2020年6月21日日曜日

【お茶の間観劇】ミュンヘン・バレエ団 ガラ Gala mit Stars des Bayerischen Staatsballetts

バイエルン州立劇場(ミュンヘン・バレエ団)から配信中の2017年1月上演のガラ
Gala mit Stars des Bayerischen Staatsballettsを鑑賞いたしました。バレエ団の公演は初鑑賞です。
様々な時代の作品が組まれたプログラムで現在も配信中ですので(恐らくは6月27日まで)是非ご覧ください。感想は短めですのでご安心を笑。
https://t.co/3d08gwEOJE



レッスン再開の様子。



Der Nussknacker - Grand Pas de deux
Choreographie Vasily Vainonen
Musik Peter I. Tschaikowsky
Tatiana Tiliguzova, Dmitrii Vyskubenko
Vladislav Dolgikh, Konstantin Ivkin, Wentao Li, Erik Murzagaliyev

『くるみ割り人形』よりグラン・パ・ド・ドゥ。但し女性1人に男性複数人の構成で見覚えのある振付と思ったらワイノーネン版。
衣装が本家マリインスキーのメルヘンな趣からはかけ離れたすっきりスタイリッシュなデザインであったため
また男性も白い丸みある鬘も無く違和感は拭えなかったものの、名物鯱リフトも決まりお見事。
芸術監督がゼレンスキーだからこの振付を採用と思われるが詳細は分からず。


Parting
Choreographie Yuri Smekalov
Musik John Powell Assassin's Tango
Maria Shirinkina, Vladimir Shklyarov

一昨年2018年のマリインスキーバレエ団来日公演にてエカテリーナ・イワンニコワとコンスタンチン・ズヴェレフ組で観て気に入ったスメカロフ振付『別れ』。
純朴で愛らしい印象が先行していたマリア・シリンキナが驚くほどに色っぽく、身体の線がよく見える腰までスリットの入った赤紫のドレスもお似合いで
大胆な開脚で絡む流れも嫌味を感じさせず。永遠の少年とどうしても思ってしまう(失礼)ウラジーミル・シクリャローフがタンゴの曲で踊る姿も新鮮。


Schwanensee - Weißer-Schwan-Pas de deux
Choreographie Marius Petipa, Lew Iwanow
Musik Peter I. Tschaikowsky
Prisca Zeisel, Erik Murzagaliyev

アダージオであってもプリスカ・ザイセルのオデットは実にダイナミック、特に肩から腕、背中にかけての筋肉も立派で王子よりも遥かに強そうでオディールも観てみたい。
ムルザガリエフはぱっと目を惹く華は控えめだが勤勉そうな雰囲気に軍服衣装がよく合います。


Raymonda - Grand Pas de deux
Choreographie Marius Petipa, Ray Barra
Musik Alexander Glasunow
Ksenia Ryzhkova, Alexander Omelchenko
Luiza Bernardes Bertho, Antonia McAuley, Vera Segova, Freya Thomas
Vladislav Dolgikh, Konstantin Ivkin, Wentao Li, Dmitrii Vyskubenko

レイ・バラ版『ライモンダ』よりグラン・パ・クラシック。セルゲイ・ポルーニン客演時にダンスマガジン2019年2月号にてカラーで大きく報じられていたため
記憶の片隅にございました。(随分と野性味がある印象だったが)
ライモンダは嘗てモスクワ音楽劇場バレエ団に在籍していたクセーニャ・リシュコワ。そういえば2015年の来日公演時はゼレンスキーが芸術監督を務め
入団2年目ぐらいの新進気鋭ダンサーとしてプログラムで紹介されていたと思い出しました。
まろやかで上品な踊り、少し憂愁を帯びた神秘的なお顔立ちにも自然と惹きつけられる姫君です。
ジャンのヴァリエーションは新国立劇場にて毎年夏開催のガラ公演バレエアステラスフィナーレで馴染み深い『バレエの情景』Op.52 より第8曲 ポロネーズを使用し
格調高く力強く気分が高揚する曲調で聴くたびに惚れ惚れする曲でまさかヴァリエーションでの使用には驚かされましたが舞台を一気に盛り立てる効果大。
衣装は全員薄めの金色とオフホワイトと合わせ、太い縁取りがアクセントになったデザインで
中世(とは言っても時代はまちまちだが)らしく胸元が平たいカッティングである点も嬉しく結婚式の場面だけでも全編通して観たいと思わせます。


Spartacus - Pas de deux Aegina-Crassus
Choreographie Yuri Grigorovich
Musik Aram Chatschaturjan
Prisca Zeisel, Erik Murzagaliyev
そうでした、グリゴローヴィヂ版『スパルタクス』をミュンヘン・バレエ団でも採用しているのでした。
エギナのザイセルはオデットよりずっと生き生き。ギラついた陽性オーラを放ち、全幕で群舞を従えても負けぬ存在感があると想像。
ムルザガリエフは茶色いクルクルカールの鬘無しであったためか健全クラッススに見えたが、エギナにお仕えしている感はなかなか良いかもしれません。



スパルタクス上演時のゼレンスキー、グネーオ、ザイセルへのインタビュー。



Frühlingsstimmen
Choreographie Frederick Ashton
Musik Johann Strauß Frühlingsstimmen-Walzer
Mai Kono, Javier Amo

アシュトン振付『春の声』。英国ロイヤル・バレエ団以外でも採用されているとは知らずにおりました。
2006年の世界バレエフェスティバルでの初鑑賞時に登場時の振付から「花咲かコジョカル」と勝手に名付けた記憶がございます笑。
花びらと共にほんわかと幸福感を振り撒き、スパスパっと素早いポーズの切り替えも含め河野舞衣さんがいたくチャーミング。


Le Corsaire - Pas de deux
Choreographie traditionell
Musik Adolphe Adam, Léo Delibes
Maria Shirinkina, Vladimir Shklyarov

ここはマリインスキーの誇りを示したかったのか、シクリャローフはブルーのパンツ。謎の網襷も無く、腰部分の煌めく装飾も二重丸。(私の中でアリといえばこれです)
シリンキナは一見ロシアのものではなさそうな、抑えたゴールドで整えられたデザインで2人のバランスが今ひとつでしたが各々は似合っていましたから良いか。
ヴァリエーションはシェル男爵作曲『シンデレラ』の中の1曲、何度聴いても歌えない曲調です。シクリャローフのヴァリエーションカットの理由は不明。


Romeo und Julia - Balkon-Pas de deux
Choreographie John Cranko
Musik Sergei Prokofjew
Ksenia Ryzhkova, Jonah Cook

クランコ版『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ。リシュコワのジュリエットはロミオとの再会に高鳴る鼓動を必死に抑え
徐々に心を解放していく表現が実に細やか。同性でも蕩けそうになり、品位ある舞台姿も好印象。全幕を観ているかのようでした。
『ライモンダ』でも『ロミオとジュリエット』でも全幕主演舞台を鑑賞したいと感じさせたダンサーです。
ドラマティックな表現はダンチェンコ時代によく訓練され培われたのかと思います。


Don Quijote - Grand Pas de deux
Choreographie Marius Petipa
Musik Ludwig Minkus
Ivy Amista, Osiel Gouneo
Irina Averina, Luiza Bernardes Bertho, Shuai Li, Antonia McAuley, Vera Segova, Freya Thomas

イヴィ・アミスタのキトリは輪郭がはっきりとした鮮やかさで魅了。勢い任せにせず、ポーズも1つ1つ丁寧に描き出していました。
ボリュームのあるチュチュで、表は白地に緻密な金色レース模様ですが裏側は赤。翻る度に赤色が覗き、明るさやめでたさが倍増です。
グネーオのバジルは胸元が開き過ぎる衣装が気になって仕方なかったが笑、2月のコジョカル「救済プロジェクト」で鑑賞したときの『海賊』とは異なり
決してステップを詰め過ぎず過剰なバランスも取らずあくまでシンプル路線。


冒頭ではプログラムと一覧と共に夜の灯りと雪に包まれたプリンツレーゲンテン劇場の光景が映し出され、ミュンヘン旅情にも浸れます。どうぞお楽しみください。


余談:自宅でも旅気分と思い、以前にも触れましたが焙じ茶を飲みながらサスペンスドラマの再放送をよく観ております管理人。
昨夜は渡瀬恒彦さん主演の『タクシードライバーの推理日誌』を視聴していたところ、舞台は広島県尾道市。
2017年夏に愛媛でのバレエ鑑賞後すぐに瀬戸内海に浮かぶ大三島に移動し、翌朝からしまなみ海道を自転車で走り
途中からは船で渡り降り立った場所で何かしらバレエを思い出す日々でございます。
県外移動が解禁されても暫くは都内から出ぬ日は続きそうで、バレエ映像や2時間サスペンスで旅気分を味わいたいと思っております。

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