2025年5月21日水曜日

コッペリウスもめでたしめでたし  スターダンサーズ・バレエ団『コッペリア』  5月11日(日)《神奈川県川崎市》




5月11日(日)、新百合ケ丘にてスターダンサーズ・バレエ団『コッペリア』を観て参りました。
https://www.sdballet.com/





スタダン・鴻巣さんと林田さんによるインタビューシリーズ。中川郁さん編。
中川さんのサッパリした性格が出た気持ち良いインタビューです!



スワニルダ:冨岡玲美
フランツ:池田武志
コッペリウス:鴻巣明史
スワニルダの友人:
秋山和沙  阿部裕恵  石山沙央理  勝木萌香  早乙女愛毬  馬場彩  前田望友紀  山内優奈
村長:福原大介
宿屋の主人:友杉洋之
コッペリア(人形):塩谷綾菜
ジプシー:中川郁
時の父:宮司知英
暁:秋山和沙
祈り:中川郁
仕事:岩本悠里  早乙女愛毬  鈴木就子  髙橋麗  山内優奈  相澤仁那  小杉瑠々  元吉日菜多
婚約:三澤由華   加地暢文
戦い(ソリスト):飛永嘉尉



ピーター・ライト版は観たいと願いながらも早30年!?バレエ雑誌での記事は度々目を通しておりましたが
ようやく初めて鑑賞し、予想以上に絵本を開いたかのような温かな世界が出現。最初から心を持っていかれました。
前回2021年に当初は鑑賞予定でしたがスエズ運河の事故影響によって装置到着が大幅に遅れる事態に。
日程延期となって初台の中世フランス歴史絵巻物と重なってしまい、今回念願叶っての鑑賞です。

スワニルダは初役の冨岡さん。以前からマラサングレやThe Dance Houseといった現代作品における身体能力の高さにはたまげておりましたが
スワニルダも初役とは思えず。どの場面を思い起こしても余りに余裕綽々と物語をリードしていて
身体の芯は強靭されどふわりと優雅さを放つ踊りも何処を切り取っても安定性抜群。
コッペリアに夢中なフランツに対してバルコニーから本を投げつけるわコッペリウスとのバトルではワルツにのせてさりげなくバシン!と張り倒すわ、
なかなかおっかないヒロインです笑。しかし嫌味に映らないのは、踊りも芝居も
ナチュラルに音楽と調和していて怒る場にしてもやり過ぎぬ品もあり、踊り方もクリアで美しや。
コッペリウスの家での人形達へのいたずらがこの版ではだいぶ大掛かりで、色々な人形に触れたり蓋を開けたりと慌ただしくなりそうな箇所も
とても自然な仕草でいたずらを試したり友人達との掛け合いも音楽とのタイミングがよく合っていて、
全幕主役はそう回数は多くない(昨年12月のくるみが主役デビューかと思います)ことを思うとたいそう驚かされた次第です。

池田さんのフランツは駄目っぷりもチャーミングに出して生き生きと踊られ、スワニルダの尻に敷かれていく生涯が目に見える青年。
チャルダッシュもたっぷり踊る設定で、周りを率いての力強いステップや、ジプシー女性に益々のめり込んでしまうどうしようもない浮気性もいよいよ頂点へと達して
スワニルダの怒りも最高潮へ。ドタバタ展開がエネルギッシュに、同時に微笑ましく進行していきました。
チャルダッシュの中心を務めるジプシー女性の中川さんの、スワニルダに対する見せ付けアピールや集団の牽引力、視線も雄弁でダークな熟女っぷりも見事。
スタダンヘの移籍以降すっかり大人の女性や変わり種キャラクターの担当になられたのか、これからの活躍も目が離せません。
いつかチューダー振付『火の柱』ヘイガーも観てみたい役柄です。

そしてコッペリウスの鴻巣さん。偏屈になり過ぎず、おかしみと優しさと愛情深さが合わさって
実験器具を駆使しながらコッペリアに命を吹き込もうと懸命に作業している様子がいたく健気です。
年老いてはいても人形作りで忙しい毎日を過ごしているのであろう、腰を屈めつつもシャカシャカと動き回る歩き方も妙にリアリティがありました。
これだけ愛情注いで製作したコッペリアが不法侵入したスワニルダ達に騙されて壊されて、
ラストは一旦再び静けさが訪れると元通りに直ったコッペリアが愛らしく登場。
人形ではあってもコッペリアはコッペリウスが注いでくれる愛情をよく分かっていて慕っているのでしょう。
2人仲良く踊りながら再度フィナーレの賑やかな曲が響き渡る中で幕が下り、コッペリウスに救いが与えられる結末に胸がほろっと温かくなりました。
前日スワニルダ役の塩谷さんのカクカクと軽快で可愛らしい人形ぶりからも目が離せず。

3幕は発表会でもお馴染みな様々な踊りが披露されますが、除夜の鐘どころではない巨大な鐘の荷車や仙人の如く現れる時の父にも仰天。
しかし鐘の行進曲と名が付いているだけあって、本来ならばこれくらいの大きさが望ましいのでしょう。
チャルダッシュとは打って変わって、中川さんの祈りが清らかな威厳を広げて空間を満たす舞であったのも安らぐような印象を残しました。
戦いはいきなりダイアナとアクティオンですか状態な光景を目にする機会が多く疑問に思っておりましたが、裸体系で無い笑、男性群舞で見応えあって不自然さなし。
年季と味わいが染み渡って隅々まで凝った美術装置、衣装の繊細な作りにも感激。

村の庶民達の物語であっても全体に品が行き届き、例えばスワニルダ達がコッペリウス家に侵入してのガクガクブルブルと怯える箇所は
スカートの裾を上げて脚の震えを伝えるときも上げ過ぎずにふくらはぎのあたりで抑えていて、その辺りの加減も好印象でした。
衣装の細やかなデザインも惚れ惚れで、特に3幕スワニルダのきらりとした金色を含んだレースの彩りや、暁の細い線で組み込まれたティアラも品ある輝きです。

2日間のみの上演であったのは寂しく、近々の再演もお待ち申し上げます。発表会を除き、『コッペリア』の全幕公演はどうしても2023年の2月を思い出してしまうため
あのとき以来避けて通っておりましたが、スタダンのライト版はずっと観たいと願っていた版のため、また冨岡さんの初役スワニルダも注目しており今回鑑賞。
衣装装置だけでなく踊りも振付も、古くも美しい絵本の世界が優しく広がる演出でとても好きになりました。

開演前のプレトークでは芸術監督の小山久美さんによる作品解説があり、分かりやすい聞き取りやすいお話を楽しく拝聴。
また日曜日公演日においては昼前に発生した小田急線の事故影響を受けての遅延に配慮して
少し遅らせるスタートとなる旨も説明され、着席している観客にお詫びを伝えて理解を求めていらっしゃいました。
作品の歴史や知識だけでなく、安心して楽しい鑑賞に繋げてくださり、毎回欠かせぬプレトークです。




行きの電車内にて、11:15分頃に柿生と鶴川の間にて事故発生と放送。公演は少し遅らせてのスタート。



駅前を少々歩いてマプレ専門店街を真っ直ぐ進むと現れたイタリアンのお店。青葉が眩しい。



サラダもボリュームあり。



限定のスモークカジキとカラスミのパスタ。カジキから燻した良い香り、カラスミの塩加減もちょうど良く彩りも元気カラーで綺麗です!



今後の公演。どちらも興味あり。卒業記念舞踏会、まだ全編鑑賞したことがない気がいたします。
ドラクエはゲーム音痴でも楽しめます!ヒロインの姫をピーチ姫と思い込んでスーパーマリオと混在していた2018年の初鑑賞時は忘れられません笑。
もっと遡れば、ドラクエとドラゴンボールの違いが分からずにおりました汗。



コッペリウスの実験室のような装置も印象に残って、ビーカー思わすクラフトビールの飲み比べセット。
苦味強いものから果実味のあるものまで、楽しい飲み比べです。元々冨岡さんに注目なさっていたスタダン通な方々とお話しでき、豆知識もたくさん!


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