2021年7月16日金曜日

希望を灯すベジャールプログラム 東京バレエ団  HOPE JAPAN 2021 7月4日(日)




7月4日(日)、東京バレエ団HOPE JAPAN 2021を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2021/hope/index.html


※キャストはホームページより

「ギリシャの踊り」
音楽:ミキス・テオドラキス
振付:モーリス・ベジャール

2人の若者:池本祥真、昂師吏功 
パ・ド・ドゥ:秋山瑛、大塚卓 
ハサピコ:上野水香、ブラウリオ・アルバレス 
ソロ:樋口祐輝

恐らくは2009年以来の鑑賞、そのときは中島周さんがソロであったかと記憶しております。
ギターの音楽も気に入り、女性のみであったか裸足とシューズ有り両方を駆使した、クラシックを基盤にしつつも
自由な爽快感が適度に交わり、もう一度観たいと願っていた作品です。
幕開けのブルーを背景にしたダンサー達のシルエットが神秘的で波打つ爽やかな音楽が気持ち良く
外は高湿度な大雨でもこの40分だけはカラッとした晴天のエーゲ海を眼前にした気分。
樋口さんが晴れやかで伸びやかなソロで舞台を引っ張ってポーズのメリハリや音楽への反応の良さも目を惹き
秋山さんと大塚さんの空間を大きく描き出す上手さも舌を巻きました。海を愛おしむように全員がひたすら踊り続けるフィナーレも壮観で、定期的に上演して欲しい作品です。



「舞楽」(1988年初演版)
音楽:黛敏郎
振付:モーリス・ベジャール

宮川新大 
伝田陽美、三雲友里加、鳥海創、後藤健太朗

若手時代の斎藤監督の写真がきっかけで知った作品で、共演者の中には勝又まゆみさんや森田雅順さんらが名を連ねていた時代。当時から早32年!?ようやく鑑賞です。
黛敏郎さんの重々しくも歯切れ良い音楽が粋に響き、伝田さんのシャープな力を放つ踊り、視線の運び方の強さにも驚嘆。
尚今回は1988年版上演のため、管理人が32年前の書物で目にしたアメリカンフットボール選手と巫女達の出演は無し。
当時のベジャールのインタビューを読むと中国の古い踊りである舞楽から巫女をイメージし、
アメフトを並べることで過去と未来、東洋と西洋の表現として取り入れた、また巫女とアメフトの形が似ているとも捉えているようですが
巨匠に物申すのは失礼とは承知の上で、似ているとは思えず。素人のぼやきは横に置き、次は全編上演希望です。
ところでベジャールはそのインタビューにて、あらゆるバレエ団がレパートリー入りしていくがゆえに作品の新鮮味を失わないため
前の10年間に『火の鳥』を上演禁止にしたり、(10年ぶりの復活の1本が1989年の東京バレエ団公演での公演となったもよう。
同時上演が舞楽とノイマイヤーの月に寄せる七つの俳句)
過去を引き摺りたくないと『ボレロ』と『春の祭典』も上演をやめていくつもりとも宣言。(私も解釈違いであったら失礼)
しかし現実には今も人気演目として上演され続けており、時代を問わず支持される作品であるのでしょう。そろそろ『火の鳥』も再演を切望いたします。



「ロミオとジュリエット」(パ・ド・ドゥ)
音楽:エクトル・ベルリオーズ
振付:モーリス・ベジャール

ジュリエット:足立真里亜
ロミオ:秋元康臣

東京バレエ団では38年ぶりの上演とのこと。パ・ド・ドゥのみならず若者たちの抗争に巻き込まれ翻弄される場面もあり、
綺麗な幸せだけにとどまらず短時間で喜怒哀楽の体現を求められる難作です。特に可愛らしい印象が先行していた足立さんの表現が胸打つ描写で
幸福から急降下して怒りや悲哀に包まれる流れを、衣装もお顔立ちもピュアな天使のような外見からは想像がつかぬパワーで舞台を支配。
秋元さんとのペアは初見で、滑らかなパートナーリングの中から恋する喜びと苦しみ、渇望を清らかに放出していた印象です。
なぜ38年も上演されずにいたのか不思議でございます。



「ボレロ」
音楽:モーリス・ラヴェル 
振付:モーリス・ベジャール
主演:柄本弾

東京バレエ団でのボレロはギエムと上野さんでずっと観てきており、男性ダンサーによるメロディは初鑑賞。
いたく丁寧に踊っていた印象でしたが、こればかりは個人の好みでまた私の鑑賞眼の乏しさが原因且つギエムと上野さんが刷り込まれているためでしょうが
もう少し身体が柔らかにしなるようなポーズを造形していくほうが目に迫るものがあったかもしれません。
群舞特にリードの4人の呼吸の間合いや刻々と押し寄せては沸き立つ音楽との一体感が宜しく、最後まで集中力切らさぬ緊迫感や鬩ぎ合いも高い満足度でした。

考えてみればオールベジャールプログラムながら爽快な作風から和の要素たっぷりなものまで作品の趣は実に様々。
久々の発掘作品もあり、これからも大事に上演を重ねて欲しいと願っております。
また今回は公演をHOPE JAPAN 2021として、バレエ団自体も度重なる公演中止や変更を余儀なくされながらも、観客の心に希望を灯す舞台を全国に展開。
また諸事情で舞台芸術に触れることが難しい状況にある人々を招待し、幅広い層にバレエを楽しむ機会を設けている姿勢にも敬意を表したい思いです。




帰り、単独でもふらりと入りやすくワインを呑めるお店を上野駅近くで探し入店。1人黙々と外で一杯呑めた時期がもはや懐かしい涙。
お通しのパンも塩気が効いていて(一切れはフォカッチャであると思う)美味しく、ワインが進みました。



メニューを見ると気になる名称、ギリシャのスパゲッティ。
一番小さいサイズを注文したが、どんぶりにびっくり。こりゃギリシャのラーメン笑。
魚介とガーリックが沁み込んでいて、これまたワインが進みました。



上野動物園では、双子のパンダの赤ちゃん誕生。すくすく育っているようです。シャンシャンはお姉さんに。

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