晴天が続くゴールデンウィーク、皆様いかがお過ごしでしょうか。
昨年を振り返れば初台『シンデレラ』初日鑑賞後東海道新幹線で大阪入りして地下鉄中央線深江橋駅の魚と日本酒が美味しい「和たなべ屋」にて1人打ち上げ
(店名と同じ名字で方の入るナベの字の店主に管理人、チラシ見せて強調宣伝笑。店主より、シュッとしたええ顔立ちや男前やとお褒めいただき満悦)
翌日同じ沿線の地域にて年間1回の貴重な有酸素運動を無事終えて当日出発の夜行バスで帰京し家で4時間休息後また初台『シンデレラ』、と
バレエと移動三昧が幻であったかのように今年は自宅で粛々と連休を過ごしております。
ただ仕事内容の都合上自宅勤務が不可能なため出勤は緊急事態宣言発令以前と変わらず、平日週1回は自宅待機日が割り振られた以外は暦通り。
極端な運動不足や曜日感覚の狂いとは無縁ながら、危険と言われつつも何処でもドアが開発されない限り避けては通れぬ電車通勤では
乗客同士立ち座り問わず自発的に距離間隔維持に努めており引き続き気をつけながら過ごして参りたいと思っております。
さて本題バレエの話に移ります。前々回マクシモワの記事で触れました、1992年の赤の広場野外ガラ・コンサート映像の紹介です。
そもそも最大の目当てはニーナ・アナニアシヴィリで、この映像収録のレーザーディスクを入手した23年前当時はまだポケットベル流通の時代であり
(所有はしておりませんでしたが)インターネットも使いこなせず動画サイトも存在せず映像の市販も少なく
アナニアシヴィリ収録映像は辛うじて揃っていたほうで、日本で開催されたデビュー10周年ガラ、ペルミ・バレエ客演の『白鳥の湖』『ドン・キホーテ』
そしてエッセンシャル・バレエぐらいであったかと記憶しております。いずれも収録は1990年代初頭の頃です。
当初はペルミ・バレエ『ドン・キホーテ』を検討いたしましたがキーロフ・バレエの英国ロイヤル・オペラハウス公演も収録され(故ダイアナ元妃のお姿も)
赤の広場のほうにはマクシモワ、プリセツカヤも出演者に名を連ねていたため
旧ソ連含むロシアバレエに注目してきた我が好みに合致すると思いエッセンシャルに決めたのでした。
さて男性ダンサー出演者に関しては気を留めずでしたのでガラの大トリ、アナニアシヴィリの『ドン・キホーテ』出番となってびっくり、
バジル役のパートナーは冒頭の『眠れる森の美女』と同じくアレクセイ・ファジェーチェフかと思いきや、パリ・オペラ座(当時)のカデル・ベラルビだったのです。
その映像がこちらでございます。
当時から現在に至る疑問が、アナニアシヴィリとベラルビが最初から組む予定であったのか。
ソ連崩壊前、恐らくは英国ロイヤル移籍直前のイレク・ムハメドフがパリ・オペラ座ヌレエフ版『眠れる森の美女』に客演し
エリザベット・プラテルと共演を果たした写真記事は読んでおり西側東側の往来、ボリショイとパリ・オペラ座の交流が極めて珍しいことでは無かったとは思うものの
野外ガラ冒頭の『眠れる森の美女』ではアナニアシヴィリとファジェーチェフと組んで長年のボリショイ看板ペアとして登場していましたし
何しろソ連崩壊後間もないモスクワの赤の広場、言わば国を象徴する場所での初の野外ガラ・コンサートでの大トリ
しかもマクシモワやプリセツカヤ、ワシリエフやルジマトフ(十八番の海賊を披露)といった
バレエ史に名を刻むロシアのバレエ団のスターたちの後に出演するわけですから、今思い返しても不思議でございます。
またベラルビは『ドン・キホーテ』数作品前にはパリ・オペラ座のカロル・アルボと組んで『ジゼル』2幕パ・ド・ドゥを披露していて
余程の事情が無い限り2作品への出演、ましてや地元ボリショイの大スターアナニアシヴィリと組んで
初演がボリショイ劇場である演目を踊る大トリを務めるなんぞ考えにくい。お2人の共通点は強いて言うなら
アナニアシヴィリはジョージア出身でベラルビは確かトルコ系で、ルーツが近いぐらいかと思います。
実は解説書には『ドン・キホーテ』の欄にベラルビではなくファジェーチェフの名前が記され、執筆者の誤記か定かではありませんが
当初からベラルビで決定だったかそれとも何らかの事情で変更になったのか、未だ謎に包まれたままです。
初めて映像を鑑賞したときから抱いた印象としてベラルビさん、結婚式のバジルはともかく
仮に全幕上演であったとして、1、2幕の床屋バジルが全く想像できずであったこと。
とにもかくにも色男過ぎましていかにも庶民なる床屋さんにはならず、下町からは妙に浮き立ったお洒落なサロンを開業していると勝手に妄想。
鋏や剃刀の手捌きにいちいち色っぽさが宿り、客も落ち着かないであろうと要らぬ心配をしてしまうほどでした。
ましてや狂言自殺場面における、アザラシ或いはアシカ、オットセイの如く身体を起き上がらせて笑いを誘う箇所も
周りの人々、特に女性陣はうっとりするあまり見守るどころではない事態となるでしょう。
また収録の1992年当時バジルの経験があったかは分かりかねますが、(エスパーダは1989年のダンスマガジンで確認済)
もし経験済みであったとしてもパリ・オペラ座はヌレエフ版を採用していますからグラン・パ・ド・ドゥの振付もだいぶ異なりますし、
この映像を観ても明らかにボリショイスタイルには馴染んでいるとは言い難くいたくエレガント(褒め言葉)。
ロシアらしい黒で整えられたバジルの衣装を着用したベラルビの姿は貴重かもしれません。
続きまして、本日ばかりは言いたい放題をお許しください。
さてボリショイとパリ・オペラ座の異色スターペアによるモスクワ赤の広場ガラの大トリ『ドン・キホーテ』披露から28年、
映像の初鑑賞から23年の年月が過ぎた2020年。管理人、ゴールデンウィーク含む5月初旬は旅券持たず電車1本で6回バルセロナへ行く予定でございました。
ベラルビの愛弟子が日本での全幕バジルデビューを飾る予定であった本日5月3日は大本命の1日となるはずで
昨夏のバレエ・アステラスでのグラン・パ・ド・ドゥ鑑賞以来心待ちにしていた日でしたから嗚呼無念。
師匠と違い、1幕から素朴で慎ましい床屋さんがたいそう似合いそうで客に対し、来店時と退店時には両手をぴたりと腿に付けて深々とお辞儀して出迎え見送る
礼儀正し過ぎる接客が容易に想像できます。キトリの父ロレンツォに結婚の許し懇願の際は立て膝ではなく
正座をして額と両手両膝床につけて頭を下げ続けていそうですが(向田邦子ドラマの寺内貫太郎一家のよう…笑)
しかし弾けるときはとことんお調子者になると思われ対比も楽しみでしたし
バレエですから出現するわけはないものの、赤青白の三色サインポールが自然と見えてきそうです笑。
全幕バジルならばぴっちり七三分けでも床屋さんですから髪型観察では丸印を掲げよう、エスパーダ登板もあったならば
昨年バレエ場面にて披露された藤原歌劇団『椿姫』でのオールバックにシニヨンで纏め、揉み上げの長い視線ギラギラな古風なる闘牛士復活なるかと
そんなこんな勝手な楽しい妄想を繰り返してきただけに、今回登板予定であった
新国立劇場バレエ団史上最多の男性主役自前で6人抜擢の日替わりバジルはこのまま変えず、いつの日かの上演を心待ちにしております。
長くなりましたが、本日はトゥールーズ時代にヌレエフ版『ドン・キホーテ』3幕を踊られたときの渡邊さんの映像を眺めながら
『白鳥の湖』オディール/ジークフリート/ロットバルトのパ・ド・トロワにも注目しつつスペインワインを程々に飲み干したいと考えております。
ヌレエフを讃える公演だったようで他に『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥ、『ラ・バヤデール』影の王国、
『ロミオとジュリエット』パ・ド・ドゥも含まれたダイジェスト映像です。
流れている音楽はバヤデールの影の王国コーダ部分ですが、トゥールーズには映像編集の名手が存在するのかどの配信映像においても
違う作品或いは同じ作品中の違う箇所であっても音楽が違和感なく嵌っていて見事な構成でございます。バジル、衣装がまた色鮮やかでお洒落!
2 件のコメント:
ホントだったら今ごろは・・と哀しみの午後ですね。
本日のキャストでしたらさぞかし華やかな舞台が繰り広げられたことでしょうに、無念でございます。
代わりに?つけてくださった映像ですが、アナニアシヴィリとベラルビのドン・キホーテは知りませんでした。
これ見て驚きました、ベラルビさんの踊りのスタイルは愛弟子渡邊さんにものすごーく引き継がれているのですね。
アダージオのときの男性の位置どりとか、ソロのパとパのつなぎとか「似てる!」と思いましたです。
それにベラルビさんかっこいー 当時どこかの記事にパリオペ一の美貌と書かれていましたが納得です。
ご紹介くださってありがとうございます。
キャピトルのハイライトのほうは見てました、ヌレエフ版のバジルなんですよね。
あとロットバルトもレアというかあまり強そうに見えないですが貴重です(*´艸`*)
新国のドン・キホーテ、リベンジを期待したいですがいっそヌレエフ版に挑戦してみても面白いかもしれませんね。
さくらもち様
こんにちは。昔や少し前の映像掘り起こしシリーズと化しております記事もお読みいただきありがとうございました。
(ここ数日も連日感謝でございます。ありがとうございます!)
そうですよね、予定通りであったら今頃は…向けようがない寂しさがこみ上げてきますよね。
きっと大お祭りなドンキであったに違いありません。
早速ご覧いただきありがとうございます!
そう思いますよね、確実に引き継がれていますよね。サポートもソロも、徹底して仕込まれたのだろうと思います。
ベラルビさん、結婚式の場面とは言え下町の床屋にはまず見えません笑。
そうです、美貌過ぎます。この容貌でレスコー踊られたら、主役も霞んでしまいそうですよね。
キャピトルの映像はさくらもちさんのほうがお詳しく、いつも教えてくださり感謝は尽きません。
スルタンが余りに強烈で威厳や凄みがあった分、ロットバルトは意外にも衣装に着せられている感がほんの少しありますが笑
現在もしこういった役を務められたらまた全然違うでしょうし、渡邊さんの新たな魅力を拝見したい思いでおります。
(ああバジル…)
新国立での王道ボリショイ版は以前は古色蒼然として好みではなかったのですが笑
他のバレエ団の変に手を加えた版を観たりすると、新国立採用版の良さが倍増しに感じられる今日この頃です。
ヌレエフ版挑戦も歓迎です!男性のソロが多いですがそこは新国立男子軍が気を吐いて踊ってくださると思いますし
野営地での怪しいアダージオも観てみたくなります。
いずれにしても、早期のリベンジ公演を望みたいところです!
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