


8月24日(日)、浦和駅そばの埼玉会館にて修子バレエアカデミー5周年記念発表会を観て参りました。 バレエコンサートの間に『ドン・キホーテ』ほぼ全幕を挟む構成で5周年をお祝いです。 https://www.shukoballetacademy.jp/
修子バレエさんは過去2回スタディガラで観たからか以前は大人中心のスタジオの印象がありましたが発表会では子供の生徒さんも多く出演して大活躍でした。
ドン・キホーテは主要役の一部や闘牛土達はゲストながらお子さん達中心の展開、但し酒場はなし。
小さな子供達が酒場の客を自然に演じていたらそれはそれで複雑ですから笑、今回カットは正解でしょう。
1幕キトリはカナダバレエヨルゲンの竹嶋梨沙さん、バジルはNBAバレエ団で長らく活躍されたのち、フリーを経て今秋からKバレエに入団なさる高橋さん。
明るく闊達で健康オーラも発散な、エネルギーがたっぷり降り注いでくるお2人です。
そして幕が開いたときの最たる驚きは、三船元維さん、佐野和輝さん、森本亮介さん、米倉佑飛さんの4人の闘牛士達が広場に均等に配置されて
それぞれの持ち場にいる子供達の見守りやフォローを実に細やかになさっていたこと。
優しく声をかけたり、キトリ達の踊りを一緒に観ながら会話を交わしたり、場所移動時はそっと促してあげたりと課外学習引率の先生並みの働きぶり。
しかも皆さん楽しそうでとにかく目線が優しい。一見強面の(失礼)森本さんも優しそう笑。
森本さん、思い起こせは他所の発表会にて眠り3族をじられたときも同じ長子に腰掛ける生徒さん達とのやりとりが微笑ましかった記憶がございます。
メルセデス、キトリのヴァリエーション、キトリの友人は小中学生の年頃と思わしき生徒さん達が務め、ポワントではなくバレエシューズで思い切り踊っていたのは好印象。
(役柄、演目によってはポワントでの披露もあったかと思いますが綺麗な立ち方でした)
また、例えばメルセデスだからといって無理にお色気振り撒く表現はさせずあくまで年齢に見合った美しさを生かした振付、演出であったのも好ましいと思えました。
エスパーダはKバレエの杉野さんで、持ち前の情熱、厚みで舞台の温度を急上昇させ、十八番な役どころでしょう。
この日の夕方の浦和駅周辺の気温37度を超越するレベルの熱さで、1993年のJリーグ創設当時からある伝統チームの1つで
熱血な応援が名物な浦和レッズのサポーター達も仰け反るパッションでございます。
怪我や治療の影響でここ最近はKの舞台でも立ち役が多めであった印象ですが、身体の捌き方や見せ方はしっかりご健在。
メルセデス役の生徒さんへは優しげなサポートで接していらして、可愛らしい笑みを引き出していらっしゃいました。
夢の場はきらきらっとキュートな世界が広がり、お子さん達による小さなキューピッドさんも大勢登場です。
3幕結婚式場面になるとキトリは主宰の田山修子さん、バジルは新国立の渡邊峻郁さん。
2022年の亀有で開催された田北志のぶさん企画主催ガラにて海賊グラン・パ・ド・ドゥを渡邊さんが急遽の代役アリで
田山さんメドーラと組まれたのが初のペアお披露目であったかと記憶しておりますが、以降グラン・パ・クラシックやダイアナとアクティオン、と何度かパ・ド・ドゥを拝見していると
戦友のように容赦なくサバサバ感を互いに炸裂させるような潔さが光っていてなかなか面白いパートナーシップなのです。
今回の練習中の映像においても詰めの作業での話し合いがああでもないこうでもないと延々と続いていたご様子で笑、ドンキご披露を心待ちにしておりました。
そしていざ本番。まず分かっているとはいえ2人とも長身美女美男!揃ってロシア系伝統風味衣装
(田山さんは赤いチュチュで袖が黒い網網、渡邊さんは上下黒のスタンダード装い)であっても
瞬時に洗練されたアダルトな空気が広がったのは明らかです。
田山さんの場合日本の女性ダンサーにしては背丈のみならず腰位置も高く手脚が長い、長い高い尽くしなプロポーションの持ち主でご自身でのコントロールは勿論のこと
田山さんのサポートが可能な男性も限られてくるであろう身体条件でしょう。しかし渡邊さんの手にかかると、田山さんの四肢の伸び方に即しての距離の移動も自由 自在で
いつもより大回りに移動なさったり、田山さんの脚先手先がどの辺りに来るかも計算し尽くしての立ち位置調整もお手の物。
ヴァリエーションも、猛暑吹き飛ぶバワーと舞台に品を与える端正な趣きがバランス良くブレンドされた味わいで、
1つ1つの技もただ勢い任せにせずクリアな身のこなしで決めるべき箇所では身体も表情もドヤ!恐れ入りました。
リボルタードだったか(表記違いでしたら失礼)、ほぼ水平に精密なドリルが空中回転しながら世界陸上の投げ槍の如き
飛距離をのばして飛んでいく職人芸にも口あんぐり。コントロールカの巧さにも再度驚きを覚えます。
お2人の並びを観たときふと思い出したのが1990年頃のモスクワ赤の広場ガラ映像で、
ボリショイの名花アナニアシヴィリとパリ・オペラ座の渋めエレガントなエトワールのベラルビさんが組んだときのドンキ。
言わずと知れた地元の国宝級大スターとまだロシア系の振付が馴染んでいたとは言い難い、のちにトゥールーズのバレエ団の芸術監督として若き渡邊さんを鍛え上げた
ベラルビさんの不思議な組み合わせでした。非常に大雑把な括りですがロシアとフランスが合わさると生じる化学反応の面白味に触れた気がしております。
ただ当たり前ですが今回はっきり異なるのは、渡邊さんは新国立でも何度もファジェーチェフ版ドンキの経験を積まれ
外部舞台でも何度も踊り込んでもう身体にすっかりロシア系のオーソドックスな振付が馴染んでいらっしゃること。
サポートもソロも終始安心感がありつつもダイナミックに美しいスリル感で沸かせてくださいました。
眼差しや相手への優しさも含むサポートの熱量、テクニックの熱量、表現の熱量、総計するとレッズサポーター50人分に相当しそうです。
修子バレエと聞くとアカデミーのご投稿にて頻繁に開催されている、著名な男性ダンサーを招いての華々しいパ・ド・ドゥオープンクラスの告知がどうしても過ぎっておりましたが
スタディガラの方がチャレンジングな大人のパ・ド・ドゥが満載なもようで発表会は古典のグラン・パ・ド・ドゥは少しの本数、あくまで幕物抜粋を重視なさっているのかと推察。
例えば「ラ・バヤデール』婚礼の場抜粋の中に男女のパ・ド・ユイットを盛り込み、ほぼパ・ド・ドゥがっしりな構成でのアダージョを4組が披露していました。
それから大人の生徒さんが7名で踊られた、加地暢文さんの振付Danse macabreが見応えあり。
サンサーンスの死の舞踏に合わせて、おどろおどろしくも高揚が増していく展開に合わせて生徒さん達が力強く踊っていき、照明も工夫した演出でした。
以前にスタディガラで観た加地さんの作品もはっとさせる面白さと緊迫感、何よりも生徒さん達が堂々と力を発揮なさっていてとても好感を持った記憶がございます。
今回はゲスト&講師陣のフィナーレが無かったのは少し寂しかったものの、中身の濃い発表会を楽しませていただきました。
お次は田山さんと渡邊さんは何を踊られるか!?練習映像拝見する限り戦友の如き対等にあれこれ意見のぶつかり合いも可能な
お2人だからこそ成し得る、変わり種系のパ・ド・ドゥご披露を心待ちにしております。

風船拡大!

埼玉会館、古き良き内装なロビー。

この日は高温どころではない暑さにプラス、Jリーグ開幕時から活動する浦和レッズのお膝元。リーグ屈指の熱いサポーター達が集まっているようです。

お菓子の文字にニンマリ笑。

温度計見てしまったー。事前にプログラム配役が公開されていて、杉野さんエスパーダも熱そうだが、3幕渡邊さんバジルも熱い予感笑。
2人合わせたらレッズサポーターも仰天するであろうパッションでございます。

イルミネーションなレッズ。

翔んで埼玉!NBAバレエ団の方も出演されていましたが、もしかしたら私がこの10年間に観た、
バレエ配信やバレエ物クラシック音楽物映画を除いて、唯一観た一般上映作品かもしれません。
埼玉はもとより地元愛の大切さについても説いているのが面白く、しんみりでした。千葉解放軍の落花生攻撃も忘れられず笑。

いい泡。

帰り、窓辺のメニューにバジルチキンライスとあったため入店。滅多に帰りに食べぬタイ料理で
しかもアラカルトですから本来なら複数人数で取り分けてちょうど良い量?かとよぎりましたが
香りも良く美味しく、ビールも進み気持ち良く完食。

頃合いを見て持ってきてくださった巨大なグラスのお冷がまた爽やかな喉越し。
1984年といえば映画『風の谷のナウシカ』公開年ですが、この5日後に風の谷と呼ばれる場所へ
(ジブリパークではありません。風の谷はまだできておらず、魔女の谷に続いてできると嬉しいが)
行って参りましたのでまた後日紹介いたします。
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