2020年5月1日金曜日

上野の森バレエホリデイ@home




先月末より数日間、上野の森バレエホリデイ@homeを視聴いたしました。
大変嬉しいことに、一部の動画の配信が延長されています。
https://balletholiday.com/2020/news/home-3.html

完全網羅はとても困難なほど充実したプログラムでしたので、視聴できた公演映像や対談の感想を順不同で簡単に紹介して参ります。


◆井上バレエ団『ゆきひめ』 小泉八雲『雪女』を下敷きに杉昌郎さんと関直人さんが振り付けバレエ化。ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』を使用しているとのこと。
和製『ジゼル』といった趣きで、青白い照明に包まれ整然と並んだ女性たちが一斉にふわっと薄く白いヴェールを靡かせる光景が
一瞬海月の揺らめく美しさを思わせたのも束の間。冷たさを帯びた幻想性に触れ、体感温度が低下に違いないであろう不気味さも十分。
ゆきひめ役の田中りなさんがほのかな可愛らしさを残しつつおどろおどろしい様相で迫ってくる踊りに震え上がり
小刻みな脚運びがワーグナーの音楽の弦の音色と溶け合って共鳴し、肝試し以上に恐ろしや。夏に生で観てみたい作品です。

関直人さんと言えば井上バレエ団の芸術監督、振付家として長らく活躍されていたことは存じ上げておりますが
お名前を目にしてすぐさま思い浮かぶのは貝谷八百子さんの展示会にて読んだ1948年頃の白鳥の湖公演の新聞記事だったか
その2年前に白鳥の湖(恐らく初演)を観てすっかりバレエに魅せられ上京して小牧さんの門を叩き、2年後には王子に抜擢と紹介されていたプロフィール。
当時バレエダンサーを志す男性は非常に少なかった事情があるとはいえ、2年で主役を射止めるとはと驚いたものです。
そして旧漢字が並んでおり関の字は門構えに糸のような字が2つ入り、その頃は出身学校の掲載が当たり前だったようで白河中學と記され
近年では國學院以外にはなかなかお目にかからぬ學の字に一種の懐かしさが混在する興奮を覚えた次第。
インターネット全盛時代に70年も前の記事を回想するのはさておき『ゆきひめ』は2018年に大和シティバレエの公演にて
小野絢子さんと福岡雄大さんを主演に迎えて上演されました。写真のみでも冷ややかな空気感が伝わります。
https://www.dance-square.jp/smy2.html


◆東京シティ・バレエ団「L' Heure Bleue」
ブベニチェクの振付で、バッハとボッケリーニの聴き馴染みある音楽に乗せて貴族風の装いをした人々が
お洒落にされど時折くすっと笑いが零れるお茶目な面を覗かせ、音楽と一体化した滑らかさにもうっとり。
照明の柔らかな色彩感にも目が行き、生で確かめたい作品の1本です。
https://www.tokyocityballet.org/schedule/schedule_000198.html


◆上野水香さんと高田茜さんの対談
お2人ともおっとりした口調ながら本音をズバズバと零していた会話が面白く、トゥ・シューズは見た目は皆同じにも拘らず履くと全然違い選ぶ作業は毎回悩む、
一番しんどいパ・ド・ドゥは『くるみ割り人形』で長いアダージオに金平糖は長いヴァリエーション。王子はなぜ短いのか、そしてお辞儀は長めにして欲しいなど
日頃の鬱憤!?をあれこれ口になさっていて引き出せばまだまだ噴水の如く溢れ出すに違いないと想像。


◆上野水香さんと小野絢子さんの対談
振付家との出会いの大切さをお2人とも熱弁。上野さんはローラン・プティ、小野さんはデヴィッド・ビントレー。
2001年の『デューク・エリントン・バレエ』にて初めて上野さんを鑑賞したとき
新聞や雑誌を開いて目に飛び込んできた以上に細身で脚がすらりと長いスタイルに仰天したのは現在も覚えております。
小野さんはご自宅らしき場所よりカジュアルな装いでリモート出演に対し上野さんは東京バレエ団スタジオのロビーと思わしき瀟洒なお部屋から。


◆岡崎準也さんによる家でおどろう
岡崎さんの説明が分かりやすく、声のトーンや話す速度など耳に入りやすく感じました。
管理人はこのときも勿論鑑賞専門でしたが(家で動き回ると音だけならともかく踊れば床に間違いなく穴が空き、階下の住人大迷惑は事態は目に見えている笑)
ダンス初心者でも気持ちよく汗ばんで楽しめそうな振付であった印象です。


これ以外にも視聴いたしましたがひとまずここまで。延長配信を引き続き満喫したいと思っております。
予定では例年通り上野の東京文化会館の屋内外でバレエ上演、マルシェ、物作り、限定飲食物に至るまで
多種のプログラムや出店を企画されていたはずが、縮小開催を試みたのも束の間。緊急事態宣言発令に伴い急遽全オンライン配信に変更を決断。
時間がない中、実行委員会の方々はそれこそ睡眠時間を削りながら国内外のダンサーへのインタビュー対応や各バレエ団への映像提供の募り、
SNSを通しての告知や更新に至るまで膨大な作業に追われていたと察します。
開催予定であった日は晴天の行楽日和でありながら悔しがる暇もなく、視聴者がバレエの世界に没頭できるよう
心を砕きながらギリギリまで準備を進めていてくださっていたに違いありません。
結果として、上野の森での開催は中止になってしまっても自宅にいながら鑑賞実践問わず1日中何かしらバレエを満喫できる時間となりました。
まさか全プログラム配信によるバレエホリデイでこうも楽しめるとは、実行委員会及び関係者の皆様に敬意を表します。
本当にありがとうございました。次回こそはまた例年通り上野の森での開催を心待ちにしております。


ご参考までに、一昨年2018年の上野の森バレエホリデイの様子。晴天に恵まれ、新緑がそよぐ中で堪能いたしました。
バレエキャラクターみくじもあり、予想外のジゼルに管理人ニンマリ。但し心臓よりも肝臓を労わらねば。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/2018-14d3.html

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