2020年5月20日水曜日

お茶の間観劇のお供による初再生は初演から半世紀・ベジャール版『火の鳥』

一部の地域では緊急事態宣言が解除されながらも劇場に行けぬ日が続いている昨今、配信映像で芸術鑑賞を堪能いる方は大勢いらっしゃることと存じます。
これまで管理人におきましてはせっかく劇場へ行きやすい環境にて生活している以上はバレエは極力で生で観る、
知り合いがいれば会場のロビーで談義する、そして帰りは一杯ひっかける流れをバレエ鑑賞の基本としておりました。
しかしバレエは劇場で観る感覚を大事にしたい、劇場で生まれる鮮烈な感激を薄めたくないために
特例を除いては極力動画サイトでの検索や視聴は控えてきた頭の古さがここにきて行き詰まりかけてそうは言っていられなくなり
劇場通いで手一杯であったとはいえネット上での全幕映像鑑賞とは無縁であった今までの慣例にとらわれず
現在は配信映像を活用して鑑賞を満喫しております。配信情報を発信してくださっている皆様、ありがとうございます。

さて、先月上旬のボリショイバレエ団の配信『スパルタクス』『眠れる森の美女』の頃までは
ipadが古いだのパソコンが故障中だの我が「機器」管理能力欠如による大画面での配信映像が鑑賞できぬと言い訳がましくぼやいておりましたが
心配してくださったのか大変お世話になっている方が勧めてくださった機器を購入し解決。こちらです。



※訳あってポルトガルのニワトリの置物コッコちゃん(名付け親は管理人)を飾っておりますが、こちらは別売りです。


テレビに接続して自宅で利用しているWi-Fiに繋げ、動画を携帯の画面ではなくそのままテレビに映し出せる優れものでございます。
機器事情に疎遠であったためまさかYoutubeをテレビ画面で堪能できる日が到来するとは思いもせず、現在ではバレエ鑑賞のみならず
動物関係の動画を見たがっている家族共々活用しております。上野の森バレエホリデイでの上映では一部vimeoでの配信でしたが
箱には明記されていないながらテレビでの視聴も可能でした。東京シティ・バレエ団の「L' Heure Bleue」や
井上バレエ団の『ゆきひめ』も岡本佳津子さんと井上博文さんのNHKバレエの夕べ最終回の写真も思い出しつつ無事鑑賞でき喜びもひとしおした次第です。

さて、GoogleChromecastを繋げるには自宅で利用中のWi-Fi登録が必要で簡単にできると何処を見ても記載されていましたが
子供の頃から時代遅れ、化石、20代の頃には身内から年寄りと呼ばれております機械関係も苦手分野である管理人にとってはかなりの時間を要してしまうありさま。
接続以前にYouTubeのアプリもダウンロードしておらず(アプリ音痴も家族から度々指摘を受けております…)その段階から準備を開始。
一部始終を隣で眺めていた家族も心配している様子でしたが、約45分が経過し無事完了。
接続成功後最初の記念再生映像は既に購入前から考えており(それよりも接続が先でしょうがとの突っ込みは受け流します)
これまでに観た中で最も好きな動画がこちら。『雄大の部屋』こと新国立劇場バレエ団の福岡雄大さんが同僚のダンサー1人ずつと対談を行う
インスタグラムトークライブにて、渡邊峻郁さんがトゥールーズのキャピトル・バレエに在籍されていた頃の特に思い出深い作品として
退団直前に踊られたこの『火の鳥』を挙げていらっしゃいましたが当時2016年の公演に向けて制作されたリハーサル映像です。
複数名の場面とソロの場面の2本のリハーサルを交互に編集しています。前半は同時上演の『パキータ』が収録されているため、お急ぎの方は1分43秒からどうぞ。
(ただどちらも流れているのは火の鳥の曲で、編集の名手がいるのでしょう。ぴたりと嵌っています)





ベジャール版『火の鳥』の初演は1970年20世紀バレエ団、初演から今年でちょうど50年を迎えます。
実はこの動画は前ブログにて遡ること3年前の2017年に2回紹介しており、1回目は干支の酉年の幕開けに鳥に関する作品の内容として。
※こちら→http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post.html
2回目は同年のゴールデンウィークに開催された、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017でのフランス国立ロワール管弦楽団演奏の『火の鳥』鑑賞時の感想に
いずれも半ば無理矢理こじつけての紹介でした。しかし2回とも反響は多くはなかったのが正直なところで
1回目は酉年の幕開けとして新国立でレパートリー入りしているフォーキン版『火の鳥』回顧と前年入団のダンサーの宣伝も兼ねて
さらりと綴ったのであろうと友人曰く思ったらしい。私としては、新年の一発目にご登場願うのは余程のお方に限ると思い耽るも、周囲は知る由も無いわけで
同年6月の『ジゼル』でようやく周囲がまさかな事態に驚くに至ったのはあったのはさておき
前年2016年の『シンデレラ』おけぴリハーサルレポートや写真を目にして読んで以降虜になりかけ
そして翌年のお正月に「特例」行為に値するひたすらトゥールーズ時代の動画を検索していた最中にこの動画を発見。
一度見ただけでも魂を撃ち抜かれるような強い衝撃を受け、古典ではなかなかお目にかかれない鋭い視線や
火の鳥に変身し敢然と戦いに挑む革命軍の青年らしい勇猛さや雄々しさが全身から漲り、映像を見るだけでも心を突き動かされ
2017年はその年明け以来ほぼ毎日の頻度で再生しては見入っておりました。(お正月辺りは日に50回ぐらい再生していたと記憶)
このときが当ブログに記事の内容のメインとしては渡邊さん初登場、及び元祖王子のフォーキン版のイワン王子の写真と新鋭王子のベジャール版のタイトルロールの映像が
同じ記事内での競演実現!と1人感激しきりであった2017年酉年記念一発目2本立ての火の鳥なるお正月であったわけです。

衝撃の強さを物語る話をもう少し。2017年の新国立『ジゼル』記事内での暴露にてお正月明けに訪問する大阪府の天王寺の下調べも放ってと綴っておりましたが
正確には、天王寺入りして目的の舞台を鑑賞しホテルに戻ってもベッドの中でひたすら再生。
宿泊したのはユースホステルで2段ベッド4台が設置された女性8人相部屋でしたからシャワーを浴び終え部屋に戻ったら同室の宿泊客に配慮して
すぐ就寝の予定であったはずが、閑散期だったためか私1人。つまりは8人部屋を1人で貸し切り、シングルルームと同等な状態を良いことに寛ぎなから
四天王寺前夕陽ヶ丘駅での舞台の余韻にも浸りつつ、一方で我が年齢より遥かにお若いながら大人の貫禄すら漂わす姿にすっかり見惚れてしまった
数日前に発見の衝撃動画を度々眺めていたのでした。浪速に来てまで何をやっていたんだか笑。

さて話を2020年に戻します。無事テレビでの再生が成功し、大画面にこの動画が映し出されると予想以上に画質も宜しく大興奮。
しかし隣には家族もおりましたため露わな声出しは控え、黙って目を心臓印にして眺めておりますと横から「この人、日本人?」と聞かれ
藤原歌劇団『椿姫』バレエ場面の闘牛士、新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』ソロルのいずれも字の難しい人、と2回は公演で鑑賞しているはずだが言うべきか
まだ諸々繋がっていないようで寧ろ高校大学時代に学んでいたから読めるとフランス語表記の題名の方に興味津々な様子でしたので今回はまあこれで良いか。
回り道を失礼。バレエ鑑賞人生における過去2回の転換期である2005年と2017年はいずれも酉年、更には双方鳥関係の作品。(2005年は白鳥の湖。2029年はいかに!?)
そんなわけで、テレビ画面での初再生を数あるネット上の動画の中から2017年お正月の衝撃『火の鳥』を選んだ記念として箱の隣にコッコちゃんを並べて撮影。
実はコッコちゃん、ポルトガル旅行前に観光場所を悩んでいた母に対してトゥールーズのある作品のDVD鑑賞がきっかけで登場人物や所縁の地を私が口走り
訪問地を安易に決めてしまったようで、現地で買ってきてくれた置物でございます。その話はまた何処かの機会で行うかもしれません。

2回目の記事についてはほぼ割愛で失礼。『火の鳥』の音楽聴きたさに何度か演奏会に足を運びラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017もその1本でしたが
ただ好みや聴き慣れもあるでしょうが最もテンポや表現がしっくり響いたのは2018年3月の季節外れの降雪日、サントリーホールにて開催された
トゥールーズ・キャピトル管弦楽団の演奏でした。来日中であるのは前日に知りましたがこれは何としても行きたいと、チケットを無事確保して鑑賞に出向き
受取でお世話になった隣席の方には大雪にも拘わらず大急ぎでチケット入手をして足を運んだ経緯が不思議に映ったようで
理由を正直に申し上げたところ希少動物を目にしたような驚きを見せていらっしゃったもののバレエにも理解ある方で、
演奏会慣れしていない私に肩の力を抜いて楽しむコツやお連れの方とも幕間にはビュッフェで乾杯。
赤ワインが渋めで重厚な好みの味わいであった点も含め今も忘れられぬ体験です。

右に左に話が流れ続けて申し訳ございません。ひとまずは次の2回はさらっと短めに、今週鑑賞した配信映像の感想を綴る予定でおります。

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