2023年2月22日水曜日

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/2023

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/2023 ロイヤル・バレエ『ダイヤモンド・セレブレーション』を観て参りました。
http://tohotowa.co.jp/roh/movie/?n=a_diamond_celebration2022






まだ上映中ですのでさらりとした程度にとどめておきますが、ロイヤルの伝統から先鋭系まで歴史を辿る作品が並び、振付家へのインタビューや作品によっては初演ダンサーの写真も紹介されたりと舞台上の映像以外も充実。
また昨夏の来日公演ガラでは、今年6月の来日公演の東京会場のすぐそばに住んでいた2017年生まれのスターが
本日東京を旅立ち引越し先として話題となっている地域の麻婆豆腐級辛口感想ばかりを連ねてしまった、決して筋金入りロイヤル愛好者ではない
プリンシパル始め主役経験者の名前にも詳しくはない私も心から満喫いたしました。23日までの上映ですので迷っていらっしゃる方はどうぞ足をお運びください。
解説によればロイヤル・オペラ・ハウスのファン組織60周年を祝福する公演であったそうです。(プロ野球でいうファン感謝デーでしょうか)

幕開けはラフィーユ・マル・ガルデ序曲。曲を聴いているだけで、例え無背景であってものどかな田園風景やニワトリの鳴き声が聞こえてきそうでほっこり。
パ・ド・ドゥはアナ=ローズ・オサリヴァンのつま先の細かな刻みや腰の捻り1つにしても音楽を放っているようで気持ち良く鑑賞いたしました。
『マノン』第1幕寝室のパ・ド・ドゥは高田茜さんが燻った退廃感を匂わせる魔性の少女っぷりに驚かされ
カルヴィン・リチャードソンは失礼ながらお名前も存じていなかったものの(無知で申し訳ございません)、
純朴な苦学生なひたむきさとマノンの恋い焦がれ甘美や快楽の世界へと身を置き始める危うさが合わさって、抜粋であっても物語の中へ没入できた気がいたします。
ウェイン・マクレガー振付の『クオリア』はシンプルなレオタード(確か)であっても
均整のとれた身体が繰り出すシャープな柔軟性が光るメリッサ・ハミルトンに衝動を覚えました。

FOR FOURは男性4人が踊るクリストファー・ウィールドン振付作品 で、世界初演時と同様に今回のバレエ団初演も
マシュー・ボール、ジェームズ・ヘイ、ワディム・ムンタギロフ、マルセリーノ・サンベ、と全員主役級クラスを投入。
男性のみの作品と聞くと力強さ強調系かと思いきや良い意味で逆行していて、しっとり物憂げなシューベルトの音楽にのせて滑らかに動きを紡いでいく展開でした。

最も先鋭的と思わせたのはジョセフ・トゥーンガ振付SEE US!!。ヒップホップを取り入れたそうで、重心低く弾む振付が多々あったかと思います。
正直ヒップホップとバレエが結びついてこその化学反応と唸らす印象は薄めでしたが(失礼)、バレエの寛容性に再度気づかされた次第です。
近未来風のレオタード衣装で踊る『ディスパッチ・デュエット』ではウィリアム・ブレイスウェルがモダンなものを踊る姿が新鮮で
(私が単に観ていないだけかもしれぬ)オサリヴァンのパワーやオーラに負けぬ身体能力の駆使に着目。
また上演前のインタビューにて振付者パム・タノヴィッツの口から出た「新しい環境に飛び込んで自分を追い込むことで成長する」といった内容の言葉は心にずしり。
今も時折脳内再生が止まらずであったのはブノワ・スワン・プフェール振付『コンチェルト・プール・ドゥーふたりの天使』。
映画『シェルブールの雨傘』を好む者として歓喜する選曲で、この音源もダニエル・リカーリが歌っているものかと思います。
踊りのスケールも近年更に拡張化したナタリア・オシポワと、ルドルフ皇太子役も踊っているとはいえ私の中では晴天系作品の印象が強いスティーヴン・マックレーが
郷愁感を覆いながら疾走したり2人の身体同士吸い付き合ったりとめまぐるしい展開も飽きさせず。

そしてFOR FOURと対をなす作品として振り付けられたとの話から興味津々であった『プリマ』は世界初演。振付は現団員のヴァレンティノ・ズケッティ。
どうやら私が観に行った2013年のロイヤル来日公演『不思議の国のアリス』3幕で3人の庭師だったようだが記憶欠乏で失礼。
フランチェスカ・ヘイワード、金子扶生さん、マヤラ・マグリ、ヤスミン・ナグディが時に流麗に、時にきびきびとクールに舞い、同時に舞台に整列しかも背景も無し。
ヴィヴィッドカラーを組み合わせ、スカートの一部分が捲れて裏地を生かしたデザインも大胆で
FOR FOURと同様来日公演での鑑賞がより楽しみ。Bキャストも観てみたいと欲が増している段階です。特に佐々木須弥奈さんがどのパートに入りどう踊るか気になります。

締め括りのバランシン振付『ダイヤモンド』全編は使用曲でチャイコフスキー作曲の『交響曲第3番ポーランド』及び
2006年のマリインスキー来日公演でお目にかかったロパートキナ率いる布陣での全編披露における高貴で崇高、繊細な空気感や
近寄り難い威厳とほのかに見せる温もり、アンティークジュエリーを思わす頭飾りや衣装の装飾といい生涯忘れぬであろう名舞台がどうしても横切ってしまい
比較はしないと決意しても難しうございました。ただロイヤルのパワー溢れるゴージャスなダイヤモンドを確認できたのは誠に収穫で
マリアネラ・ヌニェスの圧倒的女王オーラに僅かな親しみやすさも含まれた魅力、脚線が真っ直ぐで立ち姿は綺麗なリース・クラークのペアもなかなか宜しうございました。

だいぶ大雑把な感想で失礼。されど大充実内容で、どれもこれも好みではないからこそ観る大切さを再確認した鑑賞でした。




帰り、映画館が異様な混雑で何事かと思いきや『耳をすませば』上映期間中であったもよう。
1995年公開であっても完売日続出であったようで、公開当時は誕生前と思わしき若い世代の方々も続々入場されパンフレットも購入されていて
公開当時2回劇場に足を運び鑑賞した私も嬉しくなったものです。プレトークなら喜んで引き受けますが、依頼は当然ながらございませんわら。
それはさておき、同時上映された小作ON YOUR MARKも上映されたようです。
ところで耳を、、、に描かれた、主人公の中学3年生月島雫と天沢聖司の色めく展開に黄色い歓声をあげていた方は多数いらしたようですが
私の中では雫の親友原田夕子の父親が視聴している野球中継解説者役にに江川卓さんが配され、
そして雫が食するお菓子のパッケージが「ラッコのマーチ」であった2点にこそ宮崎駿監督のこだわりと美意識を感じた1995年当時の管理人です。



タイタニックも上映しているらしい。セリーヌ・ディオンが歌う主題歌も、大海原を旅するおおらかさを思わせる良き曲でございました。



帰りは映画館と調布駅近くのこちらへ。



イングランドのビールで乾杯!



フィッシュアンドチップス。衣が薄く変な脂っこさもなく、サクッといただけました。



グラスにも模様あり。アクリル板には京王線や深大寺、味の素スタジアム、映画撮影所等調布の名所が描かれている、地元密着なお店です。

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