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2022年7月17日日曜日
ようやく分かった発表会定番パ・ド・ドゥの位置付け NBAバレエ団『ラ・フィユ・マル・ガルデ』 『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲』7月9日(土)夜
7月9日(土)夜、NBAバレエ団『ラ・フィユ・マル・ガルデ』 『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲』を観て参りました。
https://nbaballet.org/official/la_fille_mal_gardee/
『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲』
アクア:須谷まきこ 大森康正
レッド:浅井杏里 本岡直也
ブルー:福田真帆 三船元維
ピンク:山田茉子 柳島皇瑶
NBAで観るのはかれこれ3回目。序盤の重厚な曲が奏でられる中を左右から男女ペアのコール・ドが登場する光景が視界に入った途端に
NBAを観に来た気分に浸れる、私の中ではバレエ団の看板作品です。
ソリストはアクア、レッド、ブルー、ピンクと色分けされてながらも記憶違いでなければ音楽においてはピンク以外ははっきりとした区切りがなく
余韻を引き継ぎながら流れるように登場してくる展開も魅力。 中でもレッド浅井さんの色っぽく鋼の如き強い脚力に惚れ惚れし
福田さんの音楽を優しく包むような楚々とした風情にも癒されました。
静かな空気を一変させて潔く登場したピンク山田さんの高みに到達するヴァイオリンの鋭い響きと呼応するダイナミックな踊りや
技から技への繋ぎ目に至るまで巧みな素早さにも目が行き、今年入団で急遽高橋さんの代役を務めた柳島さんの伸びやかさも好感を持った次第。
会場に掲示されたキャスト変更の告知を確認せずに鑑賞に臨んだため
ピンクを予定していた高橋さんの不在を始めコール・ドにおいても相次ぐ変更に驚いたわけですが
一斉にリフトしながらの交差や背中をたっぷり見せる女性を男性が支える優美なポーズの並び、ソリストと調和しながらのフォーメーション描画もお手の物。
岩田さんや鈴木さんら中堅ベテラン陣が背中でがっちり頼もしく率いて引き締め、翻ると異なる配色が覗くチュチュも含め終始視界が麗しい色彩美で満たされました。
『ラ・フィユ・マル・ガルデ』
リーズ:野久保奈央
コーラス:新井悠汰
アラン:孝多佑月
シモーヌ:刑部星矢
ニジンスカ版は初鑑賞。ピンクを多用し、カラフルで可愛らしさ凝縮な絵本を開いたかのような美術にまず頬がとろり。
何より野久保さんのリーズがそれはそれはチャーミングで、ほんわか明朗な雰囲気を持ち且つ技術も芝居もきびきびこなして造形。
前半に着用していた、青色にしたら神戸屋レストラン風であろう薄緑色のギンガムチェックスカートな衣装もしっくりとくる姿でした。
新井さんコーラスの屈託のなさも魅力に映り、技術達者であってもこれ見よがし状態にならず
あくまで軸は盤石にしつつ柔らかで役の明るい息遣いが感じられる踊りが好印象。日程の都合上この回しか行けずであったとは言え
作品上演の発表時、コーラス観るなら新井さんを望んでおりましたので叶って嬉しうございます。
嵌りっぷりに驚かされたのは刑部さんのシモーヌ。予想以上にメイクは薄めで、糸車を回したりタンバリンを叩く仕草もエレガントでいたく綺麗なお母さん。
だからこそドタバタ慌てて娘を叱ったり、口論の果てに箒を袖へ向かって投げ飛ばしても(場内大笑い)嫌味に全くならず。
結婚を巡り衝突してはいても頬を触れ合わせるほど普段は仲睦まじい関係性をより打ち出していたためか、意地悪な風味も皆無。
リーズの監視も兼ねてシモーヌがタンバリンを叩きリーズが闊達に踊る、されど隙を見てリーズは脱出を図るもばれそうになって
シモーヌが一段と大袈裟に叩くタンバリン音にのせて何事もなかったかのように再び踊る流れのスリル濃縮な展開は手に汗を握るも笑いが零れてやまぬ見せ場でした。
大島さんと米津さんによる職人肌な技術の持ち主であるからこそ大胆で奇抜な踊りも浮き浮き楽しい気持ちにさせる
黄色いスカートや大きなおリボンも似合うゴシップガールズの物語先導や、自身は結婚成就とならなくても
リーズとコーラスの婚約を受け入れてお祝いの場ではお祭り番長な活躍で踊りでも盛り上げる孝多さんのアランも眩しく、全員で幸せを胸に抱く楽しい版でした。
そして今回の大きな収穫の1つ、発表会の大定番グラン・パ・ド・ドゥをようやく全幕の中で鑑賞できたこと。
恐らくは20回以上は観ていながら全幕ではいかにして組み込まれているか生涯知らず観ず終いになるかと思っていたものです。
リーズの出先で披露され、衣装もお召し替えで胸元は青いベルベットでスカートは金色も入る華やぐデザイン。
その上愛するコーラスと踊るのですから踊り方も少し澄ました少女な一面も見せ、首の角度や身体の傾け方も可愛らしいまさに恋する乙女になるのも納得で
コーダに群舞が加わっている点も初めて知り、新鮮味とひときわ祝福感も溢れました。弾むように幸せな感情が沸いてくる音楽は
とても好んでおり発表会のプログラムを開きこのパ・ド・ドゥが目に留まると喜んでおりましたが
野久保さんの浮遊力が長く高くも音楽の枠にぴたりと嵌め込む踊り方やスカートを摘みながら左右へ移動し刻むステップも大きく見せ
コーダでの新井さんが描く高らかで余裕たっぷり、幸も帯びた跳躍から繰り出す放物線も見事な輪郭で
栄光、ではなく結婚への架け橋かと見紛う披露。(作品中ではまだまだ試練が続きますが)
抜粋での上演が多いパ・ド・ドゥの全幕の中での位置付けを知る大切さに触れた思いでおります。
前日には日本全国に衝撃が走った事件の発生や私の利用地域では帰宅ラッシュ時における事故により電車の混乱もあり迂回しての遅い自宅到着となり
心身が休まらぬまま鑑賞に臨んだNBAのダブルビル。ブルッフの麗しさ、ラ・フィユの可愛らしい幸福に心癒された夜となりました。
帰りはこちらのビストロへ。何処か素朴で可愛らしい外観。
まずは白ワインで乾杯。
一生懸命バターを捏ねるリーズを眺めていたら、バターをたっぷりつけたパンが食べたくなりましたのでパンとバターの名称メニューを注文。
板状の入れ物の窪みにバターが詰まっています。胡桃入りのキャロットラペ、香ばしいパンとバターと共にワインが進みます。
チーズ入りミニオムレツ。ミニにしては十分な大きさで、シンプルだからこそ卵の滑らかさが舌に響きました。
次回は名物のココット料理やデザート盛り合わせも注文してみようと思っております。
1人でも入り易く(今回は運良く1席空いていたところに案内いただきましたが予約したほうが良さそう)良いお店をまた見つけました。
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