2022年9月11日日曜日

吃驚仰天の一族共演  Ballet Studio Planè  バレエスタジオプラネ第36回発表会『ジゼル』『コッペリア』他   8月21日(日)《福島県白河市》




8月21日(日)、福島県白河市にてBallet Studio Planè  バレエスタジオプラネ第36回発表会を観て参りました。昨年に続く鑑賞で今年は8月開催です。
新国立劇場の渡邊峻郁さん、拓朗さん兄弟のご出身スタジオで凱旋舞台となるお2人と中島瑞生さんがゲスト出演されました。
森に差し込む光のグラデーションや憂愁を含む瞳、儚さが誘う綺麗なポスターやチラシ、プログラムデザインが目を惹き、友人との間でも話題になっておりましたが
スタッフ欄を確認したところMYクラスの生徒さんが手掛けられたようです。バレエもできて絵もお上手、憧れます。
http://cominess.jp/event/26221

『シルヴィア』第2幕?の序曲(ラッパのマークの正露丸の宣伝曲に似ていると私は思うのだが)にのせての名前を呼ばれるオープニングの後に第1部は『コッペリア』より。
1幕の冒頭と3幕を組み合わせた構成で、村人衣装姿がいたく可愛らしい子供の生徒さん達が
賑やかに楽しく幕開けを飾ったあとに時のワルツや仕事、戦い、平和と続きました。
3幕だけでも祝福感は十分にありますが『コッペリア』といえば1幕前半のワクワク感を誘う民族舞踊の胸躍る曲も聴きたくなるため
そこへ見せ場多しな3幕も合わさり、程よい長さ且つめでたさも強まって良きメリハリ度でした。
(バレエ・コンサートと幕物両方の上演時は構成と時間配分のバランス、大事です)
フランツは渡邊(拓)さんで、ドンと構えた堂々たる勇姿が眩しく何があっても動じないであろう安心感と優しい笑みでスワニルダを迎え、
地元で出身教室の舞台である点を差し引いても頼もしさが倍増し。サポートもソロも危うい箇所や隙も見当たらず、
清楚な雰囲気を持つスワニルダ役の生徒さんも伸び伸び幸せそうに踊る様子でいたくエレガントなお2人でした。
因みにスワニルダの生徒さんは第2部では全く色の違うエスメラルダを披露し、
颯爽とした踊りで勝ち気そうな表情から色っぽさも出していて別人に思えたほど。印象に刻まれております。
そういえば、『コッペリア』の舞台背景が影絵のような美術で家々が並ぶ風景がシックに描かれた(映し出されていた?)珍しい作りで思わず観察いたしました。

第2部はバレエ・コンサート。まず『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥで渡邊(峻)さんご登場で
気品の結晶の如く王子然とした歩き方や所作にも恍惚と魅了されるばかりでした。
昨年上演された眠り3幕のときとは異なる、白と金の重厚なデザインの衣装もしっくり。ソロでは優雅さのみならず勇壮ぶりも光り、
単調で短い音楽を(作曲者のチャイコフスキーには申し訳ない表現だが汗)余裕たっぷり、一層生き生きと芽生えさせていた印象です。
賛助出演の方によるオーロラ姫がそれはそれは喜びと幸福をこれ以上にないほどに前面に出されていて爽快な気持ちとなりました。

中島瑞生さんは『パリの炎』と黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥでご活躍。前者では冷や汗な着地が複数見られましたが
後者ではふとした瞬間に見せる腕の掲げ方や、もしやオデットでは無いのではなかろうかと疑念を募らす表現にはっとさせられ
経験を積んでいけば更に様々な魅力が開花しそうな予感がいたします。既に『不思議の国のアリス』の大役への代役抜擢に応えた白ウサギも記憶に新しいところです。
発表会の大定番『海と真珠』には渡邊(拓)さんが再びご登場。威厳と風格ある深海の王と初々しい真珠さんなトリオで海底遊泳を楽しませてくださいました。

第3部は『ジゼル』第2幕で、ヒラリオン不在である点以外はほぼそのまま上演。昨年『パキータ』にて主役を務めた生徒さんが
純情さが香り、ふわりと軽やかに宙を舞うジゼルを踊られ、ウィリーになっても一途さを失わず
アルブレヒトに心を寄せる姿がとてもいじらしく胸が締め付けられました。
アルブレヒトは渡邊(峻)さんでマント歩きや百合持ち、立ち姿も絵になる貴公子で取り返しのつかぬことを引き起こしてしまった後悔に病む様子が胸を突き続けました。
(この場面が絵になっていなかった時点で私の心は閉店ガラガラです笑。毎度目を光らせて観ております)
朝焼けに照らされ、命が助かるもジゼルとの時間を何度も反芻するように歩む姿も深く刻まれており
倒れ込んだときの表情もそれはそれは美しうございました。前方席で拝見し、眼福。
パ・ド・ドゥがまたすっと吸い寄せられるお2人で、精霊になっても初心な少女らしさが残るジゼルをアルブレヒトがそっと包み込んでいる造形と見て取れ、
悲しみの淵にいる状況であっても沸々と甘酸っぱい鼓動が自然と体内から発してくる感覚をもたらすパ・ド・ドゥでした。

最たる驚きは、主宰の鈴木寿雄先生のプログラム挨拶文によればミルタは渡邊ご兄弟のお姉様だそうで、
女王然たる美と貫禄、ウィリー達を従える支配ぶりにも平伏しました。ご兄弟どちらにも似ていらっしゃる、たいそう美人なお姉様です。
アルブレヒトと対峙しての命令や救いの拒絶も格高さを持ちつつああ怖し。
死に際まで追い詰められ踊らされながら全身から許しを求める震えが伝うアルブレヒトとの共演で、劇的な展開に押し上げていた印象です。
ご自身が先に習っていたことがきっかけでバレエを始め、遂には新国立劇場のプリンシパルにまで登り詰めた実の弟との共演のお気持ちはどんなものであったか
気になるところですが、思いがけず姉弟共演を目にでき吃驚仰天でございました。
ウィリー達のコール・ドも纏まりがあり、版によって醸す雰囲気も様々ですが静かに悲しみを語るウィリー達で
恐怖感を押し出し過ぎず、しかし呼吸を合わせてそっと淵に追いやろうとしたり一斉に拒んだりする仕草からじわりじわりと不気味さを放ち空気を覆っているように感じさせました。
『ジゼル』これといって役も多くはなく華やかな見せ場も少ない悲劇であるため発表会ではなかなか上演機会が無い、難しい作品であると捉えておりますが
開演し森が現れ、徐々にひんやりとした冷たさが肌を摩っていく状態に持っていかれたのも、
アルブレヒトが一層哀れに思えたり苦しみが同情を誘うのも、ウィリー達の集団結束力があってこそです。

カーテンコールには鈴木寿雄先生、麻矢先生も登場され、この状況下に無事開催でき胸を撫で下ろしたご様子が窺えました。
昨年の発表会終演後、すぐさま生徒さん達から次の発表会の日程や演目について質問攻めにあったと挨拶文で寿雄先生が振り返っていらっしゃり、
舞台が好きで仕方ない生徒さん達の願いが今年も叶って良かったと終演を見届けた観客の私まで安堵に浸ってしまいました。
それからプラネさんの大きな魅力の1つなのでしょう。プログラムの出演者欄に書かれた一言文を読んでいると、久々の復帰と記す大人の生徒さん達が何名かいらっしゃり
ふと再開したいと思い立ったとき、ブランクの期間問わず寛大に受け入れてくれるスタジオなのでしょう。目を通していて気持ちが和みました。

それにしてもカーテンコールにて渡邊(峻)さん、渡邊(拓)さん、中島さんが並び、華やいでいたのは間違いありませんが
2016年の渡邊(峻)さんの入団紹介におけるラーメン屋さんでの横並び写真を除けば、初台でもこのトリオとして収まった図は未だ目に触れていない気がいたします。
幻と化してしまった、渡邊(峻)さん振付で渡邊(拓)さん中島さんが披露する予定であった作品の上演まで、到来はしないままかもしれません。実現を願っております。



※以下、写真多数ございます。未だ8月の話なんぞ読む暇は無いとのお方は恐れ入ります、次回をお待ちください。 そうは言っても8月分、あと2回続きますが。



東北新幹線でいざ新白河へ。車両に描かれている絵が火の鳥にしか見えません。7月の東京バレエ団公演にて脳内置換を時折せずにいられずであったと回想。



新白河駅到着、しらかわんがお出迎え。昨年も思いましたが妹に似ております。この可愛らしさに加え心優しい、そして絵も得意な保育士ですから(自称アーティストらしい笑)
園児や保護者からも好かれるのは納得。私に一切似ず、外見内面共に良し芸術センスも抜群です。
実は報道取材班が勤務先の園を訪れたそうでこのご時世における保育の現場リポートがニュースで放送され、
録画もしていながら妹が映るたびに携帯電話でパシャパシャと写真を撮り続けていた私です。姉馬鹿発言を失礼いたしました。
新国立劇場バレエ団の『テーマとヴァリエーション』鑑賞が夢であったそうで
今年1月ニューイヤーバレエ土曜日公演、つまりは柴山さん渡邊さん主演日に来場し、大感激して帰途についていました。



新白河駅発のバス発車時刻までの間、駅にて購入しらかわん。今回のお供です。
白河駅の観光案内所で自転車を借り、今年こそは自転車でとら食堂へ。坂道も殆どなく、白河税務署やツルハドラッグが見えたらほぼ一本道のため分かりやすい。
30分程度で到着です。前回と異なり、整理券制となっていました。



呼ばれるまでだいぶ時間がありそうですから、その間に自転車で有賀醸造さんへ。
白河の酒蔵ガイドでも必ず目にし、昨年のプラネさんのプログラムの広告欄にも掲載されていましたので気になっておりました。
とら食堂から自転車で約45分で到着。酒粕クラッカーを購入し、再び自転車漕ぎ漕ぎとら食堂へ。
私は決して体力があるほうではなく、身体能力も運動神経も皆無でこれといって普段運動もしない性分なのですが
突如自転車を長時間漕いでも全く疲労感が出ず筋肉痛にもならず、脳が感知していない疑惑が益々浮上。
今回も有賀醸造へはやや遠いかと思ったものの、四国と本州を結び、5年前には大三島から因島あたりまでの区間を漕いだ
しまなみ海道横断に比較したら短距離であろうと、いくら白河の翌週に訪問する地域に近いとは言えだいぶ比較及び思考の規模がおかしい脳みそであろうと思っております。



1年ぶり、遂に来ました!今回は焼豚ワンタンラーメンです。喜びのあまり小さく拍手し迎えてしまいました。
まずはスープを1口、ああこれが味わいたかった、上品で澄み切った深みもある味を堪能です。
平打ちのコシある麺や脂身少ない焼豚、ボリュームのあるワンタンも口に入れるたびああ幸せ。焼豚おにぎりも味がよく染み込んでいてお気に入りでございます。
店内のテレビでは近江対下関国際の高校野球中継が流れ、1つ前の時間帯は福島の聖光学院と宮城の仙台育英の東北対決でしたからより注目が集まっていたかと思います。



途中雨に降られたり止んだり、持参したレインコートが役立ちました。白河チャリ子(リラの精のような名付けセンスが無き点はお許しを)にお礼を告げて返却。



昨年に続き、千駒酒造さんを見学。太く立派な梁や、杜氏さん達が泊まる場所の併設等の話も伺い、
重たい扉を開けると冷気が漂い、先人達から代々受け継がれ守られてき蔵だからこそ放っているのであろう神聖な空気をも肌を伝っていきました。



お待ちかねの試飲時間、今回は5種。昨年と同じ方が説明担当してくださり、親切丁寧。
そして一層打ち解け、白河に2年連続で来た経緯を話したところ喜んでくださり一安心いたしました。

左端は瓶やラベルが宇宙ロマンを誘うデザインで、宇宙で育った酵母を使っているとのこと。
https://senkoma.com/items/621eed7e4773a3765e9015ec

うつくしま夢酵母の2021年宇宙の旅についての詳細。
映画『2001年宇宙の旅』を知った頃、2001年には人類は容易に宇宙旅行が可能であろうと思い込んでおりましたが音楽も私も壮大な夢を描き過ぎました。
https://senkoma-shuzou.co.jp/campanella.html



だるまランドにも立ち寄り、撮影スポットにてしらかわん。


だるまさんと横並び。



白河は那須山系の水に恵まれた蕎麦の名所でもあり、ホテルすぐ近くのこちらへ。食べ終えたお侍さんがささっと出てきそうな外観です。



香ばしい噛み応えで美味しいお蕎麦をいただきました。地酒を青色が美しい薩摩切子でいただきます。(福島ですが文化においては鹿児島とも親しい間柄!?)
中学生の頃、会津出身の先生による薩摩批判がなかなか鋭く、今も尚恨めしさが募るとか。



晩酌。コッペリウスの気持ちが分からなくもない笑。



おはようございます。朝のスポーツ新聞、前日の東北勢対決が一面カラーで掲載です。
ただ選手達がひたむきに一生懸命頑張り、盛り上がっているのは分かるのですが
ここまで学校のスポーツが全国規模で放送され報道でもトップ扱いで発信される点に疑問もあり。
私自身吹奏楽部であった関係で夏の予選の応援演奏には出向いたり、社会人になってから関西での夏のバレエ鑑賞に合わせて
甲子園球場にて3回観戦したこともあるためあれやこれや言う資格もございませんが。



昨年と同じく晴天が祝ってくれる発表会当日です。白河駅のレトロな駅舎、保存が続きますように。



自転車で移動、前日も通った付近へ。青空の下ささっと市内を巡り、いつ何処で刀差したお侍さんが颯爽と出現しても違和感の無い城下町が広がっています。



大谷忠吉本店。隣には山田パン!



老舗の和菓子店玉家



通帳記入を済ませたお侍さんが颯爽と出てきそうな建築の白河信用金庫。



小峰城を門越しに。



小峰城正面。今回はこの場所で私も記念撮影いたしました。シャッターを押してくださったご通行中の方、ありがとうございました。



小峰城の階段。悪党退治するべく曲がった行いを好まぬお侍さんが走っている光景が浮かんでしまいます。



階段上るとこの風景。



新白河駅方面。爽やかな空と山々!



コミネス外観。



レストラン入口。しらかわんが迎えてくれます。



お昼は劇場内のレストランにて。昨年は終演後の食事でもお世話になりました。地元近藤農園さんのトマトを使ったトマトソースパスタとスパークリングワインで爽やかに乾杯。
https://www.gurutto-mazar.com/detail/index_179.html



レストランからふと外を眺めていたら、目の前の植え込みに松と百合が並んでいるではありませんか。
両方が似合うお方、つまり和と洋どちらも絵になるお方はなかなかいません。いや、この日この後にコミネスの舞台に現れました。



帰りの新白河駅。楽しい2日間をありがとうございました。松尾芭蕉の像の隣には、将来渡邊兄弟の像もきっと建てられることでしょう。




車内にて。1人静かに新白河東京ルート。 購入したお土産の一部で余韻に浸る新幹線車内。観光パンフレットに目を通すと、西郷のご当地キャラクターはニシゴーヌというフランス風なお名前らしい。
みきゃん、ぐんまちゃん、とシンプルな日本語名が占める中、珍しいと感じます。頭には新幹線のカチューシャ装着!
そうです、全国で唯一新幹線が停まる駅がある村でございます。
さらば白河西郷、また会う日まで!!



帰宅後、昨年里帰りに連れて行った白河だるまさん2体は今回東京でお留守番でしたので
お土産も携えてしらかわんが滞在を報告。白河にて凱旋舞台を鑑賞できた喜びを伝えています。

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