2020年3月10日火曜日

当日に決定が下された突如の千秋楽 新国立劇場バレエ団『マノン』2月22日(土)〜2月26日(水)




2月22日(土)から26日(水)、新国立劇場バレエ団『マノン』を計3回観て参りました。
当初は5回公演の予定でしたが新型コロナウィルス感染拡大を懸念し26日(水)当日に残り2回公演の中止が決定。
突如26日(水)が千秋楽となりました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/manon/

【2/22(土)14:00】
マノン 米沢 唯
デ・グリュー ワディム・ムンタギロフ(英国ロイヤルバレエ・プリンシパル)
レスコー 木下嘉人
ムッシューG.M. 中家正博
レスコーの愛人 木村優里
娼家のマダム 本島美和
物乞いのリーダー 福田圭吾
看守 貝川鐵夫
高級娼婦 寺田亜沙子  奥田花純  柴山紗帆  細田千晶  川口藍
踊る紳士 速水渉悟  原健太  小柴富久修
客 宇賀大将  清水裕三郎  趙載範  浜崎恵二朗  福田紘也

【2/23(日)14:00】
マノン 米沢 唯
デ・グリュー ワディム・ムンタギロフ(英国ロイヤルバレエ・プリンシパル)
レスコー 木下嘉人
ムッシューG.M. 中家正博
レスコーの愛人 木村優里
娼家のマダム:本島美和
物乞いのリーダー 福田圭吾
看守:貝川鐵夫
高級娼婦 奥田花純  柴山紗帆  細田千晶  渡辺与布  川口藍
踊る紳士 速水渉悟  原健太  小柴富久修
客 宇賀大将  清水裕三郎  趙載範  浜崎恵二朗  福田紘也

【2/26(水)19:00】
マノン 小野絢子
デ・グリュー  福岡雄大
レスコー 渡邊峻郁
ムッシューG.M.  中家正博
レスコーの愛人 木村優里
娼婦家のマダム 本島美和
物乞いのリーダー 速水渉悟
看守 貝川鐵夫
高級娼婦 池田理沙子  渡辺与布  玉井るい 益田裕子  廣田奈々
踊る紳士 速水渉悟  原健太  中島駿野
客 宇賀大将  清水裕三郎  趙載範  浜崎恵二朗  福田紘也


嬉しいことに、公演の様子が一部フェイスブックにて映像公開されています。是非ご覧ください。

米沢さん&ムンタさん 寝室
https://www.facebook.com/150537605092987/posts/2006985912781471/
米沢さん マノン2幕ソロ
https://www.facebook.com/150537605092987/posts/2006987192781343/
米沢さん&ムンタさん 沼地
https://www.facebook.com/150537605092987/posts/2006987686114627/
2月26日(水)カーテンコール
https://www.facebook.com/150537605092987/posts/1999056310241098/


※3回公演でしたが、大変長い感想でございます。まとまり、ございません。
鑑賞予定の舞台が中止となったなど、お時間のある方はどうぞお読みください。
世相が大変な最中に読む気になれぬとお思いの方は恐れ入ります、
予定が次々と飛んでおり内容未定ではございますが次回まで今しばらくお待ちください。
ひとまずは罰としてレスコーによる背後からの締め上げに遭わぬよう気をつけて過ごして参ります。
(26日のレスコーならむしろ歓天喜地か、或いは泥酔の介抱なら喜んで。いやそういう問題ではない)


米沢さんは純愛路線なマノン。2幕でのデ・グリューとGMの狭間で揺れる場では
デ・グリューからの求愛に泣き出しそうな表情で拒絶したりと
豪奢な生活に憧れ、心の内は揺れているとはいえデ・グリューへの愛の方が強かったであろうと想像いたします。
マノン像でしばしば挙がる「魔性」要素はやや控えめな、だからこそ少しでもGMに心が傾きかけると
デ・グリューではなくても慌てふためいてしまいそうな、掴みどころのない部分も含め魅惑的な少女でした。
目にしたものに心惹かれるとすぐさま走ってしまう流木の如く右へ左へ流されてしまうマノンで、
例えば首飾りをかけられた際にははしゃぐ行為を抑えるように喜びを表してうっとり目線。
異質な程に優等生なムンタギロフデ・グリューと共に危険行為に少し手を染めるだけで悲劇を予期させ
だからこそ終盤の沼地が一層ドラマティックに爆発していた印象です。

ムンタさんはこれまで新国立では『ジゼル』、『眠れる森の美女』、『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』など
度々客演していながらいわゆるきらきら貴公子の印象ばかりが先行しておりましたが
(バレエ団ファンとして如何なものかとご指摘を受けそうだが、NHKでテレビ放送された
2015年の米沢さんとの白鳥の湖は未だ冒頭しか観ていない)今回は全く異なり、内側から迸る熱さに仰天。
1人異質なほど光り輝き小綺麗であったため紐で十字に縛った古びた書籍を持つ姿は違和感が残ったものの笑
寝室での喜びに満ち溢れた伸びやかな脚のラインや沼地での身体の奥底から突き出す感情など
容姿の麗しさのみにとどまらぬ魅力全開。作品を踊り込み、役も似合い、更には世界中で引っ張りだこな旬のスターダンサーで
その上、娼婦や物乞いといったあらゆる役柄を務めるダンサーとの細かなやりとりも手を抜かず
初台に溶け込みつつ舞台全体をしっかり見渡しながら臨む姿勢に脱帽。
この状況下に予定通り来日を遂げたムンタさんには感謝の念が尽きません。
基本バレエ団のダンサーのみで賄って欲しい派ではございますが、今回ばかりはムンタさんのデ・グリューと
米沢さんのマノンの共演、新国立バレエとの化学反応に居合わせたのは誠に幸運でした。
2幕でGMのもとへ行きそうになるマノンを求める場面での見上げるところにて
子犬のような目で見つめる眼差しに、ああ世の女性陣はこの目に蕩けるのかとロイヤルシネマのときと同様納得。
私も20年後くらいにはムンタさんのような往年の少女漫画系貴公子の虜となるのかもしれないと
未来予想図を描画いたしましたが、ある知人曰くそう簡単には私の好みは変わりそうにないらしく
20年だろうが30年だろうが年月を経ても着物が似合う人しか好みそうにないと武士の如くバッサリ斬られた管理人でございます。

米沢さんムンタさんの讃え合うパートナーシップ構築にも感激し、恐らくは本能のままに物事を判断して流木の如く
右へ左へと流されやすくデ・グリューと戯れる際には金銭なんぞ一切忘れて無邪気にすら感じさせるマノンと
そんな後先や損得を考えず飛び込んでくるマノンを全身で受け止め一身に捧ぐデ・グリューが交わす愛のドロッとした濃密度は低く
ふわっとしたマノンとドラマ性もありつつもきらきら貴公子な趣あるデ・グリューであるためか
この作品にしては澄み切った爽やかさを思わせ、絵でいえば水彩画。
例えばじっと見つめ合う場面においては互いに交わす視線がぐっと強まっても
揺らめく水面のような透明感に包まれ、周囲からは一線を画した純愛少女漫画な2人と化していた気がいたします。
マノンの肢体がバラバラに壊れ崩れそうな脆さが前面に出て、最後の最後までマノンを呼び起こそうと
デ・グリューの叫びが響き渡っていた沼地も圧巻。

木下さんのレスコーはムンタさんと身長差があるとはいえ無遠慮に迫る熱演。
1幕終盤の金銭での解決を提案する箇所でのデ・グリューの今にも締め上げられそうな苦しい表情からも
レスコーの追い詰めのおっかなさを物語っていた印象で
愛人との酔っ払いパ・ド・ドゥも、急斜なリフトを始め滑らかなサポート職人芸はあっと唸らせました。
ただ全体を通してみるとやや忙しない印象が前面に出てしてしまい、昨年の『ロメオとジュリエット』マキューシオや
今年のニューイヤー・バレエDGVでの完全に役を自身のものにした鉄壁ぶりであったため
期待値を高く掲げ過ぎてしまったためかもしれません。

小野さんは白い帽子に淡い水色の清楚な装いであっても登場時から危うさを孕んだ視線にどきりとするマノン。
流されやすさとは無縁そうな、物事を目の前にするとまず一呼吸置いて損得を巡らせてから決断しているであろうしたたかなヒロインでした。
初挑戦の2012年はゲネプロ写真での2幕にてGMを見据える姿からして仰け反りそうなほどの魔性に同性であっても震え上がりましたが
8年前よりも更に色気も増していた印象。脚先指先から魔力を振り撒き、一寸の隙も与えぬ強さに
デ・グリューではなくても抗えないと説得力を持たせていました。
全編通して視線と踊りが一体化した姿に目を見張りましたが、特にGMとレスコーとのトロワでの
艶かしく揺れる肢体と磁力で吸い付くような視線が同時に浮遊したときの蠱惑的な姿が強烈に刻まれております。

GMから首飾りを装着させられたときの子供のような純粋な憧れを露わにした米沢さんに対して
小野さんは私にこそ似合う宝石であると冷静さを保っていた様子であるなど
お2人ともマノンの捉え方が全く違うからこそ見比べが何倍も面白く、複数キャスト鑑賞の醍醐味を堪能。
どちらが良いか否かではなく甲乙付け難いヒロインであったのは間違いありません。

思わず目を覆いたくなる場面ながらこの作品を観る上で必ず注目する、看守からの迫りにおいても
お2人ともわざとらしさが無かった点も高評価。余りに残酷さのある行為をされた後では何もかもが体内から抜け落ちた状態となり
もはや泣く気力もないと思うのです。仮に未遂であったとしても恐怖感に苛まれて身体の制御も思うようにいかないでしょうし
ましてや未遂ではないのは振付からも見て取れますし密閉された空間ですから尚更でしょう。
大泣きすることもなく、横たわったまま目が虚ろになっていた表情が
自然な流れに映ったのでした。途中、一瞬看守の身体が離れたときには
ようやく訪れた束の間の安息の時間にほんの微かな笑みが覗いていた点も実に真実味ある表現でした。

福岡さんは朴訥とした神学生デ・グリューで紐で縛った古書を手にする姿がいたく自然な苦学生。(これ大事)
娼婦たちにからかわれても戸惑っておろおろしたり喜怒哀楽がはっきりしない反応がまた
社交的でなく勉強一筋であったであろう生真面目学生であると窺える登場でした。
驚くほどに若くあどけなさがあり、昨年の『ロメオとジュリエット』ティボルトと同じダンサーにはとても見えず。
ロメジュリのときはロメオの渡邊さんと並べば福岡さんティボルトのほうが力も年齢も上回っていたのは明らかでしたが
今回は力関係が見事なまでに逆転。デ・グリューとしていかに振る舞うか魅せるか、しっかり心得ての表現であったと見受けます。
2幕でのマノンの心を取り戻そうと訴えるソロは嘆きにも感じさせる悲痛さがあり
見るからに計算高く魔性な少女を再度目を向けさせるのは容易でないと思わず感情移入。
沼地でのふらつくマノンを支えようと全てをぶつける熱さも凄まじく、壮絶な幕切れへと繋がっていました。

福岡さんといえば、デ・グリュー初挑戦直後の2012年秋に開催された朝日カルチャーセンターにおける
バレエ評論家守山実花先生との対談にて、1幕の寝室のパ・ド・ドゥ映像をご覧になりながら
佳境に差し掛かったあたりにて「彼はまだ知らないんです。この後の修羅場を…」と語って場内大笑い。
続けて「(GMたちが)もうドアの前に到着する頃です」とご自身の役を俯瞰的に実況解説されていた通り
まさかの展開にあれよあれよと呑み込まれていくデ・グリューを一段と精度を上げて踊られていた再演でした。

※まだまだ続きます。小休止をどうぞ。

渡邊さんのレスコーは見た目は癖者ではなさそうな人物ながら金銭が絡むと途端に成り上がりな面を見せ、
GMとの取引確定後は一層ギラギラ。酔いどれソロ、愛人とのパ・ド・ドゥともに体当たりで笑いも起こり
酒癖女癖が悪くても憎めず助けたくなる人物で、昨夏八王子市でのバレエナウさん発表会における
貝川鐵夫さん振付『長靴を履いたネコ』での魔王を除けば(何体ものぬいぐるみを奪い、子猫たちを連れ去るほのぼの系悪役)
本拠地では初披露の色悪な役に心酔いたしました。
実のところ、リハーサル映像を見た際にはさらっとしていた印象を持ってしまっておりましたが
本番では大化け。色気や怖さもありつつ物乞いとつるむときはやんちゃであったり
GMにはわざとらしく礼儀正しく接したかと思えばお金が入る筋道ができそうと確信するとニヤリと笑みが零れたりと
全身からレスコーが持つ様々な表情が伝わる人物でした。レスコーがこうにも頭の回転が早く行動力もあり
GMと物乞いの間を行ったり来たりと咄嗟の判断力も兼備しているとは初めて知った次第。
しかもあらゆる素早い行動の畳み掛けも忙しそうに感じさせず、空間の使い方が大きく余裕ある行動に見せていた点も惚れ惚れ。
GMの時計を盗んだ物乞いリーダーをGM本人の前に犯人として突き出した際にはリーダーに感情移入して思わず裏切り者かと
訴えそうになりましたが、瞬時の交渉で時計は返却させて代わりにリーダーは金銭入手。やり手過ぎるレスコーに今更ながら驚倒です。

スパイスイープラスでのインタビューで楽しみが一層増していた、1幕終盤でのデ・グリュー締め上げは
単なる脅迫や威嚇ではなく、お金があれば全ては上手く回るのだから受け入れて欲しいと
懸命に語りかけるように迫っていた点も好印象。
役柄の設定が近衛兵であると考えると元は協調性も少なからずあるであろう真面目な青年でしょうから
ただ品悪く拷問のような幕切れにしなかったのは非常に説得力があると感じました。
他の場面も含め一生懸命演じようとせず、ぶっ飛ぶところは存分に飛び上がり
即座に転換して千鳥足気味の箇所に至るまでメリハリある踊りと酔っ払って高揚した感情が
自然と融合して解き放つ見せ場となっていた酔いどれソロや
振付上では危なっかしいリフト満載で、酔った設定であるためふらつきながらも実際は盤石且つ大胆に魅せていた、
バタンと絶妙なタイミングで倒れ込んでは笑いも誘っていた愛人との酔いどれパ・ド・ドゥにも心より喝采。
木村さんとはぶっつけ本番に近い状態であったであろう事情も一切感じさせず、パ・ド・ドゥのみならず
隅っこでの熱々ほろ酔いな細かなお芝居からも片時も目を離せず魅了されました。

レスコーと言えば遡ること昨年の夏、パリ・オペラ座バレエ団精通の方より教えていただいて
1990年の『マノン』映像を鑑賞し(のちにバレエチャンネルさんのインタビューで渡邊さんも語っていらした映像)
マノンがモニク・ルディエール、デ・グリューがマニュエル・ルグリ、そしてレスコーがカデル・ベラルビで
愛人がマリ=クロード・ピエトラガラという黄金キャスト集結公演でした。画質は上等とは言い難いながら
基本マクミラン作品は本拠地英国ロイヤルバレエの舞台が好ましいと考えがちな
私の思い込みを打ち飛ばされる文句の付けようがないゴージャスな舞台に驚嘆。
とりわけトゥールーズのキャピトル・バレエ時代の渡邊さんを自身のオリジナル作品に次々と抜擢して鍛え上げた
現在も同カンパニーの監督を務めるベラルビさんレスコーの整い過ぎた翳りのある色男ぶりには
悲鳴に近い歓声を上げそうになり、少数派であるのは承知で申しますとこれはヘナチョコなデ・グリューよりも(失礼)
俄然色悪レスコーをベラルビの教え継承者の渡邊さんで観たいと願い始めたのでした。

ひたすら色男或いは冷酷無比といった両極端な印象が先行していた従来のレスコーとは一味も二味も異なった造形で渡邊さんは挑まれ
物乞いからも慕われる人気ぶりや酔っ払ってだらし無い(失礼)体勢で
愛人の手を掴みながら居眠りしていても、立ったまま顔に手を当て酔いを醒まそうと試みていても
(立ったままの項垂れは現代の職場の宴会においても開始から1時間半程度過ぎると1人はいるであろう、幹事泣かせな参加者。
ちなみに私はとある集まりの食事会で毎回幹事を務めており、日時や会場などの事前通知の際には
酔っ払いの介助介抱はしない、飲酒は自力で帰宅可能な程度の量で願うと必ず文書で通達する
優しさ欠如の幹事であるが、このレスコーなら特例措置決行間違いない)
憎めぬ愛嬌など多彩な魅力を場面ごとにまこと鮮やかに体現。悪人だけにとどまらぬ
豪胆で容赦無く怖いもの知らずで逞しく男らしい面もあれば、取引に利用しているだけかもしれないが
物乞いとも交われる親しみ易い面もあり、こうにも人間味豊かで深みもあるレスコーには初めてお目にかかりました。

妹を金銭闇取引に利用する上に多少酒癖や女癖が悪くても憎めず助けたい心持ちにさせられたのは不思議なもので
(現代ならば警察通報級の荒くれダメ男ですが笑)最期GMに向けた、瀕死の状態でも尚のし上がりたい野望を募らせた
憎悪の視線にも慄き、悲願であった新国立初披露の色悪な役に酔い痴れました。
人脈作りも上手く頭のキレも良く、金銭の回り方の仕組みを把握し経営能力も備えていそうですから
現代ならば一代で年商数十億単位の会社を築き行き着く先は若きやり手の社長としてカンブリア宮殿にも出演となるのでしょうが
まだまだ身分差の壁を越えられぬ時代であった点が惜しいところ。
それはさておき、26日の公演は上演できるか否かぎりぎりまで判断を迫られたかと察しますが
渡邊さんのレスコーを1回だけでも鑑賞できて安堵。目当ての役柄が同じ者同士、半泣き状態で喜び合った幕間でございます。

それから今回もやります、髪型考察。仮にぺったり七三分けであったとしても、付け毛とリボン効果で
洗練されたフランス人と化すのは2011年のバーミンガムロイヤル来日公演眠りでのツァオ・チーさんが証明してくださっていますが
(勝手に付け毛マジックと呼称)即座に二重丸。前髪も整え過ぎず自然なままで、
リハーサル動画にて装着可能であるのか不安も些かあったこざっぱりとした短髪であっても
付け毛も外れず。毎度思いますが、洋装(但しフリルやレースものは除く)と和装両方が容姿と調和して絵になる方は稀少でしょう。
手を合わせて愛でるしかない古風で端正、今回は野心や狡猾さを含んだ横顔も美しや。

驚きに拍車をかけたのは小野さんマノンと渡邊さんレスコーの兄妹ぶり。
顔は似ていない、実際には親族でもないながら兄妹の関係がはっきりと見て取れたのです。
計算高く物事をまずは損得の観点で捉えるのであろうしたたかさの方向性が同じで
恋愛関係ではなく兄弟姉妹の役においてぴたりと嵌る例はそうそうありません。
恐らくは両親を早くに亡くしたか事情で孤児院に預けられていたのか、或いは親族に預けられたとしても冷たい扱いを受けていたか
貧困に耐えながら兄妹身を寄せ合い知恵を絞り合い裕福になる決意を固め、そのためなら手段を選ばず金銭を稼ごうと
手を取り合っていた子供時代が自ずと浮かんできます。兄ちゃん手堅くまずは近衛兵に就職、の人生計画にも納得。
バレエで兄妹の役といえば日本その他アジア諸々を舞台にした『パゴダの王子』が新国立にて眠るレパートリーとしてありますが
大衆演劇風なテカリ和装とはいえ王子の衣装は間違いなく似合うでしょうが
裸体坊主頭でアヘン吸引の中国や銃所持の米国、といった東西南北の王の設定の受け止めがどうにもこうにも困難であり
妹のさくらで共通するならば映画『男はつらいよ』バレエ化の方が望ましい、マドンナは本島さんで決まりとは綴っても
客入りは見込めても容易には叶わぬのは目に見えておりますので次行きます。

身体の奥底から黒々とした嫌らしさを放出する中家さんのムッシューGMも舞台に厚みを加え、
マノンの脚を舐めるように摩る仕草が耐え難いぐらいに気色悪く(褒め言葉です)
取引成立間近なレスコーから静止されかけるのも無理はない、徹底した好色ぶり。
しかしバレエチャンネルさんでの中家さんへのインタビューのお話が今回大変参考になり
成金であるため正式なパーティーには出席できず娼館や街中では偉ぶっていることや
お金さえ払えば物事を解決できると信じている点を踏まえた上で鑑賞すると
ただの嫌らしい親父とは思えず。羽振りが良いときの金銭ばら撒きなんぞ憎めないご満悦な表情でした。
代わりに導火線が点火するとああおっかない。賭博でのイカサマを見抜くと
星一徹も萎縮するであろう卓袱台ではなくテーブルひっくり返しで、レスコーの酔いがすっかり醒めるのも
後にも述べるが間抜けとは分かっていてもテーブルを盾にして隠れたくなるレスコーの行動も当然の流れと思わせる雷落としです。

レスコーの愛人の木村さんはソロにおいては色気はあれど初日と2日目はやや初々しさや可愛らしさがまさってしまい、
娼婦たちを率いている光景も弱く感じてしまったときもありましたが
レスコーとのパ・ド・ドゥでは木下さんの好サポートもあり、宙ぶらりんになった状態で不安がる表情で笑いを起こしたりと健闘。
唸らせたのは26日で、開演直前に当初の愛人役寺田亜沙子さんが降板し急遽木村さんが登板。
キャスト変更の事情で開演が20分ほど遅れる旨が緞帳前に立ったスタッフによる説明があり、
リハーサル動画を見る限り小野さんマノンの日は女優役つまりは腰掛けて広場を眺めていたりと踊る箇所が無いに等しい役柄を予定していて
大急ぎで着替え鬘も装着、格好のみならず身体の準備も数分で行っての出演はさぞ緊張を強いられたのは容易に想像がつきます。
しかし急遽登板とは微塵も感じさせず、むしろ初日と2日目よりも吹っ切れていた印象すら抱かせ
1幕での重厚感のあるソロでは魔物が潜んでいそうな視線の送り方や身体を捻りながら手を差し伸べて気を惹く仕草に至るまで
2幕ではまた娼婦たちを従えてショールを両手に回転するだけでも色香がふわっと舞い上がり
貫禄までもを備え、いたく驚き嬉しい役への入り込みでした。
人気を博す華やかな娼婦とはいってもレスコーへの愛が一途な面はいじらしく、
少し他の男性と話していただけでレスコーの嫉妬を買い、腕を無理やり引っ張られた挙句に顔を叩かれてもついていく姿に
現代であれば荒くれ駄目男に分類される対象であっても、金持ちではないながら金銭を稼ぐ術に長けていたレスコーは
心身の拠り所であったのでしょう。しかも娼家を訪れる客よりは遥かに貌も宜しい男性ですから
一見華やかで豪奢な装いで振る舞ってはいても内心は縋る思いで尽くしていたに違いありません。
加えて腕っ節も強そうとなれば、治安も良好ではない物騒な社会においては用心棒として傍らにいて欲しかったのかもしれません。
1幕序盤での、嫉妬に燃えるレスコーによって強引に囚人たちの前に放り出されたのは
下手な真似をするとどんな運命が待ち受けるのかを明示するレスコーからの戒めとも見て取れます。

娼家のマダムは本島さん。まだ娼婦としても務まるであろう美貌なマダムで、踊る箇所が殆ど無い点が惜しまれるものの
腕を一振りしただけでも舞台をぱっと引き締める支配力や娼婦に耳打ちするときの表情ですら妖艶で
舞台の何処にいても目を惹く人物。2幕ワルツでのレスコーとの世にも華麗なるおしくら饅頭には笑い転げてしまいそうでした。

ところで、隙なく完璧な構成展開である作品と捉えていながら意外にも突っ込みどころや疑問もいくつか目に留まり
例えば金銭が入っていると思われる第1幕でのマノンの鞄で、小ぶりであるのは分かるのだがどう見ても大家さんの集金用の鞄。
視界に入るたびに笑いが込み上げて困ったものです。貴重品ほど見かけは拍子抜けする物に保管するのであろうかと
アトランタとシドニー五輪で2連覇(のちアテネで3連覇)を果たした柔道の野村忠宏さんが
2大会で獲得した金メダルを入れていた鞄を大家さんの集金袋と司会者に突っ込まれていたテレビ放送を思い出します。
思えばGMやレスコーが金銭入れに使用している巾着袋も妙に可愛らしい気がするが。(お財布の歴史を辿ると面白いかもしれぬ)

それから2幕でのデ・グリューとレスコーの関係性と衣装。1幕終盤で恐怖の目に遭わされた相手であるレスコーを
妙に小綺麗な服装で決めたデ・グリューが介抱していた点も飲み会で悪酔いした上司を支える部下のような絵で謎であり、
レスコーが娼館に入る前から泥酔していた点も疑問が残る設定の1つ。
直前にGMから受け取った金銭の使い道をデ・グリューはよそ行き服購入、
レスコーは酒代に注ぎ込むと話し合いは成立したのか想像が巡る場面です。
そしてレスコーは娼館到着前の何処かのお店でワインをボトルで注文し、連れのデ・グリューの心配も声にも耳を傾けず
呑みの歯止めが効かずに遂にはボトルを死守したまま退店して娼館へ、といった流れだったのか妄想は止まらず
散々な目に遭わされても愛する少女の兄のためなら誠心誠意尽くすデ・グリューの健気なことよ。
それから壁激突が心配にもなる、演奏の決め音とぴたりと合う寝室のパ・ド・ドゥ後に起こるマノンのベッド飛び込みや
2幕の幕切れでの絶命すれすれな状況ながら倒されたテーブルを盾にして隠れる
強気から一気に大転落のレスコーの必死ぶりもいかにも本能で出たと思わせる行動です。
加えて直後、マノンとデ・グリューが和解の確認なるパ・ド・ドゥを披露している間に
レスコーはGMや兵士たちによる拷問を受けていたはずで、気づけばボコボコ傷だらけな状態で登場するため
舞台では描かれていない過程の部分も想像が巡って止まず。舞台登場時木下さんは救いを懇願し弱り果てていた様子で
対する渡邊さんは負けず嫌いな我を貫こうとひたすらGMの目を鋭く睨んでいてド根性で這い上がってきた感が死に際でも伝わり
両者とも異なる最期の表現の見比べがまたレスコーという人物への興味を一段と持たせました。

幕開けから貴族と物乞い、成金や女優が同時に登場する身分差格差社会の露骨描写が目に付き
身体を売る娼婦や闇取引、窃盗、と品位が欠如した要素ばかりが詰まっていて
好きになれそうにない、進んで観たいとは思えない方もいらっしゃるかもしれません。しかし心配は無用で
単なる退廃した社会、人間の負の部分を描いた作品にはとどまらずむしろどっぷり物語の世界に浸った心地良い印象すら残すのです。
時には身を売ってでも犯罪に手を染めてまでも生きるためにはそうせざるを得なかった人々の懸命さが胸を打つだけでなく
音楽もまた作品のスケール感を引き立て、場面ごとの情景をより鮮やかにさせ心に響かせる効果が実に大きいからであろうと再度推察。
オペラ『マノン・レスコー』からは抜粋せずマスネの様々な曲を組み合わせた構成が実に魅力で
人間の醜い部分をも躊躇なく抉り出した、あらゆる欲に塗れた濃密な作品を彩る
時に甘美で時に毒々しく残酷な場面状況や人物の感情にぴたりと嵌り、切り貼りした感が皆無で度々聴き惚れております。
基本、ドッカンとした迫力や大地の匂い、郷愁漂う曲調が多いロシア音楽好きではありますが
バレエ『マノン』における例え幸福な場面であっても悲しみを湛え悲劇の展開を予想させる
曲の数々はどれを聴いても胸が締め付けられずにはいられません。

少数派かと思いますが私が作品中で特に好きな場面や音楽は娼館でのどんちゃん騒ぎなワルツ。
音楽自体は壮大で美しい旋律ですが、館の中から溢れ出す情欲、金銭欲、性欲といったありとあらゆる欲が混沌と渦巻き
1曲の中での主旋パート楽器のめくるめく変化は次々となだれ込んできて踊り狂うレスコーや愛人、マダムから娼婦、紳士たちまで
絡み合う大勢の人々の欲望の連鎖そのもので、GMがお金をばらまいたりと細かな演出の組み込みもあり。
高笑いまでもが聞こえてきそうな場面ながら物哀しく響き、その直後のデ・グリューのソロに殊更悲哀を持たせていると思わせます。
バレエ音楽では我が3本の指に入るワルツです。
それから短時間ながら場面と状況変化を代弁していると殊更唸らせたのがレスコーの愛人の記述と重複いたしますが
1幕序盤にて男性たちと談笑していた愛人が、嫉妬したレスコーによって通り掛かる囚人たちの前に連れ出される場面での音楽。
レスコーの怒りと愛人の腕を引っ張っての顔叩き、続けて囚人たちの前から逃げようとして許しを乞う愛人の怯えと
これ見よがしに登場する女優たちの堂々とした歩調までもが音楽で緻密に表され、ほんの数秒の枠の中ですが
作品の冒頭であたかもこのために作曲されたと信じずにいられぬ光景を開演早々から目と耳で感じるひと幕です。

細部まで凝った衣装美術はどれからも目が離せず、1点1点じっくり観察したくなり
展示会が開催された暁には何時間でも居座ってしまうでしょう。
新国立では2003年の初演では英国ロイヤルやパリ・オペラ座が採用しているニコラス・ジョージアディスのデザインを、
2012年と今回の再演ではオーストラリア・バレエが採用のピーター・ファーマーの衣装を着用。
これまではファーマーによる1幕のマノンやデ・グリュー、2幕の娼婦たちのパステルカラーからなる衣装に違和感を覚え
よりクラシカルなデザインと渋みある色彩で整えられたジョージアディスのほうが断然好みでした。
しかしよくよく見比べて観察してみると、ファーマーの衣装のほうがしっくりくるデザインも何点か発見。
2幕の豪奢な装いのマノンは重厚なカチューシャ型ティアラや黒の七分袖衣装の金の刺繍や装飾の光沢にうっとり惚れ惚れし
淹れてから長時間が経過し茶柱の判別もつかぬ濁ったお茶色なんぞ当初は申していたレスコーの深緑も(大変失礼)
日によってはいたくスタイリッシュな着こなしに映ってこれまでの考えを覆され、
人間とはかくも身勝手な生き物であると3年前から何度書いているか分からぬが今回も心底感じた次第です。

マノンで思い出すのは、この作品を知ったのはバレエ鑑賞の開始から約7年後。
1996年ダンスマガジンABT来日公演記事がきっかけでした。スーザン・ジャフィーやアマンダ・マッケロー、
ニーナ・アナニアシヴィリがヒロインについて語るインタビューを読んだものの今一つ理解に至らず
まだインターネット音痴だった為バレエ作品に疑問があれば毎度頼りにしていた
図書館の書籍『バレエ101物語』にて調べたのは良かったが、原作者アベ・プレヴォーを
日系フランス人かと思い込んでしまい恥ずかしや。当時の管理人には作者もあらすじも難解だったわけです。

そして年齢を重ねて2007年春に初めて全幕を図書館の視聴覚コーナーにて英国ロイヤルのVHS映像で鑑賞。
主演はジェニファー・ペニーとアンソニー・ダウエルで、話も把握せずに観てはいたものの
劇的な展開には手に汗を握り、観終えると放心状態となったのは今も忘れられず。
同時にいつかデ・グリューを山本隆之さんで観たいと祈願したものです。(2012年に叶い感無量)
2003年の新国立劇場での初演は新聞記事で知ってはおりましたが足を運ばず終い、
今思えば酒井はなさんのマノンを鑑賞したかったと悔やまれます。

2月29日(土)、3月1日(日)は2回とも中止になってしまい滅多に上演できぬ作品で無念極まりないものの
観客そして劇場に携わる方々の安全を最優先した上での苦渋の決断であったでしょうし
状況を考慮すれば致し方なく、早いうちの再演を心より望みます。
突如当日に千秋楽と決まった26日(水)、三大バレエや有名古典バレエでもない上に
平日夜公演、新型コロナウイルスの感染関連の報道も連日なされた状況下で決して動員も順調ではない公演でしたが
カーテンコールは満員御礼公演と変わらぬ熱量。観客の拍手は、公演中止を余儀なくされ
ほぼ半減してしまった事態にこのままでは終われず、早期再演の実現を望みが込められ
長く熱いカーテンコールへと繋がっていたのでしょう。
そして次回は、歩き読書の登場時は二宮金次郎以上に生真面目純朴そうな学徒が
マノンとの出会いによって激流の如く破滅へと呑まれて行くさまを
起伏に富んだ心情の変化や登場人物との会話を全身から手に取るように伝え、
『ロメオとジュリエット』よりも遥かに人間の闇部分を突き詰めた濃密な物語の世界に引き込むのは間違いないであろう
渡邊さんのデ・グリューにお目にかかれるよう切に願っております。




入場すると机上の消毒液がお出迎え。


今回の公演限定ケーキはマノン役の米沢さんと小野さんが各々1種ずつ監修。
ケーキの解説文、しっかりと読んだ上でいただきます。ただ甘味を堪能するわけではありません笑。
読みつつふと浮かんだのは、コインに見立てた装飾でレスコー&GMの成り上がりケーキなんぞあったら尚嬉しい気がいたします笑。
今回のお三方ならばアイディア出し合って上質なケーキが出来上がるかもしれません。



右のチョコレートケーキは米沢さん監修の「マノンのドレス〜オペラ〜」。濃厚なチョコレートクリームや
コーヒークリームが何層にも重なっており、コーヒーによく合う味でした。



小野さん監修の「デ・グリューの愛の詩〜カルヴァドス風味のサバラン」。
甘さを抑え、お酒の味もさほど強くなくマノンの魔力に徐々に惹かれていくデ・グリューの心を映していると勝手に想像。
愛の詩と聞くと、響きからして映画『ある愛の詩』を思い出します。
一昔前はよく図書館で映画音楽大全集CDを借りては好んで聴いており
他にも『ドクトル・ジバゴ』や『ひまわり』、『風と共に去りぬ』、『太陽がいっぱい』、『シェルブールの雨傘』、E.T.など
CDを通して知った名作映画はかなり多い管理人でございます。



前半無事終演を祝い、黄金色に近い白ワインで乾杯。
『マノン』ほど金銭に執着する人物達が描かれたバレエ作品は他にないであろうと想像が巡ります。



ロイヤルアイスティーのカクテル。ハッピーアワーの価格に惹かれたが、3分も経たずに完飲。
管理人にはビールやワイン、ウイスキーやウォッカといった刺激と度数強めが合うらしい笑。



ハッピーアワーの文字につられて大きめのビール。特別英国作品の贔屓ではないが、マクミランやはり好きだ。
一昨年のロイヤルシネマでも妄想したが、いつかマイヤーリングも生で観たいものです。
心が歪み孤独に狂おしく突っ走るルドルフ皇太子が似合うダンサー、初台にいらっしゃいます。
ただ複数の女性と踊るパ・ド・ドゥがどれも過酷で怪我が心配になる役どころではあるが、観てみたいと夢は膨らみます。



26日に貼り出された中止通知。ウェブによる通知もまさにこの日の夕方でした。



リハーサル映像を見て寺田さんの愛人役も楽しみにしておりましたが、
怪我で直前降板。ご本人もさぞ悔しい思いをなさっていたかと察します。
そして急遽臨まれた木村さん、危うい箇所皆無でお見事でした。



カクテルサンプル。今回は公演限定レギュラーと26日(水)限定の2種類が登場。



夜空に、正確には窓ガラスに映った灯りと夜の甲州街道に映えるカクテルで乾杯。
26日(水)のみになってしまったが渡邊さん、初台では悲願の色悪役。そもそも注目する契機が、
トゥールーズにいらした頃の怪しい或いは粗暴なキャラクターを務める映像であったため、願って早3年超。
待望の役柄ようやく新国立劇場にお目見えです。



重厚濃厚なチョコレートとクリームが何層にも重なったマノンドレスケーキがいたく気に入ってしまい
この日は何ドルか分からぬ甲州街道の夜景を眺めながらいただきます。



千秋楽、マクミランさんに敬意を表してご出身地スコットランドのウイスキーで乾杯。
瓶の色がレスコーの衣装を想起させる点もポイントでございます。
尚私は大酒豪ですが、2幕のレスコー登場の如くボトルラッパ飲みの経験はございません笑。
但し最近、何本か購入し愛飲している福島県の造り酒屋金水晶さんの初しぼり酒を
いぶりがっこのタルタルソースをつまみに呑み始めると、1本空けそうになる事態に。勿論ラッパ飲みはいたしていませんが
酔いどれになってもレスコーの如く瓶を手に踊る行為による観衆魅了はできませんので管理人、呑み過ぎ要注意でございます。




2003年の新国立初演時のバレエ『マノン』リハーサル。マノン役は酒井さん、臨時のデ・グリューに山本さん!
新聞社名を失念してしまいましたが、2年後ぐらいに記事の旨を知り図書館に置かれている年鑑本からコピーした新聞記事です。

4 件のコメント:

さくらもち さんのコメント...

渡邊さんのレスコーが読んでいてよみがえります、ありがとうございます。
あの日は唐突に始まった公演自粛の流れと、これまた突然の代役で渡邊木村コンビ登場と、もうアタマが舞い上がっておりました。
デ・グリューで見たかった気持ちも強かったのですが、今こうなってみるとレスコーでよかったし、小野絢子さん本島美和さん木村優里さんに囲まれた細い色男は眼福でございましたねー。
小野さんと米沢さんのマノンの違いについても、なるほどでございます。米沢木下兄妹は本能型、小野渡邊兄妹は知恵ものタイプといえるかも。
「バレエチャンネル」のインタビューでベラルビさん(「ダイレクター」と言ってましたが)レスコーの話が出たのも嬉しかったですね。
あのパリオペラ座黄金時代が渡邊さんが生まれた年、というのはちょっとショックでしたが(笑)
いやでもレスコーよかったなー 個性も実力もとても発揮できる役でしたね!

管理人 さんのコメント...

さくらもち様

こんばんは。長いまとまり無く読みづらい記事をお読みいただきありがとうございました。
大変な気力を要したことと存じます笑。
26日は1時間の中で以降公演の自粛とキャスト変更の告知があり、
なかなか心がついていかなかったですよね。
様々な意味で、生涯忘れられぬ公演となってしまいました。

はい、色男且つ悪どい魅力から憎めない茶目っ気、そしてギラギラと野心漲る心理まで
いくつもの要素を備えたレスコーでしたよね。
物乞いリーダーとのやりとりも恐ろしく早い展開ながら見せ方に余裕もあって、
金銭執着にとどまらぬ幾多の困難を撃破してきたレスコーの賢さを思い知らされましたし
そうです、主役級美女に囲まれっぱなしで笑、絵になるお姿にも興奮が止まらずでした。
渡邊さんへの入口が爽やか貴公子や青年の役ではない、だいぶ風変わり!?な役柄であったため
レスコーのような色悪役での鑑賞の夢がようやく叶い今もまだ余韻に浸っております。

>米沢木下兄妹は本能型、小野渡邊兄妹は知恵ものタイプといえるかも。

そうです、分かりやすくぴったりな例えをありがとうございます!
両兄妹、苦しい状況をそれぞれ打開しながら歩んできた姿が目に浮かびます。
何とかなると良い意味で楽観視する木下さん兄、対して
分析癖のありそうな渡邊さん兄、と奮闘ぶりも想像が楽しくなってきます笑。

ベラルビさんのお話も嬉しいインタビュー内容でしたよね。
ベラルビさんレスコーは写真で見ただけでも整い過ぎた隙無き色男ぶりの虜となりそうで
映像で見ると更に倍増しで色気を醸していて、完全にデ・グリュー以上の存在感でした。
ピエトラガラさんのレスコー愛人がまた凛然と色っぽくて。この映像についてはいくらでも語ってしまいそうです。

1990年、私からすれば昨日のように感じる年代ですが笑
この時期のパリ・オペラ座のまさに綺羅星な強烈エトワールたちの競演は
バレエ団の歴史にも刻まれているでしょうね。

長くなってしまいすみません。とにかく渡邊さんで観たいと願っていたレスコーを無事観ることができ、幸福に包まれております。

Unknown さんのコメント...

2公演が中止になってしまいましたのは本当に残念でしたが、26日に上演してくれたことには感謝しかありませんね。
渡邊さんのレスコー、素晴らしかったです‼️
次回の再演では、是非ともデ・グリューも拝見したいものです。
私も例のケーキ、両方とも頂きました。美味しかったですね。
今回も詳細な素晴らしいレポートをありがとうございました。ひふみ

管理人 さんのコメント...

ひふみ様

こんばんは。長い長い内容の記事をお読みいただきありがとうございました。
8年ぶりの滅多に上演機会がないマノン、待ち侘びていた2公演中止は大変残念でしたが
ジャンルは違えども当日開演数時間前に中止が決定した同日のコンサートもありましたから
26日までどうにか上演してくださって、思い出すたびに胸に沁み入る公演であったと感じております。

はい、パドドゥで魅せる術に長けた渡邊さんですからデ・グリューをと願いながらも
虜になる入口が怪しさや悪の要素も含んだ役柄でしたからレスコーも観たい願望も募り
結果としてレスコーを鑑賞できてまだ余韻に浸っております。
ひたすら悪人或いは色男、ではない様々なキャラクター達との繋がりが見えてくる奥行きのあるレスコーでしたよね。

勿論です、再演時はデ・グリューを。3つのパドドゥのみならず
全場面で物語の力をこれでもかと深く熱く伝えてくださると確信しております。

ケーキ、2種類とも美味しかったですね。役のコンセプトにぴったりでした!
この度も長く文字だらけの記事をお読みいただきありがとうございました。
次回は映像がテーマですので、短めの予定です笑。