2020年9月14日月曜日

アステラスの代替合同企画 新国立劇場研修所 ヤングアーティスト オペラ&バレエ ガラ 9月12日(土)




9月12日(土)、新国立劇場にて新国立劇場研修所 ヤングアーティスト オペラ&バレエ ガラを観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/opera-ballet-gala/

指揮:
第1部 井田勝大
第2部 柴田真郁

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


『トリプティーク~青春三章~』
  音楽:芥川也寸志
振付:牧阿佐美

服部由依 中島瑞生(新国立劇場バレエ団アーティスト/研修所第11期修了)
菅沼咲希 渡邊拓朗(新国立劇場バレエ団アーティスト/研修所第12期修了)

加藤里佳 狩俣瑠風 吉田朱里
青山悠希 安達美苑 根本真菜美 福田天音 山本菜月
縄田花怜 久我音寧
青木恵吾 𡈽屋文太 髙橋隼世 竹花治樹

2012年のバレエアステラスでの初鑑賞以来、和洋が織り交ざったほんのり哀切さを含む歯切れ良い曲調も気に入り生演奏での鑑賞を待ち侘びておりました。
どの研修生達が折り目正しい初々しさが好印象で、バレエ団から客演の中島さん、渡邊さんも大活躍。
2人だけで舞台で並び踊ると個性の違いが引き立ち、特に渡邊さんの力強さのある頼もしい存在感は観ていて爽快でした。
以前のぴっちり斜め分けに比較すると丸みある前髪で整えた髪型も二重丸。(兄弟で髪型考察お許しを)


『海賊』第2幕より パ・ド・ドゥ
音楽:アドルフ・アダン
振付:マリウス・プティパ
石山蓮
阿部裕恵(牧阿佐美バレヱ団ソリスト/研修所第11期修了)

阿部さんの清らかなメドーラが愛らしく、正確な技術から繰り出すすっきりとした踊りが目を惹きました。
ヴァリエーションはシェル男爵作曲のアレグロな『シンデレラ』より。
研修所公演で代々着用されていると思われる、牧版ライモンダ2幕に似た濃い青と金色を基調としたチュチュは一度舞台で観てみたかったためじっくり観察。
(2016年頃の研修所のチラシにて廣田奈々さんか廣川みくりさんが着ていらした舞台写真が掲載されていたと記憶)
そして驚いたのが石山さん。まだ細く体格はこれからの段階ですが美しく上品でメリハリの効いた踊り方で魅せ、次のパに移る過程も実に丁寧で
阿部さんに心を尽くして(先輩ですから尽くし立てるしかないとは思いますが)サポートも変に危うい箇所も見当たらず。今後が楽しみです。


『眠れる森の美女』第3幕より パ・ド・ドゥ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ウエイン・イーグリング(マリウス・プティパ原振付による)

小野絢子(新国立劇場バレエ団プリンシパル/研修所第3期修了)
福岡雄大(新国立劇場バレエ団プリンシパル)

お帰りなさいとの気持ちが込められた拍手で迎えられ、看板ペア久々のオペラパレス登場。
本拠地復帰の喜びがそのまま祝祭感と重なり、視線の合わせ方も吸い付くような通わせで
抜粋での披露ながらこれまで以上にクリアーで輝きに満ちたパドドゥでした。
衣装はイーグリング版のままでしたが小野さんのティアラがカチューシャ型ではなく真珠のクラウン型を採用し
翌日はバレエ団公演着用のカチューシャ型に戻ったもよう。
マリインスキーのセルゲイエフ版でのグラン・パ・ド・ドゥ披露前に一端宝石の精達やお小姓達が登場し前座及びオーロラと王子のお出迎え係を務める導入部も
長めにたっぷり聴かせる幕開けであった点も喜々たるもので、(ボリショイ版にもあったかと記憶。ロシア系ではお馴染みか)今か今かと待ち焦がれる期待感の高まりと
宮廷の世界に入り込む入念な心の準備に繋がった気がいたします。但しやや長め、加えて
イーグリング振付と明記されたプログラムでの演奏は賛否両論分かれるかもしれません。


『パキータ』より グラン・パ・クラシック
音楽:レオン・ミンクス ほか
振付:マリウス・プティパ ほか

パキータ:吉田朱里
リュシアン:小柴富久修(新国立劇場バレエ団ファースト・アーティスト)
パ・ド・トロワ:加藤里佳 安達美苑 𡈽屋文太

岸谷沙七優(新国立劇場バレエ団アーティスト/研修所第15期修了) 加藤里佳 狩俣瑠風 服部由依 安達美苑 菅沼咲希
松宮里々子(新国立劇場バレエ団登録アーティスト/研修所第15期修了) 青山悠希 根本真菜美 福田天音 山本菜月
縄田花怜 神谷歩乃加 久我音寧

ガラにて、複数作品終えてから休憩挟まずの上演の『パキータ』と知ってすぐさま浮かんだのは
アントレ、アダージオとフィナーレ抜粋でヴァリエーションもカットされていた
ダイアナ妃も臨席されていた1990年代初頭のキーロフ・バレエによる英国ロイヤルオペラハウス公演の映像。
(主演はオリガ・チェンチコワと現ボリショイ・バレエ団監督のマハーク・ワジーエフ。古い話ですみません)
同路線で上演かと思いきや、パ・ド・トロワやヴァリエーション付きのボリューム有り版で
パキータ役の吉田朱里さんの大らかでパワーもある踊りが主役に相応しく、 コール・ドも品のある綺麗な研修生達が揃い、素直で一生懸命な様子に応援せずにいられませんでした。
音楽はさらさらと流れる印象でもう少しキビキビと締まりある演奏の方が好みに近かったものの、晴れ晴れとした気分になれる作品です。

プログラムには未掲載でしたがフィナーレはオペラ『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズ。
華麗な曲調に合わせて全員集合し、最後に登場した小野さん福岡さんへの拍手はひときわ沸いて大喝采。



第2部

出演:オペラ研修所 第21期生、第22期生、第23期生

序曲
W.A. モーツァルト交響曲第38番『プラハ』より、第3楽章

G. ロッシーニ 『チェネレントラ』 よりカヴァティーナ「四月の日々に飛ぶ蜜蜂のように」
仲田尋一

W.A. モーツァルト 『コジ・ファン・トゥッテ』 よりアリア「愛のそよ風は」
鳥尾匠海

W.A. モーツァルト 『魔笛』 よりアリア「愛の喜びは消え」
原田奈於

間奏曲
J.オッフェンバック『ホフマン物語』より「ホフマンの舟歌」

W.A. モーツァルト 『フィガロの結婚』 より二重唱「ひどいぞ!どうして今まで」
河田まりか、大久保惇史

G. ドニゼッティ 『ランメルモールのルチア』 よりカヴァティーナ「激しい苦しみ」
程 音聡

C. グノー 『ロメオとジュリエット』 よりアリア「私は愛に生きたい」
井口侑奏

フィナーレ
J.シュトラウス2世『こうもり』より


オペラにつきましては鑑賞機会が非常に少なく割愛。しかし知識不足でも歌や音楽をゆったりと聴くだけでも想像以上に楽しく
間奏曲とフィナーレが新国立劇場バレエ団レパートリーでも馴染み深い曲で懐かしさに歓喜いたしました。
演奏も良かったのか、ホフマンの舟歌では港の海の揺らめきがそのまま眼前に出現したかと錯覚して吸い込まれそうになり
2018年のバレエ団公演『ホフマン物語』での官能坊主客人を思い出しながらニンマリ。少数派であるとは思いますが
ダレル版『ホフマン物語』はいたく好きで、2015年のバレエ団初演時から全編通して見惚れ聴き惚れた作品であるため再演を待ち望んでおります。
フィナーレではプティ版『こうもり』も思い起こしつつ日本人名演者のヨハンを回想しそして
まだ観ぬヨハンを妄想。(勝手に設定、役所の中間管理職あたりで新聞が似合うお父さんでありましょう笑)
それから女性の衣装にも注目し、原田さんの水色とグレーが混在した上品な色彩にうっとり。
演奏会は余り足を運ぶ方ではありませんが、2年前の3月にトゥールーズキャピトル管弦楽団の演奏会へ行った際に隣席の方より
突如足を運んだバレエ好きだからこそ一層楽しめるポイントを伝授していただきその1つがヴァイオリニストの衣装観察でした。
それにしても、滅多に来場しないと言いながらこんな大雪の日に当日チケットを入手して
トゥールーズの火の鳥を聴きに来たバレエオタクを当初は不思議がり、理由を知って物珍しい目且つ親切にしてくださった隣席の方は
お元気でいらっしゃるだろうかと気にかかる今日この頃でございます。

ところで、偶然なのか歌は6曲中3曲が題名に「愛」の文字入りで占有率高し。
第2部開演前はプログラムを見開き、『愛の水中花』冒頭部分が脳裏を過っていた管理人でございます。

話が大分右往左往して失礼。当初は昨年に続き2日間バレエ・アステラス開催を予定していましたが海外で活躍中の日本のダンサー達は来日が見込めず中止。
代替として急遽企画された公演ながら、バレエとオペラ両研修生達の晴れ舞台が実現したのは喜ばしく
しかもオーケストラ演奏付きで堪能できたのは誠に心潤うひとときでした。
バレエ研修所所長の牧阿佐美さん、オペラ研修所所長の永井和子さんのお話から数ヶ月に渡って踊りを直接見てあげられない歌を聴いてあげられない
対面での指導ができぬ苦しさもどかしさが伝わり、観客の前でしかもオペラパレスにてオーケストラ付きの披露は自信や励みになったに違いありません。
事態が早期に収束し、研修生達が思い切り練習を積める日が訪れるよう切に願います。



中劇場では半沢直樹朗読劇。感動したら拍手する、喝采だ!
かの決め台詞をバレエに置換しようと試みたが我が軽脳ではこれが限界。良案求む。
因みにドラマ主演の堺雅人さんは吹奏楽部にてホルン経験者でいらっしゃいます。



記入台、今回はこちらで記入。『ドン・キホーテ』では予め用意して持参する予定でおります。(何しろ7回鑑賞予定)



2月末の『マノン』以来の訪問、ビールで乾杯。1杯にとどめましたが十分でございます。
ところでチラシやプログラム、ポスター上部のトリプティークには間違いがありましたらすみません。関晶帆さんや木村優里さん
土方萌花さんに廣川みくりさん、横山柊子さんらしき方々が写っていらっしゃり、月日の流れを感じます。
2013年10月の新国立劇場バレエ研修所 第9期生・第10期生発表公演かと思われ、皆様あどけなく初々しい。




新国立劇場バレエ団10月31日夜公演の『ドン・キホーテ』(米沢唯さん速水渉悟さん主演)はNHKのチコちゃんとの企画で有料オンライン配信されます。
大英帝国勲章受章者の吉田監督に対してチコちゃんがあの決め台詞を口走ることは無いとは思いますが笑、共演も楽しみです。

※以下のリンクより、既に10名のダンサーによるインタビュー動画公開中です。
https://chicoissyo.com/special/ballet.html

2020年9月11日金曜日

深川秀夫さん

日本から世界へと羽ばたき海外で活躍するバレエダンサーの先駆者として
振付家としても多数の作品を発表された深川秀夫さんが逝去されました。心よりお悔やみ申し上げます。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020090500479&g=soc

コンクールで青い鳥を踊られる映像が広まり初めて踊る深川さんを拝見いたしましたが、
何とも端正で張りがあり、すらりと伸びた脚も美しく、目も心も掴まれる踊りに大変驚きました。





映像といえば残っていれば見たいと興味が募ってやまぬ放送があり、藤井修治さんの記事によれば
コンクール入賞後NHKのスタジオ収録放送にも何度も出演なさっていたようで
黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥを披露された際には大きなスタジオがまだ無く、狭いスタジオではカメラが追いつかないからと
スタッフからは小さく美しい跳躍を要請するも実現は不可能でどうしても大きく跳んでしまい
カメラからはみ出てスタッフ側は困り果てていたと読みました。叶うものなら見てみたい現場です。
1967年お正月のテレビでのバレエ・コンサートでは谷桃子さんや貝谷八百子さんらと出演され、
市川せつ子さん組まれた『薔薇の精』もさぞかし浮遊感のある跳躍に視聴者は魅せられていたと想像いたします。
そういえばボリショイ・バレエ団が初来日した頃、ボリショイ特有の雄々しい跳躍に対応したのは野球のホームランボールを追うカメラであったそうで
機材の開発がまだまだ追い付かず、知恵を絞り出した先人達には敬意を表したいと心底思いますが
劇場ならまだしも、狭いテレビ収録スタジオではホームランカメラによる撮影は不可能であったのでしょう。

深川さんの作品はご出身の名古屋近郊や関西、中部地域に比較すると関東では上演機会が少ないため多くは鑑賞しておりませんが
お洒落でどこかユーモラスで、素敵なセンスが光る作品ばかりで鮮やかに記憶が呼び起こされます。
作品についてあれこれ語るのは恐縮でございますが、初鑑賞の頃はこういった記録を残しておりませんでしたので振り返りも兼ねて綴って参りたいと思います。

深川さんの作品の初鑑賞は2011年の4月。京都にて開催された、ドイツのアイゼナハ歌劇場バレエ団でも活躍され深川さんとの親交もあった
原美香さんのリサイタルでした。東日本大震災の発生から日が浅く、東京都内も余震が続き地域によっては計画停電が実施され
対象区域でなくても郊外の商店街のみならず都心部の繁華街ですら照明を落として対応にあたっていた頃で
物流もまだ回復せず、職場近くの飲食店の軒先には温かい食事がある旨が貼り出されるなど決して被害が大きくはなかった地域も普段通りの生活とは言い難い状況でした。
京都入りしたのは公演前日で肌寒い気候、出町柳の素朴な宿に泊まりましたが躊躇せずに夜通し暖房を付け
余震を感じずの就寝も久々であった快適な滞在の様子を宿帳に記入してからチェックアウトをした覚えがあります。

さてリサイタル当日、会場は旧京都会館(現ロームシアター)。幕開けは一番のお目当て山本隆之さんがリュシアンを踊られた『パキータ』で元々好きな作品ですが
当時都内は新国立劇場バレエ団の3月公演『ダイナミックダンス!』全日程中止を始め舞台公演の実施が困難な時期であったため
満席の会場に身を置き、音楽が鳴り響く中で幕が上がり、シャンデリアの装飾が視界に入っただけでも胸がじわりと熱くなったものです。
このリサイタルでは深川さんの作品は2本上演され、1本目は『新たなる道』。
先に述べた深川さん作品の特徴とは矛盾しますが華やかお洒落な作風ではなく抑えた色彩を帯び、人物の感情を追求した作品で
解説によれば東西分断中の東ベルリンで踊っていらした頃に目にした西側へ亡命する人々の不安や期待が入り交じった心境に寄り添って振り付けられたようです。
女性7名で踊られ、陰鬱さだけではなく斜め前を向いて前方に手を掲げてのポーズからは光の方向へと突き進む力強さも感じられる作品でした。
そして第3部で披露されたのが『ソワレ・ドゥ・バレエ』。星空の下で色とりどりの煌びやかな衣装を着けたダンサー達が踊る
プリンシパルに男女ペアのソリスト、女性によるコール・ドの構成で、
多数使用されているグラズノフ『四季』の曲が壮大で時には真珠が散りばめられられたかの如く繊細。
星屑のヴェールに包まれた心持ちで鑑賞に浸っていた当時を今も鮮やかに覚えており
日本人の振付家でこうも華麗で洒落た作品を手掛けた方の存在に衝撃を覚えた次第です。

※リサイタルの写真はこちらでご覧いただけます。
https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/osaka/detail006590.html


2014年以降はほぼ毎年末鑑賞するようになった大阪の川上恵子バレエスクールにてプログラムの最後に上演されるのが深川さん作品で、度々観る機会に恵まれ
1幕仕立てのスピーディーな展開の『くるみ割り人形』は終盤に雪の王国場面を取り入れて
雪が舞う中でスペインやアラビアなどお馴染みのキャラクター達がクララを見守り、光り輝く銀世界の余韻を残しながら終幕。
クリスマス当日でしたので殊更気分が高揚し劇場を後にしたものです。順番前後して、
花のワルツは女性ソリストが群舞牽引の振付で一度も袖に入らぬダンサー泣かせなハードものでございました。

翌年2015年は『眠れる森の美女』よりオーロラ姫の結婚。1幕と3幕の見せ場を凝縮した版は発表会でもよく上演されますが深川さんの美意識にはまたもや感動を覚え
特に通常は1幕にてオーロラ姫登場前に村人達が踊る花のワルツをパ・ド・シスや宝石の妖精達が踊ってグラン・パ・ド・ドゥの前座を飾る演出には驚かされました。
村人達による牧歌的な雰囲気も良い一方、主軸をリラの精が務め周りを妖精たちと宮廷の人々が固めるといたく煌びやかで絢爛。
6人の妖精たちの膝丈のふんわりとした、色合いが微妙に異なる布を重ね合わせたデザインや
宝石達のシックながらもきらりと光る装飾のバランスが取れたセンスの良いチュチュ効果もあって
曲も違和感がなく、結婚式の祝福感を更に高める効果をもたらしていました。

2016年には『ガーシュイン・モナムール』。モーツァルトとガーシュインの音楽から成る作品で
ロマンティックバレエのバレリーナ達が静止しているかと思えば着替えて丈の短い衣装で華麗に踊り、最後は一斉紙テープの落下で幕。ショーを観ている気分でした。

2017年は『グラズノフ・スイート』。『ライモンダ』や『四季』の曲で構成で構成され、パ・ド・ドゥの曲で群舞が踊る光景も新鮮で順序も不自然さがなく
多色が織りなす万華鏡のような照明にもうっとり。グラズノフ好きにはたまらぬ作品でした。狂喜乱舞しないほうが難しうございます。
作品のみならず、プログラムでの挨拶文が深川さんらしくスマート。変にかしこまった文ではなく
優しく、そしてクスリと笑みが零れるような語りかける調子で毎回綴っていらっしゃり、川上恵子先生に対しては、いつも「マダム」と記されていました。

遡って同年2月には新国立劇場バレエ団2月公演「ヴァレンタイン・バレエ」にて『ソワレ・ドゥ・バレエ』よりパ・ド・ドゥがレパートリー入り。
(横浜バレエフェスティバルでの上演を当時の大原永子監督がご覧になって決意なさったと何処かで読んだ記憶あり)
評判も頗る良く、7月のバレエ・アステラスでも披露されました。因みにヴァレンタイン・バレエ公演では管理人近くの席にいらしたカップルが
背もたれに背中を付けて姿勢はきちんとされつつもソワレ…のときには手を握り合ってご鑑賞。
星空に見守られロマンティックな雰囲気に包まれるのは間違いない作品です。

深川さん作品を観続けたいと願って止まず。特に『ソワレ・ドゥ・バレエ』はもう一度全編通して鑑賞したい作品で、大勢の方にもご覧いただけますように。
心を込めて作られたお洒落で洗練された作品の数々は、これからも踊り継がれていくと信じております。

2020年9月8日火曜日

延期1ヶ月を経てのめぐろバレエ祭り 東京バレエ団 The Tokyo Ballet Choreographic Project 2020 9月5日(土)




9月5日(土)、めぐろパーシモンホールにて東京バレエ団 The Tokyo Ballet Choreographic Project 2020を観て参りました。
8月に上演予定でしたが延期となり、3月の『ラ・シルフィード』以来約5ヶ月半ぶりの公演。無事の上演に安堵しております。
https://www.nbs.or.jp/stages/2020/cgp-08/index.html


※プログラム、キャストはNBSホームページより
"Scramble"
振付:岡崎隼也
音楽:エイチ・ゼットリオ

安西くるみ、工 桃子、相澤 圭、鳥海 創、後藤健太朗、昂師吏功、山下湧吾

若手ダンサー達が溌剌と登場し、空間を大きく使いながらとどまりを知らぬエネルギーを終始ダイナミックに表現。
岡崎さんは緊急事態宣言下の連休に救いの存在であった今年のゴールデンウィークの上野バレエホリデイ@homeにて「家で踊ろう」の振付者として大活躍され
バレエ版24時間テレビの如く連休の供として自宅で1日中再生していたため、よく覚えた次第です。


"RISE"    -初演-
振付:木村和夫
音楽:ジョン・ウィリアムズ、ケルティック・ウーマン

柄本 弾
沖香菜子、足立真里亜、上田実歩、榊優美枝、中沢恵理子、菊池彩美、長谷川琴音、
木住野真菜美、花形悠月、本村明日香、栗芝みなみ、鈴木香厘、富田翔子、富田紗永

前半は『シンドラーのリスト』のテーマ曲で柄本さんが時折一輪の薔薇を手に重たい空気を引き摺りながらのソロ。
後半は柄本さんも登場しつつ曲も一変して白い長めのチュチュを纏った女性群舞の見せ場となり、差し込む希望の光を想起。
大人数の構成でチュチュの翻りやフォーメーション含め、上階からも眺めたくなる作品です。


"Calling..."  -初演-
振付:岡崎隼也
音楽:カミーユ・サン=サーンス

上野水香

白いレオタード姿の上野さんによるソロで音楽は『動物の謝肉祭』より白鳥。
しなやかな肢体が暗めの照明にくっきりと浮かび上がり、シューズの先端にもきらきらとしたラメが少し散りばめられ
孤高に思わせながらも誘い込むような眼差しも強く、なかなかミステリアス。上野さんだからこそ出来た作品でしょう。


"理由"
振付:岡崎隼也
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ、ジャズトロニック

秋山 瑛、涌田美紀、足立真里亜、中沢恵理子

2018年の同プロジェクトスタジオパフォーマンスにて鑑賞した作品ですが、より磨かれ練られた印象。
前半は『ロミオとジュリエット』葬送曲で不協和音が何重にも交差する重厚な音楽と共に渦巻くように
悲嘆や苦悩を叫ぶが如く全身で表現。しかし決して過剰にはならぬよう配慮も行き届き、ただ悲しみを仰々しく迸らせるのではなく
静止して美しさを見せる部分と力強い動きにメリハリを付けて冗長さは皆無。
椅子を使う演出はしばしば観るものの身体の線の見せ方やポーズ1つ1つにも工夫が凝らされ、1階席で観ていても立体感と奥行きを感じさせる振付でした。
後半はジャズトロニックの音楽で、肩の力が抜けたような穏やかさを体現し緊迫や呪縛から解き放たれていく流れを想起。
異なる色合いの曲を不自然さ無く組み合わせています。

"Adagietto"
振付:ブラウリオ・アルバレス
音楽:グスタフ・マーラー

奈良春夏-秋元康臣、岸本夏未-樋口祐輝、
上田実歩-山田眞央、瓜生遥花-岡﨑 司、前川琴音-海田一成

こちらもスタジオパフォーマンスで鑑賞した作品。ただ、大きな赤い布を用いたり照明、ペアの配し方も舞台を目一杯使う大掛かりな演出であるため
舞台上演の方が一層堪能できました。数々の振付家の創作欲を掻き立てる音楽でこの曲でつまらぬ振付を鑑賞すると子守唄まっしぐらですが(失礼)
静けさからじわじわと曲調のスケールが大きくなる中で身体のフォルムの美しさや各ペアが並ぶポーズの連なりを眺めているとあっという間です。


"夜叉"
振付:ブラウリオ・アルバレス
音楽:アルトゥーロ・マルケス

中川美雪-宮川新大
榊優美枝-大塚 卓、長谷川琴音-南江祐生、花形悠月-生方隆之介、松永千里-昂師吏功

アルバレスさんの故郷メキシコの作曲家マルケスによる解放感のあるエキゾチックな音楽に振り付けられた作品。
主軸の中川さんが髪を下ろし、スパスパと斬り込む踊りとグレーの全身タイツで怪しげな女神然とした存在感に痺れ
今年2月のアリーナ・コジョカルドリームプロジェクトでソリストを踊られたバランシン『バレエ・インペリアル』よりもずっとお似合いでした。
全身タイツに薄い打掛のような衣装の組み合わせもユニークで、見映えも良し。
アルバレスさんの作品といえば、『パリのアメリカ人』に振り付けた、変化に富んだ曲調に個性まちまちの乗客の様子がぴたりと嵌った
満員電車が題材の『ドアが閉まります』はもう一度観たいと願います。


"運命"-抜粋版-
振付:岡崎隼也
音楽:ロディオン・シチェドリン

伝田陽美、柄本 弾
政本絵美、秋山 瑛
秋元康臣、池本祥真
沖香菜子、加藤くるみ、樋口祐輝、鳥海 創


何度も耳にしているシチェドリンのカルメンの音楽に岡崎さんが大胆に振付して踊る見せ場をたっぷり取り入れ、ダンサーを適材適所に配置。
伝田さんがホセの愛を一心に求める健気なカルメンを思わせ、向き合って立っているだけでも心の内を吐露するか否かせめぎ合う複雑な感情を匂わせました。
最も目を惹いたのは秋山さんで出演者の中でも小柄な身体にも関わらず踊り出すとダイナミックな斬れ味、しなやかさが頭一つ抜けていて
自然と視線が行ってしまう存在感。『ドン・キホーテ』主演も期待値が高まっております。


当初は8月のめぐろバレエ祭りにて開催予定でしたが急遽延期。落ち着かない中での準備であったのは容易に想像ができますが
パワフルな作品からしっとり美しい作品まで、振付もダンサーも個性花開く競演に
何よりも生で体感する気持ち良さに目一杯触れながら終始わくわくと見入った公演でした。
新作は勿論のこと、スタジオで鑑賞した作品も舞台機構を生かしての上演はまた違った印象を持たせ
再演だからこそより熟した中身の濃い仕上がりになっていたりと充実のプログラム。
ダンサー自身の振付作品披露の舞台は団体問わず足を運びたいと再確認です。
東京バレエ団の2020年夏公演は全て今月に一挙延期上演となり9月は東京バレエ団目白押し月間。引き続き満喫する予定でおります。



ホールのロビー。次回以降の公演のお知らせがずらり。



往路、自由が丘にて下車。何度も通りかかっていながら初めて入店した1933年創業の元祖モンブランのお店。



ほっくりとした食感の栗、中までクリームが詰まっています。店内には東郷青児の作品始め、絵画がたくさん。
目の前には飛翔する日本鶴の絵が飾られていました。7月末を思い出し嗚呼、鶴さん。(注・本日は東京バレエ団でございます)



なぜ自由が丘で下車したか、遠い昔(大阪万博までは遡らないが)嘗て学生時代休日にアルバイトしていた家電量販店に立ち寄るため。
当時は1階建、お店のテーマ曲が大音量で流れていましたが(歌詞が何種類かあるはず笑)現在は2階建に拡張。
同業の他店舗あちこちを回り、日によっては埼玉の狭山で勤務し翌日は横浜に出勤といった日程もございましたが
狭山帰りは狭山茶のお菓子、横浜帰りは朝からヨットハーバー脇を散歩して帰りは崎陽軒の焼売を購入しようと
小旅行気分で出向けると意気込む、コーディネータースタッフの心配も不要な変わり者でございました。
こちらの店舗は売り場によってはショパンの華麗なる大円舞曲が流れていて随分洗練された店舗に変貌。
自由が丘にお越しの際はご利用お待ち申し上げます。



都立大学駅裏にて米国のクラフトビールで乾杯。コクやまろみも十分な味わいで内装もお洒落。



タコのセビーチェとポテトサラダも合います。


2020年9月4日金曜日

【お茶の間観戦】アルベールビル五輪のフィギュアスケート ペアとアイスダンス

9月に入りました。まだ残暑が続き、新潟では40度を観測するなど異常気象に目眩がしそうになりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
少しでも涼やかな話題を望んでしまう今日この頃でございます。
来夏東京五輪も開催できるのか、まだ見通しがつかぬ状況ですが調べていたところ
冬季五輪での競技の印象が強いフィギュアスケートは嘗ては冬季以外の五輪で実施していたと知り驚愕。
1908年のロンドンと1920年のアントワープ大会で、屋内外に関してはこちらの調査不足で定かでありませんが
アントワープ以降は冬季大会での実施となったもようです。
そんなわけで、冬季以外の季節しかも夏場に跨る時期の五輪で最後に実施されてから100年となる2020年、
多少は涼しい気分に繋がると願って本日はフィギュアスケートの話を。

氷上のバレエとの呼称を時々目にする機会もあり、バレエがお好きな方であればフィギュアをご覧になる方も多くいらっしゃるかと思います。
ダンスマガジンでも特集が組まれたり、今春に上野の森バレエホリデイでは上野水香さんと町田樹さんの対談も実現しました。
私はそこまで熱心に観るほうでもありませんが、五輪を始めテレビ放送されていれば視聴はいたします。
バレエ音楽が使用されていると嬉しさを覚える一方、どうしても見過ごせないのが曲のおかしな繋ぎ方。
ジャンプやステップを規定通り入れねばならぬ制約があるのは理解できますが物語展開がちぐはぐな順番であったり
ましてや生死を伴う話の場合キャラクターが生き返ってしまう流れはどうもいただけません。
以前ジゼルを滑る選手の映像を見た際、狂乱死したかと思ったら続いて1幕ヴァリエーション締め括りは収穫祭のコーダ。
ジゼル生き返ってしもうた、精霊が村に現れての復讐かと1人慌てふためく管理人でございました。

そんな私も観戦に熱中していた時期があり、遡ること28年前の1992年アルベールビル五輪。当時はソ連崩壊から日が浅く、国旗もない国もあり
一部の旧ソ連国はEUNとして出場し、旗は五輪マークであった時代です。
日本の報道では女子シングルで銀メダルを獲得した伊藤みどりさん一色な様子で、皮膚科や歯科に行った際の待ち時間に目を通す週刊誌の大多数が伊藤さん祭り。
確かに日本フィギュア界初のメダル獲得で大きな快挙でしたが管理人がテレビに噛り付いて見ていたのは、ペアとアイスダンスでございました。
開催当時は周囲に同じ話題で語り合える友人知人もおらず、2年前の平昌五輪開催中にハンブルク・バレエ団来日公演会場にて
昔からフィギュアも熱心にご覧になっている方と話していて人生初 家族以外とアルベールビルのペア、アイスダンスの話題で会話に花が咲き
何処かで綴れたらと思っておりこの場を借りて書いて参ります。

まずペア。優勝はEUNのナタリア・ミシュクテノクとアルトゥール・ドミトリエフで、フリーでのリスト『愛の夢』における
柔らかでロマンティックな香りを色濃く放出していた演技は訴えかける力が強く納得ではありましたが
私が惚れ惚れと見入っていたのは2位の同じくEUNエレーナ・べチケとデニス・ペトロフによる『くるみ割り人形』。
グラン・パ・ド・ドゥのアダージオ部分を使用しての演技で、 決して押し出しは強くはなく特別ドラマティックでも独創的でもないながら
音楽に調和して忠実、飾り気無くシンプルされど優雅な滑りで 馴染みある曲だから好みであったわけではなく
職人気質な持ち味がすっと目に心に響いたのであろうと思っております。
それから先にも述べた、バレエ音楽を不可思議に繋げたのではなくアダージオ部分のみであった点も好印象。
終盤の盛り上がりを考えればコーダの部分も取り入れる流れも想像できますが あくまでアダージオのみでプログラムを表現する姿勢にも注目せずにいられなかったのでした。




べチケとペトロフ組の『くるみ割り人形』より 再生が上手くいかなかったらすみません。
表示された「YouTubeで見る」の文字をクリックしていただきと再生が開始されるかと思います。



それからアイスダンス。地元フランスの期待を背負って出場したイザベル・デュシェネーとポール・デュシェネーの兄妹による
オリジナルダンスの『サウンド・オブ・ミュージック』より ひとりぼっちの羊飼いに乗せた、牧歌的に弾むように滑る2人に魅せられ
劇中の人形劇で演じられるダンスによく似た振付や足腰を思い切り上下させながらもスピードが落ちぬ姿に驚きそして心底明るい気分になったものです。
加えて村人風の衣装も可愛らしく、当時既に何度も観ている映画でしたが曲が益々好きになるきっかけとなりました。
高校の文化祭にて吹奏楽部でも演奏しましたが、珍しくチューバのソロがありクラリネットが引き立て役に回っている箇所も聴きどころです。




デュシェネー兄妹による『サウンド・オブ・ミュージック』よりひとりぼっちの羊飼い 再生が上手くいかなかったらすみません。
表示された「YouTubeで見る」の文字をクリックしていただきと再生が開始されるかと思います。



ただオリジナルでの躍動感が印象に残り過ぎてしまったのかフリーでの『ウエストサイド物語』があまりにシリアスで緊迫感が異常に強く感じてしまい
フリーを観た際にはG線上のアリアとトッカータとフーガの後半に乗せて滑ったEUNのマリア・クリモワとセルゲイ・ポノマレンコ組の
完成度の高い余裕ある流れるような演技が場を攫い、案の定優勝。
オリジナルではショスタコーヴィチのジャズ組曲(恐らく)のポルカで『となりのトトロ』メイちゃんのような2つ結びの髪型で登場したイメージから一転し
ただ滑っているだけでも艶めかしい色気を振りまくクリモワの変貌ぶりにも目を見張ったのでした。
マイヤ・ウーソワとアレクサンドル・ズーリン組によるヴィヴァルディ『四季』での緩急自在に音楽を体現した実に伸びやかで美しい演技も忘れられず
後年モスクワ帰りのアエロフロート機内にてウーソワそっくりの客室乗務員さんが接客してくださったときには思わず名札を確認し
ご本人ではないと分かってはいても腰を抜かしそうになった次第です。

似ていると言えば、デュシェネー兄妹の兄ポールがお若い頃のカデル・ベラルビさんに何処となく雰囲気が重なる印象。
しかもしばしば映し出される大会名及び開催地名を眺めるとAlbertvilleの前半6文字に思わずゴクリ。
まさか14年後以降この文字に途轍もない興奮を覚えるようになるとは、当時は何とも思っていなかった自身に今の状況を見せてやりたいものです笑。

ところでスケートを生でも鑑賞した経験はあり、17年前に東伏見アイスアリーナで開催されたアイスショーの招待券に新聞の応募で当選。
ソルトレイク五輪の翌年でプルシェンコや村主章枝さんら著名なスケーターも登場し
今思えば無料で鑑賞できたのはいたく幸運であったと思っております。
新聞での当選招待者は隅の一角に設けられたエリア内に着席してのんびり鑑賞に臨んだわけですが、ふと見るとリンク内にも客席が。
至近距離で出演者を鑑賞できる特等席のようで、値段もお高めであったでしょう。
プルシェンコが登場しサンバ調な音楽で滑り始めると、手が届きそうなリンク内席からは所謂黄色い歓声が沸騰。
当選者用自由席エリア内にいた管理人はお目当ての男性が間近に登場して心臓印に満ちた興奮なんぞ生涯無縁であろうと他人事のように眺めておりましたが
状況は2年後以降急展開。青山円形劇場やいわきアリオス、東京タワーの袂スタジオ、岡谷のカノラホールに新宿での着物トークショーなど
時には手が触れそうな至近距離での興奮事件は多発。人生何処で曲がり角となるか分からず、当時の自身が今の姿を観たらどう思うか問いかけてみたいものです。

2020年8月31日月曜日

2020夏の終わり

※夏生まれであっても暑さに弱い管理人、脳内溶解寸前な呟きな記事でございます。
月末にそんな内容読んでいる暇はない方が大多数かと存じますので、次回のお茶の間観劇或いは東京バレエ団公演まで今暫くお待ちください。
お時間のある方は、井上陽水さんの『少年時代』でもお聴きになりながら以下お読みください。

本日で8月も終わり、そして2020年の夏が終わりを迎えます。
公演は中止が相次ぎ、発表会も中止や延期或いは規模を縮小しての実施など
舞台関係者の方々にとっては苦しい悩ましい夏であったのは想像に難くありません。
舞台関連ではなくても、全国各地で「異例尽くしの夏」となった方が大勢いらっしゃることと思います。
一方待ち焦がれた公演再開もいくつかあり、7月末の新国立劇場バレエ団世界初演新制作『竜宮』上演実現は希望をもたらし
続いて関東圏内では牧バレエや松山、NBAも再開。清里フィールドバレエも1演目に絞り開催し来月は東京バレエ団も控えていて
少しずつ動き出している状況に喜びを感じております。
当初の予定では東京五輪2020も閉会式を迎えていた頃で、来年の延期開催に向けて明日から新宿の日本オリンピックミュージアムでの
聖火展示にあたり本日セレモニーが行われたようですが来年開催できる状況になるのかまだまだ不安や問題は山積み。状況の収束を願うしかありません。

さて管理人もこの夏を振り返りますと「異例の夏」でございました。何度か触れてはおりますが14年ぶりに首都圏から出ぬ夏を過ごし
発表会鑑賞も今夏は無しでしたので『海賊』、『ダイアナとアクティオン』、『サタネラ』、『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』、『パリの炎』といった
発表会でも定番のグラン・パ・ド・ドゥ音楽も耳にせず。家では昨年までの鑑賞を回想しつつ聴いておりますが、不思議な季節でございます。
また毎日のようの旅行サイト眺めては次の旅の交通手段予約に追われていた例年の夏が幻にすら感じており
先日久々、新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』山形公演が来年延期と告知された時期以来約5ヶ月ぶりに旅行サイトを閲覧いたしましたが検索方法に戸惑い
そして昨年お世話になったホテルの料金状況を確認してみると観光地のど真ん中に位置するビジネスホテルが
1泊3000円程度の設定で叩き売り。観光業界の厳しい状況が窺えます。

思えば昨夏の7月の主な来日バレエ公演を振り返ってみてもエイフマン、マシュー・ボーン白鳥の湖、フェリボッレと仲間たち?、パリ・オペラ座と仲間たち?と
今考えてみても異様な本数集結でしたが、東京では毎年こうにも来日公演が重なったり続けざまに開催されていた日々を思い起こすと
いかに恵まれた鑑賞環境であったか思い知らされるばかりです。

秋以降は管理人も首都圏外に出向く予定も立っておりますが、首都圏内の舞台も含め無事開催を願いつつ、
舞台に携わる方々が晴れやかな気持ちで本番を迎えられますように。
当ブログも鑑賞感想一色であった昨年とはだいぶ異なる趣向で続けておりますが、
鑑賞回数減少は寂しく感じながらも劇場での鑑賞ばかりがバレエではないと考え、引き続き書籍の感想やお茶の間観劇も並行して綴っていく予定でございます。

バレエ以外の分野にも再び触れる機会も自然と増え、子供の頃によく耳にした昔の流行歌(笠置シヅ子さん辺りまでは遡らずもう少し現代寄りでございます)を検索しては
懐かしみながら視聴する日もあり。しかし鑑賞予定であったものの一般公開できなかった発表会における一部公開動画を目にすると、
そちらばかりに目が行ってしまうのは毎度のことでございます。少数派かもしれませんが11年前の初鑑賞以来
ランダー振付『エチュード』の音楽も振付展開も元々誠に好みな管理人。2017年春にボリショイシネマで観たときには某ダンサーの連続ザンレール観とうございますと
オフチャレンコそっちのけ(失礼)で想像を巡らせており、違った振付演出であっても数日前より映像でチラリと拝見でき嬉々たる思いでおります。

話があちこち飛びました。今年は2013年から通っている清泉女子大学でのバレエ講座ラファエラ・アカデミアが前期後期共に中止となり
その分、自ら率先して書籍などを一層活用しながら学んでいきたいとも思っております。
在住地域は人口が多く、手短か利用を掲げられてはいるものの6月以降図書館の再開はいたく嬉しうございます。

それから管理人の飲酒量と同様に当ブログ、アクセス数も前ブログの1/4程度にまで大激減しておりますが、お越しくださる方がお1人でもいらっしゃる限りは更新して参ります。
メジャーなブログに埋没してしまいそうな当ブログに1秒でもアクセスしてくださった方には心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございます。

ところで、秋に鑑賞の全幕バレエの1本が『ドン・キホーテ』。東京バレエ団と新国立劇場バレエ団公演に足を運ぶ予定でおりますが、
どちらもボリショイベースな演出で東京バレエ団採用のワシリエフ版はスピーディーでお祭り騒ぎな
されど品良くまとめた展開が私も好きで久々の鑑賞を楽しみにしているところです。
新国立はファジェーチェフ版で以前は古色蒼然とした印象がありましたが変に手を入れられるよりはボリショイ直球路線の演出が妙に愛おしいと感じる今日この頃。
ただ両方、いや『ドン・キホーテ』全般で共通し心配な要素の1つが居酒屋場面。どの演出を観ても客入りは「密」です。
この際、風刺も込めて店名表記は「居酒屋風車」にでもしてまさかの虹色ステッカーを貼り出し、何脚かの椅子には罰点印を付けて入店制限を行うのか
或いは闘牛士にしてもキトリ友人にしても入店する客には体温計を手にした店主が各々のおでこに当てて検温する振付も取り入れるのか
本公演でそんなことはできるはずもありませんが、連日の報道を目にしていると我が脳内では勝手に現実味を帯びてくる妄想を繰り返しております。

話が二転三転して失礼。2020年の秋以降もどうぞ宜しくお願い申し上げます。




昨夏に訪れた徳島にて。本日37年の歴史に幕を下ろしたSOGOデパートを眺めながらの朝ワイン。
東京のとしまえんも閉園し、明治の呉服店が発祥の福島県の中合福島店も閉店。寂しいものです。
今月は大阪、徳島、福岡へ行く予定でおりましたため、ガイドブックを眺めては次回に向けて計画続行中でおります。



月末訪問予定であった福岡の気分を東京にて、一風堂ラーメン。
次回はまた福岡市民会館(恐らくこの会場か)から徒歩で移動し、中洲川端や天神の屋台で食べ歩く気満々でおります。

2020年8月28日金曜日

大前仁さん著『ボリショイ卒業 バレエダンサー岩田守弘 終わりなき夢の旅路』




長らくボリショイ劇場で活躍されてきた岩田守弘さんについて書かれた書籍
大前仁さん著『ボリショイ卒業 バレエダンサー岩田守弘 終わりなき夢の旅路』を読みました。
https://toyoshoten.com/books/564


先週末偶々図書館で見つけ借りて読みましたが、ボリショイ卒業と書名に含まれていながら
バレエを習い始めた経緯からボリショイ入団、そしてブリヤート国立バレエ監督就任以降まで
岩田さんの子供の頃からの人生を辿る内容となっています。

監督からの解雇通告や配役を巡る確執などボリショイ内部の生々しい様子も一部描かれていますが、
どんな困難に遭おうともめげずに突き進む姿はソ連の崩壊とロシア共和国の誕生の境目を身をもって経験され
舞踊人生を切り拓いてこられた岩田さんの揺るがぬ精神力、魂を感じさせます。
静かされど熱いドキュメンタリー映画を観ているようで次の展開が気になり、自然とページをめくる速度が上がっていきました。

また近年のボリショイの変化についても正直に触れていらっしゃり、
多彩な作品を取り入れつつも他のバレエ団と似たり寄ったりな状態になってきたと嘆く一節も。
「心に響く踊り」を掲げ、憧れ抱いた「ソ連のバレエ」に回帰しながらブリヤート国立バレエ団芸術監督としての奮闘も詳しく書かれています。
バレエで最も大切な要素は何であろうかと考えさせられる書籍です。
ボリショイの変容を憂える件においては昨年夏パリ・オペラ座バレエ団のメートル・ド・バレエに就任したイレク・ムハメドフも同様の考えをインタビューで熱弁。
ソ連時代のバレエ団に身を置き命を削りながら踊ってきた者からすると、かつての持ち味が失われつつある現況は受け止め難いのかもしれません。

今更ながら知ったのは、2012年7月にボリショイ退団公演が異例中の異例で実現し、仲間たちが集結。岩田さんの人柄を物語る実現ですが
加えてその公演の大トリを飾ったプログラムがご自身の振付作品『富士への登攀』であったこと。
同年夏に大阪のMRB主催スーパーガラin Osakaにて私は鑑賞しており、甚平を着用し、ユーモアで品の薫るソロに引き込まれましたが
直前の舞踊人生の大きな節目に踊られた作品であったとは、恥ずかしい話この書籍を読むまで知らずにおりました。

それから先の記事でも少し紹介いたしましたが、岩田さんがお若い頃から羨望の眼差しを向けていた同世代のダンサーの1人が
現在NBAバレエ団の芸術監督を務める久保紘一さん。1989年のモスクワ国際バレエコンクールで金賞無しの銀賞
つまりは実質1位を獲得され(バジルのヴァリエーションは完璧過ぎたとの評を読みました)
ソ連時代でしかも会場はボリショイ劇場、審査員は多国籍構成でありながらもグリゴローヴィヂ始めソ連国家の顔であろう錚々たる面々も並ぶコンクールで大快挙で
久保さんが登場したときの客席の反応や魂を込めて踊る大切さを賛辞と敬意を表して岩田さんは当時を振り返っていらっしゃいます。
他の出場者はウラジーミル・マラーホフ、エレーナ・フィリピエワ、ガリーナ・ステパネンコなどが揃いゴルバチョフ夫妻も臨席で
名前を目にしただけて気圧されてしまいそうな方々ばかり。岩田さんは惜しくも決選までは進めませんでしたが
『パリの炎』ヴァリエーション写真が当時のダンスマガジンに掲載されています。



『ボリショイ卒業…』の書籍で、ボリショイの変化については2008年発売のブックレットでも語っている旨が紹介されており、こちらでございます。
7年ほど前に神保町のロシア書籍専門店ナウカジャパンで見つけました。


話は別方向に移りますが、1989年のモスクワ国際バレエコンクール開会式の後にはボリショイによる『愛の伝説』が上演されたそうで、
主な出演者はブイローワ、ムハメドフ、ミハリチェンコ、タランダ。うう、鼻血が出そうな面々でございます。

2020年8月26日水曜日

翔んで所沢! NBAバレエ団 Grace & Speed ― ブルッフヴァイオリン協奏曲第一番 / ケルツ 8月23日(日)《埼玉県所沢市》




8月23日(日)、所沢ミューズマーキーホールにて、NBAバレエ団 Grace & Speed― ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第一番 / ケルツ ―を観て参りました。
https://www.nbaballet.org/performance/2020/grace_and_speed/


スパイスイープラス記事、久保紘一監督へのインタビュー。作品の見どころ、初のオンラインリハーサルレポートや
来年2月の新制作上演ヨハン・コボー版『シンデレラ』についても話してくださっています。
https://spice.eplus.jp/articles/274016

ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第一番
振付:クラーク・ティベット 音楽:マックス・ブルッフ

ブルー:三船 元維 峰岸 千晶
アクア:新井 悠汰 竹内 碧
レッド:刑部 星矢 佐藤 圭
ピンク:飛永 嘉尉 野久保 奈央
コール・ド
猪嶋沙織 岩田雅女 北村桜桃 児玉彩香 須谷まきこ 武井由香理 向山未悠 横野優
大森康正 小林治晃 高橋開 竹内俊貴 多田遥 玉村総一郎 長谷怜旺 古道貴大

初鑑賞は2014年、以降2018年のショートストーリーズでも鑑賞し、曲調が変わるごとに異なる色合いのプリンシパルペアが登場。
峰岸さんのしっとりとした優雅さと貫禄を備え舞台の支配力に目を奪われたブルー、
外見は儚げながら燃え盛る炎のような鋭さとパワーで引き込む佐藤さんのレッドが特に印象深く残っております。
野久保さんの音楽にステップがこれでもかと詰め込まれた急速な振付を難なく楽しそうにこなす技術の高さにも驚きを覚えた次第。
チュチュが翻るグラデーションに至るまでの色鮮やかさにも目が行き思わず観察いたしました。
そして忘れてはなりません、コールドの出来栄え。4組のプリンシパルペアが用意された作品として例えばバランシン振付『シンフォニー・イン・C』では
楽章ごとにプリンシパル、コリフェ、コール・ドも入れ替わりますがこの作品ではコール・ドは終始固定且つ全て男女のペアによる構成。
また拍手から一呼吸置いて登場となるのは最後のピンクペアのみで、それまでのブルー、アクア、レッドは曲の中でさりげなく登場する流れ。
つまりは、コール・ドはそれぞれの色のペアが登場すると各々の場面に相応しく調和するよう身体ごと表情を変えて臨まねばならず
更には瞬時のリフトで女性を横体勢にして袖に捌ける振付まで用意され、殊に男性は過酷でしょう。
しかし4色のペアを時には静かにゆったりと、時には明朗快活に迎え入れ、サポート切替も含め鉄壁で見事でした。
いつの日か生演奏による上演を願い、ヴァイオリニストとの競演を観てみたいと興味が募ります。


ケルツ
振付:ライラ・ヨーク  音楽:アイルランド民謡

グリーン:新井 悠汰
ブラウン:三船 元維 関口 祐美
レッド:大森 康正 竹田 仁美
コール・ド
石川真梨子 猪嶋沙織 岩田雅女 北村桜桃 児玉彩香 白井希和子 須谷まきこ 武井由香理 勅使河原綾乃 福田真帆 松岡陽香 向山未悠 横野優
刑部星矢 小林治晃 高橋開 竹内俊貴 多田遥 玉村総一郎 飛永嘉尉 長谷怜旺 平井健太 古道貴大

2年前のショートストーリーズで初鑑賞し、斬れ味抜群な総力にぶったまげた作品。ブルッフと並び、NBAの十八番と呼びたいほどです。
序盤から息つく暇もない一斉高速脚捌きにはこの度も鳥肌が立ち、強靭過ぎる軸の持ち主でありスーパーケルツマンと勝手に名付けた
新井さんの上体ぶれぬまま余裕綽々に座り姿勢からの跳躍や舞台を大きく使っての回転移動もお手の物。
そしていたく刻まれたのは中間部にて味わい深く魅せた関口さんの踊りで、恐らくはアイルランドのバグパイプのイリアン・パイプスと思われる
素朴で伸びやかな音楽を情感豊かに表現され、何もかもが浄化されていく心持ちとなりました。
今回再度音楽に耳を傾けていると何処か懐かしさすら込み上げ、遡ること20年以上前。
映画本編は1回観たきりでしたが劇中の音楽が誠に気に入りサウンドトラックまで購入して繰り返し聴いていた『タイタニック』
(脚本と主演をタイタニック号事故生存者の女優ドロシー・ギブソンが務めた1912年製作版ではなくもう少し現代寄り1997年のジェームズ・キャメロン監督版)にて
序盤の回想場面や終盤においても度々流れていた曲、音色共に似通っていたと記憶しております。

大森さん竹田さんが遠方から駆け寄ってきて向かい合い先がピンと伸びた状態を維持した跳躍も目に焼き付き、それからコールドも持ち味大全開。
全身を真っ直ぐにして垂直に跳んだかと思えば予期せぬ方向に身体を転換させてそのまま回転しながらフォーメーションを作り出したりと
男性も女性も身体能力が恐ろしく高く、何度でも観たい作品です。衣装に描かれた渦巻模様は平和を意味しているとのこと。

この日は当初阿波の国へ出向く予定でしたが舞台は中止となり、それならば
新国立劇場のバレエ、オペラ、演劇部門初の合同企画アンドロイド・オペラ『スーパーエンジェル』を
土曜日のみならず日曜日も合わせて鑑賞を検討いたしましたがこちらも中止。
そんなところへ、NBAさんが急遽今回の公演を企画。しかもNBAのレパートリーの中でも特に好きな作品2本立てと知り、鑑賞をすぐさま決意した次第です。
2月のホラーナイトを最後に5月の『白鳥の湖』、7月の『ジゼル』、8月の『ドラキュラ』公演が中止となり、稽古も不可となって
ダンサーは心身共に苦しく不安な時期が続いていたに違いありません。
約半年ぶりとは思えぬ両作品ともむしろ前回上演時よりも更に高精度な舞台を披露し、鍛錬の賜物に天晴れでした。

開演前には久保監督から、カーテンコールでは関口さん、竹田さん、新井さんが挨拶。
久保監督はいくつもの公演が中止に追い込まれたバレエ団の厳しい現状やどうにかして公演を持続させたい心境を熱く語られ、
関口さんらダンサーからは観客の前で披露する喜び、感謝の気持ちを前面に出したスピーチ。
再開第一弾公演を共有できたのは実に幸運であったと思っております。

12月には同じく所沢ミューズマーキーホールで『白鳥の湖』上演、そして次回は来年2月東京文化会館にて上演の新制作ヨハン・コボー版『シンデレラ』を鑑賞予定。
力が沸いてくる舞台になるであろうと想像しており、今から期待を寄せております。



以下、日帰り翔んで埼玉な写真多めでございます。『翔んで埼玉』は昨年公開され日本アカデミー賞を12部門で受賞するなど大変な話題作となりましたが
ここ5年間で劇場にて鑑賞した唯一バレエやクラシック音楽、美術が主題として絡んでいない娯楽作品で、また令和元年5月1日に鑑賞した作品でもあり思い入れも強く、
(正確に申し上げれば原作者魔夜峰央さんのご子息で東京バレエ団の山田眞央さんや埼玉代表として冒頭場面に少しNBAのダンサーも出演されていますが)
作品と同様の勢いで埼玉を満喫して参りました。



新宿駅から西武新宿駅へは徒歩で移動、早足であったためウェブ検索の時間よりも1本前の電車に間に合ったが、地下道を通っても汗ばむ気候でございます。
改札を通っていくと、貝をスマートフォンに持ち替えたラッコ出現!西武線アプリのキャラクターのラッコロらしい。名付けまでの経緯はこちらから。
西武線利用は滅多にないが、ラッコならばアプリをダウンロードしようか。



西武新宿駅から会場最寄の航空公園駅までは暫し時間を要するため行き掛けに地元の図書館に立ち寄り見つけた
ボリショイ・バレエで長らく活躍されてきた岩田守弘さんの本を車内で黙読。ふと顔を上げると車内で流れていた報道写真記事によれば
この日はボリショイが初来日した日であるとのこと。1957年であるのは前回2017年の来日公演にて
初来日から半世紀と大々的に発表されていたため知ってはいたが、夏の盛りであったのか。今年の来日中止はああ残念無念。
岩田さんの本には刺激を受けたダンサーとしてNBAバレエ団芸術監督の久保紘一さんも度々登場。諸々タイムリーであった本の感想についてはまた次回。



はるばる来たぜ埼玉。旅に北島三郎さんの『函館の女』替え歌は欠かせません。
(少し前までは大阪が近場と口走っていた管理人ですが、首都圏から出ぬ夏を14年ぶりに過ごし、今となっては翔んで埼玉も立派な旅行)
狭山や所沢周辺が舞台となっているトトロがお出迎えです。場所柄か、左上に描かれた白いレジ袋が小トトロに見えます。



駅前に飛行機



駅から徒歩約10分の所沢飛行場の跡地に作られた所沢航空発祥記念館へ。
飛行機と高所好きで、駄目元で航空写真会社に履歴書を送ったこともある。(訪問し、説明だけでも聞いてみたかった)



展示された飛行機の数々、写真撮影も自由です。ジブリ作品を好む管理人、脳内は延々と『紅の豚』冒頭曲が旋回。
エンジンや部品に関する知識は皆無ですが間近での観察だけでも楽しい。
空中体感アトラクション等は感染拡大防止のため休止中で残念でしたが、高所好意症ですのでまたの機会に体験したいと決意。
ジブリ美術館も徐々に再開らしく、また自転車で行って参ります。



記念館前にも飛行機。模型飛行機での遊び可の広場もあり、お盆に放送されていたこの地域が舞台の『となりのトトロ』を思い出し
傘を返却に来たサツキに実は興奮し部屋で飛行機と戯れつつお婆ちゃんの前で照れ隠しをするカンタ少年のようにやってみようかとも一瞬過ったが、
初心者向きの工作も大の苦手である身、子供達が遊ぶ姿を眺めるにとどめた。バレエ、演奏、図画工作、何事も幼児の頃から鑑賞向きであるとしみじみ。



呑んで埼玉、盛って埼玉、香ばしい所沢ビールとお茶が濃厚凝縮カップからはみ出そうな(客としては嬉しいがこんなに盛って良いのか?)狭山茶ソフト。



駅前でコーヒー、カップには日本で初めて作られた航空発祥の地である所沢飛行場にて明治44年初飛行に成功したアンリ・ファルマン機のイラスト入り。
所沢名菓ファルマンの袋記載の解説によれば、初飛行を一目見たいと夜明け前から提灯を下げた見物人が押しかけ、露店まで出るお祭り騒ぎであったらしい。
『魔女の宅急便』エンディングでトンボが漕いでいる自転車飛行機はこんなデザインだった気がいたします。



締め括りは呑んで日高屋、但し帰りがけ都内の店舗です。ご当地アルコールも勿論好きですが、ビールも舞台も生は良いものです。
埼玉精神、半日間は貫けたかと思っております。


2020年8月23日日曜日

山本康介さん著『英国バレエの世界』




遅ればせながら、山本康介さん著『英国バレエの世界』を読みました。

スパイスイープラスでの紹介
https://spice.eplus.jp/articles/268303


随分と前に購入しており読み始めてはいたものの鑑賞する公演関連本に走ってしまい、ようやく読み終えたところですが
英国バレエの歴史と変遷、代表するダンサー、振付家や作品の特徴を噛み砕くように分かりやすく例えを用いて書かれていて大変読みやすい書籍です。
本ではあってもあたかも教室で山本さんの講義を聞いているかのような気分になる歯切れの良い文体ですので、どうぞお手に取ってお読みください。
山本さんご自身英国のバレエ学校、バレエ団を経ていらっしゃるのは言うまでもありませんが、だからといって英国作品をひたすら礼賛なさっているのでは全くなく
むしろ踊っていて首を傾げていたことや手直ししたほうが良さそうな要素なども正直に言及。偏りのない内容で読んでいて気持ち良く感じました。
目から鱗が落ちた箇所も数知れず、『眠れる森の美女』3幕オーロラ姫のヴァリエーションにおける冒頭の振付(英国でよく踊られる方の版)の意味合いや
やり過ぎない、抑制と言っても英国とフランスでの捉え方の違い等、枚挙にいとまがないほど。
山本さんの現役時代のお姿は2008年の英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団来日公演『美女と野獣』でのカラス役で鑑賞し
以降は振付演出家、プロデューサーとしての印象が強くありますが、想像を超える広範囲に及ぶ知識量の豊富さにただただ驚くばかりです。

それからバレエ教師のための教授法におけるバレエ検定機関のRAD(ロイヤル・アカデミー・オヴ・ダンス)の魅力についても語られ、
子供に対し、幼いうちからコンクールのヴァリエーション練習や難しいテクニックを押し付けず
順序立てて焦らずにじっくり指導を行っていく重要性を説いていらっしゃいます。
実は私が子供の頃にお世話になっていた先生がRADを取得されていて、振り返ってみても発表会であっても派手な技術を一切振付に取り入れず
回転にしてもたくさん回れと言われた覚えもなく、基礎のステップを着実に繋ぎながらいかに美しく魅せるかに重点を置いた指導であったのは幸いでした。
また当時は開催数が少なかった時代且つ教室内にプロを目指す生徒がいなかった事情も影響するのかもしれませんが
先生の口から「コンクール」の文字が出ることは一度も無し。
ヴァリエーションも辞める最後に1回だけ経験はいたしましたが、簡単には踊らせてもらえぬ、選ばれし者が踊るべきものと
恐らくは先生も、そして私も考えておりましたためむしろ無理に何度も踊らずであったのは良かったと思っております。
(1回だけ踊ったのは眠れる森の美女パ・ド・シス元気の精でしたが、たった約30秒であっても
ヴァリエーションなんぞ私は踊ってはいかんと天を仰ぎ、プティパやチャイコフスキーに対し詫びたものです…)

話があちこちに逸れましたが、山本さんが子供に教えるときの注意点を読むと2018年に江戸川区で鑑賞した
新国立劇場の小野絢子さん福岡雄大さん福田圭吾さんも客演された佐藤朱実バレエスクールでの振付演出『くるみ割り人形』を思い出し
生徒さん達が誠に生き生き伸びやかに踊る姿に再度納得いたしました。
世界のバレエ史、その中での英国バレエの発展や位置づけ、エピソードやロシアやフランスとの違いやお勧めの演目に
ロシア、特にボリショイバレエを好む私も腑に落ちるロシア作品評も含めバレエの面白さや再発見が止まらぬ書籍です。



山本さんが「英国的おすすめ演目」として日本では上演機会が決して多くないながら取り上げていらしたうちの2本が『チェックメイト』と『二羽の鳩』。
いずれも日本では小林紀子バレエシアターが初演しています。初演の次の再演あたりのチラシが手元にありましたのでご参考までに。
この頃主要な役を多く踊っていらした志村昌宏さん(二羽の鳩にて画家の少年役で主演された際
鳩の扱いに大変苦労なさっていたご様子がプログラムで明かされていたと記憶)が
現在主宰されているスタジオに山本さんはいくつかの作品を提供なさっていて書籍でも写真で紹介されています。
『チェックメイト』には新国立劇場にてバレエミストレスを務めていらした板橋綾子さんの現役時代のお写真も。






※記事冒頭の写真にて本の隣りに置いているのは管理人が長年、ひょっとしたら昭和の頃から愛用しているピーターラビットのマグカップ。
アシュトン作品にもあり、Kバレエカンパニーでも何度か観ておりますため敬意を込めて。
ちなみにもう1個愛用しているのはチェブラーシカ柄。偶然ですが、ロシアと英国が誇るキャラクター達が揃っております。

2020年8月21日金曜日

【お茶の間観劇】白鳥バレエ『平家物語』ダイジェスト版

鹿児島県にて70年以上の歴史を持つ白鳥バレエが配信中の『平家物語』ダイジェスト版を鑑賞いたしました。
2016年に山本隆之さんがゲスト出演された『ジゼル』を鑑賞し、オリジナル作品も観てみたいと興味を持っておりましたため嬉しい配信です。
新国立劇場の『竜宮』、牧の『角兵衛獅子』、大和シティーバレエの『牡丹灯篭』等、和を題材にした作品を観る機会が今年は多く
着物のバレエ衣装化やクラシックを溶け込ませる具合を始め、一層の関心を寄せながら鑑賞いたしました。


白鳥版『平家物語』詳細、人物相関図もあり。
https://shiratori-ballet.com/heike/


オンステージ新聞でも紹介されています。
https://shiratori-ballet.com/post-19.html






芸術監督:白鳥 見なみ
舞台監督:福島 章
指揮:末廣 誠
音楽:小島佳男
構成振付:白鳥 見なみ
振付補佐:土田 三郎
舞台美術:有賀 二郎
照明:足立 恒
衣裳デザイン:橋本 直枝
美粧:谷村 結
オーケストラ:鹿児島交響楽団
照明操作:MBCサンステージ
音響:田中 伸二
大道具:ユニ・ワークショップ
制作:白鳥バレエ
記録:イージービデオ企画
宣伝美術:富永デザイン

建礼門院徳子:白鳥 五十鈴
平 清盛:高岸 直樹
後白河院:土田 三郎
高倉天皇:西野 隼人
平 知盛:輪島 拓也
源 義経:池本 祥真
平 重盛:柳元 隆太郎
平 宗盛:石黒 善大
金持ち 源氏兵士:浅井 永希
鶏商人 源氏兵士:愛澤 佑樹
盗賊の頭 源氏兵士:三間 貴範
盗賊 源氏兵士:益子 倭
盗賊 源氏兵士:吉田 太郎
町人 源氏兵士:吉岡 真輝人
魚売り 源氏兵士:上瀧 達也
祇王:伊地知 真梨
仏御前:松元 繭子
女官:樋之口 明子
二位の尼:高原 ゆかり
女官:飯干 真由
女官:横井 萌
女官:山崎 優里
女官:鳥山 明日香
小督 若松 佳奈子



70年の歴史を持つ白鳥バレエは『白鳥の湖』鹿児島初演を遂げるなど鹿児島のバレエ界草分けのバレエ団で、
『ヤマトタケル』や『邪馬台』といった日本を題材にした作品も発表。中でもひときわ大掛かりな作品が『平家物語』です。
配信は全幕丸ごとではなく約40分にまとめた短縮版であっても戦国を舞台に繰り広げられる大スペクタクルバレエを堪能でき
豪胆な清盛を(実際は柔和な人物であったようで平家物語の中ではだいぶ脚色されている?)を高岸直樹さんが圧巻の存在感で見せ
建礼門院徳子の白鳥さんは激動の人生を優雅に時として執念深く、新婚から皇子出産を経ての劇的な生き様を全身で物語っています。
清盛を巡る祇王と仏御前の舞いや仏御前を気に入った清盛の勝手な感情の都合により追い出される身となった
祇王の悲しみに暮れた秘めやかなソロも印象に刻まれました。

クラシック・バレエの技法はしっかりと組み込まれ、清盛の息子達(揃って盛が付いているため誰が誰だか整理できず失礼)は踊る場面も多く
女官であろう女性達を一斉サポートする場面もあったりと古典バレエのお馴染みな様式も。
男性も大勢出演し都落ちでの迫力のある群舞や壇ノ浦の不気味さをも含みながら舞台を覆う波達、また全編通して数々の色鮮やかな着物衣装に彩られ
『平家物語』をよく知らずでも、場面ごとに左上に表示される字幕も助けになり読んでも私のように分からず終いであった方も笑、すっと入り込みやすい振付です。
鹿児島交響楽団によるパワーのあるドラマティックな演奏も盛り立て、音楽にもご注目を。




歴史物や長編物語の人間相関図が分かりづらい場合は『アンナ・カレーニナ』と同様に滅多に手に取らぬ漫画に走る管理人。
しかし今回は漫画でも理解に至らず、これがもう我が学習脳の欠如としか言えず。



せっかくですので2016年薩摩の思い出、ホテルの玄関近くにて撮影したジゼルの幕切れと重なる桜島の朝焼け




ホテル内の薩摩切子ミュージアムにて、撮影も快く許可してくださいました。
0の桁数が多くとても購入はできませんでしたが、色とりどりの切子を眺めているだけでも心が研ぎ澄まされそうになります。


ご参考までに、2016年11月に鑑賞した白鳥バレエ『ジゼル』感想
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-0df5.html


長い内容ですが、2016年11月白鳥バレエ『ジゼル』鑑賞時の鹿児島旅行記。
バレエ鑑賞を伴う旅にてひょっとしたら最初で最後!?部屋まで荷物を運んでくださるクラスの老舗ホテルに宿泊いたしました。
(平日且つ熊本地震によるふっこう割キャンペーン開催中で航空券もホテルも通常価格の半額程度で予約可能であった。
手放しで喜んではならないのではと心配でしたが、九州出身の友人より思い切り楽しんで旅での出来事の発信が何より嬉しいと言ってくれて安堵)
軽すぎるトートバッグでちょいと恥ずかしく、日頃の荷物少なめ旅行動が露わに笑。
帰京後の夕方、報道はヒラリーかトランプか米国大統領選挙開票速報一色でした。あれから4年が経とうとしている現在は
バイデンかトランプか、11月の投開票日を控え日々報道は熱を帯びている様子です。月日の流れは早し。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post.html#more

2020年8月18日火曜日

盆に贈る怪談4作と月夜に現れた新生ペア 大和シティーバレエ SUMMER CONCERT 2020 想像×創造 8月14日(金)《神奈川県大和市》





8月14日(金)、神奈川県の大和市文化創造拠点シリウス芸術文化ホールにて大和シティーバレエ SUMMER CONCERT 2020 想像×創造を鑑賞いたしました。
毎年様々なバレエ団の枠を超えたダンサーが集結して行われる夏の風物詩で昨年に続き、2度目の鑑賞でございます。
https://www.ycb-ballet.com/performance


スパイスイープラス記事、プロデューサー佐々木三夏さんへのインタビュー。大和発の公演の目的や上演作品選定のコンセプトなど語ってくださっています。
また、コンテンポラリーがよく分からなくても何かしら印象に残るものがあれば十分でそれが大切であり
見たり感じたりするものは人それぞれで良いとの言葉に救われます。
https://spice.eplus.jp/articles/273802


今回は佐々木三夏バレエアカデミー出身で海外で活躍するハンブルク・バレエ団の菅井円加さんやスペイン国立ダンスカンパニーの大谷遥陽さんら
卒業生達が帰国できず当初とは異なるプログラムやキャストによる上演でしたが、全て日本発の作品が揃い且つ夏にぴったりな怪談4作も上演。
意欲的で面白味ある構成を堪能いたしました。怪談に関しては私の知識教養欠如が原因で魅力の理解に至らぬ点が多々あったのは心残りで
週末に書籍を読むなりして学ぶ予定でおり、お許し願います。



「NYX」よりルナティック
振付:中原麻里 曲:ショパン

新国立劇場バレエ団の五月女遥さんと渡邊峻郁さんが組んだ珍しいペア。
プログラムによれば、満月の夜に眠れぬ男性が見た夢と現実の間の世界と、月に魅かれ自身の世界に閉じこもった女性の関係を描写しているとのこと。
白っぽいワンピースの五月女さんが可愛らしくも色っぽさが香り、黒いシャツっぽいナチュラルな衣装の渡邊さんの双方の全身から
しっとり感情の雫が滴る神秘的なパ・ド・ドゥでした。窓から覗く満月が輝く夜空が自然と目に浮かび、
最後は正面上手側の壁に架けられた長い梯子を渡邊さんがゆっくりと登り、数段登りかけたところで幕。
てっきり出初式の如くするすると登り切るかと思いきやそんなわけはなく
(バレエで梯子なら大概はコッペリアのフランツでしょうが、いくら和を当て嵌めたくお方とはいえなぜここで出初式が咄嗟に過ったのか笑)
背中からも何かをじっくり語りかけるよう静かな余韻を残しての幕となりました。
事前に読んだ演奏者大滝俊さんのブログによれば、曲はノクターンOp.27 No.2。

中原さんからの指示で綺麗でないショパン、左右のズレ発生を意識しながらの演奏は
作品解説にも記されていた現実と夢を彷徨う男性の狂惑した状況を示しているのかもしれないと想像。
今回一番の目当て作品であり中原さんの振付作品を観るのも初で前週の満月の夜を思い出しつつ新生ペアなるお2人の姿を重ね、誠に嬉々たる幕開きでした。


CONTACT
振付:木下嘉人 曲:E.Bosso

元々は今年3月新国立劇場でのDANCE to the Future 2020にて米沢さん木下さんの2人によって披露予定だった作品を6人構成にしての上演。
題名の通り、接触したりそうかと思えば離れ離れになったり、リフトされた体勢での米沢さんの指の先端までもが柔らかくしなるフォルムは凝視したくなる美しさ。
空間の作り方も絶妙で、小原流生け花の傾けるかたちを思わせました。


怪談『耳なし芳一』
原作:小泉八雲 振付:熊谷拓明

薩摩琵琶と和太鼓の演奏により、押し出しの強い作風であった印象。
頭巾と口元も布で覆っていたアンサンブルは霊たちと思われ集団になって追い詰めたり積み重なったり、
おかしくも不気味な行動から目が離せず。平一族の話に薩摩琵琶の組み合わせ、次回のお茶の間観劇に関わるため話をしっかり勉強決意。


『雪女』
原作:小泉八雲 振付:中原麻里 曲:P.Glass

ひょっとしたら主要な役で組むのは2009年の新国立公演『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』以来かもしれぬ小野絢子さんと福田圭吾さんペアが鮮烈。
肩に手を添える仕草からも穏やかさが伝わる福田さんの巳之吉と、美しくも何処か不気味で真っ赤な唇が危険な展開を孕む小野さんの雪女が
束の間であっても心を通わせる新婚生活を送ったのちに雪女は去ってしまいますが
互いを慈しんでいたからこそ哀切な別れと映り、ただ冷たい怖い話には終わらせぬ物語を描出していたと捉えております。
白く長い裾を翻しながら舞う小野さんの嫋やかな踊りにも釘付けとなり、丸みを帯びた段々の襞状チュチュに雪玉を手にしたアンサンブルのモダンな衣装が可愛らしい。


『死神』
原作:三遊亭圓朝  振付:福田紘也 曲:P.Glass

福田紘也さんの畳み掛ける振付で息をもつかせぬ展開、配役、音楽どれも出色。
顔を白く塗り、目周りを黒く縁取り黒いドレスに身を包んだ本島美和さんの死神が圧巻で
福岡雄大さんとのせめぎ合いに身震いし、中でも驚かされたのは近年は芝居中心の役柄が増えている本島さんの舞踊技術が衰えなんぞ微塵もなく
斬れ味鋭い踊りで魅了。手下役らしき福田さん五月女さんの激しいダンスとユニゾンの箇所の統率力もずば抜けていて
ホラー映画を思わせるグラスの重たく仰々しい音楽にも負けぬ呪い殺しそうなオーラを全身から放ち
福岡さん扮する青年を最後の最後まで苦しめる、観ているだけでも悪夢に魘されそうな(褒め言葉)造形には恐怖を募らせるばかりでした。
天井から吊るされた古めかしい燭台や置かれた蝋燭も大きな効果をもたらし、悶えの感情をそのまま踊りで爆発させる福岡さんも見事。
福田さんの本島さんに対する敬意が伝わる、構成も隙がない会心の作で再演祈願です。


牡丹灯篭
原作:三遊亭圓朝 振付:池上直子

米沢さんのお露の薄幸さ、消え入りそうな儚さが絶品。霊となっても指先から新三郎を求め訴えるいじらしい仕草も胸に刺さり、
薄衣の着物と共にふわりと舞う姿も誠に雅やかでした。調べたところ元々は明時代の中国の小説が起源だそうで
前髪を短めに揃えて目の辺りを紅くしたメイクもしっくり。
宝満直也さんの純情な新三郎、突如飛び込んで不穏な空気を吹き込む伴蔵の八幡顕光さん、と
繊細且つ奇怪な物語ながら各々キャラクターが生き生きと盛り立て、中でもインパクトが強かったのは渡邊拓朗さんの和尚。
暗めの藍色に近い色合いの和服で髪型は坊主ではなくそのままの姿で登場した瞬間からどっしり重厚な存在感に驚愕でした。
ひょっとしたら今までに観た役の中で最たる衝撃と印象であったかもしれず、大渦の如く力強く舞台に引き込む貫禄とオーラに目を丸くせずにはいられませんでした。
キャスター車輪付きのいくつもの障子を用いた手法も面白く、登場人物の移動風景や場面転換を分かりやすく伝える演出で
お露の女中と思われるアンサンブルの方々があちこちで手に持ちぽっかりと浮かび上がる灯篭の灯りも舞台を幻想的に後押し。もう一度じっくり観たい作品です。

そして拍手を送りたいのは大変な状況下においても舞台を取りまとめて成功に導いた佐々木さんや出演者、舞台スタッフのみならず
今年は特にチケット担当の方々にも心より賛辞。一度チケットを通常通りの席割りで販売してから1席置きの要請が行政からあったようで席割りをやり直し
気が遠くなるような作業に連日見舞われていたと察します。また私のようにプログラム変更による追加演目発表後の2次販売での申込者もいたはずで
チケット担当の方々は度重なる対応に迫られていたでしょうに実に丁寧に案内してくださり、隅々まで行き届いた配慮、電話メール問わず丁重な案内は
公演前から、また当日も話題となっていました。次回も楽しみに通いたいと思っております。
海外の作品無し、全て日本の振付家の作品による構成で第二部では日本の夏にぴったりな怪談4作を一挙連続上演した
秀作名演揃う大和の夏の風物詩、今夏も堪能いたしました。




追記、図書館で借りて参りました。絵本にも頼り、要勉強です。



シリウスホール前の広場の街灯にはアートフラッグが靡き、こちらには貝ではなくシリウスであろう大きな星を抱えたラッコ!炎天下でしたが迷わず短時間で撮影。



余韻に浸りつつ2019年の新国立ニューイヤー・バレエのときにも立ち寄ったノクターンへ。
ニューイヤーでの『レ・シルフィード』と同様、店名に惹かれずにいられず。



1人バーボンでしっとり静かに乾杯。公演を思い起こし、幕開けから美しうございました。
見えづらい写りですが、右上にはト音記号のフックそして左側には骸骨の置物がございます。本島さんの死神も嗚呼、感激。



さて昨年の大和のシティーバレエ夏季公演を振り返ると、前日に滞在先の福岡を出発の予定が悪天候のため飛行機が欠航し当日朝の飛行機で帰京。
LCC利用でしたので滞在先であった福岡、到着空港の位置する千葉、自宅のある東京、そして大和の会場の神奈川、と1日で1都3県に足を踏み入れていた管理人でした。
自宅到着後荷物を置き、シャワーを浴びてチコちゃんに叱られる勢いでぼうっと30分小休止したのち再び自宅を出発、自転車をゆっくり漕ぎながら最寄り駅へ。
まさか1年後、当時の行動が今や到底考えられぬ状況となるとは知る由も無くまた14年ぶりに首都圏から出ぬ夏を過ごし
行動範囲が狭まった現在、旅の体力も落ちていそうな気もしております。
今年は夕方職場を早退しての会場入りで昨年に比較したら随分と楽な行程でしたが、
バレエ鑑賞も先月末に復帰したばかりであるためか良い意味でエネルギーを存分に吸い取られた思いです。

それから、月夜の晩と言えば我が脳内では決定的場面があったと考えを巡らしているとそうです。
帰宅後にちょうど放送中であった、怪談とは異なり怖くはないが日本のお化け映画の傑作『となりのトトロ』。終盤以降を視聴しエンディングテーマ曲に耳を傾けつつ、
満月の光を浴びながらオカリナを吹く姿を思い出した次第です。
これからは、月夜と言えばルナティックとトトロでございます。

2020年8月14日金曜日

【お茶の間観劇】牧阿佐美バレヱ団 サマー・バレエコンサート 2020

牧阿佐美バレヱ団から配信されているサマー・バレエコンサート2020を鑑賞いたしました。
https://www.ambt.jp/summerballet2020/

スパイスイープラスの作品解説
https://spice.eplus.jp/articles/271519

牧阿佐美さんへのインタビュー。今回のガラにおける作品選びのポイントや
日本を題材にしたバレエ制作時のエピソードや衣装の注意点を始め、日本バレエ史を辿っての興味を惹かれるお話満載です。
森下洋子さん、大原永子さんが写った角兵衛獅子初演ポスターも。
https://spice.eplus.jp/articles/271911





公演映像は有料配信を行っています。8月15日22時まで申し込み可能です。詳細はホームページ等をご覧ください。
■ライブ配信:8月11日(火) 17:00開始
※アーカイブ配信期間:8月12日(水)17:00~8月15日(土)23:59
販売期間 8月1日(土)10:00~8月15日(土)22:00
■発売日:8月1日(土) 10:00
■価格:3,000円(税込)
■ライブ配信ご購入はこちら:http://r-t.jp/ambt-rtv
※ご購入には、楽天IDによるログインが必要です。
 
■公演サイト:https://www.ambt.jp/summerballet2020/
■ライブ配信ページ:https://bit.ly/2Er2DZy


『トリプティーク』や『角兵衛獅子』など観たい作品が揃い、都合がつけば観に行きたかったものの連休明けの平日17時は難しく
有料配信の企画は嬉しい限り。『トリプティーク』は2012年のバレエ・アステラスにて芥川也寸志の不思議な旋律が織り交ぜられた音楽がまず気に入り
今回の再演では主軸を務めた米澤真弓さんの爽やかな晴れやかさが目を惹きました。
2012年のアステラスでは現在牧バレエ団員の中川郁さん、三宅里奈さんのお名前も。
また今年のアステラス中止に伴い開催が決まったヤングアーティストガラでも上演を予定しており踊り継がれていく作品として上演を重ねて欲しいと願います。
それよりも振付で気にかかったのは牧阿佐美さんは一斉フェッテがお好きなのだろうかと、『くるみ割り人形』葦笛も思い出しつつ想像。
『海賊』での水井駿介さんの張りと安定感、伸びやかさのある跳躍、サポートの滑らかさや
中川郁さんの『ラ・バヤデール』幻想の場における抑えた表情や透明感も印象に残りました。

それから一番の関心を寄せていた、新潟の郷土芸能を題材にした『角兵衛獅子』。虚無僧から簪を挿してもらった姉役光永さんの悲しみを帯びた恥じらいや
さらしを持っての長いフェッテは妹役阿部さんのテクニックが光り、終盤の全員で赤いさらしを手に舞う箇所は火祭りの如き真っ赤な染め上がりで
2階席から観ると彼岸花のような広がりを思わせるはためきであったと想像いたします。
2010年に新潟シティバレエが新国立劇場地域招聘公演にて上演し、角兵衛獅子の歴史や制作過程について詳細に記されています。
https://n-story.jp/topic/82/page1

楽しい祭りではなく辛い境遇の子供達中心の郷土芸能を題材にして全幕バレエ化し
統制が取れつつも寂しさや孤独感、命懸けで生きる懸命さを盛り込んだ群舞に至るまで今観ても古い印象を持たせず、久々の再演を嬉しく鑑賞いたしました。

まだまだ劇場集客も難しく制約も多い中、更には年間予定に無かったにも拘らずよくぞ急遽ガラを企画し実現させてくださったと思います。
10月公演の『眠れる森の美女』は文京シビックホール20周年記念の一環上演とのことで
NHKバレエの饗宴2017での3幕しか観ておらず、全幕通して鑑賞できたらと楽しみに待っております。

2020年8月13日木曜日

映画『剣の舞 我が心の旋律』






新宿武蔵野館にて映画『剣の舞 我が心の旋律』を鑑賞いたしました。
https://tsurugi-no-mai.com/

新宿武蔵野館では今月下旬まで、また全国で順次公開が予定されておりますので詳細な内容、感想は控えますが
ハチャトゥリアンの余りに有名バレエ音楽の誕生秘話を辿り、無理難題に屈せず故郷アルメニアを想いながら
約8時間で完成させたハチャトゥリアンの魂に驚嘆いたしました。
政治による翻弄、当時疎開中だったキーロフバレエ団の様子やハチャトゥリアンを慕う少し剽軽で温厚な弟子ゲオルギーの活躍
ハチャトゥリアンの歴史観やショスタコーヴィチらとの寛いだ語らい等も丁寧に描写された作品です。
振付者アニシモワやバレリーナサーシャの苦悩も心を突き、アルメニアの雄大な自然美にも注目を。
上映時間は1時間半程度で、長過ぎず重過ぎない内容でまとめられ音楽好きもバレエ好きも堪能できる作品に仕上がっていると見受けました。
鑑賞日の朝から洗濯しつつ聴いていた『仮面舞踏会』(少年隊ではありません。念のため)も劇中で折に触れて響き
映画館によって異なるかもしれませんが武蔵野館では開映前から名曲が流れ気持ちも昂ぶらずにいられません。お早めの着席をおすすめいたします。

それからサックスも重大要素。劇中に出てきたのはテナーサックスと思われ、この楽器について再度考えるきっかけにもなりました。
サックスのパートがあるバレエ音楽は決して多くはなく、私が知る限りでは『ロメオとジュリエット』ぐらい。(他にもあるのでしょうが知識不足はお許し願いたい)
思えば『剣の舞』の曲調が変化する中間部にてメインパートを務めていることを今となって思い出した次第です。

以下は余談ですが、ハチャトゥリアンのルーツである国はアルメニアで国名を口にする機会も少なく地理関係は咄嗟には浮かびづらいかもしれません。
しかし吹奏楽経験者ならば実は馴染みが深く、一度は演奏或いは鑑賞なり見聞きした経験があるであろう曲の1つが『アルメニアン・ダンス』でございます。
全く擦りもしていないでしょうが山口百恵さんの代表曲と同様にパート1とパート2があり、
吹奏楽経験者ながら(一応はテナーサックス担当)1と2の違いが未だよく分からずである点はご容赦願います。

ハチャトゥリアンと言えば中止になってしまいました今年のボリショイ来日『スパルタクス』、同じキャスト組んでいつか来日を待ち侘びております。
アルテミィ・ベリャコフのクラッスス、楽しみで仕方なかったのだ。『白鳥の湖』も平日昼公演行く気満々であった管理人でございます。
ボリショイ来日中止の嘆きはまた何処かで綴るかもしれません。


※余談その2 我が心の剣の舞

1.小学校6年生のときの合奏 遠い日の曖昧な記憶ですが確かリコーダーであった覚えがございます。

2.高校は運動会、体育祭が無い代わりに小規模球技大会がありましたが3年次に1種目クラス対抗全員リレーが追加。
私のような運動が不得意な生徒であっても非難などされず走ったらまず称え合う雰囲気であったのは救いでした。
リレーならば音楽が必要であろうと放送部が大急ぎで用意してくれた曲が剣の舞と熊ん蜂の飛行の2曲。
よくよく考えたら運動会CDも図書館で取り扱っていましたがそこまで気が回らず、間に合わなかったのでしょう。急ピッチで準備を進めてくれた部員に感謝しつつ
リレーが終わるまでずっと流れているのはこの2曲。つまりは、切羽詰まった状況にあってもリレーといえば剣の舞が自然と放送部の心に降りてきたわけです。
剣の舞の人気の圧倒的先行を象徴した行事でハチャトゥリアンからしたら複雑な心境でしょうが、それだけインパクトが強く
順位云々よりも剣の舞の脳内旋回に悩まされる生徒が続出したのは無理もありませんでした笑。
翌年以降は『海賊』や『ドン・キホーテ』等グラン・パ・ド・ドゥの急速コーダ集でもまとめて渡そうかと考えが過ったものの管理人、
舟木一夫さんの名曲と同じく既に高校3年生。翌年以降の開催模様は分からずですが、卒業以降制服ができたりと校則が増えたとの情報も耳にしており
(都立中堅校でしたが在学中は制服無しで髪色も自由、のんびり体質の生徒が多かった印象)生徒の自主性尊重具合が気になるところ。
出身者にはローザンヌ国際バレエコンクール入賞者もいます。
※著書『英国バレエの世界』も購入いたしましたが8月16日に山本康介さん解説のローザンヌ番組が放送されます

3.山本隆之さん紫綬褒章受章を祝う会での余興

矢上恵子先生や福岡雄大さんら、山本さんと所縁深い方々によるアフリカマンが集結。
関西のバレエ関連祝賀会ではメンバーを替えつつも鉄板と記事で読んではおりましたが
まさかリーガロイヤルホテルにて生で観る機会に恵まれるとは、爆笑の渦でした笑。
主に使用していた曲が剣の舞で、キレキレ軍団な踊りに会場大沸騰であったと懐かしく思い起こされます。





帰り、映画館近くにてウォッカで乾杯。ロシア映画の後には欠かせません。我が肝臓、今夏も元気でおります笑。


ルッコラに覆われたアヒージョ。

2020年8月10日月曜日

5ヶ月ぶり玉手箱と開いた劇場の蓋 新国立劇場バレエ団「竜宮 りゅうぐう」~亀の姫と季(とき)の庭~ 7月24日(金祝)〜7月29日(水)




7月24日(金祝)〜29日(水)、新国立劇場 こどものためのバレエ劇場 2020
森山開次さん振付の世界初演・新作バレエ公演「竜宮 りゅうぐう」~亀の姫と季(とき)の庭~を5回鑑賞いたしました。
7月31日(金)も鑑賞予定でしたが30日と共に公演中止に。2公演を残しての千秋楽となってしまいましたが
この状況下において世界初演の作品の披露実現は喜ばしく、バレエ界舞台芸術界に勇気を与える上演であったと思います。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/turtle-princess/

おけぴゲネプロレポート
https://okepi.net/kangeki/1836


スパイスイープラス 初日レポート
https://spice.eplus.jp/articles/273009



9月19日(土)に長崎県佐世保市公演、9月22日(火祝)に富山市公演も予定されています。予定通り上演されますように。




ダイジェスト動画、是非ご覧ください!池田理沙子さん、奥村康祐さんペアの公演で
竜宮城でもてなしを受ける太郎、太郎と亀の姫との微笑ましいパ・ド・ドゥ場面です。涼やかな気分になれます。



演出・振付・美術・衣裳デザイン:森山開次
作曲・音楽製作:松本淳一
照明:櫛田晃代
映像:ムーチョ村松
音響:仲田竜太
振付・補佐:湯川麻美子/貝川鐵夫


プリンセス 亀の姫:米沢唯(24日) 池田理沙子(25日昼)(26日夜) 木村優里(25日夜)(29日)

浦島太郎:井澤駿(24日) 奥村康祐(25日昼)(26日夜) 渡邊峻郁(25日夜)(29日)

時の案内人:貝川鐵夫(24日)(25日夜) 中島駿野(25日昼)(26日夜)(29日)

島の子ども:
奥田花純 五月女遥 飯野萌子 髙橋一輝 佐野和輝 渡部義紀(24日)(25日夜)
柴山紗帆 渡辺与布 益田裕子 小野寺雄 西一義 西川慶(25日昼)(26日夜)(29日)

白兎:小柴富久修(24日)(25日夜) 清水裕三郎(25日昼)(26日夜)(29日)

エイポン:
関晶帆 守屋朋子 横山柊子(24日)(25日夜)
稲村志穂里 山田歌子 横山柊子(25日昼)(26日夜)(29日)

フグ接待魚:奥田花純 五月女遥(24日)(25日夜) 柴山紗帆 渡辺与布(25日昼)(26日夜)(29日)

サメ用心棒:井澤諒 福田圭吾(24日)(25日夜) 木下嘉人 速水渉悟(25日昼)(26日夜)(29日)

タツノオトシ吾郎:浜崎恵二朗(24日)(25日夜) 宇賀大将(25日昼)(26日夜)(29日)

タイ女将:寺田亜沙子(24日) 細田千晶(25日昼)(26日夜) 本島美和(25日夜)(29日)
金魚舞妓:
飯野萌子 川口藍 玉井るい 広瀬碧 木村優子 原田舞子(24日)(25日夜)
中田実里 広瀬碧 益田裕子 朝枝尚子 今村美由起 廣田奈々(25日昼)(26日夜)(29日)

イカす3兄弟:
原健太 小柴富久修 趙載範(24日)(25日夜)
中家正博 清水裕三郎 福田紘也(25日昼)(26日夜)(29日)

アジ面子:
加藤朋子 土方萌花 廣川みくり 髙橋一輝 佐野和輝 渡部義紀(24日)(25日夜)
赤井綾乃 菊地飛和 北村香菜恵 小野寺雄 西一義 西川慶(25日昼)(26日夜)(29日)

サザエ:徳永比奈子(24日)(25日夜) 多田そのか(25日昼)(26日夜)(29日)

ウニ:中島春菜(24日)(25日夜) 関優奈(25日昼)(26日夜)(29日)

タコ八:中島瑞生 渡邊拓朗(24日)(25日夜) 太田寛仁 仲村啓(25日昼)(26日夜)(29日)

マンボウ:樋口響(24日)(25日夜) 小川尚宏(25日昼)(26日夜)(29日)

クラゲ:
広瀬碧 木村優子 原田舞子(24日)(25日夜)
広瀬碧 今村美由起 廣田奈々(25日昼)(26日夜)(29日)

天女:
奥田花純 飯野萌子 川口藍 玉井るい(24日)(25日夜)
渡辺与布 中田実里 益田裕子 朝枝尚子(25日昼)(26日夜)(29日)

織姫:五月女遥(24日)(25日夜) 柴山紗帆(25日昼)(26日夜)(29日)
彦星:福田圭吾(24日)(25日夜) 木下嘉人(25日昼)(26日夜)(29日)

祭り男:
髙橋一輝 佐野和輝 中島瑞生 樋口響 渡邊拓朗 渡部義紀(24日)(25日夜)
小野寺雄 太田寛仁 小川尚宏 仲村啓 西一義 西川慶(25日昼)(26日夜)(29日)

竜田姫:本島美和(24日) 寺田亜沙子(25日昼)(26日夜) 細田千晶(25日夜)(29日)

どんぐり:
加藤朋子 土方萌花 廣川みくり(24日)(25日夜)
赤井綾乃 菊地飛和 北村香菜恵(25日昼)(26日夜)(29日)

雪の花嫁:
関晶帆 徳永比奈子 中島春菜 守屋朋子 横山柊子(24日)(25日夜)
稲村志穂里 関優奈 多田そのか 山田歌子 横山柊子(25日昼)(26日夜)(29日)

雪の花婿:
井澤諒 原健太 小柴富久修 趙載範 浜崎恵二朗(24日)(25日夜)
中家正博 速水渉悟 宇賀大将 清水裕三郎 福田紘也(25日昼)(26日夜)(29日)

波:
川口藍 玉井るい 広瀬碧 加藤朋子 木村優子 関晶帆 徳永比奈子 中島春菜 原田舞子 土方萌花 廣川みくり 守屋朋子 横山柊子(24日)(25日夜)
原健太 髙橋一輝 趙載範 浜崎恵二朗 佐野和輝 中島瑞生 樋口響 渡邊拓朗 渡部義紀(24日)(25日夜)
中田実里 広瀬碧 赤井綾乃 朝枝尚子 稲村志穂里 今村美由起 菊地飛和 北村香菜恵 関優奈 多田そのか 廣田奈々 山田歌子 横山柊子(25日昼)(26日夜)
中家正博 宇賀大将 小野寺雄 福田紘也 太田寛仁 小川尚宏 仲村啓 西一義 西川慶(25日昼)(26日夜)(29日)



※ご訪問いただきありがとうございます。以下、大変長うございます。『マノン』の反省、生かされておりません。纏まり欠如です。
帰省できない旅行に行けない等お盆の時間が有り余って仕方ない方はどうぞお読みください。
そうでない方は恐れ入ります、次回のお茶の間観劇或いは映画の記事をお待ちください。


米沢さんは艶と統率力ある亀の姫で登場時から姫を超越して神々しい輝きを纏い、視界に入った途端に太郎が硬直するのも頷けてしまったほど。
亀の手の動きも一振りしただけで、またポーズ1つにしても全てを司るような支配力に感嘆いたしました。
池田さんはお辞儀や恥じらいも愛らしく、日本の昔話のお姫様の絵に一番嵌っていた印象で少し顔を傾けたりはにかんだりした表情にとろりとしそうに。
木村さんは得体の知れない麗しオーラ発散な亀の姫。太郎を小舟に乗せて連れて行く際、腕の動きが押し上げや下げ方といい亀らしさが宿っていました。
フィナーレにて亀の神となった姿は煌びやかなチュチュ効果もあり和製ガムザッティな輝き。
亀の姫は太郎より先に明記されていながら実際は太郎の出番のほうが遥かに多し。されど見せ場はいくつもあり、
例えば竜宮城に招いた太郎の前で披露する六角舞。思った以上に短い場面でしたが
羽織物を靡かせながらゆかしくもしっとりした祈りが込められたのであろうソロで、静謐な魅力に太郎も恍惚と魅了されたに違いありません。

井澤さんの浦島太郎は次々と身に起こる突発の事態に戸惑うおどおど感と、亀の姫や竜宮城の住人たちに心を開いた後の生き生き感のバランスが取れていて
5ヶ月ぶりのバレエ団公演再開且つ世界初演作品の初日だった事情もあって緊張なさっている様子は見受けたものの
亀の姫の小舟に乗ってもまだ状況を呑み込めてなさそうな不可思議な表情やお酌をされると
お行儀良く腰掛けていたときとは打って変わって飲み干してしまう様子も自然に映る青年でした。
先にも述べた通り、米沢さんの亀の姫が最初から神様降臨たる存在感であったため仰け反り気絶寸前な太郎であったとしても納得。
漁師にしてはお育ちが良さそうな内気で物静かそうな青年でしたが濃いお顔立ちに意外にも髷も合い、歴史物少女漫画に登場する殿下、といったところです。

奥村さんはあどけない少年な太郎でまさに昔話の絵本や唱歌の挿絵のイメージ。満面の笑みで登場し朗らかな性格が一目で伝わり涼しげな容貌に髷もぴったりでした。
イカす3兄弟の登場に大口開けて出迎える表情がツボで、本当は一緒に踊りたかったのであろうと推察。
奥村さんといえば長らく「永遠の明るい少年」な印象を勝手に抱いておりましたが、数年前から徐々に変わりつつあり
秋の部屋へ入り好奇心旺盛にどんぐりトリオと戯れていたときとは一変し
亀の姫との別れを惜しむ場面では引き裂かれそうに悲痛な心情が全身から溢れ、さらりと流れがちな箇所においても
故郷へ戻れる嬉しさを抑え込んで玉手箱を持って去る姿も重たい悲しみを引き摺りあとに繋げていた印象です。
あどけない少年(設定は青年だが)から亀の姫との出会いを経て鶴変身まで最も大きな変化を見せていた太郎でした。

※以下も長く続きます。東京は連日猛暑でございます、水分補給をどうぞ。

渡邊さんは美しいお醤油顔に間違いなく合う役柄であろうと予想はしておりましたが違和感の無さもさることながら
太秦撮影所や映画村関係者も驚倒するであろうやや切れ長の目眉もあってたいそう絵になるお侍さんなお姿。袴と刀が無い点が鳴呼惜しい笑。
西洋の宮廷で発祥の芸術に従事なさる方に対し大変失礼な物言いかもしれませんが、念願の髷姿に歓喜でございます。
2018年に着物雑誌でモデルをなさり、大正昭和の古風なる若旦那な佇まいに感激し次は髷姿をと
以降書店の時代小説売り場を歩いては或いは時代劇を視聴するたびに勝手に夢を思い描いておりました。
ただ畳が似合うお侍さんだけではなく、登場時に蝶々(舞台袖から細い棒の先端に装着させて飛び出させている何ともアナログな手法がまた良い)にも
にこやかに語りかけたりと性格は大らかな漁師さん。慎ましく質素な生活感も伝わり、
舞台では描かれていませんが桶に入れた魚を懸命に運搬する様子も自然と目に浮かびました。
脱帽したのは踊り方や表現の振り幅の広さ。登場時のソロはカウントが非常に取りにくく1回のみでは童謡浦島太郎の編曲とは聴き取れず(未だによく分からぬ笑)
次回公演『ドン・キホーテ』作曲者であり基本ズンチャッチャリズムが主流のミンクスからしたら、バレエで踊るとはとても想定できない曲でしょう。
しかし音楽への反応が恐ろしく敏感なのか強弱の付け方が的確なのかいたく立体的に見え、冒頭から恐れ入った次第です。
亀の甲を撫で愛でる姿や「接待を伴う飲食」に弾ける様子は頬を緩ませ、千鳥足もやり過ぎぬ範囲でリアリティあり。
一変し狂気を滲ます入魂の鶴変身の神々しさに叶うならトゥールーズ時代のベジャール版『火の鳥』拝見を渇望せずにいられませんでしたが
思わぬ形で鳥に変身する役でお目にかかれたのは誠に幸せな限りでした。
能の要素を取り入れたお爺さんへの変身時における所作の美しさやと目も心も奪われ尽くしでございました。

全く異なる解釈で見比べが面白かったのは時の案内人で、貝川さんは飄々とした狂言回しな役どころでとぼけた顔芸やダイナミックな立ち振る舞い
見得の切り方で観客を魅了。対する中島さんは奇怪な雰囲気を漂わせる紳士。鶴変身時の太郎のおでこに朱肉らしきものを付ける最終段階の鍵を握る箇所においても
押し当てる際の立ち姿が美しくはっとさせられました。とにかくこの時の案内人、
最初から最後まで太郎の冒険を導く大変重要な役割を担っており日本版ドロッセルマイヤー或いは男性版リラの精といったところで更には小道具盛りだくさん。
太郎と息を合わせての作業も多数用意され、釣り竿をさりげなく渡して糸を投げ入れたり亀と兎の競争では何時の間にかホイッスルで合図。
海中では頭に鯛を被って後方から見守り(衣装からして同一人物と思うが)、場面転換で扇子を掲げ
重心を低くしての舞台横切りで観客を次の世界へと誘ったりと多岐に渡る仕事量なのです。
着物、袴、山高帽の和洋折衷な組み合わせも着こなし、役作りこそ異なれどお2人とも見事な案内人でした。

亀の姫に連れられた太郎が海へ行く道中に出会う白兎さんにもびっくり。兎と亀の競争で、被り物をした男性お2人が突如白兎として登場。
小柴さんは数々の「実績」が買われたのか笑、安定のエンジン全開。衝撃であったのは清水さんで、殻を打ち割っての熱演。
ゆっくり運転な亀の姫の姿にすっかり油断してゴール前で寝そべる体勢はすっかりリゾートで寛ぐウサギさん状態でした。
波の男性2人が亀の姫側、島の子供が数名再登場して亀の姫側の応援に付き、波達は応援団の如く
一糸乱れず熱烈応援をしているかと思えば(水泳大会の非番部員状態にも見える)亀の鷹揚たるスピードに合わせて時折スローモーションで声援を送り
子供たちは素早くはしゃぐように応援しつつ亀の姫側の勝利が確実視されるとすかさずゴールドテープを用意して勝者を称賛。
いじめっ子だけにとどまらない、実は気立ての良い子達なのかもしれません。
ほっこりした気持ちになったところでいよいよ海底の竜宮城へ。心地良い流れに乗っていく演出と見受けました。

海洋生物も多種登場し、笑いがあちこちから聞こえてきたのはイカす3兄弟のタンゴ。端正な中から沸々と笑みが込み上げるAキャスト、
濃厚メンバー構成のBキャストは真剣過ぎる顔と腰の入った踊りの対比に大笑い。
もし食するならばAキャストは柚子ポン酢、Bキャストは大黒屋の串カツソースが合いそうです。
イカとタンゴの組み合わせには驚きはしたものの、思い起こせば9年前に函館の市場へ行ったときのこと。
ケースに入ったイカさん達が発砲スチロールを打ち破りそうなほどにエッジの効いた動きをしていて、キビキビと腰の入ったタンゴの振付と重なるものを感じたものです。
イカ兄弟達の踊りに合わせて金魚舞妓やタイ女将は扇で、マンボウまでもがヒレで拍子をとっていたのは
『ドン・キホーテ』の静かな宣伝であろうかとも勝手に想像するのも楽し。これ以外にも、被りケープをひらひらとさせながらエイポンが海底を彷徨ったのちに
一旦幕が下り、フグ接待魚とタツノオトシ吾郎の合図で幕が上がり宮廷が現れる展開は『眠れる森の美女』に似通っていて
古典バレエ作品と似たところを探すのもまた面白味がありました。

テクニック炸裂なサメの用心棒も場内を沸かせ、井澤さん福田さん組は息が合い調和が取れていて盤石、亀の姫そして竜宮城の見張り役として尽くしているのでしょう。
木下さん速水さんは出世争いでもしているのか笑(あくまで役柄にて)前のめりな勢い。タイ女将への接触を狙っているのか妄想を膨らませる用心棒でした。
タイ女将も三者三様。寺田さんは華やぐ香りが匂い立ち、細田さんは典雅な趣き、本島さんは幕開け中央にて正座する佇まいから優しい版大奥を想起。
お三方とも貫禄を備えつつ、鯛の目玉をスカート両脇に付け、ヒレと扇が同化した感のある装飾にも魅せられる
ピンクがかった赤の光沢ドレスと着物を掛け合わせたデザインの衣装をしっくりと着こなす艶やかな日替わり美女トリオで
六角舞を披露し終えた亀の姫の羽織り衣を受け取り丁寧に引き渡す過程にも惚れ惚れ。

はんなりひらりと扇で舞う金魚舞妓達も忘れられず、金色の扇を手にした艶めかしくもメリハリを効かせた踊りに太郎でなくてもほろ酔いしてしまう宴と化すのは明らか。
薄衣と思われる透けた生地に金魚が描かれ、これまた着物と上手く合わせた涼やかな衣装です。

一部は波の衣装のまま帽子やすっぽり被り物で兼任する役柄もあり、サザエとウニはリアルな形の帽子を被ってお酌係。
かなり勢い良く次々と注いでおり、太郎の千鳥足の原因をきちんと作ってくれています笑。
絵をそのまま被っているような平たいマンボウはいたく視界が狭そうですが至る所を遊泳したり
アジ面子もそのまま青系の透明な魚を被って活躍していましたが波の衣装がそのまま海中である設定と同化するため気にならず。

動きづらそうであったのはタコ八で、何本もの長いタコ足を引き摺らねばならず余程の体幹がなければ困難な役。
中島さん渡邊さんは器用に操り、太田さん仲村さんはやや苦戦でしたが奮闘ぶりがかえって興味を惹きつける要因にもなっていて良い方向に作用していました。

日本ならではの四季の移ろいの詩情に溜息が零れ、春は桜吹雪と共にふわりと舞う天女達が琴の調べに乗って(確か)長い紗布を手に雅やかに登場。
夏はワッショイなお祭りで、男性陣のスカートがセーラームーンと一部で話題になっていたもよう。
セーラームーンもシリーズ物でして正確さは自信無しですが付記して申し上げますと、セーラームーンのスカートは1シリーズ目は青一色でしたが セーラームーンS(スターズもだったか)では少しの青黄色と白の組み合わせ。つまり、青地に白い線が描かれた竜宮お祭り男子陣の衣装とちょうど逆版でございます。

役柄名を見て最も気にかかったどんぐりは秋の明るい要素を軽やかに見せ、太郎も一緒に足をバタつかせて笑コロコロ弾むように披露。
一転して竜田姫の登場は翳りを漂わせ、本島さんは押し迫る悲しみを露わにし、寺田さんは危うい色気、
細田さんは今にも絶命しそうな死の淵に立たされた感や触れると冷気が走りそうな儚い姿に身震いし、タイ女将と同じく贅沢な三者三様の見比べでございました。
四季の中でも最たる造形の驚きは冬での雪の花嫁、花婿。竜田姫の下りから太郎の望郷の念が一層強まり、冬では例えば楽しい雪合戦な設定は無理があり
表現手段が気になりましたが、ただ寒々しく寂しい場面に終わらぬ点に唸らされました。
しんしんと雪が降り積もる中で雪の花嫁達が両手を腰手前部分に添えて顔を俯いた状態での小刻みなパ・ド・ブレは何と繊細であろうかと感嘆。
手脚のみならず睫毛の先端に至るまで神経の行き届きを思わせました。パ・ド・ブレを生かす手法は他役にも見られ
幕開けの寄せては返す漣や2幕で神秘的に浮遊するクラゲも目を見張りそして舞台へ引き込む効果大でした。

四季と言えば、新国立劇場バレエ団でも長らく上演を重ねている『シンデレラ』における仙女からシンデレラへ四季の贈り物をする場面がありますが
日本の四季をテーマにした作品としては一昨年2018年11月に京都バレエ団『京の四季』を鑑賞。生け花も同時進行で行われたり
着物な衣装もあればチュチュもあり和洋折衷な趣きでしたが『竜宮』では季節によっては
夏の静と動、秋の陽と陰、と複数の面を描写していた点もまた魅力であったと思います。

東京オリンピック2020を踏まえての海外の方にも向けた新制作とは言っても今年ばかりは日本で生活していても四季の移ろいが意識から遠のいていたとも思え、
お花見も夏祭りも軒並み中止で秋冬の催しもまだ分からず。新国立劇場でのバレエ公演に至っては冬場の2月末『マノン』を最後に
3月末のDTFは無観客開催、ゴールデンウィークの『ドン・キホーテ』、6月の1ヶ月間に渡る『不思議の国のアリス』本拠地、愛知県、群馬県公演も中止で
冬から一気に夏へと飛んできてしまったも同然。劇場の中で日本の四季の醍醐味を堪能できたのは幸運でした。

そして繰り返し鑑賞しかも上階席を買い足したくなった理由の1つが床照明。変化に富む波模様や四季折々に桜、どんぐり、紅葉絨毯など
凝りに凝ったデザインがお目見え。床以外にも深海へと沈むときにはいくつもに泡が映し出されて上昇し、
いよいよ亀の姫の小舟に乗った太郎が海へと潜る瞬間、絶妙なタイミングで跳躍して着地した波達の導きもあって一気に潜り込んでいく心持ちになりました。
開演前、幕間、終演後毎に少し変わる装置演出にも注目し、厠の刻には思わず笑ってしまい終演後は上方に鶴と亀。
弾け飛ぶ泡を思わせる音も含まれた深海の壮大で幻想的な音楽も胸躍る要素で耳に残り、何度でも聴きたくなってしまいます。

細かな仕掛けや日本の伝統文化の要素がそこかしこに散りばめられ、5回観てもまだ発見できていない箇所は多数あると思われますが
玉手箱を開けた太郎がお爺さんに変身する場面は能のお面を用いての演出。着物を被せられ、煙のなかでお面を装着する厳かな演出でしたが
ここはできればお面は無しで、何処かに紛れて顔や髪に白い物が混ざって老いた状態を作り出したところも観てみたかったとも欲が出てしまいました。
ただ、太郎がもはや漁師ではなく鶴に変身して異世界へと旅立つ様子を格式高く描いたとも受け止められます。
余計な口出しかもしれませんが太郎が鶴に変身する着替え時、席によっては丸見えに近い状態で見えてしまったため笑
再演時はもう少し多めの人員を配置した方が良さそうです。

惜しむらくはこのご時世。海外からはもとより国内でも遠方からの観客の来場が見込めず、子供達も多くの地域で夏休みが短縮となり7月中或いは8月以降も授業あり。
観客の平均年齢は新国立劇場でこどもバレエが始まって以来の高さであったのが明らかです。
管理人の住む地域では7月31日の13時過ぎに鍵盤ハーモニカや絵の具を持って下校する小学生達の集団に遭遇し、少なくとも7月一杯は授業があった様子。
平日も15時あたりの開演でしたらもう少し子供の観客が増えたかもしれませんが
こればかりは安全第一の実施等劇場の事情もありますし止むを得なかったと思います。
また興味はあっても職業柄、家庭の事情や不安もあっていくら換気や検温など対策を万全にした劇場であるとは分かっていても
大人数が集まる空間には足を運べない方も大勢いらしたことでしょう。毎度身内の話で恐縮ですが、妹はチラシの衣装写真を一目見て行く気満々だったようですが
たくさんの子供達を預かる現場で働いている環境上、今回ばかりは断念するしかなかったようです。
それから欲を言えば、6月末にNHKニュースウォッチ9にて新国立劇場バレエ団が取り上げられレッスンやリハーサルの様子、
吉田都さんのインタビューも放送されたとき『竜宮』のチケット発売なりあらすじや魅力紹介が少しでもあればと思えてならず。
夜9時のNHKニュースならば反響もあったのではと想像いたします。

大変な状況下、チケット発売や開幕が決まっても果たして幕は上がるのか毎日毎日祈るような気持ちでいただけに
5ヶ月ぶりの観客を入れて、しかも制約がある中でリハーサルを重ね新制作世界初演に漕ぎ着けた喜びは
生涯忘れることはないでしょう。馴染みある浦島太郎の話をなかなか知られていない御伽草子の内容も盛り込み
和洋の様々な要素を織り交ぜて膨らまして振付のみならず装置美術衣装までも手がけられた森山さんのセンスが凝縮した
こどもバレエとは思えぬスケールの大きい、新国立発信のオリジナル作品誕生を心から祝したい思いでおります。早い話ですが、来年の再演を願って止みません。





対面無し、池に向けられたホワイエの椅子。


記者会見が行われそうな配置。



キャスト表。サメ、タイ、エイ、マンボウ、ウニ、サザエ、、、上半分を眺める限り、初台水族館。下半分は日本の四季博覧会。



久々に劇場内レストランのマエストロへ。スタッフさん達もお元気そうで安堵、スパークリングワインで乾杯。
次の『竜宮』では是非ともマエストロ特製公演限定デザートがホワイエで販売されますように。
亀を模ったタルト、涼やか竜宮ゼリーパフェ、太郎のお団子(作品からして和菓子もありかと思います)、
甘味ではなくても太郎漁師の鯖押し寿司(一時期巻き寿司はあったと記憶)などあっても良さそうです。



海の生き物シリーズは崩さず笑、渡り蟹のパスタを選択。蟹の身もお出汁もたっぷりでした。



帰り、うどんでつるっと一杯。揚げたてがちょうど出てきたためイカもいただきます。



図書館で借りた書籍。インターネットだけでなく書籍を手にとって調べる作業を好むため図書館の無事再開は大いに助かります。
講談社の絵本はなかなかの日本顔美青年太郎です。山田明生さん文の絵本は
四季の部屋の中での秋の紅葉景色、絨毯がバレエの美術と似ていて舞台を思い起こさせました。
『海の文学史』によれば『平家物語』では平家一族が竜宮城にいた旨を話す建礼門院の場面があるそうで、興味を沸かせます。
(平家物語は次回以降のお茶の間観劇に関わって参ります)
福永武彦さん訳によれば浦島太郎の大まかな年齢は24、5歳だそうで、絵本の印象に比較すると意外にも大人。
あらすじにも明記し「青年」として登場させた今回の森山さん版の設定と重なり、太郎の寝酒も納得。



反響が大きかったため再度掲載、事前にチラシと構想図持参で依頼し、『竜宮』開幕と我が人生節目を祝して海の日に引き取った浦島太郎ケーキ。
写真を見返す度に、パティシエさんの凄腕に驚嘆です。
接待役は流石に高き壁ですので出迎え役としてタニシとサザエ、羨望の眼差しで上り詰めようと頑張る付き人志望の蟹を配しました。
高さ制限に引っかかりこのままでは入らず、保管時は太郎さんと亀、蟹を取り外して冷蔵庫へ。
何処で予約したのかと目の細い家族も最大限丸めて驚き、亀を助ける心優しい漁師である浦島太郎にしては
随分と目がきりっとし過ぎていてお侍さんのようであるとも指摘を受けましたが
それで良いのです、『竜宮』以前から着物が絵になる姿を公の媒体で証明なさっているモデルがいるのですから。
パティシエさんが目眉の特徴を捉えて描いてくださった力作でございます。一時冷蔵庫に保管していた太郎さん、亀、蟹は26日の朝に食しました。
カードは画伯な妹作の亀とラッコ。そういえば、亀が頭に乗っかっているのは亀の姫が最後神となったときの頭飾りを彷彿。
描いてくれたのは公演初日以前ですから妹よ、演出を予測していたのだろうか!?(本人曰く、偶然らしいが)



7月31日も鑑賞予定で『竜宮』休暇取得も公演中止、劇場関係者を思うと胸が詰まり再演を切望いたします。
ところで昨年9月新国立劇場バレエ団こども『白鳥の湖』全国含む千秋楽岡谷市カノラホール公演鑑賞前に訪れた諏訪湖にて
竜宮丸とスワン丸が並ぶ光景を撮影。次のこどもバレエ宜しくと託された竜宮丸、当時は予測もしなかった事態に見舞われながらも
素敵な舞台完成をスワン丸に報告と想像しております。
江戸時代以降は竜宮伝説は広範囲に及び、海の有無関係なく全国にご当地竜宮なる場所が言い伝えられているらしく、諏訪湖もその1つとのこと。
井原西鶴の『西鶴諸国はなし』によれば、凍結した諏訪湖を渡っていた馬方の勘内が溶解により湖底に沈んでしまったが
竜宮に流れ着いたのち舟に乗って帰還したらしい。
海ではない諏訪湖に竜宮丸がいるのは、しかも白鳥と並んでいた光景は誠に大きな意味を持っていたと今更ながら感じた次第です。

2020年8月3日月曜日

【お茶の間観劇】第31回清里フィールドバレエ『白鳥の湖』

7月30日に上演され、8月8日まで限定配信の第31回清里フィールドバレエ『白鳥の湖』を鑑賞いたしました。
https://www.fieldballet.com/

清里フィールドバレエは現在開催中で8月7日まで続き、これから足を運ばれる方もいらっしゃるかと思いますので短めに。
新型コロナウィルス感染拡大による影響で移動や来場が困難になる方が大勢いる状況を配慮しての対応で、
上演したばかりの公演を全編配信してくださるのは過去30年の歴史の中でも異例と思われます。
ただでさえ感染拡大防止策を徹底しての上演だけでも大変でしょうに、配信にまで踏み切ってくださり心よりお礼を申し上げたい次第。
手放しで喜んではならないのかもしれませんが、写真でしか目にしたことのない
自然をそのまま美術と化した舞台を映像を通して自宅にて堪能できたのは誠に嬉しく、興味津々に鑑賞いたしました。



リハーサルをまとめた今年の宣伝映像


オデットは小野絢子さん。しっとり且つ強さも備えた姫で、音楽を身体で奏でながらもポーズ1つ1つ見せ方が美しく盤石。
ふわりとした羽のボリューム感あるチュチュ姿も新鮮でした。
小野さんのオディールは公演によって蠱惑的であったり小悪魔度控えめで澄ました様子であったり造形が大きく異なり
だからこそ新国立での舞台も毎回観たくなるわけですが、今回はすっと静かながらも恐怖感を忍ばせる姫。
花嫁候補達の前を通る際もむやみやたらに顔の表情で強調せず、背筋を正しクールに颯爽と歩きつつ背中からおどろおどろしさを吹かせている印象を持ちました。
太めの金色刺繍や赤いストーンで彩られたオディールの衣装がいたくゴージャス。

今回話題の1つであったのが、ソーシャルディスタンスな振付。ただ従来の振付とさほど違和感なく溶け込ませる工夫が光り
湖畔のアダージオの前奏ハープ部分が流れつつ静けさに包まれたままオデットのヴァリエーションへ移り、所々で王子が手を差しのべたり
ジャンプの部分をリフトに変えたりとヴァリエーションにパ・ド・ドゥ要素をさりげなく取り入れた振付。
四羽の白鳥は終始手を繋がず、されど脚と腕の動きが連動しているため最初からこの振付と言われても全く不自然ではありません。

話には聞いていた花火が打ち上がりまさに大舞踏会なる幕開けや、霧が立ち込め幻想的な雰囲気を自然そのものが作り出す空間に映像越しでも感激。
実際その場に身を置いたら、寒暖や降雨、虫除け対策必須ではあれどさぞかしロマンティックな空気に浸れるのでしょう。
映像はまだご覧になれますのでお茶の間で清里、ご堪能ください。
野外でのバレエ鑑賞経験は東京バレエ団による上野バレエ・ホリデイでの東京文化会館前で立ち見したコレオグラフィック・グループ(振付家発掘プロジェクト)のみで
その昔世田谷美術館の前庭で披露されていた牧阿佐美バレヱ団によるサマーナイトバレエが隙間から見えたと記憶。機会が体感してみたいものです。