
9月23日(火祝)、東京バレエ団「M」を観て参りました。三島由紀夫生誕100年の節目における上演です。
https://www.nbs.or.jp/stages/2025/m/
※キャスト等はNBSホームページより
振付/美術・衣裳コンセプト:モーリス・ベジャール 音楽構成:黛 敏郎
音楽:黛 敏郎、C.ドビュッシー、J.シュトラウスⅡ世、E.サティ、R.ワーグナー、L.ポトラ/D.オリヴィエリ
少年:岩崎巧見
Ⅰ-イチ:柄本 弾
Ⅱ-ニ:宮川新大
Ⅲ-サン:生方隆之介
Ⅳ-シ(死):池本祥真
聖セバスチャン:大塚 卓
女:伝田陽美
海上の月:長谷川琴音
射手:南江祐生
船乗り:安村圭太
【禁色】
オレンジ:三雲友里加
ローズ:二瓶加奈子
ヴァイオレット:中島映理子
【鹿鳴館】
円舞曲:足立真里亜、加藤くるみ、中沢恵理子
後藤健太朗、加古貴也、山仁 尚、陶山 湘
貴顕淑女:大坪優花、大久保心愛、神野日菜、ドイルセラ小春
本岡直也、髙橋隼世、青木恵吾
ソファのカップル: 政本絵美、中嶋智哉
海:中川美雪、涌田美紀、工 桃子、安西くるみ、長岡佑奈、
橋谷美香、瓜生遥花、本村明日香、鈴木香厘、富田紗永、
池戸詩織、前川琴音、居川愛梨、相澤 圭、栗芝みなみ、
富田翔子、池内絢音、岸本 花、山下寿理、福田天音、
五十嵐玲奈、重松 宙、田島幸来、吉川文菜、ドイルセラ小春
男:岡崎隼也、井福俊太郎、鳥海 創、二山治雄、海田一成、
後藤健太朗、加古貴也、山下湧吾、南江祐生、山仁 尚、
本岡直也、孝多佑月、芹澤 創、小泉陽大、宮村啓斗、
髙橋隼世、山下諒太朗、陶山 湘、津守貴嵩、青木恵吾
ピアニスト:菊池洋子
5年前に初鑑賞したときは内容をいたく難しく感じてしまい頭に入って来ず、誠に失礼な話、後半に差し掛かってくると睡魔に襲われかけた記憶もあり。
休憩なしの1時間40分上演も、終盤は忍耐時間になってしまったものです。
しかし今回、三島由紀夫作品知識は5年前と変わらずそう詳しくはないものの随分と展開が早く感じた印象を持ちました。
特に惹きつけられたのが池本さんのシ。要所をビシッと締める踊りの頑丈な太さといい、繰り出すポーズの強さといい、
三島少年と歩みながらの先導力を始め、場面の繋ぎ目もダレぬよう静寂感と緊迫感の双方を放ちながらの統率も見事。
場面が変わる前に黒板に「死」の字を1画ずつ書いて行く姿も強く尊く、どうしても黒板に渾身の文字書きというと
金八先生やGTOの鬼塚先生を思い出してしまいがちな当方も(お若い世代の皆様、ご自身でお調べください)一筆入魂な板書姿にじっと見入るしかありませんでした。
展開や文学作品名を追うだけで手一杯であった前回と異なり、鹿鳴館にしても金閣寺にしてもより肩の力を抜きながら文学作品の世界観に身を委ねて鑑賞。
鹿鳴館でのサティのワルツにのせた舞踏会、渋みと優雅さが合わさった味わいを堪能です。
後半は男性群舞が続き、こちらは前回最たる印象を残しましたが今回は単なる鉢巻群舞ではなく人生を辿る要素の続きとしてすんなりと入ってきましたし
「ザ・カブキ』と似た軽然と雄々しい迫力も持ちながらも✕字の隊列でタンデュを繰り返したりと男性群舞版『エチュード』をも観た気分。
実はクラシックの基礎力をとことん試される振付とこのたび判明いたしました。しかも鉢巻上半身裸の状態で。
順番して女性達が踊る海の様子も、エメラルドグリーンの衣装の効果もあってか、動きは静かでも柔らかな明るさで魅了。
2012年に足を運んだ、『潮騒』の映画版ロケ地にもなった三重県の神島にて目にした風光明媚な景色や寄せては返す波の音の優しい響きをも思い出す光景でした。
最後、自決の場面は赤いものが大きな花のように放射状に飛び散る演出で、随分と綺麗に描いた儀式に見えたものの
市ヶ谷での悲劇を生々しい描写でするわけにもいかないでしょうし、辿ってきた文学作品の世界観や人生の葛藤も含めて
綺麗に摘まんでふくよかに描き出して時折適度に妖しく展開させていく美意識に富んだ演出を貫いていると思った次第です。
内容を全て理解できたかどうか聞かれたらまだ程遠いところにおりますが、それでも前回公演時よりは
格段に面白味を感じつつ休憩なしの1時間40分も瞬く間に過ぎ去っていきました。

解説

解説

2012年、四日市市での鑑賞前日に鳥羽市へ行き、鳥羽水族館見学のあとに『潮騒』の舞台である神島へ行きました。
鳥羽港から定期船が何便か出ています。監獄までは辿り着けませんでしたが、風光明媚な景色を堪能。
何度か映画化されていて、撮影で山口百恵さんや三浦友和さんも訪れた場所、と思うと不思議な感覚でした。
定期船はかなり激しく揺れまして、激しさは巌流島の次に大きかったかもしれません。神島での、寄せては返す波の音は優しく響きました。

お茶

お昼。2種の焼き魚定食いただきます。

渋い柄でしんみりと。
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