2023年3月24日金曜日

阿波の星、所沢へ! NBAバレエ団スタジオカンパニーアトリエ公演『ドン・キホーテ』3月21日(火祝)





3月21日(火祝)、NBAバレエ団スタジオカンパニーアトリエ公演『ドン・キホーテ』を観て参りました。
NBAのアトリエ公演は2017年に練馬区で開催された『ドン・キホーテ』以来約5年半ぶりの鑑賞です。
https://nbaballet.org/atelier/atelier-donquixote/


キトリ(1・2幕):寺尾はづき
キトリ(3幕):荘野千尋
バジル:北爪弘史
ドン・キホーテ:安中勝勇
サンチョ・パンサ:石井滉太
ロレンツォ:佐藤史哉
ガマーシュ:髙橋真之
エスパーダ:刑部星矢
メルセデス:三橋紗也子
キトリの友人:佐藤真瑚/松田みなみ
ドルシネア:本谷光里
夢の女王:松下清香
キューピッド:新井ひな子
ファンダンゴソリスト:久保田麻友  刑部星矢


正団員を目指すスタジオカンパニーであるとはいえレベルは高く、危なっかしさや萎縮ぶりは皆無で主役からコール・ドまで舞台度胸が据わっている姿勢にまず感心。
加えて真っ直ぐで若さいっぱい、トラブルをも勢い良く楽しく収拾して面白い方向へと持っていく切り替え力にも拍手。清々しい余韻を残す舞台でした。

中でも注目し、期待以上に魅せてくださったのが3幕キトリの荘野さん。 「3幕」の文字からすると一見結婚式のグラン・パ・ド・ドゥのみかと思いきや
NBA版は1、2幕が街の広場とジプシー野営地で3幕が酒場と結婚式構成であるため、
思わず手拍子したくなる賑やかな、溜めに溜めてお待ったさんでしたと言わんばかりの曲にのせていきなり酒場への初登場になるわけです。
このとき既にキトリは街の広場において浮気性なバジルに辟易しつつも熱々な関係を示し、そして駆け落ちしてのジプシー野営地で過ごした夜を経ていますから
一歩大人な女性に近づいた感が備わった状態での登場が求められることでしょう。
バジルは変わらず北爪さんですから、1幕・2幕で初々しく可愛らしい、(拗ねても可愛らしい笑)そしてテクニックも鮮やかであった
寺尾さんキトリを引き継いでいく役目も求められ、非常に難易度の高い、緊張強いられる途中出場なキトリであったと思います。
ところがそんな心配をよそに、荘野さんは堂々スケールのある登場で姿を見せてこのときが初登場とは信じ難く、1、2秒で酒場の座長な風格もあり。
恐らくはABTのデザインを参考にしたであろう白提灯袖に濃いブルー系の衣装もよく似合い
投げたカップがやや元気良く放物線を描いて飛んでしまったか酒場の客人が取りこぼしてしまうも
この日の昼前を思い起こさせる初球サヨナラヒットのキトリ、愛嬌はホームラン級です笑。

芝居においても細かな工夫もたっぷりで、来店したロレンツォ達に見つからぬよう仲間達の壁に隠れているとき、
ちょうど下手側の端よりであったため隠れている様子はごく一部の客にしか見えない位置であっても
視線を交わしてはロレンツォ達の姿を眺めたりと恐れを知らずにスリルを堪能する熱々カップルぶりが私の席位置からしっかり覗けて観察楽し。
舞台に近い下手側端よりの席に腰掛けた自分を褒めてあげたいと思います。
狂言自殺はバジルのマントがちょいと短いのは気になったものの(夜行バス等で貸し出されるブランケットかと思ったが汗)
バジルが倒れ込んでからキトリが状況を察知して機転を効かせていく演出で
バジルの生存を把握し意図を汲んで大泣きヒロインから一変し、ドン・キホーテも巻き込み仕切り役を担うキトリの頼もしいこと。
白系に少し赤が入った衣装で臨むグラン・パ・ド・ドゥも一歩一歩が大きくダイナミックである上に
音楽に気持ち良さそうに乗っていて、今も幸せな結婚式に臨席した心持ちでおります。

実は荘野さんのことはかれこれ15年前からご出身の清水洋子バレエスクールさんでの舞台を徳島県で観ており、
中学生高校生くらいの年頃となると山本隆之さんや福岡雄大さんら新国立劇場からのゲストダンサーとグラン・パ・ド・ドゥを踊られるようになって
認識していったかと思います。つまり私の中では阿波の星!ですから昨冬の『眠れる森の美女』にてコール・ドの配役欄にお名前を見つけたときには驚き喜び
山本さんのご出演舞台鑑賞全国行脚がきっかけで知った方がこうしてプロへの道を歩み始めたこと、誠に幸せで勝手に東京の親戚気分となってしまったほどです。
ちなみに同様のきっかけで知り、のちにNBAの舞台で目にするようになったのは大阪出身の岩田さん、高知出身の髙橋さんに続いて3人目。
浪速、土佐、阿波、と喜ばしうございます。

そして脇を固める団員男性陣も充実し、全員がパッション放って研究生達を支えて大活躍。
ガマーシュ髙橋さんのミリ単位な芝居は場を笑わせるだけでなく締める効果も抜群で、恋にやぶれるとすっかりキトリとバジルの味方となって
結婚式のグラン・パ・ド・ドゥ最中もテーブル席からハンカチ持って大応援。
ロレンツォ佐藤さんの心配性な父親ぶりも笑い誘い、結婚式臨席中は笑顔で落ち着いて見守るお父さんが多い中、
特にフェッテのときはずっと胸に手を当て心臓が口から出そうなほどのハラハラぶり笑。
しかし思えば、愛娘が式の最中に超絶技巧な大パフォーマンスを披露するわけですからお父さんは喜びよりも不安のほうがまさってしまうのが自然と思え
フェッテを見届けるとガマーシュと抱き合いそうな勢いで喜び合う、根は本当に優しいお父さんです。

本公演のドンキとは衣装は概ね同じで背景が海ではなく黒い線で描かれた家並みであったのは2017年のアトリエ公演と同様で
闘牛士が2人しかいない分、女子が所々に加わってはメルセデスの教習所風ジグザグ踊りの準備を行ったりと補強もスムーズ。
メルセデスの三橋さんが肩の使い方にも色気があり大人な芳醇さも十二分で、
夢の場のドルシネア本谷さんの軽やかな愛くるしさや夢の女王松下さんの長い手脚が描き出す美しい伸びやかなフォルム、
小柄で達者で、女王とであったか、プロムナードもお手の物な新井さんも印象に刻まれております。

ガマーシュがキトリと挨拶する絡みでの帽子落下や、メルセデス教習所風ジグザグ踊りの準備にて並べたカップが倒れるなど小道具トラブルも何度かあれど
フレッシュ且つ自然に紛れさせて乗り切る対処力に脱帽。舞台の中央のみならず隅々からも全員でドン・キホーテの物語を楽しみ伝える力が発揮されていた印象です。
所沢よりも以前に観たスタジオカンパニー公演会場の練馬のほうが我が家からの交通の便は良いもののホールが狭く、
当時1幕キトリを務め現在はソリストの岩田雅女さんが持ち前の高い身体能力が有り余ったか笑、会場を飛び出して駅前の西友まで跳んでいきそうなパワーでしたから
所沢のホールのほうが全幕バレエには向いており、研究生達のはち切れんばかりの魅力を満喫できました。



※3月に開催されたバレエ団公演バレエリュス・ガラにおける『ダッタン人の踊り』をダンサー達が振り返る映像。
男性が頭飾りでピン2箱使用やしんどいときの笑顔事件など、お腹が捩れる裏話が次々飛び出してきます。是非ご覧ください。






帰りは乗り換え駅の新宿近く、徳島ラーメンはるまへ。西武新宿駅を出て、西口大ガードを西方向へ直進です。
会場にて荘野さんの出身のスタジオである阿波の応援団こと徳島の清水洋子バレエスクールさんの懐かしい方々のお顔も目にでき、嬉しい再会でした。



徳島ラーメンは一度お土産にいただき、なかなかこってり濃厚なお味な印象でしたが
はるまさんのスープは不思議とれんげを持つ回数が多くなり、難なく飲み干してしまいました。
こってりではなくコクがある美味しさでございます。バレエ鑑賞を通して、ラーメンを食する機会も増えております。



徳島といえば、すだちくん。荘野さんが徳島にて眠り3幕のオーロラ姫を踊られた(デジレ王子は山本隆之さん!)2016年10月、
会場の鳴門市文化会館へ移動する前に、徳島駅クレメント前にてゆるキャライベントの光景が横断歩道越しにびざんの湯の出入口から見え、すぐさま飛んでいきました。
鳴門市文化会館は東京都港区に位置するオープンクラススタジオのアーキタンツ代表でいらした
福田友一さんのご実家の味噌蔵にもまずまず近距離と思われます。
(ローカルな話ですが、皆様ついて来てくださいませ。各々の詳細な立地はご自身でお調べください)
これまで各地で様々なご当地キャラクターに会っておりますが、一緒に撮影した唯一のキャラクターがすだちくんでした。お洋服に巨大なSの字でわかりやすい。
隣にいる私をばっさり切り取り、縦長な写真で失礼。満面の笑みのすだちくん、今は阿波の地から荘野さんの活躍を喜んでいてくれていることでしょう。

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