2021年10月1日金曜日

故郷が歓喜した渡邊峻郁さんの白河凱旋 バレエスタジオPLANE(プラネ)第35回記念発表会 9月19日(日)《福島県白河市》





9月19日(日)、福島県白河市のコミネス白河にてバレエスタジオPLANE(プラネ)第35回記念発表会を観て参りました。
新国立劇場バレエ団の渡邊峻郁さん拓朗さん兄弟のご出身スタジオで、峻郁さん待望の凱旋舞台です。
https://www.minyu-net.com/news/news/FM20210922-656890.php

福島県の訪問及び鑑賞は、2015年6月いわき市における下村由理恵さん山本隆之さん、福田圭吾さんや奥田花純さんも出演された
篠原聖一さん演出振付のいわきアリオスシアター 「The Fisherman and His Soul 」(原作オスカーワイルド 漁夫とその魂)と
「オーケストラの為のポエム」公演以来6年ぶり。白河市訪問は初でございます。
スタジオ関係者全員の願いだったのでしょう。発表会で、地元の舞台でたかにいに(プログラムによれば、スタジオでの渡邊さんの愛称のようです)との共演の嬉しさや
昨年の中止を経てようやく開催が実現した喜びが舞台全体から終始伝わって、開催そして渡邊さんの凱旋を祝す喝采が鳴り響き、大変祝福感に満ちた会でした。
故郷で踏まれる舞台を私も待ち侘びておりましたので、また合わせて白河訪問も夢でございましたので感無量な週末を過ごした次第です。
 日頃お世話になっている方が見つけてくださり、感謝が今も尽きずにおります。

プログラムは3部構成で、まず生徒さん全員によるオープニングから。紫色のウェアで統一され、整然と並んで名前がアナウンスされると1人1人レベランス。
幼い生徒さんも順序やタイミングをきちんと守って舞台に立っていて、仮に5歳の頃の自身を振り返ると何かしらやらかして和を乱していた可能性大であり
未だ協調性があるとは言い難い私にとって、発表会は毎度学びとなる場でございます。

続いて第1部『眠れる森の美女』より第3幕。眠りの結婚式の場面上演時は見せ場を増やす工夫を凝らした演出がしばしば披露され
プロローグの妖精達のソロを入れる場合もあれば、深川秀夫さん版『オーロラ姫の結婚』では花のワルツをパ・ド・シスや宝石の妖精達が踊って
グラン・パ・ド・ドゥの前座を飾るより煌びやかな演出及び3幕で披露しても違和感がないどころか祝福感を一気に沸かせる展開に驚かされましたが
プラネさん版では淡いピンク色のバラの花を手に同系色の膝丈のふわりとした衣装を着けた生徒さん達が花のワルツを披露。
宮殿内に春めくピンク色がふわりと広がり、おめでたい空気に満たされていきました。朝に立ち寄った白河ハリストス正教会に咲くバラをも思い出し
踊り終えると貴族達と一緒に周囲に立って見守る姿も舞台を可愛らしく縁取り、幸せバラ尽くしです。
ソリストのみクラシック・チュチュで、ヴァリエーションの一部を思わせる振付やポーズの取り方からして
恐らくは1幕における16歳になったばかりの頃のオーロラ姫として登場し回想する場面、現代で言えば
披露宴で新郎新婦の子供時代の映像が流れるイメージにも見て取れました。(解釈がもし違っていましたら申し訳ございません)
女性2人による猫も色っぽいじゃれ合いが楽しく、子供の赤ずきんちゃん達と男の子による狼も演じ方がしっかりしていて
特に狼の確固たる恐ろしさが全身の表情から伝わる踊り方には思わず注目いたしました。
青い鳥そして第2部ではファラオの娘グラン・パ・ド・ドゥにて生徒さんを優しくサポートされながら踊られた現在フリーでご活躍中の倉谷武史さんは
プロフィールによればプラネのご出身のちに1996年東京バレエ団に入団されたとのことで
東京バレエ団の公演に足を運び始めた頃の2001年シルヴィ・ギエム全国ツアーや2002年ラ・シルフィードのプログラムに目を通したところお名前を確認。
ギエム全国ツアーではボレロ、テーマとヴァリエーション、白の組曲、春の祭典、シンフォニー・イン D、と
振付者も作風も多彩な演目でご活躍で、古川和則さんや大嶋正樹さんと同じ入団年であったようです。

さて、いよいよオーロラ姫とデジレ王子の登場。遂に渡邊さん、白河凱旋舞台ご披露の瞬間でございます。
シフォンのお袖の衣装で中央にピンク色が少々含まれた、パリ・オペラ座の第2幕の王子衣装に似たデザインで歩き方や立ち姿からして高貴な風を吹かせていたのは明らか。
少し緊張していたご様子の生徒さんを丁寧にサポートなさって和らいだ空気を作り出しつつ
ソロでの優雅さと張りのある跳躍もはっとさせられ客席もどよめきを隠せぬ状況と化していたほどです。

第2部は小品集で、子供または大人の生徒さんの作品やヴァリエーション、パ・ド・ドゥが披露されました。
1点気にかかったのは床が滑りやすかったのか転倒、或いは躓きそうになってしまった人が何人かいましたが
怪我なく気持ちも即座に切り替えて最後まで踊り切ったのは見事。心配する客席からの視線に対し
寧ろよりにっこりと笑みで返していた生徒さんもいて、頼もしく映りました。

第3部を飾ったのは『パキータ』グラン・パ。眠り3幕が先でパキータが最後である構成は当初は珍しく思えましたが
これまでに公演発表会問わず幾度と観た中で最たる高揚感をもたらす舞台で、納得いく順序でございました。
そして何よりも、今年2021年上位3本に入るであろう強烈であったのが渡邊さんリュシアンの姿。
パリ・オペラ座も、ルグリもマルティネスら歴代のエトワール達も仰け反るであろう凛々しい美しさと洗練が凝縮した金色軍服しかも肩に輪っか付き姿で
表現が過激ではないかと批判を受けるを承知で申すとまさに鼻血寸前でした笑。
今年の新国立劇場バレエ団ニューイヤー・バレエの同作品同役で出演されるも配信となってしまい
今回白河にて生で拝見できるだけでも歓喜いたしましたがそれどころではない、興奮の極致へと到達です。
先月綴った、5月の札幌における久富淑子バレエ研究所『シンデレラ』でも触れた通り『シンデレラ』舞踏会ファンファーレ、『ライモンダ』マントでジャン帰還に並ぶ、私の中での男性主役三大華々しい登場に数える
時間をためて登場し対角線上を歩くリュシアンの美しく勇ましく凛々しいことよ。ここまで整った青年将校、地球渡り歩いてもお目にかかれそうにございません。

パキータ役の生徒さんの晴れやか端正で気品ある、歯切れ良くも指先足先まで神経が届いた踊り方にも惚れ惚れしたのもさることながら
特筆すべきが主役のみならずソリスト、コール・ドの纏まり方。大人から子供まで年齢も身長も様々ながら主役達を見つめるときと言い
一斉に踊り出すときの目の合わせ方と言い幸せに溢れた表情が舞台中に広がってより祝祭感を引き上げ結束力の強さも印象に刻まれております。
2006年のパリ・オペラ座来日公演『パキータ』全幕をオスタとペッシュ主演で観ているものの、周囲に聞いても異口同音で大騒動の末に結ばれたのは分かったが
細かな展開は記憶に無く、結局結婚式の場面しか脳裏に残っていないと話す方ばかりで私も同様でございます。
(私の場合、加えてパリ・オペラ座直後に来日した、連日空席目立つ具合ながら通い詰めた
ボリショイのラ・バヤデールとファラオの娘祭りに上書きされた事情も一因ですが)
プラネさんの結束力を目にし、全幕の流れを汲んでの結婚式を観ている気分となる高揚感には感激するばかりで、また理知的なパキータの機転によって眉目秀麗な容貌であっても
何処かうっかり抜けてとぼけた場面も嵌まりそうな笑リュシアンが救われ結ばれた経緯が目に見えてくるお2人でした。

もう1つ誠に嬉しかったのはリュシアンのヴァリエーションの音楽。今年の新国立劇場でのニューイヤーでは
オーソドックスな『コッペリア』フランツで定着している音楽使用で少々心残りがありました。
しかし今回は所謂リュシアンでよく使われる重厚で雄々しい曲調の音楽で、第1部の眠りとは打って変わって
品を保ちつつも豪快な質感宿る回転や跳躍を繰り出されて、ただ綺麗なだけでなく厚みやパッションも申し分なく、凛然とした表情の付け方にもうっとり。
手袋やブーツをお召しになり、日本刀、ではなくサーベル差して騎乗した勇猛そうなお姿を目を心臓印にしながら妄想せずにいられずでした。
さて、白河でもやります髪型観察。今回は二重に近い丸でございます。揉み上げが長めで驚きを覚え、インパクトが強かった為で整え方は不満一切無しです。

フィナーレでは『パキータ』ポロネーズの音楽にのせて出演者全員が舞台上に姿を現し、渡邊さんが登場されると拍手もひときわ大きく喝采。
プラネさんは毎年発表会を開催していますが(昨年は中止)例年12月開催で、トゥールーズ時代も、新国立入団後も出演困難な日程であったと思われ
ようやくの地元凱旋。観客席からも、待ち侘びていた気持ちやそして遂に白河の舞台に立ってくださった喜びの拍手がいつまでも鳴り響いていました。
主宰の鈴木寿雄先生もそれはそれは嬉しそうで、麻矢先生は涙ぐみながら登場され、渡邊さんにもっと真ん中へ行くよう促していらしたのか
鈴木先生とのやり取りでは渡邊さんが一瞬生徒に戻った感もあり、微笑ましいご関係が垣間見えたのもあたたかな心持ちになった次第です。
2018年頃のインタビュー記事であったかバレエを習い始めた頃のお話で、男子生徒は自分1人だけだったが
先生が男性であったことが心強く、鈴木先生がとても親切に教えてくださったとの内容を思い出しました。

この他渡邊さんはこれまで新聞、バレエ誌、バレエ関連のウェブサイト、着物雑誌モデル等数々のインタビュー記事に登場されていますが、その中でも特に印象に残っているのが
2019年12月の福島民報にてロメオの舞台写真付きで出身地含め大きく報じられた、プリンシパル昇格記事。
掲載を知ってからすぐ取り寄せ、その際大変丁寧に対応してくださった販売局の方に再度お礼を唱えつつ今回も出発前夜に再度目を通してから参りましたが
故郷の人達の前でも踊りたいと、郷土愛の強さがひしひしと伝わるお話が綴られ、渡邊さんにとっても地元での舞台は願い続けてこられたことなのでしょう。
ようやく実現し、無事プラネさんの発表会も開催できたこと、心より祝意を申し上げます。
この後にも延々書いておりますが、検温呼びかけやプログラム販売係の方、ホテル、お店、観光案内所で接してくださった白河の方々
皆様とにかく丁寧で温厚な方ばかりで、純朴な雰囲気も魅力。恐らくは白河市に隣接する西郷も似ていると思われ、県南地域も益々好印象。
渡邊さんの凱旋を初めて白河で観劇できたこの日、鑑賞史にずっと刻まれ記憶に残り続ける1日となりました。西郷・白河が生んだ偉大な芸術家です。



※以下は写真多量記録です。お時間のある方で忍耐力に確固たる自信のある方はどうぞ。もう10月に差し掛かり今年も残すところ3ヶ月
長々読んでいられぬとお考えの方は恐れ入ります、次回更新予定の都内公演感想記事をお待ちください。


白河と言えば東北の玄関口と呼ばれ、松平定信に所縁ある全国有数の名関所ですが、知ったのはお恥ずかしいながらごく最近のこと。
思えば日本のバレエ黎明期に関する記事や書籍をあちこちで読み始め、のちに井上バレエ団芸術監督も務められた
白河生まれで旧制白河中学に通われていた関直人さんの生い立ちを知った20年少々前(2000年頃?)に実質初めて頭に入ってきた地名かもしれません。
今でこそ新幹線を利用すれば2時間程度で移動可能な白河と東京間ですが、戦後間もない頃は片道5時間かけて白鳥の湖を観に東京へ出かけたお話や
いよいよバレエダンサーとしての舞台出演時は紹介記事に白河中學出身と綴られていたりと、白河の文字が多々目に飛び込んできたのでした。
※今更追記で失礼。更に調べたところ、私が昔通っていた教室の元々の主宰の先生は関さんの教え子?だったようで
関さん振付で日本初のシンフォニックバレエと言われ、今年2月に開催された関さん追悼公演で井上バレエ団が上演したクラシカル・シンフォニーの初演メンバーだったとか。
またNHKバレエの夕べでのゆきひめにもソリスト出演していたようで、詳細は確認中。いずれににしても、井上バレエ団には在籍されていた時期があり関さんとは深い関わりがあったようです。

次に白河に着目したのはちょうど新国立劇場で牧阿佐美さん版『ライモンダ』初演を迎える少し前の2004年夏の甲子園にて
北海道の駒大苫小牧高校が優勝し、優勝旗が初めて白河の関そして津軽海峡をも越えた
「白河の関越え」報道が連日なされ見聞きする機会が多々ありました。ただ、学校関係者も意識して度々口にしていたのか
それともメディアが作り上げ先導していた文言であったか、また高校野球以外の屋外競技の学校スポーツでも言われてきたことであるのか
真相は分かりかねます。少なくとも、2017年夏に甲子園球場で観戦した(高校時代吹奏楽での東京都予選大会の応援演奏経験から興味を持ち、関西でのバレエの用事に合わせて数回現地で観戦しております)
盛岡大付属高校の野球の応援では目指せ白河越え等と発していなかったと記憶。
ともあれ報道で何度も見聞きした2004年から約12年半後の2017年年明けに2度目の人生大転換期が訪れ、興味津々な地域になるとは知る由もありませんでした。
行こうと思えば決して遠くではない地域ですから数年前ならばすぐにでも観光なり例えば2月ならば白河だるま市へも行けたでしょうが
初訪問は渡邊さんの舞台鑑賞と合わせての機会にとっておきたいと思っておりましたので遂に2021年9月、白河入りです。



行きの新幹線にて、我が家の白河だるま達も里帰り。赤は白河の機械関連の企業の方から、青は福島県物産展にて白河ラーメン購入時の特典でいただきました。
いずれも東京での催しにて手元へと参り、後になって背中側に加わった一筆によって家宝としていつもは大切に箱に保管しておりますがせっかくの機会。
だるま達も地元の誇りの凱旋を観たがっているようですので、一緒に白河入りです。



新白河到着、だるま眉のお顔が素朴で可愛らしいしらかわんがお出迎えです。骨はポシェット!?そして我が自慢の妹と顔の系統が似ております。
ホテルや小峰城について調べているときにようやく知ったのは、新幹線が停まる新白河駅は西白河郡西郷村、隣の白河駅は白河市が住所であるそうで、ちょうど境目にある駅のようです。
西郷村は村であっても実質は市に近い都市機能を持つ自治体であるとも何かで読みました。
福島県のキャラクターキビタンがたくさん描かれた案内サイト。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/movie-now/ch-shitte2-nishigo.html



このあとバスで白河駅へ移動いたしましたが、降車の両替時、運転手さんがそれはそれは丁寧に説明してくださり
最後に降りる客であるとは言え、明らかにこの地域の公共交通に慣れていない者にも対しても苛立ちや嫌な顔1つせず、
安心感を与えてくださる優しいとても運転手さんでした。ありがとうございました。



鑑賞体制まさかの大転換となったかれこれ4年8ヶ月前から白河地域関連の観光資料に目を通してきた中で、凱旋舞台鑑賞時には合わせて実現したい目的が2つございました。
1つが名店とら食堂のラーメンを食すこと。確か2018年にNHKプロフェッショナルでも放送され、透明度の高いスープに涎寸前な状態で見入っていた記憶がございます。
10時過ぎに到着し記帳して待ち(この頃はまだ混み合っておらず)、11時少し過ぎた頃から順次お呼びがかかり
中の待合椅子に座ってメニュー見て先に注文を聞いてくださりそのあと座席へ。



そして遂に手打ち中華麺到着。一口含むとラーメンでは初、鑑賞後の乾杯にてお酒を口にしたときと同様の感激の溜息が零れました。
えぐみが無く清流のような澄み切った味のあとに深さが静かに訪れる味わいで、麺を忘れかけてスープばかり飲み続けていたほどです。
平打ち麺の歯応え、コシも良く、焼豚が脂身無しであった点も好み。
別注文した煮卵の半熟度もちょうど良い固さなとろり加減で、焼豚おにぎりも味はしっかりされど変な脂っこさが無く
大満足でご馳走さまでした。どんぶりのデザインは何種類かありますが、店名と寅印入りで歓喜です。
店内でも、そして待機するお客への対応も丁寧で穏やかな接し方で、大人気店であっても常に腰を低くした姿勢を貫いていらっしゃる印象を受けました。
尚、白河駅からは徒歩で約1時間弱でお客さんの大半は車利用です。お店を後にするとき、さっかか歩いて移動していると相当な珍客に映ったもよう。
駅前観光案内所貸出の自転車利用をしたかったものの雨が降ったり止んだり不安定な天候でしたので断念。バスは1日に数本で、時間に合う便がなさそうでした。
(最寄り停留所の掲示を斜め読みした限り白河駅間は廃線になったとか?)
道は分かりやすく迷子には全くならず疲れもせず筋肉痛にもならずでしたが、可能ならば次回は自転車で移動したい笑。
自動車の運転免許、危なっかしい私は事故を起こしそうな気がしてならず恐ろしくて取得したいと思ったことがなく
1人移動では公共交通や自転車、徒歩頼みで長年生きております。



交通安全の呼びかけはだるま署長も活躍。白河はどこにでもだるまさんがいます。奈良県でいえば鹿さん、愛媛県でいえばみきゃんのような存在感なのでしょう。



帰り道、だるまランドへ。古き良き正統派からモダンなデザインまで、様々なだるまさんが展示、販売されていました。
白黒映像時代の白河だるま市を報じる福島民報ニュースが流れていて、冒頭曲がオッフェンバック『パリのよろこび』
第1曲アレグロ・ブリランテの一部分?であったのが何とも面白く(管理人も若かりし頃に発表会でやりました、パリのよろこびの曲で構成された作品。
サーカス団長に扮した、どんな役でも引き受けてくださっていたらしいゲストの先生が登場する曲として使われた部分で、懐かしい。
それよりも、当時妹が子犬の役をやっておりましたが素朴な和顔で且つ反則級に、ひょっとしたらしらかわんよりも可愛い子でして今も変わらず。
変形した爬虫類の如き私に全く似なくて良かったと現在も思っております)
話を白河に戻します。福島のお茶の間にはカラーテレビ以前のこの時代から毎日この曲が流れていたかと思うと洒落たセンスで羨ましい。
だるまの絵付け体験や物販所も広く、大黒屋のだるま最中を購入。生地はさくっと軽く、あんこがしっとり上品な甘さでお餅入り。大変おすすめの白河銘菓です。
ランドはランドでも、だるまランドは千葉県浦安市の米国発の夢の国よりも好みに合います、とは言い過ぎかもしれませんが
浦安といえば私の中では舞浜を最寄り駅とした夢の国ではなく、2年前の8月末の平日夕方に文化会館にて目にした色気ムンムンドラマティック海賊と
帰りに駅前で食した房総直送の舟盛と九十九里の地酒の印象に上塗りされている状態でございます。





凱旋舞台鑑賞時には合わせて実現したいと思っていた目的2つめ、酒蔵見学。福島といえばお酒!2015年のいわきアリオスシアターでの鑑賞時に
いわき駅近くの居酒屋にて地酒の利き酒は体験し、しかも店名が『漁夫』で鑑賞した作品の題名及び男性主役の丸ごとな名称に
関連どころではない一致にびっくりでしたが、周囲のお客さんも交えて楽しいひとときであったのは今も思い出深い出来事です。
その後、時は過ぎて2017年の春先だったか、白河周辺の観光資料を眺めに東京都庁内の全国ガイドコーナー行くと通常の観光ガイドの他
福島県のキャラクターであるキビタンがはっぴを着ておちょこを持つ姿が描かれた
福島酒蔵スタンプラリーの資料をもらい、いつの日かに備えて目星はつけておりました。
(この頃はまだ周囲にも諸々殆ど打ち明けず、前年末やお正月あたりからひっそり映像検索したりしつつ並行して時々白河調査も行っていたのです)
2年半ほど前から福島のお酒購入は、スタンプラリーページにも掲載されていた福島市にある金水晶さんをしばしば購入し愛飲しており、今年のお正月には古関裕而ラベルの銘柄を、また一昨年渡邊さんがプリンシパル昇格時も移転前のブログ記事の通り、 金水晶さんのお酒でお祝いいたしました。

そして、いつの日か白河へ、が到来したこの度、駅とホテルからも近く、幸いにもとら食堂からの通り道に位置し
また一度東京のミデッテふくしま館で購入したことがある千駒酒造さんへ。大正時代に建てられた古めかしい堅固な造りです。
まず10分程度紹介DVDを鑑賞し、その間は甘酒をいただけました。麹の食感が程よく残り、学びつつも甘過ぎず癒しの時間に。
その後少し蔵の中を見せてくださり、時代劇に出てきそうな重厚な扉を開けると大奥の間、ではなく(当たり前だ)大きな造り場。
杜氏が寝泊まりする場所も裏手にありました。



さて試飲。味わいが全く異なる4種を用意してくださいました。この他あと1種、購入時の参考用としていただき、感謝が尽きません。
酒蔵、そして試飲での味の特徴の説明はそれぞれ違うスタッフの方が担当してくださいましたが
お二方とも分かりやすいご案内で念願の白河酒蔵見学、存分に満喫いたしました。



千駒酒造さんお隣にはこれまた歴史の重み感じる理美容室。白河の石を使っていると書かれていた気がいたします。



同じ通り沿いの年貢町会館。「しらかわ検定」の貼り紙も気になりますが、交渉か何かを終えた武士が中から出てきそうです。
この周辺は城下町の雰囲気が色濃く残り、暖簾をくぐって白河そばをささっと食べ
帰りがけには和菓子店でお饅頭か大福か、家族へのお土産として複数個購入し颯爽と過ぎ去る武士が眼前を通ってもおかしくない街並みです。(妄想)
隣の消防団の建物も昔の風情があり、緊急時には半纏着て、鉢巻締めた火消たちが出てきそうでございます。
そういえば、試飲で満月が描かれたラベルのひやおろしも目にしたためか、昨年夏に大和市で鑑賞した公演の最初を飾った
満月の夜を設定にしたショパンの調べにのせたパ・ド・ドゥを思い出し、最後男性が随分と長く高く伸びた梯子を登っていく幕切れから
休憩時間に思わず正直に「出初め式を想起」と周囲に話したところ、ショパンの曲のバレエでよくもまあそんな和の儀式が思い浮かぶと驚かれたが
でも半纏や鉢巻間違いなく似合いそう、梯子の上で上手くポーズ取っていそう、と同意を得られたあの盆の夜も忘れられません笑。
翌年つまり今夏の光GENJI或いはハワイアンセンター(周囲の方々の表現拝借)より遥かにさまになる、粋な格好かと思います。



ホテルの部屋にて晩酌、キレ味が良いと酒蔵スタッフにご紹介いただき、大きさもちょうど良いためお猪口も一緒にこちらを購入。
写真撮り忘れてしまいましたが、同じ通りに面していた山田パン のロールケーキ(卵たっぷりであろう生地とふわっとした生クリーム、練乳も入っていた気が)
パストラミビーフを挟んだ胚芽パンのサンドイッチも美味しうございました。千駒さんのお酒で晩御飯です。
山田パンさんの絵、同意者はいないと思うが、寛いでいるときのフランスの哲学者デカルトに見えるのだが気のせいか。
昭和26年創業の老舗パン店です。
ところでロビーにておかわり自由のコーヒーを飲みながら(濃いめの淹れ方で、水源良好な強みが生かされているのか滑らかな喉越しで大変美味しうございました)
新聞も自由に閲覧可能であったため福島民友に目を通してみると、占いのページにて7月生まれ(確か星座ではなく生まれ月であったはず)
やりたいことが実現する日と記載。的中でした。



ホテルから白河駅へ向かう通り道沿いの、白河ハリストス正教会。ちょうど礼拝中で、
内部は写真撮影禁止ですが中へ入ることは可能のようで、外から少し覗いてみました。
黄金色に輝く荘厳な内装で蝋燭の火が灯され、厳かで清い空気に満ちていたように思います。外には薔薇の花も咲いていました。
そしてモスクワにもまた行き、クレムリンも再度訪れたいと懐かしさが込み上げてきます。
加えて私の目が黒いうちに、新国立が再び海外公演できる日が到来しますように。ワシントンD.C.、モスクワと続けて制覇する気満々です笑。



プラネさんの記念舞台を祝すかのように、前日とは打って変わり朝から快晴。白河駅の可愛らしい駅舎が青空に映えます。
ステンドグラスの光も色鮮やかで、ずっと残していて欲しい建築です。



観光案内所で自転車借りて、いざ近場へ。午後一には本来の目的である鑑賞を控えていますから、すぐそばの小峰城あたりを散策です。
南湖公園や白河の関跡はまた次回に。
お城を背景に自転車を撮影。バレエ鑑賞旅先での自転車は、愛媛2回、姫路2回、京都、滋賀(琵琶湖)に続いて、何回目かよく分からんが笑、毎度快適でございます。



入口に自転車を駐め、(ボランティアガイドさんが優しく教えてくださいました)いざ中へ。
ほほう、お侍さんが颯爽と歩いていそうです。(この後お目にかかるのは西洋の王子様と将校なのだが、暫し妄想)



新白河駅方面の景色、山並みが美しい。ちょうど新幹線が通過です。



実はこの日、鑑賞したい両舞台が重なっており、悩みましたが2007年以降大阪開催時の舞台は欠かさず出向いていたKバレエスタジオさん、今回初の欠席と至りました。
大阪と福島、どこでもドアが発明されない限り1つの身体では梯子鑑賞は不可能な距離であり、当方今回はみちのくから浪速に向けて応援でございます。
松平定信公も応援してくださっています(多分)。
ただ重なったのが日程のみならず両スタジオとも第35回の節目であること、
(ケイスタさんはKチェンバーカンパニーの公演や私も時々伺っていた山陰支部の舞台も含めれば回数はもっと多くなりますが発表会としては35回目)
ご出身の府県且つご出身スタジオの出演舞台である点も共通。何か良きことの前兆であると嬉しうございます。
欠席の旨は東京から初めて行く予定の方やケイスタさんの舞台を始め大阪常連の約20名の方に連絡を入れ、
中には詳しい理由も打ち明けた方もいますがどの方も優しきご反応で
初凱旋なら福島行かなあかんて!!どう考えても梯子は無理やからと笑ってくださった方や
或いは、大阪からも応援しています、お酒とラーメンもしっかり味わうように笑、大阪はレポートするから白河に集中せな!!等々
あたたかなお声ばかりであったのは救いでした。
やり取りする中で、突如の主役変更告知翌日の本番を私も観に行きましたが2年前9月の大阪フェスティバルホールにおける子ども『白鳥の湖』公演急遽の主役登板舞台を
ご覧になっている方々もいらっしゃり、素敵な王子様が来はった、幕開けの立ち姿からして品がある、また関西にも踊りに来て欲しい
ちょっと渋めの落ち着いた雰囲気で派手ではなく華がある、○○さんが好むのもよう分かる笑、等々
褒め言葉を幕間や終演後にお聞かせくださり以来一層の理解を示してくださっている方や
我が人生最大の夢の共演日であった、今年5月の新国立プティ版コッペリア本来のファーストキャストトリオ日に
関西から初台へお越しになる予定であった方が何名もいらしたことも、また関東以外のバレエスタジオへの鑑賞遠征そのものも実質初であった
2007年夏のケイスタさんの舞台以降どれだけ多くの方と大阪や四国で知り合い繋がりが広がったか、このとき再度思い出しては胸熱く。
クラシック全幕、コンテンポラリーの大作両方を無事上演との記事を投稿で拝見、ケイスタさんにも心より祝意を表します。



昼食は小峰城からすぐの二ノ丸茶屋にて名物だるまバーガー。



白河の米粉を使ったパンにはだるまさんの焼印。食べるのが勿体無い、これまた純朴な可愛らしさです。
カツは白河清流豚だそうで、身がふわっと且つ締まり、サクッとした揚がり具合も宜し。眼前に広がるお城と芝生のゆったりとした景色を眺めながらいただきます。



コミネス外観。和洋折衷な綺麗な建物です。隣には大きく立派な白河市立図書館があり
同じ建物内に、赤いだるまさんをくださった方が関わっていらした産業サポート白河さんの産業支援センター部門があるようです。その節はありがとうございました。
当時渡邊さんの話を従業員の方にしましたら、バレエのことはよく知らないが白河所縁の方の華々しいご活躍の話を聞けてとても嬉しいと仰り
お一つお好きな色をどうぞとくださったのが白河だるまさんでした。これからも白河を宜しくお願いいたしますと最後まで丁寧な語り口で
こちらこそ本当にありがとうございますとお礼を申し上げながら、お互いなかなか頭を上げられなかった、そんな記憶が思い起こされます。
当時はまだひっそり注目応援状態であったためお名前の発音にも慣れておらず、そして喜びもひとしおで、感情が丸々顔に出てしまって赤面になっていた可能性大です笑。



コミネス入場。しらかわんも感染防止対策を呼びかけです。



今年開場5周年とのこと。しらかわんも祝福しています。渡邊さんが新国立入団の頃に開場したようです。
そして何処へ行ってもしらかわん或いはだるまさんが見守ってくている白河です。



終演後、余韻に浸りつつお食事。白ワインに魚のトマトソースソテー。パンの他スープとサラダ、ソフトドリンクも付き
(夜のセットでこんなに手頃価格で良いのか心配にすらなってしまいましたが)
トマトソースの果肉の食感がしっかりとあり、カリッとした焼き上がりも香ばしく、美味しくお値段もお手頃。ご馳走さまでした!



夜の新白河駅。松尾芭蕉像が建っています。いずれは渡邊さんも芭蕉のお隣に像が建てられる日も訪れるでしょう。西郷、白河が生んだ誇りです。
その前に、新国立劇場バレエ団のプリンシパル昇格は福島手帳(実際にあります。ミデッテ日本橋ふくしま館でも販売されていました)にも
掲載されるべき事項かと存じますが、ここに書いてもしゃあないか。
以下余談、学業成績は常時底辺であった管理人ですが国語の古典で唯一好きであったのが奥の細道でした。
源氏物語の雅やかな貴族絵巻よりも、平家物語の壮大な戦国浪漫よりも、渋く淡々とした文体や旅情が好みに合っていた女子中学生でございました。



さて東京へ。さらば白河・西郷、また会う日まで!!



白河だるまさん達も無事帰京。行きの新白河駅では白河市以外の地域のパンフレットも貰い、次回訪れるときは
状況も落ち着いていると願い、とら食堂含めてより広範囲を自転車移動したいと思っております。
しらかわんのキーホルダーか何か買えば良かった、或いはキビタンのストラップにも惹かれます。
だるまさん達、顔を合わせて旅話に、何より煌々とした凱旋舞台の余韻に管理人と同様まだまだ浸り花を咲かせているようです。
麗しいデジレ王子に洗練と凛々しさ、そして燃え盛る熱さも秘めた軍服リュシアン、今もなお目に心に焼き付いております。


2 件のコメント:

aruyaranaiyara さんのコメント...

和服が似合いそうな若旦那の凱旋公演レポ、楽しく拝読いたしました。
余談ですが、脂身無し焼豚入りラーメンを食べ、千駒を呑んでみたいですね。

管理人 さんのコメント...

aruyaranaiyara様
こんばんは。長い、文字多量記事をお読みいただきありがとうございました!
後半の写真記録にも目を通してくださり、感謝申し上げます。
上品で味わい深い手打ち中華麺のおいしさが忘れられずにおります。 脂身無し焼豚と一緒にいつか是非お召し上がりください!
千駒さんの、蔵もお酒もご堪能おすすめです。

若旦那さま、和服姿も自然と美しい絵になりますよね。白河の城下町を目にして一層想像が巡りました。