
9月27日(土)、さいたま芸術劇場にてNBAバレエ団 GRACE&SPEED 2025昼公演を観て参りました。
https://nbaballet.org/official/graceandspeed2025/
前日のゲネの様子です!
リハーサルを背景に、久保監督や岩田さんの解説あり。
ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第一番
振付:クラーク・ディペット
音楽:マックス・ブルッフ
アクア:須谷まきこ 井手累滋
レッド:市原晴菜 森田維央
ブルー:山田佳歩 刑部星矢
ピンク:勅使河原綾乃 新井悠汰
主要役4組はそれぞれ異なる色味の衣装でコール・ドは女性が黄色と金を合わせた色調で
男性はオレンジ。カラフルお洒落なクラシカルで色鮮やかな夜会を眺める気分になる、キラリと華やぐ作品です。
人数構成はバランシン作品と似ているかもしれませんが、振付はより音楽とじっくり溶け合って身を委ねながら大らかに舞う味わいで、
観ている分にはシャキシャキした慌ただしさよりも全体がカーブを描いていくような優雅さを堪能できる気がいたします。
コール・ドに至るまで全て男女ペア構成で、リフトしながらの大交差もあったりと男性のサポート技量を、しかも皆で揃える力を試される作品でしょう。
音楽の高揚ともぴたりと合いながらの交差、隊列変化もお手の物でした。
主要ペアではとりわけブルーの山田さん刑部さんの落ち着いた品格、アダージョをエレガントに踊りこなす姿や
ピンク勅使河原さん新井さんの、ヴァイオリンの鋭い音色や超絶技巧がそのまま乗り移ったかのように難度の頂点へ到達したと思わせてからの
更に高みへ乗り出しての回転やポーズから拡張してのバランスも1ミリも危なげなく寧ろ楽しそう。
ピンクからコールドへのフィナーレ橋渡しもスムーズな流れで、この場面の音楽が公演3日前からずっと脳内旋回していたほど、
初めて観たときから最も気持ちが高まる曲でございます。再演重ねて欲しい作品です。
Licht
振付:岩田雅女
鬼頭楓 山田佳歩 北爪弘史
新井悠汰 井手累滋 内村和真 小林治晃 佐藤史哉 多田遥
入団前は長年大阪のKバレエスタジオで研鑽を積まれる中でコンテンポラリーの巨匠矢上恵子さんに師事され 主要メンバーとして
数々の矢上作品を踊ってこられたキャリアをお持ちの岩田さんらしいコンテンポラリーの大作。
様々な光を用いての踊りとの展開が面白く、男性群舞の爆速コンテの迫力や瞬く間の大連続変化も見どころな作品が誕生しました。
2階から観ると舞台の奥行きも用いてのフォーメーション変化や照明効果も体感です。
若葉のように生き生きした女性2人がやがて男性達と力強く疾走したり変わってしっとり悲しみを帯びた場面もあり、展開が変化に富んでいてわくわくとする心持ちで鑑賞。
男性陣のパートは恐ろしくハードで、振付者の岩田さん本人が全部手本示してやり遂げたかと思うと岩田さん、そして応える男性ダンサー達のテクニックの力量やスタミナに再度天晴れ。
大作の誕生に天国で恵子先生もきっと喜んでいはります!
NBA名物でもある、開演前の久保監督による解説、通称クボトーーク!!にて岩田さんはブルッフのチュチュ衣装のまんま引っ張り出されて笑、
難しく考えず感じたままに観て欲しいとスピーチ。ですからこちらとしてもあれこれあらすじを細かく考えずに鑑賞し、
若者達が持つ喜びや葛藤、苦しみに光が差し込んだり引っ込んだりしながら前進して行く、そんなちょこっと切なくも真っ直ぐ前向きな後味で終わる作品でした。
8年前に大阪から上埼してスタジオカンパニーから始めて、研修生公演でオディールやキトリに抜擢され入団後は着実に昇格してソリストまで上がり、
今や自身の振付作品を本公演で上演されるまでになって昨年には常任委員会振付家としてアーティスティックスタッフに就任。
ダンサー兼振付家の岩田さんの活躍から益々目が離せません。
ケルツ
振付:ライラー・ヨーク
音楽:アイルランド民謡
アイリッシュダンスのスタイルでハイスピードなパワーで刻み、全員が強靭な脚腰でないと務まらない作品。
真っ直ぐな背筋と激しく語る脚の動き双方が音楽と噛み合い、NBAのレパートリーではブルッフと並んで一番好きかもしれません。
映画「タイタニック』に似た旋律もあり、映画そのものは特別好みではなかったもののサウンドトラックを購入するほど
劇中音楽には魅せられていたため、時折懐かしさもこみ上げ楽しく鑑賞いたしました。
主軸のグリーンの新井さんがぶっ飛んだ魔物感があり、力みは微塵もなくされどエネルギッシュに駆け回り、
床に倒れ込んでから立ち上がるバランス力や体幹も常人ではないレベル。しかもいたく楽しそう。グリーンの世界遺産かと思う水準です。
レッド寺尾さん大森さんのパワフルで鮮やかな支配力や、ブラウン渡辺さん三船さんのしっとり何処か翳のある踊り方も引き込まれました。
メンズダンスの衣装は最初観たときは目を疑いましたが笑、儀式に臨む厳かな空気感を纏う重量感ある踊りの連続で集中して凝視してしまう場面です。
最後は急速なフィナーレへと繋がり、変わりゆくフォーメーションも滑らかな軌跡。そして興奮が登りつめたところでぴたっと終了いたしました。
看板作品であろうブルッフとケルツに加え、岩田さんの大作な新作はダンスと光の混ざり合いが何重にも響き合ってエネルギッシュに展開する流れに釘付け。
3種のエネルギーが炸裂したトリプル・ビルでした。全作品上演を重ね続けて欲しいと願っております。

ブルッフキャスト

ブルッフキャスト

Lichtキャスト

ケルツキャスト

カーテンコールは撮影可。撮影技術の低さはお許しください。岩田さん〜

良い笑顔です!この日はブルッフとケルツ両作品にご出演!!

呼び込みます!

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客席へ!

閉まります

シェイクスピアな劇場周り。

行きの埼京線から、戸田公園あたり。

白石加代子さん

勝村政信さん

阿部寛さん

松坂桃李さん

帰りは埼玉に敬意を表し、日高屋で乾杯です。
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