英国ロイヤル・バレエ団から配信中の『眠れる森の美女』を鑑賞いたしました。まだご覧になれます。(恐らく8月7日まで)
金子さんのオーロラ姫第1幕ヴァリエーション。瑞々しさ、華やぎがぱっと広がる踊りです。
※英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマ公式ホームページより抜粋
【振付】マリウス・プティパ
【追加振付】フレデリック・アシュトン、アンソニー・ダウエル、クリストファー・ウィールドン
【プロダクション】モニカ・メイソン(ニネット・ド・ヴァロワとニコライ・セルゲイエフに基づく)
【美術】オリバー・メッセル
【デザイン追加】ピーター・ファーマー
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【指揮】サイモン・ヒューイット
【出演】
オーロラ姫:金子扶生
フロリムント王子:フェデリコ・ボネッリ
国王フロレスタン24世: クリストファー・サウンダーズ
お妃: エリザベス・マクゴリアン
カタラビュット:トーマス・ホワイトヘッド
カラボス:クリステン・マクナリー
英国の王子:ギャリー・エイヴィス
フランスの王子:ニコル・エドモンズ
インドの王子:デヴィッド・ドネリー
ロシアの王子:トーマス・モック
伯爵夫人:クリスティーナ・アレスティス
フロレスタン:ジェームズ・ヘイ
フロレスタンの姉妹:マヤラ・マグリ、アナ・ローズ・オサリヴァン
長靴を履いた猫:ポール・ケイ
白猫:レティシア・ストック
フロリナ姫:ヤスミン・ナグディ
青い鳥:マシュー・ボール
赤ずきん:ロマニー・パイダク
狼:ニコル・エドモンズ
~プロローグ~
澄んだ泉の精: ロマニー・パイダク
お付きの騎士:アクリ瑠嘉
魔法の庭の精: マヤラ・マグリ
お付きの騎士: ヴァレンティノ・ズケッティ
森の草地の精: クレア・カルヴァート
お付きの騎士:カルヴィン・リチャードソン
歌鳥の精: アナ・ローズ・オサリヴァン
お付きの騎士: ジェームズ・ヘイ
黄金のつる草の精: 崔 由姫
お付きの騎士: セザール・コラレス
リラの精:ジーナ・ストーム=ジェンセン
リラの精のお付きの騎士:ニコル・エドモンズ
オーロラ姫の金子さんは瑞々しさと華やぎがふわっと広がるヒロインで煌々とした輝きが眩しいほど。
とても当日の代役で登板したとは思えず、花が零れるような表情に指先脚先からも気品が香り立ち目を見張る麗しさでした。
役柄上は勿論日頃からもカンパニーに愛され、だからこそオーロラ友人や求婚者、国王と王妃からも
それはそれはにこやかで安心感を与える祝福を受けていたと窺えます。
当初はリラの精の予定だったそうですが、包容力のある妖精も観てみたいと思うと同時に
当日に告げられリラの準備を封じ込め、こうも初々しいまさに薔薇の蕾の開花を見届けるかのような姫として舞台に登場できるのかとすっかり見入らずにいられず。
2幕の幻影であっても隠しきれないプリンセスオーラも魅惑的で、3幕は金粉を振り撒いているとも錯覚させる格式と煌きを放つ姿には恍惚と魅了されました。
金子さんの舞台はロイヤルの来日を除いては2012年の大阪にてMRBスーパーガラにて蔵健太さんと披露されたでの『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥを鑑賞。
最前列にて拝見し、近くの小さな女の子がじっと集中して観ながら綺麗綺麗と何度も口にするほどの美しさであったのは今も記憶しており
あれから8年。映像ではあっても全幕主演舞台を鑑賞できたのは幸運でした。
フロリムント王子のボネッリは真っ直ぐで柔和そうなお人柄が覗き15年程前と容姿が不変で技術も衰えも見えぬ点にも驚かされた次第。
とにかく姫を立て、金子さんが落ち着いて踊れるよう心の砕きようが伝わる王子でした。
ダイナミックな潔さで盛り立てていたのはリラのストーム=ジェンセン。背が高く長い手脚、スパッと腕を掲げて城内を落ち着かせる様子は
王子より遥かに強そうではあったが、金子さんと同じく急な登板とは思わせぬ堂々たる舞台姿でした。
パイダクの滑らかで場を持て余さない澄んだ泉の精や崔さんの威厳ある黄金のつるぎの精も印象に刻まれ、
フロレスタンの姉妹とは何ぞやと疑問を抱いていたら宝石の場面に登場。
ロイヤルの眠りを全編通しで観るのは初で、精通者からしたらお馴染みであろう場面や設定も斬新に映り
プロローグの妖精達に至っては名前が覚えられず笑。「優しさ」「鷹揚」といった2、3文字に慣れてしまうと暗記は困難でございます。
衣装が1点1点異なる模様が大胆に彩られた凝ったデザインで、観察も楽し。
そういえば、英国ロイヤルの眠り衣装は何回か改訂されているのか私が長きに渡ってロイヤルをそこまで注目せずにおりましたため
フロリナの衣装が明るめの青を重ねていたはずが随分と渋くシックになった印象を持ったり
黒を基調とした迷宮のような宮殿を模した舞台美術は誰の版であったか思い出せず(ダウエル版であろうか)
学びの範囲を更に広げて行きたいとも思えた英国ロイヤル眠りでした。
バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
2020年よりこちらに引越し、2019年12月末までの分はhttp://endehors.cocolog-nifty.com/blog/に掲載
2020年7月31日金曜日
2020年7月26日日曜日
【速報】【おすすめ】5ヶ月ぶりの公演再開 新国立劇場バレエ団「竜宮 りゅうぐう」~亀の姫と季(とき)の庭~
※ご訪問いただき誠にありがとうございます。長くなりましたが、東京公演総括の感想はこちらです。
https://endehors2.blogspot.com/2020/08/5-724729.html
5か月ぶり劇場での舞台鑑賞復帰第1弾、新国立劇場 こどものためのバレエ劇場 2020
森山開次さん振付の世界初演・新作バレエ公演「竜宮 りゅうぐう」~亀の姫と季(とき)の庭~を3回鑑賞いたしました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/turtle-princess/
◆【必読】来場者へのお願い
https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017576.html
◆【必読】分散入場のお願い
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_017674.html
◆写真付き・入場までの流れ。大変分かりやすい案内です。
https://www.facebook.com/150537605092987/posts/2157562827723778/
◆森山開次さんインタビュー
新国立劇場ホームページ
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_017638.html
スパイスイープラス
https://spice.eplus.jp/articles/272776
チケットぴあ
https://news.yahoo.co.jp/articles/4ba7867660c6b7a511a78f03c43b84e3eb70b454
◆舞台写真多数のゲネプロと感染拡大防止対策レポート
バレエチャンネル
https://balletchannel.jp/9724
シアターテイメント
https://theatertainment.jp/japanese-play/57945/
まだ公演が続いておりこれからご覧になる方々も大勢いらっしゃいますので詳細な感想は控え、東京公演全日程終了後に総括して参りますが
子供騙しでは全くない、大人も十分に楽しめるスケール感のある作品です。
馴染みある浦島太郎の話を和洋織り交ぜて膨らまし海のチャーミングで風変わりな生き物たちと四季のめくるめく展開や衣装もユニーク。
四季とはいってもアシュトン版『シンデレラ』とは大きく異なり、例えば秋ならばポップな面と陰を含んだ面の両方を含ませたりと
日本の四季ならではの魅力を繊細に丁寧に描いています。
是非注目いただきたいのが変化に富む床の波模様照明で、寄せては返す優しい波のまことに美しい揺らめきや
吸い込まれそうな渦の迫力が舞台上に広がりを見せます。浦島太郎の外せない要素である
いじめられている亀の救出や悪ガキな子供たち、玉手箱を受け取りおじいさんに変身する箇所も勿論あり、物語の世界へすっと入り込める流れですのでご安心ください。
浦島太郎の出番は実に多く、三者三様の個性ある造形を堪能できます。可能ならば全キャストご覧いただくことをおすすめいたします。
登場時から、いわゆる我々が思い浮かべる太郎そのものな格好です。
座席は一席置きの販売で観客数は定員の半分ですが、2月末の『マノン』公演中断から約5ヶ月。
待ち焦がれた公演再開の喜びが鳴り止まぬ拍手となって表れ、劇場全体が一体となり鳥肌が立つ感覚を久々に味わえた幸せにまだ浸っております。
劇場側は万全な対策をして迎えてくださっています。上演に漕ぎ着けたのは関係者の方々の並々ならぬ努力があったからこそ。
観客としてもその行動や思いを忘れず胸に当て、引き続き通いたいと思っております。
連絡先を記入する用紙はこちらに。クローク(今回は利用不可)前にもあります。
モニターでも呼びかけ
衣装のイラスト。和、洋、海の生き物のモチーフが融合。
保管の都合上、誕生日ケーキ(詳細は前記事参照)から取り外し冷蔵庫にてお留守番していた我が家の太郎さん。扉を開けるたびに目が合いキリッとした視線に鼓動止まず笑
真っ直ぐ帰宅し、昨日夜公演にて笑ってしまうほど髷姿が違和感の無い、タイムスリップしてきた疑惑が大いに浮上した待ち焦がれた太郎さんの登場の余韻に浸り
物語にぴったりな銘柄の日本酒で乾杯。太郎さんそして付き人を務めたがっている執念深い笑蟹さん、本日こそ食する予定です。
2020年7月23日木曜日
節目2020
梅雨明けが来週以降と予報が出るなど7月下旬に差し掛かっても晴れ間は少なく雨天が続いており
今年は連日の感染関連ニュースが報じられている夏でございますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
呟きな記事でございますのでお急ぎの方は恐れ入ります、明後日あたりに更新予定の新国立劇場バレエ団『竜宮』速報まで今しばらくお待ちください。
この時期恒例の内容で恐縮ですが管理人、先日人生の節目を迎えました。12に適当な数をかけた年齢に達した年女でございます。
産声を上げた頃はちょうど夏季オリンピックの時期。体操でコマネチが10点満点を叩き出し旋風を起こしたモントリオールそれとも
1964年の東京大会で銅メダルを獲得しながらも金メダルの「東洋の魔女」達の陰に隠れた悔しさから
大会前より練習を定期的にドキュメンタリー番組にて公開してまずは注目度を高めさせ見事本番では劇的な金メダル獲得によって
日本男子バレーボールに光が当たったミュンヘン、或いは更に遡ってソビエト連邦(当時)が初参加したヘルシンキかいずれとも異なる大会か
具体的な大会や年はご想像にお任せいたしますが、4歳違いの妹も同様に夏季オリンピックの時期生まれ。
スポーツ一族では全くない我が家であっても、世界規模の大会ながらも何処か身近に感じながら過ごして参りました。
しかし今年開催予定であった東京大会2020は延期。本来ならば今頃は大勢の選手団が到着し
昨日は先立ってサッカーの試合が行われ、特例で制定された明日スポーツの日は開会式が執り行われる予定でした。
戦争以外の理由で中止や延期になるとは以前は想像もいたしませんでしたが、
4年経てば当たり前のようにあたかも着実なサイクルの如く開催されると頭の何処かで思っていたのかもしれません。
東京大会2020に関してはロゴの疑惑や新国立競技場建設も迷走するなど負の部分も報道が多くなされていて関心を寄せてはおりましたが
それでは華やかな側面にしか目が行かず、予算にしても開催を支え関わる人員にしても何もかもが莫大なイベントであり
開催までには想像を遥かに超えた長期間に及ぶ入念な準備が不可欠であることを忘れがちであったようにも感じております。
オリンピックと言えば、リオデジャネイロ、ロンドン、北京とここ数大会は夏の旅先でのテレビ観戦の機会もあり
ロンドンだったか、大阪帰りの夜行バス乗り場ロビーにて乗車を待つ方々と大人数でテレビを見守り応援していたあの一体感も忘れられません。
宿泊先のホテルで1人のんびり観戦した日も懐かしく思い起こされますが、今夏は14年ぶりに首都圏から出ぬ生活を送ることとなりそうです。
寂しい気もいたしますが、東京近郊での公演を存分に満喫いたします。
ここ数年の節目当日は休前日や休日が続き、2017年は金曜日、2018年は新国立劇場バレエ団こども『シンデレラ』午前が米沢唯さん午後が細田千晶さん主演
そして昨年はエイフマン・バレエ『アンナ・カレーニナ』東京公演2日目、と盛大且つゆったり寛いだ祝福でしたが今回は平日火曜日。
当日は出勤し寄り道もせず帰宅した、通常の平日と変わらぬ過ごし方でしたが不安が過る報道が連日続くこのご時世
十分に幸せが身に沁みる1日でございました。お祝いのご連絡をくださった方、ありがとうございました。
変わらずとは言いつつ、当日夜は劇場閉鎖が続いたここ数ヶ月お世話になっている動画サイトから
特に心震わせときめかせる映像選を勝手に行い満喫していた管理人でございました。
昨年東京ではない某所での公演に足を運び当日券購入の際U25チケット対象者ではと係の方に案内され、気遣ってくださったのか
それとも中身も見透かされ相当幼く見えたのか定かではありませんが、それはさておき少なくとも中高大生の頃より現在のほうが比較にならぬほど
心身共に元気に過ごしており若い頃に戻る願望が一切無いのは幸せなことであると思う日々です。
今年に限って(来年もか?)明日はスポーツの日ですが、私にとっては芸術の日。明日からいよいよ、劇場でのバレエ鑑賞復帰です。
生バレエ鑑賞復帰第一弾は新国立劇場バレエ団『竜宮』。世界初演の新制作ですので予想も付かぬ舞台で楽しみも一段と強まり
亀の背中ではなく電車に乗って、連日竜宮城へ通います笑。最後に劇場で鑑賞した2月末のバレエ公演新国立劇場バレエ団『マノン』から約5ヶ月、
久々のオペラパレス足の踏み入れに高鳴りが止まりません。勿論感染防止対策は万全にして、劇場発行のガイドラインも熟読した上で参りたいと思っております。
映画においては先月下旬にボリショイシネマ『ジゼル』で劇場鑑賞復帰いたしましたが、映画であっても向かう1週間以上前から妙な緊張が解けず
そしていざ200を有する客席のスクリーンを目の前にすると高揚感が募り、現在のボリショイでの『ジゼル』理想の配役揃いであったため映画にも終始集中。
公共の場での芸術鑑賞におけるどっぷりエネルギー消費に身体がついていかず帰宅後早々に居眠りしてしまった恥ずかしさも残る1日でしたが
映画でこうも興奮したのですから生のバレエ、しかも新国立劇場バレエ団公演となれば管理人の様子はいかに。遠のいていた感覚の取り戻しが今から楽しみでございます。
皆様、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
さて明日はスポーツの日ですが本日はいつの頃からか変動制となった海の日。そしてこれまた勝手に『竜宮』前日祭及び管理人の節目祝いとして
オリジナル円形菓子を地元のお店で作っていただきました。今年のこどもバレエは極力サービスや装飾を削いだ路線のため(こればかりは仕方ない。上演実現だけで十二分)
毎度本公演も含め心待ちにしている恒例の公演限定デザートも無いようで、あくまで想像ですが亀さんのタルトや乙姫様のゼリーパフェ
竹の葉で包んだ太郎のおにぎり(ちょいと渋いか笑)など販売予定をしていたでしょう。
ならば自身で考え食でも堪能しようと思い立った次第です。管理人の星座である蟹、加えてタニシとサザエも海底にて太郎の出迎え役をさせてもらっている点にも注目を笑。
カードのイラストは画伯の妹が描いてくれました。ラッコの頭に亀が乗っており仲睦まじく、縁には蟹さんもおります。
ご参考までにもう1枚、太郎の着物や髪を結う紐?も似せて作ってくださいました。
それにしても、妹とは正反対で絵心皆無の管理人が描いたイメージ図に呆れもせずケーキを作ってくださったパティシエさんに深謝。
公演チラシも持って行きもし可能ならばと要望も伝えてはおりましたが浦島太郎、特徴を捉えてくださりきりっとした目や眉のあたりが第三キャストに似ています。
私が特に好きな言葉の1つで金閣寺より銀閣寺派である理由の「侘び寂び」を始め美しい日本語が自然と織り成す
お話が詰まったインタビュー映像に再度耳を傾け釘付けとなって鑑賞に備えたいと思う昼下がり、更にはツイッター埋め込みに初成功した記念なる2020年海の日でございます笑。
今年は連日の感染関連ニュースが報じられている夏でございますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
呟きな記事でございますのでお急ぎの方は恐れ入ります、明後日あたりに更新予定の新国立劇場バレエ団『竜宮』速報まで今しばらくお待ちください。
この時期恒例の内容で恐縮ですが管理人、先日人生の節目を迎えました。12に適当な数をかけた年齢に達した年女でございます。
産声を上げた頃はちょうど夏季オリンピックの時期。体操でコマネチが10点満点を叩き出し旋風を起こしたモントリオールそれとも
1964年の東京大会で銅メダルを獲得しながらも金メダルの「東洋の魔女」達の陰に隠れた悔しさから
大会前より練習を定期的にドキュメンタリー番組にて公開してまずは注目度を高めさせ見事本番では劇的な金メダル獲得によって
日本男子バレーボールに光が当たったミュンヘン、或いは更に遡ってソビエト連邦(当時)が初参加したヘルシンキかいずれとも異なる大会か
具体的な大会や年はご想像にお任せいたしますが、4歳違いの妹も同様に夏季オリンピックの時期生まれ。
スポーツ一族では全くない我が家であっても、世界規模の大会ながらも何処か身近に感じながら過ごして参りました。
しかし今年開催予定であった東京大会2020は延期。本来ならば今頃は大勢の選手団が到着し
昨日は先立ってサッカーの試合が行われ、特例で制定された明日スポーツの日は開会式が執り行われる予定でした。
戦争以外の理由で中止や延期になるとは以前は想像もいたしませんでしたが、
4年経てば当たり前のようにあたかも着実なサイクルの如く開催されると頭の何処かで思っていたのかもしれません。
東京大会2020に関してはロゴの疑惑や新国立競技場建設も迷走するなど負の部分も報道が多くなされていて関心を寄せてはおりましたが
それでは華やかな側面にしか目が行かず、予算にしても開催を支え関わる人員にしても何もかもが莫大なイベントであり
開催までには想像を遥かに超えた長期間に及ぶ入念な準備が不可欠であることを忘れがちであったようにも感じております。
オリンピックと言えば、リオデジャネイロ、ロンドン、北京とここ数大会は夏の旅先でのテレビ観戦の機会もあり
ロンドンだったか、大阪帰りの夜行バス乗り場ロビーにて乗車を待つ方々と大人数でテレビを見守り応援していたあの一体感も忘れられません。
宿泊先のホテルで1人のんびり観戦した日も懐かしく思い起こされますが、今夏は14年ぶりに首都圏から出ぬ生活を送ることとなりそうです。
寂しい気もいたしますが、東京近郊での公演を存分に満喫いたします。
ここ数年の節目当日は休前日や休日が続き、2017年は金曜日、2018年は新国立劇場バレエ団こども『シンデレラ』午前が米沢唯さん午後が細田千晶さん主演
そして昨年はエイフマン・バレエ『アンナ・カレーニナ』東京公演2日目、と盛大且つゆったり寛いだ祝福でしたが今回は平日火曜日。
当日は出勤し寄り道もせず帰宅した、通常の平日と変わらぬ過ごし方でしたが不安が過る報道が連日続くこのご時世
十分に幸せが身に沁みる1日でございました。お祝いのご連絡をくださった方、ありがとうございました。
変わらずとは言いつつ、当日夜は劇場閉鎖が続いたここ数ヶ月お世話になっている動画サイトから
特に心震わせときめかせる映像選を勝手に行い満喫していた管理人でございました。
昨年東京ではない某所での公演に足を運び当日券購入の際U25チケット対象者ではと係の方に案内され、気遣ってくださったのか
それとも中身も見透かされ相当幼く見えたのか定かではありませんが、それはさておき少なくとも中高大生の頃より現在のほうが比較にならぬほど
心身共に元気に過ごしており若い頃に戻る願望が一切無いのは幸せなことであると思う日々です。
今年に限って(来年もか?)明日はスポーツの日ですが、私にとっては芸術の日。明日からいよいよ、劇場でのバレエ鑑賞復帰です。
生バレエ鑑賞復帰第一弾は新国立劇場バレエ団『竜宮』。世界初演の新制作ですので予想も付かぬ舞台で楽しみも一段と強まり
亀の背中ではなく電車に乗って、連日竜宮城へ通います笑。最後に劇場で鑑賞した2月末のバレエ公演新国立劇場バレエ団『マノン』から約5ヶ月、
久々のオペラパレス足の踏み入れに高鳴りが止まりません。勿論感染防止対策は万全にして、劇場発行のガイドラインも熟読した上で参りたいと思っております。
映画においては先月下旬にボリショイシネマ『ジゼル』で劇場鑑賞復帰いたしましたが、映画であっても向かう1週間以上前から妙な緊張が解けず
そしていざ200を有する客席のスクリーンを目の前にすると高揚感が募り、現在のボリショイでの『ジゼル』理想の配役揃いであったため映画にも終始集中。
公共の場での芸術鑑賞におけるどっぷりエネルギー消費に身体がついていかず帰宅後早々に居眠りしてしまった恥ずかしさも残る1日でしたが
映画でこうも興奮したのですから生のバレエ、しかも新国立劇場バレエ団公演となれば管理人の様子はいかに。遠のいていた感覚の取り戻しが今から楽しみでございます。
皆様、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
さて明日はスポーツの日ですが本日はいつの頃からか変動制となった海の日。そしてこれまた勝手に『竜宮』前日祭及び管理人の節目祝いとして
オリジナル円形菓子を地元のお店で作っていただきました。今年のこどもバレエは極力サービスや装飾を削いだ路線のため(こればかりは仕方ない。上演実現だけで十二分)
毎度本公演も含め心待ちにしている恒例の公演限定デザートも無いようで、あくまで想像ですが亀さんのタルトや乙姫様のゼリーパフェ
竹の葉で包んだ太郎のおにぎり(ちょいと渋いか笑)など販売予定をしていたでしょう。
ならば自身で考え食でも堪能しようと思い立った次第です。管理人の星座である蟹、加えてタニシとサザエも海底にて太郎の出迎え役をさせてもらっている点にも注目を笑。
カードのイラストは画伯の妹が描いてくれました。ラッコの頭に亀が乗っており仲睦まじく、縁には蟹さんもおります。
ご参考までにもう1枚、太郎の着物や髪を結う紐?も似せて作ってくださいました。
それにしても、妹とは正反対で絵心皆無の管理人が描いたイメージ図に呆れもせずケーキを作ってくださったパティシエさんに深謝。
公演チラシも持って行きもし可能ならばと要望も伝えてはおりましたが浦島太郎、特徴を捉えてくださりきりっとした目や眉のあたりが第三キャストに似ています。
私が特に好きな言葉の1つで金閣寺より銀閣寺派である理由の「侘び寂び」を始め美しい日本語が自然と織り成す
お話が詰まったインタビュー映像に再度耳を傾け釘付けとなって鑑賞に備えたいと思う昼下がり、更にはツイッター埋め込みに初成功した記念なる2020年海の日でございます笑。
【世界初演・新作バレエ公演「 #竜宮 りゅうぐう」🐢】
— 新国立劇場バレエ団 (@nntt_ballet) July 22, 2020
主役ダンサーからのメッセージ、最後は浦島太郎役の渡邊峻郁から💌
本作はワクワクする海の世界だけでなく、美しい日本の四季の移ろいなど、日本文化の根底に流れる美意識を堪能できる、味わいのあるバレエとなっています😌#開幕まであと2日 pic.twitter.com/Im65SexcpH
2020年7月21日火曜日
【今宵は祝杯】日本三景に負けぬ熟視凝視映像祭
本日は7月21日、日本三景の日でございます。江戸時代に全国を旅し、風光明媚な景観地として
松島、天橋立、宮島を記した「日本国事跡考」執筆者である儒学者林春斎の誕生日にちなみ、
宮城県松島町、京都府宮津市、広島県廿日市市で構成された日本三景観光連絡協議会が7月21日を「日本三景の日」と制定したそうです。
http://nihonsankei.jp/index.html
林春斎には及ばぬものの旅多き管理人、天橋立は6年前に京都でのバレエ鑑賞前日に出向き宮島は高校の修学旅行で訪れましたが松島は未だ行っておらず。
松尾芭蕉も好きであるため、憧れを募らせております。旅といえば明日からのGo To トラベル、東京は除外され二転三転する決定に旅行業界は大混乱のもよう。
まだまだ問題が山積みであり、そもそも感染拡大が止まらぬ中での実施も首をすぐさま縦には振れる状況ではない気がしております。
それから『太陽にほえろ』の放送開始日も本日、1972年の7月21日でした。石原裕次郎さん主演で長きに渡り放送され今も語り継がれる名作ドラマですが、
管理人、再放送含め視聴したか否かよく思い出せず。恥ずかしい話、2階以上の建物の階にてブラインドを目にすると
つい指で上下に広げ目を凝らして外を眺める癖があり笑、その都度『太陽にほえろ』と『西部警察』を混同しているわけです。
適当な性格が露わとなるのは今に始まったことではございませんが、ここ最近眺めているといえば、バレエ映像配信も満載な動画サイト。
ほぼ毎週劇場に足を運んでいた時期は特例を除いては滅多に視聴しておりませんでしたが、まだ各地で完全再開できぬ状況下
まことに嬉しい日々の友としてこれまで触れていなかったバレエ団の映像鑑賞や昔の映像見直しての勉強など、たっぷり活用しております。
そんなわけで流し見から派生のブラインド真似事とは異なり、毎度お世話になっている動画サイト内に保存されている
熟視凝視したくなる目も心も奪われるほぼ短編映像選をいたしました。現在当ブログで連続化し、目指せ映画『釣りバカ日誌』を唱えて良いものか
【お茶の間観劇】シリーズでは取り上げてはおりませんが、管理人にとって目も心も奪われる映像選でございます。
一応公式配信中心でございますが、そうでないものもあるかもしれず。その辺り、本日はご容赦ください。
特に解説は付けておりません。またこれかいと突っ込んでいただいても、初視聴或いは懐かしい映像であれば鮮烈な驚きも沸き上がるかもしれません。
最後の映像はおまけ、ちょうど1年前の本日と昨日に本家本元が来日し東京では2日間上演されたエイフマン・バレエ『アンナ・カレーニナ』宣伝映像です。
昨年の来日公演の中では断トツで印象の強い公演であり、日本のバレエ団に置き換えた配役妄想で夢は膨らみ胸一杯な公演でもありました。
さて、前半ではいずれも海に面した日本三景、釣り映画に触れましたので次回は開催予定であった東京五輪2020開会式の日程に合わせて今年は23日に迎える
海の日にちなんだ話を綴る予定でおります。但し海だからと言って加山雄三さんは登場しません。お好きな方は各自『海・その愛』を熱唱なさってください。
松島、天橋立、宮島を記した「日本国事跡考」執筆者である儒学者林春斎の誕生日にちなみ、
宮城県松島町、京都府宮津市、広島県廿日市市で構成された日本三景観光連絡協議会が7月21日を「日本三景の日」と制定したそうです。
http://nihonsankei.jp/index.html
林春斎には及ばぬものの旅多き管理人、天橋立は6年前に京都でのバレエ鑑賞前日に出向き宮島は高校の修学旅行で訪れましたが松島は未だ行っておらず。
松尾芭蕉も好きであるため、憧れを募らせております。旅といえば明日からのGo To トラベル、東京は除外され二転三転する決定に旅行業界は大混乱のもよう。
まだまだ問題が山積みであり、そもそも感染拡大が止まらぬ中での実施も首をすぐさま縦には振れる状況ではない気がしております。
それから『太陽にほえろ』の放送開始日も本日、1972年の7月21日でした。石原裕次郎さん主演で長きに渡り放送され今も語り継がれる名作ドラマですが、
管理人、再放送含め視聴したか否かよく思い出せず。恥ずかしい話、2階以上の建物の階にてブラインドを目にすると
つい指で上下に広げ目を凝らして外を眺める癖があり笑、その都度『太陽にほえろ』と『西部警察』を混同しているわけです。
適当な性格が露わとなるのは今に始まったことではございませんが、ここ最近眺めているといえば、バレエ映像配信も満載な動画サイト。
ほぼ毎週劇場に足を運んでいた時期は特例を除いては滅多に視聴しておりませんでしたが、まだ各地で完全再開できぬ状況下
まことに嬉しい日々の友としてこれまで触れていなかったバレエ団の映像鑑賞や昔の映像見直しての勉強など、たっぷり活用しております。
そんなわけで流し見から派生のブラインド真似事とは異なり、毎度お世話になっている動画サイト内に保存されている
熟視凝視したくなる目も心も奪われるほぼ短編映像選をいたしました。現在当ブログで連続化し、目指せ映画『釣りバカ日誌』を唱えて良いものか
【お茶の間観劇】シリーズでは取り上げてはおりませんが、管理人にとって目も心も奪われる映像選でございます。
一応公式配信中心でございますが、そうでないものもあるかもしれず。その辺り、本日はご容赦ください。
特に解説は付けておりません。またこれかいと突っ込んでいただいても、初視聴或いは懐かしい映像であれば鮮烈な驚きも沸き上がるかもしれません。
最後の映像はおまけ、ちょうど1年前の本日と昨日に本家本元が来日し東京では2日間上演されたエイフマン・バレエ『アンナ・カレーニナ』宣伝映像です。
昨年の来日公演の中では断トツで印象の強い公演であり、日本のバレエ団に置き換えた配役妄想で夢は膨らみ胸一杯な公演でもありました。
さて、前半ではいずれも海に面した日本三景、釣り映画に触れましたので次回は開催予定であった東京五輪2020開会式の日程に合わせて今年は23日に迎える
海の日にちなんだ話を綴る予定でおります。但し海だからと言って加山雄三さんは登場しません。お好きな方は各自『海・その愛』を熱唱なさってください。
2020年7月19日日曜日
【お茶の間観劇】シュツットガルト・バレエ団 マリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』
シュツットガルト・バレエ団から配信されている2019年12月収録のマリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』を鑑賞いたしました。
来日公演でも度々上演されていますが観るのは初。今春に続く再配信と思われ、現地時間の7月18日22時まで視聴できるようです。
タマシュ・デートリッヒとマリシア・ハイデからのメッセージ
https://www.nbs.or.jp/stages/0811_stuttgart/sleeping.html 2008年来日公演時の解説
オーロラ姫:エリザ・バデネス
デジレ王子:フリーデマン・フォーゲル
カラボス:ジェイソン・レイリー
バデネスのオーロラ姫は登場時から弾むような明るさを超えて快活溌剌。少し跳ぶ際も顔や上半身を思い切り捻ったり
屈託のない笑みを浮かべたり、天真爛漫なお転婆娘といった趣きある姫君でした。
2幕では一変して物憂げな表情でしっとりと、3幕の結婚式では赤い花模様の可愛らしい衣装も違和感なく、晴れやかさと可愛らしさを備えた姫として式に臨んでいた印象です。
バデネスと言えば2018年開催の世界バレエフェスティバルにおける『じゃじゃ馬ならし』にて
パワフルであってもダニエル・カマルゴ扮するペトルーチオへの体当たり突っ込みが絶妙な加減で嫌味がなく観ていて爽快だったカタリーナが強烈で
姫のイメージは沸きにくかったものの、徹頭徹尾華麗なる王朝絵巻を貫く例えばマリインスキー・バレエ団のセルゲイエフ版とは異なり
貴族たちや花のワルツの面々も襟を正してではなく場をわきまえるつつも寛ぎながら姫を見守る演出で
姫もローズ・アダージオ最中に恥じらいを募らせるとはしゃぐように友人のもとへ駆け寄るなど
人間味豊かな面を描写した親しみやすいハイデ版にはよく合っていると感じさせました。
もう1人の主役はレイリーのカラボス。紅白歌合戦の小林幸子さんを彷彿とさせる裾の長いドレスを巨大に見せる、回廊からの登場シーンに驚愕し
舞台上に現れてからも裾を器用に翻しながらの身のこなしの軽やかさにも目を見張り、対角線上に横切っては姫が眠る揺りかごへと近寄り脅かす表現も恐ろしや。
ストレートなロングヘアでてっぺんに髪飾りで纏め、腰のあたりが締まった黒いドレスで古代中国が舞台の映画に登場する悪女な雰囲気であった点も斬新に映りました。
プロローグと1幕の間には他の版では大概リラが王子を導く場面で流れるパノラマの音楽で、舞台のカーテンと化したドレスの長い裾を
舞台スタッフも仰天であろう手捌きで全身で引いては捲り、3段階ぐらいで成長過程を交互に見せていく(恐らくは子役を3人程度起用)オーロラの様子を眺め
遂には花束に毒針を仕込む作戦を実行していざ、16歳の誕生日祝いへと向かう流れを表現。執念を滲ませて行くカラボスの心情も伝わりあっと唸らせる仕掛けや演出でした。
4人の求婚者の国は設定せず、東西南北の王子として登場。(パゴダの王子に似ている笑)
東洋系の王子が2名いるのは珍しく、挨拶の仕方からしてトルコ周辺ともう1人は分からず。着物なデザインにも見えなくもなく、髪は髷に近い形で中国か?
ローズアダージオ後も4人で踊り、姫と国王夫妻の前に進み出てはアピールを行うまるでオーディション状態で
そういえば花のワルツの最中に気づけば回廊に登場していた記憶もあり、さほど格式ばった誕生日祝いではなく自然な行動をすっと溶け込ませた流れでした。
結婚式にも臨席し見せ場を盛り上げ、勝者つまりはデジレ王子を讃え祝福。求婚中断で100年が経過してしまい、4人の行く末が気にかかるところですが。
順番前後してプロローグ6人の妖精たちは明るめの色味を放つチュチュで全員同色のカバリエ付き。
リラの精のお付きコール・ドは無く、代わりにカバリエの見せ場は盛りだくさん用意されていました。
壮大な絵巻物とは一味違った、絵本やおもちゃ箱の中を覗いているかのような可愛らしさ、親しみやすさが詰まり
加えてカラボスの執念も事細かに描いた、なかなかユニークな演出の眠りです。再来年の来日公演にて、1度は生で鑑賞したいと思っております。
NBS第31回バレエの祭典ラインナップ
https://www.nbs.or.jp/saiten/lineup/
来日公演でも度々上演されていますが観るのは初。今春に続く再配信と思われ、現地時間の7月18日22時まで視聴できるようです。
タマシュ・デートリッヒとマリシア・ハイデからのメッセージ
https://www.nbs.or.jp/stages/0811_stuttgart/sleeping.html 2008年来日公演時の解説
オーロラ姫:エリザ・バデネス
デジレ王子:フリーデマン・フォーゲル
カラボス:ジェイソン・レイリー
バデネスのオーロラ姫は登場時から弾むような明るさを超えて快活溌剌。少し跳ぶ際も顔や上半身を思い切り捻ったり
屈託のない笑みを浮かべたり、天真爛漫なお転婆娘といった趣きある姫君でした。
2幕では一変して物憂げな表情でしっとりと、3幕の結婚式では赤い花模様の可愛らしい衣装も違和感なく、晴れやかさと可愛らしさを備えた姫として式に臨んでいた印象です。
バデネスと言えば2018年開催の世界バレエフェスティバルにおける『じゃじゃ馬ならし』にて
パワフルであってもダニエル・カマルゴ扮するペトルーチオへの体当たり突っ込みが絶妙な加減で嫌味がなく観ていて爽快だったカタリーナが強烈で
姫のイメージは沸きにくかったものの、徹頭徹尾華麗なる王朝絵巻を貫く例えばマリインスキー・バレエ団のセルゲイエフ版とは異なり
貴族たちや花のワルツの面々も襟を正してではなく場をわきまえるつつも寛ぎながら姫を見守る演出で
姫もローズ・アダージオ最中に恥じらいを募らせるとはしゃぐように友人のもとへ駆け寄るなど
人間味豊かな面を描写した親しみやすいハイデ版にはよく合っていると感じさせました。
もう1人の主役はレイリーのカラボス。紅白歌合戦の小林幸子さんを彷彿とさせる裾の長いドレスを巨大に見せる、回廊からの登場シーンに驚愕し
舞台上に現れてからも裾を器用に翻しながらの身のこなしの軽やかさにも目を見張り、対角線上に横切っては姫が眠る揺りかごへと近寄り脅かす表現も恐ろしや。
ストレートなロングヘアでてっぺんに髪飾りで纏め、腰のあたりが締まった黒いドレスで古代中国が舞台の映画に登場する悪女な雰囲気であった点も斬新に映りました。
プロローグと1幕の間には他の版では大概リラが王子を導く場面で流れるパノラマの音楽で、舞台のカーテンと化したドレスの長い裾を
舞台スタッフも仰天であろう手捌きで全身で引いては捲り、3段階ぐらいで成長過程を交互に見せていく(恐らくは子役を3人程度起用)オーロラの様子を眺め
遂には花束に毒針を仕込む作戦を実行していざ、16歳の誕生日祝いへと向かう流れを表現。執念を滲ませて行くカラボスの心情も伝わりあっと唸らせる仕掛けや演出でした。
4人の求婚者の国は設定せず、東西南北の王子として登場。(パゴダの王子に似ている笑)
東洋系の王子が2名いるのは珍しく、挨拶の仕方からしてトルコ周辺ともう1人は分からず。着物なデザインにも見えなくもなく、髪は髷に近い形で中国か?
ローズアダージオ後も4人で踊り、姫と国王夫妻の前に進み出てはアピールを行うまるでオーディション状態で
そういえば花のワルツの最中に気づけば回廊に登場していた記憶もあり、さほど格式ばった誕生日祝いではなく自然な行動をすっと溶け込ませた流れでした。
結婚式にも臨席し見せ場を盛り上げ、勝者つまりはデジレ王子を讃え祝福。求婚中断で100年が経過してしまい、4人の行く末が気にかかるところですが。
順番前後してプロローグ6人の妖精たちは明るめの色味を放つチュチュで全員同色のカバリエ付き。
リラの精のお付きコール・ドは無く、代わりにカバリエの見せ場は盛りだくさん用意されていました。
壮大な絵巻物とは一味違った、絵本やおもちゃ箱の中を覗いているかのような可愛らしさ、親しみやすさが詰まり
加えてカラボスの執念も事細かに描いた、なかなかユニークな演出の眠りです。再来年の来日公演にて、1度は生で鑑賞したいと思っております。
NBS第31回バレエの祭典ラインナップ
https://www.nbs.or.jp/saiten/lineup/
2020年7月14日火曜日
【お茶の間観劇】キーロフ・バレエ団 コンスタンチン・セルゲイエフ版『眠れる森の美女』
1982年収録のキーロフ・バレエ団(現マリインスキー・バレエ団)『眠れる森の美女』を鑑賞いたしました。私の中での眠りの原点の映像です。
今年はチャイコフスキー生誕180年、『眠れる森の美女』初演から130年そして7月14日は原振付マリウス・プティパの命日でございます。
ウィールドンの次はコルパコワへ飛ぶ当ブログの謎な時間感覚はご容赦ください。
我が家にあった、レーザーディスク。幻影の森の場でのこの神秘的な表情、静かに語りかけるようなコルパコワのポーズには今見ても溜息が零れます。
2枚組でしたので見開きは写真集の如き立派な作り。何度じっと眺めたことか。
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ
演出:コンスタンチン・セルゲイエフ
美術・ 衣装:シモン・ヴィルサラーゼ
演奏:キーロフ歌劇場管弦楽団
指揮:ヴィクトル・フェドトフ
映像監督:エレーナ・マシュレ
収録:1982年11月 キーロフ歌劇場
フロレスタン王:ウラジーミル・ポノマリョフ
王妃:アンジェリーナ・カバロワ
オーロラ姫:イリーナ・コルパコワ
デジレ王子:セルゲイ・ベレジノイ
リラの精:リュボフィ・クナコワ
カラボス:ウラジーミル・ロプホフ
カタラビュート:ゲンナーディ・セリュツキー
コルパコワのオーロラ姫は至極シンプルで余計な装飾がなく、型を厳守して指先から脚先までどのステップもポーズも丹念にコントロールしながら紡ぎ上げ
内面から滲み出る品位や気高さで魅了。この当時49歳だったようですがお若い頃の映像と比較しても益々磨き抜かれた美しさに感嘆するしかなく、
ワガノワ最後の弟子の映像が全幕収録され現在も観ることが可能である幸運に再度喜びを覚えた次第です。
ローズ・アダージオでは序盤、脚を高く上げ過ぎていない点も印象宜しく育ちの良さやゆかしさ慎ましさが一層引き立っていたと見受けます。
(コルパコワ、決して身体が硬いのではない。誤解無きように)ぴたりと180度或いは更に高く上げている方もいますが、身体の柔らかさは伝わるものの
姫の中の姫であるオーロラにしてはお転婆過ぎる印象が先行してしまうと感じております。
1幕よりもむしろ少女らしさがあった2幕幻影の森の場にも見惚れ、薄暗い光を帯びながら神秘的な表情、静かに語りかけるようなポーズに吸い込まれそうになり
絢爛な結婚式場面ではなく、上の写真にもあるようにレーザーディスクのジャケットにも使われた点にも納得がいきました。
ベレジノイのデジレ王子は可もなく不可もなく(失礼)、肩近くまで伸ばした不思議なカールヘアが最大の印象でしたが
キーロフのダンスールノーブルは控えめ、個性出し過ぎるべからずが理想であったのでしょう。
(そうは言っても華やぎと整ったラインが鮮やかであったザクリンスキーは印象にあるのだが。メゼンツェワとの白鳥の湖は我が白鳥の原点かもしれません)
自然と目が行ったのは意外にもセリュツキーのカタラビュート。1980年収録コルパコワ主演のセルゲイエフ版『ライモンダ』にてアブデラフマンを務めていたものの
一昔前の演出とは言えいかんせん濃厚メイクで極悪人な容貌に仕上げ、かといって踊る場面や見せ場もさほどなくスキンヘッド鬘も違和感のある
描き方にやや問題ありきな役止まりでした。しかしこのカタラビュートでは出しゃばり過ぎず、尚且つ思わず目を引く細かな表現でさりげなく見せ、
例えば序盤から姫がすやすや眠っている様子を伝える際にはオーロラ姫の役にとことん入り込み両手を頬の下につけて眠る仕草の真似もわざとらしさ皆無。
1幕ではオーロラ姫の登場から親族!?として心配そうにじっと眺め、周囲がめでたい歓声で溢れていても
生誕祝いの失敗を16年経過後もひきずっているのか緊張度合いが妙な説得力を持たせていました。
思えば1次審査や精査も行ったにもかかわらず生誕祝いでの招待客記名漏れトラブルはなぜ防げなかったのか。
目視のみならず常にシャチハタ持ち歩くなり印鑑必須(現代においては脱印鑑風潮高まっておりますが)であったのか、後のこの宮廷にて教訓が生かされていると願います。
クナコワのリラは優美さよりも強く毅然とした表現で魅せる妖精。背がすらりと高く、研ぎ澄まされた肢体で場を覆う姉御肌な統率力に惚れ惚れいたしました。
勿論高雅さも備え、長い腕の動き1つ1つで何もかもを包み込み導く姿や全身で音楽をたっぷり使ってのソロも印象に刻まれております。
チュチュと長い裾の衣装、両方ともお似合いです。いつの間にか子分たちに輪の中から姿を現す登場シーンが分かりづらいのは難点で
曲調が晴れやかに変わるあたりで堂々と登場させれば良かろうにと毎度思うわけですが、クナコワの存在感ならば問題無し。
そして忘れてはならぬ、高精度な群舞。ただびしっと揃っているだけでなく滑らかで鷹揚とした趣きもあり、更には体型が見事なまでに綺麗。
この頃のソビエトのチュチュは現代よりも短く、また派手な飾り付けも無し。
そのため腰の位置が高く身体が抜群なラインを持っていなければ罰則着用と化すデザインですが
簡素なチュチュがかえって容姿を一層引き立てる効果大で、つまりそれだけ均整のとれたスタイルのダンサー揃いです。
特にプロローグにおけるパ・ド・シスコーダでのリラの精たちの群舞が横1列で一斉に前方へと進んでいく箇所では足並みの揃いっぷりや真っ直ぐ伸びた脚線美に仰天し、
この映像を初めて観た頃の前年あたりの夏に公開された『となりのトトロ』ねこバスを彷彿させたほどでした。
3幕の結婚式は序盤から仰々しい展開で、オーロラ姫と王子は早々に登場し姫はロングドレスをお召しで
そして下手側に移動し、赤頭巾ちゃんや青い鳥たちなど延々と入ってくる笑(セルゲイエフ版は多し)客人をしっかりお出迎え。
近年の演出では最後の最後グラン・パ・ド・ドゥでようやく登場が主流ですが主役は序盤に入場して招待客お出迎えは私がこの版で特に好きな演出の1つでございます。
また宝石たちも早くに登場し、新郎新婦出迎え担当。その際、後ほど踊るときには使わない各々の宝石らしき飾りが先端に付いた棒を掲げながら歩いて位置につく
この流れが何とも幸福を運んでくれる要素大。たった数秒であっても気分が一気に華やぎ光が零れ落ちてきそうな場面です。
美術と衣装はシモン・ヴィルサラーゼ。絢爛ながらも派手で華美な装飾は抑え(宝石のみ光沢押し出しであったが)
きらりと品良く光る具合を大事に徹底した宮廷王朝絵巻とおとぎ話の世界に浸れます。
作品初演バレエ団の誇りを感じさせる古式ゆかしき、色褪せぬ魅力が詰まった公演映像です。
新国立劇場バレエ団でも開場記念公演の1997年10月から2007年2月まで上演を重ねてきたセルゲイエフ版眠りですが私は2005年の1回と2007年の4回、計5回しか目にできず。
当時は感想記を綴っておりませんでしたので、花のワルツが色彩からして違和感及びとうもろこし畑に見えた鬘そのまま使用問題など取り上げていくかもしれません。
今年は初演から130年、『眠れる森の美女』行脚を引き続き行って参りたいとおります。
それはそうと7月14日と言えば歴史を揺るがした一大事の日。フランス革命記念日です。
フランス絶対王政へのオマージュを盛り込み、クラシック・バレエの最高峰として名高いとされる『眠れる森の美女』が代表作であるプティパの命日と
そのフランス王政を滅亡に追い込んだ革命記念日が同じであるのは、単なる偶然とは思うものの功績や歴史の不思議な巡りを感じずにはいられません。
コルパコワの教え子でありセルゲイエフ版眠りのオーロラ姫を幾度も踊ったラリッサ・レジュニナが監修を務めた
今年2月の東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』でも紹介いたしましたが、昭和に出版された我が眠り手引き書。
求婚者たちにリフトされているのがコルパコワです。当時からこれを読みつつ映像を観ておりました。
この本に目を通し、青い鳥や赤ずきんといったバレエにおける眠れる森の美女の特殊な展開、キャラクターの知識を蓄積。
セルゲイエフ版の全容を辿れる書籍です。後半ページにはソビエト(当時)の新鋭からスターダンサーまでが紹介され
コルパコワ、アナニアシヴィリ、アンドリス・リエパ、ベスメルトノワ、ムハメドフ、ルジマトフ、
タランダ、アスイルムラトワといったバレエ史に刻まれる方々を掲載。
うっとり眺めてソビエトバレエを憧憬しておりましたが瞬く間にソ連崩壊。
報道番組が連日赤の広場とゴルバチョフ一色になっていたと記憶しております。
コルパコワ、最近はオンラインでの対談にも度々登場。昔と変わらず、きりっとした佇まいが美しい。アナニアシヴィリとの対談。
(アナニアシヴィリはマラーホフやボッカ、ウヴァーロフ、そしてラブロフスキーなど錚々たる方々と対談。まさに『ニーナの部屋』。
針山愛美さんもインタビュー。
今年はチャイコフスキー生誕180年、『眠れる森の美女』初演から130年そして7月14日は原振付マリウス・プティパの命日でございます。
ウィールドンの次はコルパコワへ飛ぶ当ブログの謎な時間感覚はご容赦ください。
我が家にあった、レーザーディスク。幻影の森の場でのこの神秘的な表情、静かに語りかけるようなコルパコワのポーズには今見ても溜息が零れます。
2枚組でしたので見開きは写真集の如き立派な作り。何度じっと眺めたことか。
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ
演出:コンスタンチン・セルゲイエフ
美術・ 衣装:シモン・ヴィルサラーゼ
演奏:キーロフ歌劇場管弦楽団
指揮:ヴィクトル・フェドトフ
映像監督:エレーナ・マシュレ
収録:1982年11月 キーロフ歌劇場
フロレスタン王:ウラジーミル・ポノマリョフ
王妃:アンジェリーナ・カバロワ
オーロラ姫:イリーナ・コルパコワ
デジレ王子:セルゲイ・ベレジノイ
リラの精:リュボフィ・クナコワ
カラボス:ウラジーミル・ロプホフ
カタラビュート:ゲンナーディ・セリュツキー
コルパコワのオーロラ姫は至極シンプルで余計な装飾がなく、型を厳守して指先から脚先までどのステップもポーズも丹念にコントロールしながら紡ぎ上げ
内面から滲み出る品位や気高さで魅了。この当時49歳だったようですがお若い頃の映像と比較しても益々磨き抜かれた美しさに感嘆するしかなく、
ワガノワ最後の弟子の映像が全幕収録され現在も観ることが可能である幸運に再度喜びを覚えた次第です。
ローズ・アダージオでは序盤、脚を高く上げ過ぎていない点も印象宜しく育ちの良さやゆかしさ慎ましさが一層引き立っていたと見受けます。
(コルパコワ、決して身体が硬いのではない。誤解無きように)ぴたりと180度或いは更に高く上げている方もいますが、身体の柔らかさは伝わるものの
姫の中の姫であるオーロラにしてはお転婆過ぎる印象が先行してしまうと感じております。
1幕よりもむしろ少女らしさがあった2幕幻影の森の場にも見惚れ、薄暗い光を帯びながら神秘的な表情、静かに語りかけるようなポーズに吸い込まれそうになり
絢爛な結婚式場面ではなく、上の写真にもあるようにレーザーディスクのジャケットにも使われた点にも納得がいきました。
ベレジノイのデジレ王子は可もなく不可もなく(失礼)、肩近くまで伸ばした不思議なカールヘアが最大の印象でしたが
キーロフのダンスールノーブルは控えめ、個性出し過ぎるべからずが理想であったのでしょう。
(そうは言っても華やぎと整ったラインが鮮やかであったザクリンスキーは印象にあるのだが。メゼンツェワとの白鳥の湖は我が白鳥の原点かもしれません)
自然と目が行ったのは意外にもセリュツキーのカタラビュート。1980年収録コルパコワ主演のセルゲイエフ版『ライモンダ』にてアブデラフマンを務めていたものの
一昔前の演出とは言えいかんせん濃厚メイクで極悪人な容貌に仕上げ、かといって踊る場面や見せ場もさほどなくスキンヘッド鬘も違和感のある
描き方にやや問題ありきな役止まりでした。しかしこのカタラビュートでは出しゃばり過ぎず、尚且つ思わず目を引く細かな表現でさりげなく見せ、
例えば序盤から姫がすやすや眠っている様子を伝える際にはオーロラ姫の役にとことん入り込み両手を頬の下につけて眠る仕草の真似もわざとらしさ皆無。
1幕ではオーロラ姫の登場から親族!?として心配そうにじっと眺め、周囲がめでたい歓声で溢れていても
生誕祝いの失敗を16年経過後もひきずっているのか緊張度合いが妙な説得力を持たせていました。
思えば1次審査や精査も行ったにもかかわらず生誕祝いでの招待客記名漏れトラブルはなぜ防げなかったのか。
目視のみならず常にシャチハタ持ち歩くなり印鑑必須(現代においては脱印鑑風潮高まっておりますが)であったのか、後のこの宮廷にて教訓が生かされていると願います。
クナコワのリラは優美さよりも強く毅然とした表現で魅せる妖精。背がすらりと高く、研ぎ澄まされた肢体で場を覆う姉御肌な統率力に惚れ惚れいたしました。
勿論高雅さも備え、長い腕の動き1つ1つで何もかもを包み込み導く姿や全身で音楽をたっぷり使ってのソロも印象に刻まれております。
チュチュと長い裾の衣装、両方ともお似合いです。いつの間にか子分たちに輪の中から姿を現す登場シーンが分かりづらいのは難点で
曲調が晴れやかに変わるあたりで堂々と登場させれば良かろうにと毎度思うわけですが、クナコワの存在感ならば問題無し。
そして忘れてはならぬ、高精度な群舞。ただびしっと揃っているだけでなく滑らかで鷹揚とした趣きもあり、更には体型が見事なまでに綺麗。
この頃のソビエトのチュチュは現代よりも短く、また派手な飾り付けも無し。
そのため腰の位置が高く身体が抜群なラインを持っていなければ罰則着用と化すデザインですが
簡素なチュチュがかえって容姿を一層引き立てる効果大で、つまりそれだけ均整のとれたスタイルのダンサー揃いです。
特にプロローグにおけるパ・ド・シスコーダでのリラの精たちの群舞が横1列で一斉に前方へと進んでいく箇所では足並みの揃いっぷりや真っ直ぐ伸びた脚線美に仰天し、
この映像を初めて観た頃の前年あたりの夏に公開された『となりのトトロ』ねこバスを彷彿させたほどでした。
3幕の結婚式は序盤から仰々しい展開で、オーロラ姫と王子は早々に登場し姫はロングドレスをお召しで
そして下手側に移動し、赤頭巾ちゃんや青い鳥たちなど延々と入ってくる笑(セルゲイエフ版は多し)客人をしっかりお出迎え。
近年の演出では最後の最後グラン・パ・ド・ドゥでようやく登場が主流ですが主役は序盤に入場して招待客お出迎えは私がこの版で特に好きな演出の1つでございます。
また宝石たちも早くに登場し、新郎新婦出迎え担当。その際、後ほど踊るときには使わない各々の宝石らしき飾りが先端に付いた棒を掲げながら歩いて位置につく
この流れが何とも幸福を運んでくれる要素大。たった数秒であっても気分が一気に華やぎ光が零れ落ちてきそうな場面です。
美術と衣装はシモン・ヴィルサラーゼ。絢爛ながらも派手で華美な装飾は抑え(宝石のみ光沢押し出しであったが)
きらりと品良く光る具合を大事に徹底した宮廷王朝絵巻とおとぎ話の世界に浸れます。
作品初演バレエ団の誇りを感じさせる古式ゆかしき、色褪せぬ魅力が詰まった公演映像です。
新国立劇場バレエ団でも開場記念公演の1997年10月から2007年2月まで上演を重ねてきたセルゲイエフ版眠りですが私は2005年の1回と2007年の4回、計5回しか目にできず。
当時は感想記を綴っておりませんでしたので、花のワルツが色彩からして違和感及びとうもろこし畑に見えた鬘そのまま使用問題など取り上げていくかもしれません。
今年は初演から130年、『眠れる森の美女』行脚を引き続き行って参りたいとおります。
それはそうと7月14日と言えば歴史を揺るがした一大事の日。フランス革命記念日です。
フランス絶対王政へのオマージュを盛り込み、クラシック・バレエの最高峰として名高いとされる『眠れる森の美女』が代表作であるプティパの命日と
そのフランス王政を滅亡に追い込んだ革命記念日が同じであるのは、単なる偶然とは思うものの功績や歴史の不思議な巡りを感じずにはいられません。
コルパコワの教え子でありセルゲイエフ版眠りのオーロラ姫を幾度も踊ったラリッサ・レジュニナが監修を務めた
今年2月の東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』でも紹介いたしましたが、昭和に出版された我が眠り手引き書。
求婚者たちにリフトされているのがコルパコワです。当時からこれを読みつつ映像を観ておりました。
この本に目を通し、青い鳥や赤ずきんといったバレエにおける眠れる森の美女の特殊な展開、キャラクターの知識を蓄積。
セルゲイエフ版の全容を辿れる書籍です。後半ページにはソビエト(当時)の新鋭からスターダンサーまでが紹介され
コルパコワ、アナニアシヴィリ、アンドリス・リエパ、ベスメルトノワ、ムハメドフ、ルジマトフ、
タランダ、アスイルムラトワといったバレエ史に刻まれる方々を掲載。
うっとり眺めてソビエトバレエを憧憬しておりましたが瞬く間にソ連崩壊。
報道番組が連日赤の広場とゴルバチョフ一色になっていたと記憶しております。
コルパコワ、最近はオンラインでの対談にも度々登場。昔と変わらず、きりっとした佇まいが美しい。アナニアシヴィリとの対談。
(アナニアシヴィリはマラーホフやボッカ、ウヴァーロフ、そしてラブロフスキーなど錚々たる方々と対談。まさに『ニーナの部屋』。
針山愛美さんもインタビュー。
2020年7月12日日曜日
【お茶の間観劇】イングリッシュ・ナショナル・バレエ団 クリストファー・ウィールドン版『シンデレラ』
イングリッシュ・ナショナル・バレエ団で配信されていたクリストファー・ウィールドン版『シンデレラ』を鑑賞いたしました。
ロイヤルアルバートホールの大きな円形舞台で繰り広げられ、360°の角度から出演者を見渡せる大迫力の公演でした。
全編をざっと観てまたじっくり観ようと思っていたものの配信終了となってしまいうっかり。簡単な感想ではございますが
ダイジェスト映像やリハーサル、衣装製作現場映像、360°ではない正面側のみの客席劇場での公演映像など動画サイトに映像が充実しておりますので是非ご覧ください。
アルバートホールでのシンデレラ予告映像
シンデレラ:アリーナ・コジョカル
王子:イサック・エルナンデス
継母:タマラ・ロホ
コジョカルのシンデレラはその昔新国立劇場でのアシュトン版ゲスト出演時に観たときの元気溌剌な様子とは打って変わり
悲観的で内向きな少女。義姉たちと一緒に踊る箇所が多く一見仲が良さそうな家族にも見えなくはありませんでしたが
継母がとにかくおっかなく笑、義姉たちの陰湿な仕打ちが徐々に露わとなってシンデレラがより哀れに見て取れました。
舞踏会では黄色と金色のドレスで。目の前の別世界に徐々に目を覚まして行くかのように解放感いっぱいに踊り出す姿がいたく愛らしく映りました。
圧倒する存在感であったのはロホによる継母。目の前にした相手をじっと送る視線の使い方といい不変の達者な技術といい
決して大柄な身体ではなくてもダイナミックに示して且つ荒っぽさもなく、厚手の光沢ある素材の衣装も似合い
ちょっとした腰の捻り方や顔の付け方の魅せ方にも長けていて団長の貫禄十二分。
娘を嫁に出したい、玉の輿に乗せたい気持ちは誰にも負けず笑、巨大な金槌で叩きながら靴に足を入れさせようと奮闘する姿には思い切り笑わせられました。
エルナンデスの王子は親しみやすい印象で、宮殿でやんごとなき生活を送るより窮屈な空間を飛び出しての生活のほうが合っていそうな青年。
シンデレラを探し出す際は床に描かれた世界地図の照明を真剣に眺めたり、シンデレラの家到着時にはバネの強いジャンプで沸かせたりと
苦難続きの冒険でもむしろ楽しむ余裕を持っていそうな王子でした。
先にも述べた通り、ロイヤルアルバートホールでの360°から見渡せる大円形舞台での披露は圧巻。
舞踏会の人数も多めで舞台床には視力回復本に載っていそうな湾曲した模様が全体に照明で描かれ
翻る濃い青の衣装の魔力にも吸い寄せられ摩訶不思議な世界へと一気に迷い込まずにはいられません。
前後左右からの観客の視線を感じながら踊ることはどれだけ緊張を強いられるものかと気にもなりますし
他のバレエ団では同じプロダクションを正面側のみの客席劇場で上演しているはずですから、舞台転換や振付も変更して臨んだと思われます。
そして英国バレエのお決まりなのか、被り物たちのキャラクターも大活躍。藁を組み合わせたのか人の大きな顔の被り物や大掛かりな鳥もあり。
そういえば、アシュトン版『シンデレラ』には不在だが、珍しい例なのでしょう。
アルバートホールでの『白鳥の湖』予告映像。白鳥60羽が登場し、360°の客席に配慮して四羽の白鳥は2組が登場します。
アルバートホールでの『白鳥の湖』を目にして思い出したのは、小林紀子バレエシアターや新国立劇場バレエ団で活躍後
バレエスタジオAngel Rでの全幕舞台総合演出や、新国立劇場バレエ団の福田圭吾さんと組んで監修にあたっている公演DAIFUKU及びDAIこと大和雅美さんの鑑賞記。
記念すべき第1回公演360°Nutcrackerの告知にて、ロイヤルアルバートホール公演からヒントを得たと書かれていました。
http://トウキョウダンスマガジン.com/?p=1854
大和さんの鑑賞記。アルバートホール内部や前後の記事にはウエストミンスター寺院やバーミンガムの美術館など英国の古くも美しい建造物の写真も満載です。
http://blog.livedoor.jp/masamifc/archives/2018680.html
舞台を取り囲む形での鑑賞の経験は2012年の7月11日、12日に青山円形劇場にて開催された(まさにちょうど8年前)下村由理恵さんのリサイタルにてありましたが
コール・ド・バレエを360°の角度から鑑賞するのはこの第1回Daifukuが初。ぐるりと全方角を意識した片側に偏らぬ振付に驚かされ一層立体的に見えた記憶がございます。
また昨年2019年のDaifuku Home(バレエ版サザエさん)は横浜公演では360°客席でしたが矢上恵子先生追悼公演で上演された大阪では
正面側のみ客席のホールでしたから、違いを堪能できたのは幸運であったと思っております。
※3月公演が延期となったDAIFUKU vol.6 Strong.Bが2020年9月26日(土)27日(日)の上演が決定したそうです。時間は後日発表のこと、楽しみに待ちたいと思います。
https://www.angel-r.jp/event_ar/daifuku/daifuku-vol06/27087/
ロイヤルアルバートホールの大きな円形舞台で繰り広げられ、360°の角度から出演者を見渡せる大迫力の公演でした。
全編をざっと観てまたじっくり観ようと思っていたものの配信終了となってしまいうっかり。簡単な感想ではございますが
ダイジェスト映像やリハーサル、衣装製作現場映像、360°ではない正面側のみの客席劇場での公演映像など動画サイトに映像が充実しておりますので是非ご覧ください。
アルバートホールでのシンデレラ予告映像
シンデレラ:アリーナ・コジョカル
王子:イサック・エルナンデス
継母:タマラ・ロホ
コジョカルのシンデレラはその昔新国立劇場でのアシュトン版ゲスト出演時に観たときの元気溌剌な様子とは打って変わり
悲観的で内向きな少女。義姉たちと一緒に踊る箇所が多く一見仲が良さそうな家族にも見えなくはありませんでしたが
継母がとにかくおっかなく笑、義姉たちの陰湿な仕打ちが徐々に露わとなってシンデレラがより哀れに見て取れました。
舞踏会では黄色と金色のドレスで。目の前の別世界に徐々に目を覚まして行くかのように解放感いっぱいに踊り出す姿がいたく愛らしく映りました。
圧倒する存在感であったのはロホによる継母。目の前にした相手をじっと送る視線の使い方といい不変の達者な技術といい
決して大柄な身体ではなくてもダイナミックに示して且つ荒っぽさもなく、厚手の光沢ある素材の衣装も似合い
ちょっとした腰の捻り方や顔の付け方の魅せ方にも長けていて団長の貫禄十二分。
娘を嫁に出したい、玉の輿に乗せたい気持ちは誰にも負けず笑、巨大な金槌で叩きながら靴に足を入れさせようと奮闘する姿には思い切り笑わせられました。
エルナンデスの王子は親しみやすい印象で、宮殿でやんごとなき生活を送るより窮屈な空間を飛び出しての生活のほうが合っていそうな青年。
シンデレラを探し出す際は床に描かれた世界地図の照明を真剣に眺めたり、シンデレラの家到着時にはバネの強いジャンプで沸かせたりと
苦難続きの冒険でもむしろ楽しむ余裕を持っていそうな王子でした。
先にも述べた通り、ロイヤルアルバートホールでの360°から見渡せる大円形舞台での披露は圧巻。
舞踏会の人数も多めで舞台床には視力回復本に載っていそうな湾曲した模様が全体に照明で描かれ
翻る濃い青の衣装の魔力にも吸い寄せられ摩訶不思議な世界へと一気に迷い込まずにはいられません。
前後左右からの観客の視線を感じながら踊ることはどれだけ緊張を強いられるものかと気にもなりますし
他のバレエ団では同じプロダクションを正面側のみの客席劇場で上演しているはずですから、舞台転換や振付も変更して臨んだと思われます。
そして英国バレエのお決まりなのか、被り物たちのキャラクターも大活躍。藁を組み合わせたのか人の大きな顔の被り物や大掛かりな鳥もあり。
そういえば、アシュトン版『シンデレラ』には不在だが、珍しい例なのでしょう。
アルバートホールでの『白鳥の湖』予告映像。白鳥60羽が登場し、360°の客席に配慮して四羽の白鳥は2組が登場します。
アルバートホールでの『白鳥の湖』を目にして思い出したのは、小林紀子バレエシアターや新国立劇場バレエ団で活躍後
バレエスタジオAngel Rでの全幕舞台総合演出や、新国立劇場バレエ団の福田圭吾さんと組んで監修にあたっている公演DAIFUKU及びDAIこと大和雅美さんの鑑賞記。
記念すべき第1回公演360°Nutcrackerの告知にて、ロイヤルアルバートホール公演からヒントを得たと書かれていました。
http://トウキョウダンスマガジン.com/?p=1854
大和さんの鑑賞記。アルバートホール内部や前後の記事にはウエストミンスター寺院やバーミンガムの美術館など英国の古くも美しい建造物の写真も満載です。
http://blog.livedoor.jp/masamifc/archives/2018680.html
舞台を取り囲む形での鑑賞の経験は2012年の7月11日、12日に青山円形劇場にて開催された(まさにちょうど8年前)下村由理恵さんのリサイタルにてありましたが
コール・ド・バレエを360°の角度から鑑賞するのはこの第1回Daifukuが初。ぐるりと全方角を意識した片側に偏らぬ振付に驚かされ一層立体的に見えた記憶がございます。
また昨年2019年のDaifuku Home(バレエ版サザエさん)は横浜公演では360°客席でしたが矢上恵子先生追悼公演で上演された大阪では
正面側のみ客席のホールでしたから、違いを堪能できたのは幸運であったと思っております。
※3月公演が延期となったDAIFUKU vol.6 Strong.Bが2020年9月26日(土)27日(日)の上演が決定したそうです。時間は後日発表のこと、楽しみに待ちたいと思います。
https://www.angel-r.jp/event_ar/daifuku/daifuku-vol06/27087/
2020年7月10日金曜日
【お茶の間観劇】シュツットガルト・バレエ団 マーティン・シュレプファー振付Taiyo to Tsuki ジョン・クランコ振付『フルートとハープのための協奏曲』
遡るものもありますが、シュツットガルト・バレエ団が配信していた作品を2本鑑賞いたしました。
シュツットガルトの配信映像を多くご覧になっている精通者より教えていただき、鑑賞に至った次第です。
ハッピーインターナショナルダンスデイ2020。屋外で踊る様子を繋げた映像です。アジアな建築も見えましたが何処か気になります。
Taiyo to Tsuki
振付:マーティン・シュレプファー
音楽:シューベルト 交響曲第三番 細川俊夫 遠景Ⅲ
http://www.tanz.at/index.php/kritiken/kritiken-2020/2322-stuttgarter-ballett-douglas-lee-louis-stiens-und-martin-schlaepfer
作品解説。毎度無責任ですみません、ドイツ語の日本語訳はご自身で願います。
クラシックとコンテンポラリーの中間あたりな振付で、女性はポワントで踊ります。
フォーゲルやオサチェンコら主役級も複数投入され、特にグレーや茶色中心で一見部屋着風な男性の衣装も
シュツットガルトの実力者たちが着て踊ればそう言わせません笑。(我が記憶内での部屋着バレエ衣装格付け上位に君臨する
ミルピエ版ダフニスとクロエに次ぐデザイン)女性はシンプルな長袖ワンピース。
ユニークであるのが音楽構成で、前半がシューベルトの交響曲第三番で後半が細川俊夫さんの遠景Ⅲ。(恐らく)
前半はフォーゲルを中心に歯切れ良い調子が主で、後半はじんわりゆったりとした曲調に乗せて身体の自在な交錯や
ポーズ1つ1つに至るまでの過程も含め摩訶不思議な世界へと誘われました。
恥ずかしい話、細川俊夫さんについては存じ上げず、オペラ『松風』の作曲者と教えていただきお名前はちらりとようやく浮かんだのでした。
また調べたところ遠景Ⅲは福山の海風景を描いた作品だそうで、知っていれば3年前の愛媛でのバレエ鑑賞翌日、
宿泊先の瀬戸内海に浮かぶ大三島からしまなみ街道自転車走行からの船で尾道に渡り
帰りの尾道から福山駅(駅のホームから福山城が見えます。管理人、高校の修学旅行でも参りまして感激した覚えあり)経由での
新幹線乗車時に曲を脳内再生するなりして旅情に浸ったものですが、次回機会があればと願います。
『フルートとハープのための協奏曲』
振付:ジョン・クランコ
音楽:モーツァルト フルートとハープのための協奏曲
映像ほんの少し収録。最初の18秒あたりまで、短くまとめられています。
他に『ラ・バヤデール』より影の王国、『シンフォニー・イン・C』を上演したトリプル・ビル公演のようです。
インCの女性は白いチュチュですが、銀色の細かな装飾で彩られお洒落なデザインです。
言わば男女逆転プティパ或いはバランシンな作風、役割分担で1人の女性ダンサーの周囲や後方で男性ダンサーが大勢で踊る振付。全員白い衣装で統一しています。
主軸は森田愛海さん。惜しくも今春のNHKバレエの饗宴が中止となりソロでの舞台姿を鑑賞できなかったため嬉しいご出演です。
キビキビと美しく輪郭がはっきりとした踊りで、大勢の長身男性ダンサーを従えても埋もれぬ存在感。
そして最大の見所!?男性群舞。大勢の長身男性ダンサーたちが、大真面目に優雅に
全員呼吸を合わせながらポーズのラインの隅々まで気を配り一生懸命折り目正しく踊る姿に失礼と承知ながら笑いが止まらず。
満面の笑みの人もいれば緊張気味な人もいて、しかし技術が皆しっかりとした基盤があるからこそ
モーツァルトの可愛らしい旋律も相乗効果をもたらし何もかもが微笑ましく絵になって見えました。
※綺麗な体型のダンサーが揃った新国立劇場男性陣にも合いそうです。過去のレパートリーには云々申したくはありませんが
勇猛さや野性味、裸体物に走ろうと男性強化計画として取り入れた『トロイ・ゲーム』やMen Y Menより遥かに宜しいのでは笑。
クランコと言えば、『オネーギン』や『じゃじゃ馬ならし』といった全幕物語バレエの印象しかありませんでしたが
こんな純クラシックな振付でユーモアのある作品も生み出していたとは驚きでした。
ところで、NBSの発表によれば再来年2022年にシュツットガルト・バレエ団の来日公演を予定。
1本はマリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』で恐らくは2008年公演以来か。
もう1本はケネス・マクミラン振付の『マイヤリンク』。本家本元は英国ロイヤルですが、映画では観たものの生では未だ叶っておらず今から楽しみでございます。
シュツットガルトの配信映像を多くご覧になっている精通者より教えていただき、鑑賞に至った次第です。
ハッピーインターナショナルダンスデイ2020。屋外で踊る様子を繋げた映像です。アジアな建築も見えましたが何処か気になります。
Taiyo to Tsuki
振付:マーティン・シュレプファー
音楽:シューベルト 交響曲第三番 細川俊夫 遠景Ⅲ
http://www.tanz.at/index.php/kritiken/kritiken-2020/2322-stuttgarter-ballett-douglas-lee-louis-stiens-und-martin-schlaepfer
作品解説。毎度無責任ですみません、ドイツ語の日本語訳はご自身で願います。
クラシックとコンテンポラリーの中間あたりな振付で、女性はポワントで踊ります。
フォーゲルやオサチェンコら主役級も複数投入され、特にグレーや茶色中心で一見部屋着風な男性の衣装も
シュツットガルトの実力者たちが着て踊ればそう言わせません笑。(我が記憶内での部屋着バレエ衣装格付け上位に君臨する
ミルピエ版ダフニスとクロエに次ぐデザイン)女性はシンプルな長袖ワンピース。
ユニークであるのが音楽構成で、前半がシューベルトの交響曲第三番で後半が細川俊夫さんの遠景Ⅲ。(恐らく)
前半はフォーゲルを中心に歯切れ良い調子が主で、後半はじんわりゆったりとした曲調に乗せて身体の自在な交錯や
ポーズ1つ1つに至るまでの過程も含め摩訶不思議な世界へと誘われました。
恥ずかしい話、細川俊夫さんについては存じ上げず、オペラ『松風』の作曲者と教えていただきお名前はちらりとようやく浮かんだのでした。
また調べたところ遠景Ⅲは福山の海風景を描いた作品だそうで、知っていれば3年前の愛媛でのバレエ鑑賞翌日、
宿泊先の瀬戸内海に浮かぶ大三島からしまなみ街道自転車走行からの船で尾道に渡り
帰りの尾道から福山駅(駅のホームから福山城が見えます。管理人、高校の修学旅行でも参りまして感激した覚えあり)経由での
新幹線乗車時に曲を脳内再生するなりして旅情に浸ったものですが、次回機会があればと願います。
『フルートとハープのための協奏曲』
振付:ジョン・クランコ
音楽:モーツァルト フルートとハープのための協奏曲
映像ほんの少し収録。最初の18秒あたりまで、短くまとめられています。
他に『ラ・バヤデール』より影の王国、『シンフォニー・イン・C』を上演したトリプル・ビル公演のようです。
インCの女性は白いチュチュですが、銀色の細かな装飾で彩られお洒落なデザインです。
言わば男女逆転プティパ或いはバランシンな作風、役割分担で1人の女性ダンサーの周囲や後方で男性ダンサーが大勢で踊る振付。全員白い衣装で統一しています。
主軸は森田愛海さん。惜しくも今春のNHKバレエの饗宴が中止となりソロでの舞台姿を鑑賞できなかったため嬉しいご出演です。
キビキビと美しく輪郭がはっきりとした踊りで、大勢の長身男性ダンサーを従えても埋もれぬ存在感。
そして最大の見所!?男性群舞。大勢の長身男性ダンサーたちが、大真面目に優雅に
全員呼吸を合わせながらポーズのラインの隅々まで気を配り一生懸命折り目正しく踊る姿に失礼と承知ながら笑いが止まらず。
満面の笑みの人もいれば緊張気味な人もいて、しかし技術が皆しっかりとした基盤があるからこそ
モーツァルトの可愛らしい旋律も相乗効果をもたらし何もかもが微笑ましく絵になって見えました。
※綺麗な体型のダンサーが揃った新国立劇場男性陣にも合いそうです。過去のレパートリーには云々申したくはありませんが
勇猛さや野性味、裸体物に走ろうと男性強化計画として取り入れた『トロイ・ゲーム』やMen Y Menより遥かに宜しいのでは笑。
クランコと言えば、『オネーギン』や『じゃじゃ馬ならし』といった全幕物語バレエの印象しかありませんでしたが
こんな純クラシックな振付でユーモアのある作品も生み出していたとは驚きでした。
ところで、NBSの発表によれば再来年2022年にシュツットガルト・バレエ団の来日公演を予定。
1本はマリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』で恐らくは2008年公演以来か。
もう1本はケネス・マクミラン振付の『マイヤリンク』。本家本元は英国ロイヤルですが、映画では観たものの生では未だ叶っておらず今から楽しみでございます。
2020年7月5日日曜日
【お茶の間観劇】パリ・オペラ座バレエ団ヌレエフ版『白鳥の湖』
パリ・オペラ座バレエ団ヌレエフ版『白鳥の湖』を鑑賞いたしました。今年4月頃に期間限定で配信されていましたが
アップの主や経緯は謎ながら映像が残っておりましたため、また2006年の来日公演の白鳥には足を運びましたが
本番中の主役降板もあり場内騒然で落ち着いて臨めず、今のオペラ座ダンサーで全編じっくり観てみたいと思い鑑賞した次第です。
オデット/オディール:レオノール・ボラック
ジークフリート王子:ジェルマン・ルーヴェ
家庭教師/ロットバルト:フランソワ・アリュ
パ・ド・トロワ:セウン・パク、オニール八菜、ポール・マルク
ヌレエフ版『白鳥の湖』歴史。アマンディーヌ・アルビッソンとマチュー・ガニオの主演映像あり。
ボラックのオデットは力強くも不安げな心境を右往左往しているような姫。
滑らか細やかな腕捌きではなく上体もたっぷり使いダイナミックでパワーを思わせつつも王子に向ける目は潤みが宿り
危なっかしさもまた王子を惹きつける理由の1つであったのだろうと想像いたします。
オディールは小悪魔な魅力全開で、手のひらで王子を自在に転がす行為を心底満喫している余裕もあり
パ・ド・ドゥでの大胆な誘惑も嵌っていた印象です。2017年のバレエ・スプリームでは絶不調であったと耳にしたフェッテも
少し冷や汗であったとはいえ回り切って一安心。
ルーヴェは甘い甘いお菓子を彷彿とさせる瞳きらりの甘美な容貌で、好みは別として(失礼)青く、我儘で幼さが残る王子は絵になると好印象。
ヌレエフ版では王子の陰の部分をとことん描き、密接な関係を持つ家庭教師/ロットバルトに操られるままに終幕へ向かい
闇部分が余りに濃いとそれはそれで観ている側も陰鬱になる一方になりそうですがその手前止まりであったのは
醸される瑞々しさが上手く調和して良い方向に作用した効果と捉えております。華と陰のバランスが丁度良い塩梅でした。
1幕の終盤辺り、他の版では道化が急ピッチで踊る箇所でのソロでは顔の傾け方や不安を募らせる伏し目がちな表情と
明るい曲調がかえって急ぎ足で闇へと突き進む危うさを孕んでいるようにも聞こえるほど引き込まれるものがありました。
豪胆な怪しさで魅せたのはアリュの家庭教師/ロットバルト。黒と玉虫色を合わせた厚みある衣装やマントにも負けぬ体躯で場を攫って王子を意のままに操り
王子の両肩に手を置いたり、耳元で囁く仕草だけでも不吉な予感を持たせていました。
この役といえば2006年の来日公演で観たカール・パケットの光を帯びた色気が圧巻でしたがアリュはまた違ったタイプで
より剛健、更には温厚そうな場面と鋭さを見せるときの落差がはっきりとしていて双方とも魅力ある造形であった印象です。
トゥールーズのキャピトル・バレエ団でのヌレエフガラにおけるダイジェスト映像でも黒鳥トロワが含まれており何度も観ておりますが
ロットバルト、ちょいと弱そうでございました笑。
舌を巻いたのは白鳥たちの群舞の振付。三角形を3箇所に作る配置や縦横の列に戻る際も左右対称にせずあえてずらしながら形作る流れ、
向かい合って片手を繋ぎながら鎖状に連なったりとユニークなフォーメーションで、嬉しいことに上からもふんだんに撮影されており
群舞観察がこれほどまでに面白いとは予想外でした。ヌレエフの全幕作品の群舞の振付にも誠に今更ながら注目して参りたいと思います。
1点1点手の込んだ衣装にも目を奪われ、決してボリュームのあるデザインではないものの
胸元の刺繍やビーズ装飾のきめ細やかさ、殆どの役を抑えたピンクの同系色で整えながらも
一見簡素なグレーの装置との相性も宜しく、物寂しさを感じさせぬ色彩感でした。
見事な統一感に感心し、ふと手がけた人物を確認すると美術はエツィオ・フリジェリオ、衣装のフランカ・スクァルチャピーノ、照明はヴィニチオ・シェリ で
ヌレエフ版『ラ・バヤデール』やボリショイの新装こけら落としからの『眠れる森の美女』と同じ布陣。
お馴染みの方々なのか、勉強不足で存じ上げずですが手にかかれば間違いない絶大な信頼を寄せられている3人組なのでしょう。
1990年前後のヌレエフ黄金世代ばかりを未だイメージとしてすぐさま浮かべがちな時が止まった状態の管理人。
旬のパリ・オペラ座ダンサーたちにも注目していきたいと思えた、予想外に集中し見所満載な『白鳥の湖』2019年公演映像でした。
過剰な嗜好偏重にならぬよう、引き続きパリ・オペラ座博士にも学びながら視野を広げていきたいと思っております。
アップの主や経緯は謎ながら映像が残っておりましたため、また2006年の来日公演の白鳥には足を運びましたが
本番中の主役降板もあり場内騒然で落ち着いて臨めず、今のオペラ座ダンサーで全編じっくり観てみたいと思い鑑賞した次第です。
オデット/オディール:レオノール・ボラック
ジークフリート王子:ジェルマン・ルーヴェ
家庭教師/ロットバルト:フランソワ・アリュ
パ・ド・トロワ:セウン・パク、オニール八菜、ポール・マルク
ヌレエフ版『白鳥の湖』歴史。アマンディーヌ・アルビッソンとマチュー・ガニオの主演映像あり。
ボラックのオデットは力強くも不安げな心境を右往左往しているような姫。
滑らか細やかな腕捌きではなく上体もたっぷり使いダイナミックでパワーを思わせつつも王子に向ける目は潤みが宿り
危なっかしさもまた王子を惹きつける理由の1つであったのだろうと想像いたします。
オディールは小悪魔な魅力全開で、手のひらで王子を自在に転がす行為を心底満喫している余裕もあり
パ・ド・ドゥでの大胆な誘惑も嵌っていた印象です。2017年のバレエ・スプリームでは絶不調であったと耳にしたフェッテも
少し冷や汗であったとはいえ回り切って一安心。
ルーヴェは甘い甘いお菓子を彷彿とさせる瞳きらりの甘美な容貌で、好みは別として(失礼)青く、我儘で幼さが残る王子は絵になると好印象。
ヌレエフ版では王子の陰の部分をとことん描き、密接な関係を持つ家庭教師/ロットバルトに操られるままに終幕へ向かい
闇部分が余りに濃いとそれはそれで観ている側も陰鬱になる一方になりそうですがその手前止まりであったのは
醸される瑞々しさが上手く調和して良い方向に作用した効果と捉えております。華と陰のバランスが丁度良い塩梅でした。
1幕の終盤辺り、他の版では道化が急ピッチで踊る箇所でのソロでは顔の傾け方や不安を募らせる伏し目がちな表情と
明るい曲調がかえって急ぎ足で闇へと突き進む危うさを孕んでいるようにも聞こえるほど引き込まれるものがありました。
豪胆な怪しさで魅せたのはアリュの家庭教師/ロットバルト。黒と玉虫色を合わせた厚みある衣装やマントにも負けぬ体躯で場を攫って王子を意のままに操り
王子の両肩に手を置いたり、耳元で囁く仕草だけでも不吉な予感を持たせていました。
この役といえば2006年の来日公演で観たカール・パケットの光を帯びた色気が圧巻でしたがアリュはまた違ったタイプで
より剛健、更には温厚そうな場面と鋭さを見せるときの落差がはっきりとしていて双方とも魅力ある造形であった印象です。
トゥールーズのキャピトル・バレエ団でのヌレエフガラにおけるダイジェスト映像でも黒鳥トロワが含まれており何度も観ておりますが
ロットバルト、ちょいと弱そうでございました笑。
舌を巻いたのは白鳥たちの群舞の振付。三角形を3箇所に作る配置や縦横の列に戻る際も左右対称にせずあえてずらしながら形作る流れ、
向かい合って片手を繋ぎながら鎖状に連なったりとユニークなフォーメーションで、嬉しいことに上からもふんだんに撮影されており
群舞観察がこれほどまでに面白いとは予想外でした。ヌレエフの全幕作品の群舞の振付にも誠に今更ながら注目して参りたいと思います。
1点1点手の込んだ衣装にも目を奪われ、決してボリュームのあるデザインではないものの
胸元の刺繍やビーズ装飾のきめ細やかさ、殆どの役を抑えたピンクの同系色で整えながらも
一見簡素なグレーの装置との相性も宜しく、物寂しさを感じさせぬ色彩感でした。
見事な統一感に感心し、ふと手がけた人物を確認すると美術はエツィオ・フリジェリオ、衣装のフランカ・スクァルチャピーノ、照明はヴィニチオ・シェリ で
ヌレエフ版『ラ・バヤデール』やボリショイの新装こけら落としからの『眠れる森の美女』と同じ布陣。
お馴染みの方々なのか、勉強不足で存じ上げずですが手にかかれば間違いない絶大な信頼を寄せられている3人組なのでしょう。
1990年前後のヌレエフ黄金世代ばかりを未だイメージとしてすぐさま浮かべがちな時が止まった状態の管理人。
旬のパリ・オペラ座ダンサーたちにも注目していきたいと思えた、予想外に集中し見所満載な『白鳥の湖』2019年公演映像でした。
過剰な嗜好偏重にならぬよう、引き続きパリ・オペラ座博士にも学びながら視野を広げていきたいと思っております。
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