2022年9月9日金曜日

出演者全員で踊り祝うクラシカル・コンサート   BALLET NOW バレエ ナウ第15回発表会 8月19日(金)《東京都八王子市》





8月19日(金)、八王子いちょうホールにてBALLET NOW(バレエナウ)発表会を観て参りました。
主宰は川崎浩美さん、振付や指導には貝川鐵夫さんも携わっていらっしゃり、2019年の初鑑賞以来一般非公開であった2020年を除いては毎回足を運んでおります。
http://ballet-now.com/

今年の発表会概要告知記事。ご投稿が7月21日でございました。(管理人、小躍り笑)
http://ballet-now.com/news_topics/news/post-3606


バレエナウさんのSNSより。終演後の様子。川崎さん、貝川さん、そしてゲスト陣も晴れやか、紙吹雪がたくさん舞い降りました。第15回を祝す記念祭です。




第1部と第2部はバレエ・コンサートで最初は大勢の子供の生徒さん達による『ラ・ファヴォリータ』から。
パ・ド・ドゥは昨年神奈川県で久々で目にしましたが曲を最初に聴いた2006年世界バレエフェスティバル一発目における
オーストラリア・バレエ団のダンとローレンス組の印象が今尚残り、幕開け向きの華やぎ作品なイメージを16年が経った現在も未だに持っております。
ドニゼッティの歯切れ良い曲にのせて始まりを告げるファンファーレの如く、ぱっと明るい可愛らしさで記念発表会の幕開けを飾ってくれました。

続いては3年前以来、カラフルな衣装でうきうき楽しそうに踊る姿がそれはそれは微笑ましく映った
『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』(題名、生涯暗記できそうにありません。
スリランカの首都名より難題とこの度も思います)でも客席がほっこりと沸き立ちました。

ヴァリエーションやパ・ド・ドゥの他にバレエナウさん名物と私は思うキャラクターダンスの披露が今回もあり、感激。
3曲構成で、1曲目は小学校低学年くらいと思われる生徒さん達が5人でヨーデルらしき歌声入りの音楽で軽快に踊り、
背景には高尾山ではなくアルプス山脈を眺める気分となるほど魅せられておりました。
サウンド・オブ・ミュージックの音楽や風景、アルプスの少女ハイジの主題歌が好きな者にとって、趣味嗜好ポイントを掴まれた思いでおります。
続いて上級生の方々中心で、グラズノフ『バレエの情景』よりマズルカ。『ライモンダ』第3幕でもよく上演される作品で、数あるマズルカの中でも
特に気に入っている曲ですから分かった瞬間これまた上昇気流に乗らずにいられず。
村娘風の可愛らしい衣装で整えられ、踵の打ち鳴らし方やポーズの決め方は締まりがあり、振付は概ねライモンダを踏襲していたかと推察いたします。
終始全身でにこやかに踊っていた印象を持たせ、民族舞踊の訓練も身体に染み付いている成果を思わせました。
また他のプログラムではパ・ド・ドゥやヴァリエーションを踊った生徒さんもそうでない方も一緒になって目線の合わせ方からして笑みが絶えず、
楽しそうに作り上げる光景からどれだけ幸せを感じたか計り知れず。 皆で1つの作品をキャラクターダンスで表現する喜びが伝わるプログラムでした。
そしてこの曲を聴くと、昨年12年ぶりに全幕上演が実現した新国立『ライモンダ』の様々な場面、とりわけ貝川さんのアンドリュー2世王も思い起こされ、
一歩間違えれば西洋史のコントになりかねない金髪の鬘や王冠も違和感皆無な付けこなしでいらした上に
2幕終盤での姫を巡っていがみ合い火花を散らし合う者同士の間にさっと分け入り指揮をとられてた
修羅場における堂々たるお姿も忘れられぬ場面です。(特に6月11日金曜日公演)
3曲目は1曲目と2曲目の出演者全員集合で、ヨーロッパの何処かのテンポの速い哀愁も秘めつつみるみると熱を帯びていくフォークダンス風な曲にのせて大団円。
3年前の初鑑賞時からバレエナウさんによるキャラクターダンスが好きで選曲や振付に注目しておりましたが
今回も胸躍り、小さなお子さんの観客も含め客席も一体化して盛り上がる楽しい披露でした。

コンサートの中でもひときわ頬蕩けたのは、第1部最後を飾った『アルレキナーダ』グラン・パ・ド・ドゥ。
素直で純粋さが光る踊りで楽しませ、素敵な芝居心の持ち主な生徒さんと
屈託無き年齢不詳(褒めちぎり言葉です笑)、冒頭から愛しのコロンビーヌ捜索を客席とも可愛らしく嬉々と会話する渡邊峻郁さんの没入ぶりに目が何度垂れたことか。
お2人とも方向性が同じ踊り方でとことん役を生きていた印象を受け、顔をくっつきそうになるほど近づけてはお茶目な部分を一気に花開かせたりと
下手な人ならまだしも恥ずかしそうに行っていては鑑賞が苦行になりかねない表現も2人揃って奥底から弾け、加えて品もあり。
実はアルレキナーダのあらすじを知ったのはごく最近で、2年前に公開された映画『ミッドナイトスワン』にて
コンクールにてヴァリエーション踊る主人公に対して確か先生だったか、役の設定をさらっと告げる場があった気がいたし
そういえばガラ等でグラン・パ・ド・ドゥ鑑賞時には背景や話を知っておきたいと思っていながら
『アルレキナーダ』に関しては興味がそこまで至っていなかったのでしょう。把握しておりませんでした。
結婚を反対する父親によって閉じ込められた状況からコロンビーヌがようやく脱しての再会時に踊る場面のようで(調査能力不足で未だ理解仕切れずであるのだが)
そう考えると、アダージオやコロンビーヌのヴァリエーションの曲からはこれまで抱えてきたのだろう悲しみ、苦しみを震わす声が微かに聞こえるような旋律で
ただむやみやたらに可愛らしく踊れば良い作品ではなく、また人差し指を強調する仕草を始め
やり過ぎると媚を売っている行為にも見えてしまい、細かなバランスが難しい振付とも捉えております。
可愛らしくも互いをじっくり思いやりながらの掛け合いと丁寧に音楽を響かせるように踊るお2人で
生徒とゲストである関係性は一時忘れてしまったほど、加えて続きが観たくなるほど作品の世界にすっかり入り込んで満喫です。
そして道化師青年、仮面無しでああ一安心。

第3部はクラシカル・コンサート。『パキータ』を貝川さんが改訂され、大人子供、新国立4人ゲストも全員集合。
コール・ドの難度を調整してどのクラスの生徒さんにとっても踊り易くした箇所を増やし
本来1人でこなす振付を複数人で分担することで教室が一体となって全員で作品作る楽しさ伝わる上に
発表会ならではの豪華且つ全クラス出演型祝祭感満開なクラシック作品を観た気分に浸り、大変満足度高き演出でした。
アダージオでの対角線登場担当は速水さんで、登場シーンはまずまずといったところ(失礼)。
但し今回は所謂リュシアン役ではありませんから、華々しい歩き姿でドヤ!なご登場でもこれはこれで良き場面でございました。男性陣は全員上は白、下は黒で統一。
ヴァリエーションも各々あり、速水さんはバジル、中島さんがパ・ド・トロワ、渡邊さんがサタネラ男性、
木下さんがボリショイ版『ライモンダ』3幕ジャン。(記憶の限りこの4つであったはず。万一違っていたらご指摘ください)
中でも木下さんの角度の見せ方や晴れやかさ、渡邊さんの喜びを高らかに語るように縦横双方に渡って美しく舞う跳躍に目を奪われ
渡邊さんは更にエネルギーを注入したならばJR、ではなくより離れた京王八王子駅まで跳んでいってしまったことでしょう。
各々得意分野が占めるものを選ばれたと思われ、コーダではマズルカを踊った小さな子供の生徒さん達も冒頭にてきちんと1列に並んで登場。
ゲスト陣は4名体制で交差しながらの大跳躍や回転で沸かせてくださいました。
子供から大人までレベルも様々でありながら発表会出演者全員で披露し、しかもクラシックバレエをたっぷり堪能できた作品で満足度も高し。
全員が心から楽しんで踊っていたことは勿論、個々の魅力を引き出し舞台に花を咲かせるサポートをされた川崎さん貝川さんの手腕にこの度も天晴れでございます。

クラシックの全幕等は上演せず、バレエコンサートにはキャラクターダンスも含ませ、全出演者で貝川さんのオリジナル作品(今回は原型があるとは言え
バレエナウのアイディア満載な形であると思います)作り上げる楽しさを、15回記念を祝する舞台を客席で共有できる幸運に浸りました。
最後全員に向けたメダル表彰式においても達成感に溢れた表情が舞台いっぱいに広がり、継続の大切さを学んだ次第です。
時にはゲスト陣によるメダル授与の貴重光景も目を凝らして観察いたしました。
いちょうホール特有なのか地域性なのか、毎回のんびりゆったりとした客席の雰囲気も好きで、視界に入った親御さんの膝上に乗った小さなお子さんも集中して楽しみ
ミラーボールの演出にびっくりしたりと今回も未来の観客候補なお子さんも何名か目撃。八王子の夏の風物詩です。




※ご参考までに。去年と3年前のバレエナウさん発表会感想でございます。(一昨年2020年は一般非公開でしたが、一部分の映像を公開してくださり嬉しうございました)

2021年『真夏の夜の夢』ほか。笑いありうっとりする瞬間多々あり感覚フル稼働!
https://endehors2.blogspot.com/2021/09/ballet-now-825.html

2019年『長靴を履いたネコ』。近くに座っていた、出演者のご友人と思わしき部活帰りな若者達とも!?抱腹絶倒でした。
保育士な魔王は名キャラクターであると思っております。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-77ba7a.html




8月最後の職場早退をし、ぶらり京王線の旅。発表会の翌週に金曜ロードショーで放送された映画『耳をすませば』の舞台となった聖蹟桜ヶ丘を過ぎ、八王子へ。
1本早い電車に乗れたため昨年に続き、鑑賞前に八王子珈琲店にてお茶。ロートレックの絵がお洒落にシックに出迎えてくれます。
※余談にもほどがありますが、映画が公開された頃に周囲にて主題歌の替え歌編『甲州ロード』が流行り
山梨に続いてる気がすると口ずさむ声が時々聞こえてきたものです。甲州街道ならば当然でしょうが笑。



クラシックショコラケーキ。チョコレートしっかりな味で、古き良きヨーロッパな雰囲気の内装も気に入っております。
平日昼下がりからコーヒーとケーキでああのんびり、クラシカル・コンサートの内容を
想像真っ盛りと言いたいところだが昨年と同様うっかり寛ぎ過ぎてぎりぎりにホール到着汗。



帰宅後乾杯。第15回おめでとうございます!

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