2020年8月13日木曜日

映画『剣の舞 我が心の旋律』






新宿武蔵野館にて映画『剣の舞 我が心の旋律』を鑑賞いたしました。
https://tsurugi-no-mai.com/

新宿武蔵野館では今月下旬まで、また全国で順次公開が予定されておりますので詳細な内容、感想は控えますが
ハチャトゥリアンの余りに有名バレエ音楽の誕生秘話を辿り、無理難題に屈せず故郷アルメニアを想いながら
約8時間で完成させたハチャトゥリアンの魂に驚嘆いたしました。
政治による翻弄、当時疎開中だったキーロフバレエ団の様子やハチャトゥリアンを慕う少し剽軽で温厚な弟子ゲオルギーの活躍
ハチャトゥリアンの歴史観やショスタコーヴィチらとの寛いだ語らい等も丁寧に描写された作品です。
振付者アニシモワやバレリーナサーシャの苦悩も心を突き、アルメニアの雄大な自然美にも注目を。
上映時間は1時間半程度で、長過ぎず重過ぎない内容でまとめられ音楽好きもバレエ好きも堪能できる作品に仕上がっていると見受けました。
鑑賞日の朝から洗濯しつつ聴いていた『仮面舞踏会』(少年隊ではありません。念のため)も劇中で折に触れて響き
映画館によって異なるかもしれませんが武蔵野館では開映前から名曲が流れ気持ちも昂ぶらずにいられません。お早めの着席をおすすめいたします。

それからサックスも重大要素。劇中に出てきたのはテナーサックスと思われ、この楽器について再度考えるきっかけにもなりました。
サックスのパートがあるバレエ音楽は決して多くはなく、私が知る限りでは『ロメオとジュリエット』ぐらい。(他にもあるのでしょうが知識不足はお許し願いたい)
思えば『剣の舞』の曲調が変化する中間部にてメインパートを務めていることを今となって思い出した次第です。

以下は余談ですが、ハチャトゥリアンのルーツである国はアルメニアで国名を口にする機会も少なく地理関係は咄嗟には浮かびづらいかもしれません。
しかし吹奏楽経験者ならば実は馴染みが深く、一度は演奏或いは鑑賞なり見聞きした経験があるであろう曲の1つが『アルメニアン・ダンス』でございます。
全く擦りもしていないでしょうが山口百恵さんの代表曲と同様にパート1とパート2があり、
吹奏楽経験者ながら(一応はテナーサックス担当)1と2の違いが未だよく分からずである点はご容赦願います。

ハチャトゥリアンと言えば中止になってしまいました今年のボリショイ来日『スパルタクス』、同じキャスト組んでいつか来日を待ち侘びております。
アルテミィ・ベリャコフのクラッスス、楽しみで仕方なかったのだ。『白鳥の湖』も平日昼公演行く気満々であった管理人でございます。
ボリショイ来日中止の嘆きはまた何処かで綴るかもしれません。


※余談その2 我が心の剣の舞

1.小学校6年生のときの合奏 遠い日の曖昧な記憶ですが確かリコーダーであった覚えがございます。

2.高校は運動会、体育祭が無い代わりに小規模球技大会がありましたが3年次に1種目クラス対抗全員リレーが追加。
私のような運動が不得意な生徒であっても非難などされず走ったらまず称え合う雰囲気であったのは救いでした。
リレーならば音楽が必要であろうと放送部が大急ぎで用意してくれた曲が剣の舞と熊ん蜂の飛行の2曲。
よくよく考えたら運動会CDも図書館で取り扱っていましたがそこまで気が回らず、間に合わなかったのでしょう。急ピッチで準備を進めてくれた部員に感謝しつつ
リレーが終わるまでずっと流れているのはこの2曲。つまりは、切羽詰まった状況にあってもリレーといえば剣の舞が自然と放送部の心に降りてきたわけです。
剣の舞の人気の圧倒的先行を象徴した行事でハチャトゥリアンからしたら複雑な心境でしょうが、それだけインパクトが強く
順位云々よりも剣の舞の脳内旋回に悩まされる生徒が続出したのは無理もありませんでした笑。
翌年以降は『海賊』や『ドン・キホーテ』等グラン・パ・ド・ドゥの急速コーダ集でもまとめて渡そうかと考えが過ったものの管理人、
舟木一夫さんの名曲と同じく既に高校3年生。翌年以降の開催模様は分からずですが、卒業以降制服ができたりと校則が増えたとの情報も耳にしており
(都立中堅校でしたが在学中は制服無しで髪色も自由、のんびり体質の生徒が多かった印象)生徒の自主性尊重具合が気になるところ。
出身者にはローザンヌ国際バレエコンクール入賞者もいます。
※著書『英国バレエの世界』も購入いたしましたが8月16日に山本康介さん解説のローザンヌ番組が放送されます

3.山本隆之さん紫綬褒章受章を祝う会での余興

矢上恵子先生や福岡雄大さんら、山本さんと所縁深い方々によるアフリカマンが集結。
関西のバレエ関連祝賀会ではメンバーを替えつつも鉄板と記事で読んではおりましたが
まさかリーガロイヤルホテルにて生で観る機会に恵まれるとは、爆笑の渦でした笑。
主に使用していた曲が剣の舞で、キレキレ軍団な踊りに会場大沸騰であったと懐かしく思い起こされます。





帰り、映画館近くにてウォッカで乾杯。ロシア映画の後には欠かせません。我が肝臓、今夏も元気でおります笑。


ルッコラに覆われたアヒージョ。

2 件のコメント:

ひふみ さんのコメント...

良い映画でしたね。
私は新宿で映画を観ることは殆どないのですが、この映画だけはどうしても観たくて、
意を決して、管理人さまの翌日に武蔵野館へ初めて出向きました。
管理人さまが前日に鑑賞されていたことを知り、とても嬉しく存じました。
本当に深く心に残る作品でした。クラシックファン、バレエファンには是非見ていただきたい秀作です。
私もボリショイの来日公演『スパルタクス』を楽しみにしていた一人です。
再来日での上演を心から念じております。
そして管理人さまの肝臓のお元気さに、お喜びを申し上げます。

管理人 さんのコメント...

ひふみ様

おはようございます。遅くなりましてすみません。
コメントお寄せいただきありがとうございました。
公開前から期待で胸躍る作品で、ハチャトリアンの音楽について描かれた映画ならば是非とも観たいと
私も楽しみにしておりました。人間模様も丁寧に描かれた作品で、多くの方にご覧いただきたい映画です。
思えば剣の舞以外『ガイーヌ』の曲に親しんだことがなく、
バラの乙女たちの踊りの郷愁感、優雅ながらも生命力のある旋律もすっかり気に入ってしまいました。
仮面舞踏会も改めて朝から全曲聴いてみると、
フィギュアスケートでも馴染みが深くなったワルツはもとより、
マズルカの軽やかな晴れやかさにも再度聴き惚れた次第です。

ボリショイ、残念ですよね。11月末予定であったため状況も落ち着いているかもしれないと
淡い希望を抱いておりましたが、オーケストラも帯同の大人数ですしこればかりは受け入れるしかありませんよね。
ボリショイオーケストラによる幕開けから爆音のスパルタクス、いつか鑑賞が叶いますように。

肝臓は相変わらず元気でした笑。映画の余韻に浸りながら静かに呑む久々のウォッカ、美味しうございました。