2020年9月8日火曜日

延期1ヶ月を経てのめぐろバレエ祭り 東京バレエ団 The Tokyo Ballet Choreographic Project 2020 9月5日(土)




9月5日(土)、めぐろパーシモンホールにて東京バレエ団 The Tokyo Ballet Choreographic Project 2020を観て参りました。
8月に上演予定でしたが延期となり、3月の『ラ・シルフィード』以来約5ヶ月半ぶりの公演。無事の上演に安堵しております。
https://www.nbs.or.jp/stages/2020/cgp-08/index.html


※プログラム、キャストはNBSホームページより
"Scramble"
振付:岡崎隼也
音楽:エイチ・ゼットリオ

安西くるみ、工 桃子、相澤 圭、鳥海 創、後藤健太朗、昂師吏功、山下湧吾

若手ダンサー達が溌剌と登場し、空間を大きく使いながらとどまりを知らぬエネルギーを終始ダイナミックに表現。
岡崎さんは緊急事態宣言下の連休に救いの存在であった今年のゴールデンウィークの上野バレエホリデイ@homeにて「家で踊ろう」の振付者として大活躍され
バレエ版24時間テレビの如く連休の供として自宅で1日中再生していたため、よく覚えた次第です。


"RISE"    -初演-
振付:木村和夫
音楽:ジョン・ウィリアムズ、ケルティック・ウーマン

柄本 弾
沖香菜子、足立真里亜、上田実歩、榊優美枝、中沢恵理子、菊池彩美、長谷川琴音、
木住野真菜美、花形悠月、本村明日香、栗芝みなみ、鈴木香厘、富田翔子、富田紗永

前半は『シンドラーのリスト』のテーマ曲で柄本さんが時折一輪の薔薇を手に重たい空気を引き摺りながらのソロ。
後半は柄本さんも登場しつつ曲も一変して白い長めのチュチュを纏った女性群舞の見せ場となり、差し込む希望の光を想起。
大人数の構成でチュチュの翻りやフォーメーション含め、上階からも眺めたくなる作品です。


"Calling..."  -初演-
振付:岡崎隼也
音楽:カミーユ・サン=サーンス

上野水香

白いレオタード姿の上野さんによるソロで音楽は『動物の謝肉祭』より白鳥。
しなやかな肢体が暗めの照明にくっきりと浮かび上がり、シューズの先端にもきらきらとしたラメが少し散りばめられ
孤高に思わせながらも誘い込むような眼差しも強く、なかなかミステリアス。上野さんだからこそ出来た作品でしょう。


"理由"
振付:岡崎隼也
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ、ジャズトロニック

秋山 瑛、涌田美紀、足立真里亜、中沢恵理子

2018年の同プロジェクトスタジオパフォーマンスにて鑑賞した作品ですが、より磨かれ練られた印象。
前半は『ロミオとジュリエット』葬送曲で不協和音が何重にも交差する重厚な音楽と共に渦巻くように
悲嘆や苦悩を叫ぶが如く全身で表現。しかし決して過剰にはならぬよう配慮も行き届き、ただ悲しみを仰々しく迸らせるのではなく
静止して美しさを見せる部分と力強い動きにメリハリを付けて冗長さは皆無。
椅子を使う演出はしばしば観るものの身体の線の見せ方やポーズ1つ1つにも工夫が凝らされ、1階席で観ていても立体感と奥行きを感じさせる振付でした。
後半はジャズトロニックの音楽で、肩の力が抜けたような穏やかさを体現し緊迫や呪縛から解き放たれていく流れを想起。
異なる色合いの曲を不自然さ無く組み合わせています。

"Adagietto"
振付:ブラウリオ・アルバレス
音楽:グスタフ・マーラー

奈良春夏-秋元康臣、岸本夏未-樋口祐輝、
上田実歩-山田眞央、瓜生遥花-岡﨑 司、前川琴音-海田一成

こちらもスタジオパフォーマンスで鑑賞した作品。ただ、大きな赤い布を用いたり照明、ペアの配し方も舞台を目一杯使う大掛かりな演出であるため
舞台上演の方が一層堪能できました。数々の振付家の創作欲を掻き立てる音楽でこの曲でつまらぬ振付を鑑賞すると子守唄まっしぐらですが(失礼)
静けさからじわじわと曲調のスケールが大きくなる中で身体のフォルムの美しさや各ペアが並ぶポーズの連なりを眺めているとあっという間です。


"夜叉"
振付:ブラウリオ・アルバレス
音楽:アルトゥーロ・マルケス

中川美雪-宮川新大
榊優美枝-大塚 卓、長谷川琴音-南江祐生、花形悠月-生方隆之介、松永千里-昂師吏功

アルバレスさんの故郷メキシコの作曲家マルケスによる解放感のあるエキゾチックな音楽に振り付けられた作品。
主軸の中川さんが髪を下ろし、スパスパと斬り込む踊りとグレーの全身タイツで怪しげな女神然とした存在感に痺れ
今年2月のアリーナ・コジョカルドリームプロジェクトでソリストを踊られたバランシン『バレエ・インペリアル』よりもずっとお似合いでした。
全身タイツに薄い打掛のような衣装の組み合わせもユニークで、見映えも良し。
アルバレスさんの作品といえば、『パリのアメリカ人』に振り付けた、変化に富んだ曲調に個性まちまちの乗客の様子がぴたりと嵌った
満員電車が題材の『ドアが閉まります』はもう一度観たいと願います。


"運命"-抜粋版-
振付:岡崎隼也
音楽:ロディオン・シチェドリン

伝田陽美、柄本 弾
政本絵美、秋山 瑛
秋元康臣、池本祥真
沖香菜子、加藤くるみ、樋口祐輝、鳥海 創


何度も耳にしているシチェドリンのカルメンの音楽に岡崎さんが大胆に振付して踊る見せ場をたっぷり取り入れ、ダンサーを適材適所に配置。
伝田さんがホセの愛を一心に求める健気なカルメンを思わせ、向き合って立っているだけでも心の内を吐露するか否かせめぎ合う複雑な感情を匂わせました。
最も目を惹いたのは秋山さんで出演者の中でも小柄な身体にも関わらず踊り出すとダイナミックな斬れ味、しなやかさが頭一つ抜けていて
自然と視線が行ってしまう存在感。『ドン・キホーテ』主演も期待値が高まっております。


当初は8月のめぐろバレエ祭りにて開催予定でしたが急遽延期。落ち着かない中での準備であったのは容易に想像ができますが
パワフルな作品からしっとり美しい作品まで、振付もダンサーも個性花開く競演に
何よりも生で体感する気持ち良さに目一杯触れながら終始わくわくと見入った公演でした。
新作は勿論のこと、スタジオで鑑賞した作品も舞台機構を生かしての上演はまた違った印象を持たせ
再演だからこそより熟した中身の濃い仕上がりになっていたりと充実のプログラム。
ダンサー自身の振付作品披露の舞台は団体問わず足を運びたいと再確認です。
東京バレエ団の2020年夏公演は全て今月に一挙延期上演となり9月は東京バレエ団目白押し月間。引き続き満喫する予定でおります。



ホールのロビー。次回以降の公演のお知らせがずらり。



往路、自由が丘にて下車。何度も通りかかっていながら初めて入店した1933年創業の元祖モンブランのお店。



ほっくりとした食感の栗、中までクリームが詰まっています。店内には東郷青児の作品始め、絵画がたくさん。
目の前には飛翔する日本鶴の絵が飾られていました。7月末を思い出し嗚呼、鶴さん。(注・本日は東京バレエ団でございます)



なぜ自由が丘で下車したか、遠い昔(大阪万博までは遡らないが)嘗て学生時代休日にアルバイトしていた家電量販店に立ち寄るため。
当時は1階建、お店のテーマ曲が大音量で流れていましたが(歌詞が何種類かあるはず笑)現在は2階建に拡張。
同業の他店舗あちこちを回り、日によっては埼玉の狭山で勤務し翌日は横浜に出勤といった日程もございましたが
狭山帰りは狭山茶のお菓子、横浜帰りは朝からヨットハーバー脇を散歩して帰りは崎陽軒の焼売を購入しようと
小旅行気分で出向けると意気込む、コーディネータースタッフの心配も不要な変わり者でございました。
こちらの店舗は売り場によってはショパンの華麗なる大円舞曲が流れていて随分洗練された店舗に変貌。
自由が丘にお越しの際はご利用お待ち申し上げます。



都立大学駅裏にて米国のクラフトビールで乾杯。コクやまろみも十分な味わいで内装もお洒落。



タコのセビーチェとポテトサラダも合います。


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