2024年9月5日木曜日

愛と執念の福山・堺バレエルートー福山編ー  SSBガラ  第1部  8月16日(金)《広島県福山市》









8月16日(金)、広島県福山市にてSSBガラを観て参りました。高校の修学旅行や、2017年に愛媛県西条市での板東ゆう子ジュニアバレエ鑑賞翌日に
しまなみ海道を自転車と船で渡ってからの帰り道に福山駅で乗り換えたことはありますが人生初、広島県でのバレエ鑑賞です。
今年は1月の山口県に続いて人生初観劇県が増え、喜ばしい限りでございます。







交通手段関連の詳細は本編のあとに述べますが、この日8月16日(金)は東海道新幹線の東京名古屋間が悪天候のため終日運休。
発表がなされたのは8月14日(水)夕方で、予約やルート変更作戦時間も確保できたため事前告知はとても助かりました。
ちょうど発表を知ったのが前記事、亀有でのNEIGEさん発表会幕間で、最終部におけるシンデレラ王子の渡邊さんの舞台姿をうっとり拝見しながら
新幹線運休であっても何としてでも交通駆使して福山へ行き佐久間さんとのジゼルパ・ド・ドゥ観ると
西村京太郎トラベルミステリー犯人並みに執念が燃えた私でございます。
ただ東京から向かう予定でいらした何名もの方が鑑賞を断念され、(友人2人も安心と安全第一を最優先され断念。
私が申しても説得力皆無ですが笑、安心や安全、落ち着いた交通移動を希望するお気持ち大事です!)
鑑賞が叶わなかった方々の願いも背負ってしっかり観ようと決意。しかしこの度これまた人生初、関東以外の地域での掛け持ち鑑賞を計画しており
福山のガラは前半のみの鑑賞で、その後は大阪府堺市へ移動いたしました。後半について知りたい方は恐れ入ります、ご覧になった方の感想をお探しくださいませ。

まずオープニングは『パキータ』ポロネーズ、マズルカにのせて出演者達が登場され、
曲調は勇壮華麗ですがどの出演者もそれぞれの演目に即した振付で、この時点で作品の世界観を明示。早速スター達の実力が一挙に目に飛び込んできました。
例えば世界バレエフェスティバルやアステラスに比較すれば出演者は少数ながらまさに精鋭達が揃い、1組が放つオーラの恐ろしく輝きの強いこと!
オープニングでもたまげてしまうほどに壮観でしたから、本編への期待が加速したのは言うまでもありません。
後半に『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥをご披露のため残念ながら鑑賞できずであった谷桃子バレエ団の大塚アリスさん今井智也さん組がとりわけ衝撃で
(記憶が正しければリフトあり)リフトされたときの大塚さんが差し出すアームスと脚のラインの大らかでエレガントな美しさや全身から宝石が付いた花が咲くような煌めき、
大塚さんを高く柔らかに持ち上げつつ、サポート時のたいそう幸せそうなお姿の今井さんに驚嘆。
オープニングですぐさま全幕の中の幸福の絶頂を表現してしまうお2人に圧倒され
眠りも観たいがその頃はもう既に移動中。そんな引っ張り合いな思考が瞬時に脳内を駆け巡りました。

さて、トップバッターは東京バレエ団の秋山瑛さんと、長らく東京バレエ団で活躍され退団後は
ゲストとして先月末のダイヤモンドセレブレーションにも出演された秋元康臣さんによる『ドン・キホーテ』。
このお2人のドンキがトリではありません、トップバッターなのです。どれだけ精鋭スター揃いなのでしょうか福山市にてと申したい叫びたい構成でございます。
観客の皆様ようこそ!と言わんばかりの晴れ晴れとしたお2人のご登場で、小柄であっても場の支配力、空間の使い方が大きい秋山さんと
ノーブルな魅力はありつつも勢いある強さも示す秋元さんの掛け合いでただでさえ暑い快晴の福山市の天候を更に燦然とさせそうなパワーがもたらされました。
ヴァリエーションがお2人とも益々パワー炸裂で、秋山さんの音楽とお話しするような繊細なステップに癒され
秋元さんのここぞというときのぐいっと見せるポーズの鮮やかさ、ジャンプのキレや素早さもお見事。
コーダがまたまた揃って波に乗っていらして、秋山さんは方角転換フェッテをいとも易々とご披露、秋元さんも負けじと高速大回転。しかも共に粗や雑味がない。
再三申し上げますが、トリではありません。トップバッターがこのドンキでございました。

次は打って変わって、恐らくは大勢の方が気にかけていらしたプログラムでしょう。
新国立劇場バレエ団の米沢唯さん、速水渉悟さんの『ガチョーク讃歌』よりある詩人の死。
東京からお越しになれなかった方々からも、よく観てきて欲しいと託された演目の1本です。
とにかく米沢さんが、踊る喜び一杯にピュアで楽しそうに踊る姿にまず安堵。もしかしたら久々に舞台に立つことに対して心配、緊張もあったかもしれない米沢さんを
速水さんがにこやかな笑みを交わしながら支えられ、2人で流れるようにしっとり爽やかな風を吹かせてくださいました。
私はこのパ・ド・ドゥは人生初関東以外の本腰入れての遠征であった2007年の大阪のKバレエスタジオ公演にて
初めてガチョーク讃歌の全編を鑑賞したため(ある詩人の死をそのとき踊られたのが石川真理子さんと山本隆之さん)
思い入れのある作品でもあるため見方が厳しくなってしまうのですが、腕を重ねたり顔に手をかざしたりする仕草も含め
お互いにすべてを愛おしむように踊られ、清流のシャワーを浴びた思いでおります。米沢さんの編み込みヘアやリボンの髪飾りも可愛らしい。
『アラジン』東京公演の1回と札幌公演の両方において米沢さんの途中降板に居合わせ、『人魚姫』と『眠れる森の美女』主演も降板が発表されていたため
どんなお姿で登場されるか私も少々心配でしたが、リラックスして純粋に楽しんで踊っていらっしゃる印象を受け、ほっといたしました。

続いて五島茉佑子さん振付「and」。五島さん含む8人の女性構成で、黒や白を基調としたスタイリッシュな作風で
光を追い求めるように交差したりアンサンブルでパワフルに見せたりと変化に富んだフォーメーション。
じっと見つめるうちに、あっという間に終わってしまった感すらありました。

さて瞬く間に第1部も最後。最大の目当てである、バーミンガムロイヤルバレエでプリンシパルとして長年活躍され今回のガラの座長佐久間奈緒さんと
新国立劇場バレエ団プリンシパルの渡邊峻郁さんによる『ジゼル』よりパ・ド・ドゥ。
背景が森の木々に変わり、下手側奥に重なって立つお2人が目に入った瞬間からすっと幻想的な世界へといざなわれました。
私がガラでも発表会でも抜粋上演でパ・ド・ドゥを観るときに特に重要視しているのが全幕を観ている気持ちにさせてくれるかである点ですが、まさにそう。
佐久間さんはまだかすかに体温残るジゼルで、アルブレヒトを守ろうと、不在であってもミルタの試練に立ち向かう覚悟が滲み
対する渡邊さんはジゼルに向けた立ち姿だけでも悲しみに暮れながら後悔を訴えるアルブレヒトで、胸の痛みが伝わるお姿。
ですからお2人が許しを乞う祈りのポーズでの交差を経て触れ合うと、柔らかさと緊迫感の双方が身体を走るような化学反応が発生。
佐久間さんが発する、ただ儚いだけでない独特の凄みを渡邊さんが全身でしっかりと受け止めていらしたからこそ、香り立っていたのでしょう。
またジゼルのラインが美しいだけでなく、指先脚先が音楽と共に空間の隅々まで伸びる究極なポーズを描出させる
渡邊さんアルブレヒトによる匠の技な横スライドリフトの重力の無さにも感嘆。顕微鏡の気持ちで笑、どれだけ凝らして観ても隙がなく目を疑いました。
単にドラマティックに再会を喜び悲しむのではなく、曲調の変化や間の部分も合わせての音楽の捉え方も美しく、
踊りの余韻までもが音楽と共鳴し合っている、情感豊かで品格あるジゼルとアルブレヒトでした。
常にぶつ切りにならず、なだらかな円形を描きつつもその中で葛藤や喜び、苦しみや後悔といった様々な感情が静かに膨れ上がっていた印象です。
佐久間さんの繊細で精緻なテクニックにも見惚れ、跳んでも降りても無重力な精霊そのもの。
思えば私が初めて佐久間さんを観たのが18年前のスターダンサーズバレエ団ジゼルでしたから(アルブレヒトはロバート・テューズリーさん)
18年のときを経て、近年にライト版白鳥の湖でコーチングにいらした佐久間さんと、指導を受けた渡邊さんによる、例えパドドゥのみでも同演目での共演、不思議な喜びが走りました。
渡邊さんアルブレヒトのヴァリエーションにおける悲しみを背負ってのジャンプや着地はぴたりの盤石ぶりに、観客からもはっと唸るお声も上がり
苦しそうに倒れ込んでも美しや。やがてジゼルにそっと手を持ち上げられ、殊更愛と許しを訴えては、優しさ伝う包容で応えようとするジゼルの健気な振る舞いのやりとりに
すっかり心を持っていかれ、上手側にミルタがいる気がしてならず全幕で観た気分になってしまったが実際には観ておらず、実現を夢見る私でございました。
ああ、執念で観に来て良かった!!!

そんなわけで、私のSSBガラ鑑賞は第1部で終了。広島県所縁のある方が総勢出演ではないため客席の反応はいかにと気にかかっていたものの
これだけのハイレベルなパフォーマンスで、幕開けの秋山さん秋元さんドンキが目覚まし時計の如き冴え渡る踊りだったこともあり
また次々と世界観がガラリと変わってはユニークなコンテンポラリーや至高のパ・ド・ドゥで進行し
拍手も熱く、福山市に来てくださったダンサーの方々へのありったけの思いが込められていると窺えました。ロビーの宮殿のような階段、内装にも注目。
人生初広島県での鑑賞、交通手段諸々忘れられない体験となりました。
第2部が気になる方は、ご覧になった方をお探しいただくか、感想投稿や記事等をどうかお探しくださいませ。



※さて、東海道新幹線東京名古屋間運休の発表があったのが14日夕方。16日朝の新幹線を予約しておりましたので
NEIGEさんの発表会後にそのままみどりの窓口へ行き、並んでいる間に前日入りするなら手頃なホテルがあるか調べたものの大阪や札幌といった大都市圏ではないため
直前の段階で予算におさまり、駅からも好アクセスな宿泊先はなさそうでございました。そこで夜行バス。広島方面は完売な様子で(隅々まで調べてはいないためあったかもしれずですが)
即時決済でなくて良いと安心して、ひとまず大阪行のバスを予約。運休は東京名古屋間ですから、
まだ走るか可能性は未知数ながら関西山陽方面は晴れ予報が出ており、ひとまず大阪まで出られれば何とかなるんじゃないか能天気アバウト精神で予約。
仮に新大阪から広島方面新幹線が運休になったとしても、朝10時頃までに大阪を発車すれば普通電車なら5時間あれば福山に着くのだからそうしてでも観ると決めた頃
そして順番が回って来て、窓口で前日15日(木)の新幹線の空席確認をお願いしたところ夕方早めの時間帯のみ空きありとのことでしたので考えること約5秒、
払い戻し決定!(余りに早く用が済んだせいか後ろのお客様がびっくりなさっていた)

さあ翌日15日。果たしてバスは出るのか否か。バスは東京駅発がお盆にしてはまずまずの価格で残っており、
東京駅へ向かう前に新宿に立ち寄ってちょうどバスタ新宿を通りかかったところ、
関西方面のバスがほぼ全て順調に出発している旨が把握できまずここで安堵。
ところがどっこい、管理人。往路の件で手一杯だったせいか帰りの予約をすっかり忘れ笑
16日夜の大阪発のバスがどこを見ても完売。そりゃそうだ、お盆です笑。
1泊して新幹線、では予算を超えてしまうため、そこで閃き大阪から名古屋への夜行バスはまだ余裕がありましたので予約。
そして17日ならば新幹線もきっと動いているであろうと見越しもしまだ運休なら名古屋駅朝出発バスか、鈍行か。
17日夕方の都内の用事に間に合えばもう何でもいいや精神で行って参りました。この能天気アバウト精神がなんだかんだ良い方角へ向かったように思います。
安全や落ち着きのある旅を優先なさる真っ当な方々から、私と旅すると心臓が10個あっても足らなそうとよく言われる所以です笑。(遠方への往復は毎度大概1人です)



まずは、大阪行きバス無事運行!!そして地下鉄御堂筋線で新大阪駅着。電光掲示板、名古屋東京方面は名古屋止まりのみ。
博多方面は順調に動いていそう、一安心。大阪駅周辺は大快晴でした。違う国にきた気分。



8時ちょうどの~さくら545で~、福山に向かいます。東海道新幹線以外はお盆期間でも自由席車両はあり、すんなり座れて混雑もせず。券売機も空いていました。
我が家に12年前にやってきた厳島神社のある宮島の鹿さんこと鹿次郎が里帰りも兼ねて、
また今回福山を断念された友人達の身代わりに(勝手に鹿にしてすみません。あっ、でも次は神話上では鹿に変えられるアクティオン鑑賞ですから笑)同行してもらいます。
チラシばっかり眺めていないで早くコーヒー飲もうよと言いたげです。ふかふかのパペットでございます。



福山駅到着!朝一の東京駅発の新幹線で来るより早い時間に到着です。窓から眺める福山城。
修学旅行での乗り換え時にここで撮影したため、ブログには載せませんが当時の写真掲げたり、同じように撮ってもらい再現もいたしました。
ご通行中の方、ありがとうございました。高校2年の冬と○○年後の現在、体型が全然違う管理人。



9時半頃には改札通りました。ようこそ福山市へ!



予想よりも大きなターミナル駅。ロータリーも広い!そしてバラの街に相応しく、ロータリーにもバラ園があるのです。
そういえばバラの街といえば、トゥールーズの紹介文と似ています。
加えてプログラムに載っていた舞台写真、渡邊さんはトゥールーズ時代のベジャール版火の鳥でございました。
新国の写真ではないが、私が虜になったきっかけの作品ですのでこれはこれで嬉しいのです。
さあ、午前中の目的地へ向かうバス停を探します。



福山駅から30分、着きました。鞆の浦!宮崎駿さんのアニメ『崖の上のポニョ』の舞台とされ、ゆったり時間流れ、人の声より鳥や風の音の方がよく聞こえる港町です。



鞆の浦に来て、宮島ではなくても海を背景に喜ぶ12年ぶりの広島県里帰りを果たした鹿次郎。



路地裏



昔の情緒残る商店が並び、こちらはちりめん屋さん。ポニョのぬいぐるみもさりげなく置かれていました。



御宿いろは。宮崎駿さんがリノベーション監修しています。



お昼は鯛飯御膳。むっちり美味しい鯛を、数種類の食べ方でいただきました。BGMはオールジブリ!!



和洋折衷で、ステンドグラスも美しい内装。



少し登ったところのカフェで、漁港眺めながらテラスにて巨大なアイスコーヒー。
ふと考える、東京の暴風雨はどうなっているだろうか。職場の人たちも皆出勤できているのか、
危なっかしい手段で私は快晴の地域に来たが、鑑賞断念された方々のことも心配に。
お土産屋さんにて放送されていた番組でも関東の天候の話題で持ちきりで
福山駅行のバスを待つ間、地元や大阪の方と話していても、東京から来た旨を伝えると随分心配してくださいました。



福山駅から会場のリーデンローズへは、循環バスまわローズが走っています。但し、その名の通りかなり回り道です。お急ぎの方はタクシーがおすすめ。



リーデンローズ到着。蓮華な照明が華やか!!



宮殿か!?この場でシンデレラ舞踏会シーン、できそうです。



ビュッフェもあり、とてもアットホームな雰囲気でスタッフの方々も気さくで楽しい人達でした。地域のパン屋さんのパンも販売。美味しそうに並んでいました。
最大の目当てはジゼルですからワインで乾杯。蓋つきカップでした。



リーデンローズに来る前に予約したタクシーを待つ。レンタルサイクル利用を検討しておりましたが全て出払い中であったため、タクシーに。
このとき第1部終了後。建物見上げながら、第2部も成功しますようにと願う。建物も大きく立派で、バスの中から眺めていても目立つ建造物。
テレビドラマに出てきそうな私立の学園っぽい外装にも見えるかも。
そして無事アルブレヒト鑑賞できて良かったと再度喜びが込み上げました。



タクシーの運転手さんもとても親切で、車内でこのあと大阪へ行くことや東京から来たこと、四国の水不足問題などあれこれ話しているうちに福山駅到着。
業者名はグリーンタクシーでした。ナンバープレートが広島カープ模様だったのが地域性強調があって素敵。
そして無事、17:16発の新大阪行新幹線に乗車。ひとまず友人達にジゼルやガチョーク報告。
当初は福山から大阪のみであったはずの西村京太郎トラベルミステリー犯人な乗り物駆使しての大移動が
東京から福山方面への道中からしてヒヤリ旅となってしまった。
さらば広島また会う日まで!!それはそうとさあ大阪へ!!間に合うか堺市の野間バレエ団公演『みだれ髪』!?
堺編へ続く。


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