2022年7月19日火曜日

ガラにおける演目選定や人選の難しさ   ロイヤル・バレエ・ガラ【Bプログラム】7月17日(日)昼





7月17日(日)、ロイヤル・バレエ・ガラ  Bプログラム昼公演を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2022/royalballet/


※ロイヤルがお好きな方には大変申し訳ございませんが、重慶の火鍋並みに辛口となっているかと思います。 
私の鑑賞眼欠乏や無知識、及び好みがずれている点が原因でございますのでご了承ください。
尚、感想はそれぞれ大変短めですのでお急ぎの方もご安心ください。
  

                         
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
サラ・ラム、平野亮一

荘厳な空間にてクラシックの真髄を散りばめられた、しかも白い衣装で一切の誤魔化しが効かぬ作品で
女王と騎士のような並びを始め格式高さがあることが理想なのだが(私の中では)、理想を高く掲げ過ぎてしまったか今一つ心残り。
ラムの精細で静謐さを纏った踊りはまずまず、平野さんはもっと濃い個性が発揮できる作品のほうが向いていそうな気がいたします。


「不思議の国のアリス」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:ジョビー・タルボット
高田 茜、アレクサンダー・キャンベル

抜粋向きではない作品でしょう。劇中の殆どのパ・ド・ドゥや見せ場は前場面の余韻を持ち越しつつ始まって進行していく
区切りが曖昧な展開ですから抜粋では半端な開始感に首を傾げてしまい、作品選定ミスとしか思えず。
全幕では大規模な裁判での有罪判決を覆そうとジャックによる命懸けの訴え、そして周囲の心を突き動かすアリスとジャックの壮大な愛に包まれる場面ながら
いくら高田さんとキャンベルといった本家本元のダンサーが踊っても抜粋では伝わりにくい作品であろうと捉えております。


「アフター・ザ・レイン」

振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:アルヴォ・ペルト
マリアネラ・ヌニェス、リース・クラーク
ヴァイオリン:浜野考史  ピアノ:ケイト・シップウェイ

ヌニェスとクラークのパワフルな肉体美は堪能できたが、ちょいと長い演目。
ウィールドン作品でも、好みとそうでないものが私の中でははっきりと分かれると気づいたのは収穫かもしれません。


「精霊の踊り」
振付:フレデリック・アシュトン 
音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック
ウィリアム・ブレイスウェル

ブレイスウェルに淀みない柔らかさが活きる振付。ただ事情はあるにせよ白タイツ物と上半身裸体な組み合わせの演目が2本続くのはいかがなものか。


「ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー」

振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:エツィオ・ボッソ、アントニオ・ヴィヴァルディ
サラ・ラム、マルセリーノ・サンベ
ヴァイオリン:浜野考史  ピアノ:ロバート・クラーク

光沢のあるキラキラとした装飾を散らしたセクシーな衣装にびっくり。(英国ロイヤルが近年上演した現代作品に疎い点、お許しください)
振付が面白いか否かは別として、全編観てみたい作品です。


「ラプソディ」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ

フランチェスカ・ヘイワード、アレクサンダー・キャンベル
ピアノ:ロバート・クラーク、ケイト・シップウェイ

もう少し情感や色気が滲み出た姿や音楽と優しく溶け合う踊りが観たかったが、健康志向な趣が近年は好まれるのかもしれません。
お2人の良さが出づらい作品であったとしか思えず。


「ドン・キホーテ」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ルトヴィク・ミンクス
ヤスミン・ナグディ、セザール・コラレス

ナグディは3年前、知人の代わりに足を運んだバレエ団来日公演での代役キトリでしたので懐かしく鑑賞。色っぽい女性で奇を衒う風味はなく、エレガント。
コラレスはガラであるとはいえどもやや飛ばし気味な印象。超絶技巧は派手に次々と繰り出してはいましたが身体の軸がばらけてしまっていたように思えます。


「タイスの瞑想曲」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:ジュール・マスネ
サラ・ラム、平野亮一
ヴァイオリン:浜野考史  ピアノ:ロバート・クラーク

ロイヤルのダンサーが出演するガラではしばしば上演されていますが初見。(鑑賞不足をお許しください)
お2人とも茶色かオレンジ色の衣装で渋い東洋趣味な頭飾りや装いに見え、
ラムの伸びやかなライン、平野さんの盤石なサポートで音楽とともに滑らかなパ・ド・ドゥをご披露。


「インポッシブル・ヒューマン」(世界初演)
振付:アーサー・ピタ
音楽:ベヴ・リー・ハーリング
エドワード・ワトソン

暗闇であってもワトソンの身体がいたくしなやかに雄弁に語り、確か急遽出演?であったとは思えず、もっと観ていたかった作品です。


「マノン」より第1幕(寝室)のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ヤスミン・ナグディ、リース・クラーク

ナグディは成熟した色気たっぷりなマノン、クラークはプロフィール写真の印象よりも純朴な味もあり。髪は束ねた付け毛とおリボンもして欲しかったが。


「クローマ」
振付:ウェイン・マクレガー
音楽:ジョビー・タルボット、ジャック・ホワイトⅢ
編曲:ジョビー・タルボット オーケストレーション:クリストファー・オースティン
高田 茜、マルセリーノ・サンベ

高田さんとサンベの肉体が鬩ぎ合い、お2人が持つ身体能力の高さが存分に発揮された作品で私の中では今回の白眉。
重々しい緊迫感を帯びた嵐が押し寄せ吹き荒れるような音楽も耳に残りました。


「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
    フランチェスカ・ヘイワード、セザール・コラレス

バルコニー装置が簡素に見えたがあっただけ良し。情熱と勢いが交じわる若さの突っ走りは伝わったが、良家の子女に見えず。
私の偏った好みやヘイワードは初見、コラレスはロイヤルの中で踊る姿は初鑑賞であるためか
見慣れた作品にはなかなか結び付かず、何もかもが新鮮に映り過ぎてしまったのも原因かと思います。


「グラン・パ・クラシック」

振付:ヴィクトル・グゾフスキー
音楽:フランソワ・オーベール
マリアネラ・ヌニェス、ウィリアム・ブレイスウェル

女王然としたヌニェスの貫禄、見せ方も圧巻。ブレイスウェルはややひやりとする箇所もあれど、
丁寧で優美、そしてヌニェスにひたすらお仕えする姿は似合っていました。
女性は白いチュチュ、男性は上下が黒に近い紺色で一見シンフォニー・イン・Cにも見えてしまい
無背景でシャンデリアも無しでしたから華やぐデザインのほうが尚大トリに相応しい豪華さも表れたかと思います。

フィナーレはエチュードの終曲。気分が高揚していくこの曲、とても好きでもし男性ダンサーになったら踊ってみたい作品の1つでございます笑。
不満や要望もあれこれ募ったとは言えども基本1人何演目も兼任で少人数構成であっても様々な振付家作品、ロイヤルが誇る名作品からの抜粋も用意して
何よりまだまだ不安な状況下である最中、東京での公演が無事上演でき嬉々たる思いでおります。
来年は『ロミオとジュリエット』とミックス・プログラムな構成のガラ予定であるそうで、楽しみにお待ちしております。




帰り、渋谷駅マークシティすぐそばのビル5階のパブにて、晴れ間が射す夕刻のテラスに腰掛けロンドンエールで1人乾杯。
演目選定や配役には色々疑問あれど、無事来日しての開催ができて安堵でございます。



お店名物のフィッシュアンドチップス。大きさや一見春巻きな色合いに驚きましたが、衣が薄く、カリッと揚がっています。チップスは多め。
しかしエールを飲みながらビネガーとタルタルソース両方で味わっていると瞬く間に完食。
管理人、この翌々日が健康診断。アルコールと油分過剰摂取の結果が出ませんように。もう遅いか。

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