
レッスンで流れる曲がエチュードやライモンダのグランパクラシックコーダなど、ツウ好みな選曲。
(バレエ監修や音楽監修に千歳美香子さんや蛭崎あゆみさんが名を連ねています)
当ブログにて一番アクセス数の多い記事となりましたが、数々のバレエイベントの司会もなさっている新居彩子さんが見つけてくださり、
ツイッターに載せてくださったおかげでございます。ありがとうございました。
ちなみに新居さんは私が人生初、クララと金平糖を異なるダンサーが踊る版のくるみ鑑賞時にクララを踊っていらっしゃいました。

そして草彅剛さんのファンの方々の間でも反応がおありだったとのこと。ありがとうございます。
そして昨日はおめでたいニュースが報じられましたね。
25年ほど前はSMAPのメンバー出演のテレビドラマはよく観ておりましたので、語れまっせ笑。
草彅さんが花屋の青年役でご出演の1995年放送『まだ恋は始まらない』ほぼ全回視聴いたしましたが、この作品が好きとのお声、周囲では未だ聞いたことがない笑。


TOHOシネマ新宿からの帰り道、行ってみたいと思っていたカレー店FISHにて3種コンボカレーとカクテル南インドの風で乾杯。
ココナッツのまろやかさとピリ辛度の比率が絶妙であった白身魚カレーの味が特に気に入りました


Kバレエカンパニー『海賊』10月18日(日)

ふと無性に行きたくなり、当日キャンセル待ちに並んで購入。(待っている間、
来年開始の熊川さん監修ドラマのカンパニーの原作を読んでおりました)
中村祥子さん、遅沢佑介さんの区切り公演で最後は総立ち。揃ってベテラン陣が脇を固め、Kバレエの海賊がこんなに面白い演出とは驚きの連続でした。こりゃアリの物語ですなあ。


帰りはギリシャブランデーで乾杯。内装が古い書斎のようで、立派な船舶の内部にも思える空間。


タコのカルパッチョとも合います。熊川さん監修来年1月開始のNHKBSドラマ『カンパニー』も楽しみです。
原作途中まで読みましたが、2006年のパリ・オペラ座来日公演での驚きの出来事に似た光景など、親しみ深い場面展開が綴られています。


新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』 10月23日(金)~11月1日(日)計7回

5月上演予定を延期して上演。そして吉田都監督体制始動第一弾。何度観ても壮観、バジル6人!しかも誰一人似たりよったりが無く、
街のリーダーから華やか美容師、3色ポールが見える生真面目床屋、愛される弟分まで個性様々!!
酒場テーブル観察は毎回楽しうございましたー。



初日を観に来た当ブログレギュラー大学の後輩と。米沢さんのファンで、大満足の舞台だった様子。
会った知人からは随分と可愛くスタイルの良い人、と必ずと言って良いほど声がかかる、華のある容姿且つ性格も文句無しに良い後輩で
幼少期から存在感埋没人生を歩む管理人とは正反対。羨ましうございます。


お世話になっている方とスペイン料理店へ。「バルセロナ」との名称が付いたサングリアでまずは乾杯。赤い内装がまたスペインらしい。


海老のアヒージョに白ワイン、止まりません。


これも食べてみたかった魚介のパエリヤ。具沢山、豪快です。


ムンタギロフがお好きな人生の先輩ことムンタ先輩に2月の『マノン』以来再会。
渡邊さんの髷姿を楽しみに『竜宮』最終日をご覧になれそうでしたが直前に公演中止となってしまい久々の新国立でのご鑑賞です。
31日の夕方以降ちょうどご予定が空き、ボレロにお名前もあるからと楽しみにいらしたそう。ご堪能いただけて安堵しております。

最終日こちらへ、カウンセラー友人と。無事完走に乾杯。お互い7回全て鑑賞の身でございます。


最近4種のカレーも加わり、ビーフカレーをいただいてみました。辛過ぎず、しかしスパイスがよく効いています。
管理人、カレー食べ歩きも趣味の1つです。


量たっぷりサングリア。アルコール度数も高めな印象。


11月

新国立劇場バレエ研修所公演 バレエ・オータムコンサート2020 11月8日(日)

フレッシュな魅力全開。ダンサーへの道のみならず、プロになってからも舞台開催までもが危ぶまれる世の中になってしまったが、めげずに頑張って欲しいと願います。


帰り、カウンセラー友人と。カレー、しっかりとスパイス効いていて美味しうございます。
初めて呑んだクラフトハイボールにはローズマリーらしきものも入っていてお洒落。締めはビールでございます。


新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』札幌公演11月14日(土)15日(日) 《札幌市中央区》

感染者が急増する最中、ぎりぎり滑り込みで上演。札幌の観客の反応がとにかく良く、喜びの拍手喝采。
3時間半に及ぶ長丁場ながら特に2日目は客電ついても観客帰りたがらず拍手鳴り止まず。
来てくれて良かったとのお声があちこちから聞こえ、東京から行った私も胸がじんとしました。
渡邊さんの青い鳥、跳躍1つで舞台に華やぎを与え、客席もだまっちゃいられず(勿論潜めた声ですが)どよめく反応が聞こえたほど。


昨年に続き訪れたジンギスカン店ひげのうしにて、いざジンギスカンお一人様プラン。
また来年も来ると誓ったお店で、無事果たせて一安心。
東京でも焼肉店に行った経験がこれまでの人生で3回しかなく
しかし七輪と鉄板両方を1人で駆使して焼く作業も楽しい限り。
サッポロクラシックと一緒に乾杯!
3種が選べるプランで、グレインフェッドラム・塩ラム・昔風味付けラムを選択。

詳細はこちらをご参照ください。http://www.higenoushi.com/menu/menu_04.php


花に囲まれて、花が散らされたモンブランをいただきます。眠れる森の美女な世界が広がる静かな隠れ家のようなお店で、目にも舌にも甘い香りが行き渡ります。
お茶も多種あり、和紅茶を選択。オシャレなグラスで提供です。
当ブログでの宣伝効果は皆無に等しいのは重々承知しておりますが 来年新国立札幌公演があれば関係者の皆様も是非!
店名はBy S、パフェメニューも多種用意あり。狸小路近くの立地で、詳細はhttp://instagram.com/by_s.sabo をどうぞ。


空いている時間帯できれば朝一に訪れたいと思っておりました。
朝はコーヒー割引サービスあり。そして昨年訪問時は前夜の大舟盛りお刺身とラーメンメドレーで満腹になり過ぎ翌朝はコーヒーしか胃が受け付けず、今年こそは甘味を食べようと決意しておりました。
夢にまで見た、切り口も美しいイチゴのスクエアサンドイッチ。生クリームが濃厚ながらも上品な後味。



今回は日頃からお世話になりっぱし、そして当ブログ初登場
英国文化に造詣の深い人生の先輩をお連れし、先輩はソフトドリンクで、管理人はビールで乾杯!
お刺身が厚切り、大振りで自称前世はアザラシである我が身としては嬉しい。
昨年の1人酒場訪問に驚いていらしたが、そういえば2017年のくるみ割り人形びわ湖公演帰り、大津駅への道中にて見つけたショットバーな雰囲気の店に
カウンセラー友人を連れてズカズカ入っていく行動に友人もびっくりしていたと記憶笑。


地酒を少量から味わえる点も気に入り、不思議の国のアリスのDRINK MEを思わせる小瓶で提供。グラスの精細な模様がお洒落です。
ああ返す返すも、今年の6月は東京、東京、名古屋、群馬と毎週アリス鑑賞の予定であったのだ。
アリスの着物イベントにも参加予定で大柄なハート模様の和モダンな赤い着物を着て出かける計画であったのだ。
そして英国文化の先輩とも、新国立初演時のファーストキャストジャックまた観たいと再度意見合致。
そういえば、お皿もラベルも群青色でイーグリング版の地雷級(失礼)青い鳥の色に似ており
縁起良し。案の定翌日の青い鳥さん、見事な飛翔でございました。


これが食べたかった、3ヶ月以上前から2020年北海道の締め括りとして計画していた開高のカニだし味噌らー麺、勝手に付けた通称は蟹さんラーメン。
蟹も札幌公演無事終演を祝するかのように、サインはV!
お若い方はご存じでないと思いますが、1970年頃に漫画をもとにドラマ化映画化して一世を風靡したバレーボール作品です。同名の主題歌も耳に残ります。
蟹さん鋏の中に身もぎっしり詰まっており、蟹座としては殊更喜ばしい新国立札幌公演眠れる森の美女における最後の晩餐でございます。


三島由紀夫没後50年 東京バレエ団「M」11月21日(土) 《横浜市》

予習なしで行ってしまったが、繊細な日本の美しい要素を連ねた作風で興味津々に鑑賞。


大さんばしターミナル内のカフェにて、海を眺めながらスパークリングワインとピスタチオブリュレ。
粉砂糖が雪化粧を思わせます。県民ホールすぐそばです。1人でしたが予約して正解でした。
ピスタチオは大好物で、自宅にて食する際には敷いた広告に殻を置きながらリスの如く延々と食べ続けてしまいます。


新国立劇場ダンス公演『Shakespeare THE SONNETS』シェイクスピア「ソネット」11月28日(土)

ベラルビ作品での狂おしさや妖しさを滲ませる難役を映像で観た限り期待を高くしていたが、暗闇に近い静かな空間にて、
色味を変えながらシェイクスピア文学の役を複数役踊り演じる渡邊さんの、予想を遥かに上回る内面の描写力、表現力に慄くしかなく
呼吸困難になりかけたほど。小野さんと呼応する緊迫感、生々しい官能美にも恐れ入った。
渡邊さん、より感情を露わに狂気に突っ走るかのように抉ったエイフマン作品もいけるんじゃあないだろうか??観たいぞー!!!!
夢は風船の如く膨らんでおります。


久々に自宅にて乾杯。度数の強いものを欲したくなります。


板東ゆう子ジュニアバレエ 11月29日(日) 《愛媛県西条市》

当初は25周年大掛かり企画の予定でしたが来年に延期。しかし小作品中心でも開催できて良かったと、
出演者観客双方の晴れやかな表情にこちらも元気に。フィナーレのアニメ鬼滅の刃主題歌紅蓮花はパワフルで疫病退散に効きそう。
そして何より、今年初めて山本隆之さんの舞台を拝見できううう感激。神ですわ。



伊予西条駅に到着、西条市では初めて自転車レンタル。駅前の観光案内所で受け付けています。
そして自転車を漕ぎ漕ぎ、西条市総合文化会館前を通り過ぎて西条港線通りを直進して約20分。
食してみたかった、マルトモ水産の海鮮丼でございます。一切れの厚みが大迫力です。自称前世はアザラシである管理人、あっという間に平らげました。ごちそうさまです。愛媛らしく、鯛や柑橘類ものっている点も地元らしさが感じられます。



湯上がり道後ビールと鯛の舟盛り。山本さんは神であった、お召しになっていた衣装と似た色合いのビールで乾杯!!
シンプルな衣装でしたがだからこそ、かえって生来の美しさが引き立つのでございます。
そして舟盛りを前に満悦の管理人、昼も夜も浦島太郎のような食事である。


映画『10万分の1』

ミッドナイトスワンの予告で美しい映像に魅せられ、また俳句やメロンパン、タイムリーな愛媛色、と理由多々あり鑑賞。
行動的な若い人が突然ALSに発症したときの恐怖や生活の支障をきちんと描いていて、単なる純愛話ではない作品でした。
中高生に人気ある方々がご出演だったようで、公開日がテスト期間直前?に重なり更には新宿TOHOシネマ始め
1週間で上映終了の都心部の大型劇場もいくつもあり、動員に苦戦しているのではと想像。(舞台挨拶日は売れていたもよう)
動画サイトに上がっていた、映画の公開記念と宣伝を兼ねたTikTok?(時計ではないため、チクタクではなくティックトックと読むらしい。
コメント読む限り観ている世代としては管理人が最年長か笑。昭和世代がいなそうであった)映像を見たところ
もうすぐテストですといったコメント多数。学校のテストなんぞ太古の昔状態にある管理人は気づかんかったが、
観客の世代に合わせての公開タイミングは大事だなあ。受験生は鑑賞できそうにないぞい。


映画に登場する重要な食べ物の1つが、莉乃の祖父(奥田瑛二さん演じる桜木春夫)が作るオムライスでした。高校生が主役の作品を観た帰りですが、白ワインで乾杯。
グラスの中を覗くと花が開いたような形状で、ふと塩入れを見ると、マクミラン アリスの文字。
『マノン』中断と『不思議の国のアリス』群馬、愛知含む全公演中止が過ぎり早々にバレエへ回帰。


新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』 12月12日(土)~20日(日) 計7回

4年連続上演、何だこりゃなステップ詰め込みも多過ぎるリフトも至高の熟成感と思わせる新国立の底力に拍手。
長野、滋賀、札幌と全国公演含め約30回鑑賞し、ようやく愛着が沸いてきた。(遅い笑)
リーマンに続き世界規模の大厄年の年女となったが、渡邊さんねずみ王観て子年で良かったと思えた2020年でございます。
(山本さんも子年でございます~)
軍服甥っ子、凛々しく端然とした立ち振る舞いにも目が心臓印!!!


大好きなダンサーによるねずみ王を観た後に食すチーズケーキは誠に美味しい。ずっしりと重ためのケーキで、長めのお皿の形状やケーキの色合いからしてねずみ軍のチーズ大砲を彷彿させます。
ねずみ王、指示を出す前に閃いたと言わんばかりに頭の横にて指でピカッと光らせるようなマイム、面白過ぎでした。お茶目にもほどがある笑。
そして管理人、12年前のリーマンショックに続き干支一回りした今回も世界規模な厄年の年女となりましたが、ねずみ年で良かった。


13日(日)帰宅後、夜公演のくるみ王子の余韻に浸って、いただいた林檎と胡桃のトルテを自宅にて白ワインで乾杯。(お皿の上が少し寂しいため、市販の胡桃を散らしてみた)
士官学校卒業生の鑑の如き清廉潔白そうな甥っ子、軍服がたいそうお似合いでございました。


大好きなダンサーによるねずみ王を観た後に食すチーズの美味しいことよ。


白ワインはドイツ産。そしてチーズの地図(駄洒落ではない笑)お皿が可愛らしい。店員さんがフランスにて購入されたとのこと。
フランスの地図を目にすると真っ先に見つけるのはトゥールーズ周辺です。今宵(金曜日夜)のねずみ王に敬意を。


くるみ割り人形鑑賞後に行く旨を予約時に伝えていたためか赤ワインもドイツ産を出してくださり、後輩はお洒落な葡萄ジュース。


スパークリングワインの黄金色、グラスの形も1幕パーティーを彷彿。
降り積もる雪に重なるシュレッドチーズが乗った牡蠣パスタはクリームソースに牡蠣の出汁が行き渡っていていくらでも口に入りそうです。チーズがふわりと溶けていき、そして管理人はこの日(後半土曜日)の夜の王子に蕩けるのであった。



後半日程土曜日夜公演の王子、和顔でいらっしゃるためか日本酒スパークリングワインでのお祝いも合い、余韻に浸れます笑。


後輩がくれた、ホットワイン。シナモンやクローブが入っていて温まります。
スパイスイープラスにて、渡邊さんによるトゥールーズのキャピトル・バレエ在籍時の劇場前クリスマスマーケットの思い出をインタビューにては拝読したばかりでしたので
カップの柄もタイムリー!自宅にてマーケット気分です。
年の瀬はしばしば大阪の川上恵子バレエスクール発表会に出向き 、梅田スカイビル前のクリスマスマーケットに行っておりましたため懐かしさも込み上げます。



締め括りはこちらで。今年も大変お世話になったお店にて9公演無事完走に祝杯。新国立劇場の皆様、2020年もありがとうございました。



最後になりましたが手短に。年内最終日更新の長い記事を、そして本年も当ブログをお読みくださった皆様、誠にありがとうございました。
飲食の嗜好と異なり益々偏食路線を辿る素人目線な内容ばかりですが、来年2021年のお越しも心よりお待ち申し上げます。
まだ不安が尽きぬ日々でございます。皆様どうかお身体にお気をつけて、良いお年をお迎えください。

2020年12月31日 アンデオールバレエ日和2 管理人