バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
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2021年7月13日火曜日
映画『シンプルな情熱』
Bunkamuraル・シネマにて、『シンプルな情熱』を観て参りました。セルゲイ・ポルーニンがロシア大使館の要人警護を務めるアレクサンドルを演じています。
http://www.cetera.co.jp/passion/
只今公開中作品のためこれからご覧になる方も多いと思われ、詳細内容は控えめにいたしますが
R指定がなされているだけあって序盤から露骨な性描写が続き、ポルーニンのタトゥーの種類の豊富さに目が点になりかけたものの(失礼)
大学の教壇に立って文学を教え研究する仕事や友人関係も充実なシングルマザーのエレーヌが
恋に溺れ、手堅い生活を律することができず壊れていくさまや苦悩を静か且つ大胆に描いています。1人息子ポールが母親に対して疑念を抱いていく様子も
感性の鋭さが描写され、親が思う以上に子は親の背中を見ていてエレーヌの異変に気づくのも早し。
親子間に確執も生じますが何時の間にか丸く収まっていて、その辺りはもう少し丁寧に綴って欲しかった気もいたします。
バレエ映画ではない作品に出演するポルーニンは初見で、エレーヌが没入していく気まぐれで危うい、どこか陰のある男性をまずまず好演。
尚ポルーニンの責任ではありませんが、アレクサンドルの心情にそこまで焦点が当てられておらず、ポルーニンの裸体崇拝映画にも見て取れる演出に思えてしまいました。
私の感受性や鑑賞眼の乏しさが一因ではありますがチラシなどに記された史上最高に美しく官能的、とは私個人としては思えずでございます。
ポルーニンが出演した映画では2018年の東京国際映画祭で観たヌレエフの伝記映画『ホワイト・クロウ』でのソロヴィヨフの鬱屈した雰囲気の体現が上手く、少ない出番ながら印象に残り
同年12月に公開されたディズニー版『くるみ割り人形』にも出演していたもののこちらは本当に出番が少なくそして印象に残らず(失礼)、
どんな役であったかすら思い出せずにおります。ミスティ・コープランドに比較すると僅かな出演時間でございました。
ディズニー映画は決して私の好みな分野ではないながら、作品よりも試写をご覧になった某ダンサーによる解説文におけるあらゆる要素を網羅した余りの詳しさや
1回しか観ただけとは到底思えぬ記憶力の良さのほうが印象先行となり、結果として鑑賞の手助けとなったのは今もよく覚えております。
今回の公開記念として2017年に話題となった『セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』も再上映されていますがこちらもまだ観ておらず。
4年前はメディアでも取り上げられる機会が多くあったのか、バレエ好きでない方からも作品について尋ねられたり、
「優雅な野獣」とは意味が矛盾する気もするが美を備えた野獣なんぞ存在するのかとのご質問もあり。
存在しますが但し南仏のバレエ団制作のDVDに限るとまた話が蛇行しそうになって喉元で引っ込めた4年前の公開期間中でございましたがそれはさておき
今回ポルーニンは一切踊ってはいませんが、パリのみならずフィレンツェ、モスクワにも跨る物語で海外周遊の気分も味わえるかもしれません。
尚、管理人はモスクワのトヴェルスカヤ通りの映像に胸躍り、赤の広場すくそばの大通りの賑わいの懐かしさが沸き立った次第です。
ちょうどBunkamuraにてパリ祭開催中。
終映後、気分はパリの人間。管理人が似合わぬカフェにてタルトタタンと白ワインで乾杯。シャンパンにも合うとメニューに書かれていましたが
ちょいとお値段が張り、またシャンパンは5月から先月半ばにかけて自宅にてボトルで飲む機会が多く、白ワインを選択。
りんごをたっぷり使ったタルトに芳しく爽やかな喉越しのブルゴーニュ産白ワイン、よく合いました。
パリ祭の一環で、幸運にもアコーディオンとヴァイオリンの生演奏時間帯に居合わせ
ここはパリかと錯覚。海外渡航がまだ困難なご時世、嬉しいひとときでした。
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