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2022年8月26日金曜日
キャピュレ卿の回想で幕開け 京都バレエ団『ロミオとジュリエット』 8月11日(木祝)《京都市》
8月11日(木祝)、ロームシアター京都にて京都バレエ団『ロミオとジュリエット』を観て参りました。
http://www.kyoto-ballet-academy.com/a_ballet.php
http://www.kyoto-ballet-academy.com/upload/a_ballet/1650894260_1.pdf
※キャスト等は京都バレエ団ホームページより
構成・演出・振付・指導
国立パリ・オペラ座バレエ団メートル・ド・バレエ
ファブリス・ブルジョワ
指揮
国立パリ・オペラ座バレエ団
ミッシェル・ディエトラン
指導 国立パリ・オペラ座バレエ学校教師
エリック・カミーヨ
演奏
京都市交響楽団
ジュリエット ロクサーヌ・ストジャノヴ
ロミオ フロラン・メラック
ジュリエットの父 山本隆之
ジュリエットの母 瀬島五月
パリス アンドリュー・エルフィンストン
ロラン修道僧 陳秀介
ロザラン 藤川雅子
ティボルト 鷲尾佳凛
マキューシオ 金子稔
マキューシオ友人 福田圭吾
マキューシオ友人 福田紘也
ストジャノヴは初見。ジュリエットにしては随分と高い上背に驚かされましたが、飛び抜けた近寄り難さすら漂わせる美しき令嬢な雰囲気は満点。
ただこれまでにも背が高く大人びた役の印象が強いダンサーによるジュリエットは何名か鑑賞し
ふと無邪気な少女らしい無垢な一面も何処かしらでチラリと覗かせたところからの
運命の危うい恋への突っ走りに展開は把握していてもこちらまでが手に汗を握る思いに駆られていたことを考えると
もう気持ちときめきの喜びであったり戸惑いが表出されると尚のこと感情移入できたかと思います。
メラックは東京の新国立劇場で開催されたバレエ・アステラス2013にてオニール八菜さんと『眠れる森の美女』での共演は記憶しており
年月を経て脚の出し方からしてより気品も増していた印象。友人達との戯れでも1人だけ一貫して穏やかで
マキューシオらがわちゃわちゃと騒いでいても冷静に傍観している様子を示し、
だからこそあれよあれよと運命に翻弄され遂にはティボルトを刺殺してしまう激走展開がロミオの大変化を表していたと思えます。
そして最たる印象に残った方々が今回お2人、まずは山本さんによるジュリエットの父ことキャピュレ卿。
大概は3幕冒頭で流れる重たく不穏な曲が1幕プロローグで演奏され、幕が開くと上手側隅に書斎にて
掛けられたジュリエットの遺品のドレス眺めては愛娘の死を嘆くキャピュレ卿の回想から物語が始まる演出でした。
押し潰されそうに悲嘆に暮れ、自身のジュリエットに対する仕打ちを涙ながらに後悔する姿が哀れみを誘う幕開けです。
一族の色である紅色に近い赤や茶色を基調とした格式ある重厚な装いも絵になり、争いで騒然とした広場に現れ佇むだけでも空気の色が締まり変わったのは明らか。
瀬島さんのキャピュレ夫人と並ぶとこれまた大迫力でございました。
そしてもう1人がトゥールーズ・キャピトル・バレエ所属でいらっしゃるマキューシオの金子さん。
「訳あって」2016年に撮影されたとあるリハーサル動画にて何十回どころではない繰り返し視聴を筆頭に
現地の舞台写真等で目に触れておりましたので是非一度生で観てみたいと願ってきたダンサーのお1人でした。
とにかく芝居が自然で舞台を率いて、しかもマキューシオの友人役福田圭吾さん紘也さん兄弟も引っ張っては馴染んではしゃぐ身の置き方も絶妙。
その場がパッと明るくなる上に身体が雄弁に語り、決闘やティボルトをからかう、また乳母との掛け合いといった
お茶目に踊る場面も上体や脚先に至るまで美しさを維持していた点にも目を見張り、トゥールーズで古典からコンテンポラリーまで、ありとあらゆる作品を長年踊っていらっしゃる経験が窺えました。
ヌレエフ版の古典の経験を重ねるとアレグロの脚の強さ美しさが鍛えられるのであろうとも想像しつつ観察。
ちなみに金子さん、料理人な一面もあるそうで、2年ほど前のアーキタンツブログでの舞台写真(ガラと思われるヌレエフ版シンデレラパ・ド・ドゥも)の他
巨大なローストチキンの写真が下に敷かれた彩り豊かな野菜も含めて美味しそう。仲間と共同でSNSに投稿なさっているようで、どうぞご覧ください。
ティボルト軍団には京都バレエご出身で現在は新国立で活躍中の西川さんや菊岡さんの姿もあり、鋭い存在感を見せてくださいました。
京都バレエ団においてもここ数年は例年通りな公演ができず、久々に主要役、指揮者、指導者揃ってフランスからの招聘公演の実現を目にできたのは幸いでございました。
初めて貴船神社へ。駅からバスは出ているが混み合っていたため徒歩で移動。灯篭が並ぶ名所、赤が鮮やか。
川のせせらぎに耳を傾けながらいただくお素麺と鮎の塩焼き、グラスの日本酒。
初めて真夏に訪れた京都、束の間の涼を満喫です。
ロームシアターテラスからの景色。夏空です
帰り、京都駅新幹線改札近くの通路沿いで見つけふらりと入店イタリアン。赤ワインで乾杯。
前菜の盛り合わせがキャピュレ家の色で整っております。
複数人で取り分けてちょうど良さそうな量でしたが空腹であった管理人、1人で美味しく平らげました笑。
九条ネギとシラスのピザ。これまたトマトソースの赤がたっぷり凝縮、そして九条ネギの優しい苦味がよく合っています。
生地は薄め、1人でも難なくいただけました。
イタリアンのお店と同じ通路にて出店していたカヌレ店にて好物のピスタチオ入りを1個購入。
1個であってもお洒落な箱に詰めてくださり、トリコロールリボンを手にぶら下げて歩くと募る妙な優越感笑。
パリと京都が東海道新幹線のテーブルでも共演、京都バレエ団公演の余韻に暫く浸っておりました。
丈夫で綺麗で長めのトリコロールリボン、『パリの炎』でも役立ちそうです。
踊るならばフランス革命についても再度入念に学ぶ必要がありそうですが、その前に踊るわけございません。
踊ればズンドコドッスン、幼少期から芸術は鑑賞と座学が性に合っている管理人でございます。
それはそうと、さらば京都また会う日まで!!
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