2025年9月22日月曜日

新国立劇場バレエ団『ジゼル』ロンドン公演 滞在期間2025年7月22日~28日(月) 第5回:滞在4日目7/25編 小野絢子さん&福岡雄大さん主演 憧れのロンドン塔に友人の提案でクリームティーとサンドイッチ




さて大変お待たせいたしました。新国立劇場バレエ団『ジゼル』ロンドンロイヤルオペラハウス公演。2日目主演は小野絢子さん福岡雄大さんです。
もう来年2月公演のバレエ・コフレの一部キャストも発表されていて、ロンドンジゼルはだいぶ遠のいていらっしゃる方が大半かと存じます。
バレエチャンネル阿部さや子さんが書かれたような美しいまとまりは、当方のレポート皆無でございます。ミルタの如く懲罰を下さないお優しい方は宜しければお読みください。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/giselle_london25/

https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_029712.html



ジゼル:小野絢子
アルブレヒト:福岡雄大
ヒラリオン:木下嘉人
ミルタ:根岸祐衣
ウィルフリード:小柴富久修
ベルタ:中田実里
クールランド公:中家正博
バチルド:内田美聡
ペザント・パ・ド・ドウ:奥田花純 上中佑樹
モイナ:東真帆
ズルマ:直塚美穂
バッカスの少年:DIMA DOBRYNIN-LAIT(ロイヤルバレエスクール生徒さん)



小野さんのジゼルは登場時から小鳥のさえずりがそのまま聞こえてそうなステップで、歯切れ良い足取りもまた恋する幸せが表れ伝わってきます。
ちょっと遊び人ぽい福岡さんアルブレヒトからの全てを前向きに受け取っては何倍にも喜びを露わに返すやりとりから舞台そして客席の温度もみるみると上昇していた印象です。
ヴァリエーションでは音楽をふっくらと吸い込むようにして歌う序盤のポーズにも周りの観客の集中を更に惹きつけていたようで感嘆の声がこぼれてきたほど。
すぐさま抜け殻絶望状態にはならず、冷静さを保ちつつまだ生きたいアルブレヒトを言じたいと言わんばかりに花占いを再現していく姿も胸を突きました。
ウィリーになってからも無の中にまだ意思が残り香っているように思え、アルブレヒトへの身の寄せ方や仕草から
許しを超えた、まだ愛情がある気持ちをそっと伝えていたとも捉えております。
ミルタに対しても決然としていて、弱さ皆無の怖いもの知らずな新米ウィリーでございました。

福岡さんはちょこっと遊びな風味が覗くアルブレヒトで、何をしても愛らしく朗らかに返してくれるジゼルの行動をニマニマ見守っていた印象。
余裕ありそうに見せて花占いでのジゼル落ち込みにはビクッとしてしまう人間味も魅力的に映り、憎めないお貴族さまです。
花占いはこの日も観客の笑いが絶好調で、くすぐったい恋のやり取りに気恥ずかしくなる感情がそのまま笑いとして表れている、
観客からの愛情表現と思っております。(前向きに捉える管理人笑)

そんなお貴族さま坊っちゃまにお仕えしつつ、アルブレヒトの身元がばれぬよう準備に抜かりなく勤しんでいり小柴さんの振る舞いもナチュラルでいて説得力があり
狩猟の進行管理も万全に、村へやって来ると少々偉ぶって(褒め言葉)貴族ご一行入場を村人達にアピールしてはクールランド公達のアテンドもこなしたり
収穫祭の最中には思わず感情内に芽生えるのであろう早う帰りたい欲が募る中弛み気分も覗いて、
滞りなく業務を終えたいお仕事モードには同情すら覚えました。常時神経擦り減らしてアンテナを張っていねばならぬおつとめ、お疲れ様と労いたいばかり。
登場時の浮ついたアルブレヒトに対して、一線を越えてはならないと口を酸っぱくして忠告するお姿も、あとを思うと泣けてくるひと幕です。

ビシッとロイヤルオペラハウスの空間を引き締めてくださった大貢献者の1人は木下さんのヒラリオン。
今回ロンドン公演では3キャスト各々個性も魅力もある方々が配されましたが木下さんはマイムにしても踊りにしても
極細分化しての伝え方で、間の取り方も自然に見えても計算し尽くされた上手さ。序盤の遮りもただ嫉妬したり情熱的にジゼルに訴えるのではなく、
何がどういけないのかを素早い中にもゆったりと言葉を連ねて整えて伝えているように見えました。
真骨頂はアルブレヒトの身元を暴く場面で、瞬時に緊迫感を広げてジゼルに問いかけ、アルブレヒトには不自然にへりくだり、
そして村人達にも呼びかけて注目を寄せつつアルブレヒトの剣を持ってくる、この流れは今思い出しても身がぎゅっと締まります。
時間軸戻って、アルブレヒト家宅捜索からの証拠物品つまり剣の発見時も、家から出て歩いてきて角笛を取って持ってきてからの紋章との答え合わせも
音楽とぴたりと連動していて隙がなく微塵も冗長にならず。例えるならば上質な山椒をぴりっと場面に効かせていて
だからこそ観客の集中も、まだまだ続く収穫祭への盛り上がりもより高まり、起伏の描写が一層鮮やかになっていました。
花輪を持っての丘の上に立ち尽くす2幕冒頭の憂愁帯びての佇まいも迫るものがあり。
死に際踊りもシャープにされど切迫感がひしひしとこぼれ落ちる舞いで、沼へのぶっ飛びも前日に続き観客は声をあげて大喜びです笑。
(絶命場面、そんなに楽しいのだろうか。こちらももう笑うしかなかったが笑)

バチルドの内田さんは素直で優しそうだった東京公演よりも少し傲慢な令嬢になっていた印象で、ジゼルへもツンとした顔で交わしたりとクールな美しさで魅了。
対する小野さんがはにかみながらも生き生きと反応していくためバランスも見応えありました。
貴族達の上から目線な偉ぶる仕草も、数あるジゼルの中でも最重装備な厚手の衣装もオペラハウスで観ても見事に絵になっていて
冷たさをも醸す連なりはこの日の公演前に訪れたロンドン塔の重厚で闇深い空間にも絵として成立しそうな見栄えです。
ペザントは初組み合わせと思われますが、優しげな職人奥田さんとキレキレに楽しそうな上中さんの化学反応が面白く映って堪能。

2幕パ・ド・ドゥでの小野さん福岡さんの滑らかなパートナーリングも光り、阿吽の呼吸を超越しているのでしょう。
本当はミリ単位で調整しているのでしょうが何もせずともふわっとフォルムが描き出されているように見え、
何度も組んでいるからこその一段と上を行きながら踊るお2人でございました。

そしてひょっとしたら主役以上に!?大歓声を浴びていたのはウィリー達。
一段落し勢揃いしてシャキンとする場において既に終演かと見紛う歓声で、次に登場するアルブレヒトが出づらくなるのは必須な盛況ぶり。
フィギュアスケートの大会で、優勝候補が会心の滑りをした直後の新入りな選手の気持ちがよく分かる事態でしたが
そこは福岡さん。歓声の余韻残る跡地をそっと、堂々と登場して空気を変える存在感はさすがございました。
3列でぞろぞろとヒラリオンを追いかけ追い詰めていく、統制のある柔らかな美から放出されるウィリー達の不気味な攻撃性にも観客、大興奮!
もし日本でしたら、ミルタ&ウィリ坂24のコンサートかいと批判すらありそうな2幕の観劇反応でしたが例え悲劇であっても、
感情が高揚したら歓声も上げて笑いも声にするのがロンドンスタイルなのでしょうきっと笑。

時間戻って1幕村人達の交差や出入りが激しいながらもスムーズな足運びや緩急の自在な踊り方、上体を目一杯豊かに使っての表現や周りにいるときの芝居も目を惹き
吉田監督が4月の東京公演時にマイム等にもかなり力を入れたとのお言葉が思い起こされます。
新国立劇場で観たときは雄弁になり過ぎているかとも一見思ったものの
ロイヤルオペラハウスで観てみると内装の壮麗さにも負けず、観客の好反応も呼んでちょうど良い加減です。
今年は国内ではジゼル上演のバレエ団が多く、1幕を見比べると新国立の版が最たる運動量しかも男性も出番多き振付で、
油断するとゴチャゴチャとした印象になりかねない版ですが賑わいや活気を見せつつも交通整理は安全安心。
前日に左隣の男性の観客が褒めていらした、全体のムーヴメントがスムーズで良い!との賛辞が脳裏を過ぎりました。

カーテンコールは温度高めで喝采も鳴り響き、一安心の2日目公演でございます。
小野さん福岡さんにとっては英国で舞台を踏まれるのはバーミンガムでのアラジン、パゴダの王子に続いての登場ですが
バレエ団としての英国公演での主演は格別な思いで臨まれたはず。カーテンコールでは何度もコールドのダンサー達にも目を配りながら前進して挨拶なさるお姿も目に刻まれております。

さて、翌日は昼夜公演。昼は柴山さん速水さん、夜は初日に続いて米沢さん井澤さん主演です。
どんな公演になるか、レポートはまた後日載せて参ります。更新だいぶ遅くなりそうですが、
日付だけ見れば当方の節目に発売されたあみんの代表曲の歌詞以上に待機力に自信ある方はお待ちください。 お若い方はご自身でお調べください。




キャスト表



座席入口。案内表示を見ながらでないと辿り着けません。



客席見渡す。本日は上階端から。



晴れやかな小野さんと福岡さん。当方の撮影、下手写真ばかりですみません。綺麗な写りのものは各自検索願います。



お花にびっくり木下さん。ジゼルもアルブレヒトも、ウィリー達も喜びに満ちたお顔で讃えていらっしゃいました。
振られてしまったジゼルにも、敵対するアルブレヒトにも、ミルタやウィリー達にも、ヒラリオンの誠実な心は伝わっています!


※以下、観光写真含めて30枚ほど続きます。

朝のオペラハウス。爽やか。



コヴェントガーデン。まだ人はまばら。



マーケット反対側へ向かう途中に通ったときに見かけた時計。



さあ、念願の2階建てバス乗ります。オイスターカードはコヴェントガーデン駅にて購入、日本語案内もあります。
しらかわんもミャクミャクさんもワクワク!2階からの眺めに興奮止まらず。



バス内から



移動して、ロンドン精通者な友人が企画してくれた、クリームティーを味わいにフォートナム&メイソンへ。



可愛らしいカラフルな内装!皆でティータイムです。



クリームティーセット!私がクリームティーに関心があることを覚えていてくださり、おかげでしっとりサクサク美味しいスコーンを味わえました。量もちょうどよし!
バッキンガム宮殿近くで今ひとつなスコーンを食べてしまったと話してくれていた同僚も、美味しいクリームティーに恵まれたことを喜んでくれました!

この後は友人が渡英のたびに訪れているサンドイッチ屋さんに案内していただき、優しい店主や店員さんの接客、絵本に出てきそうな可愛らしい外観にも感激。
そして友人の英語はスマートで綺麗!



サンドイッチ購入後、私は観光へ。タワーヒル駅にジゼルポスターございました!



必ず行きたいと計画に入れていたロンドン塔。曇り空のときに来たかったのです。午後から曇りがちになってきたため向かいました。
元々ヨーロッパのお城や教会建築には幼少期の頃からありましたが、最近は新国が白鳥の湖はダーク路線、ジゼル2幕はゴシック風味で、
どちらも英国スタッフ結集プロダクション。ロンドン塔へも行きたくなったわけです。



堅固でダークな建造物。



陰鬱な霊気を放っています。もう一つ、行きたかった理由は千秋楽アルブレヒトさまのイメージが自ずとロンドン塔の翳りにも重なりまして
黒いマント装着の騎士姿で佇まれたらどんなに美しいだろうかとも想像。



チケット購入場所。王族達の視線からして既に暗黒な空気感あります笑。カラス達も敷地内では飼育されています。
からぴょん(初台に乗り入れている京王線の千歳烏山駅近くの地域のキャラクターです)と違って愛くるしくは見えずでしたが、大事にされています。



入口案内。



目の前はタワーブリッジやで!ミャクミャクさん、万博内にある英国館も楽しいでしょうが、実際に英国へ来た歓喜を誇らしく表現しています。



ベンチがあちこちにあり、タワーブリッジ眺めながらサンドイッチいただきます!カニ入りの具材で、パンも具もたっぷり!
夜に公演鑑賞しますので今のうちにしっかり食事しておきましょう!友人がリピーターになるのも納得!



さて入場。おどろおどろしい雰囲気満点。中世の世界へ足を踏み入れます。血みどろな事件も絶えず起こっていた場所でございます。



一見学校の校舎のような建物。衛兵も見張っています。



中央に聳えるホワイトタワー。王家の王冠や宝石が展示。内部エリアは撮影は禁止です。



ガシッと太い塔。



絵本でもよく見る、謎めいた扉。



窓辺から光。石造りが重厚です。



暖炉ある部屋。



広間。回廊のような造りで、帰国後に白鳥の湖3幕やドラゴンクエスト観ると、まさにこの世界観がそのまま。



ステンドグラス。



タワーブリッジが見えます。



騎士、正面から。今にも猛突進してきそうな荒ぶりに、全身プレート鎧がギラギラと大迫力。



騎士、斜め左から。ついじっと眺めてしまいます。



騎士、右斜めから。デザインとしてはもう少し前の時代の鎖帷子と一部分プレートの組み合わせが好きですが、重量感や耐久性はこちらの方がありそうです。



馬達。



礼拝堂と思わしき場所。



ドラゴン!少し前にディズニーの眠れる森の美女が放送されましたが、ロンドン塔ドラゴンは今にも襲いかかってきそうな恐怖感でございます。



横からドラゴン。攻撃性強そう、全身が武装仕様です汗。
このドラゴンに襲われそうになったら、助けに来てくれる勇猛な騎士は果たしているでしょうか。
いません。頑張って自力脱出を試みましょう





四角い塔。



ゲーム好きな方々からしたらドラクエな世界観に興奮するかと思います!



迫力ある塔。ここに幽閉されたら、助けに来てくれる勇猛な騎士は果たしているでしょうか。
いません。頑張って自力脱出を試みましょう汗。まさにリアル脱出ゲームの出番です。




武士ではなく(武士やお侍さんの想像は福島県白河市の小峰城にて行いましょう)、騎士として目の鋭さはそのままに颯爽と駆けているお姿が目に浮かびます。きゃっ。



馬に跨って全速力で疾走するお姿も目に浮かびます。きゃっ。



勝手な想像はほどほどにして帰ります。尚、中央のホワイトタワーでのエレベーター取り付け作業?と発掘作業中に人骨が多数発見との報道が私が見学した3日後にございました。
そういえば、立ち入り禁止区域で作業を行っているのは見た覚えがあり。
そんなわけで、私から霊気が漂っていましたら失礼。当方は鈍感人間のため、難なく健康的な生活を送っております。



下から見るタワーブリッジ。細かな石組み、装飾。お城のようです。



タワーブリッジの反対側へ。



テムズ川。ワシントンD.C.ではポトマック川、モスクワではモスクワ川、新国海外公演の行く先々で大河の景色に癒されます。



ユニークな梯子のような通路が繋がる建築。



テムズ川越しにロンドン塔。



二階建てバスで劇場近くまで行き、ホテルに戻ってから劇場へ。そして無事終演。
帰りは劇場すぐそばのパブへ。ロンドン大精通者でお世話になっている方とその方のお友達のお2人組が先に入店なさっていて私も合流!



お店オリジナルのビールがあり、注文時に先着組のお2人が教えてくださり注文も手助けしてくださいました!乾杯〜!


翌日は昼夜公演。昼は柴山さん速水さん、夜は米沢さん井澤さん。いつになるかは分からずですが、またレポート綴って参ります。

0 件のコメント: