バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
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2023年7月2日日曜日
息づく伝統吹き込む新風 英国ロイヤル・バレエ団ロイヤル・セレブレーション 6月24日(土)昼
※2023年も下半期へ、7月に入ってしまいました。
前記事に時間をかけ過ぎましたので、溜まっている分をジュリエットの如く駆け抜けて更新して参りたいと思います。
6月24日(土)、英国ロイヤル・バレエ団ロイヤル・セレブレーションの初日昼公演を観て参りまた。
ロイヤルシネマで鑑賞した作品が何本かあれど、映像と生では全く異なり、生で観る面白さを体感いたしました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2023/royalballet/
※今回は短めです。お急ぎの方もご安心ください。
※キャスト等はNBSホームページより
FOR FOUR
日本初演
振付: クリストファー・ウィールドン
音楽: フランツ・シューベルト
衣裳デザイン: ジャン=マルク・ピュイッソン
照明デザイン: サイモン・ベニソン
ステージング: クリストファー・サンダース
アクリ瑠嘉、マシュー・ボール、ジェイムズ・ヘイ、ワディム・ムンタギロフ
四重奏:ヴァスコ・ヴァッシレフ、戸澤哲夫、臼木麻弥、長明康郎
全員色違いシャツとパンツスタイルのシンプルな格好で登場し、シネマで観たときはシャツの背中の模様に気づかず、上階から観てようやく発見。
哀切や憂愁を含む旋律の中で4人がときに交互に、ときに複数人数であったり踊り繋ぎながらの展開で、似た衣装を着ていても個性がくっきり覗けて楽しく映りました。
久々に観たムンタギロフは上品で柔らか、ボールは端正、アクリさんは機敏性に富み、ヘイは小気味良い印象で同じ音楽の中で次々と遊泳していくように披露。
ただ想像よりも全体が大人しくなってしまった気もしており、良く言えば綺麗な調和であってもぱっと目を惹くものが少し物足りなかったかもしれません。
プリマ
日本初演
振付: ヴァレンティノ・ズケッティ
音楽: カミーユ・サン=サーンス
衣裳デザイン: ロクサンダ・イリンチック
照明デザイン: サイモン・ベニソン
ステージング: ヴァレンティノ・ズケッティ、ギャリー・エイヴィス
フランチェスカ・ヘイワード、金子扶生、マヤラ・マグリ、ヤスミン・ナグディ
ヴァイオリン: ヴァスコ・ヴァッシレフ
シネマではどぎつい色味の衣装に仰天して終わった感がございましたが、生で観ると強い女性陣たちがピリリと火花散らし合う鋭い空気に痺れた作品。
特に金子さんが女王然としていて、長いスカートを翻しながら舞う押し出しの潔さや、ヘイワードの音楽と細かく砕き合うように俊敏に踊る反応の良さも目に刻まれ
マグリの身体能力から繰り出すダイナミックなパワーやあくまでエレガントをベースに踊るナグディ、とそれぞれの個性が競演です。
夜の抜擢組な布陣も興味があり、中でも今月末には古巣の舞台ではソロの役での鑑賞を予定している佐々木須弥奈さんと
近年は『くるみ割り人形』クララや『シンデレラ』四季の精?等でも活躍目覚ましく
知ったときから名前が気になって仕方ない前田紗江さんも観てみたかったと思います。
田園の出来事
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:フレデリック・ショパン 編曲:ジョン・ランチベリー
美術・衣裳:ジュリア・トレヴェリアン・オーマン
照明デザイン:ウィリアム・バンディ
照明デザイン:ジョン・チャールトン
ステージング:クリストファー・サンダース
ナターリヤ : ナターリヤ・オシポワ
イスラーエフ : クリストファー・サンダース
コーリャ(息子) : リアム・ボスウェル
ヴェーラ(養女) : イザベラ・ガスパリ―ニ
ラキーチン : ギャリー・エイヴィス
カーチャ(家政婦) : ルティシア・ディアス
マトヴェイ(従僕) : ハリソン・リー
ベリヤエフ(家庭教師) : ウィリアム・ブレイスウェル
ピアノ:ケイト・シップウェイ
その昔、グレート・パ・ド・ドゥだったか華麗なるパ・ド・ドゥであったか、テレビ放送されたパ・ド・ドゥ名品集なる映像で
マカロワとダウエルが踊るのを観て以来、何の予習もせずに臨みました。収録は他に記憶が正しければフェリとイーグリング『ロミオとジュリエット』、
フォンティンとヌレエフ『海賊』、バッセルとコープ『パゴダの王子』、ハーヴェイとバリシニコフ『ドン・キホーテ』、
コルパコワとベレジノイ『眠れる森の美女』、コリアーとダウエル『くるみ割り人形』、といった目も眩む傑作選でございました。
幕開け、オフホワイトを基調とした隅々まで彩る奥行きも備えた緻密な美術に目奪われ、使い込んだ調度品の質感まで凝ったデザインで床にも幾何学形な模様が描画。
ソファーベッドで寛ぎ何処か気怠そうにしているオシポワの悩める妻ナターリヤがなかなかの嵌まり役で日常に疲れた感のある裕福なマダムが実にナチュラルで貫禄もあり。
家庭教師ベリヤエフのブレイスウェルの登場はインパクトこそ控えめではあったものの
淡い風情の中でも熱の疾走が止まらずナターリヤと徐々に危うい関係へと発展する過程に、少しずつ針で刺されて行く感覚が呼び起こされました。
子供達の目撃が不穏さを掻き立てる進行からも目が離せず、ナターリヤの情事を知ったときの衝撃はいかばかりか。
怒りを滲ませてナターリヤに迫る姿は痛々しく、静かに崩壊していく家庭の行く末を案ずるしかありませんでした。
見せ場のパ・ド・ドゥは繊細な調べの中で、ベリヤエフに抱えられたナターリヤが葛藤や戸惑い、苦悩といったよからぬ感情の1粒1粒が悲しみを帯びた旋律と溶け合う一方
アシュトン特有の上体の捻りや反りを行う振付が多々組み込まれ、内に秘めたものを振り切って放出している双方の連動した動きが
人間関係の危うさ、揺らめきの描写にそのまま繋がっていたとも捉えております。
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド" [全編]
振付: ジョージ・バランシン© The George Balanchine Trust
音楽: ピョートル・チャイコフスキー
衣裳デザイン: カリンスカ
装置デザイン: ジャン=マルク・ピュイッソン
照明: ジェニファー・ティプトン
ステージング: クリストファー・サンダース、サミラ・サイディ
マリアネラ・ヌニェス、リース・クラーク
アネット・ブヴォリ、イザベラ・ガスパリーニ、メーガン・グレース・ヒンキス、ジーナ・ストリーム=ジェンセン、
デヴィッド・ドナリー、ニコル・エドモンズ、カルヴィン・リチャードソン、ジョセフ・シセンズ、ほか
シネマではひたすらパワー全開に見えましたが、生で上階から観ると全体が枠として視界に入ったためか落ち着いた印象に変わりました。
ヌニェスは奥底から煌めき発するダイヤモンドで、他を圧倒する輝きで
ソロの強靭な体幹を駆使したバランスや回転も力強くなり過ぎず、これはこれで良いのかもと考え転換。
クラークが予想より踊りが歯切れ良くなり、だいぶ別人に見え、あの高い背丈でのコントロールと思うと身体の芯がきちんと備わっていないと成し得ないと思います。
ヌニェスとのペアもダイヤモンド超えて太陽なオーラで照らし、コールドを率いていました。
コール・ドの生命力溢れる踊り方もロイヤルらしい特徴と思いますし、それにしてもチャイコフスキーのポーランドを生で聴けたのも幸運でございました。
パ・ド・ドゥ集のガラではなく、巨匠の伝統作品から現役団員による振付まで、多彩な作品を丸々取り入れたミックスプログラムであったのは嬉しく
またシネマでも観たとはいえ大型スクリーンと生での上階から全体を鑑賞するのは全く違った印象も与え、足を運んだ甲斐がありました。
今回の我がロイヤル鑑賞はこの1回ですので『ロミオとジュリエット』祭りが続く皆様、大阪公演姫路公演にお出掛けの皆様、引き続きお楽しみくださいませ。
帰りは所用で秋葉原まで歩き、駅前のパブへ。いかにも古き良き英国な趣溢れる空間で、ヴィクトリアンアルトビールで乾杯。獅子と薔薇模様のグラスでございます。
シェパーズパイを注文。熱いのでお気をつけくださいと言われたにもかかわらず空腹であった管理人、
勢いよく口に入れてしまった笑。でもほくほくと香ばしく美味しい。
キャロットケーキ。チーズクリームが絞られています。不思議の国のアリスを思い出す形、色合いで1年前の6月は東京と群馬県高崎市にてアリス祭りであったと回顧。
にんじんぎっしり詰まっていてバターもたっぷり。しかしクリーム効果かしつこくない味わいでした。
翌日に有酸素運動を控えておりましたが、まだ早い時間帯ですので良しといたしましょう。
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