2020年1月28日火曜日

清泉ラファエラ・アカデミア2019年度春期秋期/来期のテーマはパリ・オペラ座




暫く更新が滞っており申し訳ございません。ロイヤルシネマ鑑賞や福田一雄さんによるバレエ音楽講座
そして贅沢な有酸素運動等当方におけるバレエの話題も溜まってこれから整理して綴って参る予定でおりますが
まずは継続受講しているこちらから。五反田の清泉女子大学で開催されている生涯学習講座
バレエ評論家の守山実花先生が講師を務めていらっしゃるラファエラ・アカデミアーバレエへの招待ーを
2019年度も春期秋期ともに受講いたしました。守山先生の講座はラファエラの数ある講座の中でも長寿で今年で開講20年。
受講者の鑑賞年数やバレエ団、ダンサー、作品の好みも千差万別ながら
初心者に分かりやすく、ベテラン鑑賞者にとっても新鮮な発見連続な内容を毎回伝えてくださる先生の魅力が尽きぬからこそ
長期間続き、初期の頃から受講されている方もいらっしゃるのでしょう。
https://www.seisen-u.ac.jp/rafaela/lecture/details/201923.php

今回のテーマは20世紀における時代、社会とバレエの関係について。中学生の頃学業で唯一関心を持っていたのが
現代史であった管理人にとっては、バレエと組み合わせての講義と考えるだけで胸が高鳴った次第です。
まず、ソ連独自のドラマ性に富んだバレエ確立に興味津々。
『パリの炎』映像の現代と1950年代頃?の見比べも面白く、一昔前の映像を観ると
画面からダンサーが飛び出してきそうな錯覚を与えるほどはち切れんばかりに情熱が迸り
良くも悪くも規範からのはみ出し必須な踊りと表現で圧巻でした。
『バフチサライの泉』でのマイヤ・プリセツカヤとガリーナ・ウラノワ競演と韃靼人の群舞に再度感嘆するしかありません。
現在進行形のバレエとしてはコンテンポラリーの取り入れに触れ、『眠れる森の美女』3幕グラン・パ・ド・ドゥと
フォーサイスを踊るギエム比較では、身体の操りの違い一目瞭然。いったいどんなケアをしているのか気になりましたが
当時以上にコンテンポラリーの比重も大きくなった現在、クラシックと両方に対応できるよう
そして怪我なく両立させるためのケア方法が更に進化していると窺えます。

古典は古典でも、近年は単に王室万歳な趣きでは終わらず。『白鳥の湖』では
明記はされていないが英国王室のスキャンダルを基盤にしたオーストラリアバレエ団のグレアム・マーフィー版を観ると
世相の関係でどうしても思い出すヘンリー王子王室離脱はさておき、今鑑賞しても大胆な解釈。
2007年の来日公演にも足を運びましたが、英国でも受け入れられたと知った際には
スキャンダル含めて王室に寄り添っているのであろう国民性に驚いたものです。
ただほんの13年前ながら細かな振付が記憶から飛び気味であるのは、最も引き込まれた役柄が主役でも群舞でもなく
子供ながら背中から哀愁を漂わせ、舞台後方で静かにじっと釣り人を演じていた子役であったため。
恐らくは東京バレエ学校の生徒さんであったと思われますが、竿を持つ姿や糸の調子の確認作業もいたく自然で
途中で女の子がやってきて身を寄せながら湖を眺める光景は映画『小さな恋のメロディ』を彷彿。
脇役でも一切手を抜かぬ子供ながらにプロ顔負けの心構えに仰天し
気づけば主役を軸にした物語の進行を殆ど見届けぬままであったのでした。
ところで管理人、釣りの経験が無いにも拘らずなぜ釣り人の子供に惹かれたのか。
山田洋次監督が手掛けた、日本映画を代表するシリーズ作品の影響か苗字を名乗ると
しばしば親族身内に釣り好きの男性がいると昔から疑われていたのは
のちの豪バレエ来日公演鑑賞予兆であったのか定かではありませんが、それは横に置いて次行きます。

一見純古典な衣装装置であっても国王の葬儀から描き、王室礼賛な雰囲気がほぼ無く
黒を基調とした衣装装置美術に彩られ何処か陰鬱な印象を残すピーター・ライト版も少し鑑賞。
今秋新国立劇場バレエ団が採用する作品ですが、吉田都さんも主演を務めた1989年のサドラーズウェルズ来日記事は
繰り返し眺めておりましたが2015年のバーミンガム来日公演でも鑑賞しておらず実は映像で目にしたのも初でございます。
『白鳥の湖』といえばお祭りわっしょいな祝祭感や終盤には王子による羽根捥ぎ取りと必殺連続回転跳躍で悪魔を追い詰めて倒す
勧善懲悪明確なセルゲイエフ版を好んでいるため、いくら王子の感情を事細かに描いているとはいえ
葬儀から始まる版なんぞ好きになれそうにないとつい最近まで、新国立劇場バレエ団の来期上演作品一覧を眺めながら思っておりましたが
映像で観てみると、王妃を避けたがったりベンノに駆け寄ったりと兎にも角にも王子の感情表現が想像以上にまあ細かい。
踊るテクニックのみならず心の機微の表現に相当卓越した人でないと場を持たせるのが非常に困難な役柄であると分かり
そう考えると現時点で決定の新国立10月24日(土)夜公演のジークフリード王子、ぴったりであろうと捉え
案外好きになるプロダクションかもしれぬと映像にお姿を重ねつつ考え転換。
人間とはかくも単純で身勝手な生き物であると2020年も再確認でございます。

世界各地の同一作品レパートリー化や移籍増加等、現代特有のボーダーレスな動向や
クリストファー・ウィールドン『不思議の国のアリス』を例に、共同制作によって瞬く間に伝播し
短期間にあちこちのバレエ団においてレパートリー入りする素早さにも納得いたしました。

来期のテーマはパリ・オペラ座バレエ団。未だヌレエフ世代で時が止まっている管理人、
今春の来日公演は今のところ鑑賞予定はなく(当初の発表通りヌレエフ版ライモンダ上演なら勇んで通い詰める決意であったが)
ロシア系のバレエ団に比較すると我が鑑賞回数は少ないバレエ団であるからこそ
世界最古のバレエ団成立から現在に至るまで、しっかりと学んで参りたいと思っております。
パンフレットは既に刊行され、内容は来月初旬にホームページにて掲載されるもようです。



追記:ラファエラバレエへ招待講座20周年記念と題しまして。
20年前当時の管理人の年代など様子の詳細は想像にお任せし、バレエオタク街道を歩み始めてから10年が過ぎた頃で
2000年問題が何事も無く終わり、インターネットは普及していたもののスマートフォンは無く
docomoのカラーiモードが出た云々話題となっていた時期。バレエ界での最たる重要出来事は
新国立劇場バレエ団において山本隆之さんがパトリシア・ニアリーさんの抜擢により
『テーマとヴァリエーション』での主役デビューでしょう。のちに新国立劇場に通い始めてすぐ
雑誌のバックナンバーを探し、当時の記事も勿論大事に保管しております。
さて20年前は管理人、携帯も持たずインターネットにも触れずバレエの情報も書籍頼みでしたが
当時ダンスマガジンやクララと合わせて読み続けていたバレエ雑誌の1冊が
数年後には休刊となってしまった音楽之友社発行のBallet。
ダンスマガジンよりも親しみやすい記事が充実し、表紙は私服姿のスターダンサーが飾っていた点も特徴でした。
守山先生のお名前は既に存じ上げており、中でも数多くのダンサーへのインタビュー記事は毎回楽しみに待っていたものです。
ダンサーから引き出される言葉は勿論のこと、合間合間に先生による
当のダンサーの受け答えにおける表情や仕草の細やかな描写がまことに面白く
中でも一際強烈であったのがパトリック・デュポン。
日本語も堪能でややせっかち!?なデュポンのペースに巻き込まれていきながらも
注文したメニューを店員さんに確認したり、ファッションを自慢したりと
次々と繰り出されるスターダンサーの行動の様子をも事細かな解説で読者を案内。
こんなにも個性が強いダンサー相手にインタビューをなさっている
守山さんとはどんな方なんだろうかと気になっていたことは今も覚えております。

それから約13年後の2013年春、ラファエラを受講開始。その期のテーマは『ライモンダ』でした。
バレエ情報入手を書籍に頼っていた頃、最も好きな作品ながらチャイコフスキー三大バレエに比較すると圧倒的に文献は少なく
あったとしても簡素な作品解説程度。ようやく見つけたのが
先にも挙げた雑誌Balletでの連載、バレエを読み解くシリーズの作品解説だったのです。
大学で美術史を専攻なさっていたご経験を生かした
絵画を例に示しながら掘り下げての『ライモンダ』解説で、文字も数ページに渡って凝縮。
いたく喜ばしい思いで読み耽けていたのは言うまでもありません。
この作品について語り出すと我が口煩い性格露呈となるため
先日の英国ロイヤルシネマ・トリプルビル鑑賞にて違和感を覚えたが故に
再度読み進めた旨も含め、次回あたり感想にて綴って参ります。



以下、アド街ック天国にも登場していないであろう五反田食いしん坊万歳。
※タイムリーなことに2020年2月1日(土)放送、再びテーマは五反田とのこと。管理人、視聴決定。
今期もほぼ毎回通いました、大学地下の清泉カフェ。こちらはほっくりとしたバナナケーキ。


受講者の方の分と並べて、マーブルケーキ。飲み物とセットで350円位から購入できます。
この日はアイスコーヒーを選びましたが、深煎りと思われ苦味が強く濃い目に淹れたホットコーヒーもお勧めです。


五反田界隈食紀行。以前アド街ック天国でも五反田は特集されていましたが
登場していないと思うが管理人が気に入ったお店2選。まずはメキシコ料理店ハッピージャック。
大通り沿いで、清泉女子大学寄りの立地です。


ランチではタコスのセットもございます。スパイスが効いていて具沢山、生地はしっとりしていて美味しいセットでした。
ジャックなだけにその名の付いたお酒も並んでおり新国立のアリスの舞台を脳裏に浮かべながらニンマリ。
しかしまだ昼でしかも講座前ですので我慢です笑。達磨はお客さんがお土産に置いていかれた高崎達磨とのこと。
高崎といえば、今夏新国立劇場バレエ団の『不思議の国のアリス』が上陸。


とある平日夜に所用で五反田を訪れた際に立ち寄ったイタリアンのLa Belle。
元々はフレンチだったそうで、店名はその名残らしい。
サーモンとトマトクリームパスタをいただき、野菜も入っていることでクリーミーではあるが
しつこさが抑えられていて白ワインとの相性も良し。窓辺では五反田の景色を独り占めです。
通常は平日のみ営業ですが、パーティープラン利用の際には土日も開店。
先日とある行事で利用させていただき、このパスタを参加者の皆様に味わっていただけて幹事としては誠に嬉しうございました。
『美女と野獣』や『眠れる森の美女』を彷彿させる店名にも心惹かれたのだが(実は行事での利用会場決め手の1つであった)
店内には野獣もデジレ王子もおりません。その代わり、居心地良い空間にて穏やかで素敵なスタッフさん
そして美味しいお料理やお酒に出会えます。どうぞご利用ください。

それにしても管理人、諸々連絡のためお店に電話をかけようと掲載された食サイトにて店名を目にするたび
野獣は1人、デジレ王子は2人同時に脳内再生。人間とはかくも単純な生き物であると痛感する瞬間は
2020年も多々起こりそうでございます。

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