2026年9月8日火曜日

多彩な宝で満たされた信州のお盆 ESSENCE その先へ Ballet Gala in サントミューゼ 8月16日(日)《長野県上田市》








だいぶ遅くなりましたが、8月16日(日)長野県上田市でESSENCE その先へBallet Gala in サントミューゼを観て参りました。
https://www.santomyuze.com/hallevent/20260816_balletgala/

長野県での鑑賞は新国立劇場バレエ団2017年イーグリング版くるみ割り人形(同じサントミューゼ)、2019年こども白鳥の湖岡谷市公演以来3度目です。
プロデュースは八幡顕光さん、上演作品の殆どは宝満直也さん振付。新国立劇場に縁ある方々が集い、どれもカラーが異なる作品構成。
今年の鑑賞上位7本に間違いなく入るであるう面白い公演でした。

オープニングはずっと作品は伏せられていましたが、八幡さんがカルミナ・ブラーナの神学生2ソロを披露され発狂!
忘れもしない2005年の初演時、タイトルは知っておりダンスマガジンのリハーサル記事も読んでいましたが、いざ鑑賞して大衝撃受けた作品で
新国立レパートリー古典以外の三大前向き衝動に駆られた作品のうちの1本です。(あと2本はエイフマンのアンナ・カレーニナ、ドゥアトのポル・ヴォス・ムエロ)
八幡さん、研修所を卒業して入団早々にゲスト降板で抜擢され、スーパー銭湯へ行く前に電話がきたため、お風呂場で先輩達と確認作業をしていたとインタビューで仰っていたかと記憶。
のちの再演でも踊られていますが、しかし初演時から21年が経っていながら体型も身体の切れ味も不変で化け物なパワーで披露されました。

Triptyque-Burning Waterは花形悠月さん、山本涼杏さん、上中佑樹さん、森本晃介さんの4人が出演。
トリプティークといえば宝満さん始め研修所出身者はアステラスでも披露機会が多くあった、
手をぶらぶら下に振りながらの登場や全身を斜めにしながらのウェーブポーズなど、牧阿佐美さんの振付が目に身体に刷り込まれているでしょうに、刀を題材に描き出す手法に驚き。
見得を切るようなポーズから繰り出す火と水、相反する要素が刺激与え合うやり取りも見応えあり。
特に山本さんのシャープで切り込みの深い踊り方や身体を自在に操る技術の高さの注目いたしました。

眠れる森の美女より目覚めのパ・ド・ドゥはこの日唯一の古典作品からの抜粋。共に英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団にてプリンシパルとして活躍していた
佐久間奈緒さんと厚地康雄さん(厚地さんは新国立でもキャリア構築)がご披露、ピーター・ライト版でございます。
基本ファンファーレな目覚めが好みなのだが愛を確かめ合う過程を何ともしっとり描き出しているのでしょう。
録音音源のはずだが、お2人の身体から音楽が優しく響いてきました。

Tarantellaは福田圭吾さん、八幡顕光さん、五月女遥さんのトリオ。出演者もストーリーも聞くだけでお腹が振れそうになりましたが、
いざ観れば技術大職人且つ笑いのセンス、ツボを心た3人だからこその極上大騒動。
キャンプ場に来てテントも張り、椅子に腰掛けてお酒も入った夏休み満喫中の3人を毒蜘蛛が襲う展開で蜘蛛役についてはあえての未掲載だったのか、
宝満さん作品のネタ系ミューズであろう小柴富久修さんがご担当。
黒い全身タイツに毒蜘蛛の脚をリュックのように背負い、音楽開始前に暗闇からすっと表れ、じわりとした笑いがまずは会場を包みました。
とにかくずっと同じテンポの曲であっても毒蜘蛛からの奇襲、恐怖、逃亡、卒倒を正確な音感に裏打ちされたテクニックで会話するように魅せるトリオで
音楽の変化への呼応や間の取り方、それぞれのソロへのバトンタッチ、何もかもが隙なく完璧の域。
例えば五月女さんなんてコメディのイメージはそれほどはなかったが無理に笑いを取るうとせずとも、毒蜘蛛に刺されて脱力して男性陣に項垂れても尚、脚先は鮮やかにステップを踏んでいて、
真の職人だからこそ繰り出せる技でしょう。そのギャップに更にお腹の捩れが止まらずでした。
尚、この作品と球ピン、美女と野獣は上演前に説明アナウンスが入り、どうやら堀之内咲希さんであったもよう。
タランテラでは可愛くも後の大騒動を予期させる不気味さを含んだ声色で楽しませてくださいました。
実は上田駅に向かうバス内で出発早々に飲み物をこぼされてしまった方がいらしてちょいとハプニング発生。
今思えばタランテラの音楽流したら状況にぴたりと嵌ったでしょう。いや、それどころではなかったのだが笑、乗客同士結束して短時間で乗り切りました。
こぼしてしまわれた方、もしお読みになっていたら、誰にでも失敗はありますからどうか気を落とさずに。
到着できるか分からぬ状況での大阪から秋田へのプロペラ機移動を筆頭に、この夏の観劇そのもの以外の遠征強烈出来事の1つとして数えております。

Eclipse一月が消えた夜一は米沢唯さんと渡邊峻郁さん。かぐや姫をモチーフにした作品とのことで音楽はチャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章を使用です。
儚いシルエットで登場し、手を翳したかと思えば繋いでステップを紡げば美しくも胸抉られるような残酷さ、
一方で達磨さんが転んだを戯れるような可愛らしいピュアな空気を往来して感情の発露が忙しい秀逸作品でした。
リフトもただ持ち上げるのではない、2人の溶け合う感情のせて語る渡邊さんの匠の技が織りなす変形の連続なサポートに何度心や目を奪われたことでしょう。
それにしても、壮大な交響曲に負けぬどころか音楽と感情の溶け合いをぐっと押し上げながら大会場を満たすお2人の円熟味よ。
音楽のフレーズといいパ・ド・ドゥのフォルムでも訴えかける力といいエイフマン版アンナ・カレーニナを思い出してしまいました。今ならこのお2人ぴったりでしょう。
アンナとカレーニン、アンナとヴロンスキー、どちらも絵に物語になりそうです。

『球とピンと私たち』は小柴さんと宝満さんがコンビとして臨んだ初演の2013年、全日程観て大笑いした記憶がありますが、プログラムによれば初日は一切笑い起こらずであったのか。
新国立劇場での全身タイツ系衣装パフォーマンスはカルミナ・ブラーナの神学生3の下着1枚姿よりも刺激強く壁が厚く高過ぎたのでしょう。
初演時は全身タイツ系は小柴さん、宝満さんはボーリングに取り組む少年な格好でしたが
大人数版は花形さん山本さんと、宝満さん厚地さん以外の男性ダンサー陣で、まさかの全員同じ全身タイツ系+赤色キャップに赤色半ズボン姿な衣装とは。
お尻突き出しも懐かしい。音楽は2Cellos。ボーリングルールのアナウンス後の音楽が始まる前の静けさに包まれた状態の冒頭では、公演の舞台監督であり嘗ては新国立劇場バレエ団にて
宝満さんらと同時期に在籍なさっていた小口さんがご登場。2名のピン?に指示を出していたところ、思いがけず客席から
小口さんのお嬢様による「パパ!パパ!」の声が加わってぶっつけ本番の可愛い演出として成立。
きっと自慢のお父様で、普段は舞台の裏手にいるお父様が今回は舞台上に登場、お嬢様にとってどれだけ誇らしかったことでしょう。
直前演目で踊っていた渡邊さんは宴会に遅れてきた部長風に途中から堂々と登場。大真面目顔で、しかしさっきまで儚いシリアスな作品踊っていたと思えぬくらいに
身体は弾けていらして笑。全身タイツはトゥールーズ時代の死せる女王以来かもしれません。
振付が非常に素早く捻りもたっぷりで、1人が少しでもミスしたら大崩れになる崖っぷちを歩くようなぎりぎりを行く作品ながら
誰もが水を得た魚のように音楽と戯れるようにメリハリ出しながら踊っていて、至高のおふざけパフォーマンスでごさいました。
最後、放射状に倒れ込んだピン達の中からおやゆび姫の如く現れてボーリング放って歓喜する女性が!小野さんだったようです笑。

美女と野獣は2020年に大和シティー・バレエで小野絢子さん福岡雄大さんを主演に迎えて初演。
翌々年の配信にて視聴し、衣装のキュートな色遣いといい選曲の妙といい生で全幕観るべきであったと大後悔時代まっしぐら状態になった記憶がございます。
今回は晩餐会の場面を抜粋上演。ベル、野獣、お猿の支配人、求婚者達、小鳥達も集い、可愛らしくもちょこっと危険も、されどユーモアと愛情いっぱいな晩餐会の始まりです。
プログラム解説によれば、野獣が住むお城の動物達も総出でベルをもてなし、小野さんがそれはそれは美しい愛らしいベルで、
きらりとした水色ドレスな衣装着ての軽やかな登場にほおが緩みっぱなしに。
見かけは強面だが高貴な品は持ち合わせているもののつい険しい顔で接しては戸惑う野獣を厚地さんが細やかに変化をつけながら体現。
臆することなく会話しては愛情を受け止める、ただ綺麗なだけでなく勇気や肝が据わったベルと、
優しく接しようと努めるも失敗続きな部分がかえってチャーミングに映る野獣とのやりとりにすぐさま引き込まれました。
力持ちである上に長身の野獣さん、ベルをひょいっと持ち上げると大木のてっぺんに到達したかのような高さといい、
高所でひっくり返すポーズも高度が恐るべし。ベルは困り顔であっても怯える様子はなく、頼もしや。
おサルの近衛兵隊長の福田さんが実質取り仕切り役で、続々と入ってくる個性豊かなキャラクター達を出迎えては
場の移り変わりを伝えては次へと繋げて行く橋渡し役として存在。また野獣へのアドバイザーも兼ねていて、ベルへの優しい接し方を伝授するも野獣さんがとことん失敗、
思い通りにいかぬもどかしさも愛嬌たっぷりに表現されて、そうかと思えば次のキャラクター達を迎え入れたりと
やること山積みながら全体の交通整理な役割も果たされ安心感を与えていらっしゃいました。
おサルの近衛兵コンビの上中さん、森本さんも身体の可動域をフル活用しての忠実なお仕えぶりが楽しく映ります。
チュチュに羽根の質感が盛り込まれたオオルリ、カナリア、ローズフィンチもカラフルで愛くるしくも細やかなパがぎっしり。
しかしベテラン職人五月女さんと若きテクニシャンの花形さん山本さんの組み合わせな面々ですから、皆歌うように軽やかでございます。
大島沙彩さん、鬼頭楓さん、下川佳鈴さん、堀之内咲希 さん、松本鈴香さん、松本柚香さんによる黄色い衣装のメイドの小鳥達も
脚をパタパタさせながら舞う振付も嘴っぽい表情作りも全員お手の物。

そして配信時も驚かされた求婚者達の暴れっぷりも見事で、公演前々日に金曜ロードショーで風の谷のナウシカの放送を観ていたためか
トルメキア兵士をも少々彷彿。戦士風デザインの黒い衣装もカチッと締まりがあって皆様お似合いです。
匍匐前進しながらだったか笑、忍び込んで顔はサルに扮して、舞踏会を掻き乱していくものの
高難度な技術がゴリゴリと刻み込まれた振付をいとも易々と踊られ、大きな空間使いといい瞬発力といい驚嘆するばかり。
全幕初演時とは3名とも出演者総入れ替えで八幡さん、渡邊さん、小柴さんで臨んだわけですが、渡邊さんの悪さをギラつかせつつもダイナミックに突っ切っては
細部の部位にまで振付を染み込ませた身体で縦横無尽に踊り抜く高度な技術表現にはぶったまげました。
多くの出演者が複数本掛け持ちで臨まれている今回のガラですが、この日約2時間で全く違う色合い且つ運動量多し作品3本目です。
渡邊さんの新国立入団3年目の頃のインタビューだったか、留学時代に目撃した、プロになってからもレッスンに来ていたフリーデマン・フォーゲルについての印象を表したお言葉を
そのまま拝借しまして、今回の渡邊さんこそ「人間じゃない」と唸らせた次第です笑。

晩餐会の場面のみ観ても選曲が秀逸で、ショスタコーヴィチのバレエ組曲等を使用しており、少し風変わりで時に偏屈で、
しかし花が咲くような愛らしさも隠れ、宝満さん版美女と野獣のために作曲されたかと錯覚するほどにキャラクター達の感情を物語る旋律でございます。
そこへ宝満さん特有の、音楽の隅々まで身体が触れるような細かい高難度の振付が入るも、見せ方を計算し尽くしているのか
観ていて疲労感はなく寧ろ色や形もきちんと整えられた中でダンサーが躍動する、そして食品栄養成分表が綺麗なグラフを形作るかのように、
似たり寄ったりがなくありとあらゆる味わいの作品を続々と生み出していく手腕にも舌を巻いた信州でございました。

カーテンコールは美女と野獣の音楽で、衣装はそのままで1部の作品を辿る構成もまた楽しい。
タランテラトリオは鳥さんとおサルの支配人と求婚者が再び倒れ込み笑、Eclipse〜月が消えた夜一は求婚者の格好のままの渡邊さんが
白い透け感ある衣装を纏った米沢さんをリフトしながら駆け込んできては更に高所へと持ち上げ、米沢さんの体重を感じさせぬ走りっぷりに驚愕。
王がお姫様を連れ去ってきた新たなお話をも思い浮かんだと、友人が素敵な例えを挙げていて、当方もときめいてしまったものです。
米沢さんが天女のよう!!と反応を寄せてくださった方もいらして、観る者に格段と訴えかけてくるカーテンコールでございました。
カルミナジャンプも再び披露なさってから観客の声援に応える八幡さん、そして割れんばかりの拍手で宝満さんが迎えられ、喝采に溢れたお盆の上田市でございました。
八幡さんのプロデュース力に、実行委員代表で上田市ご出身の若林佳代さんの行動力にも再度感謝が湧いてきます。
多彩な宝なる作品で会場を満たしてくださるほぼ宝満さんガラ、大成功でございました。




カーテンコールは撮影可でした。米沢さん渡邊さん、高々リフト〜



更に高く!



目を合わせてにこやか。この衣装、渡邊さんの目眉キリッとした顔立ちにもしっくりで、中央アジアあたりの貴公子或いは戦士な雰囲気も。



トリプティークチーム!衣装はサルと鳥達です。



眠れる森の美女と野獣です。繋がっている?ややこしい笑。



タランテラ。おサルと求婚者と鳥がパタン笑。



カルミナジャンプな八幡さん!



呼んできます〜



宝満さん登場!



横一列



月組拡大です。



あとは時系列に。東京発上田駅行きバスの車窓から。しらかわん、ふるさとの景色に似ていて郷愁感漂わせています。里帰りはこの約2週間後です。



車内の騒動にて少しだけ助け舟を出しただけですが、隣席の方がお礼にとくださった、抹茶タルト。おやつ何も持ってきていなくて、と歓喜していただきました。濃厚で美味しい!



上田城近くにて。



絵本に出てきそうな教会。



信号から山々。



信州へ来たからにはお蕎麦を。塩田屋にて、月を食べた昼。お通しも凝っていて、カレー味のジャガイモ煮付け等、佐久のお酒に合います!
お蕎麦は噛み締めるほど香ばしい。おすすめです!



塩田屋近く。



みすず飴本店!



しらかわんもみすず飴に関心。



更に北へ進み、上田城方面へ。昔ながらの家屋並ぶ風情ある街並み。そよ風が爽やか。



りんごどら焼き、シャキシャキりんごたっぷり。



会場に向かう途中、エトワール!この日朝に一報いただき、4日後にエスプリガラを鑑賞できる運びとなりました。リスクッキーも購入。



天神は全国各地にある地名?この翌週末は南方の天神へ。



駅の椅子。



次の上田訪問時には立ち寄ってみたい駅前の武士をテーマにしたラーメン店。武士ブリュレもあるらしい。フランス仕込みの武士⁈しらかわん、心当たりあるそうです笑!!!



アルクマくん。インタビューにて小野さんが上田でグッズを買いたいと語っていらっしゃいました。球とピンにも出演できそうな被り物も!



新幹線乗ります!



私も晩餐会!宝満さんの面白閃き振付を濃縮したガラでした!渡邊さんの全身タイツ物をようやく拝見できて、しらかわんも喜びに満ちています笑笑。
それにしても、しっとり切ない系から至高のおふざけ、そして悪さ企む人物、とガラであってもトリプル・ビルを丸々観た満足充実度でございました。
1公演の中でお1人でトリプル・ビルなんて、私の中では2017年の新国に眠れる森の美女における、
日によっては1公演でプロローグカバリエ、ロシア王子、ゴールドの三役登板以来でしょう。
懐かしくも、身体は益々多分野対応型になりつつある渡邊さんの万能ぶりに手を合わせたい思いに浸りました。
さらば長野県、上田、また逢う日まで!!

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