2020年2月21日金曜日

宝満さんが灯す夜 NBAバレエ団ホラーナイト『ドラキュラ』1幕『狼男』 2月15日(土)夜



2月15日(土)、NBAバレエ団ホラーナイト夜公演を観て参りました。
https://www.nbaballet.org/performance/2020/horror_nights/


狼男
振付:宝満直也

a man:高橋真之
a girl:勅使河原綾乃

一昨年2018年6月に初演した同じく宝満さん振付『11匹わんちゃん』と似た路線かと思いきや全く異なるアプローチ。
耳装着やあからさまな遠吠えもなく具体形を前面に出さず、一斉にじわりと追い詰めて行く内面や不気味さを露わにした作品で
狼の怖さよりも寂しさや孤独感、不安感を募らせていた印象です。
床を這うような振付を床に吸い付くぎりぎりの体勢で自在に踊る、主軸を務めた高橋さんと勅使河原さんはもとより
男性のみならず女性ダンサー達の高い身体能力も堪能。ベージュの襟付きワンピースの裾から縦のブルー模様が覗く衣装もお洒落。
声を出し歌う場面があったものの、座席位置の関係か曲が聴き取れずであった点のみ心残りで
当方には蛍の光に聴こえたが正解はいかに。いずれにしても宝満さんの次回作が今から楽しみです。

※宝満さんへのインタビュー
https://spice.eplus.jp/articles/264668


ドラキュラ 振付:マイケル・ピンク

ドラキュラ:宝満直也
ジョナサン・ハーカー:大森康正
ミーナ:竹内碧
ヴァン・ヘルシング:三船元維
レンフィールド:佐藤史哉
3人の女バンパイア:猪嶋沙織/菊地結子/阪本絵利奈

2014年の全幕初演をゆうぽうとにて鑑賞しておりますが、新国立中劇場効果か後方席であっても
今回の方が人物も堅固な装置もよく見え、遥かに楽しめたのは驚きでした。
大作映画を彷彿させる装置の豪華さには目を見張り、大阪の巨大映画遊園地内にある
魔法使い物語の領域以上に忠実に再現していると思わせます。
宝満さんのドラキュラは中性的で掴み所ない冷ややかさで背筋を凍らせるキャラクターで
一見線は細そうであっても通り過ぎるたびにぬめっとした冷風を吹かせ
ハーカーから落ち着きが取り払われてしまい暴れ回るのも納得。大森さんの体当たりな演技と
ドラキュラが覆い被さるようにしてハーカーと踊るパ・ド・ドゥも、おどろおどろしい空気が充満し
暖房が効いた会場内であっても寒気が止まらぬ展開でした。

凝って作られた銀の頭飾りや白い衣装が美しいながら怪しさや恐ろしさを押し出していた女ヴァンパイア達や
フォークダンスを踊りそうな可愛らしい民族衣装な姿の村人達も、淡々と儀式に励んだり
かと思えばパワフルに踊り出したりと見せ場の盛り上げに貢献。
今夏新国立劇場オペラパレスでの全幕再演が待ち遠しく、期待を寄せております。

ホラー作に焦点を当ててのバレエ公演企画は珍しく、斬新な二本立て。
しかも1本目は振付を、2本目にはこの回は主演を務めた宝満さんが灯す世界を満喫した一夜でした。



帰りに立ち寄った鹿児島料理店にて狼焼酎を発見。ロックでいただき、
文字の迫力からすると意外にも飲み易いお味でございました。
もう1種、名前に惹かれて飲んだ黒騎士はガツンと迫る味で一口含んだだけでもほろ酔いに。
女性だけでなく男性も正統派貴公子のみなず、白黒両面を表現できる方に惹かれると再度思い返した管理人でございます。

2 件のコメント:

さくらもち さんのコメント...

題名がすでに魅力的な公演で、ひと夜楽しむバレエという感覚がよかったですね。
あと、ポスターも素敵でした、某新国に見習ってもらいたい・・。
新作と主演の宝満ナイトになりましたがドラキュラも良かったですー。
作れる人はやはり、解釈も優れていますね。
バレエ団の振付家としても、出演ダンサーさんたちの踊りこなしっぷりに実績を感じました。

春になったら難読名の方がデビュー作を発表されますけど、そっちも気になるホラーな夜でした。

管理人 さんのコメント...

さくらもち様

こんにちは。
企画からして興味を惹く斬新なプログラムでしたが、夜な夜な鑑賞にうってつけな笑
2本立てでしたよね、そうです、目にした瞬間から吸い寄せられる映画ポスターのセンスも脱帽でした。
某国、そうですよね。特にクリスマス演目は日程や協賛の部分だけしか変えていないようなデザインで…。
宝満さんがダンサーをよく見ながら作っていらっしゃる過程が伝わりましたし
1幕のみであったドラキュラも、踊りから美術装置まで見応えがありましたよね。

はい、全貌が一切見えぬ笑、3月に小劇場にお目見えの新作及び振付デビュー作も楽しみでございます!