8月25日(日)、葛飾区のリリオ亀有にて修子バレエアカデミーThe 2nd Study Galaを観て参りました。
今年2度目の亀有、修子バレエさんの舞台は昨年の1st Study Galaに続き2度目の鑑賞です。
https://shukoballetacademy.com/
ゲストと講師陣によるフィナーレ映像。ビゼーの交響曲ハ長調にのせて、めくるめく展開です。振付は高羽英美さん。
曲を聴くとどうしたってバランシンの『シンフォニー・イン・C』が思い浮かんでしまい
アクティオン(渡邊峻郁さん)やアリ(菊岡優舞さん)、ランゲデム(森本亮介さん)といった新国裸体系野性味トリオが勇壮に踊っていると不思議な味わいでございます。
主宰はNBAバレエ団や谷桃子バレエ団で活躍され、その前にはエジプト、近年は米国でも活動の場を広げていらっしゃる田山修子さん。
来年で5周年を迎えるスタジオで、幼児さんと小学生くらいの生徒さん達、そして大人の方々も熱心に通われ舞台出演にも情熱を注がれているようです。
クラシックのパ・ド・ドゥからアンサンブルの創作まで多岐に渡り、また生徒さんのみならず
講師の方々の出番もバランス良く混ぜていて、生徒も講師も皆で舞台でステップアップを図る方針があるもよう。
前半に子供の生徒さん達による『海賊』より花園が上演され、一部終盤にてフェッテがブンブンと含まれ、まだお子さん達には早い気もいたしましたが
殆どの生徒さんがバレエシューズで、舞台で踊るポワントを急がせていなかった点や全体も綺麗に整っていたのは好印象でした。
小学校2、3年生頃の年齢のお子さんもゲストとのグラン・パ・ド・ドゥやパ・ド・トロワ、
プロ顔負けなゴージャスなチュチュでのヴァリエーション等なかなか他の教室の発表会では見かけぬ演出もあり、驚きを覚えましたが
生徒さん達がとても楽しそうにうきうきとした表情で踊る姿に、晴れ舞台を今か今かと待ち望んでいた嬉しさが伝わり、子供の純粋な心に癒された私でございます。
大人の生徒さんはグラン・パ・ド・ドゥ、パ・ド・ドゥもある他、『白鳥の湖』3幕パ・ド・フィアンセは個々の特性を生かしたソロに加え纏まりあるアンサンブルを披露され
そのあとの加地暢文さん振付connectでは照明の切り替わりも工夫に富んでいて、光の陰影の中で入れ替わり立ち替わり踊りが紡がれて行く展開も見応えがありました。
また講師の片平成美さん振付『シンデレラ』よりシンデレラと妖精たちのハイライト集においても
大人の生徒さんで結成された四季の精達が基本のシンプルなテクニックを大切にしながら端正に息を合わせて踊っていらっしゃり、
片平さん三船元維さんによるパ・ド・ドゥもぱっと華やいで素敵な流れに仕上がっていた印象です。
さて、この日最大のお目当てが田山さんと渡邊峻郁さんによるディアナとアクティオンのグラン・パ・ド・ドゥ。
田山さんのご投稿の紹介文によれば渡邊さんは人生初のアクティオンだそうです。
実は私の夢の1つが渡邊さんアクティオンを「客席」から観ることで、2022年3月の渡邊さんがアーキタンツのレッスン初登場時
センターの最後のグランジャンプ時にこのパ・ド・ドゥのコーダ曲が伴奏され、おおよそは作品に沿った振りでダイナミックなアクティオンジャーンプ!を間近で拝見していたのです。
ただ私がそのとき初アーキ受講で、受講するレベルのクラスは怖い空間と噂に聞いていたため(この初回時だけは耳にしていた噂は概ね合っていたが)
前半終了あたりまではガチガチに緊張してしまっていたのが今も悔やまれると同時に
新国立劇場にレパートリーにも未だなく、以来アクティオン役の舞台姿にもお目にかかりたいと願って早2年5ヶ月経ち、ようやく実現。
原作を題材にした絵を前日に上野の国立西洋美術館常設展で鑑賞するほどに楽しみに待っておりましたがようやく叶ったのでした。
元々好きなパ・ド・ドゥであるため序曲のズンチャチャンチャンズンチャチャンチャンの曲調を聴くだけでも胸が沸き立つ思いに駆られ
そうこうするうちに田山さんが大拍手に迎えられてご登場。真っ赤な短いスカートで色っぽくもきりっと気高い女神なディアナでございます。
背丈も腰位置も高いため、脚を交互に上下させながらの前進も枠に収まらない華やかさで魅了。
そして渡邊さんアクティオン出現。俊敏で線が太めな豪快ジャンプの斬り込み登場で、ギラッとした眼光といい
その瞬間から獲物たくさん仕留めていそうな逞しいワイルドな狩人そのもの。
岩山や森を駆け抜けて狩の名手として人々から慕われていそうとも想像いたしました。(もののけ姫のアシタカかいな)
ヴァリエーションでは弓を射る仕草も随所に含ませてくださり時折慌ただしく映ったときもあれど、
品格は終始維持。こーれーが観たかった!と何度叫びたくなったことか分かりません。
そうでした、アダージョのときディアナから受け取った弓を袖へ滑らせて投入するときにまさかの弓が大破する事故が発生。
しかしアクティオンは道具投入の名手でもあるのでしょう。割れても欠片は殆ど飛び散ることなく、ビリヤードのように割れつつも袖へイン!
リハーサル映像では弓を壊さないためにも滑らせ投入はせず、随分と離れた棚に大急ぎで丁寧に置いては再び立ち位置に全速力で戻る、
そんなご様子が告知されていましたから、本番での破損は予想もしなかった事態だったことでしょう。袖にボウリングした弓の運命はいかに笑⁈⁈
それはそうと頭飾り等は無しで、できればヘアバンド?(渡邊さんですと鉢巻との呼び名のほうが相応しい!?)はあった方が
鋭く凛然とした眼差しが引き立って良かったとも思えたものの、衣装は原住民風紐パンツではなくしっかりとした茶色い素材のデザインで一安心。
凛として気高い女神な田山さんディアナともお似合いで、サポートなさる姿も美しや。
度々目でも語りかけて安心感を与えていらっしゃるご様子も、パ・ド・ドゥにおける男性プリンシパルの鑑と再度見て取れました。
田山さん、アダージョのときのほうが顔の強張りがほぼ皆無で、組むパートナーの大切さを再確認です。
そんなわけで管理人の夢も2月に続き叶い、王子貴公子から野性味系まで魂丸ごと生まれ変わるように舞台で生きる、振り幅広い魅力に再度心奪われました。
前回お2人が大トリで披露され、今回はポスターやプログラム表紙に掲載されたグラン・パ・クラシックがそれはそれは揃って格調高い上に
全生徒出演者の見守りを4時間に渡って終えた直後の田山女王を渡邊騎士が恭しくにこやかにお仕えするようなやり取もがインパクトにありましたが
今回は趣変わってより開放的で勢いのある、しかもグランパに続き全幕ではなかなか上演されぬガラならではのパ・ド・ドゥを選んでくださり、嬉しい珍しい新鮮な視点で拝見。
映像化の元祖な存在ルジマトフや、ヴァルナ入賞時にも踊られ同年の大阪での凱旋舞台やその後も度々外部でも鑑賞している
福岡雄大さんの印象が余りに強く刷り込まれておりましたが、この度初披露された渡邊さんの弓事件含め色々な意味での笑、いつもとは打って変わっての豪快な狩人の上書き決定です。
大人のパ・ド・ドゥは今や教室の垣根を越えた多種の舞台が設けられて(所謂ジョイント)、
主催者がしっかり目を行き届かせている舞台もあれば無法地帯(失礼)もあり、ピンからキリまで存在。
一度とある舞台の鑑賞時には、本当にポワントの基本的な立ち方すら危うい方々によるパ・ド・ドゥの連続で、
作品によってはこっそり録画してでも振付家の財団に映像を送ろうかと脳裏を過ったときもございます。
これといった努力もできていない踊れないぼってりズンドコ醜いドラム缶な私があれこれ綴る資格もありませんからこの辺にしておきまして
修子バレエさんではパ・ド・ドゥクラスが頻繁に開催され、男性ゲストを大々的に写した画像入りの告知や
ある程度のレベル要であっても一応は誰でも参加可能?なオープン式の募集内容から、大人のバレエ事情の変わりように目を丸くしております。
ただ発表会やスタディガラにしても、田山さんが目を光らせながら責任を持って練習には立ち会っていらっしゃるでしょうし
ご投稿においても、何でもかんでもありなパ・ド・ドゥ舞台に懸念を示す内容も書いていらしたので使命感を持って指導に臨まれていると窺えました。
フィナーレは生徒さんのみ構成が『ラ・バヤデール』影の王国のコーダ。ソロルが入る箇所に男性の生徒さんがジャンプをしながら登場してしっくり。
終盤は色とりどりの衣装で整列して一斉に踊りますが、きちっと纏まっていて見事。
ゲストと講師は冒頭で紹介した通りビゼーの交響曲ハ長調。一部の女性講師の方々がクラシックチュチュに着替えて登場なさるため
あたかもガラでグラン・パ・ド・ドゥ踊った出演者達全員と思いがちな構成ですが、ハイレベルな後味が残るので良き演出なのでしょう。
子供と大人の両生徒さん達と組まれた元NBAの高橋真之さんがあり得ぬ軸の強さ回転のコントロール力で率いていて恐ろしや。
兎にも角にも、2年5ヶ月を経て渡邊さんの舞台姿のアクティオン拝見でき、鶴亀以上におめでたいひとときを過ごした夏の亀有の夕刻でした。
The 2nd Study Gala前日、上野の国立西洋美術館にて開催されていた内藤コレクション いとも優雅なる中世の小宇宙へ、の展覧会へ行きました。
牧阿佐美さんがライモンダ新制作時に衣装や美術装置のイメージとして写本の色彩感を参考になさっていたことも、より興味を持つきっかけに。
金や青の品ある色彩や緻密な模様文様に昔から魅せられ、最終日前日にようやく鑑賞できました。
企画展チケットでそのまま常設展も鑑賞可能のため、2022年5月の上野での佐多達枝さん版『カルミナ・ブラーナ』鑑賞前の立ち寄り以来に
『アクタイオンに驚くディアナ』の前へ。(常設展と今回の企画展共にほぼ全作品撮影可能)
翌日にいよいよ亀有でお目にかかれると思うと、本来は鹿に変身させられる経緯をバレエでは描かれていないと把握していても心浮き立つ気分が止みませんでした。
鹿!!
亀有駅ホームから、夏空!
開演前、会場が入る店舗の1階にてやっと亀むらで買い物。マドレーヌを購入いたしました。亀の絵が入れ物に描かれています。
ぶれてしまいましたが、パーン!と弾ける勢いで、帰りはジムビームで乾杯です。
鹿次郎の夏。先日25日の余韻からもまだ抜けられず。ギリシャ神話の通りにバレエでは鹿に変身する場面は描かれずとも
亀有のお菓子を手に、狩人アクティオンに想いを馳せる我が家の宮島の鹿さんです。里帰りで初バレエ鑑賞した、福山市のアルブレヒトも忘れられない様子。
狩人といえば名曲あずさ2号の世界観を再現したくて、しかしするなら憧れのダンサー鑑賞へ出かけるときが望ましいと待っていたら、2019年9月23日に実現。子ども白鳥長野県岡谷市公演!
2号ではありませんが、8時ちょうどのあずさ(5号)に乗って旅立ちました。
友人達からは公演感想や、前々日の急遽の主役変更大阪公演に続くすぐさまの旅公演鑑賞よりも
あずさ2号の曲再現を行動に移したことに驚かれ笑われ、よく知る世代ではないはずが!?と人生において度々抱かれる年齢疑惑です。
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