2025年10月15日水曜日

矢掛町の素敵な音楽空間で貝川さんと愉快な後輩たち 新国立劇場バレエ団 プリマ たちによるBallet Concert 9月28日(日)《岡山県小田郡矢掛町》






9月28日(日)、岡山県小田郡矢掛町で新国立劇場バレエ団 プリマたちによるBallet Concertを観て参りました。
岡山県での鑑賞は、山本隆之さんや福田圭吾さんが客演なさった2007年倉敷市での椙元園子バレエスタジオ『白鳥の湖』全幕以来実に18年ぶりでございます。
https://bunka.yakage-kyouiku.info/


新国立劇場バレエ団に長年在籍されたのち、在籍中から振付家としても活躍され、研修所での指導や外部での作品振付のほか
昨年には初の全幕作品『人魚姫』を新国立の夏の子どもバレエにて上演する等各方面にて活躍の場を広げていらっしゃる貝川鐵夫さんによる司会進行で上演。
前半は音楽のコンサートで弦楽四重奏やピアノ五重奏もあれば、後半はバレエ団からは6名が出演して弦楽四重奏やピアノ五重奏に編曲された演奏に合わせてのパ・ド・ドゥお披露目等
音楽とバレエを肩肘張らずに楽しむコンサートでございました。恐らくは選曲やプログラム構成も貝川さんを中心に企画されていったと思われます。
普段なかなか耳にする機会がない曲目もあり、意味合いや聴きどころの解説、そし身体表現を用いながらの説明も面白く分かりやすく、学び盛りだくさんでした。

第一部の1曲目はウォーロック作曲の『カプリオール組曲』。弦楽四重奏での演奏でバスダンス、パヴァーヌ、トルディオン、
ブランル、ピエ・アン・レール、マタシャン(ソードダンス)からなる構成で貝川さんが解説時にはお風呂のダンス、ではない低いバスのバスダンスと言って笑いが起こったり、
孔雀の仕草をしての説明では長い腕が優雅に語ってぐっと引き込む表現で楽しませてくださいました。
元々背がお高い上にスラリとした見栄えで黒いシンプルなスーツの着こなしも素敵でひょっとしたら王子にも多々配役されていた現役時代の頃よりも
振付や演出で駆け回っていらっしゃる現在のお姿のほうが明るく生き生きとなさっているのではと思うほど、
場をパッとエレガントな空気で満たしてくださる貝川さんです。
チェロとピアノで演奏された、ベートーヴェンの唯一のバレエ音楽と今回知った『プロメテウスの創造物」では
人間が初めて遭遇する空気や光景を目にしての衝動だったか、全身を使いながら情熱的に表現なさってご説明。

バレエで馴染み深い曲目もあり、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット』より騎士たちの踊りでは、家柄を誇示するキャピュレット家の威厳ある振る舞いを
胸を張りながら舞ってひと踊りなさり、空気のピリッとした変化に観客も息を呑んでいる様子でした。
弦楽四重奏版での演奏でしたが楽器それぞれから強靭な音色を響かせていて物足りない印象はなく、
続く『シンデレラ」よりワルツでのピアノ五重奏版ではピアノが摩訶不思議な旋律を引っ張りつつ他の楽器も揺らめく妖しい空気感を力強く演奏され、新鮮ながら違和感のない編曲でした。
そういえば、嘗てはシンデレラ王子も踊られていた貝川さん。寺島まゆみさんシンデレラとすらっと綺麗に紡ぐペアで今もよく覚えております。
第一部最後を飾った「眠りの森の美女』よりワルツもピアノ五重奏で祝福感たっぷりなパワーで奏でられ、花々が咲き誇るような幸せな雰囲気が残る中で前半を締め括りました。
知らなかったが浦安市の夢の国のゲートで流れているそうです。眠りのアトラクションはないはずだが、やはり名曲だから園側も流したくなるのか
ちょうど初めて地上波でディズニー映画の『眠れる森の美女』が金曜ロードショーにて放送されてから間もない時期のこの公演でしたので色々考えが過ぎりました。

第二部は舞台上でのバレエのパフォーマンスも加わってのプログラムで、レッスンパフォーマンスでは普段は90分ほどあるレッスン内容を身体を使いながら大まかに説明しつつ
今回は「9分」に短縮しましたと貝川さんの頑張りに笑いと拍手が沸く中で開始。バッハの『羊は安らかに草を食み』『目覚めよと呼ぶ声あり』がともに弦楽四重奏による演奏に合わせて
前半のバーからセンターは廣川みくりさん、センターからは渡邊拓朗さんも加わってご披露。廣川さんの舞台姿は久々に目にした気がいたしますが、
バーのときから情感がすっと全身に走っていて見入ってしまうソフトな艶に感激。
ドガの絵に出てきそうな提灯袖の白いふわっとしたワンピースチュチュな格好もお似合いでした。
センターからは拓朗さんも登場され、上は白いブラウスで下は黒タイツのシンプルな格好ながら目を惹く迫力あり。
そして、続けて衣装はそのままで貝川さん版『真夏の夜の夢』オベロンとタイターニアのパ・ド・ドゥのレクチャーを交えたリハーサル風の披露へ。
2021年に全編をバレエナウさんの発表会で観ており、不満があると寝転がって駄々をこねてパック(福田圭吾さん)に甘えていた
変わり者妖精王な渡邊(峻)さんがユーモアに富んだ王様で笑いが止まらなかった記憶が今もございます笑。
今回は貝川さんによる物語解説のあとに、実際に組みながらいくつかのパートを踊られ、どんな情景か、またオベロンやタイターニアの心情がどう振付に含まれているかを語りつつ
時折指摘したり要求をなさるとその要求をスポンジのように吸い取っては途端に改善して披露なさっていて
例えばスライディングされながらタイターニアが床に文字をなぞるように書く場面での詩を書くように、との指摘が加わるとよりロマンティックな優雅さに溢れる腕使いになったり、
オベロンは威厳のある王ある旨を説明すると拓朗さんの貫禄ある見せ方や佇まいも強まって、
また夫婦ですから同じ方向を向いて歩いて、との声かけに対してより足並みを綺麗に揃えながらの歩き方になったりと
観客からも思わず納得の溜息が零れ、いかにしてパドドゥを作り上げていくか過程に皆興味津々。
振付の意味合いや細かなニュアンスも学べて思わず観客同士で頷き合って感心したりと集中して見学です。

そして本番ではピアノ五重奏版のノクターンにのせて、チャーミングにキラッと輝くタイターニアが起き上がり、
オベロンに受け止められて音楽と戯れて流れるようなパ・ド・ドゥを構築。
バレエ団からの出演者の中ではプリンシパルが4人もいる中、今夏に退団された廣川さんとコール・ドの1つ上のファーストアーティストの拓朗さんの2人が
ここまで魅せてくださるとは正直驚きで、全編観たわけではないながら夫婦が和解できて良かったとしみじみ余韻に浸ってしまいました。

お次はクラシックバレエの王道なグラン・パ・ド・ドゥ2本。まずは「エスメラルダ』より木村優里さんと渡邊峻郁さん。
私が拝見していないだけかもしれませんが、恐らくは渡邊さんは初挑戦と思われます。盤石以上のパートナーシップを常時見せてくださるお2人なだけあって
こちらの期待値も高まってしまったのか珍しく慌ただしい空気感が漂っていたように思えてしまいましたが、
真っ赤な薔薇の花飾りがよく似合う木村さんの艶やかな色気や香り高いヒロインと渡邊さんの純情な青年ぶりを目にでき感激。
そうでした、真夏のパドドゥにて舞台隅に置かれたままになっていた薔薇の花を渡邊さんが颯爽と回収して袖へスローインだったか。
音楽の中でさらりと、しかし舞台進行の安全第一を考えてのご判断に拍手です。
とりわけ男性ヴァリエーションは数ある中でも最たる地味で、カウント取りづらい音程と感じる曲調ながら(失礼)
こなすステップの数は多くややこしい振付ですが渡邊さんの手にかかるとスルスルと滑らかで尊く厚みある踊りとなるわけですから平伏しました。
跳び過ぎて飛距離がのび過ぎて、舞台面積が広いとは言い難い作りであったため隣の郵便局まで飛んでいきそうな勢いもご愛嬌笑。

2本目は「ドン・キホーテ」、柴山紗帆さん速水渉悟さんの登場です。『ジゼル』ロンドン公演にて、東京公演以上に大進化した印象があったペアなだけに
王道なパ・ド・ドゥながら少々ヒヤヒヤしてしまった箇所が見受けられたのは意外でもう少し打ち上げ花火な勢いもあっても良かったようにも思えましたが
端正な技術が光る柴山さんとお祭り隊長な速水さんのハッピーなパ・ド・ドゥで締め括りです。
『エスメラルダ』『ドン・キホーテ』ともにピアノ五重奏版での演奏で、抜粋して演奏会等でまず披露されない曲目ですから
聴き慣れないとは思えず寧ろ新鮮で面白い、5台の楽器で上手いこと本来のオーケストラ版を網羅していて聴き入ってしまいました。
フィナーレはくるみ割り人形第2幕の大団円曲で、後半は横一列になって各ペア男性が女性をピルエットサポートを披露し、
その流れで貝川さんもスーツのまま回転して皆で一緒にジャンプもご披露。身軽でさらっとこなして沸かせてくださいました。

概要を知ったときはまず矢掛町の名称も位置も分からず、井原鉄道と聞いても思い浮かばず、どんな催しかと楽しみに参りましたが
現地のスタッフの方々の張り切りぶりや、地元の政治関係者からの祝電もあって町をあげての大行事として実現した催しと推察。
矢掛は気さくな方が多いのか、入口外で誘導なさっていた方が道挟んだ反対側の方から何のイベントかと聞かれて
バレエ!バレーボール?!いや、踊るバレエ!と互いにバランスポーズを色々取りながら会話なさっていたり、その光景を眺めていた私に対しても
前日練習をご覧になって一流バレエダンサーの人たちの凄さに興奮した旨をひしひしと話してくださったり。矢掛町の方々のお人柄にも惹かれた鑑賞となりました。
初めて聴くツウ好みであろう曲も貝川さんの言葉と身体両方を用いての楽しい解説付きで聴くとより面白さが増して
バレエもレクチャー付きであったり、オーケストラとは違った編成による生演奏で鑑賞できたのも新鮮な喜びでございました。
小編成グループであっても中身は濃縮な企画で、是非継続を願っております。当方にとっては18年ぶり2回目の岡山県での鑑賞、良き記念となりました。





おはようございます。岡山駅到着!路面電車工事のためだったか、桃太郎像は移設して置かれています。



桃太郎達としらかわん。僕も犬です!今日は地元福島に所縁あるご兄弟の岡山での共演も楽しみな様子です。



桃太郎線に乗車。毎年の慣れで愛媛方面のしおかぜに乗らぬように。しおかぜは翌週!



車内。ゆったり。



鮮やかな車両。



吉備津神社へ。入口。



階段、朝から脚力稼動です。



長く果てなく続く回廊。朝9時前に着いたためか静寂に包まれ、雅楽の音色と水車の音くらいしか聞こえず。



弓道場。今も使用されています。古めかしい作りで身が引き締まりそうな場所です。
(弓道、袴といい射る姿といい今回のエスメ男性、アーチェリーよりしっくり似合いそうです)



桃太郎関連の絵もあり。鬼を素手で退治?!



消火栓も桃太郎。



電車で笠岡駅へ。満員な電車でしたが途中の倉敷駅で9割が下車。大観光地です。ガイドブックにも、1番ページ割いていた地域です。



笠岡駅あたりは海に近く、カブトガニが名物らしい。バス停近くに人魚姫な建物。
今回の出演ダンサー、6人中5人が貝川さん版人魚姫で主演、拓朗さんは発表会での上演時に魔女の手下だったか、タコの格好で出演なさっていたはず。
濃い見た目がキングダムの王騎将軍にそっくりと、先輩ダンサーが表現なさっていたかと笑。



バスで矢掛へ向かいます。野を越え田畑を越えて内陸へ。



矢掛駅!



駅から徒歩約10分、栄えている宿場町へ。侍イタリアン!?お侍さん、お蕎麦よりパスタがお好みでしょうか。



こちらにもお侍さん。店名がロマンチック。ご飯よりパンがお好み⁈



メロンパンラスク購入。サクサクと軽やかな甘さで美味しい。



お昼は交流館へ。



矢掛ランチプレート。地元の食材たっぷり、栄養価高いプレートです。カボチャの煮付けの甘酸っぱさ、スープのよく濾した滑らかさが特に好みでした。



t2Lab.にて、ファイヴ・ダンゴ!セットメニューもありますが、好きなお団子個別選択も可能です。矢掛産食材もいくつかには含まれています。
粒あん玉、ゆず味噌玉、黒ごま玉、マスカット玉、紅茶玉でございます。個数は勿論5個で!
大概の串団子は4個、だんご三兄弟流行っていた頃は3個。5個にするには個別購入が最適です、恐らく。



会場にて、鞆の浦の絵。昨年当日に東京新大阪間の新幹線が止まり、悪天候をすり抜けながら夜行バスで大阪経由して山陽新幹線でたどり着いた、
渡邊(峻)さんや速水さんも出演された広島県福山市のガラを思い出します。
福山駅からバスで行ける場所にある、崖の上のポニョの舞台とされる鞆の浦にも足を運び、風光明媚な港景色でした。



町の説明



町の説明



矢掛駅からの眺め。



乗り換えの清音駅にて、ホームに改札!矢掛から清音までは交通系カード使用不可でした。



岡山駅到着、隣にアンパンマン列車!四国行きです。



友人達を新幹線改札口で見送り、バスの時間までまだ暫くあるため帰りは鉄板焼店の田田へ。岡山駅近くです。



岡山ビールで乾杯!!



名物、桃太郎が見守るトマトお好み焼き、通称トマオコ!岡山産の甘いトマトに熱が加わり、果肉の食感も、ソースのようにとろりとした部分どちらも美味しい。
チーズも入っていますがトマト効果でさっぱりいただけます!



バスに乗る前に日帰り入浴できる大浴場へ。貝川さんの名言のバスダンス、思い出してサウナで笑ってしまいました。名古屋に続きサウナは頑張って3分が限界笑。
サウナ大愛好家からは、もっと長く入っていられるように「我慢しなさい!」と言われるか笑笑。



桃太郎達も挨拶。1週間後10/5には経由地としてはまた来ます岡山!



西洋式に変わった桃太郎と鬼の決闘。お菓子のパッケージデザインです。ライモンダ2幕の音楽が自ずと流れます。しかも百合の紋章も描画!
友人達を新幹線改札前で見送ったあと、暫くは引き続きお土産売り場散策です。
何度か来ている岡山駅ですが、いつも経由地として立ち寄っていたためお土産を買うのは初。
通り過ぎるだけでも売り場面積の広大さに、そして桃太郎関連の豊富さには目を見張っておりましたので、面白いものがないかいざ冒険です。
結果、ありました!少し隠れ気味な棚にあり、あらま皆洋服姿で、桃太郎はヨーロッパ中世期の太く長い剣を所持。
しかし時代は違うが桃太郎が天草四郎に見えなくもない笑。
どうしても、渡邊(峻)さんと速水さんの共演並びを目にすると2021年6月のライモンダ平日白昼の決闘が思い起こされ、
お二方が2024年1月に出演された山口県防府市のガラにおいては翌日県内の巌流島へ出向きお姿重ねて想像。
今回は桃太郎関連で何かあればと願っていたら、吉備津神社の絵は素手による果たし合いであれまあ笑。
もう少し趣き違うものはないか、と思っていたらお土産売り場にて見つけた次第でございます。
桃太郎、子供バレエでやったら楽しくできそう、鬼達はスパルタクスみたいにパワフル群舞にしたらどうかと友人が提案までしていたほど。
雉達以外にも道中で出会う生き物達はいくらでも作れそう等々、竜宮の頃にちらっと話題になりました笑。
それにしても、和洋折衷なお侍さんの絵に出会えた矢掛町や岡山市でございました。
さらば岡山、また1週間後!!



前回岡山県内で鑑賞した舞台はこちら。2007年倉敷市。山本さん、圭吾さん、お若い!!まだ西日本特有の暑さに慣れておらず、
舞台は大満喫いたしましたが倉敷に来たのに観光も名物飲食も全くせず、夜にバスを待つ間に眺めた今は無き倉敷チボリ公園の夜景は覚えております。

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