2021年1月31日日曜日

バレエカレッジ講座 マエストロ・井田勝大氏「バレエ音楽の魅力と秘密」『眠れる森の美女』前編

1月30日(土)、バレエカレッジの講座 マエストロ・井田勝大氏「バレエ音楽の魅力と秘密」『眠れる森の美女』前編をオンライン受講いたしました。
https://balletcollage-maestro14.peatix.com/
https://balletchannel.jp/event/13404

1890年に初演を迎え、昨年がちょうど130年の節目。状況の事情で誰もやっていないか陰では行っていたか分かりかねますが、
130年を意識していたためか昨年は生でもオンラインでも眠りを観る機会が多かったと記憶。
生では東京シティ・バレエ団、東京バレエ団(子ども版)、牧阿佐美バレエ団、新国立劇場バレエ団(札幌公演)、
配信ではボリショイ、シュツットガルト、英国ロイヤル、他にもその昔にレーザーディスクで観ていた映像がなぜだか動画サイトにまるごと載っており
公演中止が相次いだ昨年ばかりは時代の電子技術進化に甘え、キーロフのイリーナ・コルパコワ主演やボリショイのニーナ・セミゾロワ主演も鑑賞。
1人ひっそり、でもないが眠り130周年ツアーを行っておりました。スミルノワとチュージン主演のボリショイシネマが
丸々載っている経緯は謎でございます。(観たが鑑賞に正式カウントして良いものか笑)
今年は2月に新国立劇場バレエ団が、3月には日本バレエ協会にてコンテンポラリーと古典の眠り2本立て公演を控えていて、タイムリーな嬉しい講座開催です。

実のところ、延々長々と絢爛豪華な流れが続いてそこまで好きではない作品ながら、プロローグの妖精パ・ド・シスの音楽、
中でも妖精達が登場するワルツの繊細さがじわりと重なり合いながら展開する曲調は妙に愛おしく感じており
今回はプロローグと1幕中心との告知に胸を躍らせて受講。井田さんは序曲から楽譜を用いてそれはそれは事細かに分析解剖してくださいました。
パ・ド・シス部分にも詳しく触れてくださり、パン屑やリラの花などロシアの風習にちなんだものを取り入れていることを知り、興味が尽きぬお話満載です。
妖精達の呼び名は優しさ、元気、と一言で簡潔な版もあれば、結構長い(版によるが、黄金のつる草の精を始め英国系長いか)ものもあり。
パン屑の謎が解けて金田一少年並みに気分もすっきりいたしました。
激しさ、勇敢などの名で呼ばれている5人目の妖精の振付も好きで潔い曲調を聴くたび背筋が伸びる思いがいたし
この踊りで今も印象に残っているのはキエフバレエの監督に就任したエレーナ・フィリピエワ。
『シンデレラ』での愛くるしさからは想像つかぬ、濃い橙色の衣装が似合い、強い脚力から繰り出される火花を散らすような踊りに驚倒した覚えがございます。
30年以上前の映像で、オーロラ姫は誠に優美なアンナ・クシネリョーワでございました。

一応全2回の前編後編構成の予定でしたが井田さんが話し足りなさそうで 笑、3回になる予報もチラリ。
もっと聴きたい気持ち満々でおりますので3回でも4回でも大歓迎です。
そういえば、1点だけ疑問。妖精達の登場ワルツで一呼吸置いて曲調が変わり、一気に壮大となる通常リラの精の登場場面。
井田さんも楽譜を差しながらリラの精が登場する、と説明なさっていて確かに大概どの版においてもリラが堂々と登場なる場面です。
しかしセルゲイエフ版では呑気の精だったか、リラの子分が駆けて出てくる音楽に当てられ、リラは序盤のゆったりした調べに
コール・ドと紛れて何時の間にか登場して既に中央に。セルゲイエフ版で唯一どうも納得が行かず長年生きてきております。
世界初演をしたバレエ団の長きに渡る上演版ですから何か意図はあるのでしょうが、福田一雄さんの『ライモンダ』講座によれば
セルゲイエフはグラズノフが他の作品用に書いた曲をライモンダ夢の場ヴァリエーションとして取り入れ定着させてしまった身勝手な人物だそうですから
(公演で発表会でコンクールで、ライモンダよりヴァリエーションとの明記や認識にグラズノフは心境複雑であろう)
眠りの振付も標準版として上手いこと定着させてはいるが『ライモンダ』と同様に不思議なこだわり点を入れて推し進めてしまったのだろうかと妄想。
2000年のキーロフ来日公演での復刻版眠りを見逃してしまったため、初演時の振付が今になって知りたいと関心を寄せずにいられません。


話が二転三転いたしましたがバレエカレッジさんの講座のオンライン受講は初。例えば楽譜を用いての説明の際には楽譜を大きく、
そして斜め上には井田さんのお顔も映し出され、オンライン受講者にも行き届いた講座であったと見受けました。
休憩に入るときには受講者と談笑なさる光景が一瞬映され、きっと眠り音楽談義で盛り上がっていたことと想像。
次回以降再び現地受講できる日を心待ちにしたいと思っております。




昭和に出版された、我が眠り手引き書。求婚者たちにリフトされているのはコルパコワさん。
順を追っての音楽解説も詳しく、何度も読み返しております。

0 件のコメント: