2023年3月5日日曜日

共演叶わず絶望真っ只中だったが山本隆之さんコッペリウスは救世主 新国立劇場バレエ団ローラン・プティ版『コッペリア』2月23日(木)〜25日(日) 




※更新が滞り申し訳ございません。2021年同演目配信時とは違った理由で長らく更新できずにおりました。
立ち直りにまだだいぶ時間がかかりそうで、以下決して明るい内容ではございません。先に他所で記した内容と重複部分も多々ありますが悪しからず。


新国立劇場バレエ団ローラン・プティ版『コッペリア』を計6回観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/coppelia/

私の中で海外勢含めても心からときめく虜となっている二大男性ダンサーである山本隆之さん渡邊峻郁さんの共演生鑑賞が
遂に叶うと信じて疑わなかった矢先、初日朝10時過ぎにその夢は打ち砕かれました。
渡邊さんの降板が初日当日告知且つ怪我や体調不良の記載なく都合により降板。
前日のゲネは踊ったそうですから誠に不可解な理由としか思えません。1番悔しがっていらっしゃるのは渡邊さんご本人でしょう。
お心察するも言葉が出ず、今迄約1000回のバレエ鑑賞で涙したのはたった3回である、
誰かの引退公演でさえも感涙しない感性が繊細さに欠ける私が開演前から客席で涙止まらず悲嘆に暮れておりました。
初日開演前『コッペリア』上演の支えとなった寄附金のお礼挨拶で舞台上に現れた吉田都監督の
配役変更について触れた途端に漂わす動揺ぶりや葬儀の司会者のような沈痛な口調からも事態の深刻さが窺えます。

急遽代役フランツの福岡雄大さんは見事な務め上げで客席をあっと沸かす大力演。小野絢子さんスワニルダの魔性も宿る魅力や脚の色気にゾクゾクさせるステップ
そして2014年シンデレラ義理の姉以来⁈久々の復帰を生で鑑賞できた山本隆之さんコッペリウスの洒脱な哀愁感、
鍵落としの自然な所作や人形とのワルツも感激いたしました。広いオペラパレスで1人+コッペリア人形のみであっても山本さんが描き出す世界の何と華麗なこと。
今回の大救世主でした。

ただ山本さんと渡邊さんの共演を夢見ていただけに終演後も悲壮感を拭えず。まだ新国に通い始めてからまもない2005年1月の『白鳥の湖』で
初めて虜になった男性ダンサーの山本さんは既に別格な存在でした。ゲスト無しで5人のフランツが配役された現在では考えられませんが、
2005年当時はまだゲスト頼みな時代で山本さん以外に主役をほぼ毎回踊る自前の男性ダンサーは不在であったのです。
山本さんの当時の階級はソリストでプリンシパルの階級が設置されたのは数年後以降でしたが
それ以前から男性ではただ一人実質プリンシパル同然な別格のご活躍でした。
いかんせん最初に現れたのが山本さんでしたからもう次は現れないと確実視していたところ、
丁度干支一回りして12年後2017年1月に現れたのがフランスのトゥールーズ・キャピトル・バレエから
新国立に移籍してまだ1年未満であった若きソリスト(当時)の渡邊さんでした。

山本さんが芸術選奨文部科学大臣賞受賞の受賞対象作品でもあったエイフマン版『アンナ・カレーニナ』名演カレーニンに対抗できるヴロンスキーがようやく現れた!
何しろアンナの上演時の幕間の声はほぼ一色で、山本さんカレーニンを捨てるアンナの気持ちが理解不能、あの旦那の何が悪い、といった感想多数。
エイフマンの描くカレーニンは冷淡な性格ではなく容姿も端正で心優しい夫で、
それだけ山本さんのカレーニンは思慮深く誠実で、寛容な心でアンナを愛し案ずる人物であったのです。
ですから誰がヴロンスキーやっても説得力ないやんと長年思っていた私が、渡邊さんヴロンスキーなら対抗できるかもしれんと
戸惑い喜び抱いた衝撃は今も忘れられません。2017年1月は毎日毎日『アンナ・カレーニナ』使用曲がぐるぐると脳内再生されていたものです。
2016年おけぴシンデレラ稽古場記事にて随分男前な人がいると注目しかけ、バレエは生が一番と劇場通いを好んでいた私が動画検索なんぞ初めて行い、
ネット上のフランス語の辞書を頼りに仏語記事の解読も試みつつトゥールーズ時代の映像検索中に
新国立移籍直前の2016年6月に上演されたベジャール版『火の鳥』リハーサル映像を2017年年始に見つけ、一瞬で心を奪われました。そしてトゥールーズ時代に踊られた美女と野獣、海賊のDVDも立て続けに購入。
前者では歪んだ心が露わになったされどスタイリッシュな野獣に、後者は横暴な君主を務められたスルタン、若くして内面からの表現にもたまげたものでございます。
あろうことか、2017年の年明けすぐの大阪での山本さんの舞台鑑賞時の天王寺近くの宿泊地でも、夜な夜な渡邊さんの動画を見続けていたほどだったのです。
最初の約6ヶ月間は周囲にもなかなか打ち明けられず、同年2月のプティ版『コッペリア』での衛兵さんの一員としての出演時に
我が人生初のコール・ドからお目当ての男性ダンサー探しを体験。双眼鏡を目に押し当て発見まで時間を要しましたがその分見つけられたときの喜びは強く、
プログラムを抱きながらホワイエの隅っこで1人幸せに浸った6年前を思い出します。
衛兵さん探しについては今回木下嘉人さんファンの方にもコツを伝授し、嬉しそうに聞き入ってくださりこの度お役に立っていたら幸いです。

話が少し飛びますが2009年の新国立劇場バレエ団モスクワボリショイ劇場公演にて現地で交流のあった大手新聞記者の方を
2018年の『不思議の国のアリス』新国立初演時のちょうど渡邊さんジャック日にホワイエで見かけ
遂に2人目が現れました、ジャックの渡邊さん注目してください!加えて山本さんとの共通点を伝えると、
劇場に来る楽しみが増えるでしょう、そういうダンサーが見つかると幸せですよね、よかったですね!と嬉しそうなご反応。
実はその記者の方からはモスクワ公演時、新国立入団直前であった当時は前年にヴァルナ国際バレエコンクールで入賞し大型新人として期待されていた
福岡さんについて聞かれ、山本さんと同じスタジオの後輩で大阪に観に行ったときに目にしており
きっと大物になりますからご注目を、と告げていた14年前の私であったのでした。時の流れと繋がりは恐ろしやでございます。

しかし2017年の頃は山本さんは関西に拠点を移されて何年も経ち、渡邊さんとの共演はおろか接点もないと思っておりました。
山本さんの公演等がきっかけで関西で知り合った方々からは浮気ちゃうんかこれは、
誰のおかげで私らと会えたと思うてんねん、隆之さんやろが!等と大非難に遭うかと懸念していたものの心配は無用で
それどころかどんな人か注目してくださって、関西ではなかなか踊る機会ないやろうし、
(こども白鳥大阪の渡邊さん代役出演公演やくるみ割り人形びわ湖公演ねずみ王にも温かい言葉たくさん寄せてくださいました涙)
山本さんとの共演なんて夢やなあと口にしてくださったり。私も夢物語で終わると思っておりました。
ところが2021年5月公演『コッペリア』にて共演が発表。しかし緊急事態宣言発令により無観客配信となり
今回こそはと祈るも初日開演4時間前に夢は絶たれました。25日(土)夜だけでもと望みを持ち続けましたが叶わず無念としか言いようがありません。

初回は無観客、今回は渡邊さん降板。私が描いた大きな夢が実現に近づくと直前に頓挫し不幸になる人が増えるのだろうか。
息をしてあれこれ願う夢見る資格はもう無いのだろうか。
感性が負の真っ只中に落ち、初日は舞台からお洒落な弾けが序盤伝わらず。山本さんの登場で解消の兆しが見えました。繰り返しになりますが今回の大救世主です。

山本さんとの同郷同門共演が予定外に実現し西日本よりお越しの方の大多数は福岡さん登板を喜ばれたかもしれません。
実際福岡さんの急遽の出演増加が決まりチケットを追加購入された方にも、渡邊さんの降板でチケットを手放した方の両立場の方と接し
浮いたチケットの仲介にも関わりましたので、双方の側のお気持ちは理解できます。
山本さんの虜になったきっかけで関西(他全国各地)にも足繁く通い東京以外でのバレエ鑑賞回数も増え
生まれも育ちも東京で、大阪での在住在学在勤経験がないにも拘らず今や東京より大阪の観光地に精通するくらい
コッペリア期間に開催された大阪国際マラソン中継だったか、目に入ってくる建物や折り返し地点に描かれたビリケンさんの絵等に親しみを覚えていた私ですが
関西の中において圧倒的に鑑賞回数が多い大阪の中でも最も足を運んでいる団体はお2人の出身のKバレエスタジオの舞台。
スタジオの何名もの関係者とも私自身親交があり、お世話になった頻度は数知れず。
初鑑賞の2007年以降大阪開催ながら一度だけ鑑賞を見合わせたのは福島県白河市での渡邊さんの凱旋舞台を選択した2021年のたった1回で(恐らく)
ですから同じKスタの、今も結び付きの強い先輩後輩が海外でのキャリアを経てプロとして大きく花開いた場所である
新国立劇場オペラパレスでの久々のコンビ復活を私も本当ならば祝いたかった。祝い歓喜しなければならない立場であったのは百も承知です。

2016年に大阪のリーガロイヤルホテルで開催された山本さんの紫綬褒章受賞祝賀会に出席したとき
福岡さんがリーダーシップを発揮されていた余興にどれだけお腹が捩れるほど笑わせてもらったことか。
福岡さんの笑いのセンスはとても好感を持っており、急遽の登板となった23日も25日の夜も、
細かな部分まで笑いの要素をぎゅっと詰め込んであっと驚かせる表現に観客も大笑い。
しかも25日は昼夜連続登板、テクニックも万全で怪物としか思えぬ力演であったこと、
そして新国立におけるプティ版『コッペリア』上演史の中でも最も会場が沸き立ったのは
ルシア・ラカッラやシリル・ピエールがゲスト出演した回でもなく今年の25日夜であったと思います。
しかし大喝采を心から喜べず、2幕からだけでも渡邊さんの登場を願ってしまい、
山本さんの傍にいるコミカルな楽しさ満載でシャンパン吹きは後世に伝わるであろう垂直鯨噴射な吹き方も披露された福岡さんフランツが魅力なのは分かるけれども
でも私の脳裏を過るのは配信時のすっとした色気醸すフランスの色男な渡邊さんフランツの姿ばかりで
上演中となっては嘆いても仕方ないとは分かっていても山本さんと渡邊さんの並びや掛け合いがどうしても観たかったと欲が益々募り
特にコッペリウスの家への侵入からシャンパンのあたりはもう観ているのが辛くて苦しくて。
自身の器の小ささに嫌気が差してしまい、鑑賞に限界を感じるしかありませんでしたが
それでも山本さん渡邊さん共演こそ観たかったんや!と声かけてくださった大阪の方も何人もいて、
本来なら私が初台へようこそとおもてなしや案内をすべきがそうもいかない中、励ましをありがとうございました。

山本さんと渡邊さんは世代や経歴は全く異なるも品格と知性の備わりやパドドゥ好きサポート好き発言や飽きがちなアダージオでも魅せる術、
貴公子から悪役、現代作品迄経験役の豊富さや表現の深み厚み、人物造形洞察力の鋭さや端然とした色気に高貴な美しさ、
同じ着物雑誌モデル等実は共通点多数。こう書き連ねると喜劇の印象は薄いかと思うかもしれませんが全然そうではなく、配信コッペリアを観たときに
お2人とも品ある佇まいや踊りから香るほんのり滑稽な面白さに映像越しであっても胸がキュッと上がる幸福を覚えました。
ダンサーとして、人としても、心から尊敬する大好きなお2人です。

この先プティ版コッペリア並に主役同士で張り合う作品の共演機会の訪れはあるのか、次こそは実現と鑑賞を切に願っております。
前からエイフマン版アンナ・カレーニナを切望しているがまだ夢見ても良いかしら。
思慮深い官僚カレーニンと負けん気強く情熱家な青年ヴロンスキー、しかも2人揃って美しい!これはアンナも苦悩し狂わされるに違いない。

いかにもプティさんが好みそうな洗練されたスマートな浮気者渡邊フランツ(配信の印象)と
小野スワニルダのフレンチな花開く美の掛け合いへ山本コッペリウスが入る三角関係な光景。
もし生の視界に入ったならばコッペリウスとはシャンパンパーティー、フランツからは頬ツンツンとお姫様抱っこのスワニルダに
間違いなく私は過去34年約1000回の鑑賞史上最も蕩けていたに違いありません。

ゲネも踊り本番を控えた直前の変更に渡邊さんのご心境がいかばかりか、今はきっと切り替えて次の練習に臨まれていることを願います。
能天気で神経図太い私も今回は立ち直りに半年は要しそうですが、本来なら祝福の言葉攻めであっただろう2023年2月23日と25日夜、慰めを皆様ありがとうございました。
連日意気消沈する中、のべ約50人もの方から励ましのお言葉をいただき、気を落とし過ぎないよう生活して参りたいと思っております。

暗い内容も多々ある中、お読みいただき感謝申し上げます。他のキャストの感想や
毎度恒例の付録写真等につきましては書けるか掲載できるか今は分からず、少し時間をください。


※ご参考までに2021年配信時、全キャストについての感想。映像越しではあっても、共演、舞台上で2人が並ぶ姿が視界に入り
とうとう叶った、日本史でいえば大化の改新、世界史でいえばフランス革命に並ぶ大事件であろう
私の中でそのとき歴史が動いた5月8日(土)14:40分は今も忘れられない瞬間です。
https://endehors2.blogspot.com/2021/05/5258.html



※配信時のファーストキャストでまとめられた3分でわかる『コッペリア』ダイジェスト映像。1分19秒辺りの家侵入からシャンパンの下り、何て美しいのでしょう。
フランツの手首を掴みながら秘薬を準備するコッペリウスと書物に興味津々でお調子者浮気性だけでなくどこか理知的な部分も思わすフランツ。
燭台に照らされたお2人には、まるで古いフランス文芸映画の如き耽美な魅力が濃縮です。
主役2人の描写においては、これ見よがしな派手っぷりや軽さではなく、すっと香る洗練された色気から憎めない浮気性を覗かせる渡邊さんフランツと
芳醇な色香と品もありつつ魔性も振り撒く小野さんスワニルダとの美が匂い立つ掛け合いの組み合わせに
再度胸が高鳴り、お2人の主演全幕が観たいと更に欲が深まります。
生での鑑賞は叶いませんでしたが、私の中では2021年も2023年も、フランツの第1キャストは渡邊さんに変わりありません。

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