2022年9月30日金曜日

映画『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』




先日、渋谷の文化村にて映画『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』を観て参りました。
https://gaga.ne.jp/parisopera_unusual/





コロナによる劇場閉鎖や再開、無観客公演に迫ったドキュメンタリー映画で、突然踊りを中断せざるを得なくなったダンサー達の葛藤が赤裸々に語られ
レッスン再開時の喜びと不安、身体を痛めないよう考慮したレッスンを組み立てる指導者の姿や
無観客公演となってしまったラ・バヤデールのリハーサルと本番映像、と予想以上に舞踊場面も多く映されています。
少しですが『ロミオとジュリエット』の舞台映像もあり。バヤデールではポール・マルク、ロミジュリではセウン・パクのエトワール任命の瞬間も収録。
上映時間は約75分でぎゅっとコンパクトに、されど見応えのある仕上がりとなっています。
知り合いの若きパリ・オペラ座博士から教えていただいたトマ・ドキールへのインタビューや
今夏の京都バレエ団『ロミオとジュリエット』で鑑賞したロクサーヌ・ストジャノヴが影のコール・ド前方であったか目立つ場所にいて、
恐らくはこの後昇進したのであろうと想像。すらりとした長身が生かされ、
少女役のジュリエット衣装よりも白チュチュの方が似合っていると思えたのでした。

都内でも引き続き上映がなされるようですので、ここでは詳細な感想は控えます。ご興味ありましたら是非劇場にてご覧ください。
リハーサルの迫力やヌレエフ振付のややこしいステップを巨大なスクリーンで体感でき、
不安真っ只中での公演継続そしてエトワール任命の瞬間はその場に居合わせた気持ちとなり胸熱し。パリ・オペラ座に詳しくない私でもたっぷり堪能できました。

ところで、オレリ・デュポン監督が辞任のニュースは私も驚き、更には芸術監督募集中、と
職業案内所の掲示板かと思う記事で国の象徴的団体を率いる長の募集とは思えぬ展開にびっくり。
候補が絞られつつあるとかないとか把握はできておらずですが、動向を見守りたいと思っております。



 東京都中央区京橋にあるアーティゾン美術館にて11月5日(土)より開催されるパリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂の展覧会も楽しみにしております。
https://www.artizon.museum/exhibition/detail/545


11月19日(土)には五反田の清泉女子大学にて一日講座 展覧会「パリ・オペラ座」を楽しむために―19世紀20世紀初頭のバレエーが開講されます。
講師はバレエ評論家の守山実花先生です。対面或いはオンライン選択可、展覧会鑑賞と合わせて是非どうぞ。
https://rafaela.seisen-u.ac.jp/lecture/detail.php?lecturecd=20226303




鑑賞前、文化村入口すぐ近くにて万華鏡展。入場無料の文字に惹かれふらっと立ち寄ってみたところ想定外の長居をしてしまい
アンティークなものからモダンなデザインまで実に様々。覗いてみると無限大な色彩、模様の世界の広がりに魅せられ時間の経過を忘れかけたほどです。
バレエ鑑賞愛好者の視点では真上から見たチュチュにも見え、凝った模様や見たことのない形の組み合わせも多々あり
抜群のスタイルを持ち実力も上級レベルである我が後輩を思い浮かべては着せ替え、
アスピチアやらグラン・パ・クラシックやらイメージを起こさせる作品を浮かべつつ想像に耽っておりました。



文化村でパリ・オペラ座の映画鑑賞ですから、建物内のドゥ マゴ  パリへ。私には似合わないでしょうが、気分だけでもパリジェンヌ。



食してみたかったピスタチオムースケーキ。(ピスタチオ、大好物の1つです)弾力があり、見た目以上に食べ応えございます。
ピスタチオの香ばしさも練りこまれ、白ワインとの相性も宜しい。



くまさん一家もお食事です。

2022年9月29日木曜日

正確無比から生み出される極上ずっこけ芸術   スターダンサーズ・バレエ団   The Concert  スコッチ・シンフォニー/牧神の午後/コンサート(国内バレエ団による初演) 9月23日(金)




9月23日(金)、スターダンサーズ・バレエ団『スコッチ・シンフォニー』、 『牧神の午後』、The Concertを観て参りました。
https://www.sdballet.com/performances/2209_theconcert/


『スコッチ・シンフォニー』

スコッチガール塩谷綾菜さんの脚技の軽快感に見入り、強弱緩急を音楽と溶け合いながら奏でているような脚先の達者ぶり。
渡辺恭子さんと池田武志さんのパ・ド・ドゥがしっとり優しい雰囲気を備えて緻密に練り上げられ、
バランシンのシンフォニーシリーズにしてはしては快活な場面が少なめな(勘違いでしたら失礼)冗長にもなりかねない作品ながら
以前の鑑賞時よりも主演陣もコール・ドも立体感が一層出てきた印象です。



『牧神の午後』

ロビンズ版は初鑑賞。書物においても意識して目にしたのは厚木三杏さんの写真ぐらいかもしれません。
髪を垂らして舞台後方を横に歩み行く姿から喜入依里さんの艶と豊潤な色香が静かに迫り、稽古場という密閉度のある空間に設定しているーためか
ほんの少し微笑む程度であってもこちらまでもが理性がふと抜けるような不思議な感覚をもたらしました。
そして林田翔平さんが見事役に嵌り、夢うつつな戸惑いを静寂の中で熱さを帯びたり、
時には女性の魅惑に抗えぬさまを規律正しくも境界線からのはみ出しぎりぎりまで追い詰められているかの如くゆったりと描画。
音楽は私の中では睡魔を誘う曲上位君臨で(ドビュッシーの曲の中で好きな曲も色々あるのだが)
舞台上には2人のみで見栄えする技術が繰り出されるわけではない作品ながら
稽古場の男女が静謐な空気に包まれつつも冷静さが徐々に剥がされていく情緒の高まりを緻密に体現。眠気に襲われぬまま音楽を聴き終えたのも初めてもしれません。



The Concert(コンサート)

こちらも初見作品。動画で一時話題になったそうですが見ておらず、振付はロビンズ
音楽はショパンの曲を使用している点以外は予備知識ほぼなしでいざ劇場へ、でございました。
ピアニストの小池ちとせさんが1人で登場すると観客と掛け合いながら埃を払ったりと早速芝居達者な面をご披露。
そしてピアノの演奏会にやってきた客人達が各自椅子を持って入場するも、席を間違えたりど突かれたり、
眺めている分には思わずクスッと笑ったり時には豪快な声が出そうになるほど面白味てんこ盛りな場が展開。
手の込んだ老舗で仕立てられたように見える帽子にレオタード着用なる不可思議な組み合わせ衣装であっても
ずっこけなオチがあっても何もかもがお洒落に映る極上芸術を堪能です。

中でも清楚な印象ある渡辺恭子さんが新境地開拓と言わんばかりのセンスを発揮され、
腰掛けピアノに寄りかかっているうちに椅子だけ引き抜かれ、空気椅子状態になっても尚ピアノにもたれている姿の可笑しいこと。
小池さんもショパンの曲の数々を弾いていらっしゃるかと思えば突如中断したり、無音の間もダンサーもピアニストも抜群のタイミングで笑いの降り注ぎが止まらずでした。
見せ場の1つであるミステイクワルツでの、思い切り間違えても、1人だけ違うフォーメーションを描いてしまっても
余りに堂々且つ基礎や強靭なテクニック、そして絶妙な間合いの呼吸が備わっているからこそ最早至高の芸域にすら感じさせたほどです。
そしてハズバンドという役名らしい、巨大な太い眼鏡をかけ咥えたばこをふかし、奇怪なオーラを放ちながら痛快な笑いで沸かせた林田さんも忘れられず。
4年前に鑑賞した『ドラゴン・クエスト』白の勇者でのやや淡白な印象はすっかり消え去り、踊る喜劇俳優ぶりに仰天でした。

尚、両日ご覧になった方によれば2公演の客席の反応がだいぶ異なっていたとのこと。私が鑑賞した初日は緊張感が限界地点で鬩ぎ合い、
振付に忠実で正確無比であったのでしょう。ずっこける箇所も何もかもが理想の地点に集結していたのか
上階端の席であっても見知らぬ観客同士一体感まで生まれ、お互い笑いの穴にとことん嵌ってはなかなか元に戻れぬ状態が続いていた気がいたします。




帰り、偶然会えた方々と星野珈琲へ。秋の味覚を堪能です。お2方はレッスンも熱心に取り組まれ、このあとスタジオへ向かわれました。
鑑賞後は飲食しか頭に浮かばぬ私とは大違いでございます。テクニックにも精通されたお2方による舞台感想やクラシック・バレエ以外にも幅を広げてのレッスン受講等勉強になることばかりです。
しかし寛大なお人柄で、私の変わり者にもほどがある、レッスンは年1、2回受講する程度で
あくまで鑑賞及び歴史等の座学中心のバレエ愛好者である習慣も優しく受け止めてくださり、救われる思いでございます。




カップを上げると、お皿に星3つ。本日はスターダンサーズ・バレエ団鑑賞でございました。



お2方を見送り、暫く池袋の地下街を散策したのち開店時間を迎えたこちらのお店、コンチェルトへ。



女性のバーテンダーさんが、好みを聞きながらカクテルを作ってくださいました。
コンサートな色彩の青が滴る一杯です。外も傘が必要な天気となり、長居はせずでしたが居心地の良いお店で、偶々でしたが客は全員女性でした。
サクラホテル池袋やチャコット池袋劇場通り店にも近いかと思います。

2022年9月25日日曜日

頼もしい弟子達の存在と昭和世代の円熟美な『海と真珠』K BALLET STUDIO (Kバレエスタジオ)36th Concert  9月18日(日)《大阪府吹田市》





9月18日(日)、大阪の吹田メイシアターにて、K BALLET STUDIO (Kバレエスタジオ)36th Concertを観て参りました。2007年の初鑑賞以来、今年で15年。早いものです。
昨年はみちのくからの遠距離応援でございましたが、今年は大阪の現地へ足を運んでの鑑賞でございます。
http://www.k-ballet-studio.com/index.html



KバレエスタジオさんSNSより。舞台写真やチラッと映像もあります!




福田圭吾さんのSNSより。東大阪市のガレージアートスペースさんにてBourbierリハーサル映像あり!






幕開けは『海賊』花園より。中高生くらいの年代から小学校低学年前後の生徒さんが集まり、フレッシュな花々が広がる優美な世界に癒されました。
主に2チーム(確か)からなる構成でしたが、例えば2分程度の作品を1曲踊るのではなく、複数の曲で構成された10分以上はある場面の中のコール・ドの一員として
小さな生徒さん達も出入りのタイミングや途中に登場してからの立ち位置も万全にこなしている姿にいたく感心。
同じ部の『ロシアンダンス』や第3部の『マーチ』でも感じましたが指導がしっかり行き届いているのでしょう。
心が高らかに躍る元々好きな場面と音楽ですがこの度をきっかけに益々好んで聴くように、脳内でも自然と流れるようになりました。

生徒さん同士による『ゼンツァーノの花祭り』よりグラン・パ・ド・ドゥの真っ直ぐで初々しい魅力に溢れ
いきなり海賊等は危険ですからリフト抑えめな構成の演目選択も好印象。これ大事です。
『海賊』第1幕グラン・パ・ド・ドゥでは場面設定上、終始物憂げな表情を保ちつつ音楽の抑揚をも細かく身体の隅々までを使って表現していたグルナーラの生徒さんと
以前はひょろっと細い印象であった(失礼)佐々木美智子バレエ団の佐々木嶺さんランゲデムが
危うい怪しさを含んだ雰囲気や強靭で柔軟な身体能力、特に空飛ぶ絨毯に乗っているかと見紛う空中姿勢維持の美しさに仰天でございました。

そして今回の舞台大目玉⁉本島美和さん、細田千晶さん、福岡雄大さんによる今や昭和世代が踊るのは珍しいであろう『海と真珠』。
若人が踊る発表会大定番演目とは言わせぬ王室献上級な品位と輝きで、ニヤケが止まらずであった私です。
楚々とした艶のある細田さんとゴージャスな色気のある本島さんお2人とも年齢を重ねる毎に美も技術の高さも増している気がしてならず
膝丈のふわふわチュチュ衣装や真珠の頭飾りもたいそうお似合い。福岡さんは深海の帝王なる貫禄のみならず、
海底から泡が一斉に発生し舞い上がりを見せていくような終盤にかけて速度を上げて行く回転移動に口にするあんぐり。
スタジオの公式発表に先駆けダンスマガジンにおける本島さんの新国立劇場バレエ団退団インタビューにて明かされ
書店でぶっ飛びそうになるほどの衝撃であったわけですが、円熟のキャリアが凝縮した誠に格式高い、丹念に磨き込まれた『海と真珠』を目にできました。
それにしても、年々味わいを増していたお三方である本島さん細田さん貝川鐵夫さんら新国立劇場バレエ団のベテラン勢ほぼ同時退団、未だにショックが癒ぬ私です。

長年在籍されている長谷川梨央さんが恐らくは初めて主演を果たされた『パキータ』グラン・パでの淑やかさや品が備わったヒロインや
決して大人数構成ではなくても呼吸が合い整ったフォーメーションで楽しませてくださったコール・ドも好ましい印象が刻まれました。
今年の下半期は『パキータ』鑑賞回数が実に多く(下半期のみで6回の予定)、されど飽きないのは
ヴァリエーション曲の取り入れに異なりや衣装の色味も団体によって様々であり、間違いなく高揚するアントレとコーダ音楽や振付も魅力でございます。

コンテンポラリーで構成された第2部の最初は福田紘也さん振付『死神』。2020年の大和シティーバレエでの初演を観ており
本島さんの圧巻たる凄み、先ほどの繰り返しにはなりますが20代の頃よりも遥かに踊りが冴え渡るお姿にも感嘆するしかなく、
よくぞ紘也さんは本島さんを起用してくださったと唸った作品でございます。
相変わらずの我が知識不足で話の内容詳細については理解が至っていない点は多々あれど、黒いジャケットワンピースのような装いで顔を白く塗った
本島さん死神の奇襲と、怯え反抗する福岡さんとの命を削り合っての応酬に身震いが静まらず。大阪での再演実現、嬉しうございました。

矢上恵子先生振付のBardoでは群舞に挟まれながら作中に他の恵子先生作品の人物が登場するオムニバス形式で、リレーのように繋いでいくため切り貼り感もなし。
肩の部分から徐々に羽根が表れてくる衣装の仕組みを生かした佐々木さんのButterflyにおける空中ヨガか!?と思わす鋭くパワフルな浮遊や
前半の衝動と後半の静寂の差を丁寧に掘り起こすように踊られ、これまでには山本さんや福岡さんも踊っていらっしゃる
福田圭吾さんのBourbierも、幸せに受け止めている恵子先生のお姿が目に浮かびました。
もう1作品、確かプログラム売り場には作品名の掲示がありながらメモを失念してしまいましたが
男子生徒さんによるソロも伸びやかさとバネを体内から大きく放っていて目に留まり、縦横斜めと不規則な形態で迫りくる群舞の面白さにも集中し
恵子先生の作品を皆が大事に踊り継いでいる光景に感激いたしました。先生もきっと目を細めて、空からご覧になっていたに違いありません。

締めは『アラジン』より宝石。音楽はカール・デイヴィスと同じですが振付はデヴィッド・ビントレーとは全く異なり
久留美先生オリジナル版です。初演は記憶違いでなければ2011年で、大阪でも島根でも再演を重ねています。
奇抜な衣装がふんだんに用いられたビントレーさん版に比べ、久留美先生版は振付と衣装共によりクラシカル路線で
財宝の洞窟と宮廷の両方を想起させる空間に身を置いた心持ちとなり、私も好きなケイスタレパートリーの1本です。
記憶違いでなければコール・ドの衣装が変わったと思われ、シルバーや青みがかった色味のデザインから薄い紫と金色で彩られた色へと変更。
コール・ドもソリストも特に宝石名は明記されておらず色合いや印象から自由に想像を委ねられていると捉えており、アメジストを思わす優雅さでした。
1曲目はビントレー版で言うオニキスとパールの曲では人数構成は同じ男女3人ずつであれど
バレエ教室の舞台で中高生世代と思わしきの生徒さんのみで男女のペア3組構成が可能であるのは珍しく、新国立劇場勤務の先輩方の背中は偉大であると再確認。
そして吉田千智さんと山本隆之さんによるパ・ド・ドゥの典雅なことよ。(曲はゴールドとシルバー)ここは宮廷か、或いは大聖堂を彷彿させる荘厳な響きが
お2人のシンプルながらもとことん美しく見せるエレガントな身体の運び方や佇まいから発せられ、ただただうっとりでございました。
細田さん福岡さんペアによるパ・ド・ドゥもあり、水晶のような透明感そのものな細田さんの気品が舞台を覆い
空気を一層澄み切った涼やかさに変化させていた印象です。ポーズ1つ1つに隙がなく、福岡さんとの珍しいペア結成も調和が取れていて実現に喜びを覚えました。
コーダは次々と総登場、十字になってのぐるっとひと回りや最後は全員正面を向いてのポーズの並びで整い、すっきりとした構図で幕が下りました。

カーテンコールに登場された久留美先生、初めて1人での挨拶になってしまった2019年の秋は大粒の涙目でのご登場でしたが、年々明るさ、にこやかさが戻られた印象で
頼もしい弟子達と共にスタジオを運営され舞台も開催なさるお姿に、きっと香織先生、恵子先生も安堵され空から励ましてくださっていると思っております。
来年の舞台も今から心待ちにしております。



※以下写真多数。お忙しい方は恐れ入ります、次回をお待ちください。



完成時から注目していた通天閣滑り台。勢い良く急降下、人間用ウォールポケットのようなものに入り、ローラーの上を滑ります。
参加者は自身が滑る動画のダウンロードが可能、拡散歓迎とのこと。私もいたしましたが動画加工の方法分からず、
私の顔を晒すわけにもいきませんのでコースや仕組みを知りたい方は各自お調べ願います。
順番待機中も、先に滑る方の叫びや美声、奇声⁈に待つ人同士驚いたりヒヤヒヤしたり、妙な結束力がありました笑。



通天閣、来たでー。


昨年と同じく、9月の敬老の日の連休の日曜日は観たい舞台が重なりやすい。埼玉組、楽しんでおくれやす。
昨年は福島県白河市の小峰城で、今年は大阪の通天閣にて、各地の名所から応援です。




なんばの嵜本ベーカリーにて。食べたかったトーストと選べるジャム。
ジャムには宝石が付いており、ルビーフランボワーズ、ピスタチオパール、ブルーベリーサファイアを選択。


梅田にて、面白い焼売多数のお店。ジーニーもいました。



メイシアター自販機。音楽や舞踊な絵入りです。寅の字も迫力。



久々に会えた友人と終演後新大阪で乾杯。



串揚げ。衣が細かく薄くカリカリ!


ハイボールでスッキリ。鶏ひき肉を使ったお団子がさっぱりと品ある味で生姜もたっぷり。



友人を新大阪で見送った後、道頓堀近くにてお好み焼きの写真に誘われ入店。
アーティスティックセンス皆無な私のケイスタ15年愛、伝わりますでしょうか⁈
多くのバレエ愛好者達がNHKバレエの饗宴放送を視聴していたとき、
管理人はマヨネーズ文字書きに勤しんでいた、道頓堀の嵐の前夜でございます。



おはようございます。前夜に大浴場にも浸かり、熟睡して良い目覚めです。朝食はプレートとメインを選択。カレー器がランプにしか見えません。
帰京の交通が心配でしたが擦ってもジーンは現れません。魔法の絨毯も用意してくれません。早めの新幹線で帰りましょう。



モダンで調度品も可愛らしいロビー。宿泊者用のコーヒーサービスもあり、マシンを操作し挽き立てをいただけます。



さて、帰京。窓口は時間変更希望者が殺到していたのか行列ができていましたが、
私は往路はバス、復路は当日券購入で新幹線利用であったため券売機でサッサカ購入し、自由席車両へ。
さらば大阪、また来週!

2022年9月22日木曜日

いにしえの都への旅 牧阿佐美バレヱ団『飛鳥』9月4日(日)




9月4日(日)、牧阿佐美バレヱ団『飛鳥』を観て参りました。
https://www.ambt.jp/pf-asuka2022/





春日野すがる乙女(かすがのすがるおとめ):中川郁
岩足(いわたり):水井駿介
竜神:菊地研
黒竜:田切 眞純美
竜神の使い:ラグワスレン・ オトゴンニャム
竜剣の舞:阿部裕恵


中川さんの春日野すがる乙女が雅やかな舞で率い、花を両手に持ちながら着物風の衣装の靡も含め天女を思わす軽やかさ、儚さに見入りました。
一方で岩足と結ばれぬ運命の嘆きや竜神への不安感は人間味を増した表現で募らせ、時に生々しい感情の曝け出しに
押し込んでいた心の内側に潜む悲しみの塊がいかに大きかったか、その反動が強まっていたかと推察いたします。

水井さんはこぶしの花を持ち春日野すがる乙女へと近づく憧憬の眼差しやすっと伸びた踊り方からも、会いたい欲望が沸いて止まらぬ様子が伝わり
嘗ては妹同然に可愛がっていた存在から手の届かぬ人となってしまう、逆らえぬ宿命を静かに悲しんでいるようにも見て取れました。
水井さんは決して手脚がいたく長い方ではないと思うものの抜けるように柔らかく伸びた手脚が雄弁に訴えかけ
つい目で追ってしまう不思議な魅力の持ち主でいらっしゃるとこの度も確認です。

田切さんの黒竜は黒い総タイツな衣装が身体の線を魅せ、長身から繰り出す鋭いエネルギーにびっくり。
春日野すがる乙女や竜神に対する執念深さの押しの強さも物語を力強く突き動かしていました。

日本を舞台にした飛鳥時代の物語をいかにして全幕バレエとして成立させるか演出も気になっておりましたが
春日野すがる乙女が岩足とは微笑ましく、竜神とは激しい怒りや不穏さを帯びたパ・ド・ドゥもあり、中盤には竜神や黒竜の嫉妬も挿入。
儀式での厳かな舞もあり、バレエの要素を上手く組み込んでの工夫をあちこちに含ませていた印象です。
着物とモダンな趣の合体型衣装にも着目し、胸元の形は和風、ビーズらしき装飾をふんだんに使いスカートはふわっとソフトな素材といった組み合わせ次第で
和洋折衷な面白い味わいのあるデザインに見え、艶やかな数々の衣装観察も楽しみの1つでした。

演出の目玉でもある映像は、古の都の世界へと吸い込まれ予想以上に鮮明。これまでに観た映像付きの作品によっては
ミハイロフスキー・バレエ『パリの炎』のように、宮殿へと攻め寄り門を無理矢理開けて突入する重要局地な場面が
映像で済まされて肩透かしを食らった気分となった経験もあり、物語の進行を映像で容易に賄ってしまう手法に走らぬか心配も抱いておりましたが
あくまで背景を映すことに集中していたためか気にならず。それどころか堅固な建造物から
竜や空模様をも鮮やかに映し出し、時空の旅人な心持ちとなる効果までもをもたらしていました。
冒頭で映されていたのは吉野山の山並みか、上空から見て描いたような絵図が登場。
(解説には生駒山について触れていて、違っていたら失礼。吉野山へ行ったときに目にした、金峯山寺が描かれた地図と背景がよく似ていたのです)

牧さんが振り付け1957年に初演した、飛鳥時代の日本を舞台にした作品を改訂を重ね、更には先端技術を用いて一層スケールのある作品へと変貌させ上演に漕ぎ着けた
絶えず新しい感覚を持ち続けた牧さんの情熱に手を合わせたい思いに駆られました。
上演前には牧さんの追悼映像が上演。これまでの軌跡を辿っていくと日本のバレエ創成期からのご活躍、日本バレエ界底上げへの奔走
海外の一流の芸術家達との繋がりを生かしての日本のダンサー達のレベルを高める作品の取り入れまで、功績は計り知れません。
11月公演のダンス・ヴァンドゥ Danse Vingt-Deux ~牧阿佐美の世界~も楽しみにしております。



後日、追悼文集『牧阿佐美』を購入。
https://www.ambt.jp/https-www.ambt.jp-2022-09-08-追悼文集「牧-阿佐美」100名の執筆者が綴る牧阿佐美の思い出-限定300部-販売のお知らせ/

牧さんの教えや逸話を100名が執筆され、まずは山本隆之さん、清水洋子さん、吉田都さん、米沢唯さんらの文を拝読。
牧さんがお若い頃も年齢を重ね新国立劇場舞踊芸術監督就任後も、張り巡らせたアンテナと国境なき繋がりを駆使してのレパートリー拡充や
例えば視線の向け方のコツをさらっと、されど結果として見違える或いは踊り手が腑に落ちる指導をなさってきた等功績は計り知れず。
幅広い世代に慕われた牧さんについてどんなお話が飛び出すか、読み進めが楽しみでなりません。購入して良かったと思える文集です。

山本さんが紹介された、牧先生の肝が据わり過ぎな人柄を偲ばせる大胆な逸話には失礼ながら思わず笑ってしまいました。



帰り、まずは奈良の日本酒風の森で乾杯。



おばんざい盛り合わせ。もしや2人で分けて丁度良い量かもしれませんが、胃袋の大きな管理人は全種美味しくいただき完食いたしました。
色が鮮やかな食器の模様も目に飛び込み、食べ終えた後は料理で隠れていた中央部分もじっくり観察。何処か『飛鳥』の美術に通じる色彩美を思わせます。



鴨つくね。香ばしいふわっとした焼き上がりです。


2022年9月19日月曜日

珍しい英国作品紹介し続けて半世紀 小林紀子バレエシアター アシュトン・マクミランプログラム9月3日(土)





 9月3日(土)、小林紀子バレエシアター『アシュトン・マクミラン』プログラムを観て参りました。
https://www.nkbt-tokyo.com/performance/アシュトン・マクミランプログラム/#tickets-section


『レ・パティヌール』
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:ジャコモ:マイヤベール
編曲:コンスタント・ランバート
美術:ウィリアム・チャペル


アーチが複数設置されたヴィクトリア朝時代のスケート場が現れ、スケートを自然に舞踊化。
腰を落とした滑り方や転倒も含めて実にリアルな分、強靭な足腰が求められるであろう振付が散りばめられています。
衣装も色とりどりで、急須(英国作品らしくティーポットと言わんかい笑)の蓋を思わす形状の帽子もお人形さんのような可愛らしさです。
八幡顕光さんのブルーボーイがお茶目な上に足腰にきそうな回転も次々に決め、
島添亮子さん望月一真さんのホワイトカップルの上体がすっと流れる優雅さ、粉雪を愛でるような指先の繊細さにも見入りました。
作品は2017年のKバレエカンパニー公演以来の鑑賞ですが、ペアで腕を交差させて組んでの滑りやユニゾンで円を描くようないかにもスケートらしい動きの移動も
バレエらしい突如の跳躍も合わせてスケートを滑る喜びへと繋がり、紳士淑女達の愉しい冬の遊びが沸々と表れた作品です。


『ザ・フォーシーズンズ』
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
美術:シャーロット・マクミラン

ヴェルディ作曲、祝祭感の文言から絢爛クラシカル作品かと思いきや予想に反してモダンな衣装、中でも冬の模様はジンベエザメがすぐさま浮かぶ斑点描画でびっくり。
女性はタイトで短い丈のワンピース、男性はノースリーブレオタードで役どころに四季の名称がつき、最後は全員集合で規律正しい縦横整列で終幕です。
背景は四季ごとに模様や色味も変化し、顕微鏡で覗く細胞の世界を彷彿。真っ先に登場する冬に抜擢された中村悠里さんの
特に前後の向きが頻繁に変わるポーズの運びが職人肌な気質で目に留まりました。

近年は『マノン』や『アナスタシア』『眠れる森の美女』(マクミラン版)といった大掛かりな作品上演からは遠ざかっていると思われますが
アシュトンやマクミラン振付の1幕物の作品を定期的に上演し、国内ではなかなかお目にかかる機会がない
渋めの英国作品をも紹介する方向性は創立から半世紀を超える今後も貫いて欲しいと願っております。
マクミラン版『春の祭典』は衝撃のある野性味で是非また再演を望みたい作品で
金と白の重厚な色彩美に溢れた『ライモンダ』3幕やカーテンを模した背景も衣装も妙にゴージャスであった『パキータ』、
舞踏会の神秘的な空間に四季の精達も登場させハイライトとして纏めた『シンデレラ・スウィート』、
そしてこのご時世、陰鬱な作品上演は困難かもしれませんがThe Invitationやザ・レイクス・プログレスもまた観たい作品です。




帰り、当ブログレギュラー後輩と共に乾杯。ロンドンの名所が描かれた口当たり軽やかなビールでございます。ロンドンは今、厳粛な空気に包まれている頃でしょうか。
後輩は季節の紅茶のカクテルだったか、店員さんが紹介してくれたお洒落なものを選択したようです。
プログラムと一緒に配布されたシアター50年の歴史を振り返る冊子が内容充実でほぼカラー。
今のシアターも好きで勿論今後も通いますが、私が特に魅せられた80年代後半から90年代後半あたりにかけて活躍された
柳瀬真澄さん、加藤久美子さん、志村昌宏さんらの舞台写真、リハーサル写真も掲載してくださり胸躍らせながら頁を捲っておりました。
何度か触れておりますが、私が最初に観たアシュトン振付『二羽の鳩』は1993年、シアターにとって1度目の再演時で加藤さん志村さん主演で
勝ち気な加藤さん少女と爽やか志村さん少年、パリのアトリエにすんなりと溶け込む素敵ペアでございました。



ローストビーフとサラダが花のように盛られたプレート。



そして王道のビールです。英国旅行に行ったら、毎日パブでビール生活になりそうでございます。



懐かしい、20周年の頃のチラシ。チェックメイトもまた観たい。ライモンダは昔は赤系の衣装でした。

2022年9月16日金曜日

瀬戸内海で2022年夏グランドフィナーレ  板東ゆう子ジュニアバレエ第5回サマーバレエコンサート  8月28日(日)《愛媛県西条市》





愛媛県西条市にて、板東ゆう子ジュニアバレエ第5回サマーバレエコンサートを観て参りました。
2017年からほぼ毎年足を運んでいる、私が愛媛に興味を持つきっかけを与えてくださったスタジオで、初鑑賞の2007年『白鳥の湖』全幕から今年で15年です。
http://www.yukobando.com/サマーバレエコンサート第5回お勉強会.html




今回は所謂勉強会形式で、生徒さん達のチャレンジが盛りだくさん。ただ無謀な挑戦ではなく
生徒さん達の技量や身体条件を考慮されているのでしょう。大人と全く同じではなく少し難度を抑えたり、1人のヴァリエーションを複数名で踊ることで
寧ろ呼吸の合わせ方が気持ち良く伝わってきたりと工夫に富んだ構成で各々の個性を引き出して楽しませてくださいました。
本来ならば全演目を中継の如く綴って参りたいところですが演目多数でございましたので特に印象に刻まれた或いは気になったプログラムに絞って参ります。

まず幕開けの『パリの炎』はアダージオとコーダの披露で晴れ晴れと歌うような思い切りの良い踊り方にとても好感を持ちましたが、加えて何が嬉しかったかって衣装。
恐らくは発表会では初めて、ジャンヌが裾長めのスカート衣装を着けているところを観た気がいたします。
私自身このパ・ド・ドゥは革命後の祝福らしい勇ましさや潔さもあって音楽も振付も好んではおりますが、
全幕も劇場で鑑賞し、特に2017年にボリショイが上演したラトマンスキー版での身分差の恋模様やバスク舞踊の大迫力演出、
革命成功に歓喜するだけでない複雑な事情も浮き彫りにした演出が我が2017年年間鑑賞来日公演部門断トツ1位になったほどたいそう気に入っておりますため
ジャンヌの全幕におけるトリコロール模様に彩られたさらっと靡く衣装とは異なるチュチュ衣装を発表会のパ・ド・ドゥで観るたび違和感を覚えておりました。
白チュチュに三色リボン程度のきりっとシンプルなデザインならまだしも、稀にレースやおリボンフリフリな衣装も見かけ、
王制貴族社会に対抗していた平民が、打倒した直後に貴族趣味な装いで結婚式に臨むであろうか、
それとも対抗と憧れは紙一重であったから服飾に取り入れたのはごく自然な流れと考えるべきか云々首を傾げていたわけです。
(踊れぬ素人が余計な思考を申し訳ございません)
序盤から長々しい記述となり恐縮、そんなわけで板東バレエさんにて全幕彷彿のジャンヌ衣装にお目にかかれてプログラムの最初から脳内はパリ祭状態でございました。

小さな子供の生徒さん作品の中ではシンコペーティッド・クロックが懐かしい幸せを思い起こし、妹が子供の頃に踊っており(目に入れても痛くない可愛らしさでした笑)
更には偶然にも大きなりボンとチュチュの組み合わせも同じで、板東バレエさんはカラフルな可愛らしさ。
皆で息を合わせて丁寧に笑顔一杯でプリエやルルヴェをこなす姿もまた好印象でした。

上級生の方々の踊りも質が高く、中でも『ファラオの娘』アスピシアの生徒さんの格式と誇り高さを思わせる踊り方に拍手。
これまた『パリの炎』以上に好きで、2006年のボリショイ来日公演にて全幕を3回鑑賞。売れ行き不調で空席目立つ寂しさはあったものの
アレクサンドロワ、ルンキナ、ザハロワの日替わり3キャスト公演通い詰めたほど、思い入れのある作品でございます。
昨年の25周年発表会結婚式場面のライモンダを始め主要な役も度々務めている生え抜きの生徒さんがこの作品を踊ってくださり大変喜ばしい限りでした。
だからこそ、衣装がいかにもアスピシアらしい群青色系の幾何学模様なデザインであったら尚嬉しかった気も。
『ラ・バヤデール』や『海賊』のオダリスク等の演目にて、全国各地で何度か見覚えある衣装でしたのでもし次回また機会あればご検討いただけますと幸いでございます。

そして『アルレキナーダ』が心がほんわか和んでしまう掛け合いの花が咲いていた印象で、コロンビーヌ役の生徒さんが伸び伸びと恋人に会えた幸せを全身から表し
アルルカンの福田圭吾さんが優しく受け止めて可愛らしく、そしてくすっと笑いを起こさずにいられない面白みのある返し方で展開。
圭吾さん、昭和末期生まれのはずですが役にも生徒さんとのバランスも絶妙な具合で天晴れ。観客への呼び掛けの仕切りも安心感まで持たせました。
今夏は東西で芝居心もばっちりな生徒さんと、役へ嵌りっぷりが年齢不詳ゲスト(褒め言葉)による
チャーミングな『アルレキナーダ』を鑑賞でき、ようやくこのパ・ド・ドゥの魅力が分かりつつある夏となりました。

主宰の板東さんと山本隆之さんが踊られた『シンデレラ』パ・ド・ドゥは益々美しく人生を歩まれているお2人だからこそ魅せる力の大きさに感嘆。
星空に包まれるが如く輝くようなときめきと穏やかさに満たされた心持ちとなり、姫らしい薄紫に銀色の装飾が散りばめられたチュチュと青襷王子の衣装姿が今も尚麗しく
甘美で摩訶不思議な音楽と一体となりながらポーズの1つ1つもしっとりと描出され、舞踏会のハイライトを眩く披露してくださいました。

ゲストの女性ダンサーの方々のヴァリエーションはどれも刻まれ、中でも強靭な軸足を駆使する回転がふんだんに盛り込まれながら力みが無く
嬉々とした感情を身体から発する佐々木美智子バレエ団の佐々木夢奈さんメドーラ(音楽はシェル男爵が作曲したシンデレラの中の1曲であったかと記憶。急速な曲調で歌えない曲です)、
腕で余韻をもすっと撫でて摩るような色気や危うい香りが立ち込め、技術も1つ1つが盤石で余裕の笑みにも恐れ入るしかないNBAバレエ団工藤雅女さんのオディール。
そして最たる印象がフリーで活動中の宮田遥夏さんの『ジゼル』第1幕で、登場した瞬間から
純粋で少し素朴で、恋する喜びを内に秘めつつも幸せを隠せぬ愛らしさに管理人、席からずり落ちそうに。無背景無装置の1人舞台であっても
ベルタへの懇願や迎えてくれる友人らとの呼応、上手側のベンチには腰掛けたアルブレヒトが見守っている様子が見え、
物語作品の抜粋上演時に私が最も重要視する「全幕を観ている気分」にさせてくださいました。
ジゼル1幕やサタネラのグラン・パ・ド・ドゥ登場時の男性も含め、下手にやるとただ右往左往しているだけにもなりかねぬ
難しい登場であっても、少女の恋心や決意が自然なやり取りから浮かび上がってきてお見事。
パとパの繋ぎの部分に至るまで神経を行き届かせた踊り方も目に福の飛び込みが止まらずでした。
8月の『ガチョーク讃歌』や昨年3月吹田市での山本隆之さん版白鳥の湖にも出演され、活躍に一層注目して参りたいと思っております。

最後はGod save the Queen。(英国国歌以外にも馴染みある曲が複数入った、水兵さん達と国旗が登場する原タイトルは異なるあの作品です)
大阪の方々の出入りが多いスタジオで瀬戸内海に近い地域性にも合うのか、2013年『シンデレラ』との同時上演時を更に上回るノリの良さと高揚感が会場中を席巻。
ゲストも生徒も、出演者も観客も垣根は無いに等しく、第1曲目の開始10秒後には客席から手拍子が沸いたほどでした。
スキップしながら板東さん達3人がまずは登場し、その後は山本船長!?に見守られたキュートな水兵さん達も大活躍。クロールや平泳ぎといった泳法やロープ引きの仕草もお茶目に映り
そして力自慢担当は福田圭吾さん。ポパイとドヤ顔を配合させた感のある姿は秋の西条まつり以上のインパクトであろう、東西でお祭り男です笑。
ボギー大佐の曲にのせて爪先立ちで行進してくる女性隊員さん達も色っぽく、フィナーレは全員で手旗信号。
この舞台から今日の間に英国では政権も王室も大きく変わり、今思えばこの曲名を記し目にできた残り少ない日々の中の一瞬であったと
エリザベス女王の逝去、国葬の報道をここ数日見聞きする度に感じております。

小品が多めであっても生徒さんを中心にして前面に出しつつゲストの出番もバランスよく取り入れ(プロの公演回数が少ない県にて毎度大変嬉しい企画です)
妙なぶつ切り感もなく終始飽きさせぬ構成にこの度も楽しませていただきました。
観客の拍手や集中の熱量が途切れぬ印象すら持たせたほどで、ご親族が出演するからと初めてバレエをご覧になる観客も多いと思われる中
舞台も客席も実質境界線が無いくらいに会場一体となって沸き立つ舞台作りをされた板東先生や出演者の皆様に拍手を今一度送りたい思いでおります。
それからプログラム冒頭の板東先生の挨拶文には世相の話題を踏まえ、今健康にバレエに取り組み、
舞台作りをしていることがいかに幸せであるかを感謝したいと記され、しかも押し付けがましさが皆無でさらっと、同時にふと考えさせられる内容。
このご時世であっても各地で鑑賞を満喫している生活がどれだけ幸せな状況であるか私も再確認です。
今月の配信1回を含む15回の鑑賞マラソンを板東バレエで締め括り、無事2022年夏のグランドフィナーレを迎えました。次回の舞台も心から楽しみにしております。



※以下写真多数ございます。もう9月も半ば、夏の記録を眺めている暇はないとのお方は恐れ入ります、次回からようやく9月分に入りますためそちらをお待ちください。



今回は2016年以来2度目の岡山県経由で愛媛入り。2016年は東洋のマチュピチュ及び私が好む映画上位の『天空の城ラピュタ』な世界が現る
別子銅山2度目の訪問で新居浜へ立ち寄る必要があったためでございます。
久々の特急しおかぜにて瀬戸内海横断中。島々がよく見え、風光明媚!早くも西条の水兵さん達に会いたくなる欲が募ってしまう景色です。



伊予西条駅から会場までの1本道の間に位置する和食店へ。日替わりランチのボリューム、料理の豊富さにもびっくり。
新鮮なお魚も、サクサクとしたチキン南蛮も美味しい。
ご一緒したのは9年前に16年ぶりのレッスン再開初日に知り合いその後もスタジオや劇場でお世話になっている方とでございます。
実は今回の愛媛入り、当初は昨年や一昨年と同じく飛行機利用を検討していたものの
目の前にある事柄が終了しないと準備ができぬ性格であるがゆえ、1週間前の福島県白河市での鑑賞後にやっとこさ交通機関を検索。
当然JALやANAの早割も終わり、高価な航空券しかなくそもそも羽田空港であろうとLCC発着の成田空港であろうと
前日の夜に立川市から帰宅後一眠りして早朝に起きて向かう自信がもはやなく笑、
ならば立川市からそのまま中央線で新宿へ向かい岡山までバスで直行すなわち立川岡山特急しおかぜ愛媛バレエルートが良かろうと結論。
(本が苦手であった私に読書の魅力をもたらした西村京太郎さんは偉大です)
結果として、鑑賞とレッスンの比率が100対1に近い変わり者な私にとって良き理解者である、しかも上級レベル者でありながら
私のようなレベル底辺素人にもいたく優しい素敵友人と岡山から一緒に移動することができたのでした。



伊予西条駅、稜線がくっきりとした山並みが青空に。山と海が隣り合わせである四国の地形の毎度驚かされます。



恒例、アンパンマン達にもご挨拶。



19時前に今治駅に到着、God save the Queenの中の曲を再生しつつ駅から徒歩15分でホテル横の港へ。沈み行く夕日が美しい。
今からでも先ほどの西条市の水兵さん達、今治港に寄港して欲しいと思ったもののもう皆様休息中でしょう。



港の横のホテルに宿泊。落ち着く和室です。渋い水色の浴衣も気に入りました。



お目当てはこちら。鯛の華御膳。静かな宴会室にて(マナーの良いお客様ばかりでした)
夏の締め括りで愛媛に行き、しかも水兵さん達のバレエを観るならば港近くの宿にて鯛を堪能しようと決めました。
1人客ですからどう頑張っても黙食宴会となるわけですが、今治の地酒で乾杯。



真上から撮影。鯛、鯛、鯛。



鯛かぶと陶板蒸焼きを拡大。このあと身をほぐしていただきました。



鯛めし 拡大。香ばしい匂いが漂います!



この日ほど、この曲が響き自身に重なった日はございません。宴の後部屋に戻り、ホテルにて一緒にサライを歌いました。
ちなみに谷村新司さんと山本さんは同年度の芸術選奨文部科学大臣賞受賞者でいらっしゃいます。

8月の配信1回を含む計15回鑑賞、つまりは2日に1回は何かしら観ていたらしいのだが、渋谷に始まり関東各地に加えて京都、福島にも行きゴールは愛媛の鑑賞マラソン。
24時間テレビ内のマラソンの経緯を眺めつつ、私にとっての各所のハイライト映像が脳裏に浮かびます。
思えば波乱のスタートで8月入ってすぐ、グラン・パ・ド・ドゥも半年以上練習してきた当ブログレギュラーの大学の後輩が
本番数日前になって発表会出演不可能となってしまった悲しい知らせに本人の辛さを思うと私ですら崩れ落ちそうになり、
続く初の恵比寿でのモード系なバレエガラでは間近で中村祥子さんに皆で踊ろうライモンダも感激、
これまた直前に出演者一部変更告知がされたバレエアステラスにも2日間他の変更が無いよう願いながら通い
親族気分で主役陣よりもアンサンブルに注目してしまったガチョーク配信。
全幕とバレエコンサートの配分の大切さを考えたり、有名な文芸作品及びミュージカルでもお馴染みながら人間関係に混乱するも
エネルギーが伝わる空間に居合わせたり、主役よりもジュリエット父さんとマキューシオばかりが印象に刻まれた京都に
中村さんや菅井さんの共演が実現した暴風雨の中を帰宅したNHKバレエの饗宴、
懇願していた組み合わせが遂に叶った大和シティー、田北さんのプロデュース力に唸り
代役アリにもびっくりしキーウのスターダンサーとの横並び共演に盆と有給休暇同時到来であった葛飾区亀有。
年齢大不詳道化師な八王子に里帰り白河アルブレヒトからの立川市でのトロワ付き白鳥抜粋で東を締め括り
そして西条市の水兵さん達の賑わいに包まれ、全国における8月グランドフィナーレを迎えました。
自身が踊るのではなく観に行っただけですから疲弊は全くしておりませんがそうはいっても我ながらよく乗り切った密度濃縮な2022年8月でございました。



おはようございます。朝日に照らされた今治港。



錨が描かれたプログラムを掲げて撮影。



朝食、洋風プレートを選択。ヨーグルトにはしまなみ産の柑橘ソースがかかっていて爽やか。オムレツを焼いている様子が見え、食べる前からうきうき。



きらめいてかがやいて、良い標語。



タオルの今治、名産です。



特急で松山へ。海景色を眺めるのもあと少しです。定刻に松山駅に到着しましたが松山駅発の空港行きバスの場合飛行機のチェックイン締切時間ややぎりぎりであり
余裕を持って臨むため(ウェブからのチェックインも可能なのですが、航空券は紙であるほうが安心する昔型人間でございます)
松山駅から松山市駅まで約15分早歩きして移動、松山駅発よりも早くに到着するバスに乗車できました。



無事余裕を持って到着、チェックインも済みましたのでならば買ってみたかった蛇口からみかんジュース。
みきゃんが見守ってくれています。フレッシュで酸っぱ過ぎず、爽快な味でした。


いざ搭乗口へ。晴天の空の旅へ出発です。さらば愛媛、また会う日まで!
長々と途中話が逸れがちな内容をお読みいただき、ありがとうございました。
ああ大阪行きの支度、早うせねば!!