2026年9月3日木曜日

伝田さんのメドーラデビュー 東京バレエ団『海賊』 8月26日(水)




順番前後いたしますが(いつまで続くか??)8月26日(水)、東京バレエ団海賊を観て参りました。
これまで2019年、2021年に東京文化会館で観ておりますが今回は新国立劇場での開催です。
https://thetokyoballet.com/performance/lecorsaire2026/


音楽:アドルフ・アダン、チェーザレ・プーニ、レオ・ドリーブ、リッカルド・ドリゴ、ペーター・フォン・オルデンブルク
振付:アンナ=マリー・ホームズ(マリウス・プティパ、コンスタンチン・セルゲイエフに基づく)
台本:ジョージ・ゴードン・バイロンの叙事詩「海賊」(1814)に基づく
編曲:ケヴィン・ガリエ
装置・衣裳:ルイザ・スピナテッリ
装置・衣裳協力:ミラノ・スカラ座

メドーラ:伝田陽美
コンラッド:柄本 弾
アリ:池本祥真
ギュルナーラ:三雲友里加
ランケデム:樋口祐輝
ビルバント:鳥海 創
アメイ(ビルバントの恋人):政本絵美
パシャ:山田眞央
パシャの従者:小泉陽大

第1幕 賑やかな市場
海賊たち:大塚 卓、井福俊太郎、安村圭太、二山治雄、山下湧吾、南江祐生、岡﨑 司、後藤健太朗
海賊の女性たち:足立真里亜、加藤くるみ、中沢恵理子、工 桃子、長谷川琴音、安西くるみ、長岡佑奈、橋谷美香
オダリスク:涌田美紀、平木菜子、中島映理子

第2幕 海賊が潜む洞窟
海賊たち:大塚 卓、南江祐生、岡﨑 司、後藤健太朗 海賊の女性たち:加藤くるみ、中沢恵理子、工 桃子、安西くるみ

第3幕 パシャの宮殿
薔薇:金子仁美、足立真里亜、中沢恵理子、工 桃子、長谷川琴音、安西くるみ
花のソリスト:二瓶加奈子、加藤くるみ、長岡佑奈、橋谷美香、富田紗永、五十嵐玲奈

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ学校



ロールデビューとなった伝田さんのメドーラは卓越した技術が光り、ただテクニック披露ではなく場面毎の色付けもお見事。
パシャの前での堂々と可愛く振舞う愛らしさからコンラッドに出会うロマンティックな恋心の昂りまで、鮮やかに描画しながら物語を牽引です。
とにかくメドーラってこんなに踊る役であっただろうかとほぼ舞台上にいて、衣装もクラシックチュチュもあればふんわりスカートもあり、
ハーレムパンツもありで衣装種類も全て異なるデザインながら、どの場面も海を泳ぐようにスイスイと滑らか軽やかな踊りで魅せる活躍。
ガラでは定番の洞窟のトロワ(ガラでは大概パ・ド・ドゥだが)もステップ1つ1つが潔さと優雅さを備えていて、明快に語る踊りに感嘆するばかりでした。

そしてメドーラの出番に拍車をかける花園も、音楽を吸っては高らかに放つような緻密で美しい踊りの連鎖。
失礼ながら当初ピンクの衣装はどうかと思っていたのだがとんだ失礼で、艶やかに舞う大輪の花でございました。
コンラッドへの恋や、彼がピンチのときのビルバントに傷害与える大胆な行動も健気。
あらすじがあるようでないと言われがちなこの作品にて、それゆけメドーラの大冒険なるステージを見せてくださり、全幕で観る面白味を再発見いたしました。

コンラッドの柄本さんは、踊りのキレ等はやや控えめになってきたものの、我らがリーダーな存在感はピカイチ。
優しく慕われているが抜けた部分もあるのがまた人間味を感じさせて、作品の温度をしっかり上げていた印象です。
そして鳥海さんのビルバントの迫力やギュッと辛味を凝縮したようなオーラも忘れ難く、
身体はかなりがっしりとなさっていながら踊りは軽快でびっくり。特に政本さんのアメイと共に群舞率いる場は
何処を切り取っても張りと締まりがあり、序盤からはち切れんばかりのエネルギーが大充満していきました。初日だからまだ全体が硬い、なんて事態は一切なしです。
コンラッドに対して、常日頃から不満を募らせていたのであろうと想像がつく秘めた野心も仕草やちょっとした表情からつらつらと伝わり、
展開は把握していても手に汗を握らせる行動で緊迫した裏切りを演出なさっていました。
奴隷商人ランケデムの樋口さんは、ふわっと浮くジャンプで沸かせたかと思えば悪どさよりもギュルナーラ始め娘たちの美貌を見て欲しいと
市場の商人そして客席にも猛アピールしていてなんだか憎めずチャーミング。
そして静けさの中から厳かな熱さを見せていたのは池本さんアリ。出番こそ少なくても修行僧の如くストイックな立ち居振る舞いでコンラッドに仕え
大定番のヴァリエーションも厳粛な空気を纏いながらの超絶技巧の繰り出しで、物語を大事にしたテクニック炸裂で好印象でした。

人身売買に奴隷と、現代の人権感覚では許し難い行為や描写の連続で、東洋に対する偏見イメージもあちこちで描かれており、ライモンダと同様欧州では上演しづらい作品でしょう。
しかし人攫いも救出も現実ではあり得ぬほどにスピーディーに対処して笑、大勢で畳み掛けるパワフルなキャラクターダンスや
お盆の高速道路も仰天であろう舞台がピンクの大渋滞となる花園の壮麗でシンメトリーな美しさなど、踊りの見せ場を前面に出しているためか鑑賞後は不思議と爽快な気分。
精鋭揃いで勝気な魅力も突き出したオダリスクのトリオに、花園は明るく弾ける優美さが連なって目にも麗しい。
女性の立場の弱さを露呈したあらすじではあっても、観ていて決して後ろ向きな気持ちにはならず、描き方も工夫されていると捉えております。
仕事帰りのぎりぎり到着で鑑賞しても展開が進む度に活力が沸いてしまい、東京バレエ団の全幕レパートリーの中では一番好きな作品です。

衣装の曲線や抑えたある色味で彩られたデザインに、もしやと思ったら手掛けたのはルイザ・スピナテッリさん。
メドーラのトロワでのチュチュはもう少しキラリとした装飾があるほうが好みとは思えたものの、新国立のライモンダと同様、
色の組み合わせや繊細な模様をあしらった衣装の数々はいくらでも眺めていたくなります。
初日開幕以降も連日大盛況だったもようで、これからも人気作品として再演を重ねて欲しいと願います。




船をイメージしたフラワーアレンジメント。


垂れ幕。東京バレエ団新国立劇場シリーズとは、こんな名称を冠したシリーズが誕生するなんて。以前の理事長は空の上でどう感じていらっしゃるでしょうか。



オネーギンポスター登場。


タイムスケジュール



キャスト



ピンクチュチュ



紫チュチュ


オネーギンについての説明パネル。14年ぶりの再演です。



11月、楽しみにいたします。しかし会場となる初台を本拠地としている団に、
オネーギンぴったりなお方がいらっしゃると思います。冷淡でツンと澄ましたお顔なんて、心射抜かれそうです。



海らしい色彩な翠で乾杯!

2026年9月1日火曜日

夏恒例 京王線癒し行事今年はバルセロナ行き BALLET NOW 第19回発表会 8月18日(火)《東京都府中市》




またもや順番前後いたしますが8月18日(火)、東京都府中市にてBALLET NOW第19回発表会を観て参りました。
https://www.ballet-now-2007.com/p/4/

川崎浩美さん貝川鐡夫さん主宰のお教室で、2019年以降は感染症対策における内輪のみ公開であった2020年以外毎年拝見しているスタジオです。
ゲストはお馴染み、新国立から渡邊峻郁さんと速水渉悟さん。バレエコンサートからジャズ、タップ、
ドン・キホーテハイライトにヴァリエーションを踊るチャレンジセクションまで、溌溂と楽しいプログラムでした。

幕開けはお子様達のラ・ファボリータ。以前にも子供中心に披露された作品かもしれませんが、皆さん背筋がスッと伸びていて立ち方も綺麗。
難しい複雑派手なテクニックよりもまずは立ち方や背筋の伸ばし方、顔の付け方がきちんとできるよう指導されているのでしょう。
この後にもう少し年上の生徒さん3人で踊られた『くるみ割り人形』より葦笛の踊りも(男子2名女子1名の構成)優雅に折り目正しいトリオでした。

続いて『白鳥の湖』よりパ・ド・トロワ。中1の生徒さん2人と渡邊さんが踊られ、渡邊さんの白鳥トロワを再び目にする機会があるとは思ってもみなかったため発表時はびっくり。
しかも中学1年生の生徒さん達ともなれば保護者に見えてしまうかもと要らぬ心配も勝手にしておりましたが
可愛らしい生徒さん達に挟まれても不思議と違和感ない上に、安心安全美しさの保証は無限大でこまめにお顔覗き込んだりと優しさ炸裂サポート。
更には3人で穏やか楽しそうに踊っていて、心清められるトロワでございました。

前回に引き続きタップダンスとジャズダンスもあり。タップはミーアンドマイガールよりメドレーでヴィヴィッドな色違い衣装も華やかです。
上へ上へと引き上げて靴の音は極力響かせないバレエと違って重心は下に、音を鳴らせてナンボであろうタップは使う筋肉の切り替えも容易ではないでしょうに
弾けながら踊っているため観ていてワクワク。肩の力抜いて楽しませてもらいました。
ジャズダンスはアラジンよりメドレーで、エキゾチックなキンキラお衣装に変わってゴージャス気分。
宝塚歌劇団を観に行ったことがなく(女性が男性の役を演じる文化がどうも私には受け入れ難く、こればかりは好みの問題ですが)
ミュージカルも普段観ていない私からするとタップとジャズ両方の鑑賞はともに新鮮に映り、アシスタントの方が毎回皆が楽しんで踊れるよう両方に出演してリードなさっていて
生徒さん達にとって心強い存在でしょう。ドンキハイライトでも要として皆を率いて活躍され、眩しうございました。

『ドン・キホーテ』よりハイライト版として振り付けられたバルセロナの広場は1幕の闘牛士達の部分も皆で分担して踊りわけ、
寧ろ次々と変化が起きてどんなアレンジがなさるのかと楽しみ倍増。速水さんも闘牛士パートを男子3名率いて踊られ、優しい見守り隊も兼任される上に客席も盛り上がってしまいます。
最後はキトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥで、キトリはミュンヘンへ留学中の生徒さんが益々美しく大人びた踊りで魅了し
こちらの生徒さんの初パ・ド・ドゥの2022年以降毎年組んでいらっしゃり、今回で5回目となるバジルの渡邊さんも
生徒さんの成長に合わせて表現の方向性を少し変えてこられたのか流し目やら澄ませキザ顔やらアダルト路線で臨まれ、テクニックは端正であれど益々情熱的。
終盤はちょいと気力で回転しているようにも見えかけたものの笑、浦和に続く熱血バジル、堪能いたしました。

第4部ヴァリエーションに挑むチャレンジセクションは、小さな生徒さんもシンプルめにアレンジされた振付にチャレンジしていて
誤魔化しが効かず大人が踊るのはかえって難しそうな振付をきちんと踊っていて、またポワントデビューも慌てずの方針は好印象。
貝川さん浩美先生のご子息の1人がバジルのヴァリエーションにチャレンジした後の一言で、渡邊先生に負けないように頑張ったとの大胆心臓強な発言には場内も沸いてしまう事態に笑。
すると、突撃!舞台袖のバジルさんなる急なインタビューに私服に着替えて見守っていた渡邊さんが隅っこにそっと、首をヒコヒコさせながら登場され笑
お褒めと激励のお言葉を届けていらっしゃいました。非の打ち所が無いゲスト業務でございます。

子供から大人の生徒さんまで、楽しそうに溌溂と踊るプログラム盛りだくさんな発表会でした。
半休取って昼に退勤後、平日昼下がりの京王線下り方面への電車移動からして私の大事な癒し時間、今夏も満喫いたしました。
来年は20回記念!心待ちにしております!!




会場前の噴水



駅前で炙りチーズケーキ。バーナーで焼き色入れて表面を溶かしてくださいます。バジルも燃ゆる熱さと想像しながらいただきます。



美味しそうなケーキ。トロッとした部分とひんやり部分、両方を滑らかに味わいました。



会場近くにて通り道に、からあげ元気亭。店名がちょいのみも含むのか分からずですが元気が出そうな外観。たこ焼きもあるそうです。
貝川さん振付人魚姫における渡邊さんのタコクイーン思い出してしまいます。タコさん、ソロルに憧れている風の鉢巻装着です。



帰宅後、スペイン産のワインで乾杯。渡邊さんと速水さん、お2人の並びを見ると、2021年新国立ライモンダ平日真昼の巌流島の決闘を思い出してしまいます笑。
がむしゃらな若さのぶつかり合い、あのときだからこその対決で、敵はサラセンでもアブさんでもなく速水さんと言わんばかりに立ち向かっていました笑。
今回の発表会も、速水さんがいらっしゃる=絶対に負けられない戦いでいらしたのか
テクニック燃ゆる情熱プラス大人なバジルでございました。4日後に巌流島近くを訪れる機会があり、船乗り場前までは行きましたため、再び懐かしさ込み上げた次第です。

2026年8月30日日曜日

バティストーニ! エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス 8月20日(木)




順番前後いたしますが8月20日(木)、世田谷区の昭和女子大学 人見記念講堂にてエスプリ・ドゥ・ラ・ダンスAプログラムを観て参りました。
ジル・イゾアールと教え子達からなる企画で、お世話になっている方の代理鑑賞のため、困ったときのル・パルク以外は
正式公演名称やプログラムも直前まで把握しておりませんでしたが、現在のパリ・オペラ座のベテランから若手まで
間近席で鑑賞する機会は貴重。一部演目選定を考えさせられる部分はあれど堪能いたしました。

オープニングは皆白っぽい衣装を纏って登場し、ピアノの調べにのせて舞うステージ。
ややぼんやりしてパッとしない印象がありましたが、普段私が触れない、パリの先端を行くシックなエスプリ文化であろうと捉えた次第です。
(捉えるしかなかったのだが)

今回の大収穫はブルーエン・バティストーニ。ドリーブ組曲と黒鳥ともに、理知的で上品、スッと語る爪先、
美しい型を重んじた硬質でエレガントな踊りに感激しきりでございました。
ドリーブ組曲は振付者本人と衣装デザイン者によるペアで20年前に観ており、その後何組も観てはいるものの今ひとつパッとせず辛口評価が続いておりましたが
今回は大満足。シルエットの登場からして顔つき、身体のフォルムが奏でる品の良さに、
そして踊り出すと音楽と慈しみ合うようにパを重ねていき、これ見よがしなくても洗練された世界観を描き出していました。ドレープ状のブルーチュチュも優雅でとてもお似合い。

あからさまに悪女っぷりを出さず、クールで近寄り難い、品格あるオディールも空間を大きく且つコントロールを効かせた踊り方で魅せ、
脚もむやみやたらに振り上げず、あくまで優雅さと抑制、規律正しさを重視。
ほんのり香らせるような微笑みにもすっかり落ちた私でございます。全幕主演や、或いはいつかグラン・パ・クラシックも観てみたいダンサーです。
両演目で組んだポール・マルクは何か事情があるのか単に酷暑対策なのかゴルゴ13な短髪に驚かされるも、踊りやサポートは大らかで安定。
黒鳥パドトロワにて若くも奇怪な眼差しや仕草で魅せたソガールのロットバルトも目に残りました。20年前の来日全幕思い出し、カール・パケットが過ぎったのはお許しを。
イネス・マッキントッシュとフランチェスコ・ムーラはジャン・ギョーム・バール振付のベルガマスクにて、淡いブルーを基調とした作風に似つかわしい爽やかさ。
ドンキは結局何版なのか半端な印象でしたが、首筋キスなど粋な要素も自然にこなし、テクニックもまずまず。

期待の勢いある若手として登場のリュシアナ・サジオロ シェール・ワグマンは勢いよりもかなり粗削りな印象受けてしまい、
ワグマンは枠からはみ出すぎた1人暴れん坊将軍なテクニックを繰り出し笑、経験積むうちに徐々にスマートになっていくでしょう。サポートも要精進!
サジオロは怪我しているわけではないならば、パリの炎は最初から16回転しかしないつもりなら別演目の方が望ましかった気もするが、
パリ・オペラ座ダンサーによるパリの炎は初めてかもしれません。いずれにしても、日本の観客ほどガラ王道パドドゥを見慣れた観客はいないでしょうから、
安易に披露せず他の作品の方が、公演名のエスプリに相応しい好印象与えたかと思います。

ドロテ・ジルベールとギョーム・ディオップはランデ・ヴーでは禁断な妖しさを、ル・パルクはお腹一杯な方も多いでしょうが
何度か観ていながらも間近で観るのは初の私は、これがフライングキッスかと案外楽しみ笑、遠心力の音までもが聞こえてきそうなパワーも感じつつ堪能。
それにしても、ジルベールが今年アデュー公演を控えているとは、時の流れは早い。
2006年、私にとって初のパリ・オペラ座鑑賞であったときには既に期待の新鋭と言われていたのですから当然か。

カン・ホヒョンとロレンツオ・レッリはパピヨンのパドドゥにて、ヴァリエーションが多めで時間も長かったものの汗、ホヒョンの軽やか脚捌きは見事。
イゾアール振付のヴィヴァルディ・パ・ド・ドゥはイエローゴールドな衣装は洒落ていたが、振付は可もなく不可もなく。

フィナーレはダイヤモンドより最終場面の曲にて全員登場。そんなわけで、突如舞い込んだ鑑賞でしたがベテランから期待の若手まで
エスプリかどうか疑問な部分は一部あれど一挙に何名ものパリ・オペラ座ダンサーを目にできて珍し新鮮な鑑賞となりました。




入口



チラシより



隣の特設カフェ外観



白鳥黒鳥



カフェ内部



リュミエールブランシェ。



パネルも豊富に。大学にて舞台を学ぶ授業もあるようで面白そうです。






2026年8月25日火曜日

真夏のバルセロナの祭典・浦和編 ノリコクラシックバレエ NEIGE 第12回発表会 8月11日(火祝)《さいたま市》




8月11日(火祝)、浦和の埼玉会館にてノリコクラシックバレエNEIGE第12回発表会を観て参りました。2024年以来2度目の鑑賞です。
新国立劇場バレエ団の渡邊峻郁さん、木下嘉人さん、東京バレエ団の宮川新大さん、フリーの益子倭さんらがゲスト出演。帰りの交通やお天気が心配でしたが無事帰還いたしました。

https://www.neige-ballet.com/


前半はバレエコンサートや創作集。木下さんの振付で木下さんとスタジオの講師の方が踊られたundiscoveredが、
光と闇の交錯にお2人の身体が溶け入ってはぽっかりと浮き立つ光景が立体的に描かれ、力強さと滑らかさを交互に放つ動きの面白さも目に残っております。
パリの炎を踊られた益子さんが、ジャンヌ役の生徒さんが気持ち良く踊れるよう心砕いたノリノリサポートが楽しく映り、
斜めから観るとお顔が熊川さんと瓜二つに見えかけるのは気のせいか笑?それはそうとパワフルでワクワクする後味良きパドドゥでした。

ラ・バヤデールより影の王国パ・ド・ドゥはコンパクトにまとめられ、まずは暗闇にすっと軽やかでふわりと飛び込んできた、
白い衣装に白鉢巻(ヘアバンドですが鉢巻と呼びたい笑)を装着なさった渡邊さんのジャンプの美と余韻に感激。
着地した後や振り返るといったふとした部分も背中や肩からの語りかけが止まらず、美しさを維持なさっているお姿にも再度見入った次第です。
抜粋であっても大後悔時代の大海原まっしぐらな痛恨の感情が醸し出され、ニキヤへのサポートはかっちりと決めどころも押さえていらして恐れ入りました。

くるみ割り人形からは2本抜粋があり、お子様達が踊ったくるみ割り人形の中国の踊りが、
大人数で可愛らしい上に陶磁器を模した丸みある袖の衣装がとてもお洒落。ハッと目を惹くデザインでした。

締め括りは古村先生、長瀬伸也さん、パントマイムの江ノ上陽一さん振付のドン・キホーテよりハイライト。
幕開けの行進曲からして3幕中心の展開かと思いきやキトリとバジルは1幕衣装で登場し、何やら珍味な面白さを味わえそうとこの時点で期待大でございます。
木下さんがエスパーダの格好でメルセデスとボレロをキレキレに踊ったかと思えば1幕部分の登場シーンもビシッと決めていらして、しかし闘牛土達は不在。
そこはなぜかバジルの渡邊さんとファンダンゴの宮川さんがカバーなさっての対応で、宮川さんはエスパーダ経験豊富だからかムレタ捌きも滑らか。
渡邊さんは少々苦戦!?そこがまた味わい増す効果をもたらし笑、闘牛士に憧れる床屋の青年として存在していた、設定といたしましょう。
他にも益子さんガマーシュも参戦してのジャンプ合戦やらエア大縄跳びやら業務量多し主要役陣でした。
ハイライトとはいえ全体の纏まりも強く、生徒さん達もかわるがわる登場しては場面ごとの展開もスムーズで皆楽しそう。
父親ロレンツォに反発し、ガマーシュ求愛断固拒絶なキトリのやり取りもエスパーダやファンダンゴも見守るハイライトならではの総出演1幕も弾む展開で
最後グラン・パ・ド・ドゥも勿論あり。ノリコバレエで学び、新国立の研修所、バレエ団出身の中村美月さんが艶と華あるキトリで魅せ、
1幕お転婆場面も美しさがまさっていましたが結婚式は更に艶やかに変身。振付はオーソドックスではなさそうでしたが(ヌレエフ版とも違いそうだが少し似ていた気も)
ロシアな勢いと広がりある振付よりお似合いだった印象です。渡邊さんは床屋さんからは打って変わって笑、洗練された新郎バジル。
浦和駅前ロータリーのサッカー電光看板にまで跳んでいきそうなジャンプの他、回転もドリル並みに素早い上に
音楽とも仲良しで、長身をいかにコントロールなさっているのか不思議なくらいです。
何よりキトリを大事に支えていらっしゃる上に、最後は国内のある団の参考演出なのかロレンツォへ床屋業務実践。
剃刀を持ったときのギラついた視線と気合入れるおまじないの仕草は謎めいていましたが笑、不安がるロレンツォを静止させて剃刀当てる業務は手慣れている熱血床屋でした。

この夏ドンキハイライトな上演は既に2回鑑賞しており(あと1回の予定)、工夫や組み合わせ次第でいくらでも楽しく見応えある展開が可能であると再発見。
浦和にて、真夏の祭典を満喫いたしました。ノリコクラシックバレエさん発表会の帰りは前回は翌々日の暴風雨予報による乗車予定新幹線の運休通知が来たり、 今回は帰宅時間に暴風雨迫る予報にヒヤヒヤしたりと、2回連続で自然現象による波乱に明け暮れる帰り道となりましたが、
そんな不安を覆い返すような楽しい余韻をもたらしてくださったことにも再度感謝いたします。




浦和到着!レッズの本拠地です。



案内所もレッズ!



サッカーで戯れる



前回より訪問時の37度よりは涼しい。



浦和駅近くのスペイン料理入口。



闘牛士ポスター眺めながら海鮮パエリア!



たこ発見!中にも魚介がたっぷり隠れていました。



深海の女王様思い出す、今夏はたこブローチも誇らしげなしらかわん。



サッカーマンホール!



さらば浦和!



無事帰宅、ワインで乾杯です。

2026年8月20日木曜日

秀逸で意表を突く台本 谷桃子バレエ団『シンデレラ』 8月9日(日)




8月9日(日)、谷桃子バレエ団新制作『シンデレラ」を観て参りました。谷バレエのシンデレラは1991年メッセレル版の高部監督主演公演を観て以来35年ぶりの鑑賞です。
https://www.tanimomoko-ballet.or.jp/2026cinderella/


シンデレラ:殿岡遥
王子:千野円句
母大蝶々(マザーバタフライ):永橋あゆみ
父バッタ男爵:檜山和久
継母:高岸直樹
義姉:今井智也
義妹:浅田良和
ダンス教師:中野吉章
王子の従者:昂師吏功 安田幹 二村康哉
てんとう虫:齊藤燿
トンボ:光永百花
スペイン女性ソリスト:高橋夏海
オリエンタル:大塚アリス
ロシア女性ソリスト:高谷麗美


殿岡さんのシンデレラは分かりやすく明るい、無邪気で愛嬌あるタイプではないが内側から朗らかさが滲み出る少女で、
仲良しだった頃の義姉達とのカード遊びもゴタゴタ争い合う姉妹を穏やかに見守り受け止める度量も持ち合わせた頼もしさすらありました。
眠れる森の美女のときも感じましたが見るからに麗しいプリンセスな容貌では決してないながら、アームスやステップ1つ1つがとにかく優雅。
シンプルなエシャッペ1つにしても爪先から花が咲くようにエレガントなムーヴメントにも驚かされ、惚れ惚れいたしました。
王子に対しても内面から出る愛らしさ優しさが響き、ただ懸命に快活に誘うのではなく
王子の寂しげな心を覗き込み、そっと触れるように丁寧に手を置きながら語りかけたりと思いやりに満ちて芯の通った美しさに包まれたシンデレラであった印象です。

千野さんは実は舞台を拝見するのも初で、お母様の千野真沙美さんの1980年代後半頃のインタビュー記事は頁に穴が空くほど読み通しておりましたため
ご子息のお姿、ようやく鑑賞が叶いました。勢い任せな踊り方を一切なさらず、癖のない素直でまっすぐ、ソフトで上品な踊りが貴公子にぴったり。
内向きで人前に出たがらない、少々鬱々気味な性格をしたこの版特有の王子像に頗る嵌っていた印象です。
登場時のお誕生会の主役ですかと突っ込みたくなる王冠にはまさか装着したまま踊り続けるのかと度肝を抜かれたが、
すぐさま不機嫌な顔で王位なんて嫌と言わんばかりに外してくれましてほっと一安心笑。
未知数であった殿岡さんとのパートナーリングも、しっかり者であっても何処かで夢を見ていそうなシンデレラと、
消極的な態度であったはずがシンデレラと出会って段々と行動力を付けていく王子の優美な慈しみ合いがとても新鮮に微笑ましく映りました。

義姉義妹はバレエ界のトップを長年走っていらっしゃる今井さん浅田さん、この2人が揃って姉妹役で共演とは誰も想像つかなかったことでしょう。
裏打ちされた技術、舞台経験が生かされ、シンデレラと並んでいるときは変に目立ちすぎず、
しかし見せるべきところではびしっと見せるメリハリが舞台に心地よい刺激を与えていました。
今井さんは美貌のお姉さん、浅田さんはお茶目な妹さん、メイク方法もすっきりな姉と派手めな妹、各々全く違っていて特徴を強調。
2人ともポワントで踊られ、しかもダンスレッスンがポワント初級なレッスンに重なる内容で笑、怪我せずずっこけながらこなすのも高度な技術不可欠です。
露骨な意地悪はせず、例えばシンデレラを呼び出したと思ったら美しい爪先を見て欲しかっただけであったりと
お茶目な部分を前面に出して険悪な空気は極力和らげていた演出と見て取れました。

継母の高岸さんはゴージャスなスターな存在感。しかし高岸さんもまた舞台経験の豊富さが窺える立ち回りで
シンデレラより過剰に目立とうとはせず立ち位置をよく把握なさりながらの振る舞いは好印象。
加えて3人に求められたのはただ笑いを取る、シンデレラに意地悪するのみならず、群舞と一緒に踊る力量。
舞踏会においてはバタバタ劇を描くだけでなく、群舞と一緒にダイナミックに踊りながら王子の登場を盛り上げるなど調和力も求められ、やることもりだくさん。
高岸さん今井さん浅田さんの動けるベテラン実力者が揃ったからこそ、魅力が物語を楽しく彩り、光っていたと捉えております。

そして両親(生まれ変わり?)が物語の大きな要として君臨。とりわけバッタ男爵(父親)はひょっとしたら王子よりも踊る見せ場多き役で、スタイリッシュな紳士として描写。
馬車の御者やシンデレラの宮殿エスコート、またいくつもの場面と場面の橋渡しにて軽快に舞っては楽しませたりと大活躍です。
鋭いジャンプも多用され、檜山さんの綺麗な足捌きに爪先、そしてシンデレラへ愛情深い包容力、興奮と安心感双方で会場を満たしてくださったように思えます。
大蝶々の永橋さんは装置転換時に中央から艶やかにご登場。ヒール靴でのお露目で、これといったバレエのテクニックはあまり含まれず
つい最近まで全幕バレエ公演に主演なさっていた永橋さんには踊り足りない印象にも感じたものの(同役ダブルキャストの大女優さんに合わせたのか真相は分からぬが)
この世の者とは思えぬ神々しいオーラと母性に感嘆。父親も母親もシンデレラの舞踏会の最中も、舞踏会から戻ったあともそっと見守り続けていて
すぐさま助けるだけでなく試練も与えながらもシンデレラの味方としてずっと見守り、観る側からしても救われる存在です。

高部監督のオリジナル台本として意表を突く要素もいくつもあり。まず、幕開けはシンデレラと義理の姉妹達が仲良くカード遊びに夢中になっていて、父親は健在。
つまり、義理の親子関係も連れ子同士も上手くいっていた家庭だったのです。シンデレラも可愛らしいワンピースを着用していて姉妹達とは対等な関係を構築。
しかし父親が船で出張中に亡くなり、知らせが入った途端に継母の意識がどこか歪んでしまい、家長になろう、威厳を持とうと頑張り過ぎてシンデレラに当たってしまい、
ついにはピンクのワンピースにシャベルで灰をかけると一瞬にしてボロ服に早変わり。
シンデレラがいかにしてボロ服を纏うようになったか、経緯までもがしっかりと描かれていたのは舌を巻いた次第です。

それから先述の通り王子が内向的であるのもリアリティがあって面白いと思えたと同時にシンデレラのほうが幾多の困難を乗り越えていて、
更にはあとにも触れますが両親からたっぷりの愛情注がれて自然豊かな場所で伸び伸び育った経緯も描かれている上に、
父親からは長旅の話を聞かせてもらいながら冒険心を育んでいたと想像。
宮殿へやってくると戸惑いよりも新しい世界への飛び込みにワクワクと胸を高鳴らせるのも納得。
そうはいってもずっとシンデレラが王子を助けてばかりではおとぎ話の根幹が揺らいでしまいますが、最後シンデレラがガラスの靴の持ち主と判明するも
出しゃばる継母がシンデレラに再び灰をかけようとすると、王子が立ちはだかってシンデレラを守り、あろうことか王子が灰かぶりに。
しかし王子は動じず、シンデレラとの再会を堂々と喜び合う展開は甘酸っぱい乙女心の欲求もきちんと描かれ、流れのバランス配分にも感心いたしました。

シンデレラの変身を手伝うのは飾られている絵の中から飛び出してきた虫たち。てんとう虫の齊藤さん、トンボの光永さん中心に雲、風、花、草の精たち、子役たちも加わるも、
どの役もあくまでしっかり踊る役として描かれているため子役わんさかな印象は薄く、シンデレラを導く支える頼もしいお友達な存在として活躍でした。
全体の人数は多めで、しかしよく練られた振付でシンデレラの周囲がみるみると変わっていく過程をよく表していたと感じております。

最初に映像が出てきたときは、映像に頼ってしまう展開かと不安が過るもそうではなく、短い時間で実は幼い頃に蝶々を通して王子との接点を持っていた過去をさらっと描き、
愛情深い両親と自然に囲まれて伸び伸び育ったシンデレラと、正反対であろう窮屈で孤独に育ったであろう王子、それぞれの子供時代を分かりやすく伝える映像でした。
映像といえば、ガラスの靴持ち主大捜査線にて、王子の世界捜査の様子は世界の名所を盛り込んだ映像も用いて巧みに描き
セットも最小限ながら回転式でお次の国へと乗り込む様子もごく自然。工夫が練られた演出でした。

一部動画においては私生活を露わにする内容や降板者の挨拶など過激な配信は抑えめにはなってきたものの
練習風景はほぼ全時間密着型と思われ、しかも視聴側は画面1枚で済むが、実際にはカメラや音声など
制作スタッフ複数名で撮影に臨んでいると思うと、撮られる側の心身に負担がかからないか心配も。
一方チケット入手大困難になるほどの人気バレエ団になったことを考えれば密着取材はなんてことはないのか、気にはなってきます。

感心したのは運営側のセンスで、千葉県民会館や東京文化会館では広いスペース生かしてイベント会場さながらの雰囲気でしたが
今回の新国立劇場では物販は極力ロビーではない、入場前の広い場所で開催。
そのためホワイエは落ち着いていてマエストロの軽食やデザート購入してゆったりお過ごしになる方も多数。
会場の規模に合わせての対応力に感心してしまいました。
カーテンコールでは再びワルツが演奏されると舞台上の出演者達が髙部監督筆頭にはばたき始め、
ブルーの蝶が天井から客席に何羽も舞い降り、幸福が飛び交う演出に観客大喜び。観客の心掴む大フィナーレでした。




満員!殿岡さんポスター



殿岡さん千野さん



殿岡さん



千野さん



赤野さん



ホワイエにて。



新国名物マエストロの軽食やケーキも変わらず販売。パリブレストです。



拡大。並べられたケーキやサンドイッチを見て美味しそう!お洒落!と谷バレエファンの方々から声が聞こえて買いに行くお姿も多々見かけ、嬉しい限りです。



タイムスケジュール。



手を掲げてポーズ!



ブルーのカクテルで乾杯。シンデレラと王子のブルーと白、銀色のグラデーション衣装、たいそう美しいデザインでした。



35年前のチラシ。



夜のポスター