
だいぶ前に遡りますが3月7日(土)夜、日本バレエ協会『ラ・エスメラルダ』を観て参りました。
http://www.j-b-a.or.jp/stages/2026tominfestival/
復元振付/演出:ユーリ・ブルラーカ
エスメラルダ 佐久間奈緒
フェビュス(フェブ)厚地康雄
グランゴワール 浅田良和
フロロ 保坂アントン慶
カジモト 奥田慎也
クロパン 荒井成也
フルール・ド・リス(リズ)宮崎彩奈
アロイーザ テーラー麻衣
メゲーラ 山田沙織
ダイアナ 渡久地真理子
アクテオン 中山諒
リズの友人 大山裕子 吉田まい
フェブの友人 昂師吏功 中山雄介
エスメラルダの友人 伊藤舞 染谷智香 森茉莉愛 矢部真衣
4年ぶりの再演で、なかなか上演機会がない作品のため初演に続き楽しみに参りました。
前回は米沢唯さんエスメラルダ、中家正博さんフェブ、木下嘉人さんグランゴワールの新国トリオで観ております。
まず佐久間さんのエスメラルダが全編通して圧倒的な存在感。
登場でのスパッと風を切るようなソロからして明るさの中に背負っている哀愁が漂い、ただ跳んで回ってではない奥行きを感じさせる踊りに感激。
白眉はフェブが婚約者がいると知った直後に踊らねばならぬ状況にて、
声にならぬ嘆きが腕の節々からも涙こぼれ落ちそうな悲哀や情念が滲み出ていて鳥肌ものでした。
しかも出番続きでパドドウも多々ある中でテクニックも緩急自在、メリハリに富む身体の使い方で人物の生き様を踊りながら語り尽くす姿に心持っていかれた次第です。
フェブとの出会いでは恋する少女そのもので、そりゃ窮地を救ってくれたのが端正な容姿の勇ましそうな男性ならば
(見た目だけではあったにせよ)瞬く間に恋に落ちるのも納得。
疑いをかけられて言い訳もせず全てを受け入れて処刑台へ向かう静かに歩みだす様子が削ぎ落された清らかさを纏い、
混沌とした場の色を変えていく凄みすらあった気がいたします。
佐久間さんの舞台を最後に舞台を拝見したのは一昨年の広島県福山市でのガラにてジゼルよりパ・ド・ドゥで、全幕はここ最近は踊られていないはずが
大作物語バレエを率いる力といい揺るぎないテクニックの鮮やかさといい天晴れでした。
今夏も福山市でのガラと同じペアを福岡市で鑑賞予定でおり、楽しみでございます。
厚地さんのフェブは長身美男隊長で、しかもピンチ状態にあるヒロイン救出任務が登場からしてあり、あらゆるバレエ作品の中で最たるヒロイックな登場でしょう。
しかし、同時にあらゆるバレエ作品の中で最たるクズ男認定であろうどうしようもない男性で、化けの皮はみるみると剥がれ落ちていったのがもう潔く思えたほどです。
2人の女性と関係を持ってしまった構図はバレエ主役男性定番の構図ながら、身分の制約や葛藤、過ちの後悔が演出や解釈によっては背景が書かれていることもある
ジゼルのアルブレヒトやラ・バヤデールのソロル、白鳥の湖のジークフリート王子とも違ってとにかく行動や口説きが軽い軽い笑。
婚約者のフルールとは今日も良い天気と言わんばかりに晴れ晴れと披露され、
エスメラルダが登場すると気まずそうな表情で俯く、身勝手にもほどがある行動に呆れ果てるばかりです。
フルールが早くから事態の不穏さに気づき始めたり、遂には母親がフェブを追放処分にしたのがせめてもの救いで、
フルールはその後婚約者選びはいたく慎重になり、きっと幸せになったであろうと想像いたします。
作品にあたたかな空気をもたらしてくださっていたのは浅田さんのグランゴワール。朴訥とした登場から
あれよあれよとエスメラルダとの結びつきが強まってしまうも、真面目に心を寄せながら過ごす姿にエスメラルダも束の間の平穏を感じていたことでしょう。
踊りが下手な設定なのか不器用でドタバタと足元がふらつく浅田さんが実に珍しく映り、一転して宴でのパ・ド・シスでは
愛するフェブの結婚詐欺発覚に悲嘆に暮れるエスメラルダを支えようと懸命に接したのち、
踊りが苦手なはずが颯爽とヴァリエーションを披露していて数時間でマスターか?とこれまた疑問だったわけですが
嘆願書を手にエスメラルダ処刑撤回を訴えかけたりと要所要所で優しい息を吹き込むご活躍でした。
奥田さんカジモトの、身体を歪ませていても理不尽な仕打ちを浴びせられる場であってもひたむきな心が伝わる訴えや、
保坂さんフロロの抑えきれぬ欲望に苦しむ姿に加えて立場を悪用しての罪逃れを試みる悪事も、厳格な身分制度の下で入り乱れる規範のさを感じずにいられず。
2幕の婚約の宴はコール・ドやフルールや友人のヴァリエーションも披露され、綺麗ながらも冗長な印象が否めずでしたが
劇中劇としてダイアナとアクティオンのグラン・パ・ド・ドゥが丸々繰り広げられたのは喜ばしいこと。
ガラでは鉄板演目ですがやはり全幕の中で観る意義を感じながら鑑賞です。
山田佳歩さんの代役として急遽ご登場の渡久地さんは、アクティオン中山さんとパートナーリングが滑らかにいかぬ箇所が僅かにあれど
渡久地さんの持ち味であろう硬質で凛とした踊りが活きたダイアナ鑑賞が叶い満足度大。以前にも眠りの宝石等で注目しておりました。
中山さんは豪快な技術もさることながら、アダージョ中盤にてダイアナから受け取った矢をビリヤードの玉の如く無駄のない流れで舞台袖のゴールへと転がすように投げ入れ、
以前に他の舞台で弓を大破させたアクティオンを目撃してしまった者としては笑、無事故且つホールインワンな転がしはそれだけでも高得点与えたい衝動に駆られます。
処分を受けたフェブが妙に可愛らしいベレー帽被ってラフな格好をして再びエスメラルダに軽々と会いに来たり、
そしてフェブはフロロに刺されるも最後の最後、エスメラルダの処刑執行直前に現れて彼女の無罪の証明してエスメラルダと結ばれてめでたしめでたしと、
無理やりハッピーエンドに繋がっていく流れを始め突っ込みはどころ多く、真摯に接して行動を起こしていたグランゴワールの立場や行く末を案ずる演出でしたがドラマ性溢れる物語を満喫。
同じ原作を題材にした他の演出のバレエ、例えばブルメイステル版はよりシリアスに悲しみを深く描画した悲劇となっていて
篠原聖一さん版はフロロの苦悩や、カジモドの公開鞭打ちを嘲笑う市民たちの内面の醜い一面といった人間の弱点を立場関係なく引き出した演出で
それらに比較するとだいぶあっさりな気もするブルラーカ版ながら、群衆の多さや宴の豪華さも含め大掛かりな大作バレエを味わえた気分でおります。
パネル

顔ハメパネル

作品にちなんで占いコーナーもあり。楽しいイベント!

結果!私は何のヴァリエーション踊るのでしょうか笑。重さで床に穴開けるコンクールなら1位獲得間違いなし。

展示も見応えあり。バレエ協会上演歴史年表

年表

年表

テレビ放送もされた、ハーヴェイとボッカのドンキ。

2021年はコンテ眠りいばらひめと古典眠り3幕のダブルビル。いばら姫、再演お待ちしております!
古典眠り3幕にて日替わりでリラを踊られたお1人が、のちに新国に入団された大木満里奈さんです。






ポスター色々。チケット代がそこまで値上がりしていない(今回も最安値席は2000円)は実は協会の努力の賜物なのかもしれません。

舞台写真色々

協会でのシルヴィア、観てみたくなります。森下洋子さんの若かりし頃のお写真にてしばしば目にしておりました。


シンデレラ
この日も文化会館上のフォレスティーヌにて。ホワイエ眺めながらワイン。
ジューシーなハンバーグをいただきました。休館前の文化会館での鑑賞、あと1回です。




























