2020年10月2日金曜日

熱量充満の空間 DAIFUKU vol.6 Strong.B 9月27日(日)夜公演





9月27日(日)、横浜市のTHE HALL YOKOHAMAにてDAIFUKU vol.6 Strong.B夜公演を観て参りました。
新国立劇場バレエ団や小林紀子バレエシアターでも長らく活躍されていた大和雅美さんと
新国立劇場バレエ団ファーストソリストの福田圭吾さん監修企画で、今回で6回目。毎回新鮮味を与える企画で楽しみにしている公演です。
3月上演の予定が延期となり無事9月末に4回公演全て完遂、安堵いたしました。
https://www.angel-r.jp/event_ar/daifuku/daifuku-vol06/27087/


1.opening
大和雅美 /福田圭吾/福岡雄大/梶田留以/木下嘉人/速水渉悟/小柴富久修/福田紘也
東菜摘子/阿部美絵/上原理沙/内山陽瀬/川澄藍/澤田知里/島田亜紀/高橋里奈/中野百花/原田奈津子/繁昌楓

2.rice cake stuffed with…
大和雅美/福田圭吾

3.Enchant(e)
木下嘉人/速水渉悟/小柴富久修

4.Scramble
大和雅美/福田圭吾/福岡雄大/梶田留以/木下嘉人/速水渉悟/福田紘也
東菜摘子/阿部美絵/上原理沙/内山陽瀬/川澄藍/澤田知里/島田亜紀/高橋里奈/中野百花/原田奈津子/繁昌楓

5.conecting people
梶田留以

6.“b” 福田圭吾/福田紘也

7.あいう
小柴富久修/HIRONA(ゲストミュージシャン)

8.witz[振付 矢上恵子]
HIRONA(ゲストミュージシャン)
福岡雄大

9.Yoki
東菜摘子/阿部美絵/上原理沙/内山陽瀬/川澄藍/澤田知里/島田亜紀/高橋里奈/中野百花/原田奈津子/繁昌楓

10.remember
福岡雄大/梶田留以

11.solo
HIRONA(ゲストミュージシャン)

12.assemble
全キャスト


オープニングは全員登場。ランウェイのように迫り出したT型舞台を生かし、特設舞台の両脇や奥の出入口からもダンサーが次々と現れ
全員黒めの衣装で統一。スタイリッシュな幕開けでした。今回客席は360度ではなく舞台を半円で囲む形で、
舞台近くでなくても場所問わず所狭しと眼前に現れて踊るときも度々あり、どの席からもスタジオ開催ならではの近距離で堪能。
最前列席席での鑑賞者用にフェイスシールド配布も頷ける近さでした。

恐らくはDAIFUKU初登場の梶田さんの可動域の広さしなやかさには大仰天。顔つきは涼しげながら全身がこれでもかと自在に動き操る身体能力は瞬きも惜しいほどで
男前かと思えば一瞬にして色っぽさも見せるなど、めくるめく変化を見せる身体の表情から目が離せませんでした。
福岡さん梶田さんのデュエットも実に新鮮で、静けさの中から沸々とせめぎ合うパワーを放出。

注目度の高い作品の1本であったのは福岡さん福田圭吾さんがダブルキャストで披露した師匠矢上恵子さん振付witz。
元々は福岡さんのために振付けられたそうですがローザンヌ国際バレエコンクールで圭吾さんが踊ったことがきっかけで
メイクが似ているからか「アトム」の愛称と共に瞬く間にお茶の間に広まり、圭吾さん用に振付けられた作品と思っておりました。
低姿勢からの予期せぬ跳躍やギリギリのバランスが息する暇もなく繰り出され、10代の頃にコンクールで踊った作品を現在も踊り切る力に脱帽。
生来の身体能力に加え相当な訓練を積まねば習得不可能であろう過酷な振付ですが
昨年春に逝去された恵子先生も空の上から両腕を組みつつも喜びながらご覧になっていたに違いありません。

機会があるようでなかなか無い福田圭吾さん紘也さん兄弟デュエットも面白く、リフトも用いながらコーラのペットボトルを静かに奪い合い
いつの間にかリレーのように繋げて行く運びで、思わず笑いそうされど真剣さは不変であるため境界線辺りで鑑賞。

そして出ました、毎回何かしらやってくださる小柴さん。今回は出で立ちはバレエ学校の生徒さんの如きシンプルな格好で登場。
何が起こるかと思えばG線上のアリアが流れる中で題名の通り五十音順であ、い、う、と発音が始まり、
各々の文字が付くポーズやテクニックを恐らくはHIRONAさん?が低い声で発音し小柴さんが体現。
そうです、近年ではマリインスキーのガラや今年のアリーナ・コジョカル ドリーム(救済)プロジェクトでも上演された作品の日本語版です笑。
マリインスキーガラではパリッシュ、コジョカルプロジェクトではコボーが踊る姿を鑑賞しましたが
小柴さんは肩の力も抜かず生真面目一直線でこれはこれで笑いが止まらず。肉体張る熱演でした。
気になったのはあ、い、う、と発音していたのやや高音の男性はどなたか、そして「よ」は「米沢唯」でチャコット広告での勇ましい跳躍ポーズまで再現していましたが
本人から許可を得たのか笑、想像を巡らすと一層楽しくなる作品でした。

クラシックもコンテンポラリーもお手の物な木下さんは何処を切り取っても職人芸な姿で見せ、近距離で観てもコントロール力が圧巻。
速水さんのこれ見よがしな決め顔(褒め言葉)にも相応のパワフルに斬り込んでくる踊りやオーラも好みは別として(失礼)あっと驚かせるものがあり
今月末に控える新国立劇場バレエ団公演全幕主役デビュー『ドン・キホーテ』バジルはさぞお似合いでしょう。
きびきび颯爽と舞台を彩るオーディションで選抜された女性ダンサー達のレベルも高く、休憩無しであっても冗長な箇所は皆無で瞬く間の終演でした。

それから初めて生で聴いたHIRONAさんのビートボックスの迫力、口1つで多彩な音楽を奏でてしまう技術もインパクトが大きく
呼応するダンサーの肉体がより前面に押し出していた印象です。

3月の上演が半年先に延期となっても開催できるか否か先が見えぬ中で準備を進めてこられたと思うと特に座長の大和さん福田圭吾さんの胸中は計り知れず
押し潰されそうな不安に悩まされていたのは想像に難くありません。
4月の毎日新聞に掲載された圭吾さんへのインタビューで、手掛ける舞台が中止に追い込まれた同じ状況下にいる方々を案じていらしたご様子からは
いたく優しいお人柄が伝わり、上演に漕ぎ着けたことに心から安堵。これからも継続開催して欲しく、次回も心待ちにしております。



港のヨーコ、横浜港にて。横浜は何度も来ておりますが横須賀は2013年の東京バレエ団公演以来ご無沙汰中。
馬蹄形が美しいよこすか芸術劇場もまた行ってみたい劇場です。



黄昏時もブルーライトな夜景も今回は鑑賞せず。五木ひろしさんといしだあゆみさんの名曲はまた次回に。



昼公演も鑑賞した友人達から感想も聞きつつ帰りは中華街にて紹興酒で乾杯。


のんびり寛げるお店で、定食はこの他水餃子に杏仁豆腐、食後には中国茶のサービスまで付いて満足でございます。

0 件のコメント: