2023年8月27日日曜日

ようやく生で全幕フランツ!! 胡桃バレエスタジオ40周年記念発表会『コッペリア』8月13日(日)《神奈川県川崎市》





8月13日(日)、新百合ケ丘駅近くの麻生市民館ホールにて胡桃バレエスタジオ40周年記念発表会『コッペリア』を観て参りました。
2019年のDance the Dance Vol.3にも足を運びたかったのですがどうしても行けず、今回ようやくの鑑賞です。
https://kurumi-ballet.net/

神奈川県、東京西部のタウン情報紙に、今回の発表会を区切りとして伊藤胡桃先生から武石先生、中澤先生に受け継ぐスタジオ運営について綴られています。
https://www.townnews.co.jp/0205/2023/07/28/689870.html

ゲストに新国立劇場バレエ団渡邊峻郁さん、後藤和雄さん、宮本祐宜さん、東京バレエ団の山下湧吾さん、芝岡紀斗さん、
卒業生で現在新国立劇場バレエ団アーティストの関優奈さんを迎えての記念舞台でした。

第1部は『エフゲニー・オネーギン』ワルツにのせてのデフィレや大人の生徒さん達のSonata di Rossini、『白鳥の湖』パ・ド・トロワ、
そして武石光嗣さん振付のコンテンポラリー作品Spiegel。全幕を控えていますから適度な本数、長さでした。(これ大事)
生徒さんはほぼ全員出演と思われるデフィレは勢揃いした光景が瑞々しく、これから始まる舞台にわくわくと一層楽しみが強まり、
大人の生徒さん達の生き生きとした活力溢れる姿やトロワの綺麗で上品な可愛らしさにも癒されました。
Spiegelは宮本さんを主軸に生徒さん6人と共に摩訶不思議でクールな雰囲気の中で踊られ、
舞台の両サイドを用いた演出も作品がより拡張して面白く見える効果もあり、瞬く間の時間でした。

第2部は『コッペリア』全幕。スワニルダは1・2幕は生徒さんで3幕は関さん、フランツが渡邊さん、
コッペリウスが後藤さん、市長が芝岡さん、フランツの友人が宮本さん山下さんです。
1・2幕のスワニルダを踊られた生徒さんがしっかりと安定感のある踊りもさることながら芝居が大変お上手で、舞台を立派に率いていてお見事。
特に1幕フランツとの絡みにおいては一貫して不機嫌でプンプン怒っている演出で、下手すればただの怒りん坊になりがちにも拘らず
側に寄ってきたときにさらりと交わしたり、許しそうに引き延ばしつつやはりまだ怒っている状態を表現したりと
自然な流れで配分バランスも絶妙な加減でセンス抜群でした。フランツと共に踊っていない場においても舞台にいる時間が長く、
追いかけられてもすかさず避けて行ってしまう構図を可愛らしくも颯爽と見せながら
2人の浮き沈みな関係性を客席から笑いをも起こしそれぞれの場面をリードしていた印象です。
いくら劇中のやりとりとはいえ、新国立のプリンシパル相手にずっと不機嫌になり続けるのは容易ではなかったはず。
2幕でもどうしようもないド天然なフランツを救出しようと、スペインもスコットランド人形な踊りもシャキシャキとこなされ、
強烈な個性のコッペリウスとの対決も落ち着きを払いながら堂々と挑んでいて
こりゃフランツも頭が上がらない、賢く強いスワニルダとして物語を生きていました。

そしてようやくようやく、長く待ち望んでいた渡邊さんの全幕『コッペリア』フランツを生で鑑賞。
スワニルダに怒られっぱなしなだいぶ間抜け、ド天然青年が舞台に現れました。バルコニーにいるコッペリウスによる魔法で序盤から自在に操られ、
すこんと正座して座り込んでしまったりとやられっぱなしなちょいと可哀想な(愛すべき鈍感と言うべきか笑)青年をチャーミングに踊られていました。
先にも触れた通り、コッペリアに夢中な様子に機嫌を損ねたスワニルダになかなか振り向いてもらえず、捧げた花も捨てられてしまい
近寄ってもささっと交わされて先に歩いて行ってしまわれるかなり情けない姿をご披露。
嬉しいことに1幕も舞台に滞在している時間が長く、彼女が鬼になっていると仕草で友人に訴えては同情の反応を誘い
こどもたちの一員から慰めてもらう様子からも憎めない青年で、フランツ友人とのトリオでの踊りの見せ場もあり、活気付く広場を盛り上げてくださいました。

2幕ではコッペリウス家の不法侵入からして笑わせてもらい、正面のドアへ後方から梯子で登ってくるガラス戸越しのぼやけた姿からして間抜け度満点。
中に入ると整列しているのが人形と安心し、すると背後から忍び寄ってくるコッペリウスに振り向くも複数回の寸止め姿に人形と思い込み、
挙げ句の果てにコッペリウスがかけている眼鏡をクイクイっといじっては再び人形とみなしてホッと胸を撫で下ろす判断力のなさに大笑い。(褒め言葉です)
180センチの長身が嘘であるかのようにコッペリウスに追い回され逃走を図るも捕まってお仕置きをとことん受ける全身泣きっ面状態も衝撃でございました。
秘薬入りのお酒を飲まされたとき、テーブルや腰掛けた椅子がやや小さく、かえって異質な存在感を濃くしていた点もまたフランツのおっちょこちょい度を上昇。
突っ伏したテーブル上で寝返り打ったり、目を覚ますところは二日酔いのサラリーマンのようでしたが笑、
過ちを恥じてスワニルダに詫びる流れに説得性を持たせていた印象です。
2人で逃げるときだけはスワニルダの手を引っ張る頼もしいリードで、やるときはやるフランツなのでしょう笑。

3幕は結婚式の開幕に関さんと優雅に登場され、2人揃って白い婚礼衣装がしっくり。
真ん中を踊る姿も、渡邊さんと組まれるパ・ド・ドゥも初見の関さんでしたが音楽をたっぷり全身で使いながら紡いでいく優雅さに見惚れ、渡邊さんとも高相性でした。
本拠地ではまず組むことがないお2人であっても、じっくりと交わす視線や手の取り方1つ1つから丹念に積み上げていく喜びが伝わって幸福に満ち、
少し戻りますが人形の破損をコッペリウスに詫びるスワニルダの姿も、1、2幕を通して踊ってきたかのような反省ぶり。
渡邊さんはフランツのソロでよく耳にする『泉』の曲ではなく通常『シルヴィア』で使用される曲でのソロで珍しい回転も晴れやかに冴え渡り、
なかなか目にする機会のない曲ながら昨年多摩センターでの発表会以来再び拝見でき嬉々たる思いでおります。

コッペリウスを踊られた後藤さんのお力にも恐れ入り、てんやわんやな話をガッチリと支え、みるみると面白味ある方向へ導いてくださいました。
1幕序盤からフランツに目をつけ、バルコニーから魔法を仕掛けてはシメシメと企むお姿からして
元の容貌が最早分からぬほどの変わり者お爺さんメイクも違和感なく笑、陰気な不気味さを醸して魅了。
フランツとの丁々発止で波長は最高潮に達し、現行犯逮捕の警察官の如くとっ捕まえての達者なお仕置きや
秘薬入りのお酒を飲ますときには後半はグラスを口にくっつけさせてフランツを仰け反らせながら無理やり大量摂取させる横暴ぶりもど迫力。
コッペリアに変身したスワニルダとのバトルもただ可笑しいだけでなく互いに一歩も譲らぬ緊迫感も漂わせ、ビシッと締まりあるやりとりを構築されていました。

全体の演出も見応えがあり、全員の生徒さんが何かしら主役な出番、見せ場になるよう
場によって大人の生徒さん中心、小さなお子さん達が中心、と目立つ場を作りつつ登場の入れ替わりもスムーズで賑やかな広場の様子を描写。
小さな生徒さんを除けばほぼ全員が1幕は舞台上の何処かしらに配置されていた記憶もあり、もしかしたら決して大人数のスタジオではないため
舞台に隙間ができぬよう策を練った演出であったのかもしれませんが結果としてスワニルダとフランツを軸に活気に溢れる空間と化していた印象で
生徒の皆様が脇にいても芝居上手で流れも自然。2幕の人形達は音楽の変化に合わせて更に人数が増えて
コッペリウス家の人形大宴会な雰囲気も色づき、スワニルダがスペイン、スコットランド人形を踊るときには
それぞれの人形達も加わって一段と立体感が増し、工夫が行き届いていたと思わせました。
コッペリア役の生徒さんの静か且つフランツが惹かれるのも頷ける、カクカクしているだけでない可憐な人形の佇まいや
随分とスタイリッシュな芝岡さん市長のふともたらす心和む存在感も忘れられず。(芝岡さんと言えば、東京バレエ団マラーホフパン眠り初演時カラボスが脳裏を過ります)
全編通して楽しくて仕方ない胡桃バレエ版『コッペリア』全幕でした。

スタジオ40周年おめでとうございます。節目にこうも楽しい心躍る舞台にお目にかかれた喜びに感謝し、心よりお祝い申し上げます。
そしてここまで徹底してお調子者でど天然間抜けな(褒め言葉)全幕フランツを拝見できるとは、2月に起きた生涯背負うであろう二・二三事件の悔しさを少しは晴らした私です。




実はこの会場、太古の昔に私が高校生のとき芸術鑑賞教室で落語と漫才を鑑賞した会場でございます。
都内の小田急線沿線に位置する公立高校でしたので、他に映画鑑賞教室でも来ていたかと記憶しております。
まさかのちにバレエ観に行くとは、しかも私の中では地球上の2大貴公子でいらっしゃるうちのお1人を目当てに足を運ぶ機会に恵まれるとは当時は知る由もありませんでした。
芸術鑑賞においては生徒間では落語が大好評で後日に地理の授業冒頭に先生が皆で感想を語り合うのも大切だからとを時間を設けてくださったことは今も覚えております。
鑑賞日当日は社会科の教師を目指していた教育実習生が担任をしていた時期で、しかし他の現職の先生方よりも遥かに貫禄があり笑
会場前で声を張り上げて出欠を取る姿や、私が日本史で最も混乱していた蘇我馬子や蘇我入鹿、聖徳太子あたりの奈良時代の出来事を
現職の先生よりもすっきりわかりやすく説明してくださったりと、余計な装飾をしないシンプルな路線がいかに大事かを体感。(今の私にも言い聞かせたいが汗)
もっと長く、可能なら卒業まで常駐して欲しかったお方であり、平清盛あたりの時代も整理して教えていただきたかった実習生でした。
胡桃バレエさん鑑賞2週間前に奈良寄りの東大阪にバレエ鑑賞へ行き、紫といえば聖徳太子を思い浮かべる原点であったかもしれません。
実習生だった期間限定の担任の先生、お元気でお過ごしでいらっしゃることを願います。



悪天候予報が出ていて往路は新百合ケ丘駅から会場へ向かおうとしたタイミングで豪雨に見舞われましたが通り雨で暫くすると止み、いざ会場へ移動。
帰りは降らず、ささっと最寄駅近くで乾杯。コッペリウスが飲ませた特製の薬入りお酒は赤ワインか白ワインか、気になるところ。



季節限定のパスタがございました。北海道帆立冷製パスタとのことで、7月の北の大地での滞在を思い出します。今年再び行きます!
それにしてもパスタに使用の小麦の説明文を読みながら思った、麦の穂は本当に鳴るのか知りたいものです。

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