2023年6月30日金曜日

新主役誕生の立役者 新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』6月10日(土)~18日(日) 計5回




6月10日(土)〜18日(日)、新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』を計5回観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/



※速報でもないが記事と被る部分もありますが悪しからず。

6月10日(土) 14:00
オデット/オディール:米沢 唯
ジークフリード王子:福岡雄大
王妃:楠元郁子
ロットバルト男爵:中家正博
ベンノ:木下嘉人
クルティザンヌ(パ・ド・カトル):池田理沙子、飯野萌子
ハンガリー王女:飯野萌子
ポーランド王女:根岸祐衣
イタリア王女:奥田花純

6月14日(水) 13:30
オデット/オディール:吉田朱里
ジークフリード王子:渡邊峻郁
王妃:楠元郁子
ロットバルト男爵:小柴富久修
ベンノ:中島瑞生
クルティザンヌ(パ・ド・カトル):廣川みくり、広瀬碧
ハンガリー王女:中島春菜
ポーランド王女:池田理沙子
イタリア王女:五月女遥

6月17日(土) 13:00
オデット/オディール:吉田朱里
ジークフリード王子:渡邊峻郁
王妃:楠元郁子
ロットバルト男爵:小柴富久修
ベンノ:中島瑞生
クルティザンヌ(パ・ド・カトル):廣川みくり、広瀬碧
ハンガリー王女:中島春菜
ポーランド王女:池田理沙子
イタリア王女:五月女遥

6月17日(土) 18:30
オデット/オディール:米沢 唯
ジークフリード王子:速水渉悟
王妃:楠元郁子
ロットバルト男爵:中家正博
ベンノ:木下嘉人
クルティザンヌ(パ・ド・カトル):池田理沙子、飯野萌子
ハンガリー王女:飯野萌子
ポーランド王女:根岸祐衣
イタリア王女:奥田花純

6月18日(日) 14:00
オデット/オディール:小野絢子
ジークフリード王子:奥村康祐
王妃:楠元郁子
ロットバルト男爵:中家正博
ベンノ:木下嘉人
クルティザンヌ(パ・ド・カトル):奥田花純、池田紗弥
ハンガリー王女:廣川みくり
ポーランド王女:直塚美穂
イタリア王女:赤井綾乃



米沢さんのオデットは登場時から腕や背中にかけて背負う悲しみが伝い、
水面がすっと揺らぐように音楽と静かに呼応しながら切々と訴えてかけてくる嘆きに震え思いがいたしました。
ヴァリエーションでの全身を隅々深々と操りつつも力みのない美しさ、空間を大きく使っての削ぎ落とした踊り方にも目を奪われ、じっと観察。

福岡さんは序盤から風格がある立ち姿で一見王位に就く準備は整えていそうな姿からは想像つかぬ、弓を貰って嬉々とする様子に内側に潜む幼さを覗き見た気分。
普段ベンノ以外の前では気を張っての生活続きであろうと思わせます。
以前の記事でも触れた通り、お2人の間から生じるドラマティックな情感が心を誘い、
技術は万全盤石である状態を超越して特段派手なことをしていなくてもじんわりと通わす熱が高まり
特に4幕での引き裂かれそうな苦しさをかちっとしたポーズは維持しつつも全身で深々と歌い上げたり
互いを慈しむような抱擁といい、しみじみとした味わいがあった印象です。

小野さんは他人を寄せ付けない近寄らせない威厳のあるオデットで、心を開かせるのにだいぶ時間を要しそうな高嶺の花。
水晶を思わせる硬質な魅力を秘め、今回観た中では最も女王然としていたヒロインでした。
しかし決して冷たいのではなく、ふと見せる表情に儚さが宿り王子を完全拒絶せず少し隙を与えている姿に吸い寄せられます。
オディールは明快な悪女であった前回とは方向を変えてにっこりとした晴れやかさからの弄るような恐怖感を見せ、これはこれでおお怖し。

速水さんは意外と言ったら大変失礼なのだが、最初からきっちり王子な出で立ちにまず驚き。
いたく思い詰めた様子で、ベンノに呼ばれたからどうにか出てきたが心は空虚なままである様子や
王族の身分に恥じない実直な人生を送ってはいても不安真っ盛りな雲行きが怪しい内面と見て取れ、
開演してから期待度が高くなった次第です。(失礼極まりない客である)。技術も安定し、以前よりも全体の余韻が大きくなった印象でございました。
特に面白かったのは3幕で、まず米沢さんオディールが大攻めで、但し派手な事はせずとも摩る魔力や繰り出すお手本のようなポーズの連鎖に首っ丈になる踊りで魅了。
ふとしたところで肩をしならせたり、アダージオが終わり、捌ける前にそっと王子に触れて艶かしい感触を残して立ち去って行き
4階隅で観ていた私や近場の観客も思わず呻き声を出しそうになったほど。速水さんが触れられた手を見つめて戸惑う反応を細かく表していて、
例えるならばジーパン刑事の王族版と言ったところでしょう。(お若い世代の皆様、ご自身でお調べください)
アダージオでのスケールの大きさも十二分で2人が醸すものがみるみると増幅し、
思えば双眼鏡を余り用いていなかったと記憶。それだけ迫り出しの強さがあるアダージオだったのです。
速水さんのようやくのジークフリード王子デビューで周囲も盛り上げていた点も効果をもたらしていたとは思いますが
オディールが仕掛けては王子が罠に嵌っていく展開にパワーが宿って何十にも重なり
圧迫感のある装置に囲まれていても目に飛び込む迫力があったのは間違いありません。

奥村さんはどこかやさぐれ感ある、世の中を冷めた目で見つめるような表情での登場から国王である父親の死以降、投げやりな生活を送ってきたのであろうと想像。
ベンノがあれやこれや切り出してもなかなか反応を示さないのも納得で、人生の過渡期真っ只中と窺えます。
前述の通り小野さんオデットが誰も寄せ付けない雰囲気を湛えていたため慎重に近づいていて、
オデットとの出会いやアダージオも一見淡々とした安全運転に見えかけたときもあったものの
振り向かせるだけでも難攻不落そうな姫ですから、時間をかけてじっくりな愛の育みであったと推察。
その分、4幕では何もかも振り切ったように決然としたパ・ド・ドゥで心の寄せ合いが伝わり、身を投げる最後は大加速しての幕引きに思えたのでした。

2016年『シンデレラ』池田理沙子さん以来約6年半ぶりに女性の全幕主役デビュー者(長かった)となった吉田さんは
純粋無垢で清純なオデットとして鮮烈に登場。つい高い背丈や手脚が長い点ばかりが注目されてしまいがちですが、単にプロポーションが良いだけではなく
変にくねくねとした動きが皆無であくまですっきり滑らかなフォルムを描きながら踊っていた点にも息を何度も呑みました。
とにかく透き通るように繊細で美しく、登場してバランスを取った瞬間から私は吉田さんのオデットが好みだ、と繰り返し心の中で唱えていた管理人でございます。
初心な部分が残る姫であったのも今だからこその魅力で、まだ重たい悲しみを背負っているよりも
事態を呑み込めずにいるまま白鳥に変えられて間もない頃で、王子に救いを求めているのであろうと勝手に推察した私でございます。
オディールは毒盛り悪女ではなく何処か可愛らしい面を持ち合わせ、ロットバルトに対して素直そうな姫。
王子がのぼせている間にパパのもとへ行き、次の作戦指示を仰ぐときの可愛らしさよ笑。(そしてベンノと儀典長の心配も最高潮になった構図が面白かった汗)
ただ踊り方はダイナミックな美を放っていて、空間移動も大きく爪先が随分と遠い場所に、されどコントロールはしっかりできていて
怖かったり愛くるしかったりと王子を狂わす誘惑も十二分。オデットと同様に大事に触れたくなる王子の気持ちにも頷ける姫でした。

※以下まだまだ続きます。英国ロイヤル祭りで既に疲労困憊な方、ロミジュリ東京後半戦に体力温存なさりたい方は後日どうぞ。

渡邊さんは前回2021年よりも作品の中で幼い部分と成熟した部分の対比がより色濃く描き出されていた印象で
冒頭の葬列での将来を案ずる引き裂かれるような表情での重たい歩みからの1幕の登場では
頭から脚先まで動き方に乱れがなく格式ある王族な佇まいながら心は不安で一杯そうな
まさに父親の葬儀を終えて間もない感が漂い、プロローグからの流れに違和感がなく思えました。
中島さんベンノと並んだときの、太陽に対して月のような翳ある雰囲気もしっくり。
王子お気に入りの監督椅子(よく映画監督やプロデューサーが撮影中に座っていそうな折り畳み式椅子の黒色堅固版といった作りのためこう呼んでおります)に腰掛けても
休憩中にならず、友人達を眺めているときのすっきりした顔からふと鬱屈そうになるときの変化もぶつ切りにならず
前回以上に常に円を描くように自然な流れで心理を描写されていて、暗がりが少しずつ差し込んでいく空模様を刻一刻と微細に醸していらした印象です。
椅子に立て掛けた弓がいつも気になって触れては嬉しそうにしていたのも、まだまだ仲間と遊びたい
男同士で気兼ねなく出かけたい盛りなお年頃と見て取れて微笑ましいひと幕。
3幕での花嫁選びのやる気ございませんたる姿もベンノの前では露わで、
押し寄せる大使達や使節団の圧に耐えつつ取り繕うも、つい本音がポロリと出てしまう、心許せる愛おしい存在と再確認でございました。

今回ようやく気づいたのが3幕にて、登場後玉座への着席を拒否する王子のために、ベンノがわざわざ王子お気に入り監督椅子を持ってくる経緯があった点で
ベンノは宮廷の物置まで把握しているとは驚きで、それだけ常時出入りしていて内部見取り図も頭に入っていると推察。
そして王子はどれだけ椅子がお気に入りなのだ笑。職場でいう、席替え時や引っ越し時に椅子を取り替えたくなけえば名前書いた付箋を貼っておくイメージであろうかと
私自身実際に行っている状況を(職場で使用の椅子、漢字で付箋に姓名明記してセロテープで貼り付けております汗)重ねたのはさておき
堅苦しさや王室からの束縛を拒否したい王妃から離れたいせめてもの意思表示なのかもしれません。
しかしいざオデットではなくオディールヘ愛を誓ってしまったと発覚した直後に駆け寄るのはママの元。皮肉なものです。
全編通して重厚な装置に負けぬ、品格と厚みの双方宿る踊りにも脱帽で1幕の憂鬱なソロのいよいよ暗闇が忍び寄ってくる感傷を帯びていて
柔らかくもすっと抜けるようなしなやかさもあり
3幕ソロは張りのある跳躍やきりっとした見せ方、オディールにのぼせた喜びを品良くも高らかに、
ベンノ達の心配から逆行しての歓喜の飛び散りようを全身で表していました。

今回最たる驚きであったのは吉田さん渡邊さんのペアの魅力で、当然未知数だったわけですが
渡邊さんが吉田さんのフォルムの美しさを引き立てる術や、パ・ド・ドゥも音楽と連動して呼吸も合い、
初心でピュアな姫と成熟した王子でおとぎ話の絵本捲って現れたようなお2人が出現。
ライト版は全体が暗がり覆う色彩や重厚な美術装置が特色ではあれど、2人だけは場面にもよりますが
何処か水彩画な色彩美も放っていて、それはそれは高純度な物語が成立していたと捉えております。
また2人の語らいがしっかり見えていたのも大変響き、出会ったときの逃げ惑うオデットと追いかける王子の鼓動や
白鳥達を前にするとリーダーとして君臨し、弓矢で打たないよう懇願するオデットの強さと、
願いを受け止めて恐ろしい形相で友人達に立ち去るよう命じる王子の豹変等やりとりの流れも実にスムーズ。

2幕の肝であろうアダージオも吉田さんの伸びやかな四肢がしっとりと訴え、そして背が非常に高いはずの吉田さんが
すっぽりと渡邊さんに包み込まれていた印象も潤いで満たされ、今まで組んだどの女性よりももしかしたら背丈のあるパートナーであったとは思えず。
どの瞬間も吉田さんの大きく優雅なフォルムが立体的に羽ばたくように見せる渡邊さんの愛情深さや
安全且つ最大級に魅力が開花するよう、そして渡邊さんご自身も美しく見えるよう
立ち位置やタイミングを考え抜いての職人級のサポート術に今回ほど天晴れと思ったことはないかもしれません。
静謐でゆったりとした曲調の中で、音楽をたっぷり使いながら粗も冗長さも一切感じさせず
ただ綺麗なだけでなく信じ合う心の近づきも響き合い描き出されたアダージオでございました。

4幕のライト版名物のパ・ド・ドゥも、重たい悲しみの中でも静動のメリハリが富んでいて、
オデットが身体を思い切り斜めに引き伸ばしてからの高速回転させての瞬間抱え込みもダイナミックに展開させ一瞬一瞬の動きがいたく大きい絵と化。
最後、覚悟を決め先に湖へと飛び込んだオデットにはもう初心さもなく、
遮るロットバルトへの憎悪が猛々しい王子の後追いの呼応も凄まじく、劇的な幕切れへと繋がっていた印象です。

前の速報でもない記事でも綴りましたが吉田さんは何度か代役や抜擢でソロの役は当てられた経験はあれど、
2021年入団のまだアーティスト階級(コール・ド)ながら本番まで1ヶ月切った段階でプリンシパル代役として登板での全幕主役デビュー。
更には重厚な趣が前面に出た大作の主役で、眠りやドンキのような皆ににこやかに出迎えられる登場場面も無し。胃に穴があきそうな重圧あったのは想像に難くありません。
しかし2日間鑑賞すると清純なオデットも、パパを慕う可愛らしくちょこっと悪女なオディールも、特に2回目には相手と美しく語り合えるまでに大成長。
身体も感性も素直で吸収力がありこれ以上にないくらいに練習を重ねたであろう吉田さんの努力は勿論のこと、
不安や心配が塵1つ残らぬよう拭き取って安心感を与えながら主役デビュー成功へと導いた上に
自身の役どころも万全にこなした渡邊さんを吉田監督、褒めちぎってくださっていることを願います。
新主役誕生や、17日夜公演カーテンコールに吉田都監督が登場して舞台上での速水さん柴山さんプリンシパル昇格発表がどうしても華々しく報じられがちですが
弓が気になる幼さからの恋の目覚めから最後決死の兜投げまで、王子としての心理描写や基盤を整えつつ吉田さんを支えた渡邊さんこそ大功労賞に値するご活躍でした。

そういえば最後のロットバルトから奪った兜投げといえば、王子の皆様投げ方は任されていたのかそれぞれ異なり
両手でスローインもあればボウリング、フォークボールもあったか。
特段ユニークな投げ方であったのが2回目の渡邊さんでソフトボールっぽく下側から投げたと思われますが飛距離が伸びず汗
ゆったりと縦型の放物線を描いたのちにあろうことかぎりぎり白鳥達の後ろ側あたりの半端な場所に落下。
飛んできたファウルボールを近くの観客がメガホンを上に向けて手に待機して見事すっぽりゴールさせた、
私が嘗て神宮球場で居合わせた事態を彷彿させたのも束の間、殺気立った表情で果敢に奪い取ったまでは勇猛な立ち向かいであったのに
兜が白鳥達に激突したらどうなっていたであろうかと考えると可笑しくなってしまったのは目を瞑ってやってください。

吉田さんの抜擢については意見様々で、主役経験豊富なプリンシパル木村優里さんの代役である上、新人のサポート尽くしで大変そうであるから
渡邊さん好きな側からすると今回不満ではないかと聞いてきた方もいらしたのですが、私としては一切なし。
30代半ばに差し掛かる頃にはパートナーのデビューの支えと自分の役どころ両方こなす力量を問われ
こういう役目も巡ってくる気がしておりましたし、(しかも両方こなせる結果を出した!ファンとして誇らしい!!)新人指導に向いていそうな予感もしましたから
寧ろ私としては嬉しい組み合わせにも思えた次第です。このペアならではの清らか高純度な空気感、たいそう好みでした。
山本隆之さんも現在の渡邊さんのご年齢の頃、寺島まゆみさんの全幕デビュー『くるみ割り人形』マーシャや
本島美和さんのマーシャ、さいとう美帆さんのジゼルといった役デビューの心強いパートナーをなさっていて、色々思い起こした私でございます。

ロットバルトも個性色々で、中家さんは太く切り裂くような豪胆なおっかなさが噴出。目をカッと見開いて湖畔の覇者のような登場で脅かし、
王子を遮るときも全身から発する剛力でねじ伏せるように圧力をかけての封じ込めで恐ろしさを強調していました。
毎度思うが、中家ロットを倒せる王子がいるのか2幕の時点では疑問なわけで
しかし演出上の都合とはいえ断末魔に襲われるように苦しみ悶える最期に、
強力なロットバルトであっても抗えないオデットと王子の愛の力の存在に気づかされるひと幕でございます。
3幕では帝王を思わす貫禄で、オディールとの共謀作戦も、適宜出す指示もおどろおどろしい魔力が炸裂。
カーテンコールでの、兜を外してニッと不気味且つ愛嬌ある笑みを浮かべながら去って行くサービスには笑わされました。

小柴さんは一直線に怖いとはまた異なる摩訶不思議な風貌で、何者であるのか知りたい衝動に駆られるロットバルト。動き方が鋭い時もあれば
突如まろみと品ある仕草もあったりと緩急が引き立ち、男爵と明記された旨をふと思い出させる造形でした。
3幕は子煩悩なパパの魅力全開で、吉田オディールが初々しくパパを慕っていたこともあって毎回指図も優しく
王子がのぼせている間に笑、今のうちに囁きにいくよう助言や所作も丁寧で愛情たっぷり。
きっとオディールも舞踏会デビューだったのかもしれません、パパに促されると自信を持って王子に擦り寄り、一段と堂々と黒さを放つ娘と化していたのでした。

ベンノも性格様々でベンノに始まりベンノで終わる演出ですから、オデットと王子と同様主役といっても過言ではない重要役でしょう。
木下さんは敏腕マネージャーといった頭脳明晰で動きにも一切無駄のない 現代でいう、大企業のCEOのすぐ横に常時いる秘書のような存在で、既に王としての未来が見えかけている貫禄ある福岡さん王子には仕える、
まだまだ遊びたい盛り甘えたい盛りな笑、奥村さん王子には面倒を見る様子でアプローチを変えていた点にも拍手でございます。
宴の仕切りも出過ぎずされどここぞというときにはすぐさま案内を行い、雰囲気が重たくなったときの王子の機嫌を晴天へと変えようと導いて行く行動
どれも説得力を持たせ、かといって夏場に体育館に臨時設置される巨大扇風機のようにただブンブンと換気するわけでない、
場の空気や王子の心の内を自在に細やかに読み取り上昇気流に乗せる術に長けた、多機能装備の人力高性能空気清浄機な働きでした。
加えて踊りも盤石でテクニックも冴え渡り、明るい語りかけもぐっと引き締め度も抜群で、どの舞台でもいえますが
木下さんの舞台から粗を探すのは繁華街で落としたコンタクトレンズの捜索よりも困難そうです。

中島さんは心優しいお友達か幼馴染といった様子で、ほんわか優美な穏やかさで心を寄せているベンノ。
宮中の人前では機嫌を保ってはいてもベンノの前ではとことん本性露わにして不機嫌なときは誰も寄せ付けないオーラすら発する
そんな王子にどんな不機嫌な顔をされても常ににこやかに包む対応力及び精神力の強さ、寛大さが感じられました。
それだけ宮廷の生活が窮屈で、ベンノが心の拠り所であり唯一心を開ける存在だからこそと渡邊さん王子との関係性から見て取れます。
一昨年の長野県上田公演は未見のため中島さんベンノは初鑑賞でしたが、
中央の絵を邪魔しない崩さない身の置き方や行動に配慮が行き届いていて、花嫁候補選びにしても1幕のお見合い肖像画の並びを前にしたときも王子に懸命に勧めつつも
行き過ぎた行動は取らない匙加減が絶妙。王子がオディールにのめり込んでいるときは儀典長と共に本気で心配しやめるよう催促の信号を送っていたり
加えて宮廷の文化に育まれた感のある品の良さもあって、とても好感が持てる造形でした。
以前はだいぶ冷や汗ものであった踊りも(失礼)、非常に安定感が増して張りも出てきて宜しうございました。

花嫁候補として登場する三ヶ国の王女達も花が咲き競い、ほんわかな印象ある飯野萌子さんがハンガリー王女での視線や腕の色っぽさにもゾクゾク。
中島さんの、ソロでの登場してすぐの両腕を音楽をたっぷり使って王子にアピールしながら広げてのハンガリアンポーズからして自信たっぷりで艶やかで
前回よりも押しの強さも踊り全体に出ていて、新風直塚さんポーランドの強靭な軸と広がりのある踊り方や高い跳躍移動も衝撃ものでした。
3王女の似たり寄ったりながら渋めのゴールドで揃えた重厚な膝丈チュチュ衣装デザインも好きで、特にハンガリーは赤い宝石を散りばめた冠で頭を覆う作りも気に入っております。

民族舞踊では赤井さん池田紗弥さん小野寺さん佐野さん組のナポリにおける花火大会の如き弾け散る光り具合や
ソロではひょっとしたら初役の関優奈さんチャルダッシュの堂々とした衣装捌きも見事。
戻りまして、2羽の白鳥は花形さんの歌い上げるような身体能力の高さや躍動感の強さ、
中島さんのバネのあるしなやかさ、金城さんのすらっと伸びる長い腕が翼に見える羽ばたきも目に刻まれ
オデット不在時のリーダーとして湖畔を守っていたであろう纏め上げる統率力も良き印象でした。

白鳥コール・ドの1人1人の芯が感じられる統一感も毎度うっとり見入り、
隊列が次々と変化する場においても移動や配置に無駄がなく誇り高さを思わす美の連鎖。
4幕の霧の中から徐々に現れる幕開けの幻想性や、変わって集団で固まりながらロットバルトを追い詰める鋼のような強さも
観る度に息するのも忘れかける集中をもたらす美しさです。1幕のシルバーグレーで纏めた
曇り空によく調和しつつもきらりとした品が光る男女のワルツも格式高さがあり、堅固な調度品や立派な葡萄が置かれた食器も気に入っております。

国葬から始まり、喪に服した設定の鬱屈した趣ある特徴は最初なかなか好きになれませんでしたが
一昨年の公演期間途中あたり、つまりは渡邊さんの登板以降は好きになり、但し王子がよほど表現達者でないと場が持たない難しさがあると再確認。
3幕の壮麗重厚な装置衣装の圧迫感も、大応援団率いての王女達の登場も王子の重圧に一層試練与える効果もあり。
繰り返されるファンファーレの唐突な連続に最初は正露丸の宣伝垂れ流しと思えてならなかった私も
王子こそ国運を担わされ体調がおかしくなりそうな状況で早う飲ませねばと勧めたくなったのはさておき
オディールを見つめるときの絨毯の寿司詰めな状態と化す堅固な壁はオディールへの敵意強まりも思わせ、ただ豪華にしただけではない説得性が感じられます。
連日完売或いはほぼ完売な売れ行きで、初演時より団の総合力も大幅に高まり、公演中止日も無し。
波乱の連続であった今シーズンでしたが、思い残すこともありますが(二・二三事件は生涯忘れませんから)、無事に大入りで終了。
シーズン締め括りに相応しい公演で幕を閉じました。



※英語版新国立劇場インスタグラムにも舞台写真掲載。特に4枚目、吹っ切れて勝利確信な吉田さんオディールと、
その手に顔を乗せて温泉に浸かっているかの如く幸せで気持ち良さそうな渡邊さん王子にご注目ください。






改めてのマエストロ14日振り返り。吉田さんと渡邊さんのサインの並び、新鮮!清らかで美しいペアでございました。



刷り直されたチラシ。



桐生のハムロールといった名称だったか、胚芽パンにチーズもたっぷり挟まっています。赤ワインともぴったり。



この日は暑かった、夕刻前のビール。



他日に再びマエストロへ。前菜は海老と帆立貝のカクテル。大きなお皿に迫力です。



サーモンとパプリカ ケッパーのアーリオオーリオパスタ。塩加減丁度良く、ワイン進みます。



氷温熟成黒豚のソテーレモンソース。ぎゅっと旨み凝縮、そして後味さっぱり。




彩りが14日と異なりラズベリーやキウイが入ったメロンのスープ仕立てとドライシェリー。お洒落な組み合わせ!



ライト版白鳥を観ると、ギネスビールが飲みたくなります。再演時も大人は黙って毎度のオアシスで黒ビール。
入団2年目にして、プリンシパルの代役での全幕主役デビューしかも重厚な大作であるライト版『白鳥の湖』オデット/オディール役に挑む吉田さんが不安を抱かぬよう、
誠心誠意尽くして心配事を塵1つ残すまいと拭き取っては道標を照らし、魅力を引き出してくださっていた渡邊さんの功績は非常に大きく
加えてご自身の役どころも万全にこなされて、王子の心の移りようも陰陽自在に事細かに描画。
虜になって良かった、心から誇らしいと再度思えた2022/2023シーズン最終演目の公演でした。
虜になった最初の半年、2017年年始から6月下旬にかけては季節は過ぎてもヴァレンタイン・バレエだの、双眼鏡目に押し付けてコッペリア衛兵さん探しだの
ベートーヴェン・ソナタでは私が1番好きな交響曲第7番2楽章に配され、レントゲン風な衣装や福岡さんの後方で眩しがる振付が面白いだの
眠りは全幕であっても全日出演しかも日によっては1公演の中で寺田亜沙子さんとも組んでのプロローグカヴァリエ、韃靼風なロシア王子、ゴールド、とトリプルビル状態で
そうかプリンシパルではなくソリスト好きになるとこんな楽しみがあるのかああ万歳!だのこっそりときめき応援していたはずが
2017年6月25日の『ジゼル』を境に周囲に事情をボジョレー並みに大々と、とは当然いかず
何名かずつに徐々に解禁してからちょうど6年経ちました先日の6月25日。
まさかご本人と同じスタジオの中に立つ日が到来するとは6年前当時は知る由も無かったわけですが、
本記事をアップした頃には再びのズンドコドッスンを既に管理人は行った頃でございます。
それはまた後日。

2023年6月19日月曜日

雨上がりにシューマンの調べ  原美香バレエスタジオ第10回発表会6月11日(日)《京都市》




6月11日(日)、京都ロームシアターで原美香バレエスタジオ第10回発表会を観て参りました。
原さんのリサイタルは2011年4月に旧京都会館(現ロームシアター)にて拝見しておりますが、スタジオ発表会は初見。楽しみに伺った次第です。
https://www.mikahara.com/news/3433/

まずはオープニングから、チャイコフスキーのオペラ『エフゲニー・オネーギン』ポロネーズにのせてほぼ全出演者が登場。
この曲を聴くとまずバレエアステラスが思い浮かぶわけですが、華々しく開幕に相応しいと毎度感じております。
ここで早速目を惹いたのは子供の生徒さん達の踊り方が実に丁寧で堂々としていたこと。
あとのディズニー作品でも同様の印象を持ちましたが、ポール・ド・ブラ1つにしてもきっちりと、しかもくっきりと示していて
基本中の基本である脚の差し出しやプリエにしても一切疎かにせず音楽によく合わせて、自信を持って披露。
レヴェランスも深々としっかり行っていて舞台マナーも良く、すっかり感心してしまいました。
子供の頃の私だったらこんなにきちんと務めることなんぞできなかったはず。
第1部、第2部はヴァリエーションやグラン・パ・ド・ドゥを織り交ぜ飽きさせぬ構成で時間が瞬く間に経過。
子供から大人まで舞台を楽しんでいらっしゃる様子に、観ているこちらまでこの日の京都市の天候と同様、徐々に晴れ間が射し込んできた気分となりました。
それから照明の凝り方やセンスにも魅せられ、手がけていらしたのは松浦眞也さんとのこと。
山本隆之さん版の『白鳥の湖』や川上恵子バレエスクール、深川秀夫さん作品でお馴染みのお方かと思います。西日本の光の魔術師と勝手に呼んでおります。
バレエコンサートでも例えばガラでも鉄板な海賊は薄紫の夜明けのような色味であったり、柔らかめの光で演出する作品もあったりと細かな妙技に驚かされました。

コンサートのハイライトが山本康介さん振付で佐藤美和さんのピアノで奏でられたHommage〜オマージュ〜。
解説によれば、1曲目と3曲目の作曲はクララ・シューマン、2曲目はロベルト・シューマンとのこと。
落とした照明の下、静けさに包まれた空間の下手側にピアノが置かれ、佐藤さんが登場。続いて山本さん、原さんそれぞれのソロがあり
やがてパ・ド・ドゥへと繋がっていきました。
ただソロとは言っても佐藤さんと穏やかに語らうような場もあり、より体温が伝わる振付に心癒されました。
そして原さん山本さんが一緒に踊り出すと、年齢を美しく重ねていったお2人だからこそ醸す、
この日に観察してきた紫陽花を滴る雨雫のようなしっとりとした華やぎに目も胸も潤った思いでおります。
山本康介さんの振付作品はこれまでにモダンでカラフルな味わいが刺激を誘った2022年の東京シティ『火の鳥』や、
2018年の東京都江戸川区での佐藤朱実バレエスクール『くるみ割り人形』における踊り盛りだくさんなドロッセルマイヤーや
人物同士の繋がりがはっきりと見える演出、生徒さんの特性を生かしたねずみ等工夫が行き届いた構成に引き込まれ、また振付作品を拝見したいと思っておりました。
今回は優しさが響き合う大人の雰囲気に満ちた作品にお目にかかれ、大変幸運でございます。

続いては『白鳥の湖』第2幕湖畔の場と第3幕オディールが登場する舞踏会で、オーソドックスな中にも独自の捻りある味付けが光る見応え十二分な内容でした。
まず2幕ではジグザグに白鳥達が登場した後に両腕を翼のように掲げて羽ばたく振付の中にさりげなく両手で涙を流す仕草が含まれ、一斉に行うと白鳥達の悲しみがより強まり
しかも音楽の中に違和感なく溶け込んでいるため不自然さもなし。はっと心を奪われる瞬間でした。
オデットと王子のアダージオのときも後半部分であったか、群舞に立体的な動きが付けられていて
オデットの訴えを白鳥達も共に切々と語っているように見えた気がいたします。
それから四羽の白鳥の生徒さん達の揃い方、特に素早く斜め前に脚を擦り出しながら立つ箇所での顔の付け方も滑らか且つ音楽としっかり連動していて
奇しくも前日に東京で新国立劇場バレエ団の『白鳥の湖』を観てきた者からしても引けをとらない完成度の高さに目を見張りました。

3幕は民族舞踊の構成が実に工夫がなされていて、マズルカ、チャルダッシュ、ナポリは主軸に生徒さんと男性ゲストペアが配され達者に披露。
アンサンブルはナポリは小さな生徒さん達が可愛らしく、チャルダシュは大人の生徒さん達、マズルカは小中学生くらいの年代の生徒さん達、と配置がなされ
それぞれの魅力が花開いていた印象です。中でも大人のチャルダッシュが重厚でしかもポーズも揃い、心から楽しんでいらっしゃる様子が窺えました。
2幕3幕とも王子は青木崇さんで、貫禄と成熟した雰囲気や技術も美しく力強く、オディールに結婚を誓ってしまったと判明したときに大袈裟に嘆かず
静かに胸を当て悔やむ王子は初見かもしれません。タラちゃん或いはクイーンの有名曲を思わすかのように
母親を叫び呼ぶのではなくしんみりと悲嘆に暮れる姿は青木さんの佇まいによく合っていて、好印象でした。
宮廷の装置は舞台袖に至るまで壮麗豪華。中世ドイツかと聞かれるともう少し近代寄りな気もして
少し首も傾げかけましたが(美術史に詳しくないため、あくまで勝手な想像ですが)、幕開けから客席がどよめくほどの華々しさに圧倒されました。

フィナーレはエフゲニー・オネーギンのワルツにのせて、出演者総登場。最後に原さんが登場され、シンプルなワンピース姿がまた美しや。
同時に原さんを初めて拝見したときの2011年4月のリサイタルが思い起こされ、東日本大震災から1ヶ月も経っていない頃で都内もまだ計画停電の実施や物流も順調ではなく
チケット代の入金においても銀行によってはATMが停止中であった記憶もあります。都内では舞台開催も多々中止に追い込まれていた状況下
京都会館で観た『ソワレ・ドゥ・バレエ』等の深川秀夫さん作品の数々や『パキータ』に、
舞台ってこんなに煌びやかなものだったのかと遠くにいきかけていた感性が戻ってきた思いすら募ったものです。
今回はスタジオ第10回の発表会、おめでとうございます。スタジオの一層の発展を願っております。




※以下写真が20枚以上ございます。日帰りでこの枚数なんぞ見ている暇はないと仰るご多忙な方は次回をお待ちください。(次回、恐らくは長いと思いますが)
もう今年も上半期が終了、お時間と忍耐力のある方は以下どうぞ。
当初は昨年夏と同様に貴船へ行き
川床で流しそうめんを堪能する予定でおりましたが雨天予報が出ていたため紫陽花見物に変更。
新国立の『白鳥の湖』初日から帰宅後大急ぎで名所を調べ、京阪沿線にも色々あると知り、行って参りました。



おはようございます。京都駅に参りました。早朝のため、人が視界にいません。



鴨川を北上し、徒歩で祇園四条駅へ。前日までに申し込むと800円で購入できる京阪電車1日乗車券を申し込み
受け取りはいくつかの駅限定らしく、祇園四条駅もその1つ。電車代を使うのが悔しいため、徒歩で向かった次第。
(だから誰も私と一緒には旅行動をしたがらない笑)そして初めて巽橋へ。まだ人がいません。
ガイドブックには必ずといってよいほど載っていますが、静かで新緑情緒ある場所でした。



祇園の道沿いの紫陽花



花見小路通を歩きつつ二年坂へ。まだ人がいません。このとき朝6時30分、そりゃ観光客はまだ疎らか。混雑時には人の頭しか見えないらしい。



清水寺は早朝に行くのが好きな管理人。その代わり、何度も来ていながらお寺周辺のお店事情に詳しくない。
例外で去年2月は昼食時に湯豆腐の老舗奥丹清水へは行きましたが。
清水の舞台、人が写っていません。早朝の雨天のためか、10人もいなかったかと思います。



今日は京都でバレエ鑑賞どすえ。



八坂の塔、サザエさん歌いたくなります。まだ人がいません。今日も「能天気」〜は私のことだ。幼い頃から直りません。人生どうしたものか。



京阪電車の清水五条駅から宇治の三室戸寺へ。1本で行けます。「みむろとじ」と読むそうで、袋とじしか思い浮かばぬ管理人の思考をお許しください。



艶やかな紫陽花達。



蓮の葉に水滴がきらり。



紫陽花の花園!植え込みがどこまでも続き迷路のよう。ここでお江戸版 アリス、いけるんちゃいますか??
老中の家で働く青年が将軍の護衛隊侍に転生し、お江戸のアリスと(名前何がええやろ)脱出を図る大作戦。ああ生垣からひょっこり出現、配役想像が巡ります。
アジサイ・アダージョもどうでしょう??あっ、ここ京都どすえ。次行きます。



道沿いに紫陽花。霧も見えます。あの中から白鳥達が出現でしょうか。それはピーター・ライト版か。



三室戸寺と源氏物語ミュージアムの間あたりに位置する、これが食べたかった、伊藤久右衛門茶房にて季節限定紫陽花パフェ。
紫陽花きんとんが涼やかです。あたたかいお抹茶といただきました。
このお店は混み合っていて、今回の京都で唯一遭遇した混雑地だったかもしれません。
整理券制のため、機械から受け取った券に記載のQRコードを読み取ると
待機者や待ち時間目安状況もわかるようになっていて便利です。



源氏物語ミュージアムへ。貴族の生活を再現した展示。シャンブルのかぐや姫を観てきたばかりのため、思い起こされます。
オーベロンはミタなる覗き見貴族もいます。怪しい。



朝霧橋へ。来年の大河ドラマは紫式部が主役です。



京阪電車に乗り、墨染駅へ。藤森神社の紫陽花見物。コスプレイヤーがたくさんいました。管理人には炭治郎しか分かりませんでしたが。



ふじのもり、と読むらしい。今回の発表会の舞台監督は関西の名手!?藤森(ふじもり)さん。私もお世話になっており、3月に東京での公演会場で偶然お目にかかったとき
2月の例の件についての不納得な事態発生のぼやき嘆きにも耳を傾けてくださり涙、その節はありがとうございました。



京阪で祇園四条駅へ。京都に何度も来ていながら初訪問、松葉のにしんそば。
甘辛いにしんと刻み葱の辛さ、お出汁の優しさが身に沁みます。13時頃の来店でしたがすぐに着席できました。窓の外には東華菜館も見えます。



四条大橋からの鴨川風景。



9年ぶりの訪問、河原町にある喫茶ソワレへ。



ゼリーポンチ。100年以上変わらぬ製法の刺激度弱めな神戸産サイダーを使用とのこと。
原美香さんを初めて拝見したのも京都で、ロームシアター改装前の京都会館でした。
そのとき踊られた2演目に含まれていた深川秀夫さん振付『ソワレ・ドゥ・バレエ』の色彩美に重なり、当時を思い出しつついただきました。



晴れ間が見えてきた。




京阪電車で1駅、京阪三条へ。ロームシアター到着。



東京文化会館と同じ、前川国男の設計です。



帰りは会場から徒歩で京阪三条駅を経由し歩いて先斗町へ。京都の地酒で乾杯!ええ舞台でした。そして京阪線のみで1日過ごしたのでした。さらば京都、また会う日まで!!

2023年6月16日金曜日

第8回バレエ史研究会 近代化とバレエ





※今回は短めです。お急ぎの方もご安心ください。


6月3日(土)に東洋大学で行われた、社会学部メディアコミュニケーション学科教授でバレエ関連の書籍やプログラム等も多数執筆なさっている
海野敏さんによる講座「近代化とバレエ」を受講して参りました。定期的に開催されているバレエ史研究会の第8回目であったそうです。
https://ris.toyo.ac.jp/profile/ja.9782e2f43e09f38e7ea9633a3592084c.html?mode=pc

3月に発売された著書『バレエの世界史 美を追求する舞踊の600年』の内容を中心に辿りながら世界史と紐付けてのお話で
現在に至るまで親族間にいて触れてはならぬ話題となっているほど子供の頃は学業成績大不振であったものの世界史特に近現代史は好きであった私にとって
バレエとの絡みを知っていく展開に興味津々。NHK番組の『100分で名著』ならぬ「110分でバレエと世界史」な構成で(確かおおよそ110分)
スライドを用いながら海野さんがひたすらボリュームたっぷりにお話しくださいました。
近代化の定義や絶対王政とバレエの変化、舞台機構技術の革新等世界史の重要事項と照合しながら
時系列に話を進めてくださり、バレエと歴史を同時並行で学べた大変実りある講座でした。

質疑応答の時間も設けられ、なかなかの白熱で聞いているだけでも受講者の方々の知識の豊富さに天晴れでございました。
定期化されている講座だそうで、この日も遠方からお越しの予定の方もいらしたようですが
前日の大豪雨の影響で新幹線運転見合わせとなり、残念ながら上京が叶わなかった方もいらしたようです。それだけの人気の高さも窺えた講座でした。

東洋大学に足を踏み入れたのは2回目ですが、いかんせん太古の昔、卒業まで残り少ない日数を胸に過ごしていた高校3年生の頃に見学に来て以来。
校内は迷路で何号館を歩いているのか混乱するときもございましたが、オフィスビルかと思わす吹き抜けエスカレーターや
大学ランキングで毎度上位に入っているらしい学食の充実ぶりも目にでき楽しい滞在でした。
来校には主催者から送信されてきた証明書が必要で、校門にて印籠の如く携帯電話を示して無事完了。また機会あれば行きたい講座です。


※こちらが海野さんの今年3月発売の著書『バレエの世界史 美を追求する舞踊の600年』
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2023/03/102745.html


※奇しくも、この日の夜にはテレビ東京の出没アド街ック天国にて、白山と千石が特集。中心は牧野富太郎ゆかりの小石川植物園でしたが
まさに私が足を踏み入れたばかりの東洋大学や白山神社も取り上げられ、何だか不思議気分。
https://www.tv-tokyo.co.jp/broad_tvtokyo/program/detail/202306/13263_202306032100.html


※白山神社ではあじさい祭り開催中、6月18日(日)まで。土日には模擬店もあり、管理人も購入し美味しくいただいた福島市の蔵元金水晶さんも出店のようです!
https://b-kanko.jp/event/419

https://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/kanko/event/matsuri/ajisai.html



受講前に定評のある学食へ。様々なお店が入っていてまるでフードコート!ネギトロ丼セットいただきました。これで550円!学食ですので量たっぷり。



駅すぐそばの白山神社。あじさい見頃です。

2023年6月14日水曜日

【速報でもないが】新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』2023年  現在2回鑑賞感想




新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』が6月10日(土)に開幕、現在上演中です。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/


吉田さんのオデットを始め、舞台写真も早速掲載




リハーサル写真も複数枚。伸びやかで美しいお2人。渡邊さんは、鉢巻(バンダナか)でも品格ある気高い王子です。




初日と本日14日(水)の2回鑑賞し、只今折り返し地点でございます。(11日は西の都へ行っておりました。その話はまたいずれ)
初日は米沢唯さん福岡雄大さんペアが技術の高さは当然のこと以前にも増してドラマティックな味わい深さがしみじみと伝わり、
ベンノの木下嘉人さんは何かと不穏になりがちな宮廷の空気を良き方向へと変える名手な活躍で
人力高性能空気循環器かと思わす好演。踊りも舞台の仕切りも前に出過ぎずされど絶妙な立ち位置を把握されていて、
王子の頼れる友人である役柄に説得力をもたらしていました。中家正博さんロットバルトの豪胆で暗闇を一気に切り裂くような君臨もお見事。

そして今回の大注目でしょう、本日はアーティスト階級から大抜擢された吉田朱里さんが主役デビュー。
記憶が正しければ新国立バレエにおける全幕作品での女性の主役デビューは2016年12月の『シンデレラ』池田理沙子さん以来で約6年半ぶり。長かった汗。
しかも吉田さんの場合主役デビューといっても最初からの配役ではなく公演本番まで1ヶ月を切った頃に木村優里さんの代役として発表。
これまで代役経験のある吉田さんであっても、全幕の主演でしかもプリンシパルの代役、
チケット発売からもだいぶ日数が経っており、プレッシャーの大きさは想像に難くありません。
しかしリハーサル写真を目にしたところ渡邊峻郁さんとのバランスにまず魅せられ、ピュアな透明感を発するポーズにも惚れ惚れ。
元々私は吉田さんの腕のラインが好きで、『くるみ割り人形』花のワルツでの曲中で最も静かであろう
冒頭でのパートナーに支えられたアラベスク姿を一目観ただけでも見入るものがあり、
いかにしてあの繊細な曲線が出るのか不思議で帰宅後自身で試すも、我が腕の魚肉ソーセージの如き丸み膨らみに落胆して終わった冬の夜だったわけですが
それはさておき渡邊さんとの並びで観てみたい、腕の羽ばたきを観てみたいと日に日に興味をそそられたここ1週間でございました。

そしていよいよ本日。吉田さん、鮮烈主役デビュー!清純で透明感溢れるオデットで私まで助けたい感情に駆られたわけですから
間近で出現を目にした王子なんぞいったいどんな気持ちであったことか。
まだ重たい悲しみを背負っているよりも、事態を呑み込めずにいるまま白鳥に変えられ、王子に救いを求めているのであろうと勝手に推察した私でございます。
オデットの訴えに対してせわしなく反応するのではなく、そうか、そうか、と落ち着いて頷き、どんと構えて受け止める王子にオデットも安心感を持ったことでしょう。
すらりと長身で気高い美しさのあるお2人のアダージョに、吉田さんの弧を描くアームスや伸びる脚線に釘付けとなり
何よりガラス細工に触れるように丁寧に導きつつオデットの心を開かせていく渡邊さんの包容力と信頼感あるサポートは溜息ものでございました。
吉田さんにとって、どれだけ心の支えになっていたことか。
勿論、王子の鬱屈した内面表現や、重厚な装置に負けぬ、品格と厚みの双方宿る踊りにも脱帽です。
小柴さんのロットバルトと吉田さんオディールのやり取りも素直な父娘関係が垣間見え、土曜日昼公演も楽しみでございます。

ピーター・ライト版白鳥は暗闇がずっと覆い被さる展開がそこまで好きでもないと新国立初演時の前半日程はぼやいていた私ですが
今回も渡邊さんで観ると、同じ暗がりな心情であっても油性ペン、墨汁、油彩画、水彩画、ときには混在型も発生したりと空模様の描き方が豊富で
心の変わりようを追いたくなる王子に思えたのでした。人間とはかくも身勝手な生き物と再確認。ひとまず土曜日昼も待ち焦がれております。
神秘的な白鳥達のコール・ドや霧深い演出、男性陣の勇壮さが引き立つ 1幕の乾杯の踊り等見どころ凝縮で、千秋楽まで引き続き楽しんで参ります。



※一番上の写真、マエストロのサイン入りメニュー。終演後に乾杯いたしました。吉田さん、サインをお書きになるとき、きっとドキドキとなさっていたことでしょう。



ホワイエで販売中、スワンシュー。前回より躍動感ございます。



マエストロにて、前菜盛り合わせ。赤色でめでたい!



羽のようなふわふわのシュレッドチーズがのった海老とズッキーニのクリームソースパスタ。



デザート、メロンのスープ仕立て。本日の主演2人を彷彿とさせる爽やかな品が舌を伝いました。

2023年6月11日日曜日

東京文化会館バックステージツアー舞台編





5月31日(水)、東京文化会館で開催されたバックステージツアー舞台編に参加して参りました。
https://www.t-bunka.jp/stage/18621/

大ホールでの催しがない平日に年に数回開催されているようで、偶々チケット発売日のお知らせを3月末に見つけて購入。
半休暇を取得した甲斐ある、2時間みっちり巡るツアーで、大変な充実度でした。お勧めでございます。

これまでに劇場バックステージツアーは2箇所で参加経験があり、新国立劇場とワシントンD.C.のケネディ・センター。
新国立劇場では以前は2種あり(多分)、1つは舞台開催日でない平日に巡るもの。奈落やバトン、舞台裏にて丸見えであったセルゲイエフ版ジゼルの大掛かりなお墓や
ワイノーネン版くるみ割り人形のどんぶらこな小舟といった大道具も目にできました。平日開催のツアーは今は行っていないかと思われます。
もう1つは公演終演後に巡るもので、再演時のエイフマン版『アンナ・カレーニナ』や、主役途中降板に加え馬車の横転事故が発生した波乱に満ちた2008年のアシュトン版『シンデレラ』で、
シュレッダーダストを使用してエイフマンさんが思い描く重たいロシアの雪に近づけた雪や
思えば横転事故による破損直前であった銀色に煌めく馬車も間近に見て一斉に歓声が上がったり
四季の精のソロ前の紗幕上げも再現してくださったりとシンデレラや妖精になった気持ちで眺めておりました。

ケネディ・センターのツアーは現在は分かりかねますが当時はほぼ毎週末行われていたようで、新国立劇場バレエ団のワシントンD.C.公演日も同様。
当時のガイドブックの記載によれば無料且つ予約不要とあり、当日行ってみるものの受付が見当たらず。駄目もとで近くにいたスタッフに尋ねたところ
ここの階段おりていけば分かるからと案内され行ってウロウロしているとステージツアー?と参加希望者であると伝わったもよう。
日本語の案内も借りて貴賓席や屋上も含め、米国国内、パキスタン、韓国、日本、と出身国多国籍集団で賑やかに巡った良き思い出です。
新国立の『ライモンダ』公演日で、夢の場の背景が既に搬入されていた状態でした。

話を戻します。東京文化会館のツアーは先述の通り、舞台開催日でない日に巡るもので
客席からの照明やバトンのデモンストレーションを眺めたり舞台上や奈落、オーケストラピットの降下体験や楽屋の内部見学に
カーテンコール体験、照明スポットの操作体験までよりどりみどりな内容。出演者とスタッフ両方の気分を味わえました。

特に貴重体験に思えたのはまずカーテンコール体験。横並びになって一斉に前進する全員バージョンとまさに上手側カーテンの前に出ていき挨拶するソリストバージョン2種体験できました。
当然客席は空席だらけだったわけですが笑、拍手音声を流してくださり、気分はバレエダンサーでございます。
ソリストバージョンにて、カーテン前に出て5階席まで見渡しながらのお辞儀、例え空席ばかり且つあくまで模擬体験であっても
ああすぐ横には主役パートナーがいたり、共演者がいたり、すっかりダンサー気分に浸っておりました管理人でございます。そして、拍手は何よりの宝物と感じ入りました。
幕を素早く摘んで持ったり、終わりかと思いきやまだ続くときのスタッフの慌てようの再現もしてくださったりと縁の下の力持ちな役割をこれでもかと知った思いがいたします。

それから照明ピンスポ体験。5階の照明室に入り、巨大な機材を動かしながら行いました。舞台上を歩くあるスタッフの方に光を当て追っておりましたがこれが大変!
想像以上に機材が重たく、なかなか言うことを聞いてくれないのです。徒歩移動者を追うのもこれだけ難しいのですから
跳んで回ってのバレエダンサーなんぞいかにして追って当て続けているのか、不思議でならず。
実際、バレエとなると振付やタイミングをしっかり頭に入れていらっしゃるようで、職人芸に天晴れでした。

他にも、別次元へと移動する錯覚を与えられたオケピの降下や上昇、幕を下げるロープ結びのコツや舞台袖のサイン、楽屋の使われ方に至るまで
巡りながらその場所ごとに質問も快く受け付けてくださり、参加者の雰囲気もほんわか且つ熱心。伸び伸び楽しく、大充実なツアーでした。
搬入やセッティングの様子は以前はボリショイシネマの幕間インタビュー場面で映し出され、人の手で行う作業の多さに驚かされたものですが、今回のツアーで再確認。
また是非参加したいと思っております。




近場を何度も通っていながらようやく訪問、上野駅近くの老舗にてクリームあんみつ。さっぱりといただけました。

2023年6月8日木曜日

月と地球の往復ファンタジー  バレエシャンブルウエスト「ルナ」ー月の物語かぐや姫 5月28日(日)




5月28日(日)、バレエシャンブルウエスト「ルナ」ー月の物語かぐや姫を観て参りました。
https://www.hachiojibunka.or.jp/archives/eventinfo/0528balletruna/


KAGUYA:柴田実樹
時の帝:逸見智彦
銀百合のしずくの精神:伊藤可南
長耳:土方一生
赤目:吉本真由美
月の帝:佐藤崇有貴
龍の頭:藤島光太
竹取の翁:西川古柳


序奏が始まるとまだ幕が開く前の段階から満天の星空が会場に投影され、宇宙に身を置いた気分。
やがて幕が開くと月の世界へ。王族や住民達の生活が描かれ、原作ではむかしむかし竹取の、と始まる以前の
心が廃れていたが故に栄養摂取のために地球へ送り込まれるかぐや姫の生い立ちの設定に興味津々に見入りました。

柴田さんのKAGUYAは何処かミステリアスで美しく、月の帝に対してもきっぱり意思表示をする姫。
地球へと行くように命じられたときは少し戸惑うも、いざ地球に降り立つと人々の中に溶け込みつつも、着物衣装がよく映え
頭1つ抜けた美もまた貴い身分をよく表していたと思えます。芯の通った踊り方も目に響き
昨年の『眠れる森の美女』に続き主演舞台を鑑賞でき幸せを感じた八王子の夕べでございます。
月世界からのお供としてうさぎさんも活躍。耳から頭にかけての頭飾りの形が
ボリショイ『ライモンダ』ジャン・ド・ブリエンヌの兜に似通っている気がしてならない私でしたが(銀色の丸い頭型の帽子にラディッシュが生えたような形ですが)
長耳の土方さんがぴょんぴょんと弾け跳びながら恭しく仕える頼もしいうさぎさんで、KAGUYAにとって心強い相棒であったことでしょう。
赤目の吉本さんの愛嬌と厚みの加わる踊りも味わいがあり、思えば長耳も赤目もうさぎの特徴をそのまま役名にしたのであろうと想像いたします。

KAGUYAと惹かれ合う時の帝の逸見さんは平安貴族の装束が絵になり、このまま百人一首の絵柄になっていても違和感皆無な雅やかさでしょう。
終盤にはパ・ド・ドゥであったか、跳躍も多々ある振付も軽やかな身のこなしで、衰えぬ身体能力に驚きを覚えた次第です。
KAGUYAとの別れはそれはそれは切なさが突き刺さり、最後の最後まで愛おしむように視線を向け
ついのKAGUYAが月へ帰ってしまうと佇んで光を静かに浴びる姿がいつまでも引き摺る余韻として刻まれております。

かぐや姫のバレエは国内外問わずバレエ化はされていて、その昔レニングラード国立バレエが来日公演で持ってきたときはびっくりしたものです。
また2021年に第1幕から披露し、今春に第2幕、そして今秋に全幕版としての上演が予定されている東京バレエ団の公演も注目度が高まっているかと思います。
シャンブルのルナでは衣装に着物デザインも取り入れてはいても押し出し過ぎず、全体がカラフルでファンタジックな路線。
婚礼の場なんぞ平安宮廷に洋物が混ざった華麗なる絵巻物で、ヴァリエーションもふんだんに用意され、
ディヴェルティスマンやかっちりとした様式美が連なっていた印象です。
KAGUYAのもとを求婚者が訪れる場も見どころで、4人の皇子がやってくるとのあらすじを読み
ローズならぬタルトならぬ「バンブーアダージョ」がお披露目かと脳内を駆け巡ったのは私くらいかもしれませんが
アダージョではなく持ち前のテクニック合戦。皇子達の名前も、槍、剣、弓、力、といった特徴をそのまま明記していて、
火花を散らし合いながら手にそれぞれの商売道具を持っているため分かりやすい。力の皇子の場合は岩を持ち歩いていましたがアピール効果はあったのか笑。

音楽は東洋を特別意識せず、華やか勇壮なクラシック音楽が目立ち、中でも婚礼の場におけるグラズノフの四季の使用は
幻想的に香り立つ華麗な宮廷との溶け合いがしっくり。和物とグラズノフがこうも好相性とは鮮烈でございました。
音楽構成は福田一雄さん、選曲は江藤勝己さんだそうです。

地球にやってきて生まれ変わった幼年のKAGUYA、竹取の翁と翁の妻は西川古柳座の人形遣いが操る八王子車人形が演じ、
人形遣いが1人1体ずつ持ち、車輪のついた踏み台のような椅子に座り小回りも自由自在に移動しながら人形芝居を展開。
写真で見たときは人間よりも随分小さいため果たして客席からどう見えるか少々心配もありましたが
竹の精のアンサンブルを背景にしたり囲まれたりしていると高く細長い竹林の中に身を置いている状態が実に自然で、これまた意外性に驚かされました。
バレエと伝統芸能、和と洋を掛け合わせた月と地球の往復ファンタジーの世界を満喫できた作品でした。

 


※実は鑑賞にあたり最初にあらすじをざっと目を通したところ、月から地球に降り立ち転生するKAGUYAの生い立ちにすぐさま浮かんだのは
漫画やアニメでも一斉を風靡した『美少女戦士セーラームーン』。漫画やアニメ通ではないため私も詳細までは把握しておりませんが
確か月と地球が戦争を起こし、月の王国の姫であるプリンセスセレニティが地球へと送り込まれて月野うさぎとなり
東京都港区の中学生兼セーラー戦士として生きていくのが始まりであったかと思われ、しかもお供には日本語堪能な猫のルナの存在もあり。
勿論関係性はないのでしょうが、7年前にまさにうさぎたちが生活していた辺りの地域での開催であった
六本木ヒルズで開催の展覧会に行ったせいか、重なる部分があると思えてならずでした。
尚管理人は愛野美奈子派であったため、うさぎちゃんの詳細知識はございません。気になる方はご自身でお調べください。




JCOMホールが入っている建物の中に八王子の郷土史料館があり、八王子車人形も展示。撮影自由とのことです。



帰りは八王子でシャンブルを鑑賞したときは大概立ち寄るお店へ。スパークリングワインで乾杯。



毎度ここでケーキを食すのも楽しみの1つ。今回は柑橘使った甘酸っぱいものを選択、名前は「初恋」とのこと。さっぱりと淡い甘さで美味しい。
お茶はジャスミン茶にいたしました。どこか中国の悠久な雰囲気なるポスターやプログラムに通ずる色彩です。
それはそうと、会場前のルナのポスター隣に掲示されていたのは舟木一夫さんのコンサート。
一度で良いので、『高校三年生』を生で耳にしてみたい。名曲です。
そういえば管理人がその年齢当時は日本の歴史に残るであろう大きなスポーツの祭典がございました。
東洋の魔女の頃か否かはご想像にお任せいたします。