2023年8月11日金曜日

1年越しのフロリナ姫  清水純子バレエアカデミー第40回発表会  8月2日(水)




8月2日(水)、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて清水純子バレエアカデミー第40回発表会を観て参りました。
当ブログレギュラーの我が後輩が幼い頃から通っているスタジオで、初めて足を運んだ2006年以来今回で恐らく6回目の鑑賞でございます。
http://shimizu-sumiko-ballet.jp/

今回は節目の40回であり、清水先生の挨拶文によればこれまでのスタジオの歴史を振り返りながら辿る構成になさったとのこと。
東京シティ・バレエ団で長らく主演を務められ、スターダンサーズ・バレエ団客演での『コンチェルト・バロッコ』といった
日本でのバランシン作品主演先駆者ともいえる清水先生が第1回発表会において
ご自身が踊る『ショピニアーナ』パ・ド・ドゥの写真も掲載されていました。
今回は2部構成のバレエ・コンサート形式で最後は大人数からなる作品で締め括られ、渋谷にて楽しい清々しい夏の夕べを満喫です。

特に面白く印象に残ったのは、まず大人と子供の生徒さん混合の9名で披露されたハンガリア舞曲で、音楽はブラームスでしたが私には馴染みない曲で寧ろ興味津々。
交互に入れ替わり立ち替わり次々と出演者が登場しては見せ場を作り、女性2人男性1人によるパ・ド・トロワな部分もあれば
子供の生徒さん達が軽やかに駆けていく箇所もあり、観ている側も気持ち流れに乗りながら鑑賞できました。
男性の軍服姿や一見ファストフード店風な帽子もきりっと決まっていて、女性が装着していた大きめのカチューシャ型の頭飾りが私が8歳のときに踊った
『ライモンダ』3幕チャルダッシュのときのものに似ていて、 (大変な少人数教室であったため8歳児も駆り出された笑)親近感も沸いた次第です。

それから私の中で今回最大の目玉であったのが当ブログのレギュラー我が後輩が出演した『眠れる森の美女』よりフロリナ姫と青い鳥のグラン・パ・ド・ドゥ。
細かなパ・ド・ブレで登場して立ち位置についたときからこれぞ姫!と唸る気品を醸し(これ大事)、
青い鳥を務められた吉野壱郎さんと視線を交わす度にお互いの幸福度が更に上昇していたのも明らかでした。
少数派でしょうが、眠りの中の『青い鳥』の原作が私はいたく好んでおり、関心を持ったのきっかけは
2018年6月の新国立劇場バレエ団イーグリング版『眠れる森の美女』DVD化された配役陣の日でした。(興味をお持ちになった方は是非お買い求めください)
読んでみると若手が配される、或いは発表会でも定番な印象ががらりと覆され、バレエでいうならば『ラ・バヤデール』『白鳥の湖』『シンデレラ』を
足して3で割ったような愛憎劇。略奪や誤解、嫉妬、嫌がらせ、といった泥沼な試練を乗り越えていく姫と、青い鳥に変えられた王が命懸けで愛を育む物語でございます。
(ざっとな説明ですの是非皆様、特にフロリナや青い鳥を踊られる予定の方、指導する先生方、お読みいただけたら幸甚です)
そんなわけで、単にひらひら軽やかに踊れば良いパ・ド・ドゥではないと私は思っております。
遂にお披露目となった後輩と吉野さん組の踊りを観ると、ただ振りをなぞるのではなく
まず立ち姿やポーズが2人とも美しく品格がある上に、原作の試練続きな物語を彷彿させる心の通わせ紡がれ感激!
後輩フロリナの、薄い青に細かな金色模様彩る王女な衣装も、頭には羽とティアラ合体型頭飾りも絵になる姿でした。
フロリナのヴァリエーションも、どうしても子供のヴァリエーション大会での演目として選ばれがちな印象がありますが
後輩が踊っている姿を観ると可愛らしいだけでなく、幾度の苦難を乗り越えた姫の内面の厚みまでもが外側に表れ、格式高い優雅さを感じさせる姫。
後輩のおかげで大人が踊るからこその魅力、そしてパ・ド・ドゥの醍醐味を堪能させてもらいました。

実は後輩、昨年の発表会での『眠れる森の美女』第3幕上演にて披露する予定が直前になって出演を断念せざるを得ない状況になってしまい
私ですら悲しみに暮れましたから本人の心境を思うと谷底に落とされた思いに沈んでしまったのは想像に難くありません。
当の本人も切り替えるのは時間を要する状態であったでしょうに、自身が出演できなくてもスタジオの皆の応援に行ってほしい、
そして私から幕間終演後レポートを送るたびに我が事のように喜ぶ連絡を自宅から送ってくれる様子から
何て心の優しい人柄であろうかとこちらが励まされる、そして頭が下がる事態になったほどでした。
あれから1年、やっとやっと、ようやくのお披露目。勿論この1年もドキュメンタリー映像制作できそうなくらいに苦しいこともたくさんあったはずで
「フロリナ」ジェクトX〜青い鳥の延長戦〜、私に映像制作能力があれば作りたいものです。(今話題の、某巨大SNS企業の変化を思わす題名である汗)
それはそうと、後輩は私の周囲でも大人気で、無事発表会終了の旨は後日に新国立劇場で開催された
バレエアステラス2023の会場でも話題となり、祝福の声をたっぷり浴びてきた私でございます。

彼女の舞台を観ていると、元々華やぐオーラの持ち主で今回はパ・ド・ドゥのみの抜粋であって無背景のはずが
煌々としたシャンデリアやベルベットのカーテン、宮殿の柱が目に見えてくるような錯覚が与えられ、空気をその役柄の世界に変える力の持ち主であると再度感じました。
また舞台には人柄や人間性が表れるとよく聞きますがまさにそう。ただ1人で煌めくのではなく、パートナーの吉野さんと調和しながら2人で喜びを表現。
また舞台以外においても、例えば繁華街や待ち合わせ場所に彼女が出現するとその美しく華麗な容姿及び
私より3センチ高い程度の身長差ながら腰位置は15センチは高く、プロのダンサー思わすオーラですぐ分かるのですが1人で麗しくシャンデリアな輝きを放つだけでなく
隣にいる廃棄寸前な使い物にならぬ錆びれた蛍光灯状態な先輩の私にも光を灯そうとしてくれる優しい性格でございます。
そういった内面の美しさや、日頃から劇場にも足を頻繁に運んだり原作にも目を通す教養の豊かさもまた舞台に広がっていたのは間違いありません。
欲を言えば、彼女は余りに謙虚な塊の性格であるため私の能天気で調子に乗りやすい性格を分けたいのだが、一向に受け入れてもらえません笑。
そこがまた後輩らしいところです。

5人の『レ・シルフィード』ハイライト版もよく練られた構成で、パ・ド・ドゥの2人を3人が囲うように位置についた幕開けはコール・ド付きの従来の形式と同様。
ワルツ、マズルカ、プレリュードそれぞれソロを踊られた生徒さん達皆さんがショパンの曲を優美に体現しパ・ド・ドゥにも繋げていて、
例え大人数のコール・ドが無しであっても世界観を伝えていたのはお見事でした。

また、ペザントパ・ド・トロワのほのぼの牧歌的な雰囲気や、近年はピーター・ライト版を多く観る機会が増えた関係で
王道演出は爽やか典雅な宮廷の宴の風景であったと思い起こさせてくれた白鳥の湖パ・ド・トロワ、
公演やガラでも見慣れた自分が恐ろしいが本来ならば人間業ではない32回転に臆せずチャレンジした黒鳥パ・ド・ドゥにも拍手を送りたいばかりです。
   
講師の1人で小林紀子バレエシアター団員の中村悠里さんが東京シティ・バレエ団のキム・セジョンさんと踊られた『ダイアナとアクティオン』も印象深く、
中村さんの強靭な軸や女神らしい凛とした気高さを放つ踊りにうっとり。
このパ・ド・ドゥ、バレエ音楽王道あるあるであろうズンチャッチャ音楽ですが妙に好きで、中村さんが踊る姿を観ていると
上野の国立西洋美術館の常設展示場にあるテオドール・シャセリオー作『アクタイオンに驚くディアナ』の絵をまじまじと観察した時間を思い出しました。

発表会の締め括りは清水先生が手直しをなさりつつ度々上演してきた『ウィーンの森のミューズたち』。
シュトラウスのポルカやワルツ等からなる、小さな子供から大人まで大勢出演の作品です。
中でもトリッチ・トラッチ・ポルカは運動会の徒競走でも使われそうな急ピッチテンポにも拘らず
息がよく合っていてたっぷり詰め込まれた振付を取りこぼすことなくこなしていく姿に天晴れ。
ちなみに全員大人の生徒さんによる構成で、皆さんの体力、身体能力にも脱帽するしかありませんでした。
最後は『美しき青きドナウ』を序盤はゲストの吉野さん始め大人の方々が優雅に務め、徐々に全員が登場。
小さな子供から大人まで、レベルも年齢も様々な構成の出演者である点を生かし、登場のタイミングやひと踊りする場面の組み合わせ方といい
整理整頓しつつ盛り上がるように良い方向へ持っていく振付演出にも唸りました。
全員が並ぶと壮観な光景で、全幕ではなくても子供から大人まで、1つの作品に取り組む大切さを再確認です。

子供の頃から通い続けている生徒さんもいれば大人になってからバレエに挑戦された方もいらっしゃると思われ、
様々な年代経歴の方が毎年楽しそうに発表会に出演されているスタジオである印象がこの度も刻まれました。きっと、あっという間の40年であったかと存じます。
また来年も楽しみに足を運びたいと思っております!



※ご参考までに、先に挙げた私が青い鳥原作に興味を持つきっかけになったキャスト日収録の新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』DVDはこちらでございます。





後輩へ、ブルーで整えた花束を。カードは地元の書店で見つけました。 撮影時の持ち上げ係は当ブログを通して知り合った、後輩の長年のレッスン仲間です。
ありがとうございます!
私の昨年3月の2年ぶりレッスン再開を後輩と一緒に1日がかりで説得してくれた強者でもあります笑。
某プリンシパルの前で恥晒すのは嫌じゃーと断固拒否し身代わりに行ってくれいと訴えたものの、先輩自分で行ってくださいときっぱり笑。でも結果として良かったのでした。



帰りは4人で会場近くの通りすがりのバルへ。ワインとお肉を前面に出したお店で、外看板を見てすぐさま決定。
まずは4人で乾杯。先ほどの花束持ち上げ係をしてくれた友ともう1人の方は以前から後輩を通して知り合っておりましたがお一人は初対面。
大人になってからバレエを始め、今は舞台にも積極的に出演していらっしゃるらしい!



前菜盛り合わせ。生ハムやレバーペーストだったか、色々あります。ワインが進みます。
あとに注文するものも後輩の好物が自然と揃ってそのたびに彼女の魅力の話題となり、愛されている人柄が一層窺えました。



アヒージョと、エノキとベーコン春巻。ワインが止まりません。
ブランクありの方もいれば子供の頃からの継続者もいれば大人からの開始者もいて
経歴はまちまちなご一緒したお三方の共通点は、長年週に2回なり3回なり4回なりレッスンへ通い続けていらっしゃること。
ごく自然に、私も頻度や回数を申し上げることになり堂々と「年3回程度」と口にすると案の定初対面の方は驚かれましたが(そりゃそうだ笑)
ただ鑑賞回数を添えると納得し受け止めてくださったご様子。お三方とも寛大なお心の持ち主で一安心。後輩と仲良くしていらっしゃるだけある、皆様お優しい涙。



アンガス牛ハラミ。マスタードを少しつけるだけで十分に美味しいお肉でした。赤ワインが合います。
3人の中にはパドドゥ経験者もいて、飲食に気を配ったり体型調整などストイックな準備に頭が下がります。
いずれにしても経験有無問わず、自らの身体を駆使して熱心に美しさを追求している3人。何も考えず能天気に飲酒飲食三昧生活な私とは大違いです汗。



ロゼソース、だったか名称に惹かれ、蟹とトマト味ソースと聞いて注文。白ワインが進みました。
店内では偶然にもびっくり嬉しい出来事もあり、お店の方の接客もさっぱり親切な雰囲気で好感を持ち、
賑やかに楽しく後輩やその他バレエの話題で話が尽きずでございました。


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