2020年7月10日金曜日

【お茶の間観劇】シュツットガルト・バレエ団 マーティン・シュレプファー振付Taiyo to Tsuki ジョン・クランコ振付『フルートとハープのための協奏曲』

遡るものもありますが、シュツットガルト・バレエ団が配信していた作品を2本鑑賞いたしました。
シュツットガルトの配信映像を多くご覧になっている精通者より教えていただき、鑑賞に至った次第です。



ハッピーインターナショナルダンスデイ2020。屋外で踊る様子を繋げた映像です。アジアな建築も見えましたが何処か気になります。


Taiyo to Tsuki
振付:マーティン・シュレプファー
音楽:シューベルト 交響曲第三番 細川俊夫 遠景Ⅲ

http://www.tanz.at/index.php/kritiken/kritiken-2020/2322-stuttgarter-ballett-douglas-lee-louis-stiens-und-martin-schlaepfer
作品解説。毎度無責任ですみません、ドイツ語の日本語訳はご自身で願います。

クラシックとコンテンポラリーの中間あたりな振付で、女性はポワントで踊ります。
フォーゲルやオサチェンコら主役級も複数投入され、特にグレーや茶色中心で一見部屋着風な男性の衣装も
シュツットガルトの実力者たちが着て踊ればそう言わせません笑。(我が記憶内での部屋着バレエ衣装格付け上位に君臨する
ミルピエ版ダフニスとクロエに次ぐデザイン)女性はシンプルな長袖ワンピース。
ユニークであるのが音楽構成で、前半がシューベルトの交響曲第三番で後半が細川俊夫さんの遠景Ⅲ。(恐らく)
前半はフォーゲルを中心に歯切れ良い調子が主で、後半はじんわりゆったりとした曲調に乗せて身体の自在な交錯や
ポーズ1つ1つに至るまでの過程も含め摩訶不思議な世界へと誘われました。
恥ずかしい話、細川俊夫さんについては存じ上げず、オペラ『松風』の作曲者と教えていただきお名前はちらりとようやく浮かんだのでした。
また調べたところ遠景Ⅲは福山の海風景を描いた作品だそうで、知っていれば3年前の愛媛でのバレエ鑑賞翌日、
宿泊先の瀬戸内海に浮かぶ大三島からしまなみ街道自転車走行からの船で尾道に渡り
帰りの尾道から福山駅(駅のホームから福山城が見えます。管理人、高校の修学旅行でも参りまして感激した覚えあり)経由での
新幹線乗車時に曲を脳内再生するなりして旅情に浸ったものですが、次回機会があればと願います。


『フルートとハープのための協奏曲』
振付:ジョン・クランコ
音楽:モーツァルト フルートとハープのための協奏曲



映像ほんの少し収録。最初の18秒あたりまで、短くまとめられています。
他に『ラ・バヤデール』より影の王国、『シンフォニー・イン・C』を上演したトリプル・ビル公演のようです。
インCの女性は白いチュチュですが、銀色の細かな装飾で彩られお洒落なデザインです。


言わば男女逆転プティパ或いはバランシンな作風、役割分担で1人の女性ダンサーの周囲や後方で男性ダンサーが大勢で踊る振付。全員白い衣装で統一しています。
主軸は森田愛海さん。惜しくも今春のNHKバレエの饗宴が中止となりソロでの舞台姿を鑑賞できなかったため嬉しいご出演です。
キビキビと美しく輪郭がはっきりとした踊りで、大勢の長身男性ダンサーを従えても埋もれぬ存在感。
そして最大の見所!?男性群舞。大勢の長身男性ダンサーたちが、大真面目に優雅に
全員呼吸を合わせながらポーズのラインの隅々まで気を配り一生懸命折り目正しく踊る姿に失礼と承知ながら笑いが止まらず。
満面の笑みの人もいれば緊張気味な人もいて、しかし技術が皆しっかりとした基盤があるからこそ
モーツァルトの可愛らしい旋律も相乗効果をもたらし何もかもが微笑ましく絵になって見えました。
※綺麗な体型のダンサーが揃った新国立劇場男性陣にも合いそうです。過去のレパートリーには云々申したくはありませんが
勇猛さや野性味、裸体物に走ろうと男性強化計画として取り入れた『トロイ・ゲーム』やMen Y Menより遥かに宜しいのでは笑。
クランコと言えば、『オネーギン』や『じゃじゃ馬ならし』といった全幕物語バレエの印象しかありませんでしたが
こんな純クラシックな振付でユーモアのある作品も生み出していたとは驚きでした。

ところで、NBSの発表によれば再来年2022年にシュツットガルト・バレエ団の来日公演を予定。
1本はマリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』で恐らくは2008年公演以来か。
もう1本はケネス・マクミラン振付の『マイヤリンク』。本家本元は英国ロイヤルですが、映画では観たものの生では未だ叶っておらず今から楽しみでございます。

2 件のコメント:

さくらもち さんのコメント...

「フルートとハープのための協奏曲」これこそ今回の事態がなければ目にすることもなかった珍品(ごめん)でしたね。
新国男子で見てみたいですねえ、これをレパートリーに入れてどうするんだとは思いますが。
渡邊兄弟など長身組を揃えて、美しく神妙に踊る姿を想像してしまいます。
なんだか音楽も踊りもクセになるというか、もう一度配信してほしいです~
森田愛海さんはそうか、バレエの饗宴に出演予定だったのですね。
この夏も、里帰り組の出演は無理な様子でしばらくはさびしいことになりそうですね。

管理人 さんのコメント...

さくらもちさま

シュツットガルトの素敵な映像について情報ありがとうございました!
ついロシアものばかり追ってしまいがちなため、
万遍なくご覧になっている方からのお勧め映像、とても助かります。

フルート…はクランコの逆転発想力にたまげました笑。
クラシックをきちんと踊れて、上背のあるダンサーが揃っている新国立男性陣に合いますよね。
渡邊ご兄弟、衣装も含め綺麗な姿でしょうね!想像してしまいます。

そうなんです、森田さんは確かデヴィッド・ムーアと白鳥の湖からパドドゥを披露なさる予定だったのですよね。
昨年はあれだけ開催され重なってもいた帰国ガラは今年はお目にかかれず(アステラスも中止ですものね…)
来年まではお預けとなり、寂しいですね。