2024年4月26日金曜日

新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』ゲネプロ舞台稽古見学会





明日4月27日(土)に初日を迎える新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』ゲネプロ舞台稽古見学会を観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/labayadere/

https://news.yahoo.co.jp/articles/7d4f1b835ad54e780cb874ac1b41f58f0ab1feb8


公演本番は明日からですので感想はまだ抑えめに。まずは開演前に吉田都芸術監督が挨拶。
観客からの支援への感謝、そして大スターフリオ・ボッカさんを指導に招き、厳しいレッスンの中で日々強くなっていくダンサー達の変化を誇らしく紹介なさっていました。
ボッカさんといえば、確か一昨年東京バレエ団マカロワ版『ラ・バヤデール』指導にいらしていて、充実ぶりが窺えるリハーサルレポートを読んでおりましたため
また、フェリやアナニアシヴィリら名花達が信頼を寄せるインタビューも目にした記憶があり、新国立ではどんな指導をなさっていたか興味津々。
お恥ずかしい話、シェリル・イエーガーと来日ゲスト出演された1989年の日本バレエ協会『ドン・キホーテ』の頃は
ここ40年の中でABTが特に好きな時代であったにも拘らずボッカさんをスターとは思っておらず汗
今となってはコーチに来てくださって私まで嬉しい気分に開演前から浸ってしまいました。

さて本日ゲネの配役は柴山紗帆さん速水渉悟さん木村優里さん組。指揮者のバクランさん、オーケストラの方々もカジュアルな服装で、ストップがかかることなく進行。
装飾品の落下物事件やパ・ド・ドゥでのタイミングにハプニングもあれど、柴山さんが強く美しいニキヤとして舞台を引っ張っていて、
しなやかなラインや奉納の情感の哀しみも目に残っております。初役の速水さんは胸をすく登場ジャンプや
ニキヤとガムザッティの狭間でオロオロする情けない面もなかなか面白く、本番も楽しみです。
木村さんガムザッティの場を支配するようなオーラや踊りも本番では更に光り輝きそうな予感がしております。

ただどうしても舞台上にいらっしゃると目で追ってしまったのはソロルの友人トロラグヴァ。
友人にしては貫禄あり過ぎまして笑、(ソロルの上官にしか見えません笑)お1人で10人分存在感を示していたといっても過言ではありません。
キャストが何組あるかは分かりかねますが、28日夜公演と4日昼公演にも配役されていたら、また違った物語が誕生か⁈そんな勝手な想像が過っておりました。
それはそうと、高所からのジグザグ坂を降りてくる影コール・ドの整った美しさ、そして私が特に気に入っており観る度に目の保養になっている
1幕の水色の舞姫達の涼やかな麗しさにも心が洗われ、ゴールデンウィーク中に複数回鑑賞できると思うと今から胸が高鳴ります。

話がドロドロとして愛憎劇が苦手だからと敬遠なさる方もいらっしゃいますが、人間の欲を色濃く描きつつも
全体が緻密且つ品良く壮麗な雰囲気に仕上がっていて、グランドバレエを観た!と心から感じる作品と捉えております。新国立では5年ぶりの上演、前回は平成時代でした。
是非ゴールデンウィーク、初台へ足をお運びください!

ところで当ブログ、暫く更新滞っておりましたが明後日辺り以降は速報でもない速報やら、活性化していく予定でおります。
初台からそのまま460キロの移動が生じる日もあり、他に上野、池袋、ゴールデンウィーク中はとにかく行き先を間違えないよう注意を払わねば。
しかも鑑賞ではないバレエの用事も含む大移動もありますため、慎重な行動を心掛けようと言い聞かせております。身体は、まあきっと持つでしょう笑。




あらすじ資料が配布されました。

2024年4月18日木曜日

矯正施設の若者達の叫びが放つエネルギー ニュー・アドベンチャーズ  マシュー・ボーン版  『ロミオとジュリエット』 4月14日(日)昼




4月14日(日)昼、マシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』を観て参りました。シネマは観ておらず、予備知識ほぼ無しで鑑賞に臨みました。21日(日)まで上演中です。
https://horipro-stage.jp/stage/mbrj2024/





ロミオ:パリス・フィッツパトリック
ジュリエット:モニーク・ジョナス

ティボルト:ダニー・ルーベンス
マキューシオ:キャメロン・フリン
バルサザー:レオナルド・マッコーキンデイル
ベンヴォーリオ:ユアン・ガレット

ロレンス牧師、モンタギュー夫人、看護師:ケイト・オリンズ
モンタギュー上院議員、看守、看護師:アラン・ヴィンセント


物語の舞台設定を中世のヴェローナから近未来の反抗的な若者の矯正施設へと変えた大胆な解釈で、
舞台装置は半円形の監獄。男女の接触がされないよう2手にわかれた部屋への入口があり、原作が好きな者としては果たして楽しめるか不安もありました。
またバレエではないが、国内での公開から明日でちょうど28年が経つレオナルド・ディカプリオとクレア・デインズ主演で現代に置き換えた映画『ロミオとジュリエット』にて
アロハシャツのロミオの受け入れがし難かった私でございます。(加えて世間の声に反してディカプリオがそこまで美男子と思えずでございました。失礼)
しかしボーン版のバレエでは音楽の入れ替え方に違和感もなく、また問題の根本部分は時代問わず変わらぬと思わせ、若者達の叫びが放つエネルギーにたちまち覆われた印象です。

例えば序盤から「騎士たちの踊り」の音楽を用いた一斉の肉体躍動が力強く物語を展開させ、
施設で抑圧された内面と有り余るパワーを解放していくさまを身体で訴えかけ、音楽の強弱や変化ともぴたりと合致。
統制が取れていた点もまた、禁止事項多数であろう施設の窮屈な規則を厳守しながらの生活まで窺えます。
ある公演日には修学旅行生たちが来て鑑賞していたそうですが、仮に初めて舞踊公演を観たとしても、内容の細かな部分までは把握できずでも
開演早々から生の身体表現が作り出す迫力の連鎖に圧倒されたであろう光景が自ずと目に浮かびました。
鉄格子の無機質な音が楽器の仲間と化していたのか閉鎖的な環境をより色濃く描写する効果を与え、加えてプロコフィエフの音楽ともよく合う響き。
ふと考えを巡らせていたところ、プロコフィエフの作品でソ連の工業化発展に光を当てた『鋼鉄の歩み』にて
カンカンと鳴り響く工場機械の音が強烈で(実際は鐘を使って演奏していると思うが)脳裏を過ぎり思い出してしまったからかもしれません。

フィッツパトリックは内気なロミオで、服を脱がされた状態でおどおどしながら壁へと寄りかかる姿がとても哀れ。
ロミオの親は議員で、しかしロミオは捨てられ面会も何だか寒々しく映り、
対して父親は選挙活動で名誉を守り保身に走る様子が上っ面な人間への風刺にも思える行動と見て取れました。

ジョナスは最初から物怖じしない勇気あるジュリエットで、看守のティボルトからの嫌がらせを果敢に跳ね除ける強さのある少女。
しかしティボルトは病に苦しむ面も持ち、歪んだ欲や不穏な心がそのまま暴挙な振る舞いに繋がっているのかもしれないと思うと、孤独で哀れな身にも思える設定です。

中盤、ダンスパーティーは唯一男女の接触が許される場として開かれ、そこでロミオとジュリエットは出会うわけですが
ミラーボールを用いて客席も照らし、舞台上では仲間達にリフトされた2人が向かい合い浮遊するように互いを知る振付や
ティボルトの監視から逃れるようにして対面する箇所も音楽の流れによく乗った演出。
ハイライトでもあろうその後のパ・ド・ドゥでは音楽に身を委ねるようにして繰り広げられるうねりを効かせた振付で、高揚感も十二分。
2幕での集団生活を覗き見るように並べられたベッドを使った群舞も音楽を生かした振付で、
瞬時に上に乗っかったかと思えばすぐさま下に潜って入れ替わりを見せたりと訓練された身体能力や反射神経が不可欠な後半の幕開けでした。
まだ公演期間中ですので終盤の詳細は控えますが、正直観ていて胸が痛くなる場面はあってもはち切れんばかりに迸る若者達のエネルギーが説得力をもたらす展開です。
日曜日昼公演でも空席が非常に多かった点が惜しく、ロミジュリの何かしらの要素がお好きな方は是非シアターオーブへ足をお運びください。




キャスト表



開演前、2階席近くの広々としたホワイエ。開放感があり過ぎるのがかえって寂しいが。(つまり空席が多かった)



東京オペラシティが見えます。



陽光差し込む空間



パーティーでの出会い



カーテンコールは撮影タイムありでした!



帰り、ヒカリエのアジアン料理店へ。赤星が鮮やかなビールです。



携帯電話会社のクーポン利用でのお得なセット。ボリュームございます。トムヤムフォーの辛さが爽快でした。

2024年4月16日火曜日

第1回 BAJ 2023'最優秀ダンサー・振付家受賞式イベント







4月13日(土)に東京の池尻大橋で開催されたBAJ第1回 BAJ 2023'最優秀ダンサー・振付家受賞式イベントに行って参りました。
BAJ  一般社団法人バレエ芸術推進協会は昨年12月に立ち上げられた新しい組織で、概要等がホームページに掲載されています。
https://balletartsjapan.com/

https://peatix.com/event/3886799/view


最初に理事の石渡さん(Dancers Webも運営されています)から挨拶があり、設立経緯や目的についての説明がありました。
今後、バレエ界ダンス界を皆で盛り上げていこうと様々な企画を検討されているようです。

前半は昨年の舞台活動を通しての投票で選ばれたダンサー部門米沢唯さん、振付家部門金森穣さんのビデオメッセージを紹介。
米沢さんは2011年に初主演を務めた『パゴダの王子』公演にて来場されたお母様からの痛烈な一言
(客入りについて、生涯脳裏に焼き付いてしまいそうな厳しめのお言葉でした)が
今も心に残り続けているようで、そんな私がこういった賞をいただけるとは、と何処までも謙虚な言葉で語っていらっしゃいました。
金森さんは東京バレエ団に振り付けた『かぐや姫』全幕制作や今後の展望、また20周年を迎えるNoism Company Niigata公演についても触れ、喜びの言葉を静かに並べていらした印象です。

後半は対談トークショーで、振付・演出家・ダンサー/Dance Marché主宰の池上直子さんと振付・演出家・ダンサー/OrganWorks主宰の平原慎太郎さんによる対談。
司会進行は前半の映像紹介と合わせて元東京バレエ団の松野乃知さん。
池上さんと平原さんから本音が噴水のように出続ける熱量炸裂なお話で、振付の原点、振付を始めるときの順序や重要視する要素、
クラシックと違い体系化されていないコンテンポラリーのレッスンの問題や教育指導の難しさ、
平原さんはスペイン、池上さんはドイツでの在外研修で感じた日本との違いや
国の予算について等々、課題山積な業界について約1時間半喋り通してくださいました。
お2人は初対面だったようですが、そうとは思わせぬ弾みに弾むトークショーで
司会の松野さんによる、ご自身がコンテに取り組んだときの苦労経験を踏まえての質問を挟みつつ、
ときには池上さん平原さんが2人が言いたい放題自由に話を展開して行くときもあり
終始寛いだ空気が流れていた上にお2人の情熱が大充満していて思わず笑い起きてしまったときも多数。
そこまでコンテンポラリー鑑賞が決して豊富でない、しかもお恥ずかしい話で平原さんのお名前は今回初めて耳にした私も引き込まれっぱなしなお話ばかりで
平原さんが三軒茶屋で開催する公演における、日本においては斜めから攻めるアイディアで行く面白企画から
クラシックバレエダンサーのレッスンの積み重ねに対する敬意(ニュアンスやや違うかもですが)
クラシック、コンテ含めての笑えない大失敗談まで(思わず笑ってしまったが笑)、時には身体を使って見本を示してくださったりと
コンテ鑑賞豊富ではない者にも分かりやすい且つ濃縮な内容で楽しませてくださいました。

池上さんの作品は2022年に観た大和シティー・バレエでの『雪女』が今も忘れられずにおり、
本島美和さんによる雪女の人間離れした幽玄な妖気に感嘆し何度肌が凍りついた或いは絹の感触が伝ったか分からず
惹かれ合うも命の危機に身を晒す男を渡邊峻郁さんが自在に体現され、手の翳し方や目の交わし方の全てが繊細に訴えかけ胸を静かに揺さぶられる、
コンテンポラリーをベースにしながらも儚い感情の通わせを丹念に描いた作品でした。
ですから池上さんが振り付ける上で大事にしていると仰っていた感情を紡ぎ上げることや、物語を書くことが子供の頃から好きであったお話に納得。
また惹かれるダンサーの要素として強調なさっていた、空間把握力や目配せ力、自身が今何をすべきか分かっていることを挙げて強調なさっていた旨や
ダンサーへの振付作業時には「あなたはどう思う?」と考えを口にして貰いながら引き出す、やり取りしながら膨らませて行く創作過程も大切になさっていると語られ
配布された5月23日に控えている渋谷の大和田さくらホールにて上演されるオリジナル新作Edenのチラシ主役欄のお名前を眺めながら大きく頷いてしまった私でございます。

今回の授賞式とトークショーの開催会場名はせたがや がやがや館。名付けのセンスが気になりますが笑、
人口が鳥取や徳島よりも多い世田谷区の賑わいを表したのか、どなたか教えてください。
それよりもおばけ屋敷と30年以上前から言われている、重厚建築ではあれど黒みがかった変色が恐怖感を誘う世田谷区役所の改築工事の延期の方が心配です。

それはそうと、初めて知るコンテンポラリー業界の様子を深堀りしていくお話満載な楽しくそして驚きと頷きも多き、聞き応えたっぷりなトークショーでした。
集会所を思わすお部屋に学校の体育館のような舞台や幕が備え付けられ、登壇者との距離も近くお話も聞き易く、
機材トラブルはあったものの実り多きお話の印象が上回ってとにかくエネルギーをがっしりと吸い取られる程に面白い企画でした。
企画してくださったBAJの関係者の皆様、ありがとうございました!



配布資料



和式な椅子。座りやすい。



三宿も過ぎてようやく池尻大橋。小学校でお世話になった先生の転勤先が三宿であったはず。
スポーツ強豪校の世田谷学園はこの辺りで、車窓から野球部の皆さんの姿が見えました。
在学していた高校の野球部が対戦したら大差で敗戦だった記憶。スタンドで吹奏楽応援しておりました。
母校の野球部、都立の中ではまずまず勝ち進んでいたほうだったが壁は高かった。
そして高校の吹奏楽部クラリネット担当のOGから三宿チーズケーキファクトリーのケーキを勧めてくれていたのだが何時の間にか閉店。思い立ったらすぐ行くべきです。



区の施設であるせたがや がやがや館へ行くならば世田谷区横断バスの旅。
世田谷区役所付近、私の生まれ故郷です。生まれたときの病院はもう無いが。



帰り、バス停近くに池尻大橋横丁なるお店発見。1人呑み歓迎とのこと。
スプリングバレーデイドリームで乾杯。爽やか柔らかな飲み口です



キーマカレー。スパイスがぎゅっと凝縮、気持ち良く痺れる辛さでした。



バスで母校(高校)付近を通りつつ祖師ヶ谷大蔵。ウルトラマン達も空想がお好きらしい。夜空に靡くウルトラマンの旗でございます。
そしてウルトラマンは脚が綺麗と気づいた。シュワッチ!
そうでした、最近地球の歩き方にてまさかの『世田谷区』が刊行されたらしい。まあ、広くて人口は多いぜよ。

2024年4月12日金曜日

描かれたデヴィッド・ビントレーバレエ ロバート・ハインデル展




先月末、代官山のヒルサイドテラスで開催されていたロバート・ハインデル展を鑑賞して参りました。
https://www.art-obsession.co.jp/exhibitions/1865/


各地で定期的に開催されているようで、鑑賞は2010年の代官山以来かと記憶。
今回はスターダンサーズ・バレエ団で上演されたThe Dance Houseのために描いた原画展示と告知で読んで興味を持ち、出向いた次第です。
実際見てみると、淡い水色に太く赤いラインや、黒や茶色いところに縦線の虹色模様を大胆に彩ったり、どう考えたら思いつく色の組み合わせであろうかと唸らせ
客席から見るといたくスタイリッシュなデザインと見て取れましたから、閃きの感性に脱帽です。

また関連資料も豊富に用意され、画集や英国王室、日本の皇族の方々との写真や鎌倉観光時のリラックスした表情の写真のほか
ハインデルの絵が最初(確か)に採用された日本のバレエ公演である1988年の舞台プログラム(恐らく青山バレエフェスティバル)など閲覧も可能でじっくり見入りました。
駆け出し、若手の頃の酒井はなさん、高部尚子さん、草刈民代さん、床嶋佳子さん、久保紘一さんら錚々たるお名前が並び
現在も踊っていらっしゃる方もいれば俳優へ転身、バレエ団の運営者、と現在の道は様々です。
その公演では酒井さんと久保さんが『パリの炎』を踊られたらしい。

ハインデルについて取り上げた美術系番組『美の巨人』や、ある公演の貴重映像まで、我々2人組が余りにオタクな気質を醸していたせいか
資料や映像、そしてハインデルのエピソードを含むお話を展覧会の主催の方よりたくさんお聞かせいただき、
ご子息の早すぎる死の悲しみを背負ったハインデルの生涯を知った上で鑑賞すると絵から一層重たいものが訴えかけてくる気がいたします。大変実りある時間となりました。
以前に見たペンギン・カフェのペンギンの絵や練習中の一瞬を切り取った鮮やか且つ苦悩の真っ只中にいそうな姿、
衣装も背景も一見黒系ながら僅かな色味の変化や光の描き方で立体的に見える色使いも目に焼き付いております。
また東京での開催時には足を運びたい展覧会です。




会場近くに、2019年10月シーズン途中昇進のお祝いに訪れた、トゥールーズ周辺地域の郷土料理が美味しいお店。カスレとワイン、大満喫でした。
この界隈に詳しいムンタ先輩が連れて行ってくれたのでした。懐かしい!ワインは自分で樽から入れる仕組みでこれまた面白体験。



代官山駅反対側のチャコットへ。桜な内装、外装で、まだ桜は五分咲きでしたがお店は春爛漫。そして気づけば花は散り、今はもう葉桜です。



レッスンではなく、カフェ利用。(レッスンも、特定の先生のみの受講限定状態ですが)
気になっていたバスクチーズケーキ。滑らかさとホロホロ感の中間辺りな食感。濃いめに挽いたコーヒーとよく合います。
この日は偶然か、なかなかの盛況で男性利用者も多々見かけました。
ハインデル展から一緒にいたのは当ブログレギュラーの我が後輩。身長はそんなに変わらぬはずが腰位置は私より15㎝は高いであろう、見るからにバレエダンサーな容姿です。
美しいダンサーと、ズンドコドッスンな付き人が並んで展覧会会場、代官山の街、チャコット店内を歩き回っていた 昼下がりでございます。

2024年4月9日火曜日

杉並でめでたい年度末決算  エンドウ・バレエ発表会2024『ドン・キホーテの夢』ほか  3月27日(水)《東京都杉並区》





3月27日(水)、セシオン杉並でエンドウ・バレエ発表会2024を観て参りました。2022年夏に続き2度目の鑑賞です。
http://endoballet.com/

主宰は遠藤康行さん須永リエさん。スターダンサーズ・バレエ団で活躍されてきたお2人で、
遠藤さんは新国立劇場でのDance to the FutureのアドバイザーやJAPON dance project、横浜バレエフェスティバルを始め若手の発掘や振付家としても各地で活躍なさっていて
2月に神奈川県民ホールで行われた、中田恵子さん演奏のオルガンとバレエ公演も記憶に新しいところです。

第1部と第2部はバレエコンサート、生徒さんの数が前回より増えた印象もあって、古典からコンテンポラリーまで盛りだくさん。
小さい子供の生徒さん達もとびっきり可愛らしく、舞台上のハプニングさえも微笑ましく映り、
しかも最後はきちんとおさまってレヴェランスはできているのですから拍手です。
小学生くらいの生徒さん達が出演された作品の中には『ゼンツァーノの花祭り』の曲を用いての改訂版があったのも嬉しく
本来はグラン・パ・ド・ドゥ用の曲ながら、シンプルにアレンジされた振付を皆で丁寧に踊っていて、ほんわか春の訪れを感じさせ頬が緩みました。
実は私も太古の昔10歳の頃だったかほぼ同じ曲構成で女子5人くらいでやりまして汗、
しかし当時既にバレエ作品解説書籍を一通り読んでいた変わり者鑑賞偏重な子供であった私は
まだインターネット普及前で動画サイトもなく、デンマークロイヤルバレエの写真からは振付までは把握できなくても
グラン・パ・ド・ドゥとしてトップクラスの男女が踊る作品を先生が無理やり改変なさったと捉えて拒絶感が芽生えてやまず。
私が踊るこの箇所は本来は男性部分ではないか、元を辿れば私のような可愛らしさ皆無な子供が踊っては決してならず
ブルノンヴィルスタイルを体得した選ばれし者のみに許される崇高な作品であるはず云々捻くれた想像に気を取られ1人虚しくゼンツァーノの「恥」祭り状態で終了。
携帯電話やデジカメカメラ普及前の時代の出来事で写真映像が残っていない、拡散もされていないのがせめてもの救いと今も思っております。
今回発表会にて作品が描く世界観を素直にしっかり表現していたエンドウバレエの生徒さん達に敬意を持って鑑賞した次第です。
これを書いていたときは自宅の窓から眺める晴天の下に見頃を迎えた満開の桜が視界に入っておりましたが、
発表会当日はまだ五分咲きだった3月下旬であってもまさに花祭りであったと思い起こされる杉並の舞台です。

グラン・パ・ド・ドゥも増え、前回『海賊』を踊られた生徒さんが雰囲気をがらりと変わってのリーズに結婚にチャレンジされていて
キリッとした美しい品格にとても好印象を持ち、ふわっと軽やかで空間が広がるような踊り方も目に残っております。

メインは『ドン・キホーテの夢』。全幕をハイライト版に凝縮し(実質ほぼ全幕)、遠藤さんがご自身がドン・キホーテ役で
特に夢の場ではさりげなく小さなキューピッドさん達を見守る導き役として場を支え、
あくまで生徒さん達を前面に出しつつプロローグから物語を的確に動かしつつ脇に徹していらっしゃいました。
思えば遠藤さんが本番舞台の上に立つお姿は初見かもしれず(私がスタダンを観始めた頃は既に振付家として名を連ねていた)
マイムが大らか優雅で、優しく語りかけるご様子も妙に新鮮です。

キトリはちょうど前月に観た横浜でのオルガンとバレエ共演でコンテンポラリーを踊る姿が
とても瑞々しく鮮烈であった遠藤ゆまさんで、晴れ晴れとしたパワーのある街娘でとてもチャーミング。
バジルが新国立劇場の渡邊峻郁さん、衣装が床屋にしては随分お洒落で宮廷の執事か財務秘書あたりを務めていそうな提灯袖なブラウスをお召しで
或いは王室御用達の理容室責任者と勝手にあれこれ想像。(そういえば先日テレビ東京の出没アド街ック天国で麻布十番特集を視聴していたら
創業が幕末に遡る日本最古とされる理容室が紹介されていてアメリカ公使館のハリス公使が顧客の1人であったようで、
そういった由緒ある床屋の経営者とも想像いたしました)

話を令和に戻します。キトリとバジルの振付はやや手が込んでいて、2人で戯れる脚掴みの箇所もシンプルなリフトではなく持ち上げながらぐるっと回転させたり
さりげなく複雑な脚技が盛り込まれていたりとなかなかややこしい要素てんこ盛りでしたがお2人とも余裕綽々。
ゆまさんは機敏で、渡邊さんは高い腰から伸びた長い足元持て余さずさらりとやってのける技量もたっぷり目にできました。
2人の掛け合いからはそれはそれは熱々な愛情が発散され、わざと意地悪な表情も見せ合うなど面白カップルな様相の作り方も細やかです。

発表会ですから当然プロの本公演と同じ分量の配役は確保できずであっても人数に即しての改訂も上手く出来ていて
キトリの友人を増やしての街の賑わいや子供達とサンチョのひと騒ぎを大きく見せたり
闘牛士仲間は不在のためスターダンサーズ・バレエ団の林田翔平さんエスパーダが1人で約10人分頑張る等、随所に工夫が行き届いた構成でした。
そういえば9年前、徳島での発表会にて福岡雄大さんが同様の状況で、キレッキレ豪快に1人で20人超!?の存在感を示しながらエスパーダをなさって
観客はもう笑うしかないくらいに燃える男エスパーダ笑。懐かしうございます。

話を杉並区に戻します。従来キトリ友人2人とバジルが踊るトロワは友人が一瞬絡むものの
バジルが殆ど1人で頑張るバージョンで渡邊さん、1人で3人分のパッション放っていらっしゃいました。
この曲、3人で華々しく踊るのが刷り込まれ過ぎていざ1人で披露となるとかなり踊り辛い、見せる難度が高くなると思うものですが
(当方、子供の頃発表会でこの曲で女性用ではない衣装を着用して1人でやりまして、しかも無背景で自身以外誰も舞台上にいない状態で。
詳細綴ると重苦しくなる大トラウマな出来事のためこれ以上は割愛しますが)
規模も立場も器も小さい自身を例えに出すのは憚られますが、それはさて置き3人並んで当たり前な曲であっても、
いざとなればお1人でも違和感なく場面描画が可能である渡邊さんの凄腕ぶりを見せていただいた思いでおります。

結婚式はファンダンゴが斜めに斬り込んでくる展開を始めパリ・オペラ座のヌレエフ版に近いと思われる振付で、全員で要所要所を潔く決めていて爽快。
リーズを踊られた生徒さんのメルセデスと林田さんエスパーダによるリードもビシッと締めてくださっていよいよ結婚式へ繋がる良き流れです。
キトリとバジルは白系の衣装で整えられ、これまたお洒落。バジルが紫に近いピンクのサッシュ入りの金白キンキラ衣装で目を奪われ、しかも着こなしが自然。
2月の国際アカデミアでの人間金閣寺な衣装といい、ホフマン物語での高露出度な半魚人風衣装といい
一歩間違えれば寒気漂う失敗作のコント状態になりかねないキンキラキン系或いはギョッとするデザインの衣装でも
生来の端正な美しさと舞台姿のオーラ、双方とすんなり調和してしまうのでしょう。
お2人のテクニックが冴えてパ・ド・ドゥもめでたさ一杯でした。ヴァリエーションやコーダでは
勢いと高さ両方が上昇気流に乗り切っていた渡邊さん、危うく杉並車庫まで跳んでいくかと思ったほどです。
最後、皆で手を繋いで輪になっての大団円にて、背丈のある身体をちょこっと抑えながら子供達とも足並み揃えて真面目に頑張るバジル、かえってお茶目に映りました笑。

コンサートもドンキも生徒さん達が楽しそうで、ゲスト陣も特にドンキは物語の支え手としてガチッと纏めてくださるご活躍。
平日の杉並にて幸せな年度末決算となりました。帰宅後も暫くは夢が続いた発表会です。




新国立劇場方面、セシオン方面、両案内を兼ねた道路標示。銭湯の前を通りかかったら営業時間前から待つ方々で賑わっていて、
地域の憩いの場として栄えているようです。



バスで環状七号線直進の旅、約10分!晴天に恵まれ、京王線代田橋駅から頑張れば徒歩移動も可能だったと思いますが
強風且つ花粉大量飛散であったためおとなしくバスに頼って向かいます。



降車すると会場はすぐ。まさにドンキな青空!そして建物の内側が中庭のようになっていて、ドンキの舞台美術思わす造りでした。
雨天や肌寒い日が続いた時期でしたがこの日の午後は快晴。しかしこの青空以上に爽やかであろうバジルに夕方以降はお目にかかると思うとニンマリ。



早くに着いておりましたので、せっかくですので青梅街道沿いの杉並車庫近くのお菓子屋さんCafe neigeへ。食事メニューも用意しているらしく、夜も営業とのこと。
地元密着人気店で平日15時にはケーキはほぼ売り切れ、シュークリームはありました!



盛り付けがカラフルでお洒落。さっくり香ばしいシュー皮にコクのあるクリームがたっぷり。コーヒーは濃いめの挽き方。



セシオン杉並の中庭にある像。爪先強調!



帰り、お腹の声が店へと誘導。平日に嬉しい年度末祝いに乾杯です!

2024年4月5日金曜日

ロットバルトが1幕から王妃も支配する闇  田中千賀子バレエ団バレエスクールDream6『白鳥の湖』全幕  バレエ・コンサート  3月24日(日)《福岡市中央区》





3月24日(日)、福岡市で田中千賀子バレエ団Dream6『白鳥の湖』全幕、バレエ・コンサートを観て参りました。
福岡県での鑑賞は2007年坂本バレエスタジオ20周年記念『眠れる森の美女』、2015年『ドン・キホーテ』、2019年『真夏の夜の夢』(ともに田中千賀子バレエ団)、
2023年12月の博多座「市民檜舞台の月」公演西区フィルハーモニーオーケストラ&SUGAI BALLET STUDIO『くるみ割り人形』全幕に続いて5回目でございます。
※ポスター、プログラムデザインは福岡を拠点に活動なさっている諫山直矢さん。麗しい絵が目を惹きます。


田中千賀子バレエ団のご投稿にたくさんの舞台写真掲載されています。どうぞご覧ください!




第1部はバレエ・コンサート。小さな子供の生徒さん達の微笑ましい作品もあればドン・キホーテ、海賊、タリスマン、ダイアナとアクティオン、と
グラン・パ・ド・ドゥも何本もあり、しかし出演者の一生懸命な様子やパ・ド・ドゥがどれもしっかりハイレベル
且つ田中バレエの特徴でもあろう誰もが上品に纏めていてこれ見よがしな部分が一切見当たらず。
格式高く踊るように訓練されているのか観ていてこちらまで背筋が伸びそうな心持ちとなって1時間超えもあっという間に感じたのでした。
最終を飾った松田カンナさんとマイヤー敬洋ハリーさんによる真夏の夜の夢パ・ド・ドゥがびっくりするほどに丹念な踊り込みで
何しろこのパ・ド・ドゥ、私は昨年英国ロイヤル側から指導者も招いての初台公式上演で「7回」観ており、7回も観れば振付も細かな部分も自ずと覚えてしまうわけですが
松田さんの身体の艶かしい使い方や仕草の呼吸、強弱の付け方や目線の送り方といい粗が寸分も見えず。
前回鑑賞した2019年のジゼル2幕パ・ド・ドゥにて、身体から雫が静かに滴るような清らかなジゼルに度肝も抜かれ、
清水健太さんアルブレヒトと揃って全幕を観ている気持ちにさせられたときに続いて今回も幕物の中の世界がそのまま出現した仕上がりに驚かされた次第です。
ハリーさんの緑色モシャモシャ衣装も絵になっていて(昨年のゴールデンウィークにおける諸事情で、私はオベロンに対する採点が厳しいのです笑)、妖精王として君臨。

メインは『白鳥の湖』全幕。オデットは主宰の田中ルリさんで、柔らかな背中を生かした大きな羽ばたきが実に滑らか。
手を掲げるポーズ1つで周囲の空気が変わり舞台が格の高いものになっていた印象で、悲しみに打ちひしがれる感情が全身から波打つように伝わりました。
アダージオでは心の震えがそのまま音楽と溶け合って情感豊かに表れ、 一方白鳥達を前にすると長らしい威厳を湛え、
白鳥達を一身に守ろうとする強さと、閉ざした心を王子の前で開いていく過程の健気な美しさの双方が覗いて
大掛かりな公演の全体を背中でしなやかに率いていたお姿も心に刻まれております。
田中千賀子先生のご挨拶文によれば現在はバレエ団、スクールの経営をルリさんが一手に担っていらっしゃるようで、
コンクール審査員やワークショップ指導等各地で大多忙なスケジュールに追われる日々でしょうに
僅かなステップであってもふわりと優雅な余韻を残し、物語を動かしていく踊りの一瞬一瞬に目を奪われ、自己を律しながらの弛まぬ訓練の賜物なのでしょう。

オディールの松田さんはゴージャスな美で王子を翻弄してこれは騙されても仕方ないと感じずにいられぬ魅惑的な姫。
音楽を全身でたっぷり使いつつポーズが正確で崩れず型をきちんと保ちながらも醸す色香は芳醇でうっとり。
また過剰な表現には走らず、抑えるべきところは抑えてあくまで品良く仕上げていく点も好印象でした。
今回はオデットとオディールが1人2役ではなく、田中さんと松田さんは当然お顔も似ているわけではないはずが
腕の使い方、指先の表現において香りを奏でるような優雅さを描き出す仕草がよく似ていると観察。
ですから白黒全く違っていてもふとした瞬間に王子がオデットとオディールが重なる旨が納得いく展開と思えたのでした。
オディールの頭飾り、衣装模様も豪華でしたが松田さんご自身のオーラが着用物を超越し、ロットバルトとひっそりと話し合う下りまでもが危うい色めきが充満。

そしてロットバルトは山本隆之さん。田中バレエ独自の版で1幕から王妃の側近に化けて王妃の心をも操りながら城内を支配するキャラクターとして登場し
黒い衣装に身を包んでの佇まいにああ身震い。時間戻って、プロローグでオデットを背後から捕らえて白鳥の姿に変える箇所からして
ど迫力な音楽をも覆ってしまうほどにドラマティックな嵐を吹かせていらっしゃいました。
全身特に眼光から恐怖な光を発し、悪魔なモシャモシャ衣装も馴染むのみならず神々しさが更に増強。
崖の上でも地上でも、白鳥達を従わせ、オデットと王子を引き裂こうと意のままに支配するお姿に何度も仰け反りそうになりました。

プロローグや1幕からして怪しい光を帯びている演出には例えばヌレエフ版やライト版も同様かと思いますが
前者は家庭教師として王子を沼へ誘き寄せ、後者はプロローグから葬送行進で始まり王子と王妃は着替えはあるものの一貫して黒い衣装でずっと喪に服している演出。
両者ともだいぶ陰鬱な雰囲気が漂っていると思いますが、田中バレエ版はあくまでロットバルトは王妃の側近として1幕は登場し、
祝祭的な部分をたっぷり見せながらも側近ロットバルトと王妃のやり取りには怪しげな空気が凝縮。
そのバランスが面白く、青空も見える屋外での爽やかなお祝いの真っ只中にじわりと黒い光が接近する緊迫感、双方の面を色濃く描出していた印象です。
それにしても、仮に動きはなくても、例えば椅子に腰掛けて辺りを鋭く見据える表情からして
寒帯恐怖圧を放つ不気味さやおっかなさ、加えて心臓を貫通させそうな冷たい色気は何処からくるのでしょう。
2024年は2月と3月、24日は(2月は23日も含むが)2ヶ月連続悪魔記念日な管理人でございます。

王子とベンノの友情にも重きが置かれ、特にベンノは王子の友人兼秘書、マネージャー並みに大活躍。
青木崇さんの王子は最初から風格があり一見お困り坊ちゃんな様子はないものの意外と抜けている部分がある設定なのか笑、
3幕舞踏会では幕が開いても着替えせず白い衣装のままで、身支度間に合わぬそそっかしい駄目王子っぷり。
マネージャーや秘書どころではないオカンなベンノに催促される始末で、そんな王子の第二の親とも思えるベンノの田中陣之介さんは
あちこちで踊る、支える、王子のお世話する、時には励ます、現実を見るよう促す、と大忙し。
1幕パ・ド・トロワはステップ詰め込みな高難度な振付で、王子の2人の妹とベンノが踊る設定として披露され
脚がつりそうなややこしい動き満載ながら鮮やかにサクサクとこなす3人に大拍手でした。

王妃の心理も物語を左右する鍵となり、特に4幕に向けてドラマを加速させるほどに重要視した設定で登場。
1幕ではまさか操られているとも知らず側近ロットバルトの言いなりになっていた王妃が
3幕舞踏会の最後、王子がオデットと間違えてオディールに愛を誓ってしまって大後悔する箇所で王妃もようやく自身がロットバルトに操られていたと自覚して我に返り
王子のみならず王妃も自身の過ちに対して悔いて嘆く、何十にも懺悔が絡んで拡大。一気に4幕湖畔へと繋げていらっしゃいました。

それから子供から大人まで、白鳥のコール・ドがよく纏まっていた仕上がりも心からの賛辞を送りたいばかり。
田中バレエでは子供に無理にポワントを履かせず、ある程度の年齢と思わしき生徒さんもバレエシューズの方が何人もいて、身体を痛めないためにも非常に大切なこと。
大人も子供も、バレエシューズでもポワントも関係なく、全員が丁寧で美しい踊りで湖畔の場を彩っていました。
ジュニアチームと小さな子供チームにも上手く分けながら出入りやフォーメーションの組み方も立体的でスムーズ。
また揃っているだけではなく1人1人から嘆き悲しみが聞こえてくるような白鳥達で、相当踊り込んだのでしょう。
だからこそ終盤の雷鳴のような轟きにも負けぬ、全員でのロットバルト追い詰めにおける生命力の強さに息を呑み
オデットと王子が身を投げてロットバルトが滅びていく劇的な流れをぐっと押し上げていました。
白鳥はコール・ドこそ主役とも思えたひと幕でございます。

ベンノや王子の友人達の肋骨服や、トロワのハイネックに膝丈のチュチュといった衣装からして中世ドイツに括らず、もう少し近代寄りの設定に思えましたが
統一感がきちんとなされていて、全編通して洗練された空気を纏う舞台でした。
バレエ・コンサートと『白鳥の湖』全幕合わせて約4時間半に及ぶ大掛かり公演であっても、観れば観るほどに舞台の世界に吸い込まれ
そして大宰府で昼食の他におやつを3回食したはずが4幕では空腹も劇的クライマックスへと向かい(笑)、
それだけエネルギーが吸収されるスケール強な公演であった証でしょう。終演後も脳内は白鳥のあらゆる音楽がオディールのフェッテの如く旋回し
そのまま足取り軽く天神、祇園で飲食ハシゴ、そして宿泊先の博多へと会場の市民会館から徒歩移動。
心身どっぷり福岡の湖に浸かった田中バレエDream6公演でした。





以下、写真多数ございます。新年度早々そんなん見ている暇はないとの方は恐れ入ります、次回の移動距離短時間杉並区環状七号線の旅記事をお待ちください。
お時間に余裕のある方は以下、どうぞ。

これまでの福岡4回訪問全て交通或いは天候トラブルに見舞われており、5回目の正直、4度あることは5度ありか、もうトラブルありきで向かいましたが
最後の最後でございました笑。もう福岡は私にとって心穏やかな旅程は困難と宿命づけられている県であるとみなしておりますが
今回はそこまで切羽詰まる事態にはならず一安心。また美味しいものにもたくさん出会えました。



前日は上演時間約3時間15分の東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』全幕を東京の初台にて夕方から夜にかけて観ておりましたので、
早朝出発にしなかったのは正解だったかもしれません。そういえば前回昨年末の福岡も前日は初台にいて
新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』鑑賞そして劇場レストランマエストロで終演後食事もしていたた23時過ぎまで初台にいたのでした。
そして同じ時刻出発便であった。何だか似た展開です。出発時間までまだ1時間半ほどあるが、空港へは毎度早く来てしまいます。



本来の福岡への目的を疑われそうですが。



博多駅からバスで太宰府天満宮へ。宿泊先が博多駅すぐそばでバスターミナルも近く、便利でした。



参道にて、ふくやで五重塔明太子セット。明太子トリプル・ビルです。 しっとりつややかなもの、香ばしく辛いもの、色々!ご飯は最初から大盛りがおすすめです。



少し参道を駅方面に戻りまして、大和屋風見鶏へ。



これが食べたかったスワン型の器のコーヒーゼリー。想像の3倍のボリュームで、ラーメン小丼くらいのサイズです。
店員さんが一生懸命持ち上げながらテーブルにそっと置いてくださいました。
コーヒーゼリーの他バニラアイスもずっしりたっぷり。
つまり、白鳥黒鳥兼備のスワンでございます。福岡で白鳥の湖観るからには来てみたかったのでした。
コーヒーカップのロイヤルブルーと金色の組み合わせ、内装や店員さんの服装もクラシカルで素敵空間。



梅と橋。霧雨でしたが歩く分にはさほど困りもせず。



太宰府天満宮の牛さん。頭飾りからして新国立劇場でソロルを踊りたいようです。やる気満々!



梅ヶ枝餠。熱々、ほくほくの粒あん入りです。子供の頃はあんこが苦手でしたが今や好物に笑。旅先では甘味処や和菓子屋さんも好んで行ってしまいます。
子供の頃、入学式や卒業式などで貰った紅白饅頭はすぐさま妹(幼少期からあんぱんやお饅頭が大好きだった)の手に渡っておりました。



どんぐりの森大宰府。本当に雨が降っていたため、バス停のトトロ達の世界そのままでした。
子供の頃、雨の中で妹とバスを待っているとき、ねこバス来たらどうする?乗る?と聞いたら、乗る!!と妹から返答。ふかふかの椅子に座ってみたいらしい。
そしてトトロに会いたいからとのことでした。
この後私はドイツの森へ。



こちらも参道沿い、キングスベリーにてあまおうのチーズケーキパフェ。可愛らしい小ぶりサイズですが、あまおうが大きいので満足感あります。
イチゴソースは果肉いっぱい、下に隠れているチーズケーキは爽やかです。大宰府ではおやつ3回食した管理人でございます。
劇場でお世話になっている猫好きな方でしばしばおやつ記事を投稿なさっている方がいらっしゃり、毎回可愛らしい投稿内容で癒されております。じ○○○○様、ありがとうございます!




この店は大宰府のみであるか、大宰府の飛行船。ムスカの声優寺田農さんが逝去され、寂しい涙。バルスのタオルがふと見え、「目がー目がー」が思い起こされます。



帰りは市民会館へ行きますので電車で天神へ。しかし天神は大繁華街で百貨店も複数あり、市民会館方向の出口に降りたつもりでも立ち位置分からず笑。
ひとまず海の見える街へ向かいましょう。(ちょうどこの前々日に放送された魔女の宅急便のキキの気持ちがよか分かります。)
道路案内発見!!ここから歩いて15分くらいだったか。雨は止んでいました。



歴史ある趣なホール。2015年、2019年以来3回目の訪問です。



帰りも雨は止んでいて、ならば今回も屋台へ。前の田中バレエ鑑賞時の2回は川沿いを歩いて中州へ向かいましたが今回は天神から行ってみましょう。



ガイドブックで大々的に紹介されているお店とそうでないお店で混雑具合にだいぶ差があり、
私が入ったてっちゃんは特に大きくは取り上げられていないためかすぐ入店できましたが
ドイツの森から博多の森へ帰ってきましたと言わんばかりなこの銘酒。つやっとしていて優雅な喉越し!



そして写真上手く撮れずでしたが明太子餃子が美味しいこと!パリッとサクッとした食感で明太子の味がキュッと全体を締めていてほどよい辛さ。
店員さんそして周りのお客さん達も親切で席を詰め合ったり、注文した料理について話も弾み、大変楽しい時間となりました。
このあとのラーメン、翌日の朝食もですが、少し並ぶにしても1人ですと空きが出やすく、スムーズに事が運ぶ気が。



次はラーメン!お目当ての店が宿泊先までの帰り道に立ち寄りやすい場所に支店が2店あるようで、てっちゃんの角を曲がって中洲方面に歩いていくと、まず中州店は大行列。
更に移動して祇園店は行列短めでしたので暫し待機。友人達からNHKバレエに饗宴放送経過情報が入り、このとき永久さんスチョーピンさん組だったか。
しかし管理人、博多の夜の誘惑に負け、真横に提灯!待っている時間も楽しかー。
そういえば、前回饗宴2022の放送時も旅先にいて、ちょうど大阪のKバレエスタジオさんの舞台鑑賞帰り。
このときは友人が新幹線に乗るまでの時間は新大阪で食事するも、ホテル近くまで戻ってくると難波の夜の誘惑に負け、道頓堀でお好み焼きを1人頬張っておりました。
次回の放送時は管理人は何処を旅して夜の誘惑に負けているでしょうか。



いざ入店。先に食券を購入して渡しておりましたので着席後はすぐ料理が提供されました。
そして来ました、豚骨カプチーノなふわふわなスープ!くせはそこまで無いが豚骨をいただいた気分は十分に味わえる上品なコクのあるスープでした!!
黒白の粋な柄の丼でございます。福岡まで、ロットバルト目当てに観に来た白鳥の湖ですから喜びもひとしおなデザインです。



煮卵はやや硬め。しかしほんのりトロリと蕩けます。麺はカタで注文。管理人、ラーメン啜るのが不得意で食が遅く、硬めが良いのです。
一度バリカタと言ってみたいが、それですと硬すぎる気がして注文できず。
啜り方のコツをいつかどなたかラーメンマイスターに聞いてみたい。
ちなみに辛子高菜もぴりっと美味しく、ラーメンに入れつつ是非ビールと一緒に味わってみてください。



さて市民会館から白鳥の湖の音楽を脳内再生しながら天神を経て、ほろ酔いでバレエも食事も楽しかったせいか相当な距離を歩いていても疲れが全く出ず(かえって危険か!?)、
祇園からも歩いて博多駅へ。前回と同様帰りは市民会館から徒歩のみで博多駅のホテルまで移動でございます。
昨年末に中洲川端にて宿泊したホテルと同系列のところに宿泊。古めかしい内装、調度品が
クラシックバレエを鑑賞した余韻を長引かせてくれます。(屋台やラーメン店行ってきましたが、ここは福岡ばい!)



調度品も落ち着いた趣なアンティーク。



おはようございます!前回の福岡到着後はすぐ中州で昼食をとり、14時開演のバレエを観て16時半には終演、
そのあとのんびり夕食であった昨年12月末の須貝バレエさん公演での福岡滞在時と違い
同じ時間帯の飛行機を利用するも、到着後博多のホテルに立ち寄ったあとすぐバスターミナルから太宰府天満宮へ向かい
その後は天神へ電車移動して天神から徒歩で市民会館、そしてバレエは白鳥の湖全幕とコンサート合わせておおよそ4時間半に及ぶ上演時間でしたので
エネルギーの吸い取られ方がだいぶ強まっていたのか笑、無理に開館時間ちょうどに水族館行く必要もないかとゆったり路線に切り替え。
そんなわけで博多の海鮮料理喜水丸博多1番街店にて整理券もらって並びつつ、
1人であるため席は思ったよりも早くに用意できたようでこちらでのびのび明太子とお刺身モーニング。
注文はタッチパネル式で、注文後少し待ちますが、九州産の食材使用の解説を黙読しているうちに料理が到着!
つやつやふっくら白ご飯に明太子をたっぷりのっけましょう。うう幸せ。そしてその日の朝に市場から届いたお刺身は厚めで鮮度も抜群。




香椎駅で乗り換え。DENCHAは正式略語らしく、決して赤ちゃん言葉ではありません。誤解無きように。



ちょうど3ヶ月ぶり、(前回は12月25日、今回は3月25日、ともに平日月曜日)マリンワールドへ。
ラッコのリロくん!!!この5日後に17歳の誕生日を迎えました。映画『サウンド・オブ・ミュージック』の1曲と同じく、もうすぐ17歳のリロくんでした。



瞳も愛らしい。大きいお鼻もチャームポイントです、



尻尾の造形美



某ダンサー2名にも負けぬ、背中で語れる雄なのです。



水族館から見える景色。天気が良ければフェリーでペイペイドームまで行こうかと思ったが。



マリンワールドにいるときは曇りであったが大雨予報が出ていたため早めに空港へ。さあ何を食べようか。ひとまずラーメン滑走路へ。
福岡は滑走路、新千歳は道場。ラーメン祭りな面を持つ両空港です。ラーメン好きな方は福岡空港もきっと大満喫です。
(ラーメン以外にも食の楽園です、福岡空港)



ラーメン滑走路を通ったものの、こちらに決定、広々としたフードホールにある博多とんこつ黒カレー。福岡での白鳥の湖のあとに嬉しい豚骨黒カレーと白ご飯、鶏胸肉。
日中からビールで乾杯です。研究所らしく、食べ方の説明書きも細かい。



予報通り大雨そして雷雲発生のため離陸は30分少々遅れましたが安全第一での判断ですし、また欠航にならず良かった。
昨年末に福岡を往復したその1週間後に羽田空港でJALの機体の大火災が発生して、空の安全を守る命懸けな大変さが再度身に沁みました。
大都市圏の大型空港はフライトの過密スケジュールの解決が課題とも耳にしており、良き方向へ行きますように。



ANAの座席備え付けのクラシックチャンネルやミュージックトラベルチャンネルが気に入っており、
帰りは離陸時渡辺真知子さんの『かもめが翔んだ日』。羽ばたくばい~!
本やプログラムを読みながら余韻に浸る機内。



マリンワールドで購入したリロくんフォトブック。お眠のリロくん、いい旅夢気分でいざ東京へ。
さらば福岡また会う日まで!!