2025年9月14日日曜日

父親の愛情深さと鏡やカーテンの大トリック Etsuko.BALLET SCHOOL20周年記念 発表会『白鳥の湖』 9月7日(日)《京都府八幡市》




9月7日(日)、京都府八幡市でEtsuko.BALLET School 20周年記念発表会『白鳥の湖」を観て参りました。
初めて鑑賞するスタジオの発表会で主宰山本悦子さんが率いる舞台は2022年3月に大阪で開催されたアトリエ公演以来でございます。
http://etsuko-ballet.jp/sm/


Etsukoバレエさんのインスタグラムに、舞台のハイライト映像等たくさん投稿してくださっています!



こちらは写真多数!





前半はバレエコンサートで、大人から幼い生徒さんまで生徒数も多く、取りまとめはさぞ大変でしょうに多彩なプログラムを組んで割り当て、楽しませてくださいました。
悦子先生と青木さんが柳原史佳さんのヴァイオリン演奏にのせて踊られた「眠れる森の美女』目覚めのパ・ド・ドゥ等で使用されているゆったり優雅な曲でのモダンなパ・ド・ドゥ
続けて西野麻衣子さんが同じく柳原さんの演奏でサンサーンスのLe Cygneを艶っぽく舞い、オープニングにて開演です。

バレエコンサートの中ではコージャスなジャス版に編曲した「くるみ割り人形の曲メドレーでクラシックバレエとコンテンポラリー?の違いを見せて行く振付が面白く
お堅く厳格なポジションや踊りを見せていたクラシックダンサーが徐々にコンテンポラリーにも引き込まれて柔軟に調和して行く様子がお洒落に描かれていました。

メインは「白鳥の湖」全幕。悦子先生の独自解釈を取り入れたユニークな版です。
オデット/オディールはEtsukoバレエで育ち、新国立劇場バレエ団アプレンティスを経て現在Kバレエトウキョウで活躍中の伊東葉奈さん。
2021年3月に大阪府吹田市で上演された山本隆之さん版『白鳥の湖』にてオディールを踊っていらっしゃいます。
(山本さん解釈による独創性あるヒロインでした) そのときのオディールやKバレエにおける『白鳥の湖』の民族舞踊など溌刺元気印なテクニシャンの印象があり、
正直オデットのイメージは浮かびづらかったのですがとんだ失礼でございました。
エネルギッシュな強さを滑らかに淀みなく伝うように踊っていらして、時にしっとり時に叫ぶようにとメリハリの付け方も美しく白鳥達の統率力は強い。
オディールは持ち前のテクニックが炸裂するだけでなく、後にも述べますが曲順や構成、仕掛けが意表を突く要素てんこ盛りで
面白く鑑賞しつつも戸惑いの息づかいがあちこちから聞こえてくる客席を黙らせ、引き込んで、納得させる技量、空間支配力にも見惚れるばかりでした。

ジークフリート王子は新国立劇場バレエ団の速水渉悟さん。役柄の設定上かなり幼さ残る甘え体質の王子様と思われ、
王妃から翌日に結婚相手を選ぶように命令され、王冠を被せてもらっても全くさまにならないのがかえってリアリティを生み出していて説得力十二分でした。
悦子先生版独自のキャラクターである王子の実の父親に対してはジュリエットと乳母の関係を思わす心許す人懐っこさ。
テクニックは冴え渡り、スプリンクラーな回転の余裕あるおさめ方や、伸び伸びとした跳躍でも魅せていらっしゃいました。
感想投稿まであと何日かかるか分からずですが(無責任で失礼)、7月末に行われた新国立劇場バレエ団ロンドン公演『ジゼル』にアルブレヒト役で出演された速水さん。
アントルシャの完成度の高さに驚いた男性客が終演後ロイヤルオペラハウスのロビーで頑張って再現しながら賛辞を送っていた光景を管理人は目撃しており、
それだけあっと沸かす技術を備えていらっしゃるのは強みでございます。

悦子先生が王子の父親の不在を疑問視なさってきた経緯があり独自の解釈で取り入れたのが
身分が低いが故に王政の前面に出ることが許されず、代わりの王子の家臣として仕えている実の父親。
思えばピーター・ライト版のように国王の国葬からしっかり始まり父親の死を舞台上で明示している演出は案外少ないのかもしれません。
悦子先生版では王家のしきたりよりも、王子の意思を尊重したいと考える父親でもあるようで、この父親役を務められたのが山本隆之さん。
王子や王妃、貴族達に比べると服装は質素な上着を着けている程度。しかし醸ず教養の深さや美しい品は隠せず。
王子への語りかけも愛情に満ちて、大事に大事に面倒を見ている慎ましい幸せも香る魅力溢れるお父さんです。
ただ難しいのは役柄の身分の事情で王子や王妃より目立ってはならず、しかし控えめであっても存在感は必須。
その匙加減や舞台を大きく捉えての立ち居振る舞いも山本さんがなされば職人芸として光り、全体に厚みや締まりがもたらされていたのは明らかです。
王子の友人達にちょこっとからかわれても品を崩さずによろけてしまうお茶目な面も素敵。
特に響いたのは3幕の舞踏会終盤。オディールをオデットと思い込んで結婚を誓ったあと、王子が湖畔へ走っていくところにて
どうにかお城に引き止めようとする王妃に対しては、王子の行動に理解を示すように語りかけて王子を好きなようにさせていた場面。
本来ならば身分の高い王妃に対して口答えや異論は厳禁でしょうし絶対服従の世界であろう中で例え家臣の立場であっても実の息子を思う気持ちは計り知れず、
行動に出てしまった父親の愛情深さに触れた思いでおります。

それにしても速水さん、山本さんとの主要役同士での絡みも多き共演を観客の前で披露できること、どれだけ恵まれていることか!!!

前半から特徴ある演出が続いていて新鮮味もあちこちに散りばめられ、
まずオデットがロットバルトによって白鳥の姿に変えられたときにただ綺麗にばたいているのではなく苦し紛れに嘆き叫びそうになりながら腕を動かしていたこと。
思えば強引力ずくで変身させられた惨く残酷な行為ですから、悲劇性が一気に強まっていき、1幕のお祝い場面とのコントラストもくっきり。
青木崇さんロットバルトが背が高い上にがっしりとした体躯にモシャモシャの黒衣装でしたから、尚のこと恐ろしい行為と思えた次第です。

3幕は従来と曲順が異なる刺激もあり、オディールとロットバルトが登場するとまずはオディールのヴァリエーションから開始。
招かれざる客の顔見世とも思える演出で、お城の人々からしたらオディールに対しては誰やねんこの人!?状態ですから自然な流れと受け止められました。

それから客席がどよめいたのはグラン・パ・ド・ドゥアダージョの中間部。
影のオデットが出てくる場面で大概は窓の外にて紗越しにパタパタと訴えながらも消えて行く演出が大半かと思います。
しかし悦子先生版ではオディールが登場した頃には窓をカーテンか何かで隠し、舞台後方上部に巨大な鏡を設置。
舞台上の中心部で踊るオディールや王子、ロットバルトの後ろ姿は然ずと時々映るわけですが
舞台に登場していないオデットの出現をも鏡は映し出し、観客にそのトリックは到底分からず今何が起きたのか。オデットはいかにして鏡に映ったのか、
もしかしたら王子以上に観客が混乱していたかもしれません。私も未だに仕組みの理解に至っておらず、
オディールとロットバルトそして悦子先生の演出の罠に観客すっかり嵌められておりました。

民族舞踊は早々にスペイン、マズルカ、ナポリは披露し、チャルダッシュの順を待っておりましたが暫く登場せず。
するとロットバルトの悪の組織の一味として不気味さを漂わせながら登場。腰を屈めながらおどろおどろしい空気を撒き散らし、メイクも強面なダークメイクで恐る しや。
曲順の関係でスペインが一味と化している演出はよく見かけますが、チャルダッシュのみがロットバルトの一味として描いているのは意外な展開でした。
グランパ・ド・ドゥコーダもチャルダシュ陣が囲んだり、整列してオディールの勝利を盛り上げる活躍。

そして結末の部分も壮大でドラマティック。オデットが愛を訴えながら先に命を絶つと巨大な黒いカーテンが降りてきてオデットを消え去らせ、
やがてロットバルトは愛の力で一気に弱まっていき白鳥達の隊列攻撃でカーテンの中へ。
両方の舞台袖からは羽根と思わしき嵐を吹かせてロットバルトを翻弄して退去させていったところで人間の姿に戻ったオデットが入れ替わるように出現し王子と再会。
決してプロジェクションマッピングなどデジタル技術を駆使しているのではなく、あくまでアナログな手法で舞台をスケール大きく、
スリルあるドラマに紡ぎ上げる演出にただただ圧倒されました。

少しだけ疑問に残ったのが、もしかしたら中世ドイツに設定していないのか1幕成人祝いの場の背景美術が南仏のリゾート風な絵であった点。
ただ宮廷ワルツの女性達の衣装はお国柄がこれといってはっきりしないお洒落な切り込みが入ったスカートが可愛らしいデザインで、
色違いで着こなしていてとてもカラフルな衣装光景が広がりました。
また3幕背景が、窓からお城の外観を眺めるような描画で、そうなると何処で舞踏会を開催しているのかちょいと疑問も。別館?
しかし先に述べたように高難度鏡トリックもあって、そこまで気にならず。
白鳥たちの群舞は膝丈のチュチュで、動くたびにふわっと舞い、そしてよく揃っていて完成度の高い仕上がり。
チャルダッシュ以外の民族舞踊には王子の友人が1人ずつソリストと入っていて、単なる切り貼りデヴェルティスマンになっていなかったのも良き工夫と思えました。

それから一部の民族舞踊は外部オーディション選抜者が出演していて、スペインには私の友人が出演。
山本さんの、東大阪でのオープン初級クラスで仲良くなり、標準語をしくまくし立てる私に優しく接してくれるお方でございます。
時々関西での舞台は一緒に鑑賞したり、一昨年初めて新国立劇場にいらしてコッペリアを鑑賞されましたが
二・二三事件真っ只中な時期でずっと消沈していた私を励ましてくださって、優しさの塊にようなお人柄に助けられておりました。
舞台姿を観るのは初めてでしたが、端正にエレガントに、情熱も持っての踊りっぷりで観ていて誇らしく感じました。
あとから聞いた話、小道具ハプニングあったようですが笑、本番中は一切気づかず。終始落ち着いて対処していた点も拍手を送りたい思いです。

面白味に富んだ悦子先生版「白鳥の湖』、またいつか拝見できますように。刺激とスケールに吸い込まれた20周年記念発表会でした。


※訪問する数日前まで八幡市が大阪にあると勘違いしていたほど土地勘ない地域でしたが、
行ってみれば八幡宮に、時代劇彷彿の上津屋橋に身が締まった鯖の棒寿司、と楽しい美味しい要素がいっぱい。
京都駅には早朝に到着したため、帰りまでは混雑とは無縁のまま滞在した今回の京都の1日でございます。込み合っていた状況に居合わせたのはEtsukoバレエ会場(満員御礼)と
帰りバスに乗るために着くもすぐ八条口側に出たため滞在時間は短かった京都駅での約5分。ちょこっと変わった京都旅となりました。
写真多数ありますが宜しければご覧ください。




新国立劇場バレエ団「ジゼル』ロンドン公演ネタ小出しシリーズ ヴィクトリア&アルバート博物館編。
中世ヨーロッパエリアの弓矢シリーズ、ジークフリート王子が受け取った場面思い出します。



おはようございます。早朝の京都駅前。2022年に福島県の新白河駅で購入した、白河市のキャラクターでございます。
例年は年1回の白河への里帰り鑑賞時のみに旅しておりましたが、今年は7月のロンドン同行を機に、あちこち巡っております。
しらかわん、初の京都どすえ。
頻繁に旅が発生しているため、松尾芭蕉の生まれ変わりの家、或いは旅情サスペンスの制作関係者のもとに引き取られたと思い込んでいそうです。



ガイドブックでお馴染みのところ。



6時前の清水寺近くの坂。



6時前の清水寺近くの坂にてしらかわん。



坂を下り歩いていくと八坂神社裏から。



八坂神社から、四条通り見える!



見開き!四条通り。まだ人はまばらです。6時過ぎくらいでございます。



花見小路を背に。



祇園白川の巽橋へ。



白川!



漢字は違っても響きは同じで親しみを喜ぶしらかわん。



鴨川の朝。まだ6時半頃。



四条通りを烏丸通り方面へと進み、右折していくとイノダコーヒ本店!6:50に着きました。
中に入り、1階の好きな席に着席して待ちます。入って左奥側へ行くと旧館があり、クラシカルな内装を久々に目にしたくて旧館へ。11年半ぶりの来店です



アラビアの真珠と卵サンド。切り方が細かい卵で、ふわっと包まれるように挟んであります。
量多めに見えますが食べ始めるとすぐ口にすっと入って行き、またこのあと暑い中での移動もあったためこのメニューにして正解でした。
店員さんのソフトで上品な京都弁での接客も背筋伸びる気分。



再び四条通りへ出て、祇園四条駅へ直進。お店から25分くらいだったか。
丹波橋で乗り換え。乗っていたのはダブルステッカー備えた路線でした。



石清水八幡宮駅に到着。のどかでございます。
万博ラッピング電車!なかなか素敵景色な踏切です。
バスケットボール漫画で有名になってしまった神奈川県の鎌倉高校近くの踏切は遂に撮影専門デッキができたとか。



駅前からの路線バスに乗って15分、上津屋橋バス停から7分くらい歩きますがちよいと道がわかりづらく、
土手のようなところを登ったりします。お出かけの方は時間に余裕持ってくださ い。



時期によっては水がたくさん流れているらしい。そして人がまばらです。3人くらい見かけたくらい。
一部地域への観光を過剰集中が問題化している京都、まだまだゆったり楽しめる観光地はいくらでもありそうです。
昭和28年に造られた、全長約356.5メートルの日本最大級な木造橋とのこと。風情があるため、時代劇撮影にもよく利用されているらしい。



しらかわん、白河待になり切って颯爽と駆けてみようと頑張ってみるが、お顔がほわっとし過ぎかも。
ここはしらかわんの地元の、目眉きりっと切れ長な兄者侍を思い浮かべましょう笑。
だがこの日の八幡市文化センターに現れるのは兄者を慕う京都出身の貴公子どすえ。



バスの本数少なく、暑さもあって滞在時間は10分が限界でしたが、ゆったり思いを馳せたい場所でございます。



石清水八幡宮駅に戻り、ケーブルカーで八幡宮へ。



京都の景色!城陽市方面です。



こちらは京都市方面のはず。



艶やかな造り。



仕麗です。暑さもあるでしょうが観光客少なめでゆったり散策できました。



ケーブルカー下り、かなりの高さございます。



朝日屋にて。



駅前の朝日屋で昼食。名物鯖の棒寿司もいただきます。ふくよかで締まりある鯖の身です。鰹節たっぷりの純度が高いお出汁でいただくきつねうどんもおすすめです。
お蕎麦も選択可能、具材も選べます。地元のお酒やましろの冷酒でくいっといきましょう。



しらかわんも楽しみな白鳥の湖。



受付も白鳥の湖仕様です。



石清水八幡宮駅から三条へは出やすい交通で、三条大橋からの鴨川夜景。三条駅周辺は19時をすぎるとそう人出もなく、落ち着いていました。
鴨川渡り、烏丸御池駅方面へ、すっかり人も少ない三条通りを歩いて約20分くらいだったか駅前に停まる京都ブライトンホテルへのシャトルバスに乗車。



ホテルのラウンジにて、ブラックスワンパフェ。これが食べたかった! スタイリッシュでピンクのアクセントも洒落たパフェでございます。
シャインマスカットに囲まれて、中にもジェラードやクリームが綺麗に入っております。



上から!



京都駅八条口から徒歩5分程度で着く銭湯大正湯。薬膳風呂やジャグジーもあります。暖簾の動物さんたちも可愛らしい絵です。



帰りに一杯。祇園祭の小皿もあり。この日阪神優勝が決まり、おめでとうございます。山本さんもさぞかしお喜びでいらっしゃることでしょう。
お店の方が面白気さくな方で、バスの時間まで慌てず過ごしていてねと声かけてくださいました。
このあと近くの京都アヴァンティ前のバス乗り場から東京へ出発。
中心部には早朝と夜のみ、日中は八幡市へ出向いていたため混雑と無縁の京都1日滞在でございました。さらば京都、また逢う日まで!

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