2025年5月9日金曜日

幼少期の失態の地・調布にバジルの友人現る!   藍るり子バレエスタジオ25周年記念発表会  4月27日(日)《東京都調布市》






4月27日(日)、東京都調布市の調布グリーンホールにて藍るり子バレエスタジオ25周年記念発表会を観て参りました。



友人



以前から新国立のダンサーが多数出演している旨は存じておりましたが、記念の今回はより豪華な構成で、また訳あってこの度鑑賞に至りました。
発表会名物の1つが公開レッスンで、生徒のみならずゲストも出演。ウェアも自由で、女性はレオタードと巻きスカート或いは長いチュチュで統一させていたかと記憶。
これだけでも60分弱を割く大構成で、生徒の大半を占める大人の方々も基礎がきっちり備わっている人ばかり。
各クラスのレベルに即した内容を展開して行き、出入りも多々あってもよく練られていて、
生徒さん達の今の実力を最大限に発揮できる振付且つ整理整頓された印象を受けました。

ゲスト陣は小野さんの惚れ惚れするソロもあれば、レッスンから火花散らし合う(勝手に片方側の目から火が出ているだけかもですが笑)プリンシパル約2名もいれば
グラン・パ・クラシックのアダージョ曲にのせた、男女ペアになっての パ・ド・ドゥレッスンもあり。
男性達からの超絶技巧サービスもございました。
選曲も興味を惹き、クラシック音楽もあれば2000年前後に流行した曲も多数。福山雅治さんの『桜坂』や
桑田佳祐さんの『白い恋人たち』、久石譲さんの『Summer』等あったかと思います。聴き間違いありましたら失礼。
四半世紀前のこの時代の流行曲ならばぎりぎり私も耳に馴染みがあるため、選曲者に拍手送りたい思いでおります。
実際に青春時代に流行ったのは青い山脈等、最も心躍った紅白歌合戦映像は尾崎紀世彦さんらが出演の1972年ですのでもう少し遡るでしょうか。
先日福岡からの帰りの飛行機内で備え付けオーディオで意気揚々と聴いていたのは和田アキ子さんの『あの鐘をならすのはあなた』でございました。
それはさておき、もしも更にCHEMISTRY(レッスン曲には向かないか?)、宇多田ヒカルさん(First Loveはゆったりタンデュに適していそう)、
浜崎あゆみさん(ジュッテにBoys&Girlsはどうでしょう?)あたりも含まれていたら、いよいよ選曲者知りたい私でございます。
それはそうと、渡邊さんの真っ赤Tシャツ効果もあったのか、藍バレエ初出演で一層やる気満々でいらしたのか、負けず嫌いな闘志が出てしまうのか笑、
爽やかにこなしているゲスト陣の中で誰よりもパッションが抜きん出て見え
調布市内に松岡修造さんがGWイベントか何かでお越しになっていたかと錯覚するほど、目にするたびに体感温度が上昇でございました。
返す返すも、井澤さん渡邊さん速水さんが並んで踊る光景なんて公開レッスン含めても、初台でもまずお目にかかれません。面白貴重な並びを目にできました。

バレエコンサートでは海賊パ・ド・トロワもあり、小野さんメドーラ、井澤さんコンラッド、渡邊さんアリによる黄金プリンシパルトリオが君臨。
良いのでしょうか調布限定で。初台でもやりましょうよ案件です笑!!今からでもヤングガラ特別出演オーバー30枠、空けてくださいませ。
威厳ある女王然としたメドーラと、派手な頭領ぶりに加えお人好しそうでうっかり罠に嵌ってしまいそうなコンラッド、ひたすらお仕えアリ、とバランスも黄金比。
とりわけアリ、トロワ形式のためサポート待つ箇所が増えるわけですが、サポート待機中も1ミリも隙がない奴隷でお辞儀がぐっと深々、
そして肩の奥の部分から身体を使っていらっしゃるからでしょう。
全ての動きに立体感があり、後方を向いたときも背中が語りかけてくるのです。
恭しくお仕えしつつも高貴な魅力も宿す、時折ギラリと野心覗く視線にも射抜かれました。
Vaはトゥールーズと同じ(ホームズ版もだったか)、屈み込む体勢付きで、一気に深いところまで身体を落としてからの立ち上がりのメリハリにもうっとり。
肉体美も堪能し、抑えていても滲む、雄々しい野性味と色気ブレンドな香りにも骨抜きにされました。

『ラ・バヤデール』より婚約式は速水さんがソロル。衣装が西洋の王子様風のデザインな上に鉢巻もターバンもないため一見ソロルに見え辛かったものの、
すっと伸び切る跳躍や回転はお手の物。ワルツは大人の生徒さん達の多層構成な振付で出入りの切り替わりもよく考えられ、纏まりある展開となっていました。

メインは『ドン・キホーテ』ハイライト。休憩なし80分弱に濃縮したほぼ全幕網羅な構成で見応えたっぷりでした。
街の広場や酒場も大人の生徒さんもたくさん配され、バヤデールでも感じましたが大人の群舞の作り方や見せ方がとても上手いと思わせます。
酒場は子供がやるより大人の方が賑わいの演出も自然。仮に子供が演じる酒盛り場面にて、あまりにナチュラルではそれはそれで困るか笑。
本物らしきワインボトルもあちこちに置かれていて、会場すぐ隣のスペイン料理店PEPさん(何度か行っておりますがお洒落美味しいお店です)もびっくりでしょう。

キトリは小野さんで、お茶目な色香とお転婆娘な明るさ満開なチャキチャキとチャーミングな女性。
外部の教室発表会における全幕作品の主役は久々に目にしますが、(記憶の限り拝見した発表会全幕舞台は
2018年の徳島県の清水洋子バレエスクール白鳥の湖オデット/オディールや東京都での佐藤朱実バレエスクールくるみ割り人形金平糖が直近かもしれません)
生徒さんたちを引っ張りつつ周りをも引き立てる統率力といい、愛される可愛らしさ、
指先脚先からも花が零れるような色っぽさといい惹きつけて止まないヒロインでした。
そんな小野さんキトリを愛するのは速水さんのバジル。もう十八番な役柄でしょう。登場時からにこやかなラテン気質あり過ぎです。
かっ飛ばす勢いを持たせていても回転での余裕ある締め括り余韻でも沸かせていたほどです。
小野さんと速水さんは外部では時々組まれる機会があり、3月の群馬県前橋市でのブリスバレエ発表会や
昨年1月の山口県防府市で開催されたバレエ!バレエ!!バレエ!!!ガラにて古典のグラン・パ・ド・ドゥを観ておりますが、相性は実に良く毎回しっくり。
今回も1幕片手リフトも安定していて長めに維持して小野さんキトリのいたずらっぽい笑みが更に咲いていた印象です。

小柴さんのロレンツォは独特のまろみがあっておっかな過ぎぬユーモアな魅力あり。菅野さんガマーシュは人が良さそうである上に水色タイツで差し出す爪先の美しいこと!
趙さんドン・キホーテの大らか悠然とした佇まいや、強烈新国立陣に負けじとサンチョを踊られた男子生徒さんの度胸や見せ場の踊りの達者ぶりにも拍手です。
井澤さんエスパーダも、今回は髭なしであっても前回初台でのフレディ・マーキュリーか?と見紛う濃さを引き継ぐ派手っぷり。
踊りも斬れ味良く、先月の初台アルブレヒトといいテクニックの充実ぶりに驚かされる2025年でございます。

そして、描き方が最も気になっていた藍バレエ版ドンキオリジナルキャラクターであるバジルの友人。
投稿記事のイメージ衣装画を見ると、変わった鉢巻付きのお衣装で、渡邊さんがお召しになったお姿を想像しては半分笑い堪えながら(失礼)待ち侘びておりました。
結果、幕が上がると既に群衆の中にいらして、ひたすらお囃子隊長もこなす何でも屋の友人。
立ち位置も頻繁に変わっていてあちこちに立ち寄るも、それぞれの場所で朗らかな会話が聞こえてくるようで
様々な生徒さん達に語りかけては笑みを楽しそうに引き出す作業を行っていらして、心を開かせての解きほぐし名手なバルセロナ巡回警備員でございました。
時にはキトリが投げた薔薇をキャッチする係、エスパーダ登場までの前座を盛り立てる闘牛士達の身代わり8人分踊り回る係、
宿屋の屋外食堂にてドン・キホーテ達へのワイン給仕係までこなされ、給仕中にはワインボトルのラベルを見せての説明も
事前に数時間隣のスペイン料理店でインターン勤務されたかと思うほど丁寧で知識も豊かそう。
酒場ではギター侍、ではなくちょっと小さめギター持ってのお囃子隊長。1人で何役も任されていました。
最重要任務はバジルを見守る係であったかと思われ、1幕から目を合わせては2人でニマニマ。
センス無き下手な人がなさったら、ただの雑務係及びこの日も上野で上演されていた
某団の不自然な鬘と同様に必要性の有無を疑問視するに終わってしまうであろう役柄でしょう。
しかし、渡邊さんがなさると隅々から物語に楽しい膨らみを与えてくださり、手拍子がいかにも陽光降り注ぐスペイン!なる腕を高く上に掲げながらの叩き方とは
演歌まではいかずとも少々異なる、妙に哀愁ある味わいであったのはご愛嬌笑。
きちんと踊る見せ場ある役としてはボレロを担当され、今はもう初台では配されない役ですから、
熱々パッション振り撒くお姿も目一杯視界に飛び込んで嬉しうございました。

3幕は所謂キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥは無しであっさり閉幕かと思ったら
生徒さん達のアンコール呼び声で再び幕が上がり、コーダの部分をボレロ、バジル、ロレンツォ、ガマーシュが分担でご披露。
菅野さんガマーシュによる美しいアチチュードフェッテ、笑いも拍手も大喝采で、ロレンツォもブンブン踊っての特別版な振付。
冒頭部分は渡邊さんボレロが担い、勢い余ったかバランス失いかけたのもまた盛り上げを拡張させていた気がいたします笑。

今年の発表会まではホームページもSNSもないスタジオながら、以前から新国立ダンサー多数出演で大人の生徒さんも大勢在籍していて発表会のたびにグリーンホール前は大行列であるとの旨は聞いておりましたが、
25周年記念の今回のプリンシパル4名も集結はなかなか実現し得ない布陣でしょう。
藍先生の繋がりや、長年大人の生徒さん達も大事にされ、大きな教室に発展させてこられた指導力の賜物と思います。
新国立好きとしても、初台からそう遠くない沿線の駅にてこうにも豪華で珍しい見せ場満載な演出を目にでき、大満喫いたしました。

それから調布グリーンホールはつい色々思い出してしまう場所で、昔は何度も来ておりましたが正面入口から入ったことは殆どなく、
楽屋口ばかりに行っておりました。なぜなら発表会や調布市洋舞祭にて自身が出演する側であったためです。
行きは発表会洋舞祭回想シリーズとして、今回は観客側であり衣装等は持っていないが最寄りバス停からバスで調布駅南口へ。
昔は楽屋口前に停まった記憶がありますが、今は正面入口階段すぐそばに停車。観客としては便利になった笑。
ただ近年郊外の発表会に足を運ぶと、皆様ご自宅から自家用車での送迎が大半と知る日々です。

開場前や帰り、古きプログラムを開きながらグリーンホールでの出来事を振り返ってみました。
ゼンツァーノの恥祭りやらメリーウィドウの悪痛(ワルツ)等やらかしトラウマは多々あれど、
グリーンホールではない会場での開催になった最後の発表会での大トラウマには及ばぬレベルであったのは救いでした。
されど習い始めたときから鑑賞の方が好きで、8歳の発表会時にはいくら趣味習い事でもバレエにはある程度のビジュアルは必要と痛感して
美しい世界観を毎回台無しにしてきた醜い自身は習う資格なしとの結論に至っていたため
心底楽しめずやる気もなく続けていたのは周囲にも失礼であったと反省するばかりです。呆気ない退会であったと思います。
そんな中で一番楽しく心に残っているのは『ライモンダ』3幕のハンガリアン。名前を読み上げてくださる間は仰々しいくらいに壮大な前奏曲で舞台上に待機して
格調高い音楽が続き、フィナーレギャロップでは前半は大人1人のソリストと子供8人程度であちこち移動しながら場を持たせて
終盤に差し掛かるとなだれ込んでくる主役やグランパチームと合流して潔く終了。良き思い出です。

長くなりましたが、2025年4月27日の調布市グリーンホールに現れた赤Tシャツレッスンお姿、アリ、バジルの摩訶不思議鉢巻友人のおかげで
苦い記憶をだいぶ上書きでき、存在の偉大さに再度感謝申し上げます。客席が緑色であるのは今回初めて知ったかもしれません。
タイムリープして、浮かない顔してグリーンホールから帰途につく子供の頃の私に会えたなら
平成の次の時代になってから、素敵なヒーローが現れてグリーンホールを幸福の象徴に変えてくだかるときがやってくる、と予言してあげたい令和の私です。

尚、この日2025年4月27日は昨年から延期になっていた深川秀夫さんのガラが大阪で開催。
当初は行く予定でしたが延期による出演者変更しかも同日に都内でのご出演で、先に決まっていたのは調布でしょうからこればかりは仕方ない。
ただまさか、私の思い出深い、6歳の頃には『シンデレラ』全幕で人数少ないために子供も出番多き作品でしたので
舞台裏の廊下を小さな身体で早歩きしながらの下手から上手への移動も脳裏に焼き付いている会場でのご出演は感慨深い嬉しさがありました。
しかしグラズノフの煌びやかな星空を彷彿させる旋律にのせた深川秀夫さん振付ソワレ・ドゥ・バレエのソリストペアを踊られる渡邊さんも拝見したかったとの欲は残ります。
うう、ファンは我儘だ!




吉田都監督も嘗てグリーンホールにご登場。新国立開場と同年の1997年に、バレエ連盟TAMA主催コッペリアに現英国ロイヤル監督のケヴィン・オヘアさんと共に招かれました。
吉田監督が東京都国立市ご出身とはいえよく実現したと今も思う公演です。
まさかこの23年後に、グリーンホールコッペリア同年開場の新国立の監督に就任なさるなんて誰が想像できたでしょう。



往路はバス。グリーンホール目の前で停まる調布駅南口行きの終点です。



グリーンホール斜め向かい、たづくりの展望ロビーから。



たづくりにて、花市!



グリーンホールの思い出プログラム。やらかした記憶が大半で、私のような舞台では明らかに邪魔な存在であり、やる気あるとは言い難い
いくら観客が親族友人関係者ばかりとはいえ私がいるが故にみんな綺麗な生徒さん〜といった褒め言葉が生じなかったであろう、
技術もビジュアル平均値も下げてばかりの醜い人間を退会させずにいてくださった先生は寛大です。



バー代わりに使用したこともあるロビー手すり。



夜の調布。グリーンホールから見る景色、だいぶ変わりました。



ゲスト陣。調布が別の街に見えた笑。



舟盛拡大!そういえば、2019年に浦安市で海賊観た帰りも1人用舟盛味わいました。房総半島からの直送海鮮酒場でした。



振り返る、ライモンダ3幕は子供ながらに良い記憶です。

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