バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
2020年よりこちらに引越し、2019年12月末までの分はhttp://endehors.cocolog-nifty.com/blog/に掲載
2020年2月1日土曜日
バレエ・カレッジ主催 福田一雄さんによるバレエ音楽の歴史②バレエ・リュスからローラン・プティの時代まで〜20世紀のバレエ音楽〜
1月22日(水)、神保町ブックハウスカフェにて開催されたバレエカレッジ主催の講座
バレエ音楽の歴史②バレエ・リュスからローラン・プティの時代まで〜20世紀のバレエ音楽〜を
受講して参りました。講師は指揮者の福田一雄さんです。
https://balletcollege.amebaownd.com/posts/7568606
音楽知識の宝庫でいらっしゃる福田さんのお話は今回も噴水の如く溢れ
時間制限がなければ永久に続いたかもしれぬと思わせたほど。息つく暇もない濃縮した内容で誠に学びの時間となりました。
『白鳥の湖』や『パキータ』の誤解、『ショピニアーナ』が『レ・シルフィード』と呼ばれる経緯まで
常識の覆しや気になっていた点も解決。
聞き間違いの可能性もある旨を前置きし、一部紹介いたしますと『白鳥の湖』スタンダードな黒鳥オディールのヴァリエーションは
(ブルメイステル版などでのオーボエの妖しげな主旋律の曲ではない、軽やかな方の曲)
チャイコフスキーのピアノ曲の1本である『悪戯っ子』。
オディールのために本来作曲した妖しげな曲ではなく勝手に誰かが引っ張ってきてしまったようで
チャイコフスキーは天国で憤怒しているであろうとのこと。
但し管理人、「イタズラッコ」の響きから想像せずにいられなかったのはこちら。
身体の柔らかさや愛嬌がある点はオディールと共通しているとも言え、お許しください。
それからマリイスキーバレエが一昨年の来日公演ガラにて上演され、パステルカラーと優美な踊りが織り成す夢見心地な舞台で好評を博し
記憶にも新しい『ショピニアーナ』。ロシアとそれ以外の国で呼称が異なると思っておりましたが全くそうではなく
妖精な印象を持たせると誰かが感じて羽根を付けた衣装に変え、すると前奏曲として演奏していた『軍隊行進曲』は相応しくない。
しかし時間がなく、ならば女性ヴァリエーションの1曲であるプレリュードをそのまま前奏曲に持ってきて演奏、になったもよう。
ちなみに、2018年12月から2019年1月にかけて幸運にも2ヶ月の間に
マリインスキーの『ショピニアーナ』新国立劇場での『レ・シルフィード』両方の鑑賞に恵まれた管理人。
観客の眠気防止と景気付けやおめでたさ強化の面からすると、
例え妖精の世界であっても冒頭は『軍隊行進曲』のほうが好みであると結論。
実際新国立劇場ニューイヤー・バレエでの公演では、正月明け1週間仕事をこなした観客が大勢を占めるであろう3連休開催で
プログラム最初を飾る演目ながら、演奏もいたく繊細でしっとりしていたためか居眠り者続出だった印象です。
順番前後して、コンクール選曲でも人気が高い『パキータ』ヴァリエーションは、
実はパキータではない曲もあるのは想像はある程度できておりましたがうち1曲、鉄琴であろう楽器がポロンと奏でる曲は
私の中ではアンナ・パブロワの写真の印象しかない『アルミードの館』の中のヴァリエーションが正しいそう。
コンクール指導なさっている先生方への注意喚起をこの度もなさっていました。
他にも大作曲家グラズノフのお酒に塗れた晩年、そしてガラでも大人気『グラン・パ・クラシック』が世に広まった理由は
振り付けたグゾフスキーのアルコール依存により著作権管理の行き届かなさであった皮肉なる点にも言及。
バレエの知識の溢れんばかりな飛び出しはまさに開けてびっくり玉手箱で
鑑賞愛好者のみならず、バレエ指導者や舞台に立つ機会が多い方にも聞いていただきたい講座です。
また定期的に開催さるようで、また最近福田さんは都内の大手バレエスタジオAngel Rさんのスワンスクールにて
講義もなさっています。会員以外の方やバレエは鑑賞専門な方も歓迎であるそうで、ご興味ある方は是非ご参加ください。
依存症にならぬよう気をつけようとは思っていても、偉大な作曲家への思いを馳せながら赤ワインで乾杯。
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