2022年8月16日火曜日

【お茶の間観劇】GGGガチョーク讃歌プロジェクト  8月8日(月)

大阪国際交流センター開催されたGGGガチョーク讃歌プロジェクト8月8日(月)公演を配信アーカイブを視聴いたしました。
https://ggg-26.jimdosite.com/

ダイジェスト動画がございます。どうぞご覧ください。




ガチョーク讃歌

何処か鬱々とした重たく憂愁を帯びたピアノの音色で「プエルトリコの土産」が始まり、
薄暗さかから徐々に明るくなりつつ、静止し立ち並ぶダンサー達のシルエットが浮かびながら開幕。
リードを務める佐々木須弥奈さんがしっとりされどしなやかに歌う身体が要所要所を締め、アンサンブルの方々の腰の入れ方や身体の傾斜ポーズ、
音楽への身の委ね方にも迷いがなく、リモートではあっても現振付家からの指導の成果が窺えました。
それにしてもガチョークを観るたびに思うがこのゆったりシャツの下に女性はスカートとパンツの組み合わせにしたデザインは
どなたの提案であったか気になるところ。お洒落でユニークであると毎度感じております。

やや重たく静かな雰囲気で覆われていると、続いて「ある詩人の死」。ピアノを中心に、心地良く世の中の全てが浄化されそうな潤いに満ちたワルツです。
米沢さんが瑞々しさを全身の隅々から放ち、福岡さんと互いを愛おしむように踊る姿が美しく
時折とびきり可愛らしさも覗かせ、空間を大きく描きながら流れるように舞っていた印象。
福岡さんは前髪がしっかりとあったためか意外にも!?少年な風貌がピュアな要素を後押しし、加えて穏やかなサポートも宜しうございました。
音楽を聴くだけどうしても山本隆之さんの印象が真っ先に過ぎる役で(西日本各地で拝見した日々を思わず回想)
目を光らせて観てしまう役ながら安心感を持たせてくださったのは福岡さんの長年の積み重ねを思わせるどんと構える器の大きさがあるからこそでしょう。
衣装はブルーですがこれまで観たこの曲での衣装の中では最も渋めな濃さで水色に近い色の印象があったため
驚き新鮮に映りましたが、米沢さん福岡さんお2人にしっくりお似合いでした。

最たる速度で賑やかなトーナメントギャロップは女性3人の阿吽の呼吸が不可欠なパート。
突如脚を振り上げたりと腕をブンブン振り回したりとアップダウンの激しい振付であっても
決して乱雑に見えないのは、お三方揃って抜群の身体能力と制御力の持ち主である証でしょう。
特に佐々木夢奈さんの場を明るく導く太陽の如き存在感と細胞の節々まで笑みを湛えているかのように弾む踊り方に引き込まれました。
今月末に西側にて舞台姿を拝見予定、楽しみにしております。

サバンナは当初予定されていた菅井円加さんから下村由理恵さんに変更。(菅井さんはガラのBプログラムにはご出演)
物憂げな眼差しからやがて深い情念すら滲ませ空気を一変させる下村さんのオーラと
揺るぎない技術、軸の強さに目を再び見張り、年齢不詳な魅力を再確認。短時間で1人の女性の人生を切々と体現されていました。

そしてガラリと曲調変わってバナナツリー。従来のこのパートの印象よりだいぶ綺麗目な趣きでしたが
(嘗て観た福岡さん福田圭吾さんコンビによる吉本興業も仰天な鉄板の笑いが基盤になってしまったと思われる)
佐々木嶺さん山口浩輝さんがコミカルに品を崩さず人間ゴム毬や知らぬ間の馬跳びに至るまで披露。
最後瞬く間にフィナーレのマンチェイガーに突入し、出演者が徐々に舞台上に勢揃いし
名物ともいえる手を繋ぎ輪になったダンサーの腕に絡んで女性がしがみ付き力強い遠心力でぐるぐると回る遊園地のアトラクションの如き振付も沸かせました。
実は大阪にてある年に鑑賞したとき、しがみ付いた女性がなんと舞台の隅っこに飛んで行ってしまった事件が発生し(何事もなかったかのように本人は踊っていましたが汗)
スリル満点な振付でございます。舞台中央のみならず上手側では福岡さんが米沢さんの頭を下に、脚は垂直に上に伸ばした体勢にして持ち上げたままくるくると回転。
この振付を初めて目にしたとき、会場が大阪であった影響か、人生初の関東外でのバレエスタジオの舞台鑑賞であった興奮からか
通天閣リフトと名付けた15年前の私をお許しください笑。それだけ持ち上げる側も上げられる側もほぼ垂直で高々な状態なのです。
音楽が最高潮に達する中で対角線上を突っ切って跳躍を繰り返しながら舞台袖へと入り、幕が下り高揚感がなかなか落ち着かぬ幕切れでございます。

関西圏では度々上演されていて馴染み深いであろう作品を今になって公式上演への踏み切りは代表の春田琴栄さんにとって勇気ある決断であったと思います。
またガチョークのみならず前半にはガラも用意し、初日には著作権が厳しい矢上恵子さん作品も配信にて堪能できたのは満足度高く
2年前のKバレエスタジオ公演にて矢上恵子さんによるコンクール作品集にて鑑賞して以来、
また翌年2021年のバレエカレッジにて恵子先生の愛弟子達大集合の講座でも取り上げて詳しい解説をしてくださったFROZEN EYES〜凍りついた目〜は
もう一度観たい作品でしたので今回の上演は誠に喜ばしい限り。
目が狂おしく物語り抜け殻状態であっても壊れた心の内を巧みに表現する佐々木夢奈さんの危うさを秘めた踊りが刻まれております。
そういえばこの作品初演は田中ルリさんと、佐々木3姉弟のお父上であり、プロジェクトのバレエマスターを務められた佐々木大さんであったと思い出したのでした。

観客としてではありますが、今や地下鉄路線図を見ずにさっさか移動も出来るほど
まずまずの土地勘は身についた大阪での初バレエスタジオ舞台の鑑賞時に出会った思い出深い作品の公式上演に東京から嬉々として拍手をお送りいたします。
2014年には東京国際フォーラムで開催された一部分のピアノソロ演奏にも足を運んだ日も思い起こされます。
今回の配信ガチョークでは時々親戚面もしながら月曜日公演のみのある出演者の見守り隊員もついしてしまいましたが笑、公演の成功を心から讃えたいばかりです。


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