2021年10月29日金曜日

【速報でもないが】新国立劇場バレエ団  ピーター・ライト版『白鳥の湖』開幕






※2021年11月11日更新
全7回鑑賞の総括感想はこちらでございます。忍耐力のある方はどうぞお立ち寄りください。
https://endehors2.blogspot.com/2021/11/31-1023113.html


※31日(日)、渡邊さんのジークフリート王子を観て参りました。葬列の幕開けなんぞ受け入れ難い云々ぼやいていた私が
ライト版を好きと言える日が到来するとは予想もせず。これまでの偏屈な思い込みを覆され、凝り固まった我が思考を打ち砕いてくださいました。
心の鬱々とした波動を緻密に示され、感情の空模様描写の名手です。初日から同じ布陣でいけばもしやと期待していた1幕中盤における
ワルツ男性から王子への弓贈呈担当と握手の交わしを渡邊拓朗さんが務め、舞台中央での兄弟接触も実現いたしました。





10月23日(土)に開幕した新国立劇場バレエ団  ピーター・ライト版『白鳥の湖』を2回観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/

早速初日のレポートが写真付きで掲載されています。
https://lp.p.pia.jp/shared/cnt-s/cnt-s-11-02_2_9089d7e8-ed58-4c58-8224-6622212aea37.html

おけぴレポート
https://okepi.net/kangeki/2080


牧バレヱのウエストモーランド版を除けば、陰鬱な1幕が好みでないからと約30年来英国系の『白鳥の湖』(大雑把な括りで失礼)は避けて通ってきた管理人。
新国立バレエの白鳥がライト版に変わる発表がなされた当初から好きになれそうにないとぼやき続けておりましたが
1年越しの延期を経ての上演をいざ初日に鑑賞。リアリティを求めているとは言えやはり1幕においてはトロワが娼婦であったり、
喪に服しているからと黒を基調とした美術や衣装に首を傾げておりました。しかし物語の背景を事細かに分解し辿っていけば
国王の死後すぐの段階であればお祭りわっしょいな平和な成人祝いの宴こそ違和感を覚えるのかもしれないとも捉え
2日目からは徐々に楽しみつつある心境でございます。3幕の壮麗な舞踏会衣装も毎度注目です。
細かいお芝居が非常に多く、特に王子に芝居心がないと場が持たないのは想像通り。
初日の福岡さん、2日目の奥村さんともに物語の主軸として舞台を引っ張っていらっしゃいました。
勿論、米沢さんと小野さんのオデット/オディールの魅力もどっぷり堪能です。

終幕、セルゲイエフ版の羽捥ぎ取りの結末が好きな者としては嬉しい、王子によるロットバルトの兜奪取も迫力もの。
ライト版に意外にもこうも潔い場面があるとは、ワールドバレエデーでの4幕舞台稽古配信にて驚いた次第です。
4幕冒頭、過ちを深い悲しみを切々と訴えていた福岡さんは威勢良く奪い猛然とした様子を見せ、悲劇にも幸せにも両方に取れる結末へまっしぐら。

※31日、3日はどうでしょう?

奥村さんは全身から懺悔の感情を吐き出し、渾身の力を振り絞っての奪取。叫び声が聞こえるかのようにオデットのもとへと突っ走る劇的展開を見せていました。

※31日、3日はどうでしょう??あああああ、楽しみで仕方ありません。


『ライモンダ』に続き、北海道テレビの番組の真似事にて失礼。大泉洋さん、2年連続紅白歌合戦の司会おめでとうございます。
今年の大晦日は初台でくるみ割り人形鑑賞後帰宅したら紅白開始の頃となるでしょう。
それはそうと、あと5回満喫して参る予定でおります。




記者会見の様子。新国立劇場バレエ団動画サイトより 渡邊さんのお話の中の「踊り方改革」宣言に、偶々一緒に見ていた家族は、生真面目そうな容貌と語り口から時節柄出馬を想像したもよう。
そうだ、決戦は31日で共通。(但し第一弾)王子は誓いを破るが渡邊さんならば公約は厳守確実だ、1幕は襷付き衣装ですからお名前は全てひらがな明記であろうと
おかしな妄想が巡っているうちに家族の1人、気づけば画面に話しかけており、
米沢さんと踊れることが光栄であると嬉しそうに話す速水さんに対し「それは良かったねえ」と目を細めておりました。
改革宣言のお方の話も聞いてくれい笑。



記者会見の様子。バレエチャンネル 動画サイトより
※尚、30日(土)の発表によれば、速水さんは怪我のため上田公演含め全て降板とのこと。1番悔しいと思っていらっしゃるのは速水さんご自身でしょうし
上田には間に合って欲しいと願っておりましたが、無理は禁物。くるみでの復活を心待ちにしております。




昨年新国立劇場バレエ団札幌公演眠れる森の美女鑑賞前に立ち寄った、北海道テレビ1階の番組関連展示スペース。

2021年10月28日木曜日

牧阿佐美さんご逝去





既に各メディアでも報じられていますが、日本のバレエ黎明期を支えられ、牧阿佐美バレヱ団、新国立劇場バレエ団を率いて
新国立劇場バレエ研修所所長としても活躍され、日本バレエ界に大変な貢献をされた牧阿佐美さんが10月20日に逝去されました。
https://natalie.mu/stage/news/450435

https://mainichi.jp/articles/20211021/k00/00m/040/275000c

https://www.sankei.com/article/20211022-F3C2TZBMXFNRFCO7OWBBWNPNWE/

https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_021439.html

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211022/k10013317221000.html
新国立劇場バレエ団アラジン初演リハーサル映像も。

https://www.asahi.com/sp/articles/photo/AS20211026000350.html
文化勲章受章の発表



余りに偉大なお方で牧さんの功績を私がここに述べるのも畏れ多く、また牧バレヱの公演には
たくさん足を運んでいるとは言い難いのですが、拙劣な文ながら牧バレヱ初鑑賞から振り返り綴って参りたいと思います。

私が牧バレヱの舞台に初めて出向いたのはバレエ鑑賞に関心を持ってから既に7年が過ぎた遅い時期で1996年、創立40周年記念『ドン・キホーテ』でした。
主演は草刈民代さんとゲストの張衛強さん。セキジリアには上野水香さん、他日の子役キューピッドには日高有梨さんのお名前もあり。
舞台そのものは賑やか且つオーソドックスな路線のドン・キホーテ、といった印象を抱きましたが
舞台よりも気に留めたのはプログラムに掲載されていた過去の上演記録。日本を題材にした作品を橘秋子さんと共に数多く発表され、
1992年初演の『北斗」はバレエ雑誌でも目を通した記憶がありましたが『戦国時代』や『角兵衛獅子』等はこのときが初耳作品。
特に題名がいたく簡潔な『戦国時代』の内容について調べたくなったものです。芥川也寸志の音楽を使用した『トウリプティーク』もこのとき初めて知り
お恥ずかしい話、芥川也寸志さんのお名前も知らずにおりましたが
和の趣が重々しくも歯切れ良く響く曲に惹かれ、のちに牧バレヱや新国立研修所の舞台を通して好きな作品に入るとは思いもいたしませんでした。
日本を題材、或いはオリジナル創作作品の上演は1950年代頃から日本の各地で行われてきたことと思いますが
牧さんの場合はバレエ団の牽引やバレエ教育の整備も担いつつも振付を発表されたりと身体がいくつあっても足りぬ業務をこなしてこられたと察します。

1996年はちょうど映画「Shall We ダンス?」公開された年で、のちの書籍『バレリーナを生きる 草刈民代のすべて』であったか
映画出演は迷ったが阿佐美先生が背中を押してくださったと(細かな語弊は異なるかもしれません)草刈さんは明かしていらっしゃり
今思えば草刈さんの人生の転換期にもなった作品を牧さんは逃さなかったのか、慧眼に平伏す思いでおります。私が1番好きな邦画の1本でございます。

牧さんの慧眼といえば、バレエ団の底上げに適したレパートリー選択のセンスは抜群であったと思われ
牧バレエが1990年代初頭には男性達が主役として大活躍する『三銃士』を取り入れ、私が初めて作品を目にしたのはこれまた遅く2017年のこと。
わくわく胸躍る冒険物で音楽も明快、キャスト問わず上演の際には観たい作品の1本です。
また日本のバレエ団としては初めてプティ作品に挑戦し、1996年に『アルルの女』を上演。その後2001年に世界初演した『デューク・エリントン・バレエ』にも当時足を運び
思えばこのときが初の新国立劇場での鑑賞となりましたが、フィナーレにはプティさんも登場しA列車で行こうを団員達と楽しげに踊るお姿が今も記憶に刻まれております。

新国立劇場バレエ団芸術監督任期中にも幅広くレパートリーを拡充され、中でも私個人として嬉しかったのがビントレー作品第一弾の『カルミナ・ブラーナ』、
そしてエイフマンの『アンナ・カレーニナ』。前者は合唱団も入り、冒頭には巨大な十字架が何本も降下して始まる大掛かりな作品で
英国独特の風刺やユーモアも含まれていながらこれをやりたいと欲を示されたセンスに再度驚きを覚えます。
後者は大胆で狂おしい展開を見せて行くコンテンポラリー寄りな作品で、2010年に初めて観たときの衝撃は今も忘れられず。
群舞特に男性陣が大忙しで、めまぐるしい踊りの連鎖に口があんぐりとしてしまったものですが
あたかもこの為に書き下ろされたとしか思えぬチャイコフスキーの音楽を集めた構成や人間関係の歪みを群舞が畳み掛けて表現していく振付にも心酔するばかりでした。
古典の改訂では6月に全幕上演としては12年ぶりに実現した、繊細な色彩美に惚れ惚れする『ライモンダ』が私は特に好きで
新国立バレエ初鑑賞が牧さん版のこの作品で良かったと今も心から感じております。
牧さん振付の作品の全てが好みに合うわけでは決してありませんが(なかなか不思議な始まりのくるみ割り人形や
2008年のニューイヤーで上演したきりと思われるアンド・ワルツは難解であったか)
全幕オリジナルながら国内では2007年の初演以降2010年の夏の再演、同年1月に兵庫県三田市で開催のクラシックバレエハイライト公演におけるパ・ド・ドゥ抜粋披露にとどまっている
『椿姫』は衣装や装置を1から製作していますが倉庫で眠ったままのはず。絶賛な作品とは言い難かったかもしれませんが、今後行く末が気になるところです。

大変偉大な牧さんに対して、素人がつらつらと失礼いたしました。新国立監督任期中には牧バレヱ関係者が
主要キャストの多くを占めたときもあった現象に私も不満を募らせたこともございましたが
しかしお若い頃から人生を懸けてバレエ教育向上、バレエの普及に貢献されてきた功績は計り知れず。とても全ては把握できておりませんが、感謝の思いしか込み上げてきません。
本当にありがとうございました。現在『白鳥の湖』上演中の新国立劇場のロビーには
緑色のスーツをお召しになったお写真とお花が飾られ、多くの方が立ち止まり手を合わせていらっしゃいます。




牧阿佐美バレヱ団初鑑賞時の『ドン・キホーテ』チラシとプログラム。プロ野球にてオリックスが前回リーグ優勝した四半世紀前です。
ところで牧バレヱのレパートリーで、恐らくは1990年頃に上演して以来ご無沙汰状態気になる作品が1本あり。何処かの機会で綴るかもしれません。

2021年10月24日日曜日

早逝した偉人達が駆け巡る作 モーリス・ベジャール・バレエ団『バレエ・フォー・ライフ』10月17日(日)







10月17日(日)、モーリス・ベジャール・バレエ団『バレエ・フォー・ライフ』を観て参りました。
バレエ団の来日公演は2017年にも観ておりますが、この作品は15年ぶりの鑑賞です。
https://www.nbs.or.jp/stages/2021/bejart/index.html

※キャスト等はNBSホームページより抜粋

振付:モーリス・ベジャール
音楽: クイーン、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
衣裳:ジャンニ・ヴェルサーチ

イッツ・ア・ビューティフル・デイ
タイム/レット・ミー・リヴ
カンパニー全員

フレディ
ファブリス・ガララーグ

ブライトン・ロック
ソレーヌ・ビュレル、アランナ・アーキバルド、アントワーヌ・ル・モアル、大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ、キアラ・ポスカ、大貫真幹

ヘヴン・フォー・エヴリワン
マッティア・ガリオット、ガブリエル・アレナス・ルイズ
 天使:パオロ・ランドン

ボーン・トゥ・ラヴ・ユー
ヴァレリア・フランク
 花嫁:フロリアーヌ・ビジョン
 天使:アントワーヌ・ル・モアル

モーツァルト 「コジ・ファン・トゥッテ」
大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ、キアラ・ポスカ、大貫真幹
カインド・オブ・マジック
ドリアン・ブラウン、ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、マッティア・ガリオット、クララ・ボワテ、
フェデリコ・マテティッチュ、シプリアン・ブヴィエ、ファブリス・ガララーグ(フレディ)、ハビエル・カサド・スアレス、岸本秀雄、アントワーヌ・ル・モアル、
クウィンテン・ギリアムズ、ヴィト・パンシーニ、リロイ・モクハトレ、アンドレア・ルツィ

モーツァルト 「エジプト王タモス」への前奏曲
ガブリエル・アレナス・ルイズ

ゲット・ダウン・メイク・ラヴ
大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ

モーツァルト  ピアノ協奏曲21番
アランナ・アーキバルド、ハビエル・カサド・スアレス、マッティア・ガリオット、カルメ・アンドレス

シーサイド・ランデヴー
マノエラ・ゴンサルヴェス
アンジェロ・ペルフィド、フェデリコ・マテティッチュ、オアナ・コジョカル、ビアンカ・ストイチェチウ、イ・ミンギョン

テイク・マイ・ブレス・アウェイ
大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ、岸本秀雄、アレッサンドロ・カヴァッロ、カルメ・アンドレス、マノエラ・ゴンサルヴェス
モーツァルト 「フリーメーソンのための葬送音楽」
ガブリエル・アレナス・ルイズ

Radio Ga Ga
リロイ・モクハトレ

ウインターズ・テイル
大貫真幹
マッティア・ガリオット、カルメ・アンドレス

ミリオネア・ワルツ
クウィンテン・ギリアムズ、シプリアン・ブヴィエ、ドリアン・ブラウン、アレッサンドロ・カヴァッロ、アリステール・マダン

ラヴ・オブ・マイ・ライフ
大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ、キアラ・ポスカ、大貫真幹
ブライトン・ロック
シプリアン・ブヴィエ、岸本秀雄、ユーレ・ドイチュマン、アリサ・ヴェリエ

ボヘミアン・ラプソディ
カンパニー全員

ブレイク・フリー (ビデオ)
ジョルジュ・ドン(ビデオ)とカンパニー

ショー・マスト・ゴー・オン
カンパニー全員


※15年前に観ているとはいえ、楽しめたものの想像以上に私には難しいテーマ作品でございましたので
(我が理解力や感性の乏しさが原因です)幼稚で大雑把な感想ですが悪しからず。


開演前から冒頭演出に用いられる客席内にスモークが立ち込めた状態で火災ではない旨を
伝えたいためか、東京都の条例に従って安全に開催しているアナウンスが入ったほど。
幕が開くと期待に違わず、もくもくと焚かれる中に白い布を布団のように掛けて仰向けに寝そべる
ダンサー達が並ぶ光景が広がり、イッツ・ア・ビューティフル・デイで始まりです。
床への光の当て方や色味の帯び方もよく計算された演出で、道筋が出来上がったかと思えば丸みを帯びた形状が散りばめられていたりと凝らした工夫が続々。
厚底靴の踵の輝くデザインや上着の透け具合だったか、細かな模様もお洒落なヴェルサーチの衣裳も見所が尽きずでした。

バレエ団に詳しいわけではありませんが、15年前に比較すると求心力のあるダンサーが減ってしまった気も否めず。
当時も予備知識無しで鑑賞に臨んだものの、エリザベット・ロスとジュリアン・ファヴローも出演し
キューバ出身カトリーヌ・ズアナバールのしなやかな迫力に度肝を抜かれたりと強烈体験があっただけに、
また今回のもう一方のAキャストはロスやファヴローといった古株が今も中心を担い支える構成であったようで、バレエ団は過渡期真っ只中なのかもしれません。

ところでこの作品、単にクイーンの曲を集めた爽快な娯楽物では全くなく早逝したフレディ・マーキュリーやジョルジュ・ドン、モーツァルトら偉人達を悼み
そして讃える作風と思われ、予想以上に重たいものがのしかかっている印象を抱いた次第。
中でも映像のジョルジュ・ドンが大きく映し出された表情に見えた孤独感を秘めた寂しそうな眼差しは直視できず。
ちょうど行きの電車内で森下洋子さんの文庫本著書『バレリーナの情熱』を読んでいたところ
ベジャールに振り付けられた『ライト』とドンとの共演についての章があり
ドンの繊細な人柄の逸話が綴られ、私生活で大きな悩み事があると切り替えができず仕事にも身が入らず、
ドンは舞台をすっぽかしてしまい森下さんは急遽若手の代役ダンサーと踊りどうにか舞台を終えた時もあったとのこと。
お詫びの電報が届いたそうですが、その話を思い出しながら映像を眺めておりました。

今年夏には新国立劇場バレエ団の福田圭吾さんが振付演出を手掛けられたロックバレエも鑑賞し、奇しくもクイーンの数々の楽曲を用いた作品を同年に2本鑑賞。
福田さん版は楽しくお洒落に、最後は胸躍り心浮き立つ幕切れで、勿論出演者人数や舞台機構、コンセプトに至るまで条件や事情は異なりますから当然とはいえ
同じグループの曲構成であっても楽曲選びも含め、実に大きな違いが出る面白さも体感できた思いでおります。



帰り、マハラシュトラ地方の料理を出すインド料理店にて、まずは太陽のお顔が面白いインド産赤ワインで乾杯。
この日は1日寒空でしたが、イッツ・ア・ビューティフル・デイで始まる公演、満喫です。
※ボトルは記念撮影用にお店の方が持ってきてくださり、1本飲み干したわけではございません。飲んだのはグラス1杯分でございます。



ムンバイ名物パンバジターリをいただきました。中央はムンバイパン、ふっくらとして美味しうございました。
手前の楕円形のお皿は野菜エキス凝縮なカレーで、食べたあとは身体がすっきりとした気分に。
予約制月替りターリもあれば、もう少しボリューム抑え目のメニュー、おつまみと飲み物(お酒、ソフトドリンクも可)のスパイス飲みセットもあるようです。

2021年10月22日金曜日

じっくりと仲を深めていく2人  バレエシャンブルウエスト『シンデレラ』  10月10日(日)





10月10日(日)、八王子市にてバレエシャンブルウエスト『シンデレラ』を観て参りました。2日連続、異なる団体にて同じ作品を鑑賞でございます。
シャンブルの公演は清里フィールド・バレエの配信視聴を除けば恐らくは2006年の『タチヤーナ』以来15年ぶり2回目の鑑賞です。
http://www.chambreouest.com/

※概要はこちら


シンデレラ:川口まり
王子:藤島光太
王子の友人:江本拓   染谷野委
道化:井上良太
継母:深沢祥子
父親:正木亮
姉娘オデット:松村里沙
妹娘アロワナ:斉藤菜々美
老婆(妖精の女王):伊藤可奈
春の精:荒川紗玖良
夏の精:柴田実樹
秋の精:石原朱莉
冬の精:河村美希


川口さんのシンデレラは純朴で内気そうな少女で、かなりおっかない(シャンブルは義姉、継母共に女性が担当)継母や姉妹達からの
仕打ちにも日々耐えながら粛々と過ごす日々を想像。ふと顔を上げて母親の肖像画を眺めたり、父親に抱きつく姿がとても健気で懸命な性格が窺えました。
当初はヒロインにしてはやや地味かとも思っておりましたがとんだ間違いで、舞踏会に現れると1幕で見せていた慎ましい品にきらっと光が当たって
反射させるかのように優美な空気を纏って登場。ゴージャス過ぎないすっきりとしたチュチュやティアラが川口さんの愛らしい持ち味をより引き出していた印象です。
ピュアで軽やかな踊りもとても可愛らしく、ついつい頬がニンマリ。
藤島さんは今年6月の井脇幸江さん舞踊生活35周年記念公演にて拝見し、大変なテクニシャンで、また『トスカ』冒頭での警備員役の制服姿が自然で
まさに美術館なり会場近くの伊勢丹あたりの正面玄関が担当位置であっても何らおかしくない、なかなか屈強そうなお姿で王子のイメージが浮かびづらかったのですが
堂々としていて王族らしい威厳もあり、国の将来を任せて安心な王子。(もうじき選挙ですが笑)ソロでは空気を切るような迫力も見せ
シンデレラに対して、優しく接しつつも頼もしいリードもあり。また王子による靴の持ち主世界大捜索が描かれる昨今は減りつつある演出において
世界各地旅していても体力が持つ力強さもありそうで、スペインやらアラビア周辺まで捜索範囲を拡大しての長旅でも無事帰還する説得力十分でした。

継母と姉妹達は恐ろしい女性陣で、容赦ない仕打ちに耐え忍ぶ内気なシンデレラが実に哀れ。
ただ前日のKバレエと同様、縦横無尽に踊りながら騒動を起こしていくため余程の技術達者でないと務められぬ役でもあり
素早い切り返しも見事で、ドレスや宝石試着での浮き浮き感も全身で表し次第に憎めず楽しんでしまう役柄です。
継母がシンデレラの実の母親の肖像画を暖炉へ投げ捨てる場面は心がずしっと痛みましたがその後安堵の展開も待ち受けていて、胸を撫で下ろしました。

妖精の女王と四季の精達のレベルの高さにも驚愕。妖精の女王は登場の仕方にも驚かされ、老婆の姿のまま暖炉から出てきて(確か)
継母に投げ込まれた母親の肖像画を元どおりに復活させて手渡しシンデレラが何事かと戸惑う最中、薄紫の膝丈チュチュ姿に変身して登場です。
そして四季の精達全員の華やぐ美しさには仰天し、春はピンク、夏は薄緑、秋はオレンジ、冬は白の
東洋人には着こなしが難しそうなパステルカラーに煌めく装飾でふんだんに彩られた、背中には羽付きデザインながら全員容姿と調和。
更には不安定な隙が一切見当たらぬ職人集団で四季の特色を体現し、中でも夏の柴田実樹さんは目も眩むオーラを放っていて異次元な美しさが目に刻まれております。
四季それぞれのソロでも星の精達のコール・ドが付き、水色の衣装で統一されていながら
1人1人が身体を巧みに使い、春の軽やかさからしんしんと降り積もる雪景色に包まれている気分となった冬の静けさまで
フォーメーションの組み替えたりと春夏秋冬それぞれの特徴を見せていた点も見事でした。
中盤にはコオロギも登場。勢い良く跳ねる曲調で、挿入されない版もありますが弾けるアクセントな音楽で、披露されると嬉しくなります。

珍しい演出ながら展開が自然と思わせたのは、シンデレラと王子の仲の深め方。出会ってすぐ悠々とワルツを踊り出すのではなく
惹かれ合うもののお互い緊張してちょこっとぎこちない関係から始まり 、そこで活躍するのが道化。
2人の仲介役をこなしてはあれやこれや助け舟をさりげなく出したりと結婚相談所職員並みの働きぶりで
まずは仲睦まじく隣同士並んで腰掛けるよう促し、暫し見守っていくのでした。奥ゆかしさのある川口さんシンデレラと奥手そうな藤島さん王子の持ち味からすると
じっくり時間をかけて愛を育んでいく関係の流れがいたく自然。そして道化の井上さんが技術も芝居も達者で、
個性的な継母軍団の受け入れ対応もにこやかにささっと行い、実は宮殿の総務或いは広報課職員かと見紛う捌き方。
白塗り奇抜メイクはせずナチュラルな風貌で、また上背もあり手脚が長く、技巧を見せつけることはせず
跳びはねても丁寧な身のこなしで王子も十分できそうな、端正でエレガントな魅力が光る道化でした。
また、シンデレラと王子が腰掛けてからは舞台中央の展開はいかに、と思うところ。そこで躍動するのが四季の精達と星の精達で
1幕のとき以上に舞台を目一杯使って大掛かりなフォーメーション変化を見せ、春夏秋冬それぞれの精達が入れ替わり立ち替わり登場しては踊り
見せ場を作っていきました。尚カバリエは不在の為その分四季の精達がダイナミックに踊り続けるわけで
体力を消耗するどころか益々パワーを増していき、スタミナの維持力にも平伏すばかり。
継母や姉妹達も妖精達の出現と浮遊に現実を把握しきれぬ状態と化し、魔法が充満していくのでした。

昨今の『シンデレラ』演出では短縮化事業仕分けの第1候補に挙がりやすいと捉えているガラスの靴の持ち主探し世界捜索スペイン、アラビア編もカットせず丸々挿入。
捜索道中のハイライトがなぜこの2地域であるのか、真相未だに分からずですが(プロコフィエフの時代は
そこまで東洋文化への憧憬が強まっていた時代ではないと思うため、初演時の振付家の根強い希望か)
友人も引き連れて一生懸命に探し回る旅路を眺めるのも旅情に浸れてなかなか良いものです。

父親にも焦点を当てているのも特徴で、1幕では気弱で妻や義理の娘達に対抗できず、いつもシンデレラの優しさに助けられている状態でしたが
ガラスの靴の持ち主探しで家にやってきた王子達には紛れもなく末っ子の娘であると伝えアピールし、反抗し騒ぎ立てる妻達を毅然と一蹴。父親も変化を遂げたのでした。
その後シンデレラが持ち主であると判明すると、シンデレラ、王子、父親の短いパ・ド・トロワな場面も用意され
僅かな尺ではあっても若い2人の結婚の決意と、受け止める父親の愛情がじんわりと交わる清々しさがありました。

結婚式は再びお城へと場所を移し、家族も舞踏会での招待客も大集合。中央の階段には形状を生かして上から妖精の女王、星の精達も並んでクリスマスツリーのように描画し
柔らかな照明、色彩の装置効果も抜群。ここで継母や姉妹達がシンデレラに詫びて許しを求め、シンデレラがにっこりと励ますやりとりにも安堵です。
そんな家族の和解を見守り後方から声をかけているのはもはや宮殿の総務部長なる仕事ぶりの道化でした。
父親が再度シンデレラと抱擁し別れを惜しむ姿には思わず同情してしまい、最愛の娘が王家に嫁ぐのですから喜びと不安は隣り合わせでしょう。
ましてや逆パターンはより心配も募らせるであろうと昨今の皇室報道を見聞きして思うわけですが、それはそうと
実の娘に愛情を注ぎたいが最初は気弱で妻達に何も言えず、されど遂には毅然とした態度で振る舞うまでとなり
最後は王子にしっかりと娘を託した父親の変化の過程を正木さんは丁寧に、細やかに表現なさっていました。
尚、舞踏会そして靴探しの旅も共にする王子の友人には江本さん、マズルカやアラビアには吉本さん、と
新国立劇場を初期から支えてこられた方々のお顔も見え、変わらずのご活躍が嬉しい限り。
全体を通して柔らかな色調で整えられ、人間関係の変化を丁寧に描写し荘厳な中にも人々の穏やかな息遣いで
満たされて祝福される結婚式で締め括る上品に仕上げられたシャンブル版『シンデレラ』でした。

JCOMホール(旧オリンパスホール)は初訪問でしたが、2階端の席でも見切れが殆どないゆったりとした構造で座り心地も良く
木目調の内装も綺麗で大変観易いホールでした。2階は正面席でも上手側と下手側のブロックは斜めの席配置で、舞台が近くに見える造りとなっています。
JR八王子駅からはアーケード通路を歩いてすぐの場所で、下の階にはスーパーや他に市民窓口の案内もあり
一見バレエを上演する劇場併設が疑わしかったものの笑、エスカレーター或いはエレベーターで上っていくとありますのでご心配なく。




帰り、会場最寄りのJR八王子駅から徒歩で京王八王子駅に向かう通り道のカフェにてかぼちゃのモンブランとスパークリングワインで乾杯。
朝から営業し、食事メニューも多数あるようです。カラメルが効いているのかほんのり苦味もあり、スパークリングワインともよく合います。
時節柄かぼちゃのお菓子もあちこちで見掛けますが管理人、仮装大会には興味沸かず(欽ちゃんの仮装大賞ならば時々テレビ視聴していたが)
かぼちゃといえばシンデレラ、冬至、ほうとうでございます。大きなかぼちゃをささっと運搬するシンデレラ、やはり怪力少女だ。
それは置いて、お店でケーキとお酒の組み合わせも復活です。
さて2月から10月にかけ、今年だけでも5団体鑑賞(NBAバレエ団、久富淑子バレエ研究所、小林紀子バレエシアター、Kバレエカンパニー、シャンブルウエスト)に至り
思いがけずシンデレラ年となった2021年でございますが管理人の人生唯一の全幕バレエ経験も『シンデレラ』で、その年から今年でちょうど◯◯年。
40年か、50年か、もっと昔か現代寄りかは想像にお任せいたしますがせっかくのシンデレラ年となりました為
年末までの何処かの機会に鑑賞感想ではない「不要不急記事」として綴りたいと思っております。

2021年10月19日火曜日

城のシルエットの出現と力強い入城 Kバレエカンパニー『シンデレラ』10月9日(土)昼





10月9日(土)、Kバレエカンパニー『シンデレラ』昼公演を観て参りました。2013年の荒井祐子さん遅沢佑介さん主演舞台以来8年ぶりの鑑賞です。
https://www.k-ballet.co.jp/contents/2021cinderella

シンデレラ:小林美奈
王子:堀内將平
仙女:日髙世菜
シンデレラの義姉:戸田梨紗子  辻梨花
継母:ルーク・ヘイドン



小林さんは以前『ドン・キホーテ』キトリやドラマ『カンパニー』等にて勝気な女性役の印象が強く、シンデレラは果たしてと思っておりましたが
後にも述べますがかなりきつめのいじめにもひたすら耐えるもやがて立ち上がって幸せを掴み取るヒロインに嵌り、
無理に可愛らしい少女にせず、少し大人びた造形もまた自然に映った気もいたします。
城に到着し、馬車から降りて背中を向けて一歩一歩門へと近付いていく様子からはただ仙女に導かれて
ふわふわとなすがままにではなく自らの意思で踏み出していく力強さすら感じさせる1幕の幕切れでした。
内側から放つ輝きと溶け合って銀色のスパンコールが散りばめられたポワントも違和感なく、
摩訶不思議に煌めくお姫様そのもの。王子の堀内さんの穏やかなサポートに身を委ねて幸せ一杯な姿がまた、心を和ませてくださいました。
思えば小林さんは当初はシンデレラ役での登板は予定されておらず、矢内千夏さんの代役。Kバレエ情報に詳しくはない私でも矢内さんの突如の退団は驚愕の一報で
東京公演ファーストキャストでの全幕主演が復帰舞台として用意されていただけに退団の真相は分からぬままですが
矢内さん目当てでチケットを購入した方も多かったであろうこの日も堂々たる華麗な舞台を届けてくださいました。

堀内さんの主演舞台は初見で、昨年『海賊』にてプリンシパル任命のニュースや今年のダンスマガジンでの日本の美しい男特集でも目にしており
好きな食べ物の質問で、今春に熊川さんのご出身研究所での記念公演シンデレラに王子役でゲスト出演も果たされたダンサーを始め
ラーメンや唐揚げと回答なさる人もいる中(素朴なご回答で好感を持ったのだが笑)
堀内さんは随分とお洒落なサンドイッチメニューを挙げていらした点も忘れられずにおりますが
表情も踊り方も全身から温厚な香りが広がる王子。今は何かと話題ですが皇族のような柔和な表情、ゆったりとした落ち着きや風格が備わっていた印象です。
踊りは柔らかさと勇壮さ双方があって常時余裕を感じさせ、靴の持ち主探しではなかなか見つからぬ
もどかさをはっきり示し、シンデレラの義姉達に囲まれたときの彼女達への優しい目線を向けつつも困惑する表情も笑いを誘いました。

仙女の日髙さんは長くしなる手脚が雄弁で、杖を一振りするだけでも動きに余韻が残り、空気の色を瞬時に変えてしまいそうな魔法をかけていらっしゃいました。
初鑑賞時に驚いた白いショートカット鬘も華やぐ表情にぴたりと合い、 また背が高く長い手脚でも速いテンポでのソロも音楽に乗って
そのまま客席まで浮遊すらしてきそうなほど。熊川版『シンデレラ』初挑戦で主役との兼任も頷けました。

義姉のいじめがなかなかきつく、(スタダンの鈴木稔版やビントレー版もなのだが、女性が務めると
時折観ていて辛いものが生じてしまうもよう。男性がやると何処かまろやかソフトになる傾向)
シンデレラを床に転倒させたり、布を用いて身体を巻いて追いやっては嘲笑したりと辛辣で激しい行為が多し。
ただ展開には気を配っていて、義姉達の踊りではスピーディーに跳躍や脚技を駆使するてんこ盛りな場面も用意された振付を戸田さん、辻さん共に難なくこなし
意地悪しているばかりではない、義姉達の戯れも踊りの見せ場として披露。また舞踏会ではマカロンのスタンドを手から離さずモリモリと食欲旺盛な面も見せ
マナー違反とは分かっていても食べたくなる気持ちは痛いほど理解できると気持ちを寄せてしまった次第。(西洋甘味とシャンパンやスパークリングワインは相性抜群笑)
ヘイドンさんによる継母の、目にしただけでも背筋を伸ばしたくなる威厳あるお姿、必要最小限のマイム1つで物語が動かしていく様子も何度も見入りました。

熊川さん版の大きな特徴の1つがシンデレラを導く妖精達が四季ではなく身の回りにある物が変身する演出。
四季の移ろいやそれぞれの季節の特徴が音楽に描かれていますし当初は戸惑いましたが、いきなり四季の贈り物と言われるよりは
日頃大事にしている品々や身近な物が変身して助けてくれる存在になったと考えると親しみやすくそして愛着も一層沸くであろうと考察です。
バラの塚田さんは花を模した大胆な柄の衣装や濃いピンクの鬘も可愛らしく、活発に踊る姿がとても軽快。
トンボ岩井さんの、大きな羽を彩った緑色チュチュで空をのんびりと飛んでいるような大らかさや、キャンドル高橋さんの熱く火照らせる点火を彷彿させる鋭い持ち味も目に残ります。
他日主演もされた成田さんのティーカップは、しっとりとした情緒に溢れ、青い陶磁器な模様のチュチュや青いおかっぱ鬘もユニーク。
4人の妖精達はこの場では実にモダンな衣装、髪型に感じる姿でこのまま舞踏会にも登場していたか記憶を辿るうちに、1幕終盤には正装版であろうよりクラシカルな装いで登場。
頭はティアラ、チュチュはきらりとした模様で統一感があり、お城の舞踏会に適している上に、早いお色直し演出にもびっくりです。

またシンデレラと仙女の交流も丁寧に描かれ、不気味な老婆として現れるも優しいシンデレラは頬に触れてきた老婆の手を臆することなく握り
感触は温かであると気づく瞬間を描写。後に老婆が仙女として現れて同じく仙女が再び頬に触れ
あのときのお婆さんの温もりと同じであるとシンデレラの脳内で一致したのであろう様子も示して
ごく短い関わりがいかにして繋がってきたかを事細かに表現されていると思える演出です。
そしてシンデレラはただ導かれるだけでなく、仙女が次に変身させる物探しで困りシンデレラに相談するとすかさずティーカップを差し出したりと
共同作業に参加して妖精達に巡り合う能動的なシンデレラ、崇高なだけではなく助けが必要なときは遠慮なく求める仙女の一面も引き出した面白さも感じさせるひと幕でした。

8年前にも感激した、到着時に舞台後方に出現するお城のシルエットは圧巻。馬車から降り、決意までもが背中から滲む
しっかりとした足取りで歩き出すシンデレラを背中を押すような壮大な音楽とも調和した、荘厳な力が降臨してくる入城です。
時間軸は戻りまして、馬車の走行は頭からすっぽり鹿の顔を被った4頭の雄鹿で、2幕の王子の友人がそのまま兼任。妙にすらりとしているわけですが
徐行運転ののち、少しずつ速度を上げつつ舞台をジグザグもあったか何度か旋回するも安全運転には変わりなく
2008年12月末における初台でのかぼちゃの馬車横転事故の目撃者としては一安心。(この場面はどの版でも心配しながら観てしまいます)
12時の鐘の仕掛けからも目が離せず、帰らねばならぬ不安に駆られるシンデレラが時計に手を伸ばして跳躍するうち
何時の間にかボロ服に変わり靴を落としていく流れで、何時何処で変わったか把握できぬスリル感がありました。

大玉送り思い出す、巨大なオレンジを掲げるオレンジマンとオレンジガールの活躍や、黒や白でシックに決めた星達のめくるめくコール・ドと
4人の妖精たちと王子の友人の4ペアが合わさり舞台を埋め尽くして光り輝いていく舞踏会の見所も尽きず
流線を生かした不思議且つ壮麗な美術も迷宮のようなデザインで眺めているだけでも吸い込まれそうに。
王子がガラスの靴持ち主探しの一報聞いて偽物の靴を作って騙そうとしたのか(違っていたら失礼)
継母が処罰されそうになったところに助け出そうと飛び込んできたシンデレラがぽろっと靴を落として全てが明らかになって
継母を許して欲しいと懇願するシンデレラの優しさが救いとなって一件落着となり
今度は王子と馬車に乗って1人ではなく2人で入城する終盤も胸がじんわり。ヒロインの優しさと強さをしっかりと描き
キャラクター達の行動1つ1つが後々に繋がり、関連の意味を持たせた展開と捉えております。

次回は『くるみ割り人形』を2006年以来15年ぶりに鑑賞予定。以前福岡市の田中千賀子バレエ団の舞台で拝見した、昨年アプレンティスで入団されたのちアーティストに昇格し
大抜擢された世利万葉さんのクララが目的でございます。また15年も経てば演出にも改訂も入っていると思いますが
いかんせん年月が経過している為忘れ掛けている箇所多数。(前回鑑賞時の主演は松岡梨絵さんと輪島拓也さん)定評のある熊川さん版、堪能して参りたいと思います。




東京公演に先立って行われた10月初旬の熊川監督の故郷北海道公演成功も祝し、そして今春熊川さんのご出身研究所の記念公演も『シンデレラ』で
札幌にて鑑賞いたしましたので渋谷駅そばのスープカレー店にてニッカハイボールで乾杯。
すすきののニッカおじさん看板周辺もまた行きたいものです。



季節限定秋鮭入りカレー。大きなかぼちゃも覗いています。Kバレエ版の、斜めに切った感のあるオープンカーかぼちゃの馬車も素敵な形です。
都内にも、北海道発のスープカレー店が随分と増えました。
お店はヒカリエの並びに位置し、帰宅後の夜に放送されたNHKブラタモリの特集が渋谷で
まさにヒカリエ近くの工事現場からは渋谷粘土と呼ばれるものが出てきていると知りました。
それにしても向こう10年程度は続くのでしょうか、来る度に変容する渋谷駅前。
ちなみに、この翌日も別会場にて『シンデレラ』を鑑賞。今年はシンデレラ年なのか、半年で4団体鑑賞でございます。

2021年10月15日金曜日

各団体の自負心が伝わる4本構成 NHKバレエの饗宴2021 in 横浜 10月3日(日)《横浜市》





10月3日(日)、NHKバレエの饗宴2021を観て参りました。今年は異例の神奈川県民ホールにて開催です。
来年2月のEテレクラシック音楽館にて放送が予定されていますので、簡潔に綴って参ります。8Kでは中継放送がされたそうです。
https://www.nhk-p.co.jp/ballet/



新国立劇場バレエ団『パキータ』

木村優里
井澤駿
パ・ド・トロワ:池田理沙子  奥田花純(柴山紗帆さんが怪我のため変更)   中島瑞生
ヴァリエーション:原田舞子  中島春菜  飯野萌子  五月女遥
廣川みくり  益田裕子  朝枝尚子  岸谷沙七優  北村香菜恵  木村優子
多田そのか  徳永比奈子  中島春菜   土方萌花  廣田奈々  吉田朱里


今年のニューイヤー・バレエにてセカンドキャストとして配されていた布陣が初台を飛び出して横浜へ。
ニューイヤーで上演予定が直前に公演中止が決定し、ファーストキャストは無観客無料配信がなされたもののセカンドキャストは披露すらできず
約9ヶ月越しで叶ったお披露目です。しかも有観客舞台での上演更には日曜日のゴールデンタイムに放送されますから寧ろ喜ばしい運びとなりました。
2年ぶり開催である饗宴のトップバッターであり、しかも異例の横浜上演加えて洗練されているとは言い難いやや古めかしい趣味の衣装ながら(失礼)
踊る嬉しさが光と化して全身から零れる溌剌な舞台で饗宴の幕開けを飾り、ファーストに比較するとソリスト、コール・ド共に若手を中心とする構成でしたが
何ら遜色なく、より明るく朗らか。素早くも粗さがない腰の捻り方やメリハリをつけた踊り方も宜しく、めでたい心持ちとなりました。
所々に中堅やソリストも投入して粋で美しい朝枝さんや、ヴァリエーションも踊られた飯野さんが頼もしく引っ張っていらした印象です。

木村さんのパキータは驚くほどに軸が強くなり、踊りも余裕たっぷりで鮮やか、回転も安定。顔の付け方や身体の角度、見せ方も膝を叩きたくなるばかりでした。
品を保ちつつ、顔ではなく身体全体でドヤっと魅了させる姿も好印象。
井澤さんリュシアンはやや長めの髪のまとめ方に目を疑いかけたものの(パーマをかけていらっしゃるのか遠目で横や斜め後方から見るとちびまる子ちゃんのお母さん風)
華やかな貫禄十二分で、対角線登場も合格ライン。(勝手に失礼)
そして舞台姿の変化に思わず目を留めたのが、パ・ド・トロワ抜擢の中島瑞生さん。
2年前3月のインプロビゼーションにて実は感性も身体能力も抜群なものを秘めていたと衝撃を受けておりますが古典となると今一つ印象に残らずにおりました。
しかし今回はまず自信に溢れた姿でいたく伸びやか。踊りの線がしっかりとした気がいたし
決してときめきはしないが(失礼)、少女漫画を彷彿させる生来の美形が踊りと共に舞台でも益々活きていた様子です。
思えば中島さんは8月のバレエ・アステラスも出演演目が当日になってから上演見合わせとなり、より一層歓喜が体内から沸き起こってきたのかもしれません。
またヴァリエーションではアルミードの館の曲(冒頭にて鉄琴?でポロンと始まる曲)での飯野さんの輪郭のはっきりとした豊かな身体の語りや
連続跳躍で突っ切るも勢い任せにせず、滑らかで雑味ない職人芸を見せた五月女さんがとりわけ脳裏に刻まれております。


牧阿佐美バレヱ団『アルルの女』

フレデリ:水井駿介
ヴィヴェット:青山季可

茂田絵美子  佐藤かんな  田切眞寿美  三宅里奈  塩澤奈々  西山珠里  高橋万由梨  今村のぞみ
中島哲也  坂爪智来   石田亮一   米倉大陽  石山陸  近藤悠歩  正木龍之介  小池京介


これまで何度も饗宴に登場するも、手堅く纏めた2019年『ドン・キホーテ』3幕以外は首を傾げる出来であった牧バレエですが
今回は1996年に日本のバレエ団としてローラン・プティ作品初挑戦及び本作初上演を遂げた誇り高さを感じさせる仕上がりでした。
主演の水井さん、青山さん共に初挑戦と思いますが、既に何度も踊り込んでいるかと思わす役への没入ぶりで終始身震いさせたほど。
水井さんは悩んだ末に徐々に壊れていくフレデリを、力強さと脆さの強弱を濃く描き、最後ファランドールでの狂おしさへの突入も
ただ闇雲にではなく、次第に沸き上がる昂りを1つ1つ明晰に踊りに表しつつ音楽の抑揚ともぴたりと溶け合って壮絶な最期へ繋げていました。
手の差し出し方や立ち姿でもうっすらされど恐れおののきそうな執念がじわりと伝わる青山さんのヴィヴェットも魅惑的な女性として存在し
2人を見守るかと思えばフレデリを狂気へと後押しするように静かにうねって迫り来る 群舞にも見入り
序盤の行進からしてにこやかな祝宴ではあってもどこか無機質な怖さすら滲み出る空気感も、悲劇の予期に説得力十二分。
主役2人から場面ごとに役割が変化する群舞、そして牧歌的な穏やかさと狂おしい興奮と隣り合わせな音楽どの要素も共鳴し合った舞台でした。


東京シティ・バレエ団『Air!』

<第1曲>松本佳織  斎藤ジュン  馬場彩  新里茉利絵  石井日奈子  西尾美紅
玉浦誠  福田建太  吉留諒  土橋冬夢  杉浦恭太  渡部一人

<第2曲>佐合萌香  土橋冬夢  
中森理恵  濱本泰然

<第3曲>松本佳織  新里茉利絵  石井日奈子  西尾美紅
玉浦誠  福田建太  吉留諒  杉浦恭太  

<第4曲>土橋冬夢
松本佳織  馬場彩  石井日奈子

<第5曲>松本佳織  斎藤ジュン  馬場彩  新里茉利絵  石井日奈子  西尾美紅
玉浦誠  福田建太  吉留諒  土橋冬夢  杉浦恭太  渡部一人

バッハの管弦楽組曲第3番にショルツが振り付けた作品で、ヴヴェ・ショルツ23歳での振付デビュー作。今年1月公演ショルツ・セレクションでのバレエ団初演に続く再演です。
そのときは録音音源であったため、今回は生演奏である点も嬉しい限り。全員茶色系の一見地味なレオタード衣装ですが、音楽を身体中から響かせ
特に第5曲では音の粒がぱっと弾け飛ぶ踊り方が引き立ち、瑞々しい魅力全開でした。
全編通して、音楽を自在に身体で表現していくシティのショルツは幸福を与えてくださると今回も再確認。


谷桃子バレエ団『ジゼル』第2幕

ジゼル:馳麻弥
アルブレヒト:今井智也
ヒラリオン:三木雄馬
ウィルフリード:土井翔也人
ミルタ:山口緋奈子
ドゥヴィリ:前原愛里佳  星加梨那
ヴィリ:永井裕美  森本悠香  塚田七海  荒川みなみ 島亜沙美  北浦児依
古澤可歩子  篠塚真愛   佐藤舞  白井成奈  手塚歩美  石川真悠
島倉花奈  渡部栞  中川桃花  嶌田紗希  奥山あかり 梶原芽衣


この場面をプログラム最後に持ってくる、しかも2幕まるごと上演で饗宴全体の長丁場に貢献な披露に当初は眠気の襲いも予感すらしておりましたが心配無用。
音楽の編曲が妙に明るめであった点が気にかかりましたが、永橋さんの代役で登場した馳さんがまだ人間の体温が微かに残り、アルブレヒトを優しく包むジゼルを好演。
今井さんは久々に観ましたが感情をすっと出して悔いる姿やミルタに怯えながらの死に際の跳躍でも魅せ、
そしてヒラリオン三木さんが前半にて張りと高さのある踊りで恐怖感や絶望を劇的に展開させ、ウィリ達との呼応も強い緊迫感で覆い尽くし躍動していらっしゃいました。
ところでジゼルのお墓、十字架の手前が緩やかな坂付きの芝風の板でパターゴルフに見えてしまったのはご愛嬌笑。
創設者谷桃子さんの十八番であった作品への深い敬意が込められた上演でした。


紅白歌合戦を想起させる全出演者が舞台上に集合してのフィナーレは無しとなり、レヴェランス付きリハーサル映像使用での演出となったのは
寂しかったものの、状況思えば致し方なく次回は復活しますように。有料プログラムも製作されず無料配布冊子のみで規模縮小な異例開催でしたが
日本のバレエ団として初演した振付家の作品や創立者の十八番、中止を乗り越えての披露等、各団体の自負心が伝わる4本構成でした。
テレビ放送を今から心待ちにしております。尚、来年は場所をNHKホールに戻して8月の開催予定です。





開演前に会場上の階のレストラン英一番館にて昼食。メニューの紹介文によれば
「横浜スタジアム、神宮球場にプロ野球9球団のケータリングサービスをしております」とのことで、
ちなんだプレマッチランチを選択。カレー味のスープが芳醇でスパイシー。ホットサンドに唐揚げに温野菜にヨーグルト、と
大変なボリュームである上に、これら以外にもランチ用のスープとゼリー、飲み物が付く、謎の大盤振る舞い。
美味しくさらには窓際ではなくても大窓から横浜港が見渡せる空間でした。



帰り、会場近くにてカウンセラー友人と夕食。遂に首都圏の飲食店でもアルコール解禁!東京近郊においては久々にお店にてワインで乾杯再開記念日。
友人はオレンジジュースを注文したところブランデーグラスのような形、しかも大きなサイズでびっくり。
トマトソースのふわふわオムライス、チキンがたっぷり入っています。日中ならば、窓辺の席では海を見渡しながら食事可能です。まずはささっと食べてマスク着用。
『パキータ』の話題になってもこの日の横浜ではなく前月の白河リュシアンの話につい持っていってしまい
軍服、詰襟だ、白に金色、肩輪っか、ヴァリエーションは勇ましい曲調の音楽であった云々と説明する管理人の話に耳を傾けてくださりこの日も深謝。



帰り道、電車で渋谷まで移動し乗り換えのため降車すると仰天。
目の前に現れたのは、『くるみ割り人形』の舞台が写った新国立劇場看板。しかも王子がこのダンサー!駅によっては異なるダンサー版もあるようです。
(数年前、水道橋駅ではイーグリング版眠り初演時のコーダ写真看板が掲示されていました)
くるみのシャンパンゴールドな衣装も好きですが、白地にかちっとした金ベルトの不思議なデザインが妙にお似合いな
『ライモンダ』ジャンのお姿もいずれは看板化の機会を願います。甲冑を模したブルーグレーな色味も絵になるプロローグや夢の場
マントで帰還(看板化は不可能に等しいでしょうが、これが良い笑)も歓迎。今思い返しても、美しく勇ましく凛然とした騎士であったと再度目が心臓印状態です。
それはそうと、管理人の饗宴2021は神奈川県境を越えて東京都内に入ってもまだ終演しておりませんでした。ヒャッホー!!

2021年10月13日水曜日

テアトロ・ジーリオ・ショウワの機構を生かした団員作品   スターダンサーズ・バレエ団 RESONATE(レゾネイト)   9月29日(水)





9月29日(水)、スターダンサーズ・バレエ団 RESONATE(レゾネイト) を観て参りました。団員による振付作品を4本上演し
普段全幕公演でも使用しているテアトロ・ジーリオ・ショウワの機構を生かした大掛かりな作品が揃っての披露です。
https://www.sdballet.com/company/c_archive/p2021/2109_resonate/

上演前に読んだ、ディレクションを担当された鈴木稔さんのインタビュー。
振付経験豊富者もいれば初挑戦者もいる公演にて、いかにして4作品の仕上げにかかったか等、面白いお話満載です。
https://spice.eplus.jp/articles/292632


Message
振付:友杉洋之
音楽:Alexander Vatagin,Arca,2562,Hiroyuki Tomosugi

飛び交うメッセージ(情報)に翻弄され、判断に悩む人々が大勢交錯していくシリアスな作風。
専門家も正解の解決方法を見出せず、陣頭指揮を行うはずの立場の人までが神のみぞ知ると口走るなど、まさに今のコロナ禍の社会を突いたテーマに思えます。
途中で光の道しるべが出来上がったり、人が絡んだり離れたり、照明も変化して行き
先の展開が全く読めぬ振付もまた先行き不安な世相を反映しているとも感じさせました。


@Holic
振付:関口啓
近年増加傾向にある時短やテレワークといった業務形態と飼い犬を起点にした軽妙な展開。
仕事から帰宅した女性が持ち帰った仕事を行おうとパソコンを開くも、遊びたがる愛犬に邪魔されつつ、
不可思議な世界が進行して行く、といった内容でした。(全然違う解釈でしたら申し訳ございません)
愛犬ポチは犬の着ぐるみではなく、耳も付けず、白シャツのお洒落な愛犬で、飼い主の台詞に合わせたふとした瞬間の跳躍やポーズも決まって
群舞も巻き込んでのこれまた展開が見えぬ不安定感がむしろ面白い方向へと動かしていた印象です。


What about...
振付・音楽:仲田直樹

人間の笑顔の裏に潜むものを追求した、重みある作品で生命の奪取や環境破壊等、快楽を辿っていくと行き着くものとは何か考えさせられます。
「存在」の秋山和沙さんを中心に、鬱屈した内面を吐露していく6人の「ヒト」の描写が重々しく進行していきました。


SEASON's sky
振付:佐藤万里絵
音楽:Anoice(本作品のための書き下ろし曲含む)

晴天から星空まで、空の表情の移ろいを大勢で巧みに描写。衣装は淡めの色が中心で、水色やピンクなど明るめの色合いも用意。
振付の語彙も豊富で少人数の箇所もあれば全員でダイナミックに畳み掛ける箇所もあり、照明効果もあってプラネタリウムにいる気分にもなりました。
飛行機の中で聴いてみたい、静かで神秘的な曲の数々も魅力。最後は希望で舞台を覆い尽くすような、優しい空気にも満たされました。


スターダンサーズ・バレエ団の団員振付作品公演鑑賞は初めてで、いつも以上に言葉不足である点は申し訳ございません。
ただ、ドラゴン・クエストやくるみ割り人形といった全幕公演も行う劇場での披露は、踊り手の配し方や照明、音響まで小さな劇場での上演以上に
あらゆる箇所に神経を行き届かせねばならず、困難に直面された日もあるかと察しますが
普段気にかけず見過ごしがちなテーマや哲学の域にまで達しそうな答えが出づらいテーマまでをも舞踊化してしまう
しかも15分程度は時間を用いる作品に仕上げる手腕には終始驚かされました。バレエ団問わず、
団員から振付家を発掘する企画公演にはこれからも足を運び続けたいと思っております。




さて、鑑賞からの帰宅後に家で乾杯シリーズもこの日で最後!?舞台を思い出しつつドラゴンアイ スカイビールで乾杯。
ところでこのラベルを眺めているとドラゴン・クエスト鑑賞欲に駆られ、ならば12月公演 に出向き3年ぶりの鑑賞を計画。
これまで人生にて家庭用ゲーム機に触れたのは5回程度で(自宅で所有したことがない)
ドラクエに登場する姫を「ピーチ姫」と思い込み、スーパーマリオと混在させていたほど
ゲーム音痴な管理人も心から楽しめるバレエでした。

2021年10月10日日曜日

1幕仕立ての幻想的なロイヤルボール   小林紀子バレエシアター バレエ・ダブルビル2021『バレエの情景』『シンデレラ・スウィート』 9月26日(日)





9月26日、小林紀子バレエシアター バレエ・ダブルビル2021『バレエの情景』『シンデレラ・スウィート』を観て参りました。
http://www.nkbt-tokyo.com/perform.html


バレエの情景

振付:フレデリック・アシュトン
ステイジド・バイ:小林紀子
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
美術:アンドレ・ボールペール

真野琴絵   八幡顕光
荒井成也   上月佑馬  冨川直樹  望月一真
廣田有紀  澁可奈子  宮澤芽実  松居聖子
松山美月  濱口千歩  武田麗香  島沙緒梨
長村紗良  中村悠里  武田彩希  飯田穂香


4年前に新国立劇場オペラパレスで開催された公演でも鑑賞。今回は中劇場開催のため、2階席からもコール・ドも1人1人がくっきりとよく見え堪能できた気がいたします。
ストラヴィンスキーによる展開と終わりが見えぬ不思議な曲調のパズルにスポーティーなTシャツ姿の男性陣、クラシック・チュチュの女性陣が嵌め込まれた感あり。
音楽はともかくなぜこうも不協和音な衣装にしたかは謎が深まりますが、ただ観ていくうちに妙な違和感が消え失せていったのは
出演者特に女性コール・ド陣が音楽を自在に全身で表現できていたからこそ。またプリンシパルの真野さんがアシュトン作品にて
特に『シンデレラ』でよく見られる、片腕を腰より下に伸ばし顔は上を向いた決めポーズなアラベスクがクリアな軌跡を描き
腰の捻りや上体を柔軟に操る技術もお手の物。背景装置のヴェネツィアのリアルト橋風のデザインもなかなかユニークで、場面によってはアーチを潜っての登場もあり。
その昔、でもないが英国ロイヤル・バレエ団が1992年の来日公演にて上演していますが、管理人、その時はバヤデールしか観ておらず
アシュトン振付の摩訶不思議なこのクラシック作品への評価はいかほどであったか気になるところです。



シンデレラ・スウィート

振付:アルフレッド・ロドリゲス
改訂振付・演出:小林紀子
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
美術:テレンス・エメリー

シンデレラ:島添亮子
王子と:冨川直樹
道化:上月佑馬
背の高い義姉:澤田展生
背の低い義姉:佐々木淳史
春:濱口千歩
夏:廣田有紀
秋:真野琴絵
冬:澁可奈子
王子の友人:荒井成也  吉瀬智弘  望月一真  小山憲
侍従長:村山亮  杜海
侍従たち:五十嵐耕司  川合十夢  竹下虎志  廣瀬陽  情野詠太  髙野大希
招待客:
宮澤芽実  松居聖子  松山美月  武田麗香  中村悠里  吉原慶子  武田彩希  須田莉那
飯田穂香  中嶋咲妃  横山紗耶
スターズ:島沙緒梨  長村紗良  三浦舞  福島さや香  沖本悠衣   轟木寧々


『シンデレラ』の見せ場を舞踏会に凝縮した1幕仕立ての作品。幕開けから宮殿の大広間が現れ
道化や貴族達が溌剌としたマズルカを披露し、舞踏会の始まりです。今回一部に小林紀子さんが改訂振付演出を行ったとのこと。
上月さんの道化がニコニコとした表情で、軽快な楽しさ増幅の闊達な踊りも場を盛り上げてくださいました。
暫くすると、通常ではシンデレラの眼前に出現する仙女のテーマ曲が流れ、四季の精達のヴァリエーションの開始。(仙女は不在)
つまり、王子や道化、貴族達が見守る宮中での披露となるわけですが、大広間が幻想的な雰囲気に包まれ、また人々が四季のそれぞれの妖精達に対して
驚きも見せればぽわんと見惚れてしまう人もいて宮殿全体の高鳴りが強まって行く流れが見て取れ、違和感皆無でした。
四季の精達が精鋭軍団であったのか全員が職人気質な踊りで示し、濱口さんはふわふわとした浮遊感や春の訪れの喜びを体現され
廣田さんが冗長になりがちな曲調であっても誠に艶めかしく且つ芯の通った風格で魅せる夏は
仮に帰り、体温が37.5度以上に達しても納得してしまうほど火照る心持ちとなったほどです。
『バレエの情景』でプリンシパルを務めた真野さんの秋は、瞬時のポーズの切り替えが巧みで忙しさを感じさせぬどころか全身から楽しさが伝わる余裕っぷり。
澁さんの滑らかで枝木から雪が舞い落ちるような手の語りは銀世界の広がりを思い起こさせる冬で
淡く抑えた紫系の色を合わせたシックな色味チュチュもたいそうお似合いでした。
四季の精達はオペラ型の膝丈衣装で、動く度に包み込むように揺れるさまも宮殿に柔らかく色彩美を添えていた印象です。

シンデレラの登場寸前にスターズ(星の精)達も登場し、水色のすっきりとしたクラシックチュチュ着用で6人の少数構成であっても1人1人から光が零れ、物足りなさは無く
中でも三浦さんが目を惹く華の持ち主で度々観察。実は三浦さん、一昨年千葉県浦安市での発表会にて『くるみ割り人形』2幕金平糖の精で拝見し
巨大なケーキを模した背景にも埋没せぬオーラがあったのは今も覚えており、その後シアター入団と教室のホームページにて掲載されていたため
今回出演していらしたら嬉しいと思いつつ足を運んだところプログラムでお名前そして舞台でもお姿を発見でき喜ばしいばかりです。

そしていよいよシンデレラの登場。小舟或いは動く長椅子?らしき乗り物に乗った島添さんが後方に現れ
ゆったりと歩み出していく姿から全体が細かな金粉が漂う空気と化し、丹念な足運びについ見入ってしまいました。
尚頭飾りはティアラだけで十分であり、頭を覆うネットのような布は不要かとも思いましたが(姫らしさが薄れてしまう気がいたします)
王子と出会い、徐々に打ち解けていく過程や12時の鐘ではっと我に返り帰宅を急ぐ幕切れまで終始丁寧に表現して束の間の舞踏会凝縮場面を見せてくださり
受け取ったオレンジを義姉に渡す(確か渡していたはず、記憶違いでしたら失礼)優しい仕草もいじらしく映りました。

描き方で好印象であったのは義理の姉達。第1幕の家での騒動場面がカットされていますから意地悪な印象は薄れる条件は揃うにしても、とにかく上品な造形。
舞踏会でもハチャメチャな行為はせず、きらきらとした空間や王子の存在に静かにときめいたり
シンデレラの登場では何処かで見覚えありな人物と考えつつも招待客達とそっと見守りに徹したりとエレガントな姉妹。
薄紫のドレスを纏っていた澤田さんはすらりとした容姿で、そのままパラソルさして別荘地を散策していても何らおかしくない優雅な立ち姿。
佐々木さんは赤いドレスが似合う活発な姉で、澤田さん義姉に素直にくっついていく様子が可愛らしい妹でした。
12時の鐘の鳴り響き場面のほか招待客と同時に踊る箇所も豊富ながら舞踏会の和に溶け込む技術、調整力も目を見張る品性のある姉妹でございます。

過去のプログラムからの抜粋によれば、1950年代にスカラ座から依頼を受けたロドリゲスがヒロインに相応しい人材を主役級から探したものの見つからず
しかしコール・ドの中にぴったりなダンサーを見つけ、ファーストキャストにはなれなかったものの2日目に主演し大成功。
ロドリゲスに見出されてまさにシンデレラの物語そのものな抜擢をされたダンサーこそ、のちの大スターで今年逝去したカルラ・フラッチだったそうです。
フラッチがコール・ド経験者であったとは初耳で、こんな逸話があったとは驚きを隠せぬ思いでおります。

小林紀子シアターでの初演の頃の記事も頭の奥に記憶されており、稲村真実さんと中島伸欣さんだったか、パ・ド・ドゥの場面の写真が載っていたかと記憶。
当時から片仮名表記がスイートではなくスウィートである点だけは疑問ではございますが、シンデレラが見た甘い夢、と解釈すればまあ良いか。
ロシアの2人の巨匠の音楽と共に1本はシックな、もう1本は幻想的なクラシック・バレエを味わえたダブルビルでした。




オレンジと星が描かれた甘いお酒で乾杯。この手の缶飲料、これまで購入機会が殆ど無かったが
各社工夫しての綺麗なデザインが並び、眺めるのもまた楽しい。ウォーターの文字通り、色は透明なお酒でございます。


2021年10月7日木曜日

鬱憤も飛び去る冒険浪漫 東京バレエ団『海賊』9月25日(土)





9月25日(土)、東京バレエ団『海賊』を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2021/lecorsaire/

※キャスト等はNBSホームページより抜粋
東京バレエ団 「海賊」- プロローグ付 全3幕 -
振付:アンナ=マリー・ホームズ(マリウス・プティパ、コンスタンチン・セルゲイエフに基づく)
音楽:アドルフ・アダン、チェーザレ・プーニ、レオ・ドリーブ、リッカルド・ドリゴ、ペーター・フォン・オルデンブルク
編曲:ケヴィン・ガリエ
装置・衣裳:ルイザ・スピナテッリ
装置・衣裳協力:ミラノ・スカラ座

◆主な配役◆
メドーラ:秋山瑛
コンラッド:宮川新大
アリ:生方隆之介
ギュルナーラ:中川美雪
ランケデム:池本祥真
ビルバント:井福俊太郎
アメイ(ビルバントの恋人):安西くるみ
パシャ:岡崎隼也
パシャの従者:南江祐生

第1幕 賑やかな市場
海賊たち:山田眞央、後藤健太朗、中嶋智哉、安井悠馬、星野司佐、芹澤 創、小泉陽大、山中翔太郎、
海賊の女性たち:涌田美紀、加藤くるみ、上田実歩、中島理子、花形悠月、本村明日香、長岡佑奈、佐藤瑞来
オダリスク:中沢恵理子
    政本絵美
    平木菜子
第2幕 海賊が潜む洞窟
海賊たち: 海田一成、後藤健太朗、昂師吏功、山下湧吾
海賊の女性たち 涌田美紀、足立真里亜、工 桃子、上田実歩
第3幕 パシャの宮殿
薔薇:二瓶加奈子、金子仁美、涌田美紀、加藤くるみ、足立真里亜、鈴木理央、
花のソリスト: 三雲友里加、髙浦由美子、瓜生遥花、花形悠月、米澤一葉、長岡佑奈


秋山さんは持ち前の高い技術を役の表現と一体化させて駆使し、上品なデザインではあっても決してゴージャスではない衣装を着けていても
内側から放つ煌めきがいたく眩しく、被されたベールをちょこんと上げただけでも市場に宝石がきらっと撒かれたようで初役メドーラとは到底思えぬ会心の出来。
パシャとの掛け合いではややゆったりめの曲で粗が見えやすい振付であるものの、狂い無く淀みないステップを次々と繰り出して音楽と溶け合い
はっとさせられる貴さを示したかと思えばとろりと蕩けてしまいそうな悪戯っ子な愛嬌もあり
双方の備えも申し分ない。パシャでなくても頬が緩まずにいられませんでした。オダリスクの3人もですが、
囚われの身であっても悲観的な様子を見せず、からっとした輝きがをもたらしていた印象です。(このまだまだ不安定な状況下、望ましい解釈かもしれません)
伸び伸びと心を解放させての寝室パ・ド・ドゥでの色めく様子から胸の高鳴りが伝わるスケール感があり
まさかこのあと修羅場が待っているとは知る由も無いわけです。

宮川さんは朗らかで愛想の良いコンラッドで、俺様気質はあまり無い!?お人好しそうなリーダー。
冒頭からして目線から仕草から黒さをちらつかせていた井福さんビルバントの罠にあっさり嵌ってしまうのも頷けましたが笑、
真っ直ぐで胸をすく踊り方は好印象。
井福さんは前回初演鑑賞時も同役で鑑賞し、常日頃からコンラッドの行動で気に食わぬことが多々あったと窺える、リーダーを見るときの視線の怖さが増強。
されど睡眠薬の罠をコンラッドに仕掛け成功するも、メドーラの大胆な対抗におっかなびっくりするところは哀れで呆気ない様子は憎めず。
海賊達の群舞を率いる力強さも前回よりぐっと増し、全編通してやや粗暴なところとションボリ情けない面の両方を上手く描画。
終盤でのいよいよ仲間割れによる絶命では死に際まで声にならぬ執念を叫びにして倒れ、いつも二番手で複雑であっただろう心境が覗く最期でした。
大抜擢の生方さんアリはまだ線が細い気もしたものの、ひたむきで物静かでご主人に忠実そうな(これ大事)ポーズ1つ1つも決まっていて
トロワのヴァリエーションでは軸がぶれぬ大回転を滑らかに披露。主要役3人のバランスも良く、 テクニックの高さや強度は全員共通ながら
優しいコンラッド、品位と可憐な魅力が同居のメドーラ、素直で忠実なアリ、と火花を散らすよりは穏やかで清い空気が流れるトロワが繰り広げられました。

皆見目麗しいオダリスクは各々ぴたりと嵌るヴァリエーションであった点も喜ばしく、特に3つの中では最も単調気味な曲ながら
優しく歌うように軽やかに踊る中沢さんには思わず引き寄せられ、指先脚先から花の香りがふわっと匂い立つような色気にもうっとり。
スラリとした長身ながら四肢を持て余さず、明瞭にポーズを刻んでいく政本さん、仰々しい音楽にも負けぬ存在感や揺るぎない回転で魅せる平木さん、と
個性様々ながらそれぞれの強みを生かす振付、音楽で充実の布陣でした。
市場にて水を押し売り⁈しつつ、壺を手にオダリスク曲で音頭取る、他日はギュルナーラ役で登板の伝田さんにも注目。
市場を知り尽くした古株で、町内会会長でも務め日々取り仕切っていると想像できる、妙に板に付いている熱演でした。

ルイザ・スピナテッリによる衣装の上品で抑えた色彩美、彎曲を効かせた装飾や模様のデザインも1点1点集中して凝視したくなり
中でもオダリスクのブルーと金銀、白を組み合わせたチュチュと頭飾りの爽やかな美は忘れられぬ色合いです。

鬱憤も飛び去るが如く海賊達のパワフルな舞踊も壮快で、観る度にすかっとした気分になる場面の1つ。
よくよく考えてみれば、奴隷市場での人身売買等非人道的な行為が背景にある作品であり
目の敵と捉えたトルコの描写も現代の上演においては如何なものかと意見も飛び交いそうですが
(ただ、イスタンブール国立バレエのトルコ人ダンサーがガラで海賊パドドゥ踊る姿を目にしたこともあり、もう割り切っているのかもしれませんが)
また半ば無理矢理入れた花園にて、パシャに早う夢を見てもらうがために寝つきが誠に早いのもご都合主義にも思えますが
あらゆるバレエの要素が詰まって見所も豊富。わくわくと胸躍る冒険へと旅立つ心持ちとなるのですから不思議なものです。
東京バレエ団が踊るクラシック全幕作品の中では一番好みであると愉しい余韻に浸り帰途につきました。
次回の新作『かぐや姫』、『中国の不思議な役人』、『ドリーム・タイム」トリプル・ビルも楽しみにしております。




1人用舟盛りで私もいざ出航、いただきます。瓶のラベルがオダリスク色で嬉しい。翌月にはお店でのアルコールは解禁か。(無事解禁)

2021年10月1日金曜日

故郷が歓喜した渡邊峻郁さんの白河凱旋 バレエスタジオPLANE(プラネ)第35回記念発表会 9月19日(日)《福島県白河市》





9月19日(日)、福島県白河市のコミネス白河にてバレエスタジオPLANE(プラネ)第35回記念発表会を観て参りました。
新国立劇場バレエ団の渡邊峻郁さん拓朗さん兄弟のご出身スタジオで、峻郁さん待望の凱旋舞台です。
https://www.minyu-net.com/news/news/FM20210922-656890.php

福島県の訪問及び鑑賞は、2015年6月いわき市における下村由理恵さん山本隆之さん、福田圭吾さんや奥田花純さんも出演された
篠原聖一さん演出振付のいわきアリオスシアター 「The Fisherman and His Soul 」(原作オスカーワイルド 漁夫とその魂)と
「オーケストラの為のポエム」公演以来6年ぶり。白河市訪問は初でございます。
スタジオ関係者全員の願いだったのでしょう。発表会で、地元の舞台でたかにいに(プログラムによれば、スタジオでの渡邊さんの愛称のようです)との共演の嬉しさや
昨年の中止を経てようやく開催が実現した喜びが舞台全体から終始伝わって、開催そして渡邊さんの凱旋を祝す喝采が鳴り響き、大変祝福感に満ちた会でした。
故郷で踏まれる舞台を私も待ち侘びておりましたので、また合わせて白河訪問も夢でございましたので感無量な週末を過ごした次第です。
 日頃お世話になっている方が見つけてくださり、感謝が今も尽きずにおります。

プログラムは3部構成で、まず生徒さん全員によるオープニングから。紫色のウェアで統一され、整然と並んで名前がアナウンスされると1人1人レベランス。
幼い生徒さんも順序やタイミングをきちんと守って舞台に立っていて、仮に5歳の頃の自身を振り返ると何かしらやらかして和を乱していた可能性大であり
未だ協調性があるとは言い難い私にとって、発表会は毎度学びとなる場でございます。

続いて第1部『眠れる森の美女』より第3幕。眠りの結婚式の場面上演時は見せ場を増やす工夫を凝らした演出がしばしば披露され
プロローグの妖精達のソロを入れる場合もあれば、深川秀夫さん版『オーロラ姫の結婚』では花のワルツをパ・ド・シスや宝石の妖精達が踊って
グラン・パ・ド・ドゥの前座を飾るより煌びやかな演出及び3幕で披露しても違和感がないどころか祝福感を一気に沸かせる展開に驚かされましたが
プラネさん版では淡いピンク色のバラの花を手に同系色の膝丈のふわりとした衣装を着けた生徒さん達が花のワルツを披露。
宮殿内に春めくピンク色がふわりと広がり、おめでたい空気に満たされていきました。朝に立ち寄った白河ハリストス正教会に咲くバラをも思い出し
踊り終えると貴族達と一緒に周囲に立って見守る姿も舞台を可愛らしく縁取り、幸せバラ尽くしです。
ソリストのみクラシック・チュチュで、ヴァリエーションの一部を思わせる振付やポーズの取り方からして
恐らくは1幕における16歳になったばかりの頃のオーロラ姫として登場し回想する場面、現代で言えば
披露宴で新郎新婦の子供時代の映像が流れるイメージにも見て取れました。(解釈がもし違っていましたら申し訳ございません)
女性2人による猫も色っぽいじゃれ合いが楽しく、子供の赤ずきんちゃん達と男の子による狼も演じ方がしっかりしていて
特に狼の確固たる恐ろしさが全身の表情から伝わる踊り方には思わず注目いたしました。
青い鳥そして第2部ではファラオの娘グラン・パ・ド・ドゥにて生徒さんを優しくサポートされながら踊られた現在フリーでご活躍中の倉谷武史さんは
プロフィールによればプラネのご出身のちに1996年東京バレエ団に入団されたとのことで
東京バレエ団の公演に足を運び始めた頃の2001年シルヴィ・ギエム全国ツアーや2002年ラ・シルフィードのプログラムに目を通したところお名前を確認。
ギエム全国ツアーではボレロ、テーマとヴァリエーション、白の組曲、春の祭典、シンフォニー・イン D、と
振付者も作風も多彩な演目でご活躍で、古川和則さんや大嶋正樹さんと同じ入団年であったようです。

さて、いよいよオーロラ姫とデジレ王子の登場。遂に渡邊さん、白河凱旋舞台ご披露の瞬間でございます。
シフォンのお袖の衣装で中央にピンク色が少々含まれた、パリ・オペラ座の第2幕の王子衣装に似たデザインで歩き方や立ち姿からして高貴な風を吹かせていたのは明らか。
少し緊張していたご様子の生徒さんを丁寧にサポートなさって和らいだ空気を作り出しつつ
ソロでの優雅さと張りのある跳躍もはっとさせられ客席もどよめきを隠せぬ状況と化していたほどです。

第2部は小品集で、子供または大人の生徒さんの作品やヴァリエーション、パ・ド・ドゥが披露されました。
1点気にかかったのは床が滑りやすかったのか転倒、或いは躓きそうになってしまった人が何人かいましたが
怪我なく気持ちも即座に切り替えて最後まで踊り切ったのは見事。心配する客席からの視線に対し
寧ろよりにっこりと笑みで返していた生徒さんもいて、頼もしく映りました。

第3部を飾ったのは『パキータ』グラン・パ。眠り3幕が先でパキータが最後である構成は当初は珍しく思えましたが
これまでに公演発表会問わず幾度と観た中で最たる高揚感をもたらす舞台で、納得いく順序でございました。
そして何よりも、今年2021年上位3本に入るであろう強烈であったのが渡邊さんリュシアンの姿。
パリ・オペラ座も、ルグリもマルティネスら歴代のエトワール達も仰け反るであろう凛々しい美しさと洗練が凝縮した金色軍服しかも肩に輪っか付き姿で
表現が過激ではないかと批判を受けるを承知で申すとまさに鼻血寸前でした笑。
今年の新国立劇場バレエ団ニューイヤー・バレエの同作品同役で出演されるも配信となってしまい
今回白河にて生で拝見できるだけでも歓喜いたしましたがそれどころではない、興奮の極致へと到達です。
先月綴った、5月の札幌における久富淑子バレエ研究所『シンデレラ』でも触れた通り『シンデレラ』舞踏会ファンファーレ、『ライモンダ』マントでジャン帰還に並ぶ、私の中での男性主役三大華々しい登場に数える
時間をためて登場し対角線上を歩くリュシアンの美しく勇ましく凛々しいことよ。ここまで整った青年将校、地球渡り歩いてもお目にかかれそうにございません。

パキータ役の生徒さんの晴れやか端正で気品ある、歯切れ良くも指先足先まで神経が届いた踊り方にも惚れ惚れしたのもさることながら
特筆すべきが主役のみならずソリスト、コール・ドの纏まり方。大人から子供まで年齢も身長も様々ながら主役達を見つめるときと言い
一斉に踊り出すときの目の合わせ方と言い幸せに溢れた表情が舞台中に広がってより祝祭感を引き上げ結束力の強さも印象に刻まれております。
2006年のパリ・オペラ座来日公演『パキータ』全幕をオスタとペッシュ主演で観ているものの、周囲に聞いても異口同音で大騒動の末に結ばれたのは分かったが
細かな展開は記憶に無く、結局結婚式の場面しか脳裏に残っていないと話す方ばかりで私も同様でございます。
(私の場合、加えてパリ・オペラ座直後に来日した、連日空席目立つ具合ながら通い詰めた
ボリショイのラ・バヤデールとファラオの娘祭りに上書きされた事情も一因ですが)
プラネさんの結束力を目にし、全幕の流れを汲んでの結婚式を観ている気分となる高揚感には感激するばかりで、また理知的なパキータの機転によって眉目秀麗な容貌であっても
何処かうっかり抜けてとぼけた場面も嵌まりそうな笑リュシアンが救われ結ばれた経緯が目に見えてくるお2人でした。

もう1つ誠に嬉しかったのはリュシアンのヴァリエーションの音楽。今年の新国立劇場でのニューイヤーでは
オーソドックスな『コッペリア』フランツで定着している音楽使用で少々心残りがありました。
しかし今回は所謂リュシアンでよく使われる重厚で雄々しい曲調の音楽で、第1部の眠りとは打って変わって
品を保ちつつも豪快な質感宿る回転や跳躍を繰り出されて、ただ綺麗なだけでなく厚みやパッションも申し分なく、凛然とした表情の付け方にもうっとり。
手袋やブーツをお召しになり、日本刀、ではなくサーベル差して騎乗した勇猛そうなお姿を目を心臓印にしながら妄想せずにいられずでした。
さて、白河でもやります髪型観察。今回は二重に近い丸でございます。揉み上げが長めで驚きを覚え、インパクトが強かった為で整え方は不満一切無しです。

フィナーレでは『パキータ』ポロネーズの音楽にのせて出演者全員が舞台上に姿を現し、渡邊さんが登場されると拍手もひときわ大きく喝采。
プラネさんは毎年発表会を開催していますが(昨年は中止)例年12月開催で、トゥールーズ時代も、新国立入団後も出演困難な日程であったと思われ
ようやくの地元凱旋。観客席からも、待ち侘びていた気持ちやそして遂に白河の舞台に立ってくださった喜びの拍手がいつまでも鳴り響いていました。
主宰の鈴木寿雄先生もそれはそれは嬉しそうで、麻矢先生は涙ぐみながら登場され、渡邊さんにもっと真ん中へ行くよう促していらしたのか
鈴木先生とのやり取りでは渡邊さんが一瞬生徒に戻った感もあり、微笑ましいご関係が垣間見えたのもあたたかな心持ちになった次第です。
2018年頃のインタビュー記事であったかバレエを習い始めた頃のお話で、男子生徒は自分1人だけだったが
先生が男性であったことが心強く、鈴木先生がとても親切に教えてくださったとの内容を思い出しました。

この他渡邊さんはこれまで新聞、バレエ誌、バレエ関連のウェブサイト、着物雑誌モデル等数々のインタビュー記事に登場されていますが、その中でも特に印象に残っているのが
2019年12月の福島民報にてロメオの舞台写真付きで出身地含め大きく報じられた、プリンシパル昇格記事。
掲載を知ってからすぐ取り寄せ、その際大変丁寧に対応してくださった販売局の方に再度お礼を唱えつつ今回も出発前夜に再度目を通してから参りましたが
故郷の人達の前でも踊りたいと、郷土愛の強さがひしひしと伝わるお話が綴られ、渡邊さんにとっても地元での舞台は願い続けてこられたことなのでしょう。
ようやく実現し、無事プラネさんの発表会も開催できたこと、心より祝意を申し上げます。
この後にも延々書いておりますが、検温呼びかけやプログラム販売係の方、ホテル、お店、観光案内所で接してくださった白河の方々
皆様とにかく丁寧で温厚な方ばかりで、純朴な雰囲気も魅力。恐らくは白河市に隣接する西郷も似ていると思われ、県南地域も益々好印象。
渡邊さんの凱旋を初めて白河で観劇できたこの日、鑑賞史にずっと刻まれ記憶に残り続ける1日となりました。西郷・白河が生んだ偉大な芸術家です。



※以下は写真多量記録です。お時間のある方で忍耐力に確固たる自信のある方はどうぞ。もう10月に差し掛かり今年も残すところ3ヶ月
長々読んでいられぬとお考えの方は恐れ入ります、次回更新予定の都内公演感想記事をお待ちください。


白河と言えば東北の玄関口と呼ばれ、松平定信に所縁ある全国有数の名関所ですが、知ったのはお恥ずかしいながらごく最近のこと。
思えば日本のバレエ黎明期に関する記事や書籍をあちこちで読み始め、のちに井上バレエ団芸術監督も務められた
白河生まれで旧制白河中学に通われていた関直人さんの生い立ちを知った20年少々前(2000年頃?)に実質初めて頭に入ってきた地名かもしれません。
今でこそ新幹線を利用すれば2時間程度で移動可能な白河と東京間ですが、戦後間もない頃は片道5時間かけて白鳥の湖を観に東京へ出かけたお話や
いよいよバレエダンサーとしての舞台出演時は紹介記事に白河中學出身と綴られていたりと、白河の文字が多々目に飛び込んできたのでした。
※今更追記で失礼。更に調べたところ、私が昔通っていた教室の元々の主宰の先生は関さんの教え子?だったようで
関さん振付で日本初のシンフォニックバレエと言われ、今年2月に開催された関さん追悼公演で井上バレエ団が上演したクラシカル・シンフォニーの初演メンバーだったとか。
またNHKバレエの夕べでのゆきひめにもソリスト出演していたようで、詳細は確認中。いずれににしても、井上バレエ団には在籍されていた時期があり関さんとは深い関わりがあったようです。

次に白河に着目したのはちょうど新国立劇場で牧阿佐美さん版『ライモンダ』初演を迎える少し前の2004年夏の甲子園にて
北海道の駒大苫小牧高校が優勝し、優勝旗が初めて白河の関そして津軽海峡をも越えた
「白河の関越え」報道が連日なされ見聞きする機会が多々ありました。ただ、学校関係者も意識して度々口にしていたのか
それともメディアが作り上げ先導していた文言であったか、また高校野球以外の屋外競技の学校スポーツでも言われてきたことであるのか
真相は分かりかねます。少なくとも、2017年夏に甲子園球場で観戦した(高校時代吹奏楽での東京都予選大会の応援演奏経験から興味を持ち、関西でのバレエの用事に合わせて数回現地で観戦しております)
盛岡大付属高校の野球の応援では目指せ白河越え等と発していなかったと記憶。
ともあれ報道で何度も見聞きした2004年から約12年半後の2017年年明けに2度目の人生大転換期が訪れ、興味津々な地域になるとは知る由もありませんでした。
行こうと思えば決して遠くではない地域ですから数年前ならばすぐにでも観光なり例えば2月ならば白河だるま市へも行けたでしょうが
初訪問は渡邊さんの舞台鑑賞と合わせての機会にとっておきたいと思っておりましたので遂に2021年9月、白河入りです。



行きの新幹線にて、我が家の白河だるま達も里帰り。赤は白河の機械関連の企業の方から、青は福島県物産展にて白河ラーメン購入時の特典でいただきました。
いずれも東京での催しにて手元へと参り、後になって背中側に加わった一筆によって家宝としていつもは大切に箱に保管しておりますがせっかくの機会。
だるま達も地元の誇りの凱旋を観たがっているようですので、一緒に白河入りです。



新白河到着、だるま眉のお顔が素朴で可愛らしいしらかわんがお出迎えです。骨はポシェット!?そして我が自慢の妹と顔の系統が似ております。
ホテルや小峰城について調べているときにようやく知ったのは、新幹線が停まる新白河駅は西白河郡西郷村、隣の白河駅は白河市が住所であるそうで、ちょうど境目にある駅のようです。
西郷村は村であっても実質は市に近い都市機能を持つ自治体であるとも何かで読みました。
福島県のキャラクターキビタンがたくさん描かれた案内サイト。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/movie-now/ch-shitte2-nishigo.html



このあとバスで白河駅へ移動いたしましたが、降車の両替時、運転手さんがそれはそれは丁寧に説明してくださり
最後に降りる客であるとは言え、明らかにこの地域の公共交通に慣れていない者にも対しても苛立ちや嫌な顔1つせず、
安心感を与えてくださる優しいとても運転手さんでした。ありがとうございました。



鑑賞体制まさかの大転換となったかれこれ4年8ヶ月前から白河地域関連の観光資料に目を通してきた中で、凱旋舞台鑑賞時には合わせて実現したい目的が2つございました。
1つが名店とら食堂のラーメンを食すこと。確か2018年にNHKプロフェッショナルでも放送され、透明度の高いスープに涎寸前な状態で見入っていた記憶がございます。
10時過ぎに到着し記帳して待ち(この頃はまだ混み合っておらず)、11時少し過ぎた頃から順次お呼びがかかり
中の待合椅子に座ってメニュー見て先に注文を聞いてくださりそのあと座席へ。



そして遂に手打ち中華麺到着。一口含むとラーメンでは初、鑑賞後の乾杯にてお酒を口にしたときと同様の感激の溜息が零れました。
えぐみが無く清流のような澄み切った味のあとに深さが静かに訪れる味わいで、麺を忘れかけてスープばかり飲み続けていたほどです。
平打ち麺の歯応え、コシも良く、焼豚が脂身無しであった点も好み。
別注文した煮卵の半熟度もちょうど良い固さなとろり加減で、焼豚おにぎりも味はしっかりされど変な脂っこさが無く
大満足でご馳走さまでした。どんぶりのデザインは何種類かありますが、店名と寅印入りで歓喜です。
店内でも、そして待機するお客への対応も丁寧で穏やかな接し方で、大人気店であっても常に腰を低くした姿勢を貫いていらっしゃる印象を受けました。
尚、白河駅からは徒歩で約1時間弱でお客さんの大半は車利用です。お店を後にするとき、さっかか歩いて移動していると相当な珍客に映ったもよう。
駅前観光案内所貸出の自転車利用をしたかったものの雨が降ったり止んだり不安定な天候でしたので断念。バスは1日に数本で、時間に合う便がなさそうでした。
(最寄り停留所の掲示を斜め読みした限り白河駅間は廃線になったとか?)
道は分かりやすく迷子には全くならず疲れもせず筋肉痛にもならずでしたが、可能ならば次回は自転車で移動したい笑。
自動車の運転免許、危なっかしい私は事故を起こしそうな気がしてならず恐ろしくて取得したいと思ったことがなく
1人移動では公共交通や自転車、徒歩頼みで長年生きております。



交通安全の呼びかけはだるま署長も活躍。白河はどこにでもだるまさんがいます。奈良県でいえば鹿さん、愛媛県でいえばみきゃんのような存在感なのでしょう。



帰り道、だるまランドへ。古き良き正統派からモダンなデザインまで、様々なだるまさんが展示、販売されていました。
白黒映像時代の白河だるま市を報じる福島民報ニュースが流れていて、冒頭曲がオッフェンバック『パリのよろこび』
第1曲アレグロ・ブリランテの一部分?であったのが何とも面白く(管理人も若かりし頃に発表会でやりました、パリのよろこびの曲で構成された作品。
サーカス団長に扮した、どんな役でも引き受けてくださっていたらしいゲストの先生が登場する曲として使われた部分で、懐かしい。
それよりも、当時妹が子犬の役をやっておりましたが素朴な和顔で且つ反則級に、ひょっとしたらしらかわんよりも可愛い子でして今も変わらず。
変形した爬虫類の如き私に全く似なくて良かったと現在も思っております)
話を白河に戻します。福島のお茶の間にはカラーテレビ以前のこの時代から毎日この曲が流れていたかと思うと洒落たセンスで羨ましい。
だるまの絵付け体験や物販所も広く、大黒屋のだるま最中を購入。生地はさくっと軽く、あんこがしっとり上品な甘さでお餅入り。大変おすすめの白河銘菓です。
ランドはランドでも、だるまランドは千葉県浦安市の米国発の夢の国よりも好みに合います、とは言い過ぎかもしれませんが
浦安といえば私の中では舞浜を最寄り駅とした夢の国ではなく、2年前の8月末の平日夕方に文化会館にて目にした色気ムンムンドラマティック海賊と
帰りに駅前で食した房総直送の舟盛と九十九里の地酒の印象に上塗りされている状態でございます。





凱旋舞台鑑賞時には合わせて実現したいと思っていた目的2つめ、酒蔵見学。福島といえばお酒!2015年のいわきアリオスシアターでの鑑賞時に
いわき駅近くの居酒屋にて地酒の利き酒は体験し、しかも店名が『漁夫』で鑑賞した作品の題名及び男性主役の丸ごとな名称に
関連どころではない一致にびっくりでしたが、周囲のお客さんも交えて楽しいひとときであったのは今も思い出深い出来事です。
その後、時は過ぎて2017年の春先だったか、白河周辺の観光資料を眺めに東京都庁内の全国ガイドコーナー行くと通常の観光ガイドの他
福島県のキャラクターであるキビタンがはっぴを着ておちょこを持つ姿が描かれた
福島酒蔵スタンプラリーの資料をもらい、いつの日かに備えて目星はつけておりました。
(この頃はまだ周囲にも諸々殆ど打ち明けず、前年末やお正月あたりからひっそり映像検索したりしつつ並行して時々白河調査も行っていたのです)
2年半ほど前から福島のお酒購入は、スタンプラリーページにも掲載されていた福島市にある金水晶さんをしばしば購入し愛飲しており、今年のお正月には古関裕而ラベルの銘柄を、また一昨年渡邊さんがプリンシパル昇格時も移転前のブログ記事の通り、 金水晶さんのお酒でお祝いいたしました。

そして、いつの日か白河へ、が到来したこの度、駅とホテルからも近く、幸いにもとら食堂からの通り道に位置し
また一度東京のミデッテふくしま館で購入したことがある千駒酒造さんへ。大正時代に建てられた古めかしい堅固な造りです。
まず10分程度紹介DVDを鑑賞し、その間は甘酒をいただけました。麹の食感が程よく残り、学びつつも甘過ぎず癒しの時間に。
その後少し蔵の中を見せてくださり、時代劇に出てきそうな重厚な扉を開けると大奥の間、ではなく(当たり前だ)大きな造り場。
杜氏が寝泊まりする場所も裏手にありました。



さて試飲。味わいが全く異なる4種を用意してくださいました。この他あと1種、購入時の参考用としていただき、感謝が尽きません。
酒蔵、そして試飲での味の特徴の説明はそれぞれ違うスタッフの方が担当してくださいましたが
お二方とも分かりやすいご案内で念願の白河酒蔵見学、存分に満喫いたしました。



千駒酒造さんお隣にはこれまた歴史の重み感じる理美容室。白河の石を使っていると書かれていた気がいたします。



同じ通り沿いの年貢町会館。「しらかわ検定」の貼り紙も気になりますが、交渉か何かを終えた武士が中から出てきそうです。
この周辺は城下町の雰囲気が色濃く残り、暖簾をくぐって白河そばをささっと食べ
帰りがけには和菓子店でお饅頭か大福か、家族へのお土産として複数個購入し颯爽と過ぎ去る武士が眼前を通ってもおかしくない街並みです。(妄想)
隣の消防団の建物も昔の風情があり、緊急時には半纏着て、鉢巻締めた火消たちが出てきそうでございます。
そういえば、試飲で満月が描かれたラベルのひやおろしも目にしたためか、昨年夏に大和市で鑑賞した公演の最初を飾った
満月の夜を設定にしたショパンの調べにのせたパ・ド・ドゥを思い出し、最後男性が随分と長く高く伸びた梯子を登っていく幕切れから
休憩時間に思わず正直に「出初め式を想起」と周囲に話したところ、ショパンの曲のバレエでよくもまあそんな和の儀式が思い浮かぶと驚かれたが
でも半纏や鉢巻間違いなく似合いそう、梯子の上で上手くポーズ取っていそう、と同意を得られたあの盆の夜も忘れられません笑。
翌年つまり今夏の光GENJI或いはハワイアンセンター(周囲の方々の表現拝借)より遥かにさまになる、粋な格好かと思います。



ホテルの部屋にて晩酌、キレ味が良いと酒蔵スタッフにご紹介いただき、大きさもちょうど良いためお猪口も一緒にこちらを購入。
写真撮り忘れてしまいましたが、同じ通りに面していた山田パン のロールケーキ(卵たっぷりであろう生地とふわっとした生クリーム、練乳も入っていた気が)
パストラミビーフを挟んだ胚芽パンのサンドイッチも美味しうございました。千駒さんのお酒で晩御飯です。
山田パンさんの絵、同意者はいないと思うが、寛いでいるときのフランスの哲学者デカルトに見えるのだが気のせいか。
昭和26年創業の老舗パン店です。
ところでロビーにておかわり自由のコーヒーを飲みながら(濃いめの淹れ方で、水源良好な強みが生かされているのか滑らかな喉越しで大変美味しうございました)
新聞も自由に閲覧可能であったため福島民友に目を通してみると、占いのページにて7月生まれ(確か星座ではなく生まれ月であったはず)
やりたいことが実現する日と記載。的中でした。



ホテルから白河駅へ向かう通り道沿いの、白河ハリストス正教会。ちょうど礼拝中で、
内部は写真撮影禁止ですが中へ入ることは可能のようで、外から少し覗いてみました。
黄金色に輝く荘厳な内装で蝋燭の火が灯され、厳かで清い空気に満ちていたように思います。外には薔薇の花も咲いていました。
そしてモスクワにもまた行き、クレムリンも再度訪れたいと懐かしさが込み上げてきます。
加えて私の目が黒いうちに、新国立が再び海外公演できる日が到来しますように。ワシントンD.C.、モスクワと続けて制覇する気満々です笑。



プラネさんの記念舞台を祝すかのように、前日とは打って変わり朝から快晴。白河駅の可愛らしい駅舎が青空に映えます。
ステンドグラスの光も色鮮やかで、ずっと残していて欲しい建築です。



観光案内所で自転車借りて、いざ近場へ。午後一には本来の目的である鑑賞を控えていますから、すぐそばの小峰城あたりを散策です。
南湖公園や白河の関跡はまた次回に。
お城を背景に自転車を撮影。バレエ鑑賞旅先での自転車は、愛媛2回、姫路2回、京都、滋賀(琵琶湖)に続いて、何回目かよく分からんが笑、毎度快適でございます。



入口に自転車を駐め、(ボランティアガイドさんが優しく教えてくださいました)いざ中へ。
ほほう、お侍さんが颯爽と歩いていそうです。(この後お目にかかるのは西洋の王子様と将校なのだが、暫し妄想)



新白河駅方面の景色、山並みが美しい。ちょうど新幹線が通過です。



実はこの日、鑑賞したい両舞台が重なっており、悩みましたが2007年以降大阪開催時の舞台は欠かさず出向いていたKバレエスタジオさん、今回初の欠席と至りました。
大阪と福島、どこでもドアが発明されない限り1つの身体では梯子鑑賞は不可能な距離であり、当方今回はみちのくから浪速に向けて応援でございます。
松平定信公も応援してくださっています(多分)。
ただ重なったのが日程のみならず両スタジオとも第35回の節目であること、
(ケイスタさんはKチェンバーカンパニーの公演や私も時々伺っていた山陰支部の舞台も含めれば回数はもっと多くなりますが発表会としては35回目)
ご出身の府県且つご出身スタジオの出演舞台である点も共通。何か良きことの前兆であると嬉しうございます。
欠席の旨は東京から初めて行く予定の方やケイスタさんの舞台を始め大阪常連の約20名の方に連絡を入れ、
中には詳しい理由も打ち明けた方もいますがどの方も優しきご反応で
初凱旋なら福島行かなあかんて!!どう考えても梯子は無理やからと笑ってくださった方や
或いは、大阪からも応援しています、お酒とラーメンもしっかり味わうように笑、大阪はレポートするから白河に集中せな!!等々
あたたかなお声ばかりであったのは救いでした。
やり取りする中で、突如の主役変更告知翌日の本番を私も観に行きましたが2年前9月の大阪フェスティバルホールにおける子ども『白鳥の湖』公演急遽の主役登板舞台を
ご覧になっている方々もいらっしゃり、素敵な王子様が来はった、幕開けの立ち姿からして品がある、また関西にも踊りに来て欲しい
ちょっと渋めの落ち着いた雰囲気で派手ではなく華がある、○○さんが好むのもよう分かる笑、等々
褒め言葉を幕間や終演後にお聞かせくださり以来一層の理解を示してくださっている方や
我が人生最大の夢の共演日であった、今年5月の新国立プティ版コッペリア本来のファーストキャストトリオ日に
関西から初台へお越しになる予定であった方が何名もいらしたことも、また関東以外のバレエスタジオへの鑑賞遠征そのものも実質初であった
2007年夏のケイスタさんの舞台以降どれだけ多くの方と大阪や四国で知り合い繋がりが広がったか、このとき再度思い出しては胸熱く。
クラシック全幕、コンテンポラリーの大作両方を無事上演との記事を投稿で拝見、ケイスタさんにも心より祝意を表します。



昼食は小峰城からすぐの二ノ丸茶屋にて名物だるまバーガー。



白河の米粉を使ったパンにはだるまさんの焼印。食べるのが勿体無い、これまた純朴な可愛らしさです。
カツは白河清流豚だそうで、身がふわっと且つ締まり、サクッとした揚がり具合も宜し。眼前に広がるお城と芝生のゆったりとした景色を眺めながらいただきます。



コミネス外観。和洋折衷な綺麗な建物です。隣には大きく立派な白河市立図書館があり
同じ建物内に、赤いだるまさんをくださった方が関わっていらした産業サポート白河さんの産業支援センター部門があるようです。その節はありがとうございました。
当時渡邊さんの話を従業員の方にしましたら、バレエのことはよく知らないが白河所縁の方の華々しいご活躍の話を聞けてとても嬉しいと仰り
お一つお好きな色をどうぞとくださったのが白河だるまさんでした。これからも白河を宜しくお願いいたしますと最後まで丁寧な語り口で
こちらこそ本当にありがとうございますとお礼を申し上げながら、お互いなかなか頭を上げられなかった、そんな記憶が思い起こされます。
当時はまだひっそり注目応援状態であったためお名前の発音にも慣れておらず、そして喜びもひとしおで、感情が丸々顔に出てしまって赤面になっていた可能性大です笑。



コミネス入場。しらかわんも感染防止対策を呼びかけです。



今年開場5周年とのこと。しらかわんも祝福しています。渡邊さんが新国立入団の頃に開場したようです。
そして何処へ行ってもしらかわん或いはだるまさんが見守ってくている白河です。



終演後、余韻に浸りつつお食事。白ワインに魚のトマトソースソテー。パンの他スープとサラダ、ソフトドリンクも付き
(夜のセットでこんなに手頃価格で良いのか心配にすらなってしまいましたが)
トマトソースの果肉の食感がしっかりとあり、カリッとした焼き上がりも香ばしく、美味しくお値段もお手頃。ご馳走さまでした!



夜の新白河駅。松尾芭蕉像が建っています。いずれは渡邊さんも芭蕉のお隣に像が建てられる日も訪れるでしょう。西郷、白河が生んだ誇りです。
その前に、新国立劇場バレエ団のプリンシパル昇格は福島手帳(実際にあります。ミデッテ日本橋ふくしま館でも販売されていました)にも
掲載されるべき事項かと存じますが、ここに書いてもしゃあないか。
以下余談、学業成績は常時底辺であった管理人ですが国語の古典で唯一好きであったのが奥の細道でした。
源氏物語の雅やかな貴族絵巻よりも、平家物語の壮大な戦国浪漫よりも、渋く淡々とした文体や旅情が好みに合っていた女子中学生でございました。



さて東京へ。さらば白河・西郷、また会う日まで!!



白河だるまさん達も無事帰京。行きの新白河駅では白河市以外の地域のパンフレットも貰い、次回訪れるときは
状況も落ち着いていると願い、とら食堂含めてより広範囲を自転車移動したいと思っております。
しらかわんのキーホルダーか何か買えば良かった、或いはキビタンのストラップにも惹かれます。
だるまさん達、顔を合わせて旅話に、何より煌々とした凱旋舞台の余韻に管理人と同様まだまだ浸り花を咲かせているようです。
麗しいデジレ王子に洗練と凛々しさ、そして燃え盛る熱さも秘めた軍服リュシアン、今もなお目に心に焼き付いております。