2022年3月29日火曜日

中止から一転しての無事来日グループ公演   シュツットガルト・バレエ団の輝けるスターたち    3月21日(月祝)





3月21日(月祝)、シュツットガルト・バレエ団の輝けるスターたちを観て参りました。(感想短めです。お急ぎの方もご安心ください)
当初はバレエ団としての全幕物2本の上演予定が一旦は公演中止が発表されたのち、
グループ公演としてのガラならば可能であるとして内容を大幅変更。情勢が益々不安になる中でしたが無事来日し実現に至りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2022/stuttgart-gala/index.html


「ホルベアの時代」より
振付:ジョン・クランコ
音楽:エドヴァルド・グリーグ
アグネス・スー   マルティ・フェルナンデス・パイシャ

トップバッターとして登場。青いレオタード系シンプル衣装で、ちょいと長い気はしたが、爽やかな風を吹かす幕開けで宜しうございました。


「椿姫」より
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
ピアノ:菊池洋子
エリサ・バデネス   デヴィッド・ムーア

当日になって開演前の放送で変更案内。当初の予定『オネーギン』の作品や音楽好きとしては残念であったが
儚さ抑えめマルグリットと朴訥感の強いアルマンの白のパ・ド・ドゥまあ良いか。


「ソロ」
振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
ヘンリック・エリクソン   アレッサンドロ・ジャクイント   マッテオ・ミッチーニ
バッハの鋭い音色で駆け抜けるテンポの曲にのせて3人の男性によるソロもあれば揃っての登場もあり。
入れ替わるときにはバトンを手渡すように出迎えてから引っ込むため、滑らかに繋がっている面白さがありました。


「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ロシオ・アレマン  マルティ・フェルナンデス・パイシャ

可愛らしく初々しい2人。クランコ版ならではの赤いラインの入ったジュリエット衣装がよくお似合いでした。
東京バレエ団のよるクランコ版ロミジュリも楽しみです。


「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ
エリサ・バデネス   デヴィッド・ムーア
振付:ジョン・クランコ   (マリウス・プティパに基づく)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー

2018年にクランコ版『白鳥の湖』全幕を観たが、黒鳥のパ・ド・ドゥにてオディールが大概は王子のヴァリエーションでの曲で踊るとは驚き。
喰われそうなバデネスオディールでございました。


「Ssss…」よりソロ
振付:エドワード・クルグ
音楽:フレデリック・ショパン
マルティ・フェルナンデス・パイシャ
ピアノ:菊池洋子

ショパンの叙情性溢れる曲の中で戯れながら希望を見出すように広がりを見せていく展開に引き込まれました。


「コンチェルト」
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィッチ アグネス・スー  クリーメンス・フルーリッヒ

この作品がレパートリーにあったと初めて知った次第。太陽のような背景にオレンジ色の簡素な衣装が見栄えし
静謐さと情熱が入り交じりながら紡いでいくパートナーシップも好印象。


「スペル・オン・ユー」
振付:マルコ・ゲッケ
音楽:ニーナ・シモン
マッケンジー・ブラウン   ヘンリック・エリクソン
アレッサンドロ・ジャクイント  マッテオ・ミッチーニ

紅一点のブラウンの颯爽とした踊りっぷりが爽快で黒パンツもお洒落な着こなし。


「うたかたの恋」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:フランツ・リスト
編曲:ジョン・ランチベリー
エリサ・バデネス   フリーデマン・フォーゲル

目当てでもあった演目だが、本日の白眉。歪みへの極致へ達する駆け引きに益々全幕が観たくなり
服を脱がしかけるきわどい表現や突如の銃声も狂おしさの嵐の延長に思える怒涛の展開。フォーゲルが描き出す陰険なルドルフのその後も気になり
最初の予定にあった通りいつかバレエ団来日公演にて全幕実現を願います。


「ボレロ」
フリーデマン・フォーゲル
樋口祐輝   玉川貴大  大塚卓  岡﨑司
東京バレエ団

シュツットガルトの来日でベジャール作品を目にする日が来るとは思いもいたしませんでしたが特別許可を得ての上演。
フォーゲルのメロディは派手な発散型ではなく丁寧に美しく刻んで行く印象で、背中の1ミリも脂肪が無いであろう締まった体型にも年齢を考えると恐ろしや。


何の予習もせず出向いてしまい、『うたかたの恋』、『ボレロ』、『オネーギン』(変更になってしまったが)以外は
会場に到着してから構成を知るシュツット入門者な姿勢で鑑賞に臨みましたが、クランコ作品から現代物までバランスの取れた内容を堪能。
バレエ団としての来日は叶わずであっても、現況でも可能な上演を模索しての実現に敬意を表さずにいられません。
カーテンコールでのメッセージ投影の通り、次はバレエ団の来日公演願わくは『うたかたの恋』が上演できますように。




約33年前、ホルベアの時代を踊る芸術監督タマシュ・デートリッヒの現役時代。



帰りはドイツビールを飲みにこちらへ、黒ビールで乾杯。ラベルの色味がボレロです。



お通しの燻製チーズ。煙が上がっております。



冷製ソーセージ。ブルーベリージャムと合わせると、しょっぱさと甘さの往来となって面白い相性でございました。

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