バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
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2021年12月22日水曜日
地元の娯楽性盛りだくさんな肥前のクリスマス グランドバレエ『くるみ割り人形』12月19日(日)《佐賀市》
12月19日(日)、佐賀市にて野村一樹さん演出振付のグランドバレエ『くるみ割り人形』を観て参りました。人生初、佐賀県上陸です。
https://bpk-inc-kyushu.amebaownd.com/pages/5202781/page_202108191045
金平糖の精は地元出身の中村祥子さん。2幕冒頭からの登場でしたがピンクのチュチュを着けての立ち姿だけでも芳しく女王然とし、地元凱旋ともあって大拍手。
長身であっても大味には決してならぬ細やかで全神経に行き届いた雅やかで美しい踊りを久々に鑑賞でき、幸福なひとときでした。
カバリエールの遅沢佑介さんは中村さんがすっかり安心して身を委ねるのも納得なしっかりとしたサポートとノーブルな魅力を備え
お2人にとって一区切りの公演となった昨秋のKバレエカンパニー『海賊』千秋楽以来全幕古典にて抜群のパートナーシップを堪能です。
マリーは地元のむらバレエの方で、軽やかでいたく可愛らしく、技術も盤石。両親との睦まじいやりとりや
ドロッセルマイヤーから贈られたくるみ割り人形を受け取るときも戸惑いつつも心惹かれていく様子を丁寧に描いていた印象です。
またあとにも述べますが、音楽が所々くるみ以外の曲も挿入され、そのうち1曲はエイフマン版『アンナ・カレーニナ』での1幕にてアンナが不倫に走り始め
苦悩し狂いを帯びて行く場面で流れるフランチェスカ・ダ・リミの一部分を2幕幕開けにて使用。
(マンフレッドだったか何であったか思い出すのに時間を要し、帰京してから分かった)
大きな時計が映し出されていましたので、1幕の幕開けに描かれた出発場面からスタイリッシュな妖しさで引き込んでくださった
ヴィスラフ・デュデックさんのドロッセルマイヤーと時空を旅するマリーに潜む恐怖心や不安を描写していたと思われ
叫び声の如き仰々しい音楽にも負けぬ表現を駆使しただ可愛いメルヘンな冒険ではない不穏な空気感をも覆わせていたのはお見事です。
くるみ割り人形の池本祥真さんは瞬発力の強さと柔らかさをバランス良く放ち、キレキレな戦闘は胸躍る展開。
花のワルツではふわりとした味を出してマリーを導いていました。
マリーの父ことMr.シュタルバウムの山本隆之さんはマリーだけでなく他の子供達にも対等に語りかけていく優しいお父さん。
実は『くるみ割り人形』にて様々な役で何度も拝見している山本さんによるマリーのお父さんは初見で
素直で愛らしく賢いマリーを娘に持つのも説得力がある知性滲み出る男性。
佐賀県のバレエ界草分けの存在でいらっしゃる野村理子さんによるグランドマザーの朗らかな笑みもチャーミングでした。
面白い演出であったのは人形劇のシーンをマリーの両親も仮面を付けて参加し、シュタルバウム夫妻の華麗なる年末かくし芸大会な趣きで進行。
ねずみ王やねずみ役も登場し、その後の展開を想起させるユニークな演出でした。
驚いた振付であったのは、マリーと王子の出会いが短めで所謂出会いのパ・ド・ドゥの盛り上がるあたりに差し掛かると登場したのは雪の女王と雪の王。
このお2人が目一杯音楽を使ってのパ・ド・ドゥへと切り替わり雪の群舞へ繋いでいきました。
何よりも雪の王に山本さん。この役も初見で、全身白の美しさも健在。まさかこの場面で拝見できるとは
恐ろしいほどに幸運が続く2021年、12月半ばに入ってもまだ終わらずです。(来年の我が運気が心配になるばかり笑)
地元の様々なバレエ教室からの出演者達による纏まり、一体感も忘れられず、パーティーの場面では子供達もメイドさん達もシュタルバウム夫妻とのやりとりが実に生き生き。
しかもやり過ぎず、ごく自然に会話がぱっと生じている印象を抱かせ、クリスマスの幸せなウキウキ感や
人形劇を観ているときのちょっとした緊張感も手に取るように伝わって、日頃の訓練や細かな指導が窺えました。
そして粉雪の精も仕上がりが大変上出来で、所属団体のみならず背丈も皆異なる条件ながら
スピーディーな移動や起き上がってから次のステップに入るまでの小気味良さといい呼吸がよく合い、観ていて爽快感を与えられた雪のワルツでした。
バレエのみならず、チームのご投稿によればバレエのレッスンを日頃から受けていらっしゃる佐賀を拠点に活動するアクロバットパフォーマンスチームVIVOも出演し
まず戦闘場面にて、バレエチームと入れ替わりつつヒーローショーのような激しいアクションを披露。効果音もばっちり入り最初は仰天でしたが
スピーディー且つ長過ぎない締まりある披露でしたので意外にも娯楽性膨らむ演出と思えたのでした。
他にも中国、ロシアで活躍し特にロシアでは前方でバレエチーム、後方では宮廷衣装を着た方々がマットを敷いて整えたところへ
縄跳びやバク宙?をも駆使して猛スピードで大技連発させ同時進行。前代未聞なトレパックでしたが笑
バレエとアクロバット共に音楽にぴたりと嵌ってノリも良く、最後は両チーム仲良く潔いポーズで締め括り。
気づけば楽しんでいた自身がおりました。尚、アクロバットの振付は岡清介さんとのことです。
終盤、マリーが夢から覚めるかと思う寸前には佐賀市ご出身のヴォーカリストで、はなわさんとも共演をなさっている
Shinoeさんによる聖なる声としてきよしこの夜が披露され少しの間だけ時が止まり
歌い終えると終曲が流れ、全員集合した光景を紗幕越し(確か)にクララが見つめる中で幕が静かに下りました。
地元佐賀で活動する複数の団体や分野の方々が集結しての出演で、しかもこの状況下において纏め上げるのは大変の一言では表せぬ道のりであったと察します。
一見珍しい要素も加わった展開であっても鑑賞後は愉悦感に浸ってしまう演出振付を手掛けられた野村さんのお力に頭が下がる思いです。
人生初上陸の佐賀県にて、県内外双方の魅力がたっぷり詰まった楽しいくるみを鑑賞できました。
ロビーに飾られたクリスマスツリーと、県内に工房を構えるtottocakeさんのお菓子で作られたくるみ割り人形のカラフルで可愛らしいキャラクター達が
観客を迎えてくれました。細かな部分まで見事な作りです。
※以下色々写真ございます。お時間のある方はどうぞご覧ください。年末の多忙な時期、そんな時間ないけんとの方は恐れ入ります。
佐賀県を代表するイベントにて何機も浮遊する乗り物が登場する都内のくるみにおける
速報でもないひとまず年内25日まであたりを纏めた感想の更新をお待ちください。
さて、いよいよ人生初の佐賀県へ。佐賀県といえば、中村祥子さんとはなわである管理人。ガイドブックですら佐賀県の本はこれまで開いたこともなく
本で目にした佐賀の記事は、10年以上前に雑誌『クララ』にてご子息を出産されたばかりの頃の中村さんの連載であったかと記憶。
端午の節句の頃で故郷にのぼる鯉のぼりや柏餅の写真もあったかと思います。
はなわさんの代表曲で耳にしたオレンジの看板の吉田屋はあるのか、○○さんち前、との名のバス停は存在するのか。そんな素朴な疑問も持ちつついざ肥前へ。
羽田空港からは一旦バスラウンジへ集合し、バスで乗り場へ移動。LCC以外では初体験です。
ANAでの機内における楽しみの1つ、備え付け機器の音楽鑑賞。好みに合う曲に巡り合う率が高い気がしており、今年の札幌帰りの火の鳥は嬉しかった思い出の一つです。
今回はタイムリーなことに葦笛の踊りもございました。
ただ、離陸時は壮大な曲が好みですので、ボロディンの韃靼人の踊りに決定。
飛行中は別のカテゴリーに収録のハープ版『紅の豚』。気分『風の谷のナウシカ』や『となりのトトロ』、『美女と野獣』等ジブリやディズニーの曲が多数。
絵本でも音楽でも、『美女と野獣』遭遇率が最近高し。チケット発券によく出向く店舗でもしばしば流れております。
佐賀県到着!県の名物達が出迎えてくれました。はなわさんの代表曲を脳内再生しながら、いざバスへ。
この日は休館でした、さがレトロ館。明治20年に建てられた旧佐賀県警察部庁舎とのこと。
長崎街道にて、旧牛島家。
佐賀県立美術館、博物館の中にある地元の食材を使ったメニューが豊富なカフェのテラスにて佐賀県の名物シシリアンライス。
材料はお店によってまちまちで、こちらでは豚肉を甘辛く味付けし、お芋のチップも散らして華やか。バス停も目の前にあるため安心です。
名称の由来は長崎のトルコライスに倣って隣のシリアにした説もあるようです。
一瞬シシリエンヌも過ぎりましたが、それはフォーレの音楽であると思っていたところ、プログラムによれば今回のくるみにはフォーレの曲も使用されていたようです。
そして『ジュエルズ』、初台の団にていつか上演待ち侘びております。
佐賀駅すぐ隣にも県の食材を使った料理のカフェがあり、佐賀の苺がたっぷりのったタルトいただきます。紅茶は嬉野産。
一粒が大きく光沢も綺麗でルビーを彷彿です。土台はずっしり香ばしく、塗り方は薄めであっても豊潤な味で大満足なカスタードクリームも美味しうございました。
ああ『ジュエルズ』、ではなくそれよりも初台の2月公演演目一部に変更が生じ、アラジンの財宝場面を再演。
配役、早う発表を。7月生まれの我が誕生石であるルビー役にて官能坊主が拝見できますように。
ここが肥前であることを忘れ去ったような妄想を失礼、どうやらこの日だったか誕生石の種類を追加との報道が。
身に付ける習慣は生涯縁がなさそうですので気にならぬが、宝石業界にとっては売り上げ促進に期待が持てるのかもしれません。
さて旅先での鑑賞後のお楽しみ、地酒や地元の特産物を味わいます。佐賀の地酒肥前杜氏と透き通ったイカのお刺身。お酒が進みます。この他何種類もの地酒、いただきました。
佐賀駅から電車で15分程度、最寄駅からは徒歩約15分で着くため意外にも交通の便が良い吉野ヶ里遺跡。途中に多く道しるべが立てられています。
数日前からなのか考古学の研究発表の会場となっていたようで、往路にて会った大学の先生らしき方から聴講に来た学生かと声をかけられました。
学問に勤しむ若者に見えたのだろうか。そうであれば嬉しいがいかんせん駅から遺跡の門まで徒歩移動する人が
この先生と私の2人しかおらず、見かけはどうあれ学生の可能性高しと思われたのでしょう。一般観光客と申し上げたところ驚きのご反応でした。
先生曰く、前日まで夜にはライトアップが催され、大混雑だったとのこと。この日の朝は撤去作業があちこちで行われていました。
平日月曜日ともあってか入場した一般客は午前9時半前の時点ではもしや私1人だったかと推察。
物見櫓、貸切で登り放題。卑弥呼の気分です。道すがら会うスタッフの方々がとても丁寧で穏やかで、純朴なお人柄が伝わり心和むひとときとなりました。
さて佐賀駅に戻り、バスで空港へ。電車では空港へ向かう方法が恐らくはなさそうで
またバスも飛行機の発着時間に合わせた回数に絞っているのか逃したらえらいこっちゃです。
そういえば行きも帰りも運転手さんの接し方がいたく優しく、場所は全く異なれど福島県白河市の方々に通ずるものがある気がいたしました。
のどかな田園風景、まさにはなわさんの『佐賀県』にて描かれていた通りです。
前日たっぷり飲食を満喫したため朝は食物がお腹に入らず、ホテル宿泊客対象の1杯までは無料サービスのコスタコーヒーを飲んだっきりでしたので
(マシンから好きなメニューを選べる方式で、カプチーノだったか、滑らかな舌触りで味はほんのり苦くもまろやか。目覚めにちょうど良い量でした)
佐賀空港内にある、滑走路を眺めながら食事ができるお店にて伊万里牛のローストビーフと別売りの佐賀県米ご飯で昼食。
しっかりとした噛み応えと味わいあるローストビーフ、シャキシャキ彩りの良いサラダにふっくらご飯、また佐賀に来たくなる空港昼食でした。
この後に搭乗する飛行機が見え、一緒に写り込み幸運です。
18日(土)夜は東京、19日(日)は佐賀で、21日(火)以降は再び東京。佐賀でも東京でもくるみ三昧です。
出発放送を待っていると、団体で利用の佐賀北高校女子バスケットボール部の方々への搭乗アナウンス時に全国大会出場おめでとうございますと祝福。
出発ロビーに居合わせた乗客達からも大きな拍手が沸き起こりました。
私も我が事のように嬉しく清々しい気分になり、拍手。東京で開催のウィンターカップに出場のようで、明日23日開幕です!
佐賀の一大イベントであるバルーンフェスタにちなんで、搭乗通路ガラスに描かれた色鮮やかな気球達が見送ってくれました。
翌日つまりが21日(火)以降は気球が登場するくるみに再び浸かって参ります。
それにしても2021年の管理人は上昇気流に乗りっぱなしであった。気球くるみも来年にかけて7回は鑑賞いたしますので、来年一気に運気下降となりませんように。
短期間でしたが人生初の佐賀滞在、満喫いたしました。さらば佐賀県また会う日まで!!
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2 件のコメント:
山本さんの純白の雪の王、観たかったですーーー!
aruyaranaiyara様
こんばんは!
山本さんの久々の白いお姿、風格や気品も勿論申し分なく、あの音楽でたっぷり踊ってくださいました!美しうございました!!
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