2023年3月13日月曜日

ディアギレフ生誕150周年を祝す NBAバレエ団バレエ・リュス・ガラ 3月5日(日)




3月5日(日)、NBAバレエ団バレエ・リュス・ガラを観て参りました。
https://nbaballet.org/official/ballets_russes_gala/


本番前のリハーサルレポート。久保監督がインタビュアーを担当なさっています。



前日リハーサルレポート。舞台稽古の様子やインタビューもあり。




レ・シルフィード
振付:ミハイル・フォーキン/再振付:セルゲイ・ヴィハレフ/音楽:フレデリック・ショパン/美術・衣裳:アレキサンドル・ベヌア

パワフルな印象が強いNBAバレエ団にて、静かに妖精が舞う作品の鑑賞は久々。
17年前にヤンヤン・タンをゲストに迎えた『ジゼル』以来かもしれません。(会場は東京都調布市のグリーンホール)
他のバレエ団よりもダンサーの体型が個性様々であっても、コール・ドの揃い方が大変美しく、特に静止ポーズしているときの上体の傾け方や角度の統一感、
最初のワルツの最中における斜めに繋がる腕のふわりとした掲げ方に息を呑んだほどです。
詩人の刑部星矢さんが非常に柔らかい着地とすらりと長い手脚を存分に生かした優雅な踊り方でロマンティックな風情十二分。



アポロ
振付:ジョージ・バランシン/音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー/ゲストバレエマスター:ベン・ヒューズ

2013年に新国立劇場バレエ団によるストラヴィンスキー・イブニングでの初見以来。
千手観音風な一斉脚上げポーズ以外すっかり忘却の彼方状態でしたので実質初鑑賞の姿勢で臨みました。
アポロも女神達も音楽を1つ1つ丹念に脚先で奏でる4人で、出そうと思えばもっと出せそうなパワーをあえて抑えて余分なものも削ぎ落とし
あくまで音楽の中できっちりおさめるシンプルで純化された踊りが好印象でした。
高橋さんは身体の使い方が大きく、いきなり舞台中央に登場しても存在をしっかり示し、神らしい威厳もなかなかのもの。
また4人とも何の装飾もない白いレオタードや衣装であってもきっちり着こなし、見栄えもステップも折り目正しさが備わっていた点も好印象でした、


ダッタン人の踊り

振付:ミハイル・フォーキン/復元:セルゲイ・ヴィハレフ/音楽:アレキサンドル・ボロディン/美術・衣裳:ヴィチェスラフ・オクーネフ

実は客席に入るまでこの公演がオーケストラ演奏付きであることを知らず、
グラズノフ編曲のショパン曲も、ストラヴィンスキーもそしてボロディンも生演奏で聴ける喜びが思いがけず飛び込み、気分上々でございました。
中でもダッタンは心熱く躍らす曲で昔から好んでおり、熱い中にも哀愁が覗きしっとりとした調べに変わる展開や
打楽器隊のドンチャカな打ちっぷりも気に入っております。
隊長役の北爪弘史さんの斬り込んできての統率力、戦士達の中にいても埋もれぬ力強さも満点で
捕らわれの人の女性達が登場すると哀しみを帯びた空気も染み渡り、紫や白、金といったカラフルな衣装の組み合わせに負けぬ踊りっぷりにも拍手。
大地の匂い伝わる熱さや怒涛のスピードと、薄幸に舞う場面の強弱の付け方、特に男性陣の強靭足腰も驚嘆し
久保監督がプレトークで仰っていた見所の1つ、黄色隊の身体を床すれすれからの上下の激しい動きも誰も疲弊感を思わせず
それどころかランナーズハイな境地に達するのかまだ2、3回分はこなせそうな余裕すら感じさせるスタミナでございました。
終盤は全員が猛速でフィナーレへと突き進む展開は息するのも忘れかける踊り狂い現象を巻き起こし、この作品だけでもあと5回は観たいと中毒症状が出た私です。
ディアギレフ生誕150年を記念した公演にて近年はバレエ団での上演から遠ざかっていた2本と初演(アポロ)の1本で構成された
染み入る静けさと美、初台駅を出ても暫くは継続する興奮を味わえたトリプル・ビルでした。

スタダン、東京シティ、NBAと3月3日のひな祭りから3日連続で国内の団体が催す上演時間2時間におさまる2本或いは3本構成の公演を鑑賞いたしましたが
どれも構成も配役ともに満足度が非常に高し。スタダンの鈴木稔さん作品からのシティのフォーサイス作品、
ベン・ヒューズさんは江東区と所沢の往復であったのであろうか云々想像したり、諸々繋がりが見えた点もまた面白味があったと思えます。





鑑賞後、リハーサルを終えた我が後輩と合流。話に耳を傾けるつもりが、先月の初台における私への慰め励まし会になってしまった。ありがとうございます涙。



後輩の好物、生ハムです。身体を酷使し汗もたくさん出たでしょうからたっぷり食べておくれやす。
春めく苺のサングリアを注文するところがまた彼女らしい。私はシンプルに赤ワイン。



ストラヴィンスキーやボロディンを聴いていたら観光地各所の移動式屋台で販売していたモスクワの味が思い起こされ、似た料理を発見し注文。
じゃがいもにチーズソースをかけた、香ばしい塩気がワインに合いました。
赤の広場や雀ヶ丘を再び散策できる日は訪れるのか、ただ現在のこの情勢を考えると、仮に観光渡航が可能になったとしても、気が進みそうにはありません。

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